(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676918
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】放射線遮蔽マット
(51)【国際特許分類】
G21F 3/00 20060101AFI20150205BHJP
G21F 1/10 20060101ALI20150205BHJP
G21F 1/12 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
G21F3/00 G
G21F1/10
G21F1/12
G21F3/00 E
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-119102(P2010-119102)
(22)【出願日】2010年5月25日
(65)【公開番号】特開2011-247666(P2011-247666A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2013年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153100
【氏名又は名称】株式会社日本環境調査研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】茂木 道教
(72)【発明者】
【氏名】河村 仁
(72)【発明者】
【氏名】上田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】児玉 高之
【審査官】
青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−172597(JP,A)
【文献】
実開昭57−094899(JP,U)
【文献】
特開2001−116881(JP,A)
【文献】
特開2007−271297(JP,A)
【文献】
実開平02−012698(JP,U)
【文献】
実開昭53−133100(JP,U)
【文献】
特表2006−526434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 1/00−3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線発生機器や放射線発生物から放射される放射線を遮蔽する放射線遮蔽マットにおいて、
対向する一対の側縁部をそれぞれ有するほぼ同一形状の第1シート及び第2シートと、前記第1シート及び前記第2シートに保持され、放射線を遮蔽する性質を有する材料の板状部材からなる複数の放射線遮蔽機能板とを備え、前記第1シート及び前記第2シートが、前記側縁部の延びる横方向に所定の間隔を開けた間隔部と、かつ前記横方向に直交する縦方向に長い多数の袋部と、前記各袋部の長手方向両端部のそれぞれと該各端部に隣接する前記側縁部との間に形成された所定寸法幅の余裕代とを備え、
前記第1シート及び前記第2シートそれぞれの前記各袋部が、前記両シートを重ね合わせたとき、一方の前記シートの前記各袋部と他方の前記シートの隣接する前記各袋部の前記間隔部とを対向させるように前記横方向に位相をずらして形成され、
前記放射線遮蔽機能板が、前記縦方向における少なくとも1箇所で分割された複数の分割板から構成され、これらの分割板が、その分割された側の端部をフックのようにC形またはU形に折り返して形成された継ぎ手を備え、その継ぎ手の連結中心を軸に相互に旋回可能に連結されているとともに、前記第1シートおよび前記第2シートの前記各袋部に収納され、これら分割板の継ぎ手が、該分割板を前記第1シートおよび前記第2シートの前記各袋部に収納したときに、前記縦方向における同じ位置に位置しつつ、前記横方向に延びる仮想の線上に整列し、
前記放射線遮蔽マットが、前記各袋部に前記放射線遮蔽機能板を収納した前記第1シートと前記第2シートとを重ね合わせて少なくとも前記第1シートと前記第2シートとの一方の前記側縁部同士及び他方の前記側縁部同士を接合して形成され、前記横方向へ折り曲げ可能であるとともに、前記継ぎ手によって前記縦方向へ折り曲げ可能であることを特徴とする放射線遮蔽マット。
【請求項2】
前記第1シートと前記第2シートとにおける一方の前記シートの前記各袋部に収納されている前記放射線遮蔽機能板が、他方の前記シートの前記各袋部に収納されている前記放射線遮蔽機能板に対してその側縁同士を部分的に重ね合わせるように、前記放射線遮蔽機能板の幅寸法及びその配列間隔が設定されている請求項1に記載の放射線遮蔽マット。
【請求項3】
前記第1シート及び前記第2シートの前記各袋部に収納された前記放射線遮蔽機能板が少なくとも1mm以上の厚さを有している請求項1又は2に記載の放射線遮蔽マット。
【請求項4】
前記第1シートと前記第2シートとのそれぞれは、可撓性を有する2枚のシート状素材を重ね合わせて構成され、前記各シートの前記袋部は、重ね合わされた2枚の前記シート状素材における前記放射線遮蔽機能板を収納する予定領域の周囲すべて若しくは一部を接合して形成され、前記袋部の少なくとも一部には、前記横方向に延びる入口部が形成され、前記放射線遮蔽マットは、前記入口部から前記袋部に前記放射線遮蔽機能板を収納した後に前記両シートが重なり合う前記側縁部同士を接合して形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の放射線遮蔽マット。
【請求項5】
前記入口部が、前記第1シート及び前記第2シートが相互に重ね合わせられる対面側に形成され、前記放射線遮蔽機能板の取り出しを不能にされている請求項4に記載の放射線遮蔽マット。
【請求項6】
前記入口部が、前記第1シート及び前記第2シートが相互に重ね合わせられる対面側とは反対側に形成され、前記放射線遮蔽機能板を取り出して入れ替え可能にされている請求項4に記載の放射線遮蔽マット。
【請求項7】
前記第1シート及び前記第2シートの前記各袋部に収納される前記放射線遮蔽機能板が、鉛、鉄、銅、亜鉛、タングステンのいずれかの素材からなる金属板若しくはこれら金属の粒子を樹脂又はゴムに分散した複合体で形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の放射線遮蔽マット。
【請求項8】
前記放射線遮蔽機能板として使用する前記金属板が、原子力関係施設から出る廃材を加工処理したものである請求項7に記載の放射線遮蔽マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線遮蔽マットに関し、さらに詳細には、例えば、原子力発電所や原子力研究所、或いは放射性物質を取り扱う施設などでの使用に適する放射線遮蔽マットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電所や放射性物質を取り扱う施設などでは、作業者を放射線の被曝から守るために放射線遮蔽マット或いはシートなどが用いられている。このようなシートは、作業者用の衣類に加工して使用したり、また放射性物質を入れた容器或いは装置などを囲んで周囲に放射線が漏れないように遮蔽体として使用される。かかる放射線遮蔽マット或いはシートは、簡易に使用するためのものであり、そのため持ち運びや保管が便利なように折り畳んだり丸めたりすることができるような構造であることが好ましい。
【0003】
このような用途で使用可能な放射線遮蔽マットの一例として、特許文献1及び特許文献2に開示された技術が知られている。前者の特許文献1に開示された放射線防護マット及びその使用方法の発明は、強化された合成樹脂布を用いて袋体を形成し、この袋体の内部に水を入れて膨張させ、この膨張袋体により放射線発生機器や放射線発生物を覆うようにしたものである。
【0004】
また、後者の特許文献2に開示された放射線遮蔽材及びこれを用いた放射線遮蔽用防護衣の発明は、タングステン粉末を主成分とする非鉛無機粉末、及び熱可塑性エラストマーを含有する、比重5以上の高比重シート及びその表裏両面に配置されるカバー材によって構成されたものである。高比重シートに用いられている熱可塑性エラストマーは、分子中に弾性を持つゴム成分(軟質相)と、塑性変形を防止するための分子拘束成分(硬質相)との両成分を持ち、常温ではゴム弾性体としての挙動をとるが、温度上昇によって塑性変形をする高分子材料のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−211192号公報
【特許文献2】特開2004−077170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された発明の放射線防護マットでは、袋体の内部に水を注入していない時は折り畳みが可能であるが、放射線防護マットとして使用する際には内部に水を入れて膨張させなければならず、非常に手間がかかる共に、その容積が大きく、非常に扱いづらい、という問題があった。しかも、この放射線防護マットでは、袋体の内部に注入した水により放射線を遮蔽するものであるため放射線の遮蔽能力が低い、という問題もあった。
【0007】
また、特許文献2に開示された発明の放射線遮蔽材及びこれを用いた放射線遮蔽用防護衣では、タングステン粉末を主成分とする非鉛無機粉末、及び熱可塑性エラストマーを含有する、比重5以上の高比重シートを用いるため、この製造に非常に費用と時間が掛かり、簡易に使用する放射線遮蔽マットとしてはあまり適さない、という問題があった。
【0008】
この発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、安価に製作することができ、しかも高い放射線遮蔽能力を備えながらも屈曲性を有する放射線遮蔽マットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した技術的課題を解決するために本発明は以下のように構成されている。すなわち、本発明は、放射線発生機器や放射線発生物から放射される放射線を遮蔽する放射線遮蔽マットであり、その特徴とするところは、対向する一対の側縁部をそれぞれ有するほぼ同一形状の第1シート及び第2シートと、前記第1シート及び前記第2シートに保持され、
放射線を遮蔽する性質を有する材料の板状部材からなる複数の
放射線遮蔽機能板とを備え、前記第1シート及び前記第2シートが、前記側縁部の延びる横方向に所定の間隔を開け
た間隔部と、かつ前記横方向に直交する縦方向に長い多数の袋部と、前記各袋部の長手方向両端部のそれぞれと該各端部に隣接する前記側縁部との間に形成された所定寸法幅の余裕代とを備え、前記第1シート及び前記第2シートそれぞれの前記各袋部が、前記両シートを重ね合わせたとき、一方の前記シートの前記各袋部と他方の前記シートの隣接する前記各袋部の前記間隔部とを対向させるように前記横方向に位相をずらして形成され、
前記放射線遮蔽機能板が、前記縦方向における少なくとも1箇所で分割された複数の分割板から構成され、これらの分割板が、その分割された側の端部をフックのようにC形またはU形に折り返して形成された継ぎ手を備え、その継ぎ手の連結中心を軸に相互に旋回可能に連結されているとともに、前記第1シートおよび前記第2シートの前記各袋部に収納され、これら分割板の継ぎ手が、該分割板を前記第1シートおよび前記第2シートの前記各袋部に収納したときに、前記縦方向における同じ位置に位置しつつ、前記横方向に延びる仮想の線上に整列し、前記放射線遮蔽マットが、前記各袋部に前記
放射線遮蔽機能板を収納した前記第1シートと前記第2シートとを重ね合わせて少なくとも前記第1シートと前記第2シートとの一方の前記側縁部同士及び他方の前記側縁部同士を接合して形成され
、前記横方向へ折り曲げ可能であるとともに、前記継ぎ手によって前記縦方向へ折り曲げ可能であることにある。
【0010】
本発明の放射線遮蔽マットは、前述した必須の構成要素からなるが、その構成要素が具体的に以下のような場合であってもよい。その具体的構成
の一例としては、前記第1シートと前記第2シートとにおける一方の前記シートの前記各袋部に収納されている前記
放射線遮蔽機能板が、他方の前記シートの前記各袋部に収納されている前記
放射線遮蔽機能板に対してその側縁同士を部分的に重ね合わせるように、前記
放射線遮蔽機能板の幅寸法及びその配列間隔が設定されている。
【0011】
本発明の放射線遮蔽マット
の具体的構成の他の一例としては、前記第1シート及び前記第2シートの前記各袋部に収納された前記
放射線遮蔽機能板が少なくとも1mm以上の厚さを有している。
【0012】
本発明の放射線遮蔽マット
の具体的構成の他の一例として、前記第1シートと前記第2シートとのそれぞれは、可撓性を有する2枚のシート状素材を重ね合わせて構成され、前記各シートの前記袋部は、重ね合わされた2枚の前記シート状素材における前記
放射線遮蔽機能板を収納する予定領域の周囲すべて若しくは一部を接合して形成され、前記袋部の少なくとも一部には、前記横方向に延びる入口部が形成され、前記放射線遮蔽マットは、前記入口部から前記袋部に前記
放射線遮蔽機能板を収納した後に前記両シートが重なり合う前記側縁部同士を接合して形成されている。
【0013】
本発明の放射線遮蔽マット
の具体的構成の他の一例としては、前記入口部が、前記第1シート及び前記第2シートが相互に重ね合わせられる対面側に形成され、前記
放射線遮蔽機能板の取り出しを不能にされている。
【0014】
本発明の放射線遮蔽マット
の具体的構成の他の一例としては、前記入口部が、前記第1シート及び前記第2シートが相互に重ね合わせられる対面側とは反対側に形成され、前記
放射線遮蔽機能板を取り出して入れ替え可能にされている。
【0015】
本発明の放射線遮蔽マット
の具体的構成の他の一例としては、前記第1シート及び前記第2シートの前記各袋部に収納される前記放射線遮蔽機能板が、鉛、鉄、銅、亜鉛、タングステンのいずれかの素材からなる金属板若しくはこれら金属の粒子を樹脂又はゴムに分散した複合体で形成されている。
【0016】
本発明の放射線遮蔽マット
の具体的構成の他の一例としては、前記
放射線遮蔽機能板として使用する前記金属板が、原子力関係施設から出る廃材を加工処理したものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の放射線遮蔽マットによると、第1シートと第2シートとにおける多数の袋部が、重ね合わされる相手のシートに対して位相をずらして形成され、それら袋部に
放射線遮蔽機能板が収納された第1シートと第2シートとが重ね合わせられることで、各シートの各
放射線遮蔽機能板が、重ね合わされる相手側シートの
放射線遮蔽機能板間を相互に塞ぐように位置することから、該マットが全面的に放射線を遮蔽すると共に、余裕代の形成により屈曲即ち折り曲げも可能であり、しかも、構造が非常に簡単であるため製作費用が安価である、という優れた効果を奏する。
また、本発明の放射線遮蔽マットでは、放射線遮蔽機能板が放射線を遮蔽する機能を有する板状部材から形成されているので、各袋部への収納も容易である。さらに、本発明の放射線遮蔽マットは、各袋部に収納されている放射線遮蔽機能板が縦方向において少なくとも1箇所で分割された複数の分割板から構成され、これら分割板が継ぎ手により相互に旋回可能に連結されていることから、この放射線遮蔽マットが横方向に屈曲可能であるだけでなく、縦方向にも折り曲げることができるので、複雑な形をした放射線発生機器や放射線発生物を放射線遮蔽マットにより効果的に覆うことができる。
【0018】
本発明の放射線遮蔽マット
は、一方のシートの各袋部に収納された
放射線遮蔽機能板と他方のシートの各袋部に収納された
放射線遮蔽機能板との側縁同士が部分的に重なり合うように
放射線遮蔽機能板の幅寸法及びその配列間隔が設定されているので、この放射線遮蔽マットを折り曲げた状態で使用しても第1シートに保持された
放射線遮蔽機能板と第2シートに保持された
放射線遮蔽機能板との間から放射線が通過することがなく、簡易な構造ながらも優れた放射線遮蔽効果を得ることができる。
【0019】
本発明の放射線遮蔽マット
は、各シートの袋部に収納された
放射線遮蔽機能板が少なくとも1mm以上の厚さを有していることから、簡易な放射線遮蔽マットながら放射線遮蔽能力が非常に高く、作業者などを被爆から有効に防護することができる。
【0020】
本発明の放射線遮蔽マット
は、第1シートと第2シートにおいて、
放射線遮蔽機能板を収納する多数の袋部が、可撓性を有する2枚のシート状素材を重ね合わせ、重ね合わされた2枚のシート状素材における
放射線遮蔽機能板収納予定領域の周囲すべて若しくは一部を接合していると共に、横方向に延びる入口部を袋部の少なくとも一部に形成し、その入口部から
放射線遮蔽機能板を収納するようにしたので、袋部の形成及びこの袋部への
放射線遮蔽機能板の収納が非常に容易であり、その結果、各シートの製造コストが安価となることからこの放射線遮蔽マットを低価格で提供することができる。
【0021】
本発明の放射線遮蔽マット
は、
放射線遮蔽機能板を各袋部に入れる入口部が、相互に重ね合わされる第1シートと第2シートの対面側に形成されているので、この放射線遮蔽マットの製作後は
放射線遮蔽機能板が各袋部から抜け出ることがない。
【0022】
本発明の放射線遮蔽マット
は、
放射線遮蔽機能板を各袋部に入れる入口部が、相互に重ね合わされる第1シートと第2シートの対面する側とは反対側の外側に形成されているので、この放射線遮蔽マットを製作後であっても
放射線遮蔽機能板を自由に出し入れすることができる。その結果、この放射線遮蔽マットの使用目的に応じ、材質の異なる
放射線遮蔽機能板を組み合わせたりして選択的に適宜の袋部に入れ替えることができることから、1つの放射線遮蔽マットにより線源強度の違いに対応させて遮蔽材の厚み又は種類を変えた使い方ができる。
【0023】
また、本発明の放射線遮蔽マット
は、第1シート及び第2シートの各袋部に収納される放射線遮蔽機能板が、鉛、鉄、銅、亜鉛、タングステンのいずれかの素材からなる金属板若しくはこれら金属の粒子を樹脂又はゴムに分散した複合体で形成されていることから、両シートによる各放射線遮蔽機能板の保持態様と相まって、如何なる方法で使用しても高い放射線遮蔽能力を発揮することができる。
【0024】
さらに、本発明の放射線遮蔽マット
は、
放射線遮蔽機能板として原子力関係の施設から出る金属の廃材を使用することにより資源の再利用を図ることにもなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る放射線遮蔽マットを示す斜視図。
【
図2】
図1に示される放射線遮蔽マットを組み立てる状態を示す斜視図。
【
図3】組み立て状態にある
図2の放射線遮蔽マットを3−3線で切断して示す斜視図。
【
図4】
図1に示される放射線遮蔽マットの一部を破断して内部の構造を示す部分的な平面図。
【
図5】
図4の放射線遮蔽マットを4−4線で切断して示す断面図。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る放射線遮蔽マットを示す
図1と同様な斜視図。
【
図7】
図6の放射線遮蔽マットを4−4線で切断して示す断面図。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る放射線遮蔽マットの一部を示す
図3と同様な斜視図。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る放射線遮蔽マットの一部を示す
図3と同様な斜視図。
【
図10】本発明の第5実施形態に係る放射線遮蔽マットの一部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る放射線遮蔽マットを添付の図に示された好適な実施形態についてさらに詳細に説明する。
図1〜
図5に示される第1実施形態の放射線遮蔽マット10Aは、
図2から明らかなようにほぼ同一の大きさと形状をした平面四角形の2枚のシート11、12を重ねて一体化させることにより形成されている。第1シート11と第2シート12とは、同一の構造であるため、第1シート11の構成を説明し、第2シート12については図中において第1シート11の構成部分と同一部分に同一の参照符号を付けて説明を省略する。
【0027】
第1シート11は、対向する一対の側縁部13a,13bを備え、この側縁部13a,13bの延びる横方向をX、また、横方向Xに直交し、他の一対の側縁部13c,13dに沿う縦方向をYとすると、横方向Xに所定の間隔(寸法f)を開けて形成された、縦方向Yに長い多数の袋部14を備えている。これらの袋部14は、第1シート11と第2シート12とでその形成位置を異にしている。すなわち、
図2の一部断面部を拡大して示す
図3に示されるように、第1シート11と第2シート12とが重ね合わされたとき、一方のシートの各袋部14が、相手側の他方のシートの隣接する袋部間の間隔部22に重なるように横方向に位相をずらして形成されている。これらの袋部14には、鉛、鉄、銅、亜鉛、タングステンのいずれかの素材からなる金属板若しくはこれら素材の粒子を樹脂又はゴムに分散した複合体で形成された、放射線遮蔽機能体が収納されている。この第1実施形態では、放射線遮蔽機能体は、短冊状の板部材であり、従って、以下、放射線遮蔽機能板15という。
【0028】
この放射線遮蔽機能板15の厚みは、それが備える放射線遮蔽性能にもよるが少なくとも約1mm、若しくはそれ以上であることが好ましい。また、袋部14に収納される放射線遮蔽機能板15の幅寸法F、即ち横方向Xの寸法は、袋部14の横方向Xの寸法とほぼ同じか、又は僅かに小さく、従って、放射線遮蔽機能板15は袋部14に緊密に収納され、放射線遮蔽機能板15が袋部14内で自由に移動することはない。また、隣接する袋部14との間隔寸法fと放射線遮蔽機能板15の幅寸法Fとの関係は、F<fである。他方、縦方向Yにおける袋部14の長さは、第1シート11の対向する側縁部13a,13b間の長さより短く、従って横方向Xに並ぶ各袋部14の一方の端部14aを通る仮想の線とこの仮想線に隣接する側縁部13aとの間隔、及び同様に各袋部14の他方の端部14bを通る仮想の線とこの仮想線に隣接する側縁部13bとの間隔が余裕代16となる。
【0029】
すなわち、第1シート11と第2シート12とには、各袋部14の両端部側に所定幅の余裕代16が形成されている。第1シール11と第2シール12とは、これら余裕代16のうち、横方向Xに延びる側縁部13a,13bに沿う帯状領域を相互に溶着して一体化されて放射線遮蔽マット10Aとされるので、各シート11,12の余裕代16がそのまま放射線遮蔽マット10Aの余裕代となる。
【0030】
この第1実施形態に係る放射線遮蔽マット10Aは、前述したように2枚のシート、即ち第1シート11と第2シート12とが重ね合わされ、各側縁部13a,13bに沿う帯状領域同士を相互に溶着することにより構成されるので、それらを重ね合わせると、第1シート11の各袋部14に収納された放射線遮蔽機能板15は、第1シート11に重なる第2シートの隣接する袋部14の間(間隔部22)に重なることになる。言い換えれば、第1シート11及び第2シート12に保持されているそれぞれ多数の放射線遮蔽機能板15は、それぞれのシート11,12について位相をずらして形成された各袋部14に収納されていることにより、一方のシート11又は12に保持された多数の放射線遮蔽機能板15が、他方のシート11又は12に保持された多数の放射線遮蔽機能板15とその配列がずれる。その結果、2つのシート11,12を重ねることにより多数の放射線遮蔽機能板15が、放射線遮蔽マット10Aの全面に隙間なく配列されることになる。この状態は、放射線遮蔽マット10Aの一部を破断して示す
図4に明瞭に示されている。
【0031】
各シート11,12に保持されている放射線遮蔽機能板15の幅寸法Fは、隣接する袋部14同士の間隔部22の幅寸法fより大きいので、第1シート11と第2シート12とが、前述したようにこれら各シートにおける多数の放射線遮蔽機能板15の配列位相がずれるように重ねられても、一方のシート11に保持されている放射線遮蔽機能板15の縦方向Yに延びる側縁と他方のシート12に保持されている放射線遮蔽機能板15の縦方向Yに延びる側縁とが部分的に重なり合う。従って、放射線遮蔽マット10Aを広げて平坦にしたときや円筒状に丸めたときでも、2つのシート11,12にそれぞれ保持された多数の放射線遮蔽機能板15が全体として隙間なく配列されていることになり、その結果、放射線遮蔽マット10Aの表面に当たる放射線はすべて遮蔽される。
【0032】
ところで、重ね合わされた2枚の第1シート11と第2シート12とは、少なくとも対向する側縁部13a,13bに沿う帯状領域同士、具体的には第1シート11における一方の側縁部13aに沿う帯状領域と第2シート12における一方の側縁部13aに沿う帯状領域とが溶着され、また、第1シート11における他方の側縁部13bに沿う帯状領域と第2シート12における他方の側縁部13bに沿う帯状領域とが溶着されて一体化されている。図中、これら溶着された帯状領域は、溶着部17として示されている。これにより、前述した第1シート11に保持された多数の放射線遮蔽機能板15と第2シート12に保持された多数の放射線遮蔽機能板15との位置関係は、放射線遮蔽マット10Aが如何なる態様で使用されても変わることはない。なお、前述の放射線遮蔽マット10Aは、第1シート11と第2シート12とを一体化するために各シートにおける対向する一対の側縁部13a,13bについて、即ち第1シート11と第2シート12のそれぞれ一方の側縁部13aに沿う帯状領域同士、及び第1シート11と第2シート12のそれぞれ他方の側縁部13bに沿う帯状領域同士を溶着する例についてのものであるが、本発明の放射線遮蔽マットでは、該放射線遮蔽マットの強度上、対向する他の一対の端縁部13c、13dに沿う帯状領域ついても同様に溶着しておくことが好ましい。
【0033】
次に、このような放射線遮蔽マット10Aの作り方について説明する。この放射線遮蔽マット10Aは、大きさと形状がほぼ同一の2つのシート11,12を重ね合わせて構成されていることは前述したとおりであるが、これらのシート11,12それ自体も
図3〜
図5に示されるように2枚のシート状素材18,19を重ね合わせて形成されている。このように第1シート11及び第2シート12のそれぞれは、2枚のシート状素材18,19を重ね合わせたものであるので、各シート状素材18,19の大きさや形状は、シート11,12と同じであることは云うまでもない。これらシート状素材18,19は、熱で相互に溶着する材料などで形成されていることが好ましい。このような素材としては、不織布に樹脂を含浸させた素材、或いは不織布を樹脂でラミネートした素材などを挙げることができる。このような2枚のシート状素材18,19において、その一方の表面には、前述したように縦方向Yにおける両サイドに所定幅の余裕代16を存在させるようにして放射線遮蔽板15を収納するための袋部14の形成予定位置が下書き線(図示せず)により描かれる。
【0034】
次いで、2枚のシート状素材18,19が重ね合わせられると、これらのシート状素材18,19は、前述した下書き線上を所定間隔でミシン目状にスポット溶着され、これにより2枚のシート状素材18,19が接合すると同時に所定の位置に多数の袋部14が形成される。
図2〜
図4において符号20は、袋部14を形成するためにミシン目状にスポット溶着されている溶着部を示している。その後、一方のシート状素材18において、これら各袋部14の長手方向(縦方向Y)における一方の端部14aに近い部分に入口部21を形成するように横方向Xに延びるスリットが入れられる。そして、この入口部21から放射線遮蔽機能板15の一端を挿入し、袋部14に入りきらない放射線遮蔽機能板15の他端側については入口部21から袋部14の端縁14aまでの袋面を強制的に持ち上げて被せるようにし、放射線遮蔽機能板15全部を袋部14内に収納する。
【0035】
このようにして各袋部14に放射線遮蔽機能板15が収納された第1シート11が形成され、そして、同様な方法により第2シート12も形成される。その後、これら2つのシート11,12は、放射線遮蔽機能板15を袋部14に入れる入口部21が形成されている面を向かい合わせて重ね合わされ、前述したように第1シート11と第2シート12それぞれにおける一方の側縁部13aに沿う帯状領域同士、及び第1シート11と第2シート12それぞれにおける他方の側縁部13bに沿う帯状領域同士を溶着して一体化される。この実施形態に係る放射線遮蔽マット10Aは、前述したようにして製作されることから、非常に製作が容易であり、従って安価な生産コストでかつ高い生産性を得ることができる。
【0036】
この放射線遮蔽マット10Aは、放射線を出す機器を包囲したり、或いは作業者の身体に巻き付けたりして使用される。その際、この放射線遮蔽マット10Aに保持されている多数の放射線遮蔽機能板15が、2つのシートのそれぞれに所定の間隔を開けて形成された多数の袋部14に収納されていること、及び放射線遮蔽機能板15を収納した袋部14の端部14a,14bと側縁部13a,13bとの間に余裕代16を形成していることから放射線遮蔽マット10Aは、横方向Xに丸めることができるので放射線を発する機器を取り囲むように設置するのが容易で、また作業者の身体に巻き付けたり、肩から掛けるようにして身体の一部を覆うようにして使用することも容易にできる。さらに、この放射線遮蔽マット10Aを丸めた状態で使用しても各シートにおいて間隔を開けて配列された状態で保持されている放射線遮蔽機能板15が、その位相をずらすように2つのシート11,12を重ね合わせて一体化され、これにより重ね合わされる相手側シートの放射線遮蔽機能板間を相互に塞ぐように位置することから、マットの全面で放射線を完全に遮蔽することができ、簡易な構造でありながらも優れた放射線遮蔽効果を得ることができる。また、この放射線遮蔽マット10Aによれば、不使用時にも丸めたり、折り畳んだりしておくことができるので、保管も容易である。
【0037】
前述した実施形態に係る放射線遮蔽マット10Aでは、第1シート11及び第2シート12が、2枚のシート状素材を重ね合わせ、所定部分をミシン目状にスポット溶着することにより袋部14を形成したが、本発明ではこのような製作方法に限定されるものではなく、縫製によって2枚のシート状素材の所定箇所を縫い合わせることにより袋部を形成してもよい。また、シート状素材と同じ素材で、袋部を形成できる大きさと形状の端切れを多数準備し、これらの端切れを所定の間隔で1枚のシート状素材の表面に並べ、各端切れの周囲をシート状素材に溶着又は縫製により固定することにより、多数の袋部を備えるシートを形成することもできる。
【0038】
次に、
図6に示される本発明の第2実施形態に係る放射線遮蔽マット10Bについて説明する。第2実施形態の放射線遮蔽マット10Bが第1実施形態の放射線遮蔽マット10Aと相違する部分は、第1シート11と第2シート12におけるそれぞれの袋部14に収納される放射線遮蔽機能板15にある。この放射線遮蔽機能板15以外の構成は、両実施形態とも同じであるので、第2実施形態の放射線遮蔽マット10Bを示す
図6及び
図7において、第1実施形態の放射線遮蔽マット10Aと同一又は相当する構成部分には同一の参照符号を付し、明細書におけるその詳細な説明は省略する。第2実施形態の放射線遮蔽マット10Bは、第1実施形態の放射線遮蔽マット10Aと同様にそれぞれ多数の袋部14を備える第1シート31と第2シート32とを重ね合わせ、横方向Xに延びる一方の側縁部13a同士、及び他方の側縁部13b同士をそれぞれ溶着などで接合して構成されている。
【0039】
この放射線遮蔽マット10Bでは、第1シート31の各袋部14と第2シート32の各袋部14とに収納される放射線遮蔽機能板33が、第1板部材33a
(分割板)と第2板部材33b
(分割板)とにより構成されている。これら各板部材33a,33bは、第1実施形態の放射線遮蔽マット10Aにおける両シート11,12に保持されている放射線遮蔽機能板15をその全長(縦方向Yの長さ)のほぼ半分の位置で分割したものであり、これらの板部材33a,33bの分割端部には、フックのようにC形又はU形に折り返されて形成された継ぎ手34a,34bが形成されている。2つの板部材33a,33bは、この継ぎ手34a,34bによりあたかも一枚の放射線遮蔽機能板33の如く連結されている。また、この継ぎ手34a,34bは、該継ぎ手による連結中心を軸に各板部材33a,33bが相互に旋回できるような形状で形成されている。
【0040】
これにより、2つの板部材33a,33bから構成される放射線遮蔽機能板33は、袋部14の内部に収納されとき、第1シート11及び第2シート12に保持された各放射線遮蔽機能板33すべてが縦方向Yにおける同じ位置に、継ぎ手33a,33bで構成された連結部が位置し、従って各放射線遮蔽機能板33の各連結部は、横方向Xに延びる同じ仮想の線上に整列しているので、放射線遮蔽マット10Bをその位置で縦方向Yにも折り曲げることができる。これにより、この放射線遮蔽マット10Bは、横方向Xに丸めたり折り曲げたりできるだけではなく、縦方向Yにも折り曲げることができることから、種々の外形をした放射線発生機器や放射線発生物を効果的に覆うことにより放射線を有効に遮蔽することができる。
【0041】
なお、
図6及び
図7に示される第2実施形態の放射線遮蔽マット10Bでは、各放射線遮蔽機能板33が2つに分割された板部材33a,33bを継ぎ手34a,34bにより旋回可能に連結したものであったが、本発明ではこのような例に限定されるものではなく、各放射線遮蔽機能板を2つ以上の板部材に分割し、前述した構造の継ぎ手で連結した場合でもよい。このように複数の継ぎ手を備える放射線遮蔽機能板を各袋部に収納した放射線遮蔽マットでは、放射線発生機器などの外形により有効に沿わせてこれを覆うことができるので、放射線の遮蔽効果を向上することができる。また、板部材33a,33bを構成する各放射線遮蔽機能板33の分割位置、即ち連結部の位置は、放射線遮蔽機能板33の長手方向における任意の位置でよく、放射線発生機器などの外形に基づいて適宜に設計することができる。
【0042】
図8には、更に別な第3実施形態に係る放射線遮蔽マット10Cが部分的に示されている。第3実施形態の放射線遮蔽マット10Cが第1実施形態の放射線遮蔽マット10Aと相違する部分は、各袋部14に放射線遮蔽機能板15,33を入れるスリット状の入口部21が、第1シート11と第2シート12の対面側、即ち内側に形成されているのではなく、その反対側の外側に形成されていることにある。このような放射線遮蔽マット10Cによれば、放射線遮蔽マット10Cの製作後にも各袋部14への放射線遮蔽機能板15,33を出し入れすることができるので、この放射線遮蔽マット10Cの使用目的に応じ、材質の異なる放射線遮蔽機能板15,33を組み合わせたりして選択的に適宜の袋部14に入れ替えることができる。これにより、1つの放射線遮蔽マット10Cにより線源強度の違いに対応させて遮蔽材の厚み又は種類を変えた使い方ができる。
【0043】
図9には、更に別な第4実施形態に係る放射線遮蔽マット10Dが部分的に示されている。第4実施形態の放射線遮蔽マット10Dが第3実施形態の放射線遮蔽マット10Cと相違する部分は、第1シート11と第2シート12の対面側とは反対側の外側に形成されているスリット状の入口部21に、該入口部21を閉鎖するための面ファスナー23が設けられている、点にある。面ファスナーそれ自体は、既に公知のものであるのでこの構成を簡単に説明すると、この実施形態では、表面にフック状起毛が形成され、かつ入口部21を覆うことができる大きさの押さえ布23aの一方の辺部分を袋部14の外面における入口部21の長さ方向に沿う側縁部近傍に固着し、入口部21を挟んでその反対側の長さ方向に沿う側縁部近傍に、表面にループ状起毛が密集した布片23bを張りつけて構成されている。これにより、入口部21から放射線遮蔽機能板15,33を入れた後に、押さえ布23aの他方の辺部分を布片23bに押し付けることにより起毛同士が絡み合って入口部21が閉鎖される。このような放射線遮蔽マット10Dによれば、放射線遮蔽マット10Dの各袋部14に放射線遮蔽機能板15,33を収納したとき、該放射線遮蔽機能板15,33が何らかの原因で入口部21から抜け出るのを防止することができる。
【0044】
前述した第1〜第4実施形態における各放射線遮蔽マット10A,10B,10C,10Dでは、放射線遮蔽機能体としての放射線遮蔽機能板15,33が、鉛、鉄、銅、亜鉛、タングステンのいずれかの素材からなる金属板若しくはこれら素材の粒子を樹脂又はゴムに分散した複合体で形成されたものであったが、本発明では、かかる素材に限定されるものではなく、これらの他に金属の廃材、特に原子力関係の施設から出る金属の廃材を圧縮、溶融、変形、或いは成型などさまざまな手段を用いて短冊状に加工したものを使用することもできる。このような原子力関係の施設から出る金属の廃材を使用することにより資源の再利用を図ることにもなる。また、紐状に形成された鉛、即ち「鉛毛」と言われている材料を束ね、必要があれば成型して板状に形成したものも使用することができる。
【0045】
更に、
図10には、本発明の第5実施形態に係る放射線遮蔽マット10Eの一部が示されている。この実施形態に係る放射線遮蔽マット10Eについては、各袋部14に設けられているスリット状の入口部21にファスナー24を付けて閉鎖できるようにしたものである。前述したように、第1〜第4実施形態に係る放射線遮蔽マット10A〜10Dは、放射線遮蔽機能体として短冊状に成型された板状体を用いる場合の例についてのものであったが、本発明では、放射線遮蔽機能体それ自体が板状の形を保っているようなものに限定されるものではなく、金属の粉末や粒状物を直接各袋部14に詰め込んで放射線遮蔽機能体とすることもできる。しかし、金属の粉末や粒状物を各袋部14に直接詰め込んで放射線遮蔽体とする場合には、入口部21からのこぼれ落ちを防ぐ必要があるので、スリット状の入口部21にファスナー24を付けて完全閉鎖できるようにしたのが、該当部分、即ち袋部の入口部21を
図10に部分的に示している第5実施形態である。
図10において、符号25は、各袋部14内に詰め込まれた金属の粉末や粒状物を示している。もちろん、各袋部14に金属の粉末や粒状物を詰め込んだ後にこの入口部21を溶着、縫製、或いは公知のあらゆる閉鎖手段により開け閉め不能に閉鎖してもよい。このような金属の粉末や粒状物を各袋部14に詰め込んで放射線遮蔽機能体とすると、各袋部に鉄板のような板部材を入れた場合に比較して放射線遮蔽マットの表面が柔らかく、従って放射線遮蔽マットの表面に衝撃が加わった場合、その衝撃力を緩和させることができる。
【0046】
図11には、前述した各実施形態の放射線遮蔽マット10A,10B,10C,10D,10Eが、放射線発生機器35からの放射線を遮蔽する幾つかの使用例が示されている。例えば、
図11(a)は、放射線発生機器35を上から覆うように放射線遮蔽マット10A,10B,10C,10D,10Eを掛けて該放射線発生機器35から発生する放射線を遮蔽する使用例を示している。この時、この放射線遮蔽マット10A,10B,10C,10D,10Eは、前述したように横方向Xにおける任意の位置で自由に屈曲できることから放射線発生機器35の両側方に垂れ下がるように全体を湾曲させてこれを覆うことができる。このような使用例の他に、放射線発生機器35の側部周囲をこの放射線遮蔽マット10A,10B,10C,10D,10Eで囲んで該放射線発生機器35から発生する放射線を遮蔽することもできる。
【0047】
また、
図11(b)は、放射線発生機器22の上にこの放射線遮蔽マット10A,10B,10C,10D,10Eをジグザグ状に折り畳んで乗せることにより該放射線発生機器35の上部から発生する放射線を遮蔽する使用例を示している。また、
図11(c)は、放射線遮蔽マット10Bを放射線遮蔽機能板33における分割された板部材33a,33bの連結部で屈曲して、外形の複雑な放射線発生器機35をその外形形状に沿わせて配置することにより該放射線発生機器35から発生する放射線を遮蔽する使用例を示している。さらに、
図11(d)は、放射線発生機器35の近くで適当な上部構造体からカーテンのように放射線遮蔽マット10A,10B,10C,10D,10Eを吊り下げることにより該放射線発生機器35から発生する放射線を遮蔽する使用例を示している。
【0048】
以上説明したように、本発明の放射線遮蔽マットによれば、第1シートと第2シートとにおける多数の袋部が、重ね合わされる相手のシートに対して位相をずらして形成され、それら袋部に放射線遮蔽機能体が収納されたそれら第1シートと第2シートとが重ね合わせられることで、各シートの各放射線遮蔽機能体が、重ね合わされる相手側シートの放射線遮蔽機能体間を相互に塞ぐように位置することから、該マットが全面的に放射線を遮蔽すると共に、余裕代の形成により屈曲即ち折り曲げも可能であり、しかも、構造が非常に簡単であるため製作費用が安価である、という優れた効果を奏する。
【符号の説明】
【0049】
10A,10B,10C,10D,10E 放射線遮蔽マット
11 第1シート
12 第2シート
13a,13b 側縁部
14 袋部
14a,14b 縦方向の端部
15,33 放射線遮蔽機能板
16 余裕代
17 溶着部
18,19 シート状素材
20 溶着部
22 間隔部
33a,33b 分割された放射線遮蔽機能板の板部材
(分割板)
34a,34b 継ぎ手