特許第5677320号(P5677320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5677320車両用ハンドルの安全装置およびこの安全装置を備える車両用のハンドル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677320
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】車両用ハンドルの安全装置およびこの安全装置を備える車両用のハンドル
(51)【国際特許分類】
   E05B 77/06 20140101AFI20150205BHJP
【FI】
   E05B77/06 A
【請求項の数】10
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-548561(P2011-548561)
(86)(22)【出願日】2009年12月22日
(65)【公表番号】特表2012-515283(P2012-515283A)
(43)【公表日】2012年7月5日
(86)【国際出願番号】EP2009067738
(87)【国際公開番号】WO2010081618
(87)【国際公開日】20100722
【審査請求日】2012年12月18日
(31)【優先権主張番号】MI2009A000042
(32)【優先日】2009年1月19日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】309028536
【氏名又は名称】ヴァレオ ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム ルシュー
【審査官】 瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−036535(JP,A)
【文献】 特開2002−056735(JP,A)
【文献】 特表2010−511817(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0085349(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10114965(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/04−77/06
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸(4)を中心として回転するように車両用ハンドルのフレーム(2)に取り付けられた慣性体(1)と、前記慣性体(1)に作動してその回転を阻止する弾性体(6)とを備え、前記慣性体(1)は、前記弾性体(6)による阻止に打ち克って回転したとき、前記車両用ハンドルのレバーに機械的に結合されたロック片(10)であって、前記フレーム(2)に回動自在に取り付けられたロック片(10)を係止し、もって前記車両用ハンドルのレバーの回転を防止するようになっている車両用ハンドルの安全装置において、前記フレーム(2)の中に係合突起(12)が設けられており、前記慣性体(1)は、前記軸(4)を中心として回転する時に、前記係合突起(12)に設けられた傾斜壁に沿って回転しながら、前記軸(4)の方向にスライドするようになっていることを特徴とする車両用ハンドルの安全装置。
【請求項2】
前記弾性体(6)が前記慣性体(1)に対して作動し、前記軸(4)の方向における前記慣性体(1)の運動を阻止することを特徴とする請求項1に記載の車両用ハンドルの安全装置。
【請求項3】
前記弾性体(6)は、前記軸(4)の周りに配置された螺旋状バネであることを特徴とする請求項1または2記載の車両用ハンドルの安全装置。
【請求項4】
前記螺旋状バネの一端が、前記フレーム(2)の支持体(7)に接し、他方の端が、前記慣性体(1)に接していることを特徴とする請求項3に記載の車両用ハンドルの安全装置。
【請求項5】
前記係合突起(12)は、前記慣性体(1)の横に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ハンドルの安全装置。
【請求項6】
前記慣性体(1)は、前記軸(4)を中心として回転して前記係合突起(12)を超えた時、前記係合突起(12)の横断壁によってロックされることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ハンドルの安全装置。
【請求項7】
前記慣性体(1)及び/又は前記係合突起(12)に歯状突起(14)を設けてあり、前記歯状突起(14)は、前記係合突起(12)及び/又は前記慣性体(1)に形成した台座(15)の中に食い込むことが出来るようになっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用ハンドルの安全装置。
【請求項8】
前記台座(15)は、前記係合突起(12)の横断壁の中に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の車両用ハンドルの安全装置。
【請求項9】
前記係合突起(12)は、前記フレーム(2)と一体物として作られることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用ハンドルの安全装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用ハンドルの安全装置を備えることを特徴とする車両のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のハンドルの安全装置に関し、詳細には、事故の際に、ドアが偶発的に開くのを防止するために、そのドアハンドルに適用しうる安全装置に関する。本発明はまた、この安全装置を備える車両用ハンドルにも関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(イタリア国特許出願第MI2007A001748号)にて開示されている、ハンドルのフレームに枢着した慣性体を備える安全装置においては、ドアを開くためにハンドルのレバーを外方に引くと、前記慣性体に弾性手段が作用して、慣性体がハンドルのレバーと実質的に同じ方向に回転するのを阻止している。この装置は、フレームに取り付けられたフレキシブルなプレートを備え、ハンドルを正常に使用している間は、前記慣性体の歯状突起によって、弾力的に曲げられている。しかし衝突した場合に、弾性手段の対抗力に打ち克つ程の加速度を受けると、この慣性体は回転する。この回転時に、歯状突起がフレキシブルプレートの中にできた隙間に落ち込み、衝撃を受けた場所で慣性体は固定される。そこで慣性体から突き出ている阻止体は、ハンドルレバーと機械的に結合されているロック片から突き出ている突出物を阻止し、これにより、衝突後にはこのレバーの回転は防止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知の装置は相当に複雑であり、かつ衝突後、または単にハンドルの組立て時又は運搬の時に偶発的な衝撃でロックした時にも、それを解除することは困難である。
【0004】
従って本発明の目的は、前記の欠点を解消した装置を提供することである。本発明の目的は、特許請求の範囲における請求項1と10に開示されている特徴、及び前記以外の請求項に開示されているその他の特徴を備える装置およびハンドルによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
フレームの中に設けた楔により、慣性体は、自軸を中心として回転しながら軸方向にも動いて行き、ロック位置に達すると、慣性体は係合突起の側壁にロックされ、その位置に固定される。このような構成とすることにより、そして係合突起がフレームと一体物として作られる場合には、慣性体をその固定状態から容易に解除できるばかりでなく、装置の製作に要する時間とコストも縮小される。
【0006】
本発明の特徴とするところは、慣性体の前記軸方向運動に対抗して作用する弾性体が、慣性体の回転に対抗して作用する弾力体と同一物であって、好ましくは、慣性体の回転軸の周りに配置された螺旋状のバネである。これにより、製作コストは一層削減され、かつ装置の信頼性も一層高めることができる。
【0007】
本発明による装置の更なる利点や特徴は、当業者であれば、貼付の図面を参照しながら、以下に示す本発明の限定目的ではない実施形態の詳細な説明から明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】不作動状態にある本発明の装置を備えるハンドルの部分背面図である。
図2図1におけるII-II線における断面図である。
図3図1のIII-III線における断面図である。
図4】衝突時における図1の装置を示す。
図5図4のV-V線における断面図である。
図6図4のVI-VI線における断面図である。
図7図1の装置の衝突後の図である。
図8図7のVIII-VIII線における断面図である。
図9図7のIX-IX線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図3に示すように、本発明による装置は、慣性体1を、第1の軸4を中心として回転しうるように、少なくとも1本のピン3によって、この場合、フレーム2に、公知の要領で取り付けて構成されている。フレーム2は、この場合、車両用のドアハンドル用のフレームである。ドアを開くためにハンドルを外側に引張ると、慣性体1は、ハンドルのレバー(図示せず)と実質的に同じ方向である第1の方向5へ回転するのを阻止するべく、弾性体が慣性体1に作用する。詳細に述べると、前記弾性体はコイルバネ6から成り、第1軸4の周りに配置され、その一端はフレーム2における支持体7に当接し、他端は慣性体1に接触している。慣性体1からはストッパ8が突き出ており、ストッパ8は、慣性体1が第1軸4を中心として回転する時、ロック片10から突き出ている突片9に係止する。ロック片10は、第2軸11を中心として回転することができ、また前記レバーに機械的に結合されている。第2軸11は第1軸4とほぼ平行である。その他の構成物は、第1軸4に対して直交して、または別の方向に配置されることもあり得る。
【0010】
図4図6に示すように、フレーム2の内側で慣性体1の横に、係合突起12が設けられている。係合突起12はフレーム2と一体をなしているので、慣性体1が第1軸4を中心として回転するとき、慣性体は同時に係合突起12の傾斜壁に沿って滑る。即ち慣性体1が第1軸4に沿って、第1の方向5と実質的に直交する第2の方向13に向かって動く。慣性体1が第1軸4を回転軸として回転する時、この慣性体1は、第2の方向13を向く運動を阻止するように弾性手段が作動する。詳細には、この弾性手段は、好ましくは同一の螺旋状バネ6から成り、慣性体1が第2の方向13へ動く時に、軸方向に圧縮される。
【0011】
図7図9に示すように、慣性体1が第1軸4を中心として回転しながら、係合突起12を超えると、コイルばね6が伸びて、慣性体1を軸方向に動かすが、係合突起12の横壁によって阻止され、それ以上は、コイルバネ6が押しても、慣性体1は第1軸4を中心として回転をすることは出来ない。軸方向の加速による固定を確実にするために、慣性体1及び/又は係合突起12に設けてある歯状突起14が係合突起12の横壁及び/又は慣性体1に設けられている台座に食い込む。この位置で、ストッパ8は突起9を食い止めて、ロック片10 の回転を防止する。
【0012】
慣性体1を固定から解除するには、例えば、ドライバーの先端を、慣性体1と係合突起12の付近において、フレーム2との間に梃子のように使って、慣性体1が係合突起12を乗り越え、コイルバネ6によって静止位置に戻るようにする。
【0013】
当業者であれば、上記に開示し、例示した実施形態に対して、特許請求の範囲内で、改変または追加を行いうることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0014】
1− 慣性体
2− フレーム
3− ピン
4− 第1軸
5− 第1の方向
6− コイルバネ
7− 支持体
8− ストッパ
9− 突起
10− ロック片
11− 第2軸
12− 係合突起
13− 第2の方向
14− 歯状突起
15− 台座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9