(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676879
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】圧力センサ用アダプタ
(51)【国際特許分類】
G01L 23/22 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
G01L23/22
【請求項の数】12
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2009-540568(P2009-540568)
(86)(22)【出願日】2007年12月5日
(65)【公表番号】特表2010-512519(P2010-512519A)
(43)【公表日】2010年4月22日
(86)【国際出願番号】CH2007000611
(87)【国際公開番号】WO2008071022
(87)【国際公開日】20080619
【審査請求日】2010年11月9日
【審判番号】不服2013-23521(P2013-23521/J1)
【審判請求日】2013年12月2日
(31)【優先権主張番号】2011/06
(32)【優先日】2006年12月11日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー、アレックス
(72)【発明者】
【氏名】シュタイガー、ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】エンゲラー、ポール
【合議体】
【審判長】
酒井 伸芳
【審判官】
清水 稔
【審判官】
関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】
実開平4−8938(JP,U)
【文献】
特開平11−160182(JP,A)
【文献】
特開平7−198521(JP,A)
【文献】
特開平5−5665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダ圧力を長期間観測する圧力センサ用アダプタであって、
その内壁によってガスダクト(2)の輪郭を画成するハウジング(1)と、
シリンダの内部と前記ガスダクト(2)の間でガスの接続を行う内燃機関のシリンダカバーへの接続部(3)と、
前記ハウジング(1)からの前記ガスダクト(2)の後部開口(11)であって、前記後部開口(11)の密封のための機構(12)を有する後部開口(11)と、
センサ膜(6)と圧力センサ(5)を挿入する接続部(4)と、
を有し、
前記センサ膜(6)が、挿入された状態で前記ガスダクト(2)の開口(7)まで達し、かつ前記ガスダクト(2)内のガス圧力にさらされ、かつ
前記開口(7)が、前記ガスダクト(2)の前記輪郭から前記接続部(4)まで遷移を形成する遷移線(8)を有する
アダプタにおいて、
前記開口(7)の前記遷移線(8)は平面内に延在し、前記圧力センサ(5)周りの前記ガスダクト(2)の断面は、エッジなく連続している
ことを特徴とするアダプタ。
【請求項2】
インジケーター弁が前記機構(12)に取付けうることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
センサ膜(6)を備える圧力センサ(5)を有する、請求項1または2のいずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記ガスダクト(2)の前記輪郭が平面を形成し、前記開口(7)の前記遷移線(8)の前記周囲(9)は、平らな面を形成することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記平らな面が細長い貫通穴(13)の一部分であることを特徴とする、請求項4に記載のアダプタ。
【請求項6】
前記平らな面が、局所の細長い穴(14)の一部分であることを特徴とする、請求項4に記載のアダプタ。
【請求項7】
前記開口(7)の前記遷移線(8)の前記周囲(9)における前記ガスダクト(2)の前記輪郭が、じょうご形状の面(10)を形成し、その傾斜が実質的に直線でも曲線でもよいことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項8】
前記接続部(4)が、前部密閉の圧力センサ用であることを特徴とする請求項7に記載のアダプタ。
【請求項9】
前記ガスダクト(2)が、前記じょうご形状の面(10)と対向する周囲において、隆起を有する、請求項7または8のいずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項10】
前記圧力センサ(5)のための前記接続部(4)の領域で、前記ガスダクト(2)の経路が、曲げを有し、前記接続部(4)が前記曲げの外側に配置されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項11】
前記センサ膜(6)が凹面(15)であることを特徴とする、請求項3に従属する請求項7乃至9のいずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項12】
前記凹面(15)が前記じょうご形状の面(10)への連続する遷移を形成することを特徴とする請求項11に記載のアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、内燃機関のシリンダ圧力を長期間観測する圧力センサ用アダプタに関するものであり、ガスダクトを有するハウジング、内燃機関のシリンダカバーへの接続部、機密性をもつ態様でこの後部開口を閉じる機構を有するハウジングからのガスダクトの後部開口、およびセンサ膜とともに圧力センサを挿入する接続部、を本アダプタは備える。
【0002】
内燃機関における測定圧力センサを取り付けるためのアダプタは、例えば、船舶内燃機関等の大きなディーゼル機関において、長期の圧力観測の実行のために使用される。このようなアダプタは、この目的のために接続部によってシリンダカバーに備えられており、シリンダのための開口をアダプタ自身が有している。アダプタは、シリンダ内でガスとガスを交換できる装着された状態で、かつ、特にシリンダ内でガス圧力にさらされたガスダクトと同様なハウジングを含む。
【0003】
さらに、このようなアダプタは、センサ膜を有する圧力センサを挿入する接続部を含み、挿入状態のセンサ膜がガスダクトに届き、かつガスダクト内のガス圧にさらされる。
【0004】
従来のアダプタは、センサの近傍で、長い運転期間の後に堆積物をそこに堆積させ、測定結果に影響を与える、逃げ部、首部および/または(and/or)ポケットを含む。船舶内燃機関の潤滑油操作におけるこれらの堆積物は、例えば湯垢やススと同様に、潤滑油残留物を含む。
【0005】
良好な測定結果を保証するため、ほぼ一日おき毎に、センサを取り外し、アダプタを洗浄することが必要である。このことは、膨大な保守管理の労力を意味し、例えば、船舶内燃機関である、内燃機関の運転は洗浄作業の間止めなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内燃機関においてセンサ膜を有する圧力センサを取り付けるアダプタであって、保守管理作業が容易となるアダプタを提供することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、独立請求項の特徴部に記載された構成により解決される。
【0008】
本発明の思想は、ガスダクト内でガス圧にさらされて挿入された状態にあるセンサ膜によって達せられるガスダクト内の開口の遷移線(transition line)が平面内で延在することにある。遷移線は、ガスダクトの輪郭(contour)と、センサへの接続部の間の遷移を形成する。
【0009】
開口の遷移線が平面の態様であることは、それ自体が平面端部で通常実施され、かつ挿入された状態であるセンサ膜が、ガスダクトの直接の円周部に可能な限り連続して遷移を形成するガスダクトの輪郭の部分を形成することを可能とする。このことは、不都合な態様として、汚染物が堆積しかつ圧力測定に影響を与えがちな端部および凹部を原因とする、ポケットの形成を防ぐ。
【0010】
本発明は、図面を参照しながら以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】センサを伴う本発明によるアダプタの断面斜視図である。
【
図2】センサを伴う本発明による他の実施態様のアダプタの断面斜視図である。
【
図3】センサを伴う本発明による実施態様のアダプタの断面図である。
【
図4】センサを伴う本発明による曲げを有するアダプタの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
参照符号は、両図面において同一である。
【0013】
図1および2は、本発明によるアダプタの断面斜視図であり、圧力センサ5が挿入されている。このタイプのアダプタは、長期のシリンダ圧測定や、具体的には、例えば、船舶内燃機関等の大きなディーゼル機関においての観測に、特に適している。このアダプタは、内壁によってガスダクト2の輪郭を画成するハウジング1を有する。
【0014】
ハウジング1は、内燃機関のシリンダカバーへの接続部3をさらに備える。搭載された状態で、シリンダからガスダクト2へのガスの接続は、この接続部3によって確保されている。
【0015】
ハウジング1の他の端部は、シリンダカバーへの接続部3に対向し、ガスダクト2の後部開口11が備えられ、この後部開口11の機密性密閉のための機構12を有する。この機構12は、インジケーター弁(indicator valve)が挿入される開口内での例えば雌ネジでありうる。したがって、アダプタは、インジケーター弁の取り付け部のために備えられたシリンダカバーに、現場において、挿入され得る。このインジケーター弁は、機構12に備えられたアダプタにおいて取り付けられる。アダプタへの全ての接続は、シリンダでのいかなる圧力損失も生じない、機密接続が確保されなければならない。
【0016】
さらに、アダプタはセンサ膜6と圧力センサ5を挿入する接続部4を含む。挿入された状態で、センサ膜6は、ガスダクト2まで達し、それによって圧力測定を行うためガスダクト2内の圧力、およびシリンダ内の圧力にさらされる。このため、ガスダクト2の輪郭から圧力センサ5の接続部4へ遷移を形成する遷移線8とともに膜を前進させるためにガスダクト2内に開口7が設けられる。本発明によると、開口7の遷移線8は、平面である。したがって、センサ膜6は、例えばスス等の汚染物がその中に堆積しうるポケットを形成することなく、開口7の遷移線8と同一の平面にはめ込まれうる。このようにして、センサ膜6の表面は汚れなく維持され、圧力センサ5による測定は、信頼できる数値を提供できる。
【0017】
図1および
図2に示された第1の実施例において、ガスダクト2の輪郭は、開口7の遷移線8の周囲9において平らな面を形成する。
【0018】
センサ膜6の周囲9のこの平面は、
図1に示されるように、シリンダカバーへの接続部3まで、細長い貫通穴によって形成され得る。代替例としては、
図2に示されるように、この平面は局所の細長い穴14によって達成されてもよい。このことは、例えばこの位置における局所的な切削によって達成される。
【0019】
アダプタ内の異なる箇所でそれでもやはり形成する汚染物を取り除くため、内燃機関の作動中、インジケーター弁がときおり短時間開放されることが可能であり、これによりアダプタにおける汚染物は発生した圧力により一掃される。図中の矢印は、インジケーター弁が開放されたときに発生する流れを示す。仮にインジケーター弁が存在しない場合、機密性密閉のための機構12を開くことによって、後部開口11が短時間開放され得る。端部に汚れが余りに強固に付着しない限り、この洗浄は有効であることが確認された。従来技術の装置においては、このタイプの洗浄は、センサ膜6を洗浄するのに十分でなかった。
【0020】
具体的には、本発明の一実施形態では、圧力センサ5を挿入された本明細書に記載されるアダプタはセンサ膜6を有し、このセンサ膜6は、ガスダクト2まで到達し、ともに共通表面を形成する。
【0021】
本明細書に記載される、長期間のシリンダ圧力観測および測定は、大きな保守管理の負担なく、内燃機関において達成される。
【0022】
図3および4において、更なる実施例が示される。これらの実施形態は、特に前部密閉(front sealing)の圧力センサ5に特に適している。本実施形態において、開口7の遷移線8におけるセンサ膜とアダプタの間の間隙(gap)がない後端部における密閉を備える圧力センサ5と比較して、前部密閉の圧力センサ5は利点を有する。ススは、この間隙に堆積し、センサ膜6の自由な発振の妨げとなる。アダプタのハウジング1に、プレス面16が直接前面域において押し付けられることができるので、前部密閉の圧力センサ5は間隙がない。プレス面16は、ハウジングの側において、開口7を囲み、遷移線8によって画成される。同様に、本実施例では、開口7の遷移線8は、平面内に存在する。
【0023】
本実施例では、ガスダクト2の側の遷移線8の周囲9は、じょうご形状の面10を形成する。したがって、ハウジング1は、遷移線8の周りで鋭角を形成する。具体的には、じょうごの傾斜は、直線でも曲線でもよい。ガスダクト2の輪郭から、挿入された状態でこの輪郭の部分を形成するセンサ膜6への遷移が、遷移線8の領域での連続した遷移を形成し、そのため例えばススである、汚染物が堆積しうるポケットが形成されない。
【0024】
センサ膜6の領域での流れの特徴を最適化するため、ガスダクト2は、じょうご形状の面10と対向する隆起17を有することができる。アダプタの洗浄の際に、
図1及び2において実施例として示されるように、流れは、センサ膜6の周囲9において発生し、このことは、完全な洗浄をもたらす。
【0025】
本発明によるアダプタのような組立における建設的な利点は、圧力センサの接続部4が
図4に示されるようなガスダクト2の曲げ部に配置されると達成される。曲げ部においては、じょうご形状の面10は、隆起17と同様に、本質的に存在する。このような場合、圧力センサ5の接続部4は、曲げ部の外側表面に備えられる。
【0026】
好ましくは、
図3および4に示される組立体は、前部密閉圧力センサが搭載されている。このような圧力センサ5は、好ましくは凹面15を備えるセンサ膜6を有し、ポケットを形成することなく、ガスダクト2の輪郭からセンサ膜の面まで連続する遷移が確保される。この連続する遷移は、
図3および4において記載されている。
【0027】
本明細書で開示されたアタプタの両実施例は、利点を有する。
図1および2に記載された第1の実施例は、より容易に組み立てることができ、
図3および4に記事されている他の実施例は、間隙を欠く膜周囲がより汚れのない状態が維持できるので、圧力センサ5の前部密閉によって、より良好な機能性をもたらす。
【符号の説明】
【0028】
1 ハウジング
2 ガスダクト、ガスダクトの輪郭
3 シリンダカバーの接続部
4 圧力センサを挿入する接続部
5 圧力センサ
6 センサ膜
7 センサ膜の開口
8 遷移線
9 遷移線の周囲
10 じょうご形状の面
11 後部開口
12 機密性密閉のための機構
13 細長い穴、貫通穴
14 細長い穴、局所
15 凹面
16 圧力面
17 隆起