特許第5677037号(P5677037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677037
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】天板付き家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20150205BHJP
   A47B 41/02 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   A47B13/00 Z
   A47B41/02
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-249622(P2010-249622)
(22)【出願日】2010年11月8日
(65)【公開番号】特開2012-100748(P2012-100748A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2013年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 彩子
(72)【発明者】
【氏名】白根 珠実
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−112901(JP,U)
【文献】 特開平05−068619(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3086136(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚体と、該脚体に支持された天板と、前記脚体に設けられた物品支持部材と、を備える天板付き家具において、
前記脚体を、対向する一対の側壁と、該両側壁の下端同士を連結する下板とを備え、前記天板に連結される天板支持アームを備えるものとし、前記物品支持部材を、物品を支持しうる物品支持部と、該物品支持部から上方に延設される起立部と、該起立部の上端から側方に延設される連結部と、を備えるものとし、前記連結部を、前記天板支持アームに形成した挿通孔を通して前記両側壁の対向面間に位置させて、前記両側壁に固着することによって、前記天板支持アームと前記物品支持部材とを相互に連結したことを特徴とする天板付き家具。
【請求項2】
前記連結部を、前記両側壁の対向面間における、上端部よりも下方の部位に位置させた請求項1に記載の天板付き家具。
【請求項3】
前記下板に、上下方向に開口し、前記起立部、および前記連結部を挿通しうる挿通孔を設けた請求項1または2に記載の天板付き家具。
【請求項4】
前記側壁に、前記側壁の面方向に開口し、前記連結部を挿通しうる挿通孔を設けた請求項1または2に記載の天板付き家具。
【請求項5】
前記物品支持部材を、鋼板を折曲することによって形成し、前記連結部を、前記天板支持アームに溶着した請求項1〜4のいずれか一項に記載の天板付き家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚体と、脚体に支持された天板と、脚体に配設された物品支持部材と、を備える天板付き家具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記分野に属する従来の技術として、特許文献1に開示されている技術が挙げられる。この技術は、例えば、学校で生徒が学習に使用する机に使われるもので、線材を正面視でL字状をなすように、尚且つ、平面視でU字状をなすように折曲してなる物品支持部材を、脚体における、天板の左右側部を支持する部材(側部支持杆312)の上面と天板の下面とにより挟持するという構成である。この技術は、安価な素材に、容易な加工を加えることのみで物品支持部材を大量に生産でき、尚且つ、天板および脚体に対しても複雑な加工を加える必要がないという点で、大きなコスト削減効果を奏する。
【0003】
しかしながら、物品支持部材は、天板と脚体とによって単に挟持されているのみであるので、天板と脚体との連結強度が劣化すると、がたついてしまう虞がある。
【0004】
他方、上記分野を含む天板付き家具における、従来の天板支持構造として、特許文献2に開示されている技術が挙げられる。すなわち、鋼板を、対向する一対の側壁を備えるように折曲して形成される天板支持アームによって、天板の下面を支持するという構成である。この技術は、安価な素材に、容易な加工を加えることのみで天板支持アームを大量に生産できるという点で、大きなコスト削減効果を奏する。
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示されている天板支持アームは、長期間の使用に伴って変形することが避けられない。具体的には、下方には閉塞され、上方には開口する形状をなしていることから、両側壁の上部同士の間隔が漸次大となるように変形してしまう。この現象によって、天板と天板支持アームとの間に隙間が生じ、この隙間に紙や衣服が挟まったり、天板を手で持って机を移動させる場合に、天板と天板支持アームとが当接し合って衝突音を発生させたりする。
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3114585号公報
【特許文献2】特開平05−068619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、側壁を備える天板支持アームに、物品支持部材を堅牢に支持し、尚且つ、天板支持アーム自体の剛性も向上させることのできる天板付き家具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の請求項1に記載の発明は、脚体と、該脚体に支持された天板と、前記脚体に、前記天板の左右側方に位置するように設けられた物品支持部材と、を備える天板付き家具において、
前記脚体を、対向する一対の側壁と、該両側壁の下端同士を連結する下板とを備え、前記天板に連結される天板支持アームを備えるものとし、前記物品支持部材を、物品を支持しうる物品支持部と、該物品支持部から上方に延設される起立部と、該起立部から側方に延設される連結部と、を備えるものとし、前記連結部を、前記天板支持アームに形成した挿通孔を通して前記両側壁の対向面間に位置させて、前記両側壁に固着することによって、前記天板支持アームと前記物品支持部材とを相互に連結したことを特徴とする天板付き家具である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の椅子において、前記連結部を、前記両側壁の対向面間における、上端部よりも下方の部位に位置させたことを特徴とする天板付き家具である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の椅子において、前記下板に、上下方向に開口し、前記起立部、および前記連結部を挿通しうる挿通孔を設けたことを特徴とする天板付き家具である。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の椅子において、前記側壁に、前記側壁の面方向に開口し、前記連結部を挿通しうる挿通孔を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の椅子において、前記物品支持部材を、鋼板を折曲することによって形成し、前記連結部を、前記天板支持アームに溶着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、物品支持部材の連結部が、天板支持アームの両側壁を連結する役割を果たすので、両側壁の離間が防止される。したがって、長期間の使用を伴っても、両側壁同士の間隔が広がって、天板支持アームの形状が変形することがなくなる。天板と天板支持アームとの間に空間が生じて、紙や衣服を挟んでしまうこと、といった問題の発生を抑えることができる。また、物品支持部材をもって、両側壁同士を連結しているので、天板支持アームに対する物品支持部材の位置も完全に固定される。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、連結部が、両側壁の対向面間における、上端部より下方の部位に位置しているので、連結部が天板支持アームよりも上方に突出して、天板の下面に当接し、天板と天板支持アームとの間に空間を生じてしまうことがなくなる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、下板に設けられた挿通孔を通して連結部、および起立部を側壁同士の対向面間に挿入するという簡単な方法で、物品支持部材を天板支持アームに支持することができる。また、天板支持アームへの加工は、物品支持部材の大きさに合わせて、下板の一部に挿通孔を設けるという簡単な加工のみであるので、天板支持アームの剛性を損なうこともない。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、側壁に設けられた挿通孔を通して連結部、および起立部を側壁同士の対向面間に挿入するという簡単な方法で、物品支持部材を天板支持アームに支持することができる。また、天板支持アームへの加工は、物品支持部材の大きさに合わせて、側壁の一部に挿通孔を設けるという簡単な加工のみであるので、天板支持アームの剛性を損なうこともない。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、物品支持部材を杆材によって形成する場合に比して、閉塞板と両側壁との接触面積を大きく確保できるようになる。したがって、物品支持部材の位置が安定しないことや、天板と天板支持アームとの間に空間が生じて、紙や衣服を挟んでしまうこと、といった問題の発生を、より確実に抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の天板付き家具の構成を、以下に詳述する机1を例として説明する。
本発明の机1は、図1、および図2に示すように、左右一対の脚体2、2によって天板3の下面における幅方向の両側部における、奥行き方向の両端部を除く範囲を支持することにより、自立させて使用可能となっている。なお、以下の説明において、机1の、使用者から見ての使い勝手に鑑み、天板3の幅方向を「左右方向」、奥行き方向を「前後方向」とし、図1における手前側を「前方」、奥側を「後方」として、左側を「左側方」、右側を「右側方」として説明する。
【0019】
天板3は、例えば成型合板等の木材の表面に、滑り性を向上させるための塗膜を塗布してなる平板状の部材である。
脚体2、2は、上下方向の支柱4と、支柱4の下端部前面に、ボルト、溶接等の手段により連結されたベース5と、支柱4の上端部前面に、ボルト、溶接等の手段により連結された天板支持アーム6とからなる一対の脚部材4、4からなる。支柱4、4、ベース5、5、そして天板支持アーム6、6は、例えば鉄などの鋼板を、断面視において中空の矩形をなすように折曲加工することによって形成された部材である。なお、図1においては、天板支持アーム6は、左側方のものしか図示されていないが、右側方の支柱4の上端部前面に、左側方の天板支持アーム6と対称をなす形状の天板支持アーム6が連結されている。
【0020】
左右一対の脚部材4、4の間には、幕板7が設けられている。
この幕板7は、合成樹脂やアルミニウム合金といった、長尺に成型可能な素材から成型された板状の部材であり、脚体2、2同士の間の空間、すなわち、使用者の下肢が位置する空間を、後方から視認できないように遮蔽する役割を持つ。なお、本願発明に直接関係しないため図示は省略するが、幕板7は、図1に示される前向折曲部7aを支柱4、4の内側面に、図2に示される後向折曲部7bを天板3の下面における後端部近傍に、ボルト等の固着手段によって固着されている。
【0021】
天板支持アーム6、6同士の間には、棚8が設けられている。
この棚8は、合成樹脂、あるいは鋼板によって、下板8a、および左右一対の側板8b、8bとを備え、少なくとも下方、および左右両側方に閉塞された形状に成型されており、使用者が前方から収容した物品が、内部空間8cから脱落することを防止できるようになっている。なお、本願発明に直接関係しないため図示は省略するが、棚8は、側板8b、8bの上端部を、図示しないボルト等の固着手段によって、天板3の下面に固着されている。
【0022】
天板支持アーム6、6には、本願発明における物品支持部材としてのフック9、9が設けられている。
このフック9、9は、後述する構造で、天板支持アーム6、6に固着されるもので、前記天板3の左側方において使用可能となるように配置されており、使用者が、鞄や衣服を支持することが可能となっている。
【0023】
次に、本願発明の第1実施形態における、フック9、9の、天板支持アーム6、6への固着方法を、図3、および図4を用いて説明する。
なお、天板支持アーム6、6、およびフック9、9の形状は左右で対称をなすため、以下においては、左側方の天板支持アーム6と、フック9との固着方法のみを説明する。
【0024】
図3、および図4に示すように、天板支持アーム6は、対向面同士が離間する左右一対の側壁6a、6aと、この側壁6a、6aの下端部同士を連結する下板6bと、右側に位置する前記側壁6aの上端部から延設された天板支持板6cとを備えるように、一枚の鋼板を折曲加工して形成されている。左側方の側壁6aの上端部は、再度下方へ折曲されており、左側に位置する側壁6aの上端部の強度を増強している。そして、下板6bの右端部における前後方向所定位置には、上下方向に開口する挿通孔6dが穿設されている。
【0025】
図3、および図4に示すように、フック9は、左側方を向く物品支持部9aと、この物品支持部9aの内側端部から上方に起立する起立部9bと、この起立部9bの上端部を左側方に折曲してなる略水平の連結部9cとを備えるように、鋼板を正面視において略L字状をなすように折曲加工することによって形成されている。物品支持部9aは、その遊端部が上方を向くように折曲されており、この部位に支持された鞄等の物品が、左側方に落下しないように配慮されている。
【0026】
フック9は、挿通孔6dを通して、起立部9bの上半部、および連結部9cが側壁6a、6a同士の対向面間の空間に位置するように設けられている。挿通孔6dの開口寸法は、下板6bの面積の範囲内であれば任意であるが、フック9の前後方向の長さ、および厚さよりもわずかに大きな程度であることが望ましい。このことによって、フック9を、最初に連結部9cの先端を下方から挿通孔6dに挿入し、ついでフック9全体を下方に回転させながら、起立部9bを挿通孔6dへ挿入するという工程で、側壁6a、6a同士の対向面間の空間に位置させることができるだけでなく、天板支持アーム6の強度が極度に低減されることが防止されている。
【0027】
連結部9cは、側壁6a、6a同士の対向面同士の離間寸法と等しいか、わずかに小さな左右寸法を有しており、図3に示されるように、脚体2から天板3を取り外して、天板支持アーム6を上方から視認した場合に、側壁6a、6a同士の対向面間の空間の一部を上方から閉塞するようになっている。
【0028】
この状態で、公知の溶接手段を用いて、側壁6a、6aと、連結部9cの左右両側端部とを溶着すると、側壁6a、6a同士が連結部9cによって連結された状態になる。
このことによって、フック9の天板支持アーム6に対しての位置が完全に固定されるだけでなく、側壁6a、6a同士も、連結部9cによって連結されていることによって、その間隔が広がることが防止されるので、長期間の使用に伴う天板支持アーム6の変形が防止される。
なお、図3には、側壁6a、6aと連結部9cとを溶接したことにより生じる盛り上がりWのうち、右側方のものしか図示していないが、左側方のものは、側壁6a、6aのうち、左側方のものにより遮蔽されている。
【0029】
上記の作業を行う時点で、天板支持アーム6は、支柱4、およびベース5と一体化されて脚体2の一部としての態様をなしている。そして、フック9と一体化された天板支持アーム6は、天板支持板6cに穿設された、図示しないボルト挿通孔を通して、天板3の下面に螺入されるボルトによって、天板3に連結される。こうして、天板3は、一対の脚体2、2によって支持され、脚体2、2と天板3とが、本願発明の天板付き家具に相当する机1の態様をなす。
【0030】
この状態にあっては、長期間の使用に伴い、側壁6a、6aには、離間しようとする力が加わるが、側壁6a、6a同士が連結部9cによって連結されているので、離間することはない。したがって、天板支持アーム6は変形せず、結果として、天板3と天板支持アーム6との間には空間が生じなくなり、その空間に衣服や物品を挟むこと、あるいは、天板3と天板支持アーム6とが当接し合って衝突音を発生することといった問題が発生しないようになっている。なお、溶接された側壁6a、6aと連結部9cの表面に盛り上がりWが生じるが、連結部9c上面は、側壁6a、6aの上端部よりもわずかに下方に位置するため、溶接により生じる盛り上がりWは、側壁6a、6aの上端部よりも上方に突出しないようになっている。したがって、盛り上がりWが天板3の下面に当接した結果として、天板3と天板支持アーム6との間に空間が生じることがなくなり、上記した問題が発生することを、より確実に防止できるようになっている。
【0031】
次に、本願発明の第2実施形態を、図5、および図6を用いて説明する。
なお、天板3と脚体2、2との連結構造については、第1実施形態と共通であるため、説明を省略する。
【0032】
第2実施形態における天板支持アーム6´は、第1実施形態と同じく、対向面同士が離間する左右一対の側壁6a´、6a´と、この側壁6a´、6a´の下端部同士を連結する下板6b´と、右側方の前記側壁6a´の上端部から延設された天板支持板6c´とを備えるように、鋼板を正面視において凹字状をなすように折曲加工して形成されている一方、第1実施形態とは異なり、右側方の前記側壁6a´の上部に、左右方向に開口する挿通孔6d´が穿設されている。
【0033】
第2実施形態におけるフック9´は、第1実施形態と同じく、左側方を向く物品支持部9a´と、この物品支持部9a´の内側端部から上方に起立する起立部9b´と、この起立部9b´の上端部を左側方に折曲してなる略水平の連結部9c´とを備えるように、鋼板を正面視において略L字状をなすように折曲加工して形成されている一方、連結部9c´の左右寸法が、側壁6a´、6a´同士の離間寸法よりも大となっている。
【0034】
第2実施形態においては、前記フック9´を、挿通孔6d´より、側壁6a´、6a´同士の対向面間の空間に挿入された連結部9c´を、前記側壁6a´、6a´のうち、左側方のものに当接させた状態で、第1実施形態と同様に、側壁6a´、6a´に溶着することによって、天板支持アーム6´、6´に対して固着する。挿通孔6d´の開口寸法は、側壁6a´の面積の範囲内であれば任意であるが、フック9´の前後方向の長さ、および厚さよりもわずかに大きな程度であることが望ましい。このことによって、天板支持アーム6´の強度が、極度に低減されることが防止されている。
なお、図5には、側壁6a´、6a´と連結部9cとを溶接したことにより生じる盛り上がりW´のうち、右側方のものしか図示されていないが、左側方のものは、側壁6a´、6a´のうち、左側方のものにより遮蔽されている。
【0035】
この第2実施形態により奏しうる効果は、第1実施形態とほぼ同じであるが、第1実施形態に比し、フック9´を回転させる必要がなくなるので、フック9´の天板支持アーム6´に対しての位置決めをより行いやすいという点、および挿通孔6d´の開口寸法を小さくでき、天板支持アーム6´の強度を損なわないという点で、大きなメリットがある。
【0036】
以上にわたって説明したように、本願発明における天板付き家具においては、脚体2を、対向する一対の側壁6a、6aを備え、天板3に連結される天板支持アーム6を備えるものとし、物品支持部材としてのフック9を、物品を支持しうる物品支持部9aと、物品支持部9aから上方に延設され、両側壁6a、6a、の対向面間で起立する起立部9bと、起立部9bから側方に延設され、両側壁6a、6aの対向面間の空間を閉塞する連結部9cと、を備えるものとし、物品支持部材としてのフック9と天板支持アーム6とを、連結部9cを、両側壁6a、6aに固着することによって、相互に連結しているので、物品支持部材としての前記フック9の連結部9cが、天板支持アーム6の両側壁6a、6aを連結する役割を果たすので、両側壁6a、6aの離間が防止される。したがって、長期間の使用を伴っても、両側壁6a、6a同士の間隔が広がって、天板支持アーム6の形状が変形することがなくなる。このことによって、物品支持部材としてのフック9の位置が安定しないことや、天板3の下面と天板支持アーム6との間に空間が生じて、紙や衣服を挟んでしまうこと、といった問題の発生を抑えることができる。
【0037】
また、連結部9cを、両側壁6a、6aの対向面間における、上端部よりも下方の部位に位置させているので、連結部9cが天板支持アーム6よりも上方に突出して、天板3の下面に当接し、天板3と天板支持アーム6との間に空間を生じてしまうことがなくなる。
【0038】
また、天板支持アーム6における下板6bに、上下方向に開口し、物品支持部材としてのフック9を挿通しうる挿通孔6dを設けているので、下板6bに設けられた挿通孔6dを通して連結部9c、および起立部9bを側壁6a、6a同士の対向面間に挿入するという簡単な方法で、物品支持部材としてのフック9を天板支持アーム6に支持することができる。また、天板支持アーム6への加工は、物品支持部材としてのフック9の大きさに合わせて、下板6bの一部に挿通孔6dを設けるという簡単な加工のみであるので、天板支持アーム6の剛性を極度に低減させることがない。
【0039】
また、第2実施形態においては、天板支持アーム6´における側壁6a´、6a´に、側壁6a´、6a´の面方向に開口し、物品支持部材としてのフック9´を挿通しうる挿通孔6d´を設けているので、側壁6a´に設けられた挿通孔6d´を通して連結部9c´を側壁6a´、6a´同士の対向面間に挿入するという簡単な方法で、物品支持部材としてのフック9´を天板支持アーム6´に支持することができる。また、天板支持アーム6´への加工は、物品支持部材としてのフック9´の大きさに合わせて、側壁6a´、6a´の一部に挿通孔を設けるという簡単な加工のみであるので、天板支持アーム6´の剛性を極度に低減させることがない。
【0040】
また、物品支持部材を、鋼板を折曲することによって形成し、連結部9cを、天板支持アーム6に溶着しているので、閉塞板9cと両側壁6a、6aとの接触面積を大きく確保できるようになる。したがって、物品支持部材の位置が安定しないことや、天板3と天板支持アーム6との間に空間が生じて、紙や衣服を挟んでしまうことといった問題の発生を、より確実に抑えることができる。
【0041】
なお、以上に説明した実施形態では、天板付き家具を、一対の脚体2、2によって天板3を支持してなる机1、物品支持部材を、鋼板を折曲加工して形成してなるフック9、またはフック9´として説明したが、特許請求の範囲を逸脱しない範囲であれば、適宜異なる態様での実施が可能である。
【0042】
例えば、脚体2は、一対設けられているが、天板が小さな円形状、または楕円形状であれば、天板の中央を一本の脚体のみで支持してもよい。また、天板が左右方向に大きければ、天板の左右両側部を2本の脚柱により、左右方向中央部を1本の脚柱により、合計3本で天板を支持してもよい。
【0043】
また、物品支持部材は、鞄や衣服等の支持部材であると同時に、天板支持アームの側板同士を連結する部材でもあるため、実施形態のように左右両側方の天板支持アームに対して設けられているのが望ましいが、片方の天板支持アームに対してのみ設けられていてもよい。
【0044】
また、物品支持部材は、鋼板を折曲加工してなるフック9、またはフック9´であるが、天板支持アームの側壁同士を連結しうる長さを有するものであれば、鋼板以外のものから形成してもよい。例えば、特許文献1に開示されているような、線材を正面視でL字状をなすように、尚且つ、平面視でU字状をなすように折曲してなる物品支持部材の基端部の長さを、天板支持アームの側壁同士を連結しうる長さとして、連結部としてもよい。このような構成とすれば、物品支持部材と天板支持アームとの接触面積は小となるが、物品支持部材を軽量化できることと、挿通孔を、前後方向に大きな一つの孔ではなく、線材を挿通させるだけの小さな孔を前後方向に離間させて2つ設ければよくなるので、天板支持アームの強度を損なわないこと、という2つの効果を奏しうる。
【0045】
また、物品支持部材としてのフック9、およびフック9´において、起立部9b、および9b´は、物品支持部9a、および9a´から、略垂直に起立し、その上半部が天板支持アーム6の内部に位置しているが、物品支持部と起立部とが、弧形状をなすように連続していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本願発明の天板付き家具をを示す左前方からの斜視図である。
図2】本願発明の天板付き家具をを示す左後方からの斜視図である。
図3】本願発明の天板付き家具における要部を示す左前方からの斜視図である。
図4】本願発明の天板付き家具における要部を示す断面図である。
図5】本願発明の天板付き家具の第2実施形態における要部を示す左前方からの斜視図である。
図6】本願発明の天板付き家具の第2実施形態における要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 机
2 脚体
3 天板
4 支柱
5 ベース脚
6 天板支持アーム
6´ 天板支持アーム
6a 側板
6b 下板
6c 天板支持板
6d 挿通孔
6a´ 側板
6b´ 下板
6c´ 天板支持板
6d´ 挿通孔
7 幕板
7a 前方折曲部
7b 後方折曲部
8 棚
8a 下板
8b 側板
8c 内部空間
9 フック
9a 物品支持部
9b 起立部
9c 連結部
9a´ 物品支持部
9b´ 起立部
9c´ 連結部
W 溶接による盛り上がり
W´ 溶接による盛り上がり
図1
図2
図3
図4
図5
図6