(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明にかかるX線CT装置を実施するための最良の形態について説明する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
(第1実施形態)
<X線CT装置の全体構成>
【0016】
図1は、本発明の一実施例にかかるX線CT装置100の構成のブロック図である。このX線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ(Gantry)20とを備えている。
【0017】
操作コンソール1は、オペレータの入力を受け付けるキーボード又はマウスなどの入力装置2と、画像再構成処理、各制御などを実行する中央処理装置3と、走査ガントリ20で収集したX線検出器データを収集するデータ収集バッファ5とを備えている。さらに、操作コンソール1は、X線検出器データを前処理して求められた投影データから画像再構成した断層像を表示するモニタ6と、プログラム、X線検出器データ、投影データ又はX線断層像など各種データを記憶する記憶装置7とを備えている。撮影条件の入力はこの入力装置2から入力され、記憶装置7に記憶される。撮影テーブル10は、被検体HBを乗せて走査ガントリ20の開口部に出し入れする天板12を備えている。天板12は撮影テーブル10に内蔵するモータなどの駆動装置で昇降(Y軸方向)及び水平(Z軸方向)移動される。
【0018】
天板12が昇降した位置及び水平移動した位置は、撮影テーブル10に内蔵された天板位置検出部13によって検出される。天板位置検出部13のY軸方向の検出値(以下は天板高hと称する)は、ガントリと天板12とが干渉しないように用いられる。また、本実施形態では天板高hが後述する投影像補正部33で算出する基準プロジェクション面積S0の算出にも用いられている。天板12の水平移動の位置情報は、スカウト像の水平方向の撮影位置に利用される。さらに天板12の水平移動の位置情報は、コンベンショナルスキャン、ヘリカルスキャン、ピッチが可変する可変ピッチヘリカルスキャン、往復でヘリカルスキャンを行うヘリカルシャトルスキャンなどの複数のスキャン方法の際に利用される。
【0019】
走査ガントリ20は、X線管21と、X線コントローラ22と、多列X線検出器24と、データ収集装置(DAS:Data Acquisition System)25とを備えている。X線コントローラ22は、X線管21に供給する電圧電流をコントロールする。ガントリ回転部15はベアリングを介して回転可能になっている。不図示の回転モータが回転すると、不図示のベルトを介して回転がガントリ回転部15に伝えられ、ガントリ回転部15が回転する。さらに、走査ガントリ20は、被検体HBの体軸の回りに回転しているガントリ回転部15を制御する回転部コントローラ26と、回転部コントローラ26との通信及び天板12と信号の送受信を行う制御コントローラ29とを備えている。ガントリ回転部15の内部は、被検体HBを挿入させるX線照射空間が形成されており、その中心がガントリ回転部15の回転中心GCとなる。
【0020】
中央処理装置3は、投影像算出部32、投影像補正部33、管電流調節部34、画像再構成部38、及び制御部39が具備されている。
【0021】
投影像算出部32は、被検体HBの断面情報の一つとして、スカウト撮影の際に多列X線検出器24が検出した投影データに基づいて天板12の各Z軸方向におけるプロジェクション面積Sを算出する。
【0022】
投影像補正部33は、投影像算出部32で算出した被検体HBの断面情報の一つであるプロジェクション面積Sを補正し、基準プロジェクション面積S0を算出する。
【0023】
管電流調節部34は投影像補正部33で算出した基準プロジェクション面積S0から最適な管電流値を算出する。管電流調節部34で求めた管電流値は、X線コントローラ22に伝えることで天板12の各Z軸方向における最適な管電流値をX線管21に設定する。これら投影像算出部32、投影像補正部33及び管電流調節部34を用いて、ヘリカルスキャン等で被検体HBにX線を照射する際の管電流を自動的に制御する。この管電流を制御する方法を、X線自動露出機構と呼び、その詳細については後述する。
【0024】
画像再構成部38は、X線管21及び多列X線検出器24を固定し、X線を照射しながら天板12をZ軸方向に移動して得られるスカウト像の再構成や、X線管21及び多列X線検出器24を回転させながらX線を照射し、且つ天板12をZ軸方向に移動して得られるヘリカルスキャン等の断層像を作成する。
【0025】
制御部39は入力装置2、モニタ6、記憶装置7、及び各コントローラなどとの通信、また、その他のX線CT装置100全般に係る制御をしている。
【0026】
図2は撮影テーブル10及び走査ガントリ20の斜視図である。
図2に示されるように、天板12は撮影テーブル10の上部に載置される。撮影テーブル10はその内部に不図示の昇降駆動装置、及び水平駆動装置を備える、天板12をY軸方向の昇降と、Z軸方向の水平移動を行う。撮影テーブル10の昇降及び水平移動にはモータなどの駆動装置(不図示)が用いられる。その駆動装置による駆動量がエンコーダなどの天板位置検出部13によって検出される。天板高hは天板位置検出部13により取得される。
【0027】
走査ガントリ20にはレーザーライトなどの光源が具備され、それぞれX軸方向の中心を示すレーザーライトLXと、Y軸方向の中心を示すレーザーライトLYとが具備される。レーザーライトLXとレーザーライトLYとの交点が走査ガントリ20のガントリ回転部15の回転中心GCである。
【0028】
オペレータは、被検体HBを天板12に寝かせ、撮影テーブル10を昇降及び水平移動することで、目視で被検体HBの横幅の中心をレーザーライトLXに合わせ、被検体HBの厚みの中心をレーザーライトLYに合わせる。被検体HBの横幅の中心及び厚みの中心を回転中心GCに合致させることでオペレータが設定したFOV(field of view)の中に被検体HBの目的部位を撮影領域に収めることができる。
【0029】
<X線自動露出機構の説明>
本発明のX線CT装置100は、X線自動露出機構により被検体HBの撮影部位に最適なX線量のX線を照射することで、最適な画質を持つ断層像を画像再構成することができる。
【0030】
X線管21の最適な管電流を設定する際には、0度方向又は180度方向からのスカウト撮影の際に被検体HBの厚みの中心を回転中心GCに合致させることが好ましい。0度方向又は180度方向は、天板12の高さ方向と平行な方向である。本実施形態では、0度方向からのスカウト撮影について説明し、180度方向からのスカウト撮影は説明を割愛する。
図3は、0度方向からのスカウト撮影する際の説明図である。
【0031】
X線CT装置100にて0度方向からのスカウト撮影が行われると、画像再構成部38は多列X線検出器24の情報から、スカウト像の再構成が行われる。同時に、投影像算出部32は多列X線検出器24の情報から、Z軸方向の位置ごとにプロジェクション面積Sを算出する。
【0032】
図3(a)は、スカウト撮影の際のX線管21及び多列X線検出器24と被検体HBとの位置関係を示した図である。具体的に、被検体HBを楕円形の水であると仮定すると、投影像算出部32(
図1を参照。)は、数式1に示される関係式を用いる。ここで、被検体HBの厚みを被検体厚BB、被検体HBのX線吸収係数をμ、X線管21から照射されるX線照射量をI0、被検体HBを透過したX線量(透過X線量)をIとする。
μBB=−ln(I/I0)・・・数式1
【0033】
投影像算出部32は多列X線検出器24ごとに数式1の結果をグラフ化すると、
図3(b)に示されるようなグラフが算出できる。投影像算出部32は多列X線検出器24のチャンネル(Channel)ごとの値を積分することで、プロジェクション面積Sを算出する。このプロジェクション面積Sはスカウト像のZ軸方向の全領域において算出され又は、CT像を取得する撮影範囲のZ軸位置ごとに算出される。管電流調節部34はプロジェクション面積Sの値から目標標準偏差値(タ−ゲットSD)と呼ばれる、最適なCT値で画像再構成された断層像の画質を得るためのX線管21の管電流値を算出する。この目標標準偏差値とX線管21の管電流値とは強い相関があるため、最適な管電流値は正確なプロジェクション面積Sを得ている。
【0034】
図3(a)に示されるように、正確なプロジェクション面積SはY軸方向における被検体厚BBの厚みの中心(以下は被検体中心位置HCと称する)と走査ガントリ20の回転中心GCとが合致していることが好ましい。
図2で説明したように、オペレータは目視で被検体中心位置HCをレーザーライトLYにより走査ガントリ20の回転中心GCに合わせている。このため、被検体厚BBの被検体中心位置HCと走査ガントリ20のY軸方向の回転中心GCとが合致しないことがある。
【0035】
図4(a)は、理解しやすいようY軸方向における被検体中心位置HCと回転中心GCとが大きく異なる場合のX線管21及び多列X線検出器24と被検体HBとの位置関係を示した図である。また、
図4(b)は、(a)の個々のプロジェクション面積Sを示した図である。
図4(a)で図示されるように、具体的に3か所の位置の被検体HBの位置で説明する。
【0036】
点線で描かれる一か所は天板高h0の天板12に被検体HBが配置された例である。被検体HBの被検体中心位置HC0は回転中心GCと合致している。一か所は、天板高h1の天板12に被検体HBが配置された例である。このときの被検体HBの被検体中心位置HC1は回転中心GCより上方にある。もう一か所は、天板高h2の天板12に被検体HBが配置された例である。同じ被検体HBの被検体中心位置HC2は回転中心GCより下方にある。
【0037】
図4(b)に示される基準プロジェクション面積S0は、被検体中心位置HCと回転中心GCとが合致している場合におけるプロジェクション面積Sである。被検体中心位置HC1の被検体HBにおける投影像算出部32の算出値は、多列X線検出器24に投影される領域が広くなり、プロジェクション面積S1として算出される。また、被検体中心位置HC2の被検体HBにおける投影像算出部32の算出値は、多列X線検出器24に投影される領域が狭くなり、プロジェクション面積S2として算出される。
【0038】
プロジェクション面積S1は基準プロジェクション面積S0より大きな値を示し、プロジェクション面積S2は基準プロジェクション面積S0より小さな値を示す。つまり、同じ被検体HBを被検体中心位置HC1に配置した場合のX線の管電流値は大きくなり、被検体中心位置HC2に配置した場合のX線の管電流値は小さくなる。このことは、同じ被検体HBをヘリカルスキャン等で撮影する際においてもCT像の画質の変化と、被検体HBの被ばく線量の違いとが発生する。
【0039】
上記の違いを補正するために、投影像補正部33は被検体HBの被検体中心位置HCが回転中心GCと異なる配置で取得された場合のプロジェクション面積Sを補正する。具体的に投影像補正部33は投影像算出部32が算出したプロジェクション面積S1またはプロジェクション面積S2を被検体中心位置HCと回転中心GCとが合致する基準位置HC0における基準プロジェクション面積S0に補正する。
【0040】
図5はプロジェクション面積Sと天板高hとの関係を示したグラフである。
図5は、縦軸に天板高hをとり、横軸に補正されたプロジェクション面積Psをとっている。
図4に示されたように、被検体HBの被検体中心位置HC0が回転中心GCと合致していると、プロジェクション面積S0であるが、被検体HBが被検体HBがX線管21に近い天板高h1では大きなプロジェクション面積S1になる。また被検体HBが多列X線検出器24に近い天板高h2では小さなプロジェクション面積S2になる。
【0041】
予めファントム等を使ったり被検体HBの体型の統計を使ったりして、
図5に示された天板12の天板高hとプロジェクション面積Sとの相関データSH又は相関式が記憶装置7(
図1を参照。)に記憶されている。また回転中心GCのY軸方向及びX軸方向の位置は装置情報として予め記憶装置7に記憶されている。この相関データSH又は相関式は、男性/女性で別々のデータ又は式であってもよく、年齢ごとに別々のデータ又は式であってもよい。
【0042】
投影像算出部32がプロジェクション面積S1を算出し、撮影テーブル10に内蔵された天板位置検出部13が天板高h1を投影像補正部33(
図1を参照。)に送ると、投影像補正部33は相関データSH又は相関式に基づいて、補正されたプロジェクション面積Psである、回転中心GC(基準位置HC0)における基準プロジェクション面積S0を求める。
【0043】
投影像算出部32がプロジェクション面積S2を算出し、撮影テーブル10に内蔵された天板位置検出部13が天板高h2を投影像補正部33に送ると、投影像補正部33は相関データSH又は相関式に基づいて、補正されたプロジェクション面積Psである基準プロジェクション面積S0を求める。
【0044】
管電流調節部34(
図1を参照。)は投影像補正部33で算出した補正されたプロジェクション面積Psから最適なX線管21の管電流値を算出する。この算出された管電流値がX線コントローラ22に伝えることで、天板12の水平方向(Z軸方向)の各位置におけるCT値の目標標準偏差値が得られる管電流がX線管21に流れる。
【0045】
以上に示された一連の管電流値の決定方法により、X線CT装置100は、スカウト撮影時に天板12が任意の高さに配置されていても、最適な管電流値で被検体HBをヘリカルスキャン等で撮影できる。
【0046】
図6はX線CT装置100の撮影手順を示したフローチャートである。上述したCT撮影装置は
図6に示された手順でX線管21の管電流値を求めて断層像を画像再構成している。なお、本実施形態では管球を0度に配置した0度方向からのスカウト像を撮影する場合について説明する。
【0047】
ステップA1において、オペレータは被検体HBを天板12に乗せ位置合わせを行う。オペレータは目視により被検体HBの横幅の中心を
図2に示されたレーザーライトLXに合わせ、被検体HBの厚みの中心をレーザーライトLYに合わせる。被検体HBの横幅の中心及び厚みの中心を回転中心GCに、おおよそ合致させる。
【0048】
ステップA2において、オペレータは撮影部位を選択して0度方向からスカウト像撮影を行う。画像再構成部38は撮影されるスカウト像に天板高hを付帯させる。または、画像再構成部38は天板高hを別ファイルとして記憶装置7に保存させる。
【0049】
ステップA3において、オペレータが被検体HBのZ軸方向(水平方向)の撮影範囲を設定する。撮影範囲の設定にはスカウト像を用いて撮影開始位置、撮影終了位置及びFOVの設定などを行う。
【0050】
ステップA4において、投影像算出部32は、スカウト像の投影データからZ軸方向の各座標位置におけるプロジェクション面積Sを求める。
【0051】
ステップA5において、投影像補正部33は、天板位置検出部13から天板高hを取得して、投影像算出部32で求められたZ軸方向の各座標位置におけるプロジェクション面積Sを基準プロジェクション面積S0に補正する。この天板位置検出部13は撮影テーブル10内のエンコーダなどを利用するため、特に新たな検出部を設けなくてもよい。
【0052】
ステップA6において、管電流調節部34はZ軸方向の座標位置における補正されたプロジャクション面積Ps(基準プロジェクション面積S0)からCT値の目標標準偏差値が得られるX線管21の管電流値を設定する。
【0053】
ステップA7において、オペレータは管電流調節部34で設定された撮影条件で撮影範囲のCT撮影を開始する。
【0054】
ステップA8において、画像再構成部38は多列X線検出器24の投影データから画像再構成することでCT像を作成する。
ステップA9において、制御部39はCT像をモニタ6に表示する。
尚、上述と同様のステップを、管球を180度に配置した180度方向からのスカウト像を撮影する場合についても行うことができる。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態のX線CT装置100は天板位置検出部13で検出した天板高hだけでなく、被検体厚BB(BB0、BB3)又は被検体厚BBの半分である体厚b(b0、b3)も利用して、投影像補正部33が、投影像算出部32で求められたプロジェクション面積Sを基準プロジェクション面積S0に補正する。
【0056】
図7は、0度方向からのスカウト撮影する際の説明図である。X線CT装置100にて0度方向からのスカウト撮影が行われると、投影像算出部32は多列X線検出器24の情報から、Z軸方向の位置ごとにプロジェクション面積Sを算出する。被検体HBの体型によって被検体厚BBが異なり、また同じ被検体HBであってもZ軸方向の部位(胸部又は腹部等)によって被検体厚BBが異なる。例えば、
図7のハッチングされた被検体は被検体厚BB0で体厚b0である。天板位置検出部13で検出した天板高hと体厚b0とを合わせた被検体高H0は、ガントリ回転部15の回転中心GCと一致している。一方点線で示された被検体は被検体厚BB3で体厚b3である。天板高hと体厚b3とを合わせた被検体高H3は、回転中心GCよりもX線管21に近づいた位置である。すなわち、被検体高H3は回転中心GCと一致しないため、より正確に基準プロジェクション面積Sを補正するためには、天板高hに体厚b(b0、b3)を加えた方がよい。
【0057】
第2実施形態の被検体厚BBの半分である体厚bは、オペレータが実測して入力装置2から入力してもよいが、被検体HBの体重HW、身長HH、年齢及び部位から算出されてもよい。例えば、
図8は、例えば40代男性の腹部abd(M)における体厚bと体重HWとの関係を身長HHごとに示したグラフである。図示されるように、体厚b3の場合は身長140cmの場合には体重HW1の場合であり、身長160cmの場合は体重HW2の場合であり、身長180cmの場合は体重HW3の場合であることを示している。このように、被検体HBの体重HW、身長HH、年齢及び部位により体厚bが算出可能である。この体厚bの相関データSH又は相関式は予め記憶装置7に記憶されている。被検体HBの体重HW、身長HH、及び年齢は、オペレータの入力またはネットワークなどから被検体HBの属性情報として取得可能である。部位についてはオペレータがCT撮影する目的の部位を選択することで入力される。
【0058】
投影像補正部33は入力された被検体HBの体重HW、身長HH、年齢、及び部位から体厚bを算出し、天板位置検出部13から天板高hを取得して被検体高Hを算出し、Y軸方向の回転中心GCの高さとの差を求め、その差から投影像算出部32で求められたプロジェクション面積Sを基準プロジェクション面積S0に補正する。
【0059】
なお、記憶装置7には、プロジェクション面積Sと天板高hとの相関データSH又は相関式が記憶され、被検体HBの体重HW等と体厚bとの相関データ又は相関式が別個に記憶されていてもよい。また、天板高hに体厚bが加えられた被検体高Hとプロジェクション面積Sとの相関データ又は相関式が記憶されていてもよい。
【0060】
(第3実施形態)
第2実施形態では、被検体HBの体重HWなどの情報を使って被検体厚BBを求めた。第3実施形態では、90度方向からのスカウト像を用いて被検体厚BBを求める。第3実施形態のX線CT装置100の構成は第1実施形態と同様である。
【0061】
第3実施形態では、
図6のフローチャートで説明されたステップA2において、0度方向のスカウト像と同じ範囲の90度方向のスカウト側面像SSを撮影する。スカウト側面像SSはX線管21を90度に配置させ、天板12を水平移動させながら撮影する。例えば、全身のスカウト側面像SSを撮影すると、
図9に示されるような被検体HBのスカウト側面像SSを形成することができる。
【0062】
投影像補正部33はスカウト側面像SSからZ軸の座標位置における被検体厚BBを検出して、被検体厚BBの1/2にした体厚bを算出する。または、スカウト側面像SSから、回転中心GCと被検体の中心とのずれ量を求め、そのずれ量と回転中心GCの高さを加算して体厚bを算出することもできる。
図9に示されるように体厚bはZ軸の座標位置で変化している。例えば、頭部に相当するZ軸の座標位置における位置Z1においては体厚b1であり、胸部に相当するZ軸の座標位置における位置Z2においては体厚b2であり、腹部に相当するZ軸の座標位置における位置Z3においては体厚b3である。さらに投影像補正部33は、天板12と被検体HBの境界との間隔cを算出する。例えば、頭部の位置Z1においては間隔c1であり、胸部の位置Z2においては間隔c2であり、腹部の位置Z3においては間隔c3である。また、投影像補正部33は天板位置検出部13から天板高hを取得して被検体高Hを算出している。つまり被検体高Hは体厚bと間隔cと天板高hとの合計値である。
【0063】
投影像補正部33はスカウト像及びスカウト側面像SSを撮影した全ての部位における被検体高Hを算出することで、投影像算出部32で求められたZ軸方向の座標位置ごとのプロジェクション面積Sを基準プロジェクション面積S0に補正する。これにより、管電流調節部34は頭部から腹部までの複数の部位を一度に撮影する場合においても、Z軸方向の座標位置におけるCT値の目標標準偏差値が得られるX線管21の管電流値を設定することができる。
(第4実施形態)
【0064】
第4実施形態のX線CT装置110は被検体厚BBを求めるのに、体厚検出器を用いる。
体厚検出器はサーモグラフィカメラまたは,赤外線カメラ40など被検体厚BBの境界を計測可能なセンサで構成される。以下はX線CT装置110に赤外線カメラ40を設置した場合について説明する。
【0065】
赤外線カメラ40は薄い検査着など着衣を透過して被検体HBの境界を確認できるセンサである。X線CT装置110のガントリには
図10に示されるように赤外線カメラ40が走査ガントリの90度の位置に設置される。赤外線カメラ40の撮影視野はスリット状に形成されている。
【0066】
オペレータが0度方向からのスカウト撮影を行うと同時に、90度方向から赤外線カメラ40で被検体HBの側面を撮影する。赤外線カメラ40はスリットを通過する画像と移動する天板12とから、
図9に示されたような被検体HBの側面像を形成することができる。投影像補正部33はスリットを通しての赤外線像と赤外線カメラ40の設置場所の情報から天板12の座標位置における赤外線像を収集することで被検体HBの赤外線側面像を形成する。さらに、投影像補正部33は赤外線側面像からZ軸の座標位置ごとに被検体厚BBを算出し、被検体厚BBを1/2にすることで体厚bを算出する。
【0067】
投影像補正部33は天板位置検出部13で検出された天板高hと赤外線カメラ40によって算出された体厚bとから被検体高Hを算出し、投影像算出部32で求められたZ軸方向の座標位置におけるプロジェクション面積Sを基準プロジェクション面積S0に補正する。
【0068】
投影像補正部33は赤外線側面像を撮影した全ての部位における被検体高Hを算出することができ、これにより、0度方向からの1回のスカウト像の撮影で複数の部位を一度にCT撮影する場合においても、管電流調節部34はZ軸方向の座標位置におけるCT値の目標標準偏差値が得られるX線管21の管電流値を設定することができる。
尚、上述の実施例においては、記憶装置7に相関データ又は相関式を記憶させたが、相関を撮影毎に計算してもよい。