(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676783
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】音響ホーンゲイン管理
(51)【国際特許分類】
H04R 1/30 20060101AFI20150205BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20150205BHJP
H04R 3/12 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
H04R1/30 A
H04R1/40 310
H04R3/12 Z
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-554485(P2013-554485)
(86)(22)【出願日】2012年2月9日
(65)【公表番号】特表2014-509142(P2014-509142A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】US2012024457
(87)【国際公開番号】WO2012112374
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】13/030,656
(32)【優先日】2011年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エドワーズ・ブローア
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エフ・フィドリン
(72)【発明者】
【氏名】林 総一郎
【審査官】
千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0150270(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第00457487(EP,A2)
【文献】
特開平06−078389(JP,A)
【文献】
実開昭51−148935(JP,U)
【文献】
実開昭50−075636(JP,U)
【文献】
実開昭63−041992(JP,U)
【文献】
特開2007−026222(JP,A)
【文献】
特表平08−505034(JP,A)
【文献】
特開2001−061200(JP,A)
【文献】
Dennis Bohn,Constant-Voltage Audio Distribution Systems:25, 70.7 & 100 Volts,RaneNote 136,Rane Corporation,1997年,URL,http://www.rane.com/pdf/ranenotes/Constant_Voltage_Audio_Distribution_Systems.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/30
H04R 1/40
H04R 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホーンスピーカであって、
音響ホーンの水平分散角を決定するための側壁と、音響ホーンの垂直分散角を決定するための上部および下部壁と、を含む、音響ホーンと、
セグメントを有する回折スロットによって前記音響ホーンに結合される複数の音響ドライバであって、前記セグメントのそれぞれが、ホーンスピーカの動作範囲の最高周波数の波長の半分未満だけ隣接セグメントから分離される、複数の音響ドライバと、
音声信号を前記複数の音響ドライバに送るための回路であって、音声信号入力素子と前記音響ドライバの第1のものとを電気的に結合する第1の信号減衰素子を含む回路と、
を含み、
前記複数の音響ドライバは、それぞれの音響ダクトによって前記音響ホーンに音響的に結合されており、
前記音響ダクトの細長い出口端部は、円弧に沿って配置され、前記回折スロットを形成することを特徴とするホーンスピーカ。
【請求項2】
前記回路は、前記音声信号入力素子と前記音響ドライバの第2のものとを結合する第2の信号減衰素子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のホーンスピーカ。
【請求項3】
前記回路は、前記第1の信号減衰素子が前記音声信号入力素子と前記音響ドライバの第2のものとを電気的に結合するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のホーンスピーカ。
【請求項4】
前記音声信号入力素子と前記音響ドライバの第3および第4のものとを結合する第2の信号減衰素子をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のホーンスピーカ。
【請求項5】
前記回路は、単一増幅器を含むことを特徴とする請求項1に記載のホーンスピーカ。
【請求項6】
前記回路は、降圧変圧器を含むことを特徴とする請求項1に記載のホーンスピーカ。
【請求項7】
前記降圧変圧器は、複数のタップを含むことを特徴とする請求項6に記載のホーンスピーカ。
【請求項8】
前記複数の音響ドライバのそれぞれは、前記複数のタップのそれぞれに選択的に結合可能であることを特徴とする請求項7に記載のホーンスピーカ。
【請求項9】
前記セグメントのそれぞれは、0.81cm未満だけ隣接セグメントから分離されることを特徴とする請求項1に記載のホーンスピーカ。
【請求項10】
単一の口を形成するように連結される、側壁ならびに上部および下部壁を含む音響ホーンと、
それぞれの音響ダクトによって前記音響ホーンに音響的に結合される複数の音響ドライバであって、前記音響ダクトのそれぞれが、入口端部および細長い出口端部を有し、前記出口端部が、単一回折スロットを形成するように結合される、複数の音響ドライバと、
音声信号を前記複数の音響ドライバに提供するための回路であって、信号入力素子と前記音響ドライバの少なくとも1つとを結合する第1の信号減衰器を含む回路と、
を含み、
前記複数の細長い出口端部は、円弧に沿って配置され、前記単一回折スロットを形成することを特徴とする音響システム。
【請求項11】
前記単一回折スロットは、セグメント化回折スロットであることを特徴とする請求項10に記載の音響システム。
【請求項12】
前記第1の信号減衰器は、降圧変圧器を含むことを特徴とする請求項10に記載の音響システム。
【請求項13】
前記回路は、前記第1の信号減衰器を迂回する経路を含むことを特徴とする請求項10に記載の音響システム。
【請求項14】
前記回路は、前記信号入力素子と前記音響ドライバの第2のものとを結合する第2の信号減衰器を含むことを特徴とすることを特徴とする請求項10に記載の音響システム。
【請求項15】
前記第1の信号減衰器および前記第2の信号減衰器は、単一変圧器に組み込まれることを特徴とする請求項14に記載の音響システム。
【請求項16】
前記単一変圧器は、前記第1の信号減衰器および前記第2の信号減衰器の減衰が選択可能であるように複数のタップを含むことを特徴とする請求項15に記載の音響システム。
【請求項17】
前記回路は、前記音響ドライバの前記第2のものに提供される前記音声信号の振幅が、前記音響ドライバの第3のものに提供される前記音声信号の振幅と実質的に同じであるように構成されることを特徴とする請求項14に記載の音響システム。
【請求項18】
音響ホーンと、
それぞれの音響ダクトによって前記音響ホーンに音響的に結合される複数の音響ドライバと、
音声信号源を前記複数の音響ドライバに結合するための回路であって、前記音響ドライバの少なくとも1つに提供される音声信号を減衰させるための降圧変圧器を含む回路と、
を含み、
前記音響ダクトの細長い出口端部は、円弧に沿って配置され、回折スロットを形成することを特徴とする音響ホーンスピーカ。
【請求項19】
前記降圧変圧器は、前記複数の音響ドライバのそれぞれに適用される減衰量が調整可能であるように複数のタップを含むことを特徴とする請求項18に記載の音響ホーンスピーカ。
【請求項20】
前記タップのそれぞれは、前記音響ドライバのそれぞれに結合可能であることを特徴とする請求項19に記載の音響ホーンスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書は、ゲインシェーディングを備えるホーンスピーカについて説明する。
【背景技術】
【0002】
従来からホーンスピーカは使用されているがいくつか問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第12/898,947号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の一態様では、ホーンスピーカは、音響ホーンを含む。音響ホーンは、音響ホーンの水平分散角を決定するための側壁と、音響ホーンの垂直分散角を決定するための上部および下部壁と、セグメントを有する回折スロットによって音響ホーンに結合される複数の音響ドライバであって、セグメントのそれぞれが、ホーンスピーカの動作範囲の最高周波数の波長の半分未満だけ隣接セグメントから分離される、複数の音響ドライバと、音声信号を複数の音響ドライバに送るための回路とを含む。回路は、音声信号入力素子と音響ドライバの第1のものとを電気的に結合する第1の信号減衰素子を含む。回路はさらに、音声信号入力素子と音響ドライバの第2のものとを結合する第2の信号減衰素子を含んでもよい。回路は、信号減衰素子が音声信号入力素子と音響ドライバの第2のものとを電気的に結合するように構成されてもよい。回路はさらに、音声信号入力素子と音響ドライバの第3および第4のものとを結合する第2の信号減衰素子を含んでもよい。回路は、単一増幅器を含んでもよい。回路は、降圧変圧器を含んでもよい。降圧変圧器は、3つ以上のタップを含んでもよい。あるいは、複数の音響ドライバのそれぞれは、複数のタップのそれぞれに選択的に結合可能であってもよい。セグメントのそれぞれは、0.81cm未満だけ隣接セグメントから分離されてもよい。
【0005】
本明細書の別の態様では、音響システムは、音響ホーンを含む。音響ホーンは、単一の口を形成するように連結される側壁ならびに上部および下部壁と、それぞれの音響ダクトによって音響ホーンに音響的に結合される複数の音響ドライバであって、音響ダクトのそれぞれが、入口端部および出口端部を有する、複数の音響ドライバとを含む。出口端部は、単一回折スロットを形成するように結合される。音響システムはさらに、音声信号を複数の音響ドライバに提供するための回路を含む。回路は、信号入力素子と音響ドライバの少なくとも1つとを結合する信号減衰器を含む。単一回折スロットは、セグメント化回折スロットであってもよい。複数の細長い端部は、円弧に沿って並べられてもよい。信号減衰器は、降圧変圧器を含んでもよい。回路は、信号減衰器を迂回する経路を含んでもよい。回路は、信号入力素子と音響ドライバの第2のものとを結合する第2の信号減衰器を含んでもよい。第1の信号減衰器および第2の信号減衰器は、単一変圧器に組み込まれてもよい。単一変圧器は、第1の信号減衰器および第2の信号減衰器の減衰が選択可能であるように複数のタップを含んでもよい。回路は、音響ドライバの第2のものに提供される音声信号の振幅が、音響ドライバの第3のものに提供される音声信号の振幅と実質的に同じであるように構成されてもよい。
【0006】
本明細書の第3の態様では、音響ホーンスピーカは、音響ホーンと、音響ホーンに音響的に結合される複数の音響ドライバと、音声信号源を複数の音響ドライバに結合するための回路とを含む。回路は、音響ドライバの少なくとも1つに提供される音声信号を減衰させるための降圧変圧器を含む。降圧変圧器は、複数の音響ドライバのそれぞれに適用される減衰量が調整可能であってもよいように複数のタップを含んでもよい。タップのそれぞれは、音響ドライバのそれぞれに結合可能であってもよい。
【0007】
他の特徴、目的、および利点は、次の図面と関連付けて読むとき、次の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】音響ホーンの概略的側面図、上面図、および正面図である。
【
図1B】2つのホーンスピーカが単一筐体内に組み立てられた状態の従来技術配置の正面図である。
【
図2】ホーンスピーカで使用するための音響アセンブリの正面傾斜等角図である。
【
図3】音響ドライバ、音響ダクト、およびホーン側壁を含むアセンブリの背面傾斜等角図である。
【
図5】上部および下部筐体壁をさらに含む
図3および4のアセンブリの正面傾斜等角図である。
【
図6】バスモジュールを備える
図5のアセンブリの正面傾斜等角図である。
【
図7】中規模会場でのホーンスピーカの概略図である。
【
図8】十分だが過剰でないSPLをホーンスピーカシステムからかなり異なる距離にある位置に提供する問題に対する1つの従来技術手法の概略図である。
【
図12】多重タップを備える降圧変圧器の電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面のいくつかの図の要素は、ブロック図で個別要素として示され、述べられることもあり、「回路」と呼ばれることもあるが、別段示されない限り、要素は、アナログ回路、デジタル回路、またはソフトウェア命令を実行する1つもしくは複数のマイクロプロセッサの1つとして、またはそれらの組合せとして実装されてもよい。
【0010】
この明細書は、ホーンスピーカについて説明する。本明細書で使用されるような「ホーンスピーカ」は、典型的には回折スロットを通じて圧力波を音響ホーン中に放射する1つまたは複数の音響ドライバ(典型的には圧縮ドライバ)を含む。ホーンは、側壁ならびに上部および下部壁(またはホーンが、以下の
図1の座標系で示されるようなX-Z平面での横断面で長方形でない形状を有する場合には、その等価物)を有し、音響ドライバを音響的に加重する。上部および下部壁は、広い周波数範囲にわたって垂直指向性(すなわち、以下の
図1の座標系で示されるようなY-Z平面での分散)を制御する。音響ドライバは、一列に配置されてもよく、「ラインアレイ」と呼ばれてもよい。ラインアレイは、回折スロットに直接またはダクトを通じて音響的に結合されてもよい。時には2つ以上のホーンスピーカが、以下で述べられるように、単一筐体内で組み立てられてもよい。
【0011】
ラインアレイは、ホーンに音響的に結合されても、結合されなくてもよい。ホーンに結合されない直線アレイの垂直分散角は、実質的にゼロであり、その結果ホーンに音響的に結合されないラインアレイの垂直分散は、主にラインアレイの長さ、ラインアレイの曲線、またはラインアレイの曲線の時間遅延等価物によって決定される。ホーンの垂直分散角は、主にホーンの上部および下部壁の分散角によって決定される。
【0012】
図1Aは、ホーンスピーカ10の概略図である。後に続く説明では、座標系が、使用されることになる。矢印28によって示される、目的とする放射の方向は、Y軸に沿っている。X軸は、
図1の向きではスピーカに対して水平で、Y軸に直角であり、Z軸は、垂直で、Y軸とX軸とによって画定される平面に直角である。
【0013】
複数の、この例では4つの音響ドライバ12は、音響ダクト16によってホーンスロート端部13でホーンに音響的に結合される。ダクト出口端部(すなわち、ホーンに音響的に結合されるダクトの端部)は、直接ホーンに機械的に結合されてもよい。別法として、ダクトの出口端部は、ホーンに音響的に結合されるマニホールドに組み合わされてもよい。ダクトの出口端部は、正面図および側面図に対して垂直方向に引き延ばされてもよい。音響ダクトの細長い出口開口またはマニホールドの出口は、回折スロットを形成するためにホーンで延長方向に並べられてもよい。回折スロットは、注目の最高周波数の半波長よりも大きく隣接区分から分離されるセグメントがない状態で、セグメント化されてもよい。一実装形態では、セグメントは、16kHz(約2.15cmの対応する波長を持つ)のわずか3/8(0.375)波長だけ隣接セグメントから分離され、その結果セグメントは、わずか0.375×2.15=0.81cm(約0.3インチ)だけ分離される。ホーンは、側壁18Aおよび18Bならびに上部および下部壁20Aおよび20Bを含む。側壁18Aおよび18Bの詳細を示すために、上部および下部壁20Aおよび20Bは、上面図では示されない。側壁18Aおよび18Bは、外向きに広がる。いくつかの実装形態では、壁は、外向きに直線的に広がってもよい。
図1の実装形態などの、他の実装形態では、側壁18Aおよび18Bは、2つの平面状区分を有することができ、第1の平面状区分21Aおよび21Bは、1つの割合で外向きに直線的に広がり、第2の平面状区分23Aおよび23Bは、異なる割合で外向きに直線的に広がる。他の実装形態では、ホーン壁は、異なる幾何学的形状を有してもよい。例えば、壁は、直線的に広がっても、指数曲線もしくは円錐曲線などの連続曲線に従って外向きに湾曲してもよい。さらに、側壁は、非対称に外へ広がってもよい。上部および下部壁20Aおよび20Bは、垂直分散角が2φであるように角度φで口17からそれぞれ上下に広がってもよい。ホーンは、側面図だけでの点線で示される筐体22に部分的に収納されてもよい。以下で述べる理由のために、上部壁24Aおよび下部壁24Bは、互いにならびにホーンの上部および下部20Aおよび20Bに関してそれぞれ非平行であってもよい。筐体22は、側壁または後壁を有してもよいが、しかしそれらは、この出願に関係がなく、図で示されない。
【0014】
動作時には、音響ドライバは、電気エネルギーを音響エネルギーに変換し、それは、ホーンに導かれる。音響エネルギーは、スロート端部13でホーンに入り、口17で制御された予測可能な放射パターンでホーンから出て行き、垂直分散角(すなわち、
図1の座標系のY-Z平面での分散角)は、角度φによって決定され、水平分散角(すなわち、
図1の座標系のX-Y平面での分散角)は、側壁18Aおよび18Bのフレアによって決定される。
【0015】
上述のように、時には2つ以上のホーンスピーカが、単一筐体内に組み立てられる。
図1Bは、単一筐体11内に組み立てられた2つのホーンスピーカ10-1および10-2の正面図を示す。各ホーンスピーカ10-1および10-2は、回折スロット14-1および14-2にそれぞれ音響的に結合される複数の音響ドライバを含む。ホーンスピーカ10-1は、上部壁20A-1および下部壁20B-1、ならびに側壁18A-1および18B-1をそれぞれ有するホーンを有する。ホーンスピーカ10-2は、上部壁20A-2および下部壁20B-2、ならびに側壁18A-2および18B-2をそれぞれ有するホーンを有する。
【0016】
図2は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/898,947号によるホーンスピーカで使用するための音響アセンブリの正面傾斜等角図を示す。アセンブリは、6つのモジュールを含み、各モジュールは、音響ダクト16A〜16Fにその音響ダクトの一方の端部で音響的に結合される音響ドライバ12A〜12Fを含む。音響ダクトのもう一方の端部は、実質的に平面状の細長い開口部である。細長い開口部は、円弧に沿って延長方向に並べられてセグメント化回折スロット14を形成する。
【0017】
図3および4は、ホーン側壁18Aおよび18Bを備える、
図2による音響ドライバおよび音響ダクトアセンブリの背面傾斜等角図および上部平面図をそれぞれ示す。このアセンブリでは、ホーン側壁18Aおよび18Bは、平面状でなく、いくらかの曲率を有する。側壁18Aおよび18Bを示すために、上部および下部壁は、この図では示されない。図では、側壁18Aおよび18Bは、X-Y平面で対称的に広がっているように示される。いくつかの実装形態では、側壁は、X-Y平面で非対称的に広がってもよい。音響ドライバのいくつかおよび音響ダクトのいくつかは、
図4では見えない。
【0018】
図5は、40度の垂直分散角を提供するように角度を付けられた上部および下部筐体壁24Aおよび24B(それらはまた、この構成では上部および下部ホーン壁でもあり、他の構成では、上部および下部筐体壁は、上部および下部ホーン壁から分離されてもよい)を備える
図3および4のアセンブリの正面傾斜等角図を示す。
図5では、キール56の先端70の湾曲部が、見える。上部壁24Aおよび下部壁24Bは、キール56の端部に機械的に締結されてもよい。筐体22は、側面および背面を有さず、その同じ部品は、垂直分散角にかかわらず上部壁24Aおよび下部壁24Bに使用されてもよい。ホーン側壁18Aおよび18Bは、キール56への機械的締結によってならびに側壁の上部および下部エッジを上部および下部24Aおよび24Bのスロット74に挿入することによって適所に保持されてもよい。キールはまた、細長い開口部(先の図の14)が円弧に沿って適所に保持されてセグメント化回折スロットを形成するように、音響アセンブリのための取付け位置としても機能する。
【0019】
図5のアセンブリは、すべての垂直および水平分散角のために標準的な多くの部品を使い、製造プロセスでの変動を最小限にしてホーンスピーカに広範囲の垂直分散角および水平分散角を提供することを可能にする。例えば、上部壁24A、下部壁24B、音響ドライバ、音響ダクトおよびバスモジュールはすべて、標準的であってもよい。キール56、側部ブラケット57、ならびにホーン側壁18Aおよび18Bだけが、垂直分散角を変えるために変更される必要がある。水平分散角は、スロット74の向きを変えることによって変えることができる。すべてのホーンスピーカのための組立てプロセスは、垂直または水平分散角にかかわらず、実質的に同一である。
【0020】
図6は、バスモジュール80Aおよび80Bを備える
図5のアセンブリを示す。バスモジュール80Aおよび80Bは、ポート84を備えるバス筐体82に取り付けられた公称25.4cm(10インチ)のウーファドライバ86を含んでもよい。バスモジュールは、側部ブラケット57に機械的に締結されてもよく、それは、上部壁24Aおよび下部壁24Bに機械的に締結されてもよい。要素60、62、64、65、および66は、後で説明されることになる。
【0021】
図2〜6のホーンスピーカの動作および構成のさらなる詳細は、米国特許出願第12/898,947号で見いだされてもよい。
【0022】
図7は、ホーンスピーカ100から次第に大きくなる距離の、複数の聴取位置を含む競技場などの中規模会場でのホーンスピーカの概略図である。ホーンスピーカから最も遠い着座位置212は、最も近い着座位置210よりもホーンスピーカからかなり遠くに離れている(この場合約4xだが、しかし実際の実装形態では4xよりもはるかに大きい)。
【0023】
図7の状況では、すべての聴取位置で十分だが過剰でない音圧レベル(SPL)を提供することが、困難なこともある。点源を近似しようとする多くのホーンスピーカなどのスピーカを使うと、音圧レベル(SPL)は、点源からの距離のほぼ二乗のように低下する。もし十分なSPLが位置212にあるならば、過剰なSPLが位置210にあることもある。もし適切なSPLが位置210にあるならば、位置212でのSPLは、不十分なこともある。
【0024】
図8は、十分だが過剰でないSPLをホーンスピーカシステムからかなり異なる距離にある位置に提供する問題に対する1つの従来技術手法の概略図である。
図8のホーンスピーカシステムは、聴取位置212が主にホーンスピーカ100-1から放射を受け取り、聴取位置210が主にホーンスピーカ100-2から放射を受け取るように構成され、位置決めされた2つのホーンスピーカ100-1および100-2を含む。いくつかの例では、2つのホーンは、
図1Bで示すように単一筐体に収納されてもよい。ゲインG1(所望のSPLを着座位置212に提供するのに十分な)は、音声信号に適用され、増幅された音声信号は、ホーンスピーカ100-1によって音響エネルギーに変換される。ゲインG2(<G1であり、所望のSPLを着座位置210に提供するのに十分な)は、音声信号に適用され、増幅された音声信号は、ホーンスピーカ100-2によって音響エネルギーに変換される。
図8の配置は、適切な量のSPLを聴取位置210および212のそれぞれに提供することができるが、それは、経済的に非効率なこともある。
図8は、概略図であり、要素100-1および100-2は、必ずしも実際の実装形態の向きまたは形状を表していない。
【0025】
図9は、単一ホーンおよび音声信号源20とホーンスピーカ100とを結合する単一増幅器22を使って、十分だが過剰でないSPLを単一ホーンからかなり異なる距離にある位置に提供するホーンスピーカシステムを示す。
【0026】
第1の構成では、ホーン100Aは、複数のモジュールを含み、各モジュールは、音響ドライバ12-1・・・12-n(この例ではn=6)および対応する圧縮ドライバを回折スロットと音響的に結合する音響ダクトを含む。音声信号源は、増幅器22に結合される。増幅器は、信号減衰器36-1〜36-nをそれぞれ通じて音響ドライバ12-1〜12-nのそれぞれに結合される。
【0027】
動作時には、増幅器22は、音声信号源からの音声信号をホーンスピーカから最も遠い位置で十分なSPLをもたらす振幅まで増幅する。音響ドライバへの信号の振幅は、最も遠い聴取位置に向かう音響エネルギーが少ししかまたは全く減衰されず、最も近い聴取位置への信号が減衰されてその聴取位置が過剰な音響エネルギーを受け取らないように、減衰される。他の音響ドライバのそれぞれへの信号は、位置210でのSPLが位置212でのSPLよりもあまり大きくないという結果をもたらす量(a・・・n、この例ではn=f)だけ減衰される。
【0028】
図10は、ホーンスピーカの別の実施形態を示す。
図10の実施形態では、増幅器と音響ドライバとの間にスイッチがあり、その結果ユーザは、各音響ドライバへの信号を減衰させるまたは減衰させないという選択肢を有する。
【0029】
図11は、別の実施形態を示す。
図11の実施形態では、モジュールは、グループ分けされ(この例では、2つから成る3つのグループ)、各グループは、信号減衰器を通じて増幅器に結合される。これは、より少ない柔軟性をユーザに提供するが、しかし必要とする部品は、より少ない。
図11の一実装形態では、a=0dB、b=1.5dB、およびc=3dBである。ホーン要素は、米国特許出願第12/898,947号で記述される通りである。電圧減衰器は、降圧変圧器である。
【0030】
図12は、先の図の電圧減衰器36-1〜36-nの1つまたは複数で使用できる降圧変圧器100を示す。降圧変圧器の二次側102は、-1dB、-2.5dB、および-4.5dBにタップを有する。
図12の配置は、減衰係数の多数の選択を可能にする。例えば、-1dBは、音響ドライバのリード線を端子104とタップ106との間に結合することによって達成でき、-1.5dBは、音響ドライバのリード線をタップ106および108に結合することによって達成でき、-2dBは、音響ドライバのリード線をタップ108と110との間に結合することによって達成でき、-2.5dBは、音響ドライバのリード線を端子104とタップ108との間に結合することによって達成でき、-3.5dBは、音響ドライバのリード線をタップ106と110との間に結合することによって達成でき、-4.5dBは、音響ドライバのリード線を端子104およびタップ110に結合することによって達成できる。より多くの異なる減衰により多くのタップを加えることで、減衰係数のさらにより多くの選択を可能にすることができる。
【0031】
図6を再び参照すると、米国特許出願第12/898,947号に従って構築されるホーンでは、ホーン壁18Bとバスモジュール80Bの側壁62との間にくさび形空洞60があってもよく、バスモジュール80Bの上部壁66と上部筐体壁24Aとの間に別のくさび形空洞64があってもよい。ホーン壁18Aとバスモジュール80Aの側壁との間およびバスモジュール80Aの上部壁と上部筐体壁24Aとの間に同様のくさび形空洞があってもよい。空洞の正確な形状および寸法は、ホーンスピーカでのホーンおよび他の物理的構造体、例えばバスモジュールの幾何学的形状に応じて変わってもよい。くさび形空洞60および64は、望ましくない副作用、例えばホーンの出力に狭帯域損失(または「ノッチ」)を有することもある。狭帯域損失は、空洞を吸音材料、例えばオープンセル発泡体で満たすことによって低減できる。
【0032】
図13は、内部の詳細を示すために上部筐体壁24Bが除去され、図面での混雑を避けるためにいくつかの要素が省略された状態の
図6のアセンブリの上部平面図を示す。
図13では、空洞60の形状に実質的に一致する、オープンセル発泡体などの吸音材料の三次元くさび形部品68が、空洞60の中に置かれる。
【0033】
図14は、狭帯域損失を低減するための別の構成を備える、
図13の上部平面図に似た上部平面図を示す。
図14の構成では、空洞60を封鎖する(すなわち、空洞60をホーン筐体内の体積の他の部分からおよびホーンアセンブリの外部から分離する)がしかし空洞を満たさないクローズドセル発泡体などの材料の第1の一般に平面状の前部構造体70すなわち「バッフル」がある。一例では、前部構造体70は、約50mmの厚さのクローズドセル発泡体である。
【0034】
図15は、
図14のアセンブリの正面傾斜等角図である。
【0035】
図16は、第1の一般に平面状の構造体70および空洞64を封鎖する(すなわち、空洞をホーン筐体内の体積の他の部分からおよびホーンアセンブリの外部から分離する)がしかし空洞を満たさないクローズドセル発泡体の第2の一般に平面状の前部構造体72すなわち「バッフル」を備える、
図15のアセンブリの正面傾斜等角図である。一例では、前部構造体72は、約50mmの厚さのクローズドセル発泡体である。
図15の一実装形態では、ホーンスピーカの出力は、オープンセル発泡体を備える
図13の構成より2から3dB優れていた。
【0036】
本明細書で開示された特定の装置および技術の多くの使用およびそれらからの発展は、本発明の概念から逸脱することなくなされてもよい。その結果、本発明は、本明細書で開示され、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定される、ありとあらゆる新規特徴および特徴の新規組合せを包含すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
10 ホーンスピーカ
10-1 ホーンスピーカ
10-2 ホーンスピーカ
11 単一筐体
12 音響ドライバ
12-1 音響ドライバ
12-n 音響ドライバ
12A 音響ドライバ
12F 音響ドライバ
13 ホーンスロート端部
14 セグメント化回折スロット
14-1 回折スロット
14-2 回折スロット
16 音響ダクト
16A 音響ダクト
16F 音響ダクト
17 口
18A ホーン側壁
18A-1 側壁
18A-2 側壁
18B ホーン側壁
18B-1 側壁
18B-2 側壁
20 音声信号源
20A ホーン上部壁
20A-1 上部壁
20A-2 上部壁
20B ホーン下部壁
20B-1 下部壁
20B-2 下部壁
21A 第1の平面状区分
21B 第1の平面状区分
22 筐体、増幅器
23A 第2の平面状区分
23B 第2の平面状区分
24A 上部筐体壁
24B 下部筐体壁
28 矢印
36-1 信号減衰器
36-n 信号減衰器
56 キール
57 側部ブラケット
60 くさび形空洞
62 バスモジュールの側壁
64 くさび形空洞
66 バスモジュールの上部壁
68 三次元くさび形部品
70 先端、第1の一般に平面状前部構造体
72 第2の一般に平面状前部構造体
74 スロット
80A バスモジュール
80B バスモジュール
82 バス筐体
84 ポート
86 ウーファドライバ
100 ホーンスピーカ
100-1 ホーンスピーカ
100-2 ホーンスピーカ
100A ホーン
102 降圧変圧器の二次側
104 降圧変圧器の端子
106 降圧変圧器のタップ
108 降圧変圧器のタップ
110 降圧変圧器のタップ
210 着座位置
212 着座位置