特許第5676838号(P5676838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5676838脂肪酸および水溶性または水膨潤性デンプンを組み合わせた構造化系を含む個人向け製品の液体洗剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676838
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】脂肪酸および水溶性または水膨潤性デンプンを組み合わせた構造化系を含む個人向け製品の液体洗剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20150205BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20150205BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   A61K8/36
   A61K8/25
   A61K8/29
   A61K8/42
   A61K8/44
   A61K8/46
   A61K8/73
   A61K8/92
   A61Q19/10
【請求項の数】19
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2007-517011(P2007-517011)
(86)(22)【出願日】2005年4月25日
(65)【公表番号】特表2007-538020(P2007-538020A)
(43)【公表日】2007年12月27日
(86)【国際出願番号】EP2005004505
(87)【国際公開番号】WO2005110355
(87)【国際公開日】20051124
【審査請求日】2008年2月25日
【審判番号】不服2012-22210(P2012-22210/J1)
【審判請求日】2012年11月9日
(31)【優先権主張番号】10/849,100
(32)【優先日】2004年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツアー,リエン・シエン
【合議体】
【審判長】 星野 紹英
【審判官】 冨永 保
【審判官】 新居田 知生
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−503474(JP,A)
【文献】 特表2001−510780(JP,A)
【文献】 米国特許第5518647(US,A)
【文献】 特開平5−286849(JP,A)
【文献】 国際公開第97/28780(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10216509(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性
剤またはこれらの混合物から選択される、5重量%から30重量%の合成界面活性剤、
(2)0から30重量%の有益剤、ならびに
(3)(i)C〜C13線状脂肪酸、および
(ii)0.5重量%から15重量%の合計組成の変性または非変性デンプン
であって、該デンプンは、溶解しているか、または膨潤したゲル粒子
の形態であるもの
を含む構造化系、
を含み、
配合されたC〜C13線状脂肪酸対前記合成界面活性剤の重量比は、1.0/9.0
から3.5/6.5であり、
前記合成界面活性剤および〜C13線状脂肪酸は、5.0〜7.0の範囲における
pHで測定して、合成界面活性剤および〜C13線状脂肪酸の合計が少なくとも15
重量%で合成界面活性剤および〜C13線状脂肪酸粒子を含む曇り溶液を形成し、形
成された合成界面活性剤および〜C13線状脂肪酸粒子の量は、合成界面活性剤およ
配合されたC〜C13線状脂肪酸の合計を基準にして少なくとも15重量%であり、
液体洗剤組成物のpHは、5.0〜7.0であり、
前記組成物は、室温および45℃の両方において、3週間にわたり明らかな相分離なし
で安定であり、
変性デンプンは、水におけるデンプンの溶解または膨潤を高めるための化学的または物
理的変性を指す、
個人向け製品の液体洗剤組成物。
【請求項2】
15重量%以下の合成界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有益剤水準が、0.5重量%から25重量%の範囲にある、請求項1または2に記
載の組成物。
【請求項4】
前記有益剤が、液体洗剤において不溶の、化粧品品質の有機、無機またはポリマー物質
である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
不溶が、前記液体洗剤における活性成分の1重量%未満の溶解度であると定義される、
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記有益剤が、皮膚軟化油または界面活性剤不溶無機粒子である、請求項4に記載の組
成物。
【請求項7】
前記粒子が、変性または非変性雲母、タルク、二酸化チタン、またはこれらの混合物か
ら選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記〜C13線状脂肪酸が、C10〜C12線状脂肪酸である、請求項1〜7のい
ずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
〜C13線状脂肪酸対合成界面活性剤の重量比が、1.5:8.5から3.0:7
.0である、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
液体洗剤組成物のpHが、5.5から7.0である、請求項1からのいずれか一項に
記載の組成物。
【請求項11】
0.5から10重量%の変性または非変性デンプンを含む、請求項1から10のいずれ
か一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記変性デンプンが、30℃から75℃の範囲におけるゲル化温度を得るために、イオ
ン性および/または非イオン性親水性基で化学的にまたは物理的に変性されている、請求
項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記親水性イオン性または非イオン性基が、ホスフェート、スルフェート、スルホネー
ト、カルボキシレート、ジアルキル/トリアルキルアミノまたは第4級アンモニウム、ヒ
ドロキシプロピル、ヒドロキシエチル基、およびこれらの混合物から選択される、請求項
12に記載の組成物。
【請求項14】
前記変性デンプンが、冷水アルファ化デンプン粉末である、請求項1から13のいずれ
か一項に記載の組成物。
【請求項15】
合成界面活性剤および〜C13線状脂肪酸粒子の量が、合成界面活性剤および
〜C13線状脂肪酸の合計の25重量%〜85重量%の範囲にある、請求項1から14
いずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記デンプンが、液体洗剤組成物において、少なくとも200容量%まで膨潤する、請
求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
デンプン粒が、液体洗剤組成物において、3から200μmのサイズまで膨潤する、請
求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
10重量%から80重量%の〜C13線状脂肪酸が中和されている、請求項1から
17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
粘度が、1秒当たり10から400Paの範囲にある、請求項1から18のいずれか一
項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人向け製品の液体洗浄組成物であって、その様な組成物において皮膚有益剤(例えば、皮膚軟化剤および/または粒子)を安定化(例えば、相分離を防ぐ)するための新規な構造化系を含む個人向け製品の液体洗浄組成物に関する。更に詳しくは、対象組成物は、良好な安定性(例えば、目に見える相分離を伴わずに、室温および45℃の両方において3週間にわたり安定である)を維持しながら、良好な、消費者が要望する性質(例えば、泡立ち、糸引きなし、塊のない外観)を提供する。
【背景技術】
【0002】
洗浄に加えて、個人向けの洗剤/シャワーゲルタイプ組成物のその他の特に要望される特性は、消費者が知覚できる(例えば、感覚または視覚的)利益を、組成物から皮膚へ配達することである。この結果を達成する1つの重要な方法は、有益剤(例えば、皮膚軟化油および/または界面活性剤不溶性無機粒子)の堆積による方法である。しかしながら、これには、洗剤/シャワーゲル組成物中に、高水準のその様な油または無機粒子の導入を必要としよう。
【0003】
残念ながら、その様な二重の洗浄および保湿組成物は、洗浄成分が、一般には、保湿成分と非相溶性の傾向にあるので組成することが困難である。例えば、乳化された油滴、特に炭化水素油滴は、貯蔵中に液体から相分離する傾向があり、液体洗剤の頂部に分離層を形成する。
【0004】
また、皮膚軟化油は、多くの場合、洗浄成分の発泡/泡立ちを、特に液体洗剤における界面活性剤の水準が相対的に低い(例えば、約25重量%未満)場合に、低下させる傾向にある。しかしながら、界面活性剤の相対的に低い水準を含み、良好な泡立ち性を有する液体洗剤は、低い界面活性剤水準が、組成物を更に柔らかくし、コストを下げ、処理を促進するので大いに望まれるものである。
【0005】
したがって、当該技術分野においては、低水準の洗浄成分を含み、柔らかく、十分な泡立ちの生成ができ、また、保湿もしくはその他の活性成分を配達することのできる組成物に対する要求が存在する。更に、その様な組成物は、周囲および高い貯蔵温度の両方において物理的に安定したままでなければならない。
【0006】
ある種の皮膚の利益を与えるために皮膚有益剤を配達することのできる液体洗剤は、当該技術分野において知られている。例えば、皮膚または頭髪への有益剤の配達を高めるための1つの方法は、Amerchol社のPolymer JR(登録商標)またはRhone Poulenc社のJaguar(登録商標)等のカチオン性ポリマーを使用することである。この方法は、例えば、米国特許第3580853号(Parran他)、米国特許第5085857号(Reid他)、米国特許第5439682号(Wivell他);または、WO94/03152(Unileverに譲渡された)、WO92/18100(Procter & Gambleに譲渡された)もしくはWO97/48378(Procter & Gambleに譲渡された)において開示されている。
【0007】
皮膚または頭髪への有益剤の配達を高めるための他の方法は、米国特許第5661189号(Grieveson)(Unileverに譲渡された)および米国特許第5854293号(Procter & Gambleに譲渡された)において記載されている様な粘稠油の大きな油滴を使用することである。
【0008】
更に、当該技術分野は、例えば、皮膚軟化油洗剤系の物理的安定性が、幾つかの種類の懸濁剤または安定剤の存在を必要とすることを開示している。米国特許第5308526号(Dias他)および米国特許第5439682号(Wivell他)は、液体からの油滴の分離を防ぐために、懸濁剤として結晶性エチレングリコール長鎖エステル(例えば、エチレングリコールジステアレート)の使用を教示している。そこには、高められた安定性を与えるための構造化系として、脂肪酸との組合せにおける水溶性または水膨潤性デンプンについての開示は存在しない。
【0009】
米国特許第5518647号(Zocchi)(Colgateに譲渡された)は、液体洗剤における油滴の物理的安定性を達成するために、長鎖エトキシ化アルコール、遊離脂肪族カルボン酸および水溶性カチオンポリマーを組み合わせたエマルション系を教示している。そこには、本発明の脂肪酸およびデンプンポリマーを特別の組合せにおいて使用することについての教示または示唆は存在しない。
【0010】
液体洗剤における油滴を安定化させるために使用されるよく知られた懸濁剤のその他のタイプは、例えば、米国特許第5661189号(Grieveson他)および米国特許第5854293号(R.W.Glenn、Jr.)(Procter & Gambleに譲渡された)において広く開示されている、ポリアクリレート、変性セルロースおよびグアーポリマー(guar polymer)等の高分子量水溶性ポリマーである。これらのポリマー性安定剤は、また、例えば、液体安定性のために疎水性に変性された非イオンセルロースに言及している米国特許第5905062号(Elliott他)(P&G)、2つの別々のポリアクリル酸ポリマーの組合せを使用する米国特許第6172019B1号(Dehan他)(Colgate−Palmolive)、および安定な液体洗浄組成物のための新規な構造化系として、キサンタンガムおよびCarbopol(登録商標)の組合せを使用する米国特許第6001344号(Villa他)(Unilever)において特に記載されている。
【0011】
これらのポリマー物質は、個人向けの液体洗剤において油滴を懸濁させるのに有用であるが、これらの増粘/構造化性は、液体洗剤組成物、即ち、界面活性剤のタイプ、界面活性剤の水準、皮膚軟化油およびその他の添加剤に依存する。本発明の比較例において示されるとおり、これらの水溶性ポリマーは、界面活性剤溶液から分離し、これらのポリマー増粘剤と界面活性剤との非相溶性により、高温貯蔵条件では、これらの増粘/構造化性を失う傾向にある。液体洗剤を安定化させるためには、高水準のポリマーを必要とするが、これはかえって、処理における困難性の原因となり、望ましくないゴツゴツした外観および製品の使用中のネバネバ感を与えることになる。
【0012】
重要な洗剤の性質(外観、泡立ち、使用中/使用後の感覚およびその処理可能性)についてマイナスの効果を与えることなしに、本出願人は、皮膚軟化油および/または粒子を含む(例えば、1〜30重量%)貯蔵安定液体洗剤が、線状C〜C13脂肪酸と組み合わせた特定の水可溶性/または膨潤性デンプンポリマーを含む構造化系を使用して組成することができることを見出した。本発明において記載されているポリマー/脂肪酸構造化系を使用することにより、糸引きなし、ゴツゴツ感のない外観、ローションの様なレオロジー、優れた泡立ちおよび貯蔵安定性を伴う個人向け液体洗剤が容易に組成できる。
【0013】
脂肪酸を含む液体洗剤は、WO94/17166(Giret他)、WO94/18737(Cothran他)(P&G)、米国特許第5132037号(Green他)、米国特許第5234619号(Green他)および米国特許第5290470号(Green他)(Unilever)等における様に、当該技術分野において広く記載されている。これらの特許は、皮膚有益剤または構造化剤として結晶化脂肪酸の使用を開示している。米国特許第5360580号(Rizvi他)は、液体安定性を増加させるために、ポリエチレンアミンを伴う長鎖飽和脂肪酸の使用を教示している。オレイン酸等の液体脂肪酸は、米国特許第5952286号および米国特許第6077816号(Puvvada他)(Unilever)において記載されているとおり、特定の界面活性剤組成物を伴う層状構造を形成するための構造剤として使用されている。
【0014】
再度、これら従来の参考文献のいずれも、個人向け液体洗剤のための有効な構造化系として、特定の水可溶性または膨潤性デンプンと組み合わせた本発明の脂肪酸の使用を開示していない。更に、本発明の実施例において示されるとおり、これら従来の参考文献において教示された液体洗剤組成物を構造化している脂肪酸の幾つかは、高温において不安定であり、特に、合計の界面活性剤の水準が20重量%未満、更に好ましくは、15重量%未満の場合に不安定である。
【発明の開示】
【0015】
脂肪酸およびデンプンポリマーを組み合わせることにより、本出願人は、安定な、皮膚軟化剤および/または粒子を含む組成物を与えると同時に、発泡、非糸引き性または非塊性および柔らかで滑らかな洗浄後の保湿皮膚感覚等の良好な消費者要望性を維持する構造化系を創り出した。好ましい実施形態においては、これは、比較的に低い(25重量%以下、好ましくは、20重量%以下)界面活性剤水準で行われる。
【0016】
特に、本願は、安定な個人向け製品(例えば、個人向けの洗浄または頭髪)の液体洗浄組成物であって、
(1)アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤またはこれらの混合物を含む群から選択される、2重量%〜30重量%、好ましくは、3重量%〜25重量%、更に好ましくは、5重量%〜20重量%の界面活性剤、
(2)0〜30重量%(例えば、場合による)、好ましくは、1.0重量%〜25重量%の皮膚有益剤(例えば、皮膚軟化油または有益剤粒子)、ならびに
(3)(i)約8〜13の炭素鎖長の線状脂肪酸および
(ii)0.5重量%〜15重量%、好ましくは、0.5重量%〜10重量%の合計組成の変性または非変性デンプンを含む構造化系、
を含み、
脂肪酸対前記界面活性剤の比が、1.0/9.0〜3.5/6.5、好ましくは、1.5/8.5〜3.0/7.0であり、
前記界面活性剤および線状脂肪酸が、4.5〜7.0の範囲におけるpHで測定した場合に、界面活性剤および脂肪酸の合計15重量%で曇り溶液を形成し、前記液体組成物において形成された脂肪酸/界面活性剤粒子(および脂肪酸−界面活性剤複合体)の量が、界面活性剤および脂肪酸の合計重量を基準にして20重量%を超え、好ましくは、30重量%を超え、
前記組成物のpHが、4.5〜7.5、好ましくは、5.0〜7.0であり、
前記組成物が、室温および45℃の両方において、3週間にわたり明らかな相分離なしで安定である組成物に関する。
【0017】
これらのおよびその他の局面、特徴ならびに利点は、以下の詳細な記述および添付の特許請求の範囲の解釈から当業者には明らかとなる。疑念の回避のために、本発明の1つの局面の任意の特徴が、本発明の任意のその他の局面において利用されてもよい。以下の記述において与えられる実施例は、本来、本発明を明確にするためのものであって、本発明を、それらの実施例に限定しようとするものではない点に注意されたい。実験的実施例において、または別途指示されているところ以外では、本明細書において使用される成分の量または反応条件を表示する全ての数字は、「約」という用語により全ての場合において修飾されるものと理解されるべきものである。同様に、全ての%は、別段の指示がなければ、全組成物の重量/重量%である。
【0018】
「x〜y」という形式において表現される数値範囲は、xおよびyを含むものと理解される。特定の特徴の複数好適範囲が、x〜yの形式において記載される場合は、別々の端点を結ぶ全ての範囲が考慮されることが理解される。「含む」という用語が本明細書または特許請求の範囲において使用される場合は、それは、任意の用語、工程または特に列挙されていない特徴を排除することを意図するものではない。全ての温度は、別途特定されていない限り、摂氏温度(℃)である。全ての測定値は、別途特定されていない限り、SI単位におけるものである。引用される全ての文献は、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
本発明は、皮膚軟化油および/または粒子の両方を含み、極めて安定な、個人向け製品(例えば、個人向け洗浄)の液体洗剤組成物に関する。更に、安定性は、ゴツゴツした外観および/またはネバネバした感触の組成物を避けると与えられるものではない。特に、画定された範囲(例えば、脂肪酸対界面活性剤の比)における特定のデンプンおよび脂肪酸の組合せは、製品のマイナス面を避けながら安定性を生成する構造化系を提供する。
【0020】
特に、本願は、安定な個人向け製品(例えば、個人向けの洗浄または頭髪)の液体洗浄組成物であって、
(1)アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤またはこれらの混合物を含む群から選択される、2重量%〜30重量%、好ましくは、3重量%〜25重量%、更に好ましくは、5重量%〜20重量%の界面活性剤、
(2)0〜30重量%、好ましくは、1.0重量%〜25重量%の皮膚有益剤(例えば、
皮膚軟化油または有益剤粒子)、ならびに
(3)(i)約8〜13の炭素鎖長の線状脂肪酸および
(ii)0.5重量%〜15重量%、好ましくは、0.5重量%〜10重量%の合計組成の変性または非変性デンプンを含む構造化系、
を含み、
脂肪酸対前記界面活性剤の比が、1.0/9.0〜3.5/6.5、好ましくは、1.5/8.5〜3.0/7.0であり、
前記界面活性剤および線状脂肪酸が、4.5〜7.0の範囲におけるpHで測定した場合に、界面活性剤および脂肪酸の合計15重量%で曇り溶液を形成し、前記液体組成物において形成される脂肪酸/界面活性剤粒子(および脂肪酸−界面活性剤複合体)の量が、界面活性剤および脂肪酸の合計重量を基準にして20重量%を超え、好ましくは、30重量%を超え、
前記組成物のpHが、4.5〜7.5、好ましくは、5.0〜7.0であり、
前記組成物が、室温および45℃の両方において、3週間にわたり明らかな相分離なしで安定である、個人向け製品の液体洗浄組成物に関する。
【0021】
この組成物は、以下で更に詳細に定義される。
【0022】
界面活性剤系は、アニオン界面活性剤を含んでもよく、これは、例えば、脂肪族スルホネート、例えば、第一級アルカン(例えば、C〜C22)スルホネート、第一級アルカン(例えば、C〜C22)ジスルホネート、C〜C22アルケンスルホネート、C〜C22ヒドロキシアルカンスルホネートもしくはアルキルグリセリルエーテルスルホネート(AGS)等;または、アルキルベンゼンスルホネート等の芳香族スルホネートであってもよい。
【0023】
アニオン界面活性剤は、また、アルキルスルフェート(例えば、C12〜C18アルキルスルフェート)またはアルキルエーテルスルフェート(アルキルグリセリルエーテルスルフェートを含む)であってもよい。アルキルエーテルスルフェート中では、式:
RO(CHCHO)SO
[式中、Rは、8〜18個の炭素、好ましくは12〜18個の炭素を有する、アルキルまたはアルケニルであり、nは、0.5より大きく、好ましくは、1〜3の平均値を有し、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換されているアンモニウム等の可溶化カチオンである。]を有するものである。アンモニウムおよびナトリウムラウリルエーテルスルホネートが好ましい。
【0024】
アニオン界面活性剤は、また、アルキルスルホスクシネート(モノ−およびジアルキル、例えば、C〜C22スルホスクシネートを含む);アルキルおよびアシルタウレート、アルキルおよびアシルサルコシネート、スルホアセテート、アルキルグリシネート、アルキルグルタメート、C〜C22アルキルホスフェート、アルキルホスフェートエステルおよびアルコキシアルキルホスフェートエステル、アシルラクテート、C〜C22モノアルキルスクシネートおよびマレエート、スルホアセテートならびにアシルイセチオネートであってもよい。
【0025】
スルホスクシネートは、式:
CCHCH(SOM)CO
を有するモノアルキルスルホスクシネート;式:
CONHCHCHCCHCH(SOM)CO
[式中、Rは、C〜C22アルキルの範囲であり、Mは、可溶化カチオンである。]のアミド−MEAスルホスクシネート;および、式:
RCONH(CH)CH(CH)(SOM)CO
[式中、Mは、上で定義されたとおりである。]のアミド−MIPAスルホスクシネートであってもよい。
【0026】
また、アルコキシ化シトレートスルホスクシネート;および、次式:
【0027】
【化1】
[式中、n=1〜20;およびMは、上で定義されたとおりである。]等のアルコキシ化スルホスクシネートも含まれる。
【0028】
サルコシネートは、一般に、式RCON(CH)CHCOM(ここで、Rは、C〜C20アルキルの範囲であり、Mは、可溶化カチオンである。)により示される。
【0029】
タウレートは、一般に、式:
CONRCHCHSO
[式中、Rは、C〜C20アルキルの範囲であり、Rは、C〜Cアルキルの範囲であり、Mは、可溶化カチオンである。]により同定される。
【0030】
その他のクラスの適当なアニオン界面活性剤は、次式:
R−(CHCHO)CO
[式中、Rは、C〜C20アルキルであり、nは、0〜20であり、Mは、上で定義されたとおりである。]等のカルボキシレートである。
【0031】
使用することのできるその他の適当なカルボキシレートは、例えば、Seppic社のMonteine LCQ(登録商標)等のアミドアルキルポリペプチドカルボキシレートである。
【0032】
使用されてよいその他の界面活性剤は、C〜C18アシルイセチオネートである。これらのエステルは、アルカリ金属イセチオネートと、6〜18個の炭素原子および20未満のヨウ素価を有する混合脂肪族脂肪酸との反応により調製される。混合脂肪酸の少なくとも75重量%は、12〜18個の炭素原子を有し、25重量%までが、6〜10個の炭素原子を有する。
【0033】
アシルイセチオネートは、存在する場合は、一般に、全組成物の約0.5重量%〜15重量%の範囲である。好ましくは、この成分は、約1重量%〜約10重量%で存在する。
【0034】
アシルイセチオネートは、この対象出願に参照により組み込まれる、Ilardi他(米国特許第5393466号)において記載されているアルコキシ化イセチオネートであってもよい。
【0035】
一般に、アニオン成分は、組成物の約1重量%〜25重量%、好ましくは、組成物の2重量%〜15重量%を構成する。
【0036】
両性イオン界面活性剤は、脂肪族第4級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体として広く記載することのできる、脂肪族基が直鎖または分岐鎖であることができ、脂肪族置換基の1つが、約8〜約18個の炭素原子を含み、1つが、アニオン基、例えば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェートまたはホスホネートを含むものにより例示される。これらの化合物の一般式は:
【0037】
【化2】
[式中、Rは、約8〜約18個の炭素原子、0〜約10個のエチレンオキシド部分および0〜約1個のグルセリル部分のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキル基を含み、Yは、窒素、リン、および硫黄原子を含む群から選択され、Rは、約1〜約3個の炭素原子を含むアルキルまたはモノヒドロキシアルキルであり、Xは、Yが硫黄原子である場合は1であり、Yが窒素またはリン原子である場合は2であり、Rは、約1〜約4個の炭素原子のアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、およびホスフェート基から成る群から選択される基である。]である。
【0038】
その様な界面活性剤の例としては、
4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−オクタデシルアンモニオ]−ブタン−1−カルボキシレート;
5−[S−3−ヒドロキシプロピル−S−ヘキサデシルスルホニオ]−3−ヒドロキシペンタン−1−スルフェート;
3−[P,P−ジエチル−P−3,6,9−トリオキサテトラデキソシルホスホニオ]−2−ヒドロキシプロパン−1−ホスフェート;
3−[N,N−ジプロピル−N−3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニオ]−プロパン−1−ホスホネート;
3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)プロパン−1−スルホネート;
3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホネート;
4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシドデシル)アンモニオ]−ブタン−1−カルボキシレート;
3−[S−エチル−S−(3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピル)スルホニオ]−プロパン−1−ホスフェート;
3−[P,P−ジメチル−P−ドデシルホスホニオ]−プロパン−1−ホスホネート;および、
5−[N,N−ジ(3−ヒドロキシプロピル)−N−ヘキサデシルアンモニオ]−2−ヒドロキシペンタン−1−スルフェート、
が挙げられる。
【0039】
本発明において使用されてもよい両性界面活性剤は、少なくとも1つの酸基を含む。これは、例えば、カルボン酸基またはスルホン酸基であってもよい。これらは、第4級窒素を含み、したがって、第4級アミド酸である。これらは、一般に、7〜18個の炭素原子のアルキルまたはアルケニル基を含む。これらは、通常、全体の構造式:
【0040】
【化3】
[式中、Rは、7〜18個の炭素原子のアルキルまたはアルケニルであり、RおよびRは、それぞれ独立に、1〜3個の炭素原子のアルキル、ヒドロキシアルキルまたはカルボキシアルキルであり、nは、2〜4であり、mは、0〜1であり、Xは、ヒドロキシルで場合により置換されている、1〜3個の炭素原子のアルキレンであり、Yは、−CO−または−SO−である。]に適合する。
【0041】
上記一般式内の適当な両性界面活性剤は、式:
【0042】
【化4】
の単純なベタインおよび式:
【0043】
【化5】
[式中、mは、2または3である。]のアミドベタインを含む。
【0044】
両方の式において、R、RおよびRは、以前に定義されたとおりである。Rは、特に、基Rの少なくとも半分、好ましくは、少なくとも3/4が、10〜14個の炭素原子を有する、ココナッツから誘導されるC12およびC14アルキル基の混合物であってもよい。RおよびRは、好ましくは、メチルである。
【0045】
更なる可能性は、両性界面活性剤が、式:
【0046】
【化6】
または、
【0047】
【化7】
[式中、mは、2または3である。]のスルホベタインであり、または、−(CHSOが、
【0048】
【化8】
により置き換えられているこれらの変異体であることである。
【0049】
これらの式において、R、RおよびRは、以前に検討されたとおりである。
【0050】
両性アセテートおよびジ両性アセテートは、また、できるだけ、使用されてもよい両性イオンおよび/または両性化合物に転換されることが意図される。
【0051】
両性/両性イオン界面活性剤は、使用される場合は、一般に、組成物の0〜15重量%、好ましくは、1重量%〜10重量%を構成する。
【0052】
1つまたは複数のアニオンおよび場合による両性および/両性イオンに加えて、界面活性剤系は、非イオン界面活性剤を場合により含んでもよい。
【0053】
使用されてもよい非イオン界面活性剤としては、特に、疎水性基および反応性水素原子を有する化合物、例えば、脂肪族アルコール、酸、アミドもしくはアルキレンオキシド、特に、エチレンオキシド単独もしくはプロピレンオキシドを伴うエチレンオキシドを伴うアルキルフェノールの反応生成物が挙げられる。特定の非イオン界面活性剤化合物は、アルキル(C〜C22)フェノール−エチレンオキシド縮合物、脂肪族(C〜C18)第一級もしくは第二級線状または分岐アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、ならびにエチレンオキシドと、プロピレンオキシドおよびエチレンジアミンとの反応生成物との縮合により作られる生成物である。その他のいわゆる非イオン界面活性剤化合物としては、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシドおよびジアルキルスルホキシドが挙げられる。
【0054】
非イオン界面活性剤は、また、多糖類アミド等の糖アミドであってもよい。特に、この界面活性剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5389279号(Au他)において記載されているラクトビオンアミドの1つであってもよく、または、参照により対象出願に組み込まれる米国特許第5009814号(Kelenberg)において記載されている糖アミドの1つであってもよい。
【0055】
使用されてもよいその他の界面活性剤は、参照により対象出願に組み込まれる米国特許第3723325号(Parran Jr.)において記載されているものおよび米国特許第4565647号(Llenado)において記載されているアルキル多糖類非イオン界面活性剤である。
【0056】
好ましいアルキル多糖類は、式:
O(C2nO)(グリコシル)
[式中、Rは、アルキル基が、約10〜約18個、好ましくは、約12〜約14個の炭素原子を含む、アルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルフェニルおよびこれらの混合物から成る群から選択され、nは、0〜3、好ましくは2であり、tは、0〜約10、好ましくは0であり、xは、1.3〜約10、好ましくは、1.3〜約2.7である。]のアルキルポリグリコシドである。グリコシルは、好ましくは、グルコースから誘導される。これらの化合物を調製するためには、アルコールまたはアルキルポリエトキシアルコールを初めに形成し、次いで、グルコースまたはグルコース源と反応させてグルコシド(1−位置に結合)を形成する。次いで、追加のグリコシル単位は、これらの1−位置および先のグリコシル単位2−、3−、4−および/または6−位置、好ましくは主に2−位置との間に結合することができる。
【0057】
この液体洗剤組成物における合計界面活性剤は、2重量%〜30重量%、好ましくは、3重量%〜25重量%、最も好ましくは、5重量%〜20重量%の範囲にあることができる。良好な泡立ちのためには、アニオン界面活性剤および両性/両性イオン界面活性剤の組合せは、本発明の液体洗剤組成物において、合計界面活性剤の40重量%を超え、最も好ましくは、合計界面活性剤の60重量を超えるのが好ましい。
【0058】
適当な皮膚有益剤は、この液体洗剤組成物において不溶(即ち、液体組成物において1重量%未満可溶)である化粧品品質の有機、無機またはポリマー物質と定義される。種々のクラスの油類を含むことのできる有益剤の例は、以下において示される。
【0059】
植物性油:落花生油、ヒマシ油、カカオ脂、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、菜種油、ヒマワリ種子油、ゴマ油および大豆油、ならびにアボカド油。
【0060】
エステル:ブチルミリステート、セチルパルミテート、デシルオレエート、グリセリルラウレート、グリセリルリシノレエート、グリセリルステアレート、グリセリルイソステアレート、ヘキシルラウレート、イソブチルパルミテート、イソセチルステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソプロピルラウレート、イソプロピルリノレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールリシノレエート、プロピレングリコールステアレート、およびプロピレングリコールイソステアレート。
【0061】
動物性油:アセチル化ラノリンアルコール、ラノリン、ラード、ミンク油および獣脂。
【0062】
脂肪酸およびアルコール:ベヘン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、エイコサニルアルコールおよびイソセチルアルコール;およびスレアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛等の脂肪酸の不溶性塩。
【0063】
油/皮膚軟化剤のその他例としては、石油、鉱油、天然または合成ワックス、アロエ、およびジメチルポリシロキサン、シリコーンエラストマー、ポリブテンなどのアルキレンもしくはイソアルキレンの水素化もしくは非水素化ポリマー、ポリアルファオレフィン、ポリエステルまたはポリアクリレート、ならびに上記の混合物などの高分子有益剤が挙げられる。
【0064】
この剤は、また、変性または非変性雲母、タルクもしくはTiO等の無機粒子を含むこともできる。有益剤(例えば、皮膚軟化剤/油)は、一般に、組成物の約0.1重量%〜30重量%、好ましくは、1重量%〜25重量%の量において使用される。
【0065】
有益剤の粒径は、0.01〜500μmまで、好ましくは、0.1〜200μmの範囲にあることができる。
【0066】
本発明の液体個人向け洗剤組成物の鍵となる成分は、増粘/安定化系であってもよい構造化系である。本発明の増粘/安定化系は、脂肪酸および変性または非変性デンプンの組合せである。脂肪酸およびデンプンとの間の相乗効果により、液体洗剤は、デンプンまたは脂肪酸単独の使用よりも、脂肪酸およびデンプンの組合せを使用して更に効果的に増粘および安定化することができる。更に重要なことには、この新規な増粘/安定化系は、広範囲の合成界面活性剤および液体洗剤に対して働き、系に添加されるデンプンまたは脂肪酸の量を変えることにより、簡単に容易に組成することのできる、注入できるものからローション状までの範囲の粘度を組成物に持たせることができる。
【0067】
この個人向け液体組成物を増粘/安定化する以外に、この系は、また、合成界面活性剤の泡立ち性を助ける。例えば、この新規な増粘/安定化系を含む洗剤は、本発明の新規な安定化系を伴わない洗剤よりも一層クリームのような泡立ちを生成する。この増粘/安定化系の各成分は、以下に詳細に記載される。
【0068】
本発明にとって特に有用な脂肪酸は、8〜13、好ましくは、10〜12の範囲における炭素鎖長を有する線状脂肪酸である(例えば、Unigema社のPrifrac(登録商標)2906またはPrifrac(登録商標)2920)。分岐脂肪酸、不飽和脂肪酸または更に長い鎖長脂肪酸(C14以上)は、これらを使用することはできるが、これらの抗発泡性、特に、この液体組成物における合成界面活性剤水準が15重量%未満である場合の抗発泡性により好ましくない。したがって、構造化系の好ましい実施形態は、C〜C13線状脂肪酸および15重量%未満の界面活性剤を含む。
【0069】
好ましい線状脂肪酸は、低濃度の界面活性剤液体洗剤組成物を構造化するため、および柔らかい合成界面活性剤に対して有効な発泡補助剤として機能するために、水分散性または水可溶性デンプンと一緒に働く。構造化剤および発泡補助剤として両方で働くためには、言及されている液体組成物における好ましい線状脂肪酸は、部分的に中和されなければならない。中和の程度は、脂肪酸の10重量%〜80重量%、好ましくは20重量%〜60重量%の範囲でなければならない。中和の程度は、この液体洗剤組成物のpHにより調節することができ、このpHは,4.5〜7.5、好ましくは、5.0〜7.0の範囲でなければならない。
【0070】
理論に拘泥するつもりはないが、好ましい液体洗剤組成物の優れた泡立ち性は、この液体洗剤組成物が、この製品の使用の間に水で希釈される場合に、界面活性剤溶液における中和されている線状C〜C13脂肪酸の良好な溶解度によるものと考えられる。
【0071】
この液体洗剤組成物における好ましい線状脂肪酸の水準は、この液体組成物における合成界面活性剤の量に依存する。良好な泡立ち性および優れた安定性のためには、脂肪酸対合計合成界面活性剤の重量比は、1.0/9.0〜3.5/6.5、好ましくは、1.5/8.5〜3.0/7.0の範囲になければならない。
【0072】
更に、この個人向け液体洗剤を増粘しおよび安定化するためにデンプンと一緒に効果的に働くためには、脂肪酸は、4.5〜7.5、好ましくは、5.0〜7.0の範囲におけるpHにおいて、合成界面活性剤を伴う濁り溶液を形成しなければならない。これは、約5.5〜6.5のpHで、12重量%の所望の合成界面活性剤および3重量%の所望の好ましい線状脂肪酸を含む、界面活性剤/脂肪酸混合物を作ることにより決定することができる。pHは、KOHまたはクエン酸溶液で調整される。調製された界面活性剤/脂肪酸溶液が透明である場合、そのときは、合成界面活性剤組成物を変えるか、または、脂肪酸の水準を、溶液が曇るまで増加させねばならない。
【0073】
液体における脂肪酸の水準は、液体のpHを下げるか、または脂肪酸対合成界面活性剤の比を増加することにより増加することができる。曇りは、脂肪酸−誘発界面活性剤/脂肪酸粒子の形成によるものと考える。液体において形成される、脂肪酸−誘発界面活性剤/脂肪酸粒子の重量%は、液体から界面活性剤/脂肪酸粒子を分離する前後で液体の固形分%を測定することにより決定することができる。曇った脂肪酸/界面活性剤溶液からの脂肪酸/界面活性剤粒子の分離は、遠心分離により行うことができる。
【0074】
脂肪酸−誘発界面活性剤粒子の量は、界面活性剤/脂肪酸の合計の少なくとも15重量%、好ましくは25重量%以上で85重量%以下でなければならない。液体洗剤の安定性は、空間を充填することによる、これらの界面活性剤/脂肪酸粒子とデンプン粒子の相互作用により達成されるものと考える。即ち、複合体構造は、界面活性剤/脂肪酸粒子および安定性を与えるデンプン粒子との間で形成されるものと考える。
【0075】
本発明のデンプンは、好ましくは、トウモロコシ、ワキシートウモロコシ、タピオカ、ポテト、小麦または米等の植物から得られる高分子量多糖類である。植物はデンプンを合成し、それを、植物源によって、1〜100μmの範囲におけるサイズを有する小さな別々の粒子、いわゆるデンプン粒において蓄積する。非変性デンプン粒は、40℃未満の温度で水において不溶である。デンプンは、デンプン粒が溶解した後、または、水により高度に膨潤した後でのみ増粘剤または構造化剤として働くことができる。これは、デンプン粒の加熱によりまたは化学的もしくは物理的変性により達成することができる。
【0076】
多くのデンプン粒(特に、非変性のもの)にとって、加熱は、デンプン粒子を膨潤または可溶性にするために必要とされる。デンプン粒を溶解または完全に膨潤するために必要とされる温度は、植物源または変性、もしあれば、特定のデンプンの変性に伴って変動する。非変性デンプン粒では、一般に、ポテトデンプンは、通常のトウモロコシデンプン(約75℃)より低い温度でゲル化するワキシートウモロコシデンプン(約70℃)より低い温度(約65℃)でゲル化する。デンプン粒のゲル化温度(粒を一緒に保持する分子間水素結合が弱く、粒が、水による急速な不可逆膨潤を受ける臨界温度)は、デンプン粒を低温処理に適したものとするためにデンプン粒を物理的にまたは化学的に変性することにより劇的に減少させることができる。
【0077】
変性デンプンには、広義に、2つのタイプのデンプン粒または粉末が存在する。1つは、親水性イオン性または/および非イオン性基、例えば、ホスフェート、スルフェート、スルホネート、カルボキシレート、ジアルキル/トリアルキルアミノもしくは第4級アンモニウム、ヒドロキシルエチルもしくはヒドロキシプロピル基等で化学的に変性されている。化学的に変性されたデンプン粒は、元のデンプン粒より低いゲル化温度を有する。一般に、ゲル化温度は、置換の水準の増加と共に減少する。置換の程度が高いと、化学的に変性されたデンプン粒は、冷水においても膨潤できるようになる。
【0078】
他のタイプのデンプンは、アルファ化冷水可溶または膨潤可能なデンプン粉末であり、これは、加熱の必要なしに冷水において容易に分散および溶解する。これらの冷水可溶デンプン粉末は、デンプン粉末を形成するためにゲル化および乾燥されているもので、したがって、冷水において分散および膨潤する。
【0079】
非変性デンプン粒および化学的にまたは物理的に変性されたデンプンは共に、本発明の個人向け液体洗剤用途のために上述の脂肪酸と組み合わせて、増粘/構造化剤として適切なものである。
【0080】
対象発明においては、デンプン粒の膨潤または溶解は、界面活性剤の存在または不存在で、特定のデンプン粒のゲル化温度よりも高い温度で行うことができる。高い処理温度は、一般に、これらのデンプン粒の高度の膨潤もしくは良好な可溶化により、高粘度もしくは良好な懸濁性を伴う液体洗剤を生成する。デンプン粒または粉末を、界面活性剤の存在において処理することが好ましい。界面活性剤の存在においては、これらのデンプン粒または粉末は、膨潤して、本発明の液体洗剤組成物を増粘し、構造化しおよび安定化するために、そのゲル化温度よりも高い温度で処理された後にデンプンゲル粒子を形成する。この方法により、液体洗剤は、膨潤したデンプンゲル粒子により安定化され、本発明の液体洗剤は、真の剪断薄化レオロジー、非糸引き性、塊のない滑らかな外観を有し、この製品の使用の間に、水において分散することが容易である。
【0081】
一般に、どのようなデンプンが使用されようとも、デンプン粒は、最終組成物における使用によって、少なくとも200容量%、好ましくは、少なくとも400容量%、更に好ましくは、少なくとも600容量%、最も好ましくは、少なくとも800容量%膨潤して、2〜300μmの範囲におけるサイズを伴う膨潤したデンプンゲル粒子を形成することが好ましい。
【0082】
水を増粘するために、水において膨潤または溶解するための加熱を必要とするデンプン粒の例は、National 1545、Amiocaトウモロコシデンプン、Structure Soaln(変性ポテトデンプン)、Clearjel、Hi Flo、National 1333、Colflo 67、National Frige、Novation 1600、Novation 2700またはPurity 420である。冷水膨潤変性デンプン粉末の例は、Ultra−Sperse(変性タピオカまたはワキシートウモロコシデンプン)、Stir−N−set(変性タピオカデンプン)、National 5717(アルファ化変性ワキシートウモロコシデンプン)、National 1215(アルファ化非変性トウモロコシデンプン)またはStructure ZEA(ヒドロキシプロピル変性トウモロコシデンプン)である。上で言及された全てのデンプンは、National Starch and Chemical社から市販されている。その他の市販の化学的に変性されたデンプン粒の例は、Grain Processing社のPureGel B990、PureGel B992、PureGel B980であり、または非変性デンプンは、PureDentデンプンである。
【0083】
処理温度、デンプン増粘効率、この洗剤において使用される界面活性剤の量および組成、液体のpH、この液体洗剤組成物における添加剤および所望の最終液体粘度によって、液体における変性および/または非変性デンプン粒もしくはデンプン粉末の量は、0.5重量%〜15重量%、好ましくは、1重量%〜10重量%、最も好ましくは、1重量%〜6重量%の範囲であることができる。この液体の最終粘度は、SVlSTスピンドルを伴うHaake RV20 Rotoviscoレオメーターを使用して25℃で測定した場合、1秒当たり10〜400Paの範囲、好ましくは、20〜300Paの範囲、最も好ましくは、40〜200Paの範囲でなければならない。
【0084】
粘度が10Paより低い場合は、調製された組成物は、室温で不安定であり、デンプンゲル粒子がこの組成物の外に沈殿して、液体の底に、分離ゲル相を形成する。粘度が400Paより高い場合は、液体は、この製品の使用の間に、容易に処理するためおよび分散するためにはあまりにネバネバしすぎる。
【0085】
更に、本発明の組成物は、以下の様な任意の成分を含んでもよい:
水溶性皮膚有益剤、この液体組成物において含まれることが好ましい任意の成分。種々の水溶性皮膚有益剤が使用でき、この水準は、1重量%〜30重量%、好ましくは、1重量%〜20重量%であることができる。堆積した油の皮膚の状態調節効果は、これらの水溶性皮膚有益剤の添加により高めることができる。材料としては、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンテノールおよび糖等のポリヒドロキシアルコール;尿素;グリコール酸または乳酸等のアルファ−ヒドロキシ酸およびこの塩;ならびに20,000未満の分子量を持つ低分子量ポリエチレングリコールが挙げられるがこれらに限定されない。液体組成物における使用のために好まれる水溶性皮膚有益剤は、グリセロール、ソルビトールおよびプロピレングリコールである。
【0086】
カチオンポリマー(その他の非常に望ましい任意の成分)は、好ましい皮膚感触を与えるためおよび10μm未満の粒径を伴う皮膚有益剤の堆積を高めるために組成物において使用されてもよい。適当なカチオンポリマーの例は、Jaguar C13S、Jaguar C14S、Jaguar C17、またはJaguar C16の商標名でRhone Poulenc社から入手できるカチオングアーを含む変性多糖類;Amerchol社のUCARE Polymer JR 30もしくはJR 40等のカチオン変性セルロース;Hercules社のN−Hance 3000、N−Hance 3196、N−Hance GPX 215もしくはN−Hance GPX 196;Nalco社のMerQuat 100、MerQuat 280、Merquat 281およびMerquat 550等の合成カチオンポリマー;例えば、Staley社製のStaLok(登録商標)100、200、300および400等のカチオン性デンプン;Henkel社のGalactasol 800シリーズのグアーガムをベースとしたカチオン性ガラクトマンナン;Quadrosoft Um−200;ならびにPolyquaternium−24である。
【0087】
補助増粘剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボポール(carbopol)、グルカミド、またはRhone Poulenc社のAntil(登録商標)等;香料;0.01重量%〜1重量%、好ましくは、0.01重量%〜0.05重量%の量における金属イオン封鎖剤、例えば、テトラナトリウムエチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、EHDPまたはこれらの混合物等;ならびに、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、TiO、EGMS(エチレングリコールモノステアレート)またはLytron 621(スチレン/アクリレートコポリマー)等の着色剤、乳白剤および真珠光沢付与剤;これらの全ては、製品の外観または化粧性を高めることにおいて有用である。
【0088】
この組成物は、更に、2−ヒドロキシ−4,2’,4’−トリクロロジフェニルエーテル(DP300)等の抗菌薬;ジメチロールジメチルヒダントイン(Glydant XL1000)、パラベン(paraben)、ソルビン酸等の防腐剤を含んでもよい。
【0089】
この組成物は、また、泡補助剤としてココナッツアシルモノ−またはジエタノールアミドを含んでもよく、塩化ナトリウムおよび硫酸ナトリウム等の強力にイオン化する塩が、便宜のために使用されてもよい。
【0090】
耐酸化剤、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびビタミンA、CおよびEまたはこれらの誘導体が、適切な場合は、約0.01重量%以上の量において都合よく使用されてもよい。
【0091】
使用されてもよいポリエチレングリコールとしては、
【0092】
【表1】
が挙げられる。
【0093】
使用されてもよい増粘剤としては、Amerchol Polymer HM 1500(ノノキシニルヒドロエチルセルロース);Glucam DOE 120(PEG 120 メチルグルコースジオレエート);Rewo Chemicals社のRewoderm(登録商標)(PEG変性グルセリルココエート、パルメートまたは牛脂脂肪酸);Antil(登録商標)141(Goldschmidt社)が挙げられる。
【0094】
含まれてもよいその他の成分は、ポリオキシエチレンビーズ、クルミのシートおよびアプリコットの種ならびにタルクおよびシリケート等の固体無機粒子等のエクスフォリアント(ex−foliants)である。香料カプセルまたは油カプセルなどのカプセルも使用することができる。
【0095】
(実施例)
実施例および比較例、または別途明示的に指示されている場所における以外は、量または材料比または条件または反応、材料の物性および/または使用を示す本明細書の記載における全ての数は、「約」という用語で修飾されているものと理解されるべきである。
【0096】
本明細書において使用される「含む」という用語は、言及されている特徴、整数、工程、成分の存在を含むことを意図するものであるが、1つまたは複数の特徴、整数、工程、成分またはこれらのグループの存在または付加を排除することを意図するものではない。
【0097】
以下の実施例は、本発明を更に例示することを意図するものであり、決して本発明を限定することを意図するものではない。
【0098】
別段の指示がなければ、全ての%は、重量%であることを意図するものである。
【実施例】
【0099】
(実施例1〜9;液体安定性に対する脂肪酸およびデンプン間の相乗効果)
液体を安定化するためのデンプンおよび脂肪酸との間の相乗効果を示すために、本出願人は、以下の表1において記載されている実施例1〜9を示す。
【0100】
【表2】
【0101】
液体のpHは、30%クエン酸または40%KOH溶液を使用して、6.7〜6.9に調整した。
【0102】
この新規な脂肪酸/デンプン増粘/安定化系は、極めて頑丈で、広範囲の界面活性剤組成物、界面活性剤水準および種々のタイプの有益剤(例えば、皮膚軟化油)に対して働く。これらの実施例において示された全ての液体は、良好な泡立ち、素敵な外観、および優れた貯蔵安定性を有する。
【0103】
実施例1〜8は、初めに、脱イオン水、界面活性剤および脂肪酸を、75〜80℃で混合し、均一混合物を形成することにより調製された。次いで、デンプン粒(National 1545、実施例1〜8のための変性蝋質トウモロコシ)を、脱イオン水において30%分散体として、界面活性剤/脂肪酸混合物に添加し、75〜80℃で5分間混合した(添加の順序は限定されない)。KOHの計算量を、6.7〜6.9の範囲までpHを調整するために添加した。デンプンを、75〜80℃で20〜30分間混合を続けて界面活性剤溶液において膨潤/または溶解し、溶液を冷却した。Jaguar C13Sを、使用する場合は、グリセリンに予備分散し、冷却中に界面活性剤/脂肪酸/デンプン混合物に添加した。
【0104】
香料、Glydant Plusおよびその他の成分を、35℃未満の温度で添加した。皮膚軟化油を、35℃未満の温度で液体と混合した。最終pHをチェックし、KOHまたはクエン酸溶液で約6.8まで調整した。
【0105】
実施例9は、デンプン粉末(Structure XL、アルファ化デンプン)を添加する方法以外は、上述の手順と同じ手順を使用して調製された。デンプン粉末を、脱イオン水、界面活性剤および脂肪酸と一緒に、混合物を加熱する前に添加し、75℃〜80℃で混合した。調製した全ての実施例は、1ヶ月にわたって、45℃および室温の両方において安定であることが分かった。
【0106】
(比較例1A〜5B)
線状C〜C13脂肪酸およびデンプンの両方が使用される場合にのみ相乗効果が存在することを示すために、実施例1、2、3、4、5、6および9と同じ組成物であって、脂肪酸またはデンプンだけを含み、両方一緒には含まない組成物を伴う8つの液体を比較のために調製した。実施例2と同じ組成物を伴うその他の液体(比較例2C)を、液体の安定性について脂肪酸鎖長の効果を示すために、ミリスチン酸(14の炭素鎖長を伴う線状脂肪酸)およびデンプンの組合せを使用して調製した。調製は、実施例1〜9と同様であった。これらの比較例の組成物は、以下の表2において示される。
【0107】
比較例1A〜5B;デンプンもしくは脂肪酸のいずれか(両方ではない)、またはC14鎖長脂肪酸を含む液体
【0108】
【表3】
【0109】
液体のpHは、30%クエン酸または40%KOH溶液を使用して、6.7〜6.9に調整した。全て重量%において測定した。
【0110】
これらのサンプルのいずれも、高温または室温貯蔵条件で安定ではなかった。これらは、全て、45℃で14日未満において相分離を示した。
【0111】
(実施例10〜16)
実施例10〜16は、本発明の液体の性質について、処理温度およびデンプンのタイプの効果を示す。実施例10は、比較のために調製される。National 1545デンプンは、50℃未満の温度で溶解も膨潤もしない変性蝋質トウモロコシデンプン粒である。Ultra−Sperse Aは、蝋質トウモロコシデンプンから得られた冷水可溶のものである。両方のデンプンは、National Starch & Chemical社から入手できる。Grain Processing社のPureGel B990は、約55℃のゲル化温度を持つ化学的に変性されたトウモロコシデンプン粒である。
【0112】
実施例10、11、12および14は、デンプン粒子を膨潤/または溶解するために、処理温度を除いて、実施例1〜9で記載された手順と同じ手順を使用して調製された。即ち、デンプンを、最初に水と予備混合せずに、界面活性剤、脂肪酸および水の混合物に添加した。各実施例10〜14に対する、デンプン粒子を膨潤または溶解するための処理温度は、以下の表3において示される。実施例13は、デンプン粒を脱イオン水と、80〜83℃で混合して、初めにペースト状デンプン溶液を形成するために調製された。次いで、界面活性剤、脂肪酸およびその他の成分を添加し、完全に水和したデンプンと混合した。
【0113】
実施例10および11は、注入可能な粘稠液体であり、その他の3つのサンプル(実施例12、13および14)は、全てローション状外観を有する。高いデンプン膨潤処理温度で調製したサンプルは、高い粘度および良好な安定性を有していた。例えば、73℃で処理された実施例12は、実施例12と同じ組成物を有するが低温で処理された実施例10よりもかなり高い粘度を有していた。
【0114】
実施例12の粘度は、実施例10の20〜25Paに対して、1秒当たり約65Paである。粘度は、Haaker R20粘度計を使用して、室温(25℃)で測定した。実施例10を除く全てのサンプルは、1ヶ月にわたり、室温および45℃の両方で安定であった。実施例10(比較)は、45℃において4週後に相分離を示した。これらの実施例は、個人向け液体洗剤組成物におけるデンプン粒子の膨潤の程度が、液体の物理的安定性にとって重要な要素であることを示す。この液体組成物におけるデンプン粒子の膨潤の程度は、デンプン粒の処理温度および変性に依存する。
【0115】
したがって、実施例10は、例えば(水溶性ではなく、42〜45℃で処理されるデンプンを伴う)、実施例13(水溶性デンプンが使用される)よりも僅かに少ない安定性を与える。液体組成物におけるデンプン粒の膨潤の程度は、少なくとも200容量%、最も好ましくは600容量%であったことが好ましい。効果を伴って、膨潤の程度、少ないデンプン(実施例13対実施例10)または低い処理温度(実施例14対実施例10)が、高い粘度および良好な貯蔵安定性を伴う個人向け洗浄液体を作るのに使用することができる。
【0116】
【表4】
【0117】
液体のpHは、30%クエン酸または40%KOH溶液を使用して、6.7〜6.9に調整した。
【0118】
(比較例6A〜13A;ポリマー増粘剤で構造化された液体)
これらの比較例は、液体の安定剤としてポリマー増粘剤(本発明の脂肪酸/デンプン増粘系ではなく)のみを含む個人向け液体洗剤の貯蔵安定性を示す。当該技術分野において考えられる種々のポリマー増粘剤を評価した。比較例8Aを除く全ての例は、1ヶ月間、45℃の貯蔵条件で安定ではなかった。全てが、2週間未満において相分離を示した。
【0119】
液体洗剤の安定性は、比較例8Aにおいて認められる様に、ポリマー増粘剤の水準を増加することにより高めることができるが、得られる液体は極めて濃く、ペースト状であり、ボトルの外に注ぐことが困難である(例えば、本明細書において検討される10〜400Paの範囲を超える)。使用中に、液体は皮膚上で塊になり、使用中に均等に伸ばすことが困難である。更に、これらの比較例は、本発明のデンプンおよび線状脂肪酸の組合せを使用する場合のその優れた増粘/安定化性を明確に証明している。
【0120】
【表5】