(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676822
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】街路灯用照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/08 20060101AFI20150205BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20150205BHJP
【FI】
F21S8/08 200
F21Y101:02
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-513425(P2014-513425)
(86)(22)【出願日】2012年5月23日
(65)【公表番号】特表2014-515549(P2014-515549A)
(43)【公表日】2014年6月30日
(86)【国際出願番号】KR2012004050
(87)【国際公開番号】WO2012165798
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2013年11月27日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0050900
(32)【優先日】2011年5月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513299708
【氏名又は名称】ユニテスト インク.
【氏名又は名称原語表記】UNITEST INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ジェ−ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボ−ア
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−146374(JP,A)
【文献】
特開2010−153401(JP,A)
【文献】
特開2009−26660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面上に配された街路灯の本体の上側に形成されたベース部材と、
少なくとも1つの発光素子からなるものであって、前記ベース部材の下面に配された複数の発光素子ユニットと、
前記発光素子ユニットと隣接して配され、前記ベース部材の下面に互いに一定距離離隔して配されたものであって、発光素子ユニットからの照射光を多方向に拡散させる複数の反射ユニットと、を含み、
前記反射ユニットは、
前記発光素子ユニットのうちの何れか1つの発光素子ユニットから一定距離離隔して配され、前記発光素子ユニットの一部のみ取り囲むように形成されて、前記発光素子ユニットからの照射光の少なくとも一部を第1方向に隣接して位置した反射ユニットに反射させる第1反射部と、
前記ベース部材から特定の角度で傾斜して形成されて、第1方向と逆方向である第2方向に隣接して位置した反射ユニットからの反射光を多方向に拡散させる第2反射部と、を含み、
前記第1反射部は、
前記発光素子ユニットの中央部分と側面部分とを対応してアーク状からなる拡散部と、
前記拡散部の一側から特定の長さに延設された延長部と、を含み、
前記第2反射部は、
前記第1反射部と一体に形成され、前記第2方向に向けて特定の角度で下向きに傾斜して形成された傾斜面であることを特徴とする街路灯用照明装置。
【請求項2】
前記延長部は、
前記発光素子ユニットとの対向部分が平面からなることを特徴とする請求項1に記載の街路灯用照明装置。
【請求項3】
前記延長部は、
前記発光素子ユニットとの対向部分が、前記拡散部と同一の曲率半径からなることを特徴とする請求項1に記載の街路灯用照明装置。
【請求項4】
前記延長部は、
前記発光素子ユニットとの対向部分がラウンド状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の街路灯用照明装置。
【請求項5】
前記ベース部材の下側は、多段からなり、前記発光素子ユニットと反射ユニットは、前記ベース部材の1つの段にそれぞれ1つずつ配されたことを特徴とする請求項1に記載の街路灯用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、街路灯用照明装置に係り、より詳細には、車道周辺に形成されて、車道の照度を均一かつ安定した状態に維持させる街路灯用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置は、電気を使う灯火を言うものであって、発光方式で分類すれば、タングステンフィラメントの発熱発光を利用する照明用白熱電灯、電極間のアーク放電による白熱光を利用する野外照明用アーク灯、放電によって電子を蛍光体に照射して発光させる蛍光灯が説明されうる。
【0003】
このような照明装置を使用用途上に分類すれば、街路灯、保安灯/防犯灯、及び公園灯などに分類され、このような照明装置の光源としてナトリウム灯や水銀灯が使われることが一般的である。しかし、前述したナトリウム灯は、ナトリウム蒸気中の放電による発光を用いて光を発散するので、黄色の色を帯びる。ところが、前記ナトリウム灯は、点灯後、約20〜30分が経過しなければ、十分な光を出すことができず、その光が黄色光なので、一般照明用としては適せず、限定的にのみ使われる問題点がある。
【0004】
一方、発光効率に優れる水銀灯は、点灯初期には水銀蒸気圧が低いが、数分後に気圧が上がって正常な光を出す。しかし、水銀灯は、一度消灯すれば、温度が下がって、ガスの圧力が下がるまで約10分間は再点灯できなくなる問題点がある。
【0005】
また、前記のような光源は、消費電力が大きくて、船内の発電設備に使われる燃料消費量が多いという問題を有している。このために、発光効率が高く、電力消費が小さなLED(Light Emitting Diode)素子を照明装置に適用するための努力がある。
【0006】
しかし、LEDからの照射光の直進性が強いために、街路灯、保安灯、公園灯として使われるには、多くの制約が伴う。すなわち、街路灯は、道路に一定の照度が維持される均斉度が確保されなければならないが、LEDは、直進性が強くて、LEDの隣接地域に対してのみ照明を提供させうる。
【0007】
例えば、街路灯は、その高さによって地面上に設けられる間隔が指定されている。ここで、街路灯の光源として従来のナトリウム灯や水銀灯を使う場合、拡散が容易であるので、街路灯間の空間を十分に明るくすることができる。しかし、LED素子は、ナトリウム灯や水銀灯よりも直進性が強いので、街路灯間の空間を十分に明るくしにくい。
【0008】
これを克服するために、LEDを光源として使う従来の街路灯用照明装置は、LEDの前面に拡散レンズを個別的に配置して、目標した配光を具現することが一般的である。しかし、このような構造は、多数のレンズを組み立てて拡散レンズを製造しなければならないので、製作工数及び製品単価の上昇が不可欠である。また、製品のサイズ及び重さの増大はもとより、レンズ自体の光損失を甘受しなければならない問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の街路灯用照明装置に適用された拡散レンズによる配光制御を排除した方式を使って、発光素子の指向性を改善することによって、色の拡散程度を効率的に制御できるように構造が改善された街路灯用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を果たすための本発明による街路灯用照明装置は、地面上に配された街路灯の本体の上側に形成されたベース部材と、少なくとも1つの発光素子からなるものであって、前記ベース部材の下面に配された複数の発光素子ユニットと、前記発光素子ユニットと隣接して配され、前記ベース部材の下面に互いに一定距離離隔して配されたものであって、発光素子ユニットからの照射光を多方向に拡散させる複数の反射ユニットと、を含み、前記反射ユニットは、前記発光素子ユニットのうちの何れか1つの発光素子ユニットから一定距離離隔して配され、前記発光素子ユニットの一部のみ取り囲むように形成されて、前記発光素子ユニットからの照射光の少なくとも一部を第1方向に隣接して位置した反射ユニットに反射させる第1反射部と、前記ベース部材から特定の角度で傾斜して形成されて、第1方向と逆方向である第2方向に隣接して位置した反射ユニットからの反射光を多方向に拡散させる第2反射部と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明による街路灯用照明装置は、拡散レンズを使って光を拡散させる従来の街路灯用照明装置とは異なって、反射ユニットに光を多方向に反射させて配光を制御する。これにより、従来の街路灯用照明装置よりも小型、軽量、及びコスト低減などが可能であり、車線方向の路面の均斉度を十分に確保することができる。
【0012】
したがって、水銀灯やナトリウム灯よりも電力効率に優れる発光素子を街路灯の照明装置の光源として使って、電力消費を低め、維持費用を節減できるだけではなく、路面の均斉度を向上させて、運転者の眩しさを防止して運転便宜を充足させると同時に、交通事故などを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の望ましい一実施形態による街路灯用照明装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示された街路灯用照明装置の下側を示す底面図である。
【
図3】
図1に示された街路灯用照明装置の垂直断面図である。
【
図4】
図1に示された街路灯用照明装置で反射ユニットを抜粋して示す斜視図である。
【
図5】
図1に示された街路灯用照明装置で反射ユニットによって発光素子ユニットからの照射光が拡散される過程を示す断面図である。
【
図6】
図1に示された街路灯用照明装置で第1反射部の変形例を示す断面図である。
【
図7】
図1に示された街路灯用照明装置で第1反射部の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記課題を果たすための本発明による街路灯用照明装置は、地面上に配された街路灯の本体の上側に形成されたベース部材と、少なくとも1つの発光素子からなるものであって、前記ベース部材の下面に配された複数の発光素子ユニットと、前記発光素子ユニットと隣接して配され、前記ベース部材の下面に互いに一定距離離隔して配されたものであって、発光素子ユニットからの照射光を多方向に拡散させる複数の反射ユニットと、を含み、前記反射ユニットは、前記発光素子ユニットのうちの何れか1つの発光素子ユニットから一定距離離隔して配され、前記発光素子ユニットの一部のみ取り囲むように形成されて、前記発光素子ユニットからの照射光の少なくとも一部を第1方向に隣接して位置した反射ユニットに反射させる第1反射部と、前記ベース部材から特定の角度で傾斜して形成されて、第1方向と逆方向である第2方向に隣接して位置した反射ユニットからの反射光を多方向に拡散させる第2反射部と、を含む。
【0015】
本発明を添付した図面を参照して詳しく説明すれば、次の通りである。ここで、同一構成については、同じ符号を使い、反復される説明、本発明の要旨を不明にする恐れがある公知機能及び構成についての詳細な説明は省略する。本発明の実施形態は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面での要素の形状及びサイズなどは、より明確な説明のために誇張されうる。
【0016】
図1ないし
図4を参照すると、本発明の望ましい一実施形態による街路灯用照明装置100は、ベース部材110と、発光素子ユニット120と、反射ユニット130と、を含む。
【0017】
ベース部材110は、地面上に配された街路灯の本体の上側に形成される。ベース部材110の下面は、車両が通行する地面と対向するように配される。ベース部材110の一側には、複数の放熱板111が形成されうる。放熱板111は、発光素子の発光時に発生する熱を外部に放出する役割を果たす。ベース部材110の素材の一例として、アルミニウムまたは銅であり得る。アルミニウムと銅は、他の金属よりも放熱性能に優れて、発光素子によって発生した熱を効率的に放出させることができる。
【0018】
一方、前述したベース部材110の下側面は、平面からなることもあるが、多段からなることも可能である。この場合、前記発光素子ユニット120と反射ユニット130は、前記ベース部材110の1つの段にそれぞれ1つずつ配置される。このような構造によって、ベース部材110の下側面が平面からなる場合よりも、反射ユニット130の間で反射光が、隣接した反射ユニット130によって干渉されることを最小化して、光の多方向への拡散に、さらに有利である。
【0019】
発光素子ユニット120は、少なくとも1つの発光素子からなる。発光素子ユニット120は、前記ベース部材の下面に配される。これは、発光素子から発生した光を地面に向けて照射させるためである。このような発光素子ユニット120の構造の一例として、複数の発光素子が平行に配されたものであり得る。発光素子ユニット120に含まれた発光素子の個数は、製造社の設計によって変更されうる。
【0020】
反射ユニット130は、前記発光素子ユニット120と隣接して配される。そして、反射ユニット130は、前記ベース部材110の下面に互いに一定距離離隔して配される。このような反射ユニット130は、発光素子ユニット120からの照射光を多方向に拡散させる。このための反射ユニット130は、第1反射部131と第2反射部134とを含む。
【0021】
第1反射部131は、前記発光素子ユニット120のうちの何れか1つの発光素子ユニット120から一定距離離隔して配される。そして、第1反射部131は、前記発光素子ユニット120の一部のみ取り囲むように形成されて、前記発光素子ユニット120からの照射光の少なくとも一部を第1方向に隣接して位置した反射ユニット130に反射させる。
【0022】
第2反射部134は、前記ベース部材110から特定の角度で傾斜して形成されて、第1方向と逆方向である第2方向に隣接して位置した反射ユニット130からの反射光を多方向に拡散させる。ここで、第2反射部134の傾斜角度によって光の路面照射方向が多様に制御される。例えば、第2反射部134の角度を、ベース部材110に対して45゜にして、光を地面の特定の位置に集中させることもでき、第2反射部134の角度を、ベース部材110に対して60゜以上にして、光を地面に幅広く照射させることも可能である。但し、第2反射部134が、ベース部材110に対して前述した角度からなるものと限定しない。このような第1反射部131と第2反射部134との表面には、反射層が形成されうる。反射層の一例として、反射シートまたはアルミニウム(Al)コーティング層であり得る。
【0023】
図5に示したように、前述した構造からなる街路灯用照明装置100で発光素子ユニット120からの照射光の一部は、第1反射部131に反射されて地面に向けて照射される。そして、光の残りの一部は、第1反射部131から反射された後、隣接した反射ユニット130の第2反射部134に反射されて地面に向けて照射される。
【0024】
すなわち、前記のような構造からなる街路灯用照明装置100は、発光素子(LED)の指向性を改善して光の拡散程度を向上させて、LEDを光源として使う従来の街路灯用照明装置とは異なって、LEDの前面に拡散レンズを個別的に配置せずとも、街路灯間の離隔距離内の照度を十分に満足させることができる。したがって、水銀灯やナトリウム灯よりも電力効率に優れる発光素子を街路灯の照明装置として使って、電力消費は低めて、維持費用を節減できるだけではなく、路面の均斉度を向上させて、運転者の眩しさを防止し、運転便宜を充足させると同時に、交通事故を未然に防止することができる。
【0025】
一方、前述した第1反射部131と第2反射部134との詳細な構造の一例を説明する。
【0026】
前記第1反射部131は、拡散部132と延長部133とを含みうる。
【0027】
拡散部132は、前記発光素子ユニット120の中央部分と側面部分とを対応してアーク状からなる。拡散部132は、発光素子ユニット120からの照射光を反射して拡散させる。
【0028】
延長部133は、前記拡散部132の一側から特定の長さに延設される。延長部133は、発光素子ユニット120からの照射光の一部を地面に向けて照射されることを制限しながら、他の方向に拡散させる。このような延長部133は、前記発光素子ユニット120との対向部分がラウンド状に形成されうる。
【0029】
そして、前述した第2反射部134は、前記第1反射部131と一体に形成され、第2方向に向けて特定の角度で下向きに傾斜して形成された傾斜面であり得る。第2反射部134は、隣接した反射ユニット130の第1反射部131からの反射光を再び反射させて、発光素子ユニット120からの照射光を拡散させる。
【0030】
一方、図
7を参照すると、前記第1反射部の延長部233の変形例として、前記発光素子ユニットとの対向部分が、前記拡散部132と同一の曲率半径からなりうる。
【0031】
これとは異なって、図
6を参照すると、前述した第1反射部の延長部333の他の変形例として、前記発光素子ユニットとの対向部分が平面からなることも可能である。
【0032】
一方、
図7に示したように、延長部333の長さL2は、アーク状の拡散部132の半径L1のほぼ50%程度であり得る。延長部333の長さL2が、拡散部132の半径L1の50%を超過する場合、発光素子から照射される光が過度に制限されて照度が減少しうる。これとは異なって、延長部333の長さL2が、拡散部132の半径L1の50%未満である場合、発光素子から照射される光が隣接した反射ユニット130に反射される量よりも地面上に垂直である方向に直接照射される光がさらに多くなって、拡散範囲が減少しうる。
【0033】
一方、
図3に戻って、街路灯用照明装置100は、カバー140をさらに含みうる。カバー140は、外部の水分によって街路灯用照明装置100の内部が亡失されるか、花粉やホコリなどの異物が蓄積されることを防止する。このようなカバー140は、光透過性に優れるプラスチック素材からなるドーム状の部材であり得る。カバー140の他の例として、拡散レンズであり得る。拡散レンズは、光を拡散させるのに使われるものであって、発光素子ユニット120から照射されて、反射ユニット130からの反射光を再び拡散させて、本発明の街路灯用照明装置100から地面にさらに広範囲な領域に光を照射させうる。
【0034】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、当業者ならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲内で多様な修正、変更及び置き換えが可能であろう。したがって、本発明に開示された実施形態及び添付した図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態及び添付した図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記の請求範囲によって解釈しなければならず、それと同等な範囲内にあるあらゆる技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明による街路灯用照明装置は、街路灯に設けられて、人道及び車道を明るくするのに使われる。