特許第5676983号(P5676983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5676983端面平坦コイルばね製造方法、及びコイルばね製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5676983
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】端面平坦コイルばね製造方法、及びコイルばね製造装置
(51)【国際特許分類】
   B21F 35/02 20060101AFI20150205BHJP
   F16F 1/06 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   B21F35/02
   F16F1/06 A
   F16F1/06 N
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-198002(P2010-198002)
(22)【出願日】2010年9月3日
(65)【公開番号】特開2012-51025(P2012-51025A)
(43)【公開日】2012年3月15日
【審査請求日】2013年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100101812
【弁理士】
【氏名又は名称】勝村 紘
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(74)【代理人】
【識別番号】100127144
【弁理士】
【氏名又は名称】市原 卓三
(74)【代理人】
【識別番号】100141933
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 元
(72)【発明者】
【氏名】貫井 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 隆
(72)【発明者】
【氏名】森 有史
(72)【発明者】
【氏名】森島 隆行
【審査官】 間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−136130(JP,A)
【文献】 特開2002−143963(JP,A)
【文献】 特開平02−200331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21F 3/00 − 3/06
B21F 35/00 − 35/02
F16F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロールと、前記第1ロールに対してコイル用線材の搬送方向と同一の側で、かつ該第1ロールの下流側に配置された第2ロールと、前記第1ロールおよび前記第2ロールに対向し、前記搬送方向の他の側に配置された第3ロールと、前記第3ロールを挟んで両側にそれぞれ設けられ、コイルばねの螺進方向に前後動する第1及び第2ピッチツールと、
を備えたコイルばね製造装置における端面平坦コイルばね製造方法であって、
前記コイル用線材を前記各ロールで所定の径で湾曲させるとともに、該コイル用線材の端部が所定位置まで進行したとき前記第1と第2ピッチツールの少なくとも一方を前進させて、該コイル用線材と前記第1ロールとの干渉を回避し、かつ、前記第2ロールを後退させ、前記コイル用線材を屈曲させ、その後前記第2ロールの後退を戻し、所定のピッチを付加してコイルばねを形成させることを特徴とした端面平坦コイルばね製造方法。
【請求項2】
第1ロールと、
前記第1ロールに対してコイル用線材の搬送方向と同一の側で、かつ該第1ロールの下流側に配置された第2ロールと、
前記第1ロールおよび前記第2ロールに対向し、前記搬送方向の他の側に配置された第3ロールと、
コイルばねの螺進方向に前後動するピッチツールと、を備え、
前記コイル用線材を、前記第1ロールと前記第2ロールと前記第3ロールにより所定の曲率に湾曲させ、前記ピッチツールにより、前記湾曲されたコイル用線材に所定のピッチを成形してコイルばねを製造するコイルばね製造装置において、
前記第2ロールを、製造される前記コイルばねの螺進方向に沿って前後進可能、かつ、前記コイル用線材の搬送方向と平行な直線を回転軸として傾動可能とし、
前記ピッチツールを前記第3ロールを挟んだ両側にそれぞれ、互いに個別にコイルばねの螺進方向に前後動する第1ピッチツール及び第2ピッチツールとして設けたことを特徴とするコイルばね製造装置。
【請求項3】
前記第2ロールの前記回転軸を、該第2ロールのロール中心を通るように設定したことを特徴とする請求項2に記載のコイルばね製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3つのロールでコイル用線材に湾曲を加えつつ、ピッチツールでコイル用線材にピッチを付与してコイルばねを製造する端面平坦コイルばね製造方法、及びコイルばね製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールを用いたコイルばね製造機は、例えば特許文献1に記載されているように、コイル用線材の搬送方向に沿って、搬送方向の一の側に2つの成形ロールを配置させ、これら2つの成形ロールに対向して、搬送方向の他の側に1つの支持ロールを、2つの成形ロールの間に配置させて構成されている。支持ロールは、上下方向に移動自在となっており、また2つの成形ロールは、支持ロールを中心として左右対称に配置されており、かつ2つの成形ロールは左右対称に移動可能となっている。更に、これら各ロールの下部には、コイルばねの螺進方向に進退可能なピッチツールが設けられている。
【0003】
コイルばね製造機は、2つの成形ロールの間隔と支持ロールの上昇量により、成形するコイルばねのばね外径を設定し、位置を適宜設定した3つのロール間にコイル用線材を通して湾曲成形し、そして湾曲されたコイル用線材を、ピッチツールでコイルばねの巻き進み方向に適宜押し出して、所定のピッチを成形して、任意の外径と任意のピッチを有するコイルばねを製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−25233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のコイルばね製造装置では、コイルバネの端面を任意に成形できなかった。したがって従来は、端面を平坦にしたコイルばねが必要な場合は、通常通り製造したコイルばねの端面に研削加工などの加工を行い、コイルばねの端面を中心軸に対して垂直で、かつ平面に形成していた。そのため、端面平坦のコイルバネは、製造に多くの手間とコストがかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため本発明では、端面平坦コイルばね製造方法、及びコイルばね製造装置を次のように構成した。
【0007】
イルばね製造装置は、第1ロール(成形ロール)と第1ロールの下流側に設けられた第2ロール(成形ロール)とを、コイル用線材の搬送方向の一側に、搬送方向に沿って備え、かつこれら第1と第2ロールの間に第3ロール(支持ロール)を、第1及び第2ロールに対向するように備える。第1及び第2ロールは、それぞれコイル用線材の搬送方向に沿って移動可能であり、第3ロールは、コイル用線材の搬送方向に対して垂直に交差する方向に移動可能である。
【0008】
更に、コイル用線材の搬送方向下流側に設けられた第2ロールは、コイル用線材の搬送方向と平行な軸線を回転軸として、第1回転駆動装置で傾動可能とし、かつ第2ロールを、成形しようとするコイルばねの螺進方向に沿って第2回転駆動装置で移動可能に構成した。また、第3ロールの左右両側に、湾曲成形されたコイル用線材を、成形しようとするコイルばねの螺進方向に押し出す第1及び第2のピッチツールを備えて構成した。
【0009】
端面平坦コイルバネは、次のようにして製造する。コイル用線材を第1から第3の各ロールで所定の径で湾曲させる。コイル用線材の端部が3/4巻き程度まで進行したなら、ピッチツールを前進させ、コイル用線材と第1ロールとの干渉を回避する。それとともに、下流側の成形ロールを後退させ、コイル用線材に負のピッチを形成する。
【0010】
そして下流側の成形ロールの後退を徐々に戻し、下流側の成形ロールを上流側の成形ロールと直線上に配置する。それとともに、上流側の第1ピッチツール(コイル用線材の進行方向に沿って上流と下流を定める。)を前進させ、所定のピッチをコイル用線材に付加し、所望のピッチのコイルばねを成形する。
【0011】
またコイルばねが成形されたら、巻き終わり処理を次のようにして行う。下流側の成形ロールの位置に、コイル用線材のコイルばねとしての巻き終り位置が到達したなら、第1ピッチツールもしくは第2ピッチツールを後退させ、ピッチの成形を終了させるとともに、端面を平坦に形成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる端面平坦コイルばね製造方法、及びコイルばね製造装置は、次の効果を有する。
コイルばねの巻き始め、及び巻き終わりの端面を、コイルばねの中心に対して垂直な面内に形成させることができる。これにより、端面平坦なコイルバネを研削加工等を必要とせず、コイルばね製造装置によりコストと手間を大幅に低減させて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明にかかるコイルばね製造装置の一実施形態を示す正面図である。
図2同コイルばね製造装置の一部を示す平面図である。
図3イルばね製造装置の要部を示す正面図である。
図4イルばね製造装置の要部を示す斜視図である。
図5】ロールの配置状態を示す説明図である。
図6】ロールの配置状態を示す説明図である。
図7】ロールの配置状態を示す説明図である。
図8】ロールの配置状態を示す説明図である。
図9】コイルばねの一部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかる端面平坦コイルばね製造方法、及びコイルばね製造装置の一実施形態について、図を用いて説明する。
【0015】
図1、コイルばね製造装置10を示す。コイルばね製造装置10は、基盤100と、コイル用線材30を搬送する搬送部12と、搬送部12から送り出されてきたコイル用線材30を湾曲させる湾曲成形部14と、湾曲成形部14で湾曲加工されたコイル用線材30にピッチを付与するピッチ成形部16などから構成されている。
【0016】
基盤100は、板状部材で、ほぼ垂直に設けられている。搬送部12は、1対の搬送ロール20と、案内部材22を具えて構成されている。搬送ロール20は、図示しない駆動機構に連結しており、駆動機構により回転駆動し、コイル用線材30を湾曲成形部14に搬送する。案内部材22は、基盤100に固定され、コイル用線材30を湾曲成形部14に案内する。コイル用線材30は、一般にばね鋼から形成された棒状部材で、所定の径を有している。尚、搬送ロール20の数等は特定しない。
【0017】
湾曲成形部14は、成形ロールとしての第1ロール32及び第2ロール34と、支持ロールとしての第3ロール36などを備えて構成されている。第1ロール32は、第1移動台40上に設けられ、第2ロール34は、第2移動台50上に設けられ、第3ロール36は、第4移動台86上に設けられている。
【0018】
基盤100には、コイル用線材30の搬送方向に沿って設けられた案内レール42と、駆動機構44が、第1ロール32の上方に取り付けられている。第1移動台40は、案内レール42上に移動可能に取り付けられている。駆動機構44は、モータ46と送りねじ機構48を具え、モータ46の駆動により第1移動台40を案内レール42に沿って前後進させる。また第1ロール32には、駆動用モータ24(図4参照。)が連結してあり、駆動用モータ24により第1ロール32が、第1移動台40上にてロール中心を中心として回転駆動される。
【0019】
第2移動台50は、第1移動台40に対向して設けられている。第2移動台50には、上述したように第2ロール34が設けられている。第2移動台50は、第3移動台52に取り付けられている。第3移動台52は、図2に示すようにガイドシャフト56により基盤100に対して垂直方向に移動可能に取り付けられている。基盤100には、駆動機構60が設けられている。駆動機構60は、モータ61と送りねじ機構63を具え、モータ61の駆動により第3移動台52を基盤100に対して垂直な方向に適宜移動させる。
【0020】
第3移動台52には、図1にも示すように案内レール58と、駆動機構62が設けられている。案内レール58は、コイル用線材30の搬送方向に沿って設けてあり、第2移動台50が移動可能に取り付けられている。駆動機構62は、モータ64と送りねじ機構66を具え、モータ64の駆動により第2移動台50を第3移動台52に対して案内レール58に沿って前後進(紙面上に沿った方向である。)させる。
【0021】
また第2移動台50には、傾動機構70が設けられている、傾動機構70は、第1回転駆動装置としてのモータ72と、ベルト伝達機構74と、支持ステー76などから構成されている。支持ステー76には第2ロール34が支持されている。また支持ステー76には回転支持軸79が固定してある。回転支持軸79は、保持部78にコイル用線材30の搬送方向に沿った中心線を中心として回動自在に取り付けられており、支持ステー76が回転支持軸79を介して、第2ロール34の幅方向中心を中心として回動自在に支持されている。モータ61とモータ72は、サーボモータが好ましい。
【0022】
回転支持軸79の他端には、歯付きプーリ80が取り付けられている。歯付きプーリ80は、例えば歯付きベルト(チェーン)82によりモータ72と連結され、モータ72の駆動により回転支持軸79は、保持部78を支持中心として任意に回転駆動される。更に第2ロール34には、駆動用モータ26(図4参照。)が取り付けてあり、駆動用モータ26により第2ロール34は、ロール中心を中心として回転駆動される。第2ロール34は、第1ロール32のコイル用線材30の搬送方向前方に対向して配置されている。第1ロール32が上流側ロールであり、第2ロール34が下流側ロールである。
【0023】
基盤100上の第1ロール32と第2ロール34の間には、押圧機構88が設けられ、第3ロール36を有する第4移動台86が押圧機構88により上下方向、つまりコイル用線材30の搬送方向と垂直な方向(紙面に沿った方向である。)に適宜移動可能となっている。また第3ロール36には駆動用モータ28(図4参照。)が連結されており、駆動用モータ28により第3ロール36は、ロール中心を中心として回転駆動される。
【0024】
ピッチ成形部16は、第3ロール36の左側、つまり上流に設けられた第1ピッチツール90と右側、つまり下流側に設けられた第2ピッチツール92とから構成されている。尚、上流下流は、コイル用線材30の搬送方向を基準に定めている。第1ピッチツール90は、ガイドピン94と基部96と駆動機構(図示せず。)などから構成されている。ガイドピン94は、棒状の部材であり、基本的に第3ロール36のロール中心を通る線上に配置され、下端が基部96に一体に固定されている。
【0025】
基部96は、ガイドシャフト98等により基盤100に対して垂直方向に移動自在に設けてあり、駆動機構により適宜前後方向(紙面に対し垂直方向である。)に移動される。尚第2ピッチツール92は、第3ロール36を通る中心線を中心にして第1ピッチツール90と左右対称に形成されており、説明を省略する。また、第1ピッチツール90と第2ピッチツール92は個別に作動される。
【0026】
次に、コイルばね製造装置10を用いた端面平坦なコイルばねを製造する製造方法について説明する。図9に成形するコイルばね18を示す。コイルばね18は、所望の径及びピッチで形成してあり、その端面19が平坦で、かつコイルばね18の中心軸21に対して垂直な面内に形成されている。
【0027】
コイル用線材30の先端を搬送部12に取り付け、搬送ロール20の駆動によりコイル用線材30を湾曲成形部14に搬送する。湾曲成形部14に送られてきたコイル用線材30は、成形ロールである第1ロール32及び第2ロール34と、支持ロールである第3ロール36との間に通される。
【0028】
第1移動台40を駆動機構44により、また第2移動台50を駆動機構62によりそれぞれ適宜移動させ、第1ロール32と第2ロール34の間隔を所定の間隔に設定する。また押圧機構88により第4移動台86を上下動させ、成形しようとするコイルばね18の径に対応させて、第3ロール36を第1ロール32と第2ロール34の間に所定量押し込み、第1ロール32と第2ロール34と第3ロール36の位置をそれぞれ所定の位置関係に設定する。
【0029】
第1ロール32と第2ロール34と第3ロール36でコイル用線材30を挟持させたら、駆動用モータ24、26、28を駆動させ、それぞれに連結された第1ロール32、第2ロール34、第3ロール36の各ロールを所定の速度で回転駆動させる。これにより、コイル用線材30は、所望の曲率半径で図3に示すように湾曲形成される。そのときの第1ロール32と第2ロール34と第3ロール36の前後方向の位置関係を図5に示す。図5では、第1ロール32と第2ロール34と第3ロール36は同一平面内に配置されている。したがって、コイル用線材30は同一平面内で湾曲成形される。
【0030】
コイル用線材30の先端が、コイルばね18の3/4巻き程度まで到達し、図3に示すように第1ロール32に掛かる以前に、ピッチ成形部16の駆動機構を作動させ、第1ピッチツール90と第2ピッチツール92の少なくとも一方を基盤100に対して前面側、つまり図1の紙面に対して垂直な方向に所定量移動させる。すると、コイル用線材30は、図4に示すように成形しようとするコイルばね18の螺進方向に押圧され、第1ロール32との干渉が回避される。同時にコイル用線材30には、第1ピッチツール90等を作動させたことにより、第2ロール34との接点を支点として前方に屈曲される方向に力が付与される。
【0031】
第1ピッチツール90等を作動させたなら、それに続けて、モータ61を駆動させ、第2ロール34を図6に示すように後退、つまり基盤100に近づく方向に移動させる。第2ロール34を後退させると、コイル用線材30は、屈曲され、それ以降コイル用線材30にピッチが形成される。また、搬送されてきたコイル用線材30は、図6に示すように第2ロール34と第3ロール36の位置関係により、後方、つまり負のピッチが生じるように変形力が付与される。
【0032】
そしてコイル用線材30を屈曲させたら図7に示すように、第2ロール34を徐々に初期位置に戻し、第1ロール32と正対させる。そして第1ピッチツール90を前進させ、搬送されてくるコイル用線材30に所定量のピッチを成形させる。
【0033】
かかる状態でコイル用線材30を湾曲成形部14に搬送して、図8に示すように所定のピッチでコイルばね18を成形する。かかるコイルばね18の成形は、従来と同様である。コイルばね18は、所定の径とピッチで形成されるとともに、端面19が平坦で、かつコイルばね30の中心軸21に対して垂直に形成されている。
【0034】
そして、コイルばね18として所定の巻回が終了したら、終端における端面処理を行なう。終端における端面処理は、コイル用線材30の終端の座面開始点が第2ロール34に到達したとき、第1ピッチツール90を徐々に初期位置に戻す。
【0035】
かかる状態でコイル用線材30がほぼ1巻きされたら、コイルばね18の終端側の端面が成形されたこととなり、コイルばね製造装置10の作動を停止させる。これにより、両端が平坦なコイルばね18が形成される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、平坦端面のコイルばねを製造する端面平坦コイルばね製造方法、及びコイルばね製造装置に利用できる。
以下、本出願の出願当初にかかる特許請求の範囲に記載された内容を付記する。
[1]
第1ロールと、前記第1ロールに対してコイル用線材の搬送方向と同一の側で、かつ該第1ロールの下流側に配置された第2ロールと、前記第1ロールおよび前記第2ロールに対向し、前記搬送方向の他の側に配置された第3ロールと、前記第3ロールを挟んで両側にそれぞれ設けられ、コイルばねの螺進方向に前後動する第1及び第2ピッチツールと、を備えたコイルばね製造装置における端面平坦コイルばね製造方法であって、
前記コイル用線材を前記各ロールで所定の径で湾曲させるとともに、該コイル用線材の端部が所定位置まで進行したとき前記第1と第2ピッチツールの少なくとも一方を前進させて、該コイル用線材と前記第1ロールとの干渉を回避し、かつ、前記第2ロールを後退させ、前記コイル用線材を屈曲させ、その後前記第2ロールの後退を戻し、所定のピッチを付加してコイルばねを形成させることを特徴とした端面平坦コイルばね製造方法。
[2]
第1ロールと、
前記第1ロールに対してコイル用線材の搬送方向と同一の側で、かつ該第1ロールの下流側に配置された第2ロールと、
前記第1ロールおよび前記第2ロールに対向し、前記搬送方向の他の側に配置された第3ロールと、
コイルばねの螺進方向に前後動するピッチツールと、を備え、
前記コイル用線材を、前記第1ロールと前記第2ロールと前記第3ロールにより所定の曲率に湾曲させ、前記ピッチツールにより、前記湾曲されたコイル用線材に所定のピッチを成形してコイルばねを製造するコイルばね製造装置において、
前記第2ロールを、製造される前記コイルばねの螺進方向に沿って前後進可能、かつ、前記コイル用線材の搬送方向と平行な直線を回転軸として傾動可能とし、
前記ピッチツールを前記第3ロールを挟んだ両側にそれぞれ、第1ピッチツール及び第2ピッチツールとして設けたことを特徴とする端面平坦コイルばね製造装置。
[3]
前記第2ロールの前記回転軸を、該第2ロールのロール中心を通るように設定したことを特徴とする2に記載の端面平坦コイルばね製造装置。
【符号の説明】
【0037】
10…コイルばね製造装置
14…湾曲成形部
16…ピッチ成形部
24、26、28…駆動用モータ
30…コイル用線材
32…第1ロール
34…第2ロール
36…第3ロール
40…第1移動台
42…案内レール
44、60、62…駆動機構
46、61、64、72…モータ
48…送りねじ機構
50…第2移動台
52…第3移動台
56…ガイドシャフト
58…案内レール
66…送りねじ機構
70…傾動機構
74…ベルト伝達機構
79…回転支持軸
86…第4移動台
90…第1ピッチツール
92…第2ピッチツール
94…ガイドピン
100…基盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9