特許第5677064号(P5677064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677064
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20150205BHJP
   A47L 9/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   A47L9/28 J
   A47L9/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-276031(P2010-276031)
(22)【出願日】2010年12月10日
(65)【公開番号】特開2012-120789(P2012-120789A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2013年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】星野 享
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−099096(JP,A)
【文献】 特開2003−143750(JP,A)
【文献】 特開2010−263688(JP,A)
【文献】 特開2009−240136(JP,A)
【文献】 特開平08−107841(JP,A)
【文献】 特開2003−204908(JP,A)
【文献】 特開2006−136512(JP,A)
【文献】 特許第3673945(JP,B2)
【文献】 特開平04−156811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体と、
電動部この電動部により回転されてこの電動部を冷却する第1風路とこの電動部を冷却しない第2風路とに排気する遠心ファン、および、前記第2風路の一部を構成する排気開口を側部に備え前記遠心ファンの一部を覆うファンカバーを備え、前記掃除機本体に収容された電動送風機と、
前記ファンカバーの前記排気開口と対向する側部に設けられ、前記排気開口と連通して内部に前記第2風路の下流側を区画するカバー部材と、
この電動送風機よりも熱容量が小さく、前記カバー部材に覆われて前記第2風路に配置され、前記電動送風機に流れる電流に応じて発熱する発熱素子と、
前記カバー部材に覆われて前記第2風路内に配置され、前記発熱素子の温度が予め設定された温度閾値を超えると前記電動送風機の吸込力を少なくとも低下させる検知制御手段と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
発熱素子は、電動送風機の風量を電流により検知するためのシャント抵抗器である
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
電動送風機は、定格入力が互いに異なる複数の動作モードで駆動可能であり、
検知制御手段は、発熱素子の温度が、前記動作モードのそれぞれに基づいて複数設定された温度閾値を超える毎に前記電動送風機の入力を順次低下させる
ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、予め設定された温度閾値を超えると電動送風機の入力を遮断する電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機は、集塵部を備えた掃除機本体の内部に電動送風機が収容されている。この電動送風機の吸込側は、集塵部に連通しており、集塵部には、例えばホース体、延長管および床ブラシなどが接続される。そして、電動送風機の駆動により発生した負圧によって、床ブラシ、延長管およびホース体から集塵部を介して塵埃を空気とともに外部から吸い込み、集塵部に塵埃を捕集する。そして、電動送風機は、塵埃が捕集された空気を吸い込んで内部を通過させることにより冷却される。
【0003】
このような電気掃除機は、例えば床ブラシなどの先端が塞がれたり、集塵部に捕集した塵埃量が増加したりして電動送風機による吸込風量が減少すると、電動送風機への空気の流入が減少し冷却が追いつかなくなり、電動送風機の温度が上昇する。したがって、電動送風機を過熱保護するために、電動送風機の温度、例えば整流子近傍などの電動送風機の排気側の雰囲気温度(周囲温度)が所定温度に達すると回路を開放して電動送風機の入力を遮断するサーモスタットなどが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−136512号公報
【特許文献2】特許第3673945号公報
【特許文献3】特開平4−156811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動送風機は熱容量が比較的大きいため、周囲温度の上昇までに時間が必要であり、サーモスタットなどが作動するまで時間を要したり、外気温や排気の当たり方の差によってサーモスタットなどが動作するまでの時間や温度にばらつきが生じたりするおそれがある。また、熱容量が比較的大きい電動送風機は温度が下がりにくいため、サーモスタットが一旦作動すると、電動送風機が所定温度未満に冷却されるまでの時間、すなわち、復帰までの時間が大きくなる。特に、夏場などの外気温が高いときには、例えば復帰まで長時間を要することがあり、その間使用者は掃除作業を中断しなければならない。また、近年静音化のために電動送風機をカバー体により覆う構成とすることがあり、このような場合、熱がカバー体の内部にこもりやすく、復帰までの時間がより大きくなる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電動送風機を確実に過熱保護しつつ、過熱保護された後の復帰までの時間を短縮した電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電気掃除機は、掃除機本体を有する。また、電気掃除機は、電動部この電動部により回転されてこの電動部を冷却する第1風路とこの電動部を冷却しない第2風路とに排気する遠心ファン、および、第2風路の一部を構成する排気開口を側部に備え遠心ファンの一部を覆うファンカバーを備え、掃除機本体に収容された電動送風機を有する。また、電気掃除機は、ファンカバーの排気開口と対向する側部に設けられ、排気開口と連通して内部に第2風路の下流側を区画するカバー部材を有する。さらに、電気掃除機は、電動送風機よりも熱容量が小さく、カバー部材に覆われて第2風路に配置され、電動送風機に流れる電流に応じて発熱する発熱素子を有する。そして、電気掃除機は、カバー部材に覆われて第2風路内に配置され、発熱素子の温度が予め設定された温度閾値を超えると電動送風機の吸込力を少なくとも低下させる検知制御手段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の電気掃除機を一部を切り欠いて示す側面図である。
図2】同上電気掃除機の内部構造を示す回路図である。
図3】同上電気掃除機を示す斜視図である。
図4】第2の実施形態の電気掃除機の内部構造を示す回路図である。
図5】同上電気掃除機の発熱素子の温度と電動送風機の入力との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0010】
図3において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
【0011】
管部12は、掃除機本体13に接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
【0012】
手元操作部17には、把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21には、運転操作用の設定手段としての設定ボタン22が複数設けられており、運転停止用の停止手段としての停止ボタン23が設けられている。
【0013】
また、掃除機本体13は、中空状の本体ケース25を備え、この本体ケース25の内部には、前側に集塵部としての集塵室が区画され、後側に電動送風機部32を収容する電動送風機室が区画されている。さらに、本体ケース25の前部には、集塵室と連通する本体吸込口34が開口形成されている。この本体吸込口34には、管部12の接続管部15の基端側が連通接続される。そして、本体ケース25の内部には、電動送風機部32などに給電する電源部である電池としての二次電池(電池パック)E(図2)が収容されている。
【0014】
また、電動送風機部32は、図1に示すように、電動送風機36と、この電動送風機36に取り付けられた空冷部である検知部37とを有している。そして、この電動送風機部32は、図示しないが、例えばカバー体によって覆われており、電動送風機36の駆動音などの騒音が外部に漏れることが抑制されている。
【0015】
ここで、図2に示すように、電気掃除機11は、二次電池Eの高圧側に対してマイコンなどの制御手段41が電気的に接続されているとともに、この制御手段41に対して並列に、温度検知手段としての検知制御手段であるサーモスタット42と電動送風機36との直列回路が電気的に接続されている。また、電動送風機36には、制御素子としての例えばp型のMOSFET44のドレイン電極が電気的に接続されている。このMOSFET44は、ソース電極が発熱素子としてのシャント抵抗器46を介して接地され、制御電極であるゲート電極が制御手段41と電気的に接続されている。したがって、二次電池E、サーモスタット42、電動送風機36、MOSFET44およびシャント抵抗器46の直列回路により、電動送風機36への給電回路Cが構成されている。さらに、制御手段41には、二次電池Eの出力電圧を検出する第1電圧検知手段48と、シャント抵抗器46とMOSFET44のソース電極との接続点の電圧値を検出することにより電動送風機36に流れる電流値を検出する第2電圧検知手段49とがそれぞれ電気的に接続されている。すなわち、シャント抵抗器46は、電動送風機36に流れる電流値の検出により、この電動送風機36の駆動によって生じる風量を間接的に検出するものであり、電動送風機36に流れる電流量に対応して(比例して)発熱する。また、制御手段41には、例えば液晶パネル、あるいはランプなどの表示手段51と、設定ボタン22および停止ボタン23とが電気的に接続されている。
【0016】
そして、制御手段41は、設定ボタン22により設定された動作モード(ポジション)に対応してMOSFET44をオンオフすることにより、電動送風機36を位相角制御してこの電動送風機36の入力を、設定された動作モードに対応する定格入力に設定する。また、この制御手段41は、各動作モードでの動作状態において、第1電圧検知手段48で検知した電圧値により二次電池Eの放電状態を検知し、かつ、第2電圧検知手段49で検知した電圧値により電動送風機36の動作状態、すなわち電動送風機36の駆動により生じる風量を検知し、これら検知に基づいて電動送風機36を位相角制御することで、電動送風機36の入力を定格入力に対して制御する。なお、電動送風機36の動作モードとしては、互いに定格入力が異なる複数の動作モード、例えば本実施の形態では相対的に定格入力が小さい第1モードとしての小入力モードである弱モードと相対的に定格入力が大きい第2モードとしての大入力モードである強モードとの複数の動作モードが予め設定されており、これら動作モードの他に、電動送風機36の動作を停止させる停止モードがある。
【0017】
また、図1に示すように、電動送風機36は、電動部である電動機53と、この電動機53に接続されて回転される遠心ファン54と、これら電動機53と遠心ファン54との間に位置する整流板であるディフューザ55と、遠心ファン54およびディフューザ55の一部を覆う略円筒状のファンカバー56とを備えており、制御手段41によりMOSFET44を介して位相角制御される。なお、以下、便宜的に遠心ファン54側を前側、電動機53側を後側として説明する。
【0018】
電動機53は、本体部であるモータ本体部61と、このモータ本体部61を保持する胴体ケースとしてのフレーム62とを有している。
【0019】
モータ本体部61は、例えば四角形枠状の固定子65の内方に回転子66が配置され、二次電池E(図2)に対して電気的に接続されたブラシ装置67を回転子66と一体の整流子68に摺接させることで回転磁極を切り換えることにより回転するインナロータ型のものである。
【0020】
また、フレーム62は、略有底円筒状の第1フレーム71とこの第1フレーム71の前端部に径方向に沿って配置された第2フレーム72とを有している。
【0021】
第1フレーム71は、例えば金属、あるいは合成樹脂などにより形成され、内部に固定子65を保持している。また、この第1フレーム71の後端側には、各ブラシ装置67が取り付けられるブラシ取付孔73が互いに対向する位置に開口形成されているとともに、これらブラシ取付孔73の間の位置に、複数の排気口74が開口形成されている。
【0022】
第2フレーム72は、例えば金属、あるいは合成樹脂などにより形成され、両端部がねじ75を介して第1フレーム71の前端側に径方向に沿って固定されている。なお、このねじ75は、電動送風機36に対して検知部37を固定する機能も有している。また、この第2フレーム72の中央部には、ディフューザ55を固定する固定部76が前方へと突出して形成されている。
【0023】
そして、遠心ファン54は、回転子66の回転軸66aに接続されてこの回転子66と一体的に回転するもので、例えばアルミニウムなどの金属により形成されている。この遠心ファン54は、互いに離間された前後一対のファンプレート77,78間に複数のブレードであるファン翼79を渦巻状に備え、前側のファンプレート77の中央部に吸込口80が形成されている。また、この前側のファンプレート77は、周縁部から吸込口80へと徐々に縮径されて突出するように形成されている。
【0024】
また、ディフューザ55は、遠心ファン54から外周側へと吹き出された空気の一部を整流して電動機53側へと導くもので、例えば熱可塑性の合成樹脂などの部材により形成されており、電動機53と遠心ファン54との間に位置している。さらに、このディフューザ55は、一主面である前面から上方へと突出した複数の上流側ブレード83と、ディフューザ55の他主面である後面から下方へと突出した複数の下流側ブレード84とを一体に有している。そして、このディフューザ55は、中央部に固定部76が挿入され、ねじ85を介して第2フレーム72と固定されている。
【0025】
また、ファンカバー56は、例えば亜鉛めっき鋼板などの金属により略円筒状にプレス成形されており、電動機53のフレーム62の第1フレーム71の上端側の外周縁部に圧入嵌合される。このファンカバー56は、後側から前側へと徐々に縮径されるように形成されており、前端の中央部に丸孔状のカバー吸気口86を有している。また、このファンカバー56の外周には、スリット状の排気開口88が周方向に略等角度に離間されて形成されている。そして、このファンカバー56は、フレーム62の第1フレーム71の外縁部に対して後端部が圧入固定されている。
【0026】
カバー吸気口86の後部には、遠心ファン54の吸込口80との間にシール部材91が配置されている。したがって、カバー吸気口86は、吸込口80と気密に接続されており、遠心ファン54から外周方向へと吹き出された空気の吸込口80への循環流が遮断されている。
【0027】
排気開口88は、ファンカバー56の周方向に沿って長手状に形成されており、遠心ファン54から外周方向へと吹き出された空気の一部をファンカバー56の外部へと導くものである。
【0028】
したがって、電動送風機36は、遠心ファン54から外周側へと吹き出された空気の一部がディフューザ55の上流側ブレード83および下流側ブレード84によって整流されて電動機53のフレーム62(第1フレーム71)内へと通過して電動機53(モータ本体部61)を冷却して排気口74から排気される第1風路W1と、遠心ファン54から外周側へと吹き出された空気の残りの他部がディフューザ55の上流側ブレード83により整流されて排気開口88から電動機53(モータ本体部61)を冷却することなく排気される第2風路W2とが形成されている。すなわち、第1風路W1を通過する空気は、電動送風機36の電動機53の排熱を含み、第2風路W2を通過する空気は、電動送風機36の電動機53の熱影響を受けないように構成されている。
【0029】
一方、検知部37は、シャント抵抗器46とサーモスタット42とが互いに隣接して実装された基板94をカバー部材95により覆って構成されており、第2風路W2中に配置されている。
【0030】
カバー部材95は、電動送風機36のファンカバー56の側部に上記ねじ75によって固定されており、内部に収容したシャント抵抗器46およびサーモスタット42に対して外気温などの外部の温度(熱)を遮断して、シャント抵抗器46およびサーモスタット42がこれらの温度(熱)に影響を受けないように覆っている。また、カバー部材95は、ファンカバー56の排気開口88に対向する位置に、この排気開口88から排気された空気を内部へと導入する導入口97が開口形成されているとともに、この導入口97から内部へと導入された空気を排気する排出口98が開口形成されている。
【0031】
また、検知部37は、シャント抵抗器46が導入口97に対向して配置されており、このシャント抵抗器46に対して導入口97と反対側にサーモスタット42が配置されている。したがって、シャント抵抗器46は、導入口97からカバー部材95内へと導入された空気が吹き付けられ、この空気によって冷却されるように構成されている。
【0032】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0033】
掃除の際には、使用者は集塵部を掃除機本体13に取り付け、本体吸込口34に管部12の接続管部15を接続する。なお、既に集塵部および接続管部15が取り付けられている場合には、この作業は不要である。
【0034】
次いで、使用者が把持部21を把持し、所望の設定ボタン22を操作すると、操作された設定ボタン22に応じて制御手段41が決定した位相角でMOSFET44をスイッチングして電動送風機36を動作モード、本実施形態では強モード、あるいは弱モードに応じた所定の定格入力で駆動させ、この電動送風機36の駆動により生じた負圧を作用させることで、被掃除面上の塵埃を空気とともに床ブラシ19などの管部12の先端側から吸い込む。
【0035】
このとき、シャント抵抗器46は、例えば抵抗値が50mΩ程度である場合、例えば15A程度の電流が流れたとき、第2電圧検知手段49での検知電圧が0.75Vとなる。このとき、シャント抵抗器46で消費される電力は、約11.3W(=15×0.75)となり、この電力に対応してシャント抵抗器46が発熱する。
【0036】
含塵空気は、管部12を通過した後、本体吸込口34から集塵部へと吸い込まれ、この集塵部において塵埃が分離捕集された後、電動送風機36へと吸い込まれる。
【0037】
この電動送風機36に吸い込まれた空気は、カバー吸気口86および吸込口80から遠心ファン54の内部へと吸い込まれ、この遠心ファン54のファンプレート77,78に沿って中心側から外周側へと吹き出される。
【0038】
この外周側へと吹き出された空気は、ディフューザ55の上流側ブレード83に沿って整流されつつ、このディフューザ55の外周側へと吹き出される。
【0039】
このディフューザ55の外周側へと吹き出された空気は、一部がディフューザ55の下流側ブレード84によってディフューザ55の中心側へと整流され、電動機53の第2フレーム72の間から第1フレーム71内へと流入し、モータ本体部61を冷却しつつ第1フレーム71を軸方向へと通過した後、排気口74から第1フレーム71(電動機53)の外部、本実施の形態では電動送風機室内へと排気される(第1風路W1)。すなわち、電動機53(のモータ本体部61)は、電動送風機36の駆動により吸い込んだ空気の量に対応して冷却される。
【0040】
また、ディフューザ55の外周側へと吹き出された空気の残りの他部は、排気開口88からファンカバー56の外部へと吹き出され、導入口97からカバー部材95の内部へと流入し、シャント抵抗器46を冷却しつつ、排出口98からカバー部材95の外部、本実施の形態では電動送風機室内へと排気される(第2風路W2)。すなわち、シャント抵抗器46は、電動送風機36の駆動により吸い込んだ空気の量に対応して冷却される。特に、第1風路W1は電動機53を冷却する風路であるため、この第1風路W1の電動機53よりも下流側では、電動機53からの排熱が含まれ、冷却効率が良好でいないのに対して、シャント抵抗器46は、電動機53を冷却しない第2風路W2に配置しているので、効果的に冷却される。
【0041】
そして、第1風路W1および第2風路W2を経由した空気は、電動送風機室から排気孔を介して掃除機本体13(本体ケース25)の外部へと排気される。
【0042】
ここで、例えば集塵部に所定量以上の塵埃が溜まったり、管部12などの内部の風路に塵埃が詰まったり、床ブラシ19の吸込口が閉塞されたりするなど、電動送風機36が吸い込む空気の量が相対的に低下したときには、シャント抵抗器46を冷却する空気の量も相対的に低下することにより、発熱に冷却が追いつかなくなってシャント抵抗器46の温度が徐々に相対的に上昇する。そして、このシャント抵抗器46の温度が予め設定された所定の温度閾値、すなわちサーモスタット42が開成する温度を超えると、このシャント抵抗器46の温度によってサーモスタット42が開成して電動送風機36への給電回路Cを開放することで電動送風機36のみを強制的に停止させる。このとき、制御手段41は、第2電圧検知手段49により検知した電圧が0Vとなることにより、電動送風機36の停止を判別できる。そして、この電動送風機36の停止を検知した制御手段41は、MOSFET44をオフにするとともに、風量の低下により電動送風機36が停止したことを表示手段51に表示する。
【0043】
また、電動送風機36が停止するとシャント抵抗器46には電流が流れなくなるので、シャント抵抗器46の温度は直ちに低下する。そして、このシャント抵抗器46の温度が上記温度閾値以下になると、サーモスタット42が閉成して電動送風機36への給電回路Cを再度形成することにより、使用者による設定ボタン22の操作によって制御手段41が再度電動送風機36を動作させることが可能になる。
【0044】
掃除が終了すると、使用者が停止ボタン23を操作することにより、制御手段41が電動送風機36の位相角を0として、電動送風機36を停止させる。
【0045】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、電動送風機36の風量を電流により検知するためのシャント抵抗器46を用い、そのシャント抵抗器46の温度が予め設定された温度閾値を超えると電動送風機36の吸込力を少なくとも低下、本実施形態では電動送風機36の電流をサーモスタット42によって遮断して電動送風機36を停止させることにより、電動送風機36に流れる電流に応じて発熱する部材を別途必要とすることがなく、構成をより簡略化できる。
【0046】
しかも、電動送風機36は、シャント抵抗器46の温度が所定の温度閾値を超えたときに、サーモスタット42を用いた機械的な構成によって停止させることで、例えばマイコンなどを用いて制御する場合と比較して、信頼性がより向上する。
【0047】
なお、上記第1の実施形態において、制御手段41が設定する電動送風機36の動作モードは1つでもよいし、互いに定格入力が異なる3つ以上でもよい。
【0048】
次に、第2の実施形態を図4および図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態のサーモスタット42に代えて、図4に示すように、温度検知手段としての温度センサ99を備え、この温度センサ99により検出したシャント抵抗器46の温度が予め設定された所定の複数の温度閾値を超える毎に制御手段41がMOSFET44を介して電動送風機36の入力を低下させるものである。すなわち、温度センサ99と制御手段41とにより、検知制御手段100が構成されている。
【0050】
ここで、上記温度閾値は、動作モード毎にそれぞれ複数ずつ設定されている。例えば、図5に示すように、電動送風機36の動作モードが弱モードである場合、第1ないし第4の第1モード(小入力モード)用温度閾値としての弱モード用温度閾値T1L〜T4Lが順次設定され、電動送風機36の動作モードが強モードである場合、第1ないし第4の第2モード(大入力モード)用温度閾値としての強モード用温度閾値T1H〜T4Hが順次設定されている。なお、これら温度閾値は、それぞれ4つに限らず、2つ、3つ、あるいは5つ以上でもよい。また、動作モード毎に温度閾値の数が異なってもよい。
【0051】
そして、例えば制御手段41が電動送風機36を弱モードで動作させた場合、仮に集塵部に所定量以上の塵埃が溜まったり、管部12などの内部の風路に塵埃が詰まったり、床ブラシ19の吸込口が閉塞されたりするなどの要因によって電動送風機36の風量が低下してシャント抵抗器46の温度が上昇し、温度センサ99で検知したシャント抵抗器46の温度が第1の弱モード用温度閾値T1Lを超えたときには、制御手段41が電動送風機36の入力を低下させる。その後、温度センサ99で検知したシャント抵抗器46の温度がさらに上昇した場合には、弱モード用温度閾値T2L,T3Lを超える毎に制御手段41が電動送風機36の入力を低下させ、第4の弱モード用温度閾値T4Lを超えたときには、電動送風機36の入力を0に低下させて電動送風機36を停止させ、風量の低下により電動送風機36が停止したことを表示手段51に表示する。
【0052】
同様に、例えば制御手段41が電動送風機36を強モードで動作させた場合に、上記の要因などによって電動送風機36の風量が低下してシャント抵抗器46の温度が上昇し、温度センサ99で検知したシャント抵抗器46の温度が第1の強モード用温度閾値T1Hを超えたときには、制御手段41が電動送風機36の入力を低下させる。その後、温度センサ99で検知したシャント抵抗器46の温度がさらに上昇した場合には、その温度が強モード用温度閾値T2H,T3Hを超える毎に制御手段41が電動送風機36の入力を低下させ、第4の強モード用温度閾値T4Hを超えたときには、電動送風機36の入力を0に低下させて電動送風機36を停止させ、風量の低下により電動送風機36が停止したことを表示手段51に表示する。
【0053】
なお、各動作モードでの動作中において、温度センサ99で検知したシャント抵抗器46の温度が温度閾値T4L,T4Hを超えない状態、すなわち電動送風機36を停止させていない状態で、例えば管部12などの内部の風路に詰まった塵埃を除去したり、床ブラシ19の吸込口の閉塞状態が解除されたりしたときなど、電動送風機36の風量を低下させる要因が解消されて風量が確保され、シャント抵抗器46の温度が各温度閾値以下に低下した場合には、制御手段41は、それぞれ入力を増加させることとなる。
【0054】
また、温度センサ99で検知したシャント抵抗器46の温度が各動作モード中で最も大きい温度閾値T4L,T4Hを超えて制御手段41が電動送風機36を一旦停止させた後、温度センサ99で検知したシャント抵抗器46の温度が、少なくとも各動作モード中で最も大きい温度閾値T4L,T4H以下に復帰した場合には、使用者による設定ボタン22の操作によって制御手段41が再度電動送風機36を動作させることが可能になる。
【0055】
このように、第2の実施形態によれば、検知制御手段100を構成する制御手段41が、シャント抵抗器46の温度が動作モードのそれぞれに基づいて複数設定された温度閾値を超える毎に電動送風機36の入力を順次低下させることにより、検知制御手段100が不必要に電動送風機36を停止させてしまうことがないとともに、シャント抵抗器46の温度が各温度閾値以下に低下した場合には、より早期に電動送風機36(電気掃除機11)を掃除作業に復帰させることができる。
【0056】
そして、以上説明した各実施形態によれば、電動送風機36よりも熱容量が小さく、電動送風機36に流れる電流に応じて発熱する発熱素子であるシャント抵抗器46を、電動機53を冷却しない第2風路W2に配置し、このシャント抵抗器46の温度が予め設定された温度閾値を超えると電動送風機46の吸込力を少なくとも低下させることにより、熱容量が電動送風機36よりも小さいシャント抵抗器46を介して、電動送風機36を効果的に過熱保護できるとともに、過熱保護によって電動送風機36を一旦停止させた場合でも、この停止によって電流が流れなくなったシャント抵抗器46の温度は直ちに低下するため、復帰までの時間を抑制でき、例えば過熱保護に起因する掃除の中断時間などを短くできるなど、信頼性および汎用性に優れる。
【0057】
なお、上記第2の実施形態において、制御手段41が設定する電動送風機36の動作モードは、互いに定格入力が異なる3つ以上でもよい。
【0058】
また、上記各実施形態において、発熱素子としては、シャント抵抗器46に限らず、例えばMOSFET44などの電動送風機36の制御素子など、電動送風機36に流れる電流に応じて発熱し、かつ、電動送風機36よりも熱容量が小さい任意の素子を第2風路W2に配置して用いることができる。
【0059】
さらに、電気掃除機11としては、キャニスタ型に限らず、例えば床ブラシ19を掃除機本体13の下部に接続したアップライト型、あるいはハンディ型などであっても対応させて用いることができる。
【0060】
そして、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
11 電気掃除機
13 掃除機本体
36 電動送風機
42 検知制御手段であるサーモスタット
46 発熱素子としてのシャント抵抗器
53 電動部である電動機
54 遠心ファン
56 ファンカバー
88 排気開口
95 カバー部材
100 検知制御手段
W1 第1風路
W2 第2風路
図1
図2
図3
図4
図5