特許第5676855号(P5676855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676855
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20150205BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20150205BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   F24F1/00 361A
   F24F1/00 401C
   F24F13/06 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2009-100987(P2009-100987)
(22)【出願日】2009年4月17日
(65)【公開番号】特開2010-249451(P2010-249451A)
(43)【公開日】2010年11月4日
【審査請求日】2011年11月7日
【審判番号】不服2013-20824(P2013-20824/J1)
【審判請求日】2013年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺野 賢治
(72)【発明者】
【氏名】山本 高幹
【合議体】
【審判長】 森林 克郎
【審判官】 千壽 哲郎
【審判官】 山崎 勝司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−32238(JP,A)
【文献】 特開平9−145139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機(12)と、この送風機(12)によって生成された空気流を通過させて熱交換を行う熱交換器(13)と、前記送風機(12)及び前記熱交換器(13)を収容するとともに、当該熱交換器(13)を通過した空気流を吹き出す吹き出し口(22)を有している本体ケーシング(11)と、を備えている空気調和装置であって、
前記熱交換器(13)は、上部側が空気流の吹き出し方向先方側に、下部側が空気流の吹き出し方向後方側に位置するように傾斜して配置され、
前記熱交換器(13)は、前記送風機(12)から前方へ向けて流れる空気流を通過させることによって冷媒との間で熱交換させ、さらに当該空気流を当該熱交換器(13)に対して略垂直な前斜め下方に変向させて吐出させるものであり、
前記吹き出し口(22)が、前記熱交換器(13)の前面付近から当該熱交換器(13)に対して85°〜95°の角度で形成された平面状の壁部(31)と、この壁部に対向する壁部(33)とを有し、
前記上下壁部(31,33)の対向方向である上下方向に関する空気流の向きを調節する水平羽根(36)が、前記吹き出し口(22)に上下揺動可能に設けられ、
前記空気流の向きを最も下向きに調節したときの前記水平羽根(36)の姿勢が、当該水平羽根(36)の前後端部を通る線分(L)を基準として前記上壁部(31)と略平行であり、
前記空気流の向きを最も下向きに調節したときの前記水平羽根(36)と、前記壁部(31)との間には、冷房運転時に前記水平羽根(36)の上面(36c)に冷たい空気流の層からなる冷気シールを形成するための通風路(R)が形成され、
前記壁部(31)に対して垂直な方向についての間隔(A,B)であって、空気流の向きを最も下向きに調節したときの前記水平羽根(36)の空気流方向の上流側端部(36a)から前記壁部(31)までの間隔(A)と、当該水平羽根(36)の上流側端部(36a)から前記壁部(33)までの間隔(B)とが、
1.5A<B<2.5A
の関係を満たすように設定されいることを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
空気流の向きを左右方向に調節する垂直羽根(35)が、前記吹き出し口(22)に設けられており、
前記垂直羽根(35)の上端が、最も下向きに調節された水平羽根(36)の上端と略同一の高さに設定されている請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調された空気を室内に吹き出す空気調和装置に関し、特に、吹き出し口に設けられた調節羽根における結露の防止を図った空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、天井吊り型の室内機を有する空気調和装置が開示されている。この空気調和装置の室内機は、前面に吹き出し口を有する本体ケーシングと、この本体ケーシング内の前部側に収容された熱交換器と、本体ケーシング内の後部側に収容された送風ファンとを備えている。送風ファンは、本体ケーシングの下面から吸い込んだ空気を前方に送風し、熱交換器は、送風ファンによって前方に吐出される空気流を通過させることによって熱交換を行う。そして、熱交換された空気流が吹き出し口から室内に吹き出されることによって、室内の温度調節等が行われる。
【0003】
一方、本体ケーシングの吹き出し口には、空気流の向きを調節するための調節羽根が設けられている。図5は、従来技術(特許文献1)に係る空気調和装置の室内機の吹き出し口付近を拡大した側面断面図であり、この調節羽根は、空気流の向きを左右方向に調節する垂直羽根135と、この垂直羽根135の前側において、空気流の向きを上下方向に調節する水平羽根136とからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−106882号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された室内機では、図5に実線に示すように水平羽根136を最も下向きに調節すると、空気流は専ら水平羽根136の下側を通過し、水平羽根136の上側をあまり通過しない。また、水平羽根136の上側を空気流が通過した場合でも風量が少ないので水平羽根136の先端側にまでは空気流が行き届き難い。そのため、冷房運転時に、水平羽根136の上面には室内の暖かい空気が触れ易くなり、水平羽根136が下面側から冷気によって冷やされることによって上面側には結露が発生し、その結露水が室内に滴下してしまう虞があった。従来、結露水が室内に滴下するのを防止するために、水平羽根136の上面に凹凸を形成する等の対策もとられていたが、外観が悪化するという弊害があった。
【0006】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、調節羽根における結露の発生を防止することが可能な空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の空気調和装置は、送風機と、この送風機によって生成された空気流を通過させて熱交換を行う熱交換器と、前記送風機及び前記熱交換器を収容するとともに、当該熱交換器を通過した空気流を吹き出す吹き出し口を有している本体ケーシングと、を備えている空気調和装置であって、前記熱交換器は、上部側が空気流の吹き出し方向先方側に、下部側が空気流の吹き出し方向後方側に位置するように傾斜して配置され、前記熱交換器は、前記送風機から前方へ向けて流れる空気流を通過させることによって冷媒との間で熱交換させ、さらに当該空気流を当該熱交換器に対して略垂直な前斜め下方に変向させて吐出させるものであり、前記吹き出し口が、前記熱交換器の前面付近から当該熱交換器に対して85°〜95°の角度で形成された平面状の壁部と、この壁部に対向する壁部とを有し、前記上下壁部の対向方向である上下方向に関する空気流の向きを調節する水平羽根が、前記吹き出し口に上下揺動可能に設けられ、前記空気流の向きを最も下向きに調節したときの前記水平羽根の姿勢が、当該水平羽根の前後端部を通る線分Lを基準として前記上壁部と略平行であり、前記空気流の向きを最も下向きに調節したときの前記水平羽根と、前記壁部との間には、冷房運転時に前記水平羽根の上面に冷たい空気流の層からなる冷気シールを形成するための通風路Rが形成され、前記壁部に対して垂直な方向についての間隔A,Bであって、空気流の向きを最も下向きに調節したときの前記水平羽根の空気流方向の上流側端部から前記壁部までの間隔Aと、当該水平羽根の上流側端部から前記壁部までの間隔Bとが、 1.5A<B<2.5A の関係を満たすように設定されいることを特徴とする。
【0008】
熱交換器を通過した空気流は、熱交換器に対して略垂直な方向に流れるため、上記構成のように、吹き出し口の上部を熱交換器に対して略垂直(85°〜95°)に形成することによって空気流の乱れや流動抵抗を小さくし、十分な風量で吹き出し口から空気流を吹き出すことができ、空気流の向きを最も下向きに調節したときの水平羽根の上面にも通風路を介して十分に空気流を流すことができる。これによって、水平羽根の上面に好適に冷気シールを形成し、結露の発生を防止することができる。
また、熱交換器が傾斜して配置されている場合、熱交換器を通過し、当該熱交換器に対して略垂直に流れる空気流は、上部に沿って前斜め下方に向けて吹き出されるので、最も下向きに空気流の向きを調節した水平羽根の上面側に適切に空気流を流し、冷気シールを形成することができる。
【0010】
また、調節羽根(水平羽根)の空気流方向の上流側端部の位置を第1,第2壁部(上下壁部)との関係で上記の所定範囲内に設定することによって、第2壁部側(下側)へ向きが調節された空気流の風量を十分に確保して室内の空調を適切に行いつつ、調節羽根(水平羽根)の第1壁部(上壁部)側の表面にも冷気シールを形成するのに必要な風量の空気流を流すことができる。すなわち、調節羽根(水平羽根)を用いた風向の調節と当該調節羽根(水平羽根)の結露防止との両方を実現することができる。
【0011】
(2) 空気流の向きを最も下向きに調節したときの前記水平羽根は、前記壁部と略平行な姿勢とされているので、上部に沿って吹き出される空気流が水平羽根の上面全体に覆うように流れやすくなり、確実に冷気シールを形成することができる。
【0014】
) 空気流の向きを左右方向に調節する垂直羽根が、前記吹き出し口に設けられており、前記垂直羽根の上端が、最も下向きに調節された水平羽根の上端と略同一の高さに設定されていることが好ましい。
このような構成によって、水平羽根を最も下向きに調節した場合でも、垂直羽根により吹き出し口の長手方向に関する空気流の向きを好適に調節することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の空気調和装置によれば、調節羽根における結露の発生を好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る空気調和装置の室内機を示す正面図である。
図2図1に示される室内機の概略断面図である。
図3図1に示される室内機の内部構造の概略平面図である。
図4図1に示される室内機の吹き出し口付近を拡大して示す概略断面図である。
図5】従来技術に係る空気調和装置の室内機の吹き出し口付近を拡大した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機10の正面図であり、図2は、図1に示される室内機10の概略断面図である。また、図3は、図1に示される室内機10の内部構造の概略平面図である。室内機10は天井吊り下げ型であり、左右方向に長く、上下方向に薄い箱型に形成された本体ケーシング11を備えている。この本体ケーシング11の内部には、複数の送風ファン(送風機)12、熱交換器13、及び送風ファン駆動用のモータ(駆動部)14等が設けられている。
【0018】
図2に示されるように、本体ケーシング11は、天井に吊り下げ可能な天板部16と、この天板部16の前部側の下方に対向して配置された底板部17と、天板部16の後部側の下方に対向して配置されたグリルカバー18と、天板部16、底板部17、及びグリルカバー18の左右両側に設けられた側部カバー19(図1参照)とを備えている。天板部16の後端部は下方に屈曲されることによって後板部16aを構成している。グリルカバー18には本体ケーシング11内に室内の空気を吸い込むための吸い込み口20が形成されている。底板部17とグリルカバー18との間には、上下方向に延びる仕切り板21が設けられており、この仕切り板21によって、本体ケーシング11の内部が前後方向に2つの空間11A,11Bに区画されている。本体ケーシング11の前面には、左右方向に細長い長尺矩形状の吹き出し口22が前方に向けて開口するように形成されている。
【0019】
図3に示されるように、複数の送風ファン12は、本体ケーシング11内の後部側の空間11Bに左右方向に並べて配置され、仕切り板21等によって支持されている。各送風ファン12は、例えばシロッコファン等の多翼型ファンであり、モータ14によって駆動される。そして、送風ファン12は、本体ケーシング11の後部下面に形成された吸い込み口20(図2参照)から室内の空気を吸い込み、仕切り板21の前方の空間11Aへ流れる空気流を生成するように構成されている。
【0020】
図3に示されるように、熱交換器13は、本体ケーシング11内の前部側の空間11Aに配置されており、送風ファン12によって生成された前方への空気流を通過させるように設けられている。この熱交換器13は、左右方向に所定間隔をあけて並べて配置された多数のフィン25と、このフィン25を貫通した状態で左右方向に延びる冷媒配管26とを含む。この熱交換器13は、本体ケーシング11の内部空間における左右方向の大部分の範囲に亘る長さを有しており、正面からみて左右方向一方側(図示例では左側)にやや偏って配置されている。熱交換器13の左右方向他方側(図示例では右側)には、室外機との間で冷媒を循環させるための配管27等が当該熱交換器13に隣接して配置されている。複数の送風ファン12は、熱交換器13の左右方向の範囲全体に空気流を送るように左右方向に分散して配置されている。空気調和装置は、この熱交換器13を蒸発器として用いることで冷房運転が可能であり、凝縮器として用いることで暖房運転が可能である。
【0021】
図2に示されるように、熱交換器13は、上部側が前方(吹き出し口22側;空気流の下流側)に位置し、かつ下部側が後方(送風ファン12側;空気流の上流側)に位置するように本体ケーシング11の天板部16又は底板部17に対し傾斜して配置されている。そして、送風ファン12から前方へ向けて流れる空気流は、熱交換器13を通過することによって冷媒配管26内を流れる冷媒との間で熱交換され、当該熱交換器13に対して略垂直な前斜め下方に変向されて吐出されるようになっている。
【0022】
天板部16の前端部の下面には断熱材30が設けられ、この断熱材30によって吹き出し口22の上壁部31が構成されている。また、底板部17の上面には、熱交換器13で発生した結露水を受けるドレンパン32が設けられ、このドレンパン32の前縁部によって吹き出し口22の下壁部33が構成されている。
【0023】
図4は、図1に示される室内機の吹き出し口付近を拡大して示す概略断面図である。上壁部31の下面は、熱交換器13の前面付近から前斜め下方に向けて傾斜した平面状の傾斜面となっており、熱交換器13に対して略垂直に形成されている。例えば、上壁部31と熱交換器13との相対角度θは、θ=85°〜95°の範囲に設定されており、具体的に本実施の形態では、θ=90°に設定されている。したがって、熱交換器13を通過して当該熱交換器13に対して略垂直に流れる空気流は、上壁部31に沿って小さい流動抵抗で乱れも少なく吹き出し口22を通過する。これによって、吹き出し口22から吹き出される空気流の風量及び風速の低下を抑制することができる。また、下壁部33の上面は略水平に形成されている。
【0024】
図4に示されるように、吹き出し口22には、熱交換器13を通過して吹き出し口22から吹き出される空気流の向き(風向)を調節する調節羽根が設けられている。この調節羽根は、風向を左右方向に調節する垂直羽根(第1調節羽根)35と、この垂直羽根35の前側に配置されるとともに、風向を上下方向に調節する水平羽根(第2調節羽根)36とを含む。
【0025】
図3に示されるように、垂直羽根35は、吹き出し口22の長手方向の略全体に亘る範囲で多数枚並設されており、それぞれが上下方向の第1軸心X1回りに左右揺動可能に下壁部33に設けられている。垂直羽根35は、互いに隣接する数枚(例えば4枚)が連動部材39を介して連結され、この連結された数枚の垂直羽根35が連動して同一の方向に揺動するように構成されている。
【0026】
水平羽根36は、吹き出し口22の長手方向の略全体に亘る長さを有している。水平羽根36は、図示しない支持部材を介して左右方向に沿った第2軸心X2回りに上下揺動可能に設けられ、図示しないモータやリンク機構によって揺動駆動されるように構成されている。水平羽根36は、図4において2点鎖線で示す横向き姿勢を風向調節の上限とし、実線で示す下向き姿勢を風向調節の下限として、これらの姿勢の間で空気流の風向を上下に調節するように構成されている。また、水平羽根36は、横向き姿勢とされた状態で、側面視で上に凸となるように湾曲した形状に形成されている。
【0027】
図4に実線で示すように、水平羽根36が最も下向きの姿勢とされたとき、その後端部36aと上壁部31との間には空気流を通過させることができる間隔Aが形成され、この間隔Aによって通風路Rが構成されている。この通風路Rは、熱交換器13を通過して前斜め下方に向けて吐出される空気流を水平羽根36の上面に沿って流れさせるように設けられている。したがって、冷房運転時に、水平羽根36の上面には冷たい空気流の層からなる冷気シールが形成されることとなり、室内の暖かい空気が水平羽根36の上面に触れることによって当該上面36cに結露が発生するのを防止している。
【0028】
ここで、通風路Rの寸法Aが大きければ大きいほど水平羽根36の上面36aにはより多くの冷気が供給され、結露の防止作用が高まるが、その分、水平羽根36の下側を通って下向きに吹き出される空気流が少なくなり、所望の向きに風向を調節することが困難になる。そこで、本実施の形態では、水平羽根36の下側を通過して下向きに吹き出される空気流の風量を十分に確保しつつ、結露を防止するのに必要な風量の空気流を水平羽根36の上面36aに供給することができるように、下向き姿勢とされた水平羽根36の位置を適切に設定している。
【0029】
具体的には、下向き姿勢とされた水平羽根36の後端36aの位置は次のように設定されている。まず、吹き出し口22の上壁部31に垂直な方向に関して、水平羽根36の後端36aと上壁部31との間には間隔Aがあけられており、水平羽根36の後端36aと下壁部33との間には間隔Bがあけられている。そして、間隔Aと間隔Bとは、以下に示す関係を満たすように設定されている。
1.5A<B<2.5A (A:B=2:3 〜 2:5) ・・・ (1)
【0030】
式(1)に関して、間隔Bの寸法が1.5Aよりも小さい場合、水平羽根36の上側に多くの冷気を供給することができるが、水平羽根36の下側を流れる冷気の風量が少なくなり、水平羽根36による風向の調節が十分になされなくなる。逆に、間隔Bの寸法が2.5Aよりも大きい場合、水平羽根36の下側を流れる風量が多くなって風向の調節は好適に行えるものの、水平羽根36の上側には少量の冷気しか供給することができないので、水平羽根36の上面36cに十分な冷気シールを形成することが困難となる。したがって、間隔A,Bを式(1)の如く設定することによって、水平羽根36による風向の調節と、当該水平羽根36の結露防止との両方を実現することができる。
【0031】
なお、水平羽根36の後端部36aと、吹き出し口22の上壁部31及び下壁部33との間隔A及び間隔Bは、式(1)で示された範囲の中で、次の式(2)の関係を満たすように設定することがより好ましい。
B=2A (A:B=1:2) ・・・ (2)
【0032】
また、吹き出し口22の上壁部31を熱交換器13に対して略垂直に形成していることによって、熱交換器13を通過した空気流は上壁部31に沿って小さい流動抵抗で流れるので、通風路Rに対して十分な風量の空気流を供給することができる。これによって結露の発生をより確実に防止することができる。
【0033】
最も下向きの姿勢とされた水平羽根36は、吹き出し口22の上壁部31と略平行(熱交換器13に対して略垂直)とされ、例えば、吹き出し口22の上壁部31に対して−5°〜+5°の範囲の相対角度で配置されている。したがって、通風路Rを通過した空気流は、水平羽根36の上面36cに沿って流れ易くなり、当該上面36c全体に対して好適に冷気シールを形成することができる。なお、水平羽根36の姿勢は、水平羽根36の前後端部を通る線分Lを基準とする。
【0034】
垂直羽根35は、図4に実線で示すように最も下向きの姿勢とされた水平羽根36の後端36aの高さと略同じ高さに形成されている。したがって、水平羽根36の下側を通って下向きに風向が調節される空気流は、垂直羽根35によって左右方向にも風向を調節することができる。
【0035】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく適宜設計変更可能であり、天井吊り型の室内機10を有する空気調和装置以外の空気調和装置にも適用することができる。例えば、天井埋め込み型のように吹き出し口が下向きに設けられた室内機を有する空気調和装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 室内機
11 本体ケーシング
12 送風ファン
13 熱交換器
22 吹き出し口
31 上壁部
33 下壁部
35 垂直羽根
36 水平羽根
図1
図2
図3
図4
図5