特許第5676801号(P5676801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5676801多相系を有する接着剤を使用する高温結合力を改善する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676801
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】多相系を有する接着剤を使用する高温結合力を改善する方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20150205BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20150205BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20150205BHJP
   C09J 201/02 20060101ALI20150205BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   C09J201/00
   C09J4/00
   C09J4/02
   C09J201/02
   H01L21/52 E
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-97205(P2014-97205)
(22)【出願日】2014年5月8日
(62)【分割の表示】特願2005-100639(P2005-100639)の分割
【原出願日】2005年3月31日
(65)【公開番号】特開2014-169450(P2014-169450A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2014年6月9日
(31)【優先権主張番号】10/815442
(32)【優先日】2004年4月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510208712
【氏名又は名称】ヘンケル・アーゲー・アンド・カンパニー・カーゲーアーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100098590
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 隆
(72)【発明者】
【氏名】タダシ・タカノ
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−063453(JP,A)
【文献】 特開2002−129116(JP,A)
【文献】 特開平06−322119(JP,A)
【文献】 特開2000−044888(JP,A)
【文献】 特開平11−106454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体硬化性樹脂もしくはそれらの組合せ、開始剤および充填剤を含む未硬化ダイ結合接着配合物の製造方法であって、
前記ダイ結合接着配合物が硬化前および後も多相系のままになるように、前記液体硬化性樹脂に溶解しないところの、芳香族ビスマレイミド樹脂粉末を、前記ダイ結合接着配合物に室温で添加することを含む方法であり、
前記液体硬化性樹脂が、液体エポキシ類、アクリレート類もしくはメタクリレート類、マレイミド類、ビニルエーテル類、ポリエステル類、ポリ(ブタジエン類)、珪素化オレフィン類、シリコーン樹脂類、スチレン樹脂類、およびシアネートエステル樹脂類からなる群から選択され、ラジカルあるいはイオン硬化性であり、前記マレイミド類が、式:
【化1】
(式中、nは、1〜3であり、X1 は、脂肪族もしくは芳香族基である。)
を有するものであり、
前記芳香族ビスマレイミド樹脂が、下記の構造:
【化2】
を有し、Xが、下記の式:
【化3】
であり、
前記芳香族ビスマレイミドが、前記ダイ結合接着配合物の充填剤を除く総重量に基づいて5重量%よりも多く30重量%以下の量で存在し、前記芳香族ビスマレイミド:前記液体硬化性樹脂の重量比が1:1.8〜1:18である方法。
【請求項2】
前記硬化性樹脂が、マレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリレート樹脂もしくはそれらの樹脂の組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マレイミド樹脂が、下記の式:
【化4】
(式中、C36は、36の炭素原子の線状もしくは枝分れ鎖(環状部分を有して、あるいは有さず)を表す);
【化5】
【化6】
および
【化7】
からなる群から選ばれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アクリレート樹脂が、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリレート官能基を有するポリ(ブタジエン)およびメタクリレート官能基を有するポリ(ブタジエン)からなる群から選ばれる、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、液体樹脂に分散させた固体ビスマレイミド(BMI)樹脂粉末を含む多相接着
組成物、および高温結合力(cohesive strength)を改善するためのその使用に関する。
特に、本発明は、半導体パッケージ内でのダイ結合接着剤の高温結合力を改善するための
方法に関する。
【0002】
発明の背景
エポキシド類、アクリレート類もしくはメタクリレート類、マレイミド類、ビニルエー
テル類およびビスマレイミド類などの硬化性樹脂は、それらの低吸湿性、良好な硬化性お
よび長い可使時間(pot life)ゆえに、半導体パッケージ用途でダイ結合接着剤(半導体
ダイを基材に結合するために用いられる接着剤)としての使用について研究されている。
ダイ結合接着剤に関する2つの他の望ましい特性は、(i)室温での可撓性および(ii)
高温での十分な結合力である。
【0003】
室温での可撓性は、製造プロセス中に温度に反応する異なる膨張および収縮率により造
り出されるダイおよび基材における応力を吸収するために望ましい。可撓性は、モジュラ
スとして測定され、モジュラスが高いほど、可撓性は小さい。室温での高モジュラスは、
半導体パッケージにおいて増大した応力に変わり、離層(デラミネーション)およびダイ
のクラッキングに至り得る。したがって、室温でのモジュラスが低いほど、可撓性および
材料の性能は良好である。
【0004】
高温は、十分な結合力なしで接着剤を崩壊し得る。ダイ結合接着剤が加工および使用中
に遭遇する高温に耐えるに十分な結合力を有さないと、基材からのダイの離層およびダイ
が用いられる半導体デバイスの最終的欠陥という結果となり得る。
【0005】
室温でダイ結合接着剤における可撓性を得るための1つの方法は、低レベルの架橋を与
える成分を用いることにある。対照的に、高温での結合力を改善するための方法は、高レ
ベルの架橋を与える液体成分を用いることにある;しかし、このアプローチですら必ずし
も効果的ではないが、それは、架橋密度は増加するが、高温での結合力は作用を受けない
ままであり得るからである。
【0006】
本発明は、室温での可撓性の減少が最小限であり、高温で改善された結合力を示す組成
物を提供することによる上記の問題に対する解決を含む。
発明の概要
本発明は、室温での可撓性を犠牲にすることなく、高温でダイ結合用途に用いられる組
成物の結合力を改善するための方法である。本方法は、固体芳香族ビスマレイミド(BMI
)樹脂粉末をダイ結合配合物に添加することを含み、これにおいて、ダイ結合配合物は、
BMI樹脂粉末を溶解しない硬化性樹脂もしくは硬化性樹脂類の組合せ、硬化性樹脂のため
の開始剤および充填剤を含む。1つの実施態様において、固体BMI粉末は、50マイクロ
メーター以下の粒度および80℃よりも大きい融点を有する。
【0007】
発明の詳細な記述
好適な固体芳香族BMI樹脂粉末は、下記の構造を有する:
【0008】
【化1】
【0009】
式中、Xは、芳香族基であり;
芳香族基としては、下記のものなどが挙げられる:
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】
これらの橋架け基Xを有する化合物は市販されており、例えば、Sartomer(米国)もし
くはHOS-Technic GmbH(オーストリア)から得ることができる。
硬化性樹脂は、接着組成物が硬化前および後も多相系のままであるように液体形であっ
て固体BMI樹脂を溶解しないいずれの硬化性樹脂もしくは硬化性樹脂類の組合せでもよい
。好適な硬化性樹脂としては、液体エポキシ類、アクリレート類もしくはメタクリレート
類、マレイミド類、ビニルエーテル類、ポリエステル類、ポリ(ブタジエン類)、珪素化
オレフィン類、シリコーン樹脂類、スチレン樹脂類およびシアネートエステル樹脂類など
が挙げられる。
【0013】
好適なマレイミド樹脂としては、下記の一般的構造を有するものなどが挙げられる:
【0014】
【化4】
【0015】
式中、nは、1〜3であり、X1は、脂肪族もしくは芳香族基である。X1の具体例として
は、ポリ(ブタジエン類)、ポリ(カーボネート類)、ポリ(ウレタン類)、ポリ(エー
テル類)、ポリ(エステル類)、単純炭化水素類(simple hydrocarbons)、およびカル
ボニル、カルボキシル、アミド、カルバメート、尿素もしくはエーテルなどの官能基を含
む単純炭化水素類などが挙げられる。これらの種類の樹脂は市販されており、例えば、Na
tional Starch and Chemical CompanyおよびDainippon Ink and Chemical, Incから得る
ことができる。1つの実施態様において、マレイミド樹脂は、下記の式からなる群から選
ばれる:
【0016】
【化5】
【0017】
(式中、C36は、36の炭素原子の線状もしくは枝分れ鎖(環状部分を有して、あるい
は有さず)を表す);
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】
および
【0021】
【化8】
【0022】
好適なアクリレート樹脂としては、下記の一般的構造を有するものなどが挙げられる:
【0023】
【化9】
【0024】
式中、nは、1〜6であり、R1は、-Hもしくは-CH3であり、X2は、芳香族もしくは脂肪
族基である。X2の具体例としては、ポリ(ブタジエン類)、ポリ(カーボネート類)、ポ
リ(ウレタン類)、ポリ(エーテル類)、ポリ(エステル類)、単純炭化水素類、および
カルボニル、カルボキシル、アミド、カルバメート、尿素もしくはエーテルなどの官能基
を含む単純炭化水素類などが挙げられる。市販されている材料としては、Kyoeisha Chemi
cal Co., LTDから入手可能なブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレ
ート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ラ
ウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アク
リレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ノニルフェノールポリプロポキシレート(メタ)アクリレートおよび
ポリペントオキシレートテトラヒドロフルフリルアクリレート;Sartomer Company, Inc
から入手可能なアクリレート化ポリ(ブタジエン類)(CN302、NTX6513、CN301、NTX6039
、PRO6270);Negami Chemical Industries Co., LTDから入手可能なポリカーボネートウ
レタンジアクリレート(ArtResin UN9200A);Radcure Specialities, Incから入手可能な
アクリレート化脂肪族ウレタンオリゴマー類(Ebecryl 230、264、265、270、284、4830
、4833、4834、4835、4866、4881、4883、8402、8800-20R、8803、8804);Radcure Speci
alities, Inc.から入手可能なポリエステルアクリレートオリゴマー類(Ebecryl 657、77
0、810、830、1657、1810、1830);およびSartomer Company, Incから入手可能なエポキ
シアクリレート樹脂類(CN104、111、112、115、116、117、118、119、120、124、136)な
どが挙げられる。1つの実施態様において、アクリレート樹脂類は、イソボルニルアクリ
レート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート
、アクリレート官能基を有するポリ(ブタジエン)およびメタクリレート官能基を有する
ポリ(ブタジエン)からなる群から選ばれる。
【0025】
好適なビニルエーテル樹脂としては、下記の一般的構造を有するものなどが挙げられる
【0026】
【化10】
【0027】
式中、nは、1〜6であり、X3は、芳香族もしくは脂肪族基である。X3の具体例として
は、ポリ(ブタジエン類)、ポリ(カーボネート類)、ポリ(ウレタン類)、ポリ(エー
テル類)、ポリ(エステル類)、単純炭化水素類、およびカルボニル、カルボキシル、ア
ミド、カルバメート、尿素もしくはエーテルなどの官能基を含む単純炭化水素類などが挙
げられる。市販されている樹脂としては、International Speciality Products (ISP)か
ら入手可能なシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、
シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、ジプロピレングリコ
ールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテ
ルおよびブタンジオールジビニルエーテル;Sigma-Aldrich, Incから入手可能なVectomer
4010、4020、4030、4040、4051、4210、4220、4230、4060、5015などが挙げられる。
【0028】
好適なポリ(ブタジエン)樹脂としては、ポリ(ブタジエン類)、エポキシ化ポリ(ブ
タジエン類)、マレイン酸ポリ(ブタジエン類)、アクリレート化ポリ(ブタジエン類)
、ブタジエン-スチレンコポリマー類およびブタジエン-アクリロニトリルコポリマー類な
どが挙げられる。市販されている材料としては、Sartomer Company, Incから入手可能な
ブタジエン類(Ricon 130、131、134、142、150、152、153、154、156、157、P30D);Sa
rtomer Company, Inc.から入手可能なブタジエンおよびスチレンのランダムコポリマー(
Ricon 100、181、184);Sartomer Company, Inc.から入手可能なマレイン化ポリ(ブタ
ジエン)(Ricon 130MA8、130MA13、130MA20、131MA5、131MA10、131MA17、131MA20、156
MA17);Sartomer Inc.から入手可能なアクリレート化ポリ(ブタジエン類)(CN302、NT
X6513、CN301、NTX6039、PRO6270、Ricacryl 3100、Ricacryl 3500);Sartomer Company
, Inc.から入手可能なエポキシ化ポリ(ブタジエン類)(Polybd 600、605)およびDaice
l Chemical Industries, Ltdから入手可能なEpolead PB3600;ならびにHanse Chemicalか
ら入手可能なアクリロニトリルおよびブタジエンコポリマー類(Hycar CTBNシリーズ、AT
BNシリーズ、VTBNシリーズおよびETBNシリーズ)などが挙げられる。
【0029】
好適なエポキシ樹脂としては、ビスフェノール、ナフタレンおよび脂肪族型のエポキシ
類などが挙げられる。市販されている材料としては、Dainippon Ink & Chemicals, Inc.
から入手可能なビスフェノール型のエポキシ樹脂類(Epiclon 830LVP、830CRP、835LV、8
50CRP);Dainippon Ink & Chemicals, Inc.から入手可能なナフタレン型のエポキシ樹脂
(Epiclon HP4032);Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な脂肪族エポキシ樹脂類(
Araldite CY179、184、192、175、179)、Union Carbide Corporationから入手可能な(E
poxy 1234、249、206)およびDaicel Chemical Industries, Ltdから入手可能な(EHPE-3
150)などが挙げられる。
【0030】
好適な珪素化オレフィン樹脂は、シリコーンとジビニル材料との選択的ハイドロシレー
ション反応により得ることができ、下記の一般的構造を有する:
【0031】
【化11】
【0032】
式中、n1は2以上であり、n2は1以上であり、n1>n2である。これらの材料は、市販さ
れており、例えば、National Starch and Chemical Companyから入手できる。
好適なシリコーン樹脂としては、下記の一般的構造を有する反応性シリコーン樹脂など
が挙げられる:
【0033】
【化12】
【0034】
式中、nは、0もしくはいずれかの整数であり、X4およびX5は、水素、メチル、アミン
、エポキシ、カルボキシル、ヒドロキシル、アクリレート、メタクリレート、メルカプト
、フェノールもしくはビニル官能基であり、R2およびR3は、-H、-CH3、ビニル、フェニル
もしくは2つより多い炭素を有するいずれの炭化水素構造でもあり得る。市販されている
材料としては、Shin-Etsu Silicone International Trading (Shanghai) Co., Ltdから入
手可能なKF8012、KF8002、KF8003、KF-1001、X-22-3710、KF6001、X-22-164C、KF2001、X
-22-170DX、X-22-173DX、X-22-174DX、X-22-176DX、KF-857、KF862、KF8001、X-22-3367
およびX-22-3939Aなどが挙げられる。
【0035】
好適なスチレン樹脂としては、下記の一般的構造を有する樹脂などが挙げられる:
【0036】
【化13】
【0037】
式中、nは、1以上であり、R4は、-Hもしくは-CH3であり、X6は、脂肪族基である。X6
の具体例としては、ポリ(ブタジエン類)、ポリ(カーボネート類)、ポリ(ウレタン類
)、ポリ(エーテル類)、ポリ(エステル類)、単純炭化水素類、およびカルボニル、カ
ルボキシル、アミド、カルバメート、尿素もしくはエーテルなどの官能基を含む単純炭化
水素類などが挙げられる。これらの樹脂類は、例えば、National Starch and Chemical C
ompanyもしくはSigma-Aldrich Coから入手できる。
【0038】
好適なシアネートエステル樹脂としては、下記の一般的構造を有するものなどが挙げら
れる:
【0039】
【化14】
【0040】
式中、nは、1以上であり、X7は、炭化水素基である。X7の具体例としては、ビスフェ
ノール、フェノールもしくはクレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン、ポリブタジ
エン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリエステルなどが挙げ
られる。市販されている材料としては、下記のものなどが挙げられる:Huntsman LLCから
入手可能なAroCy L-10、AroCy XU366、AroCy XU371、AroCy XU378、XU71787.02LおよびXU
71787.07L;Lonza Group Limitedから入手可能なPrimaset PT30、Primaset PT30 S75、Pr
imaset PT60、Primaset PT60S、Primaset BADCY、Primaset DA230S、Primaset MethylCy
およびPrimaset LECY;Oakwood Products, Incから入手可能な2-アリルフェノールシアネ
ートエステル、4-メトキシフェノールシアネートエステル、2,2-ビス(4-シアナトフェノ
ール)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアネートエステル、ジ
アリルビスフェノールAシアネートエステル、4-フェニルフェノールシアネートエステル
、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、4-クミルフェノールシアネートエステル
、1,1-ビス(4-シアネートフェニル)エタン、2,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロオ
クタンジオールジシアネートエステルおよび4,4'-ビスフェノールシアネートエステル。
【0041】
組成物は、さらに少なくとも1つの硬化性樹脂用開始剤を、ラジカルあるいはイオン硬
化性樹脂のいずれを選ぶかに応じて、遊離基開始剤もしくは陽イオン開始剤を含む。遊離
基開始剤を用いる場合、それは、有機化合物(充填剤を除く)の重量の0.1〜10%、
好ましくは0.1〜5.0%の量で存在する。好ましい遊離基開始剤としては、ブチルペ
ルオクトエート類およびジクミルペルオキシドなどのペルオキシド類、ならびに2,2'-ア
ゾビス(2-メチル-プロパンニトリル)および2,2'-アゾビス(2-メチル-ブタンニトリル
)などのアゾ化合物などが挙げられる。陽イオン開始剤を用いる場合、それは、有機化合
物(充填剤を除く)の重量の0.1〜10%、好ましくは1〜5.0%の量で存在する。
ある場合には、陽イオンおよび遊離基開始の両方が望ましいこともあり得、その場合、遊
離基硬化性およびイオン硬化性樹脂の両方を組成物中に用いることができる。そのような
組成物は、例えば、硬化プロセスがUV照射を用いて陽イオン開始剤により始まり、後の加
工工程で熱を適用して遊離基開始剤により完了することを可能ならしめる。
【0042】
一般に、これらの組成物は、80℃〜250℃の温度範囲内で硬化し、硬化は、1分未
満〜60分の時間内で行われる。それぞれの接着組成物の時間および温度硬化プロフィー
ルは変化し、異なる組成物は、特定の工業的製造プロセスに適合する硬化プロフィールを
与えるように設計できる。
【0043】
最終用途に応じて、充填剤は、電気的もしくは熱的に伝導性あるいは非伝導性でもよい
。好適な伝導性充填剤の例としては、銀、銅、金、パラジウム、白金、ニッケル、アルミ
ニウムおよびカーボンブラックなどが挙げられる。非伝導性充填剤としては、アルミナ、
水酸化アルミニウム、シリカ、ひる石、マイカ、珪灰石、炭酸カルシウム、チタニア、砂
、ガラス、硫酸バリウム、ならびにテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ビ
ニリデンフロオリド、ビニルフルオリド、ビニリデンクロライドおよびビニルクロライド
などのハロゲン化エチレンポリマー類などが挙げられる。
【0044】
当業界で既知の種類および量で、接着促進剤および安定剤などの他の添加剤も、添加し
てもよい。
実施例
下記の実施例は、ダイ結合剤として使用されるように配合された接着剤に対する多相系
の効果を示す。接着剤は、液体ラジカル硬化性樹脂および固体ビスマレイミド樹脂を含み
、結果は、固体ビスマレイミド樹脂の存在が、室温での可撓性の有意な損失なしで高温で
結合力を維持する働きをすることを示す。
【0045】
3つの樹脂系を、ラジカル硬化性樹脂および開始剤を含むように配合し、高温での結合
力を改善するために液体架橋剤もしくは種々の量の固体BMI樹脂を増加させた。ラジカル
硬化性樹脂および開始剤に加えて、配合物は、銀フレーク(充填剤)、エポキシシランお
よびアクリルシラン(接着促進剤)ならびにフェノール安定剤を含んだ。
【0046】
実施例1におけるラジカル硬化性樹脂は、ポリブタジエン主鎖ジアクリレートオリゴマ
ーとイソボルニルメタクリレートモノマーとの混合物であった。配合物1Hにおける液体
架橋剤は、テトラアクリレートモノマーであった。
【0047】
実施例2におけるラジカル硬化性樹脂は、液体ビスマレイミドオリゴマー、カルバメー
ト官能基を有するビニルエーテルオリゴマーおよびイソボルニルメタクリレートモノマー
の混合物であった。
【0048】
実施例3におけるラジカル硬化性樹脂は、ポリブタジエン主鎖ウレタンジアクリレート
オリゴマーとイソボルニルメタクリレートモノマーとの混合物であった。
組成物を、高温での結合力、可撓性、吸湿量および粘度についてテストした。
【0049】
結合力を、7.6x7.6mmのセラミックダイをセラミック基材に結合するために用
いられた接着剤のダイ剪断強さとして測定したが、ここでは欠陥は100%結合性(cohe
sive)だった。セラミック基材への接着は、一般に非常に強い;したがって、接着剤の欠
陥は、完全に接着マトリックス内で起こり、100%結合性の欠陥である。これは、基材
への接着強さの代わりに材料強さをテストする。結合力について商業的に許容できる値は
、260℃で25kg/ダイよりも大きいか等しい範囲内である。
【0050】
それぞれの接着配合物をセラミック基材の上に施し、セラミックダイ(7.6x7.6
mm)を接着配合物の上に置いた。ダイおよび基材のアセンブリーをオーブンに入れ、接
着剤を窒素下、室温から175℃で30分ランプで、ついで175℃で15分間硬化させ
た。それぞれの接着剤につき10のアセンブリーを調製した。それぞれのダイを、260
℃でDage 2400-PC Die Shear Testerを用いて90度でその基材から剪断した。結果をプ
ールし、平均値を求めた。
【0051】
可撓性をモジュラスとして測定した;室温から250℃でモジュラスについて商業的に
許容できる値は、50〜7000MPaの範囲内である。50MPa以下では、接着剤は
柔らか過ぎて移動し、次の操作で基材にワイヤ結合されるときダイを十分に保持しない。
7000MPaよりも高いと、接着剤はあまりにも不撓性になり、製造操作中に熱サイク
ルの応力を十分に吸収しない。
【0052】
室温から175℃で30分ランプ、ついでボックスオーブン中で窒素パージ下、175
℃で15分の硬化プロフィールにしたがって、非粘着性ボード上で薄いフィルム(300
μm〜500μmの厚さ)中で材料を硬化させることにより、モジュラステスト用に試験
片を調製した。フィルムを、DMTA分析のために適宜のサイズにカットした。Tensile Mode
of Deformation中で、Rheometrics DMTA MKV (Rheometric Scientific、米国)を用いて
、モジュラスをテストした。モジュラスを、−65℃〜300℃、3℃/分の温度ランプ
、10Hz周波数、窒素パージ下歪レベル0で測定した。
【0053】
吸湿量について商業的に許容できる値は、飽和状態で0.4重量%未満の範囲内である
。室温から175℃で30分ランプ、ついでボックスオーブン中で窒素パージ下、175
℃で15分の硬化プロフィールにしたがって、非粘着性ボード上で薄いフィルム(300
μm〜500μmの厚さ)中で材料を硬化させることにより、吸湿量テスト用に試験片を
調製した。ついで、硬化させた試験片を、それぞれおよそ1グラムの重さのピースにカッ
トした。硬化させた材料を、DVS-2000 Dynamic Vapor Sorption Analyzer (WTB Binder、
ドイツ)中でテストした。試料を、重量が安定し、すべての残留湿分が試料から除去され
るまで、85℃およびゼロ湿度で平衡させた。試料の重量をプログラムに記録し、プロフ
ィールを、85℃および85%相対湿度を維持するように設定した。試料を、飽和状態お
よび吸収された%湿分が記録されるまで、この湿度に曝露した。
【0054】
粘度について商業的に許容できる値は、5rpmおよび25℃で35,000cP未満
である。粘度を、5rpm、25℃でCP-51スピンドルを用いて、ブルックフィールドコ
ーンプレート粘度計で測定した。
【0055】
配合組成物および性能テストの結果を表1〜6に示すが、固体BMI粉末が組成物中に3
重量%よりも大から30重量%以下の濃度で存在するとき、高温での結合力において改善
があることを示す。吸湿量および粘度においても増加があるが、これらはダイ結合用途に
ついての合格範囲内である。別の実施態様において、固体BMIは、5重量%〜27重量%
の濃度で存在する。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
1.液体硬化性樹脂もしくは硬化性樹脂類の組合せ、開始剤および充填剤のダイ結合接着配合物の高温での結合力を改善する方法であって、前記硬化性樹脂に溶解しない芳香族ビスマレイミド樹脂粉末を前記接着配合物に添加することを含む方法。
2.前記高温が、260℃以下である、1に記載の方法。
3.前記ビスマレイミドが、3重量%よりも多く、約30重量%以下の量で存在している、1に記載の方法。
4.前記ビスマレイミドが、下記の構造:
【化15】
(式中、Xは、芳香族基である。)
を有する、1に記載の方法。
5.Xが、下記の式:
【化16】
【化17】
からなる群から選ばれる、4に記載の方法。
6.前記硬化性樹脂が、マレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリレート樹脂もしくはそれらの樹脂の組合せである、1に記載の方法。
7.前記マレイミド樹脂が、下記の式:
【化18】
(式中、C36は、36の炭素原子の線状もしくは枝分れ鎖(環状部分を有して、あるい
は有さず)を表す);
【化19】
【化20】
および
【化21】
からなる群から選ばれる、6に記載の方法。
8.前記アクリレート樹脂が、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリレート官能基を有するポリ(ブタジエン)およびメタクリレート官能基を有するポリ(ブタジエン)からなる群から選ばれる、6に記載の方法。