特許第5677323号(P5677323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ランズバーグ・インダストリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000002
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000003
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000004
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000005
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000006
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000007
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000008
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000009
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000010
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000011
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000012
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000013
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000014
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000015
  • 特許5677323-静電塗装機の回転霧化頭 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677323
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】静電塗装機の回転霧化頭
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/04 20060101AFI20150205BHJP
   B05B 3/10 20060101ALN20150205BHJP
   B05B 15/02 20060101ALN20150205BHJP
【FI】
   B05B5/04 A
   !B05B3/10 B
   !B05B15/02
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-549026(P2011-549026)
(86)(22)【出願日】2011年1月6日
(86)【国際出願番号】JP2011050136
(87)【国際公開番号】WO2011083829
(87)【国際公開日】20110714
【審査請求日】2013年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2010-1542(P2010-1542)
(32)【優先日】2010年1月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591274059
【氏名又は名称】ランズバーグ・インダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100085707
【弁理士】
【氏名又は名称】神津 堯子
(72)【発明者】
【氏名】本崎 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】谷 隆次
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−118710(JP,A)
【文献】 特開平09−234393(JP,A)
【文献】 特開2002−224593(JP,A)
【文献】 特開平09−271696(JP,A)
【文献】 特開2002−186883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 5/00−5/16
B05B 3/10−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料フィードチューブから供給される塗料を受け入れる塗料空間と、該塗料空間の底面に位置するスプーンカット溝とを有する静電塗装機用の回転霧化頭であって、
ベル型の霧化ヘッド本体と、
該霧化ヘッド本体の中央凹所に霧化ヘッド本体の前方からアクセスして脱着可能に配設される合成樹脂製の機構部品とを有し、
該機構部品が、周方向に連続する側壁と、該側壁の後端から後方に向けて延び且つ周方向離間して配設された複数の脚と、
該脚の自由端に設けられ、前記霧化ヘッド本体の中央凹所の周囲壁に形成された円周溝に係合する爪とを有し、
前記霧化ヘッド本体の中央凹所の周囲壁面が、前方に向かうに従って徐々に拡径する傾斜した壁面で構成され、
前記機構部品の前記周方向に連続する側壁の外周面が前記中央凹所の周囲壁面と相補的な形状に形作られて、該機構部品の側壁の外周面と前記中央凹所の周囲壁面とが接しており、
前記機構部品の前記周方向に連続する側壁の内周面が前記スプーンカット溝に連続し、
前記機構部品には、前記塗料空間に通じる複数の塗料吐出口が周方向に間隔を隔てて設けられ、
該塗料吐出口は、前記機構部品の側壁の内周面に連続しており、
前記機構部品が、前記側壁及び複数の脚を備えた合成樹脂製の第1の機構部品と、少なくとも前記スプーンカット溝を備えた合成樹脂製の追加の機構部品とで構成され、
前記霧化ヘッド本体には、前記中央凹所の底部に前記追加の機構部品を受け入れる円周凹所が形成されていることを特徴とする静電塗装機用の回転霧化頭。
【請求項2】
前記機構部品が、前記側壁及び複数の脚を備えた合成樹脂製の第1の機構部品と、該第1の機構部品と協働して前記塗料空間を画成すると共に該塗料空間の底部を構成する合成樹脂製の追加の機構部品とを有する、請求項1に記載の静電塗装機用の回転霧化頭。
【請求項3】
前記追加の機構部品が、前記第1の機構部品と分離可能に連結されている、請求項に記載の静電塗装機用の回転霧化頭。
【請求項4】
前記追加の機構部品の後方側の面が平らであり、
前記霧化ヘッド本体には、前記追加の機構部品を受け入れる凹所が形成され、
該凹所が、前記追加の機構部品の後方側の面を係止する段部が形成されている、請求項に記載の静電塗装機用の回転霧化頭。
【請求項5】
前記機構部品が前記霧化ヘッド本体に装着されたときに、該機構部品と前記霧化ヘッド本体との間にダム機構を有する段部が形成される、請求項1〜のいずれか一項に記載の静電塗装機用の回転霧化頭。
【請求項6】
前記機構部品が該機構部品の前端面の外周部に段部を有し、該段部によって、前記複数の塗料吐出口から流出した塗料を受け止めて延展するダム機構が構成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の静電塗装機用の回転霧化頭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電塗装機に関し、より詳しくは、静電塗装機に組み付けられる回転霧化頭に関する。
【背景技術】
【0002】
静電塗装機が普及した今日、例えば自動車ボディの塗装に回転霧化頭を備えた静電塗装機が多用され、この種の塗装機は回転霧化式の塗装機と呼ばれている。特許文献1〜8に見られるように、回転霧化頭は、霧化ヘッド本体と、この霧化ヘッド本体の中心部分に配設される機構部品とで構成される組立体である。塗料はフィードチューブを通じて回転霧化頭に供給され、高速回転する回転霧化頭によって塗料が微粒化される。このことから、回転霧化頭は高精度の回転バランスが要求される。
【0003】
回転霧化頭の内部洗浄のために回転霧化頭の分解・再組立を容易化する技術が開発されている。特許文献1は霧化ヘッド本体の後方から機構部品をアクセスさせて、この機構部品を霧化ヘッド本体に装着する形式の回転霧化頭を開示している。この特許文献1は、霧化ヘッド本体に塗料吐出口が形成され、そして、回転霧化頭の塗料室つまりフィードチューブから供給される塗料を受け入れる部屋を霧化ヘッド本体と協働して形成する機構部品を霧化ヘッド本体の後方から装着することを提案している。
【0004】
特許文献2以降の文献は、ハブ部材と呼ばれている機構部品を霧化ヘッド本体の前方からアクセスさせることによりハブ部材を霧化ヘッド本体に装着する形式の回転霧化頭を開示している。特許文献2は、霧化ヘッド本体の中央凹所に弾性リングを介してハブ部材を固定することを提案している。具体的には、特許文献2に開示の回転霧化頭は、霧化ヘッド本体の中央凹所の周囲壁面に円周溝(第1の円周溝)を有し、また、ハブ部材の周面にも円周溝(第2の円周溝)を有し、そして、弾性リングをこれら第1、第2の円周溝に介在させることで、霧化ヘッド本体に対してハブ部材が脱着可能に固定される。
【0005】
特許文献2の回転霧化頭によれば、霧化ヘッド本体から容易にハブ部材を取り外すことができ、また、洗浄後に容易にハブ部材を霧化ヘッド本体に組み付けることができる。
【0006】
分解及び再組立が可能な回転霧化頭の他の先行例として特許文献3に開示の回転霧化頭を挙げることができる。この特許文献3に開示の回転霧化頭は、霧化ヘッド本体の中央凹所の周囲壁面における前方端部に段部が形成され、この段部に円板状のハブ部材を嵌合することを提案している。より具体的には、円板状のハブ部材はその形状や材料の特性に基づく弾性及び撓み性を有し、この特性を利用して霧化ヘッド本体の段部に嵌装される。そして、霧化ヘッド本体の段部には、その周面に抜け止めの円周凸条を形成する又は段部の周面を前方に向けて縮径するテーパー面で構成することにより、ハブ部材が霧化ヘッド本体の前方に抜け出すのを防止する策が施されている。また、特許文献3の回転霧化頭は、霧化ヘッド本体の中央凹所の底面にスプーンカット溝を有し、このスプーンカット溝に連なる壁面を前方に向かうに従って徐々に拡径した傾斜壁面で構成する技術を開示している。そして、上述した円板状のハブ部材には、その外周部分に複数の塗料吐出口が同心円上に形成されており、この塗料吐出口は、上述した傾斜壁面の接線方向に延びている。
【0007】
特許文献4の発明は、円板状のハブ部材と、これを受け入れる霧化ヘッド本体に永久磁石を設置して、この永久磁石の吸着現象を利用して、円板状のハブ部材を霧化ヘッド本体に固定することを提案している。
【0008】
特許文献5の発明は、円板状のハブ部材が数多くの脚を有し、この脚の自由端を霧化ヘッド本体の中央凹所の円周溝に係止することで霧化ヘッド本体に対してハブ部材を脱着可能に固定することを提案している。そして、その上で、特許文献5の発明は、円板状のハブ部材の外周面と霧化ヘッド本体との間に隙間を形成し、この隙間を塗料通路として利用することを提案している。
【0009】
特許文献2の回転霧化頭は、霧化ヘッド本体に対するハブ部材の固定に関し、ハブ部材の固定が、専ら弾性リングの弾性力に基づく抵抗力に依存している。このことから、弾性リングの劣化に注意を払う必要がある。このことに加えて、ハブ部材の固定が弾性リングという弾性体に依存しているため、霧化ヘッド本体にハブ部材を装着するときに、ハブ部材が正規位置に位置決めされているか否かを確認するのが難しいという問題がある。また、回転霧化頭は高速回転することから、この高速回転によって弾性リングが変形してこの弾性リングによるシール性が低下するという問題を有している。
【0010】
また、霧化ヘッド本体とハブ部材との間に弾性リングを介装するということは、換言すれば、霧化ヘッド本体とハブ部材との間のクリアランスが比較的大きく、このクリアランスから塗料が入り込むのを前提として、特許文献2は技術開示を行っていると言える。回転霧化頭は色替えのときに、回転霧化頭を分解することなく内部洗浄が実施されるが、この内部洗浄では、霧化ヘッド本体とハブ部材との間のクリアランスに入り込んだ塗料を取り除くのは難しいという問題を有している。このこともあって、特許文献2の発明は未だに実施されていない。
【0011】
特許文献3は、霧化ヘッド本体の段部に円板状のハブ部材を嵌装すると共に霧化ヘッド本体の段部の周面に円周凸条を設ける又はこの段部の周面を前方に向かうに従って縮径させるテーパー面で構成することにより円板状のハブ部材が抜け出すのを防止する策を講じることを提案しているが、この発明も未だに実施されていない。
【0012】
特許文献4は、その実施例では、円板状のハブ部材と霧化ヘッド本体とを永久磁石の吸着力で固定することを提案しているため、円板状のハブ部材及び霧化ヘッド本体の材料が非磁性の材料(アルミニウム)に制限されるという欠点がある。
【0013】
特許文献5は、霧化ヘッド本体の中央凹所の周囲壁面に形成した円周溝とハブ部材の脚と係合によって円板状のハブ部材を固定すると共に、円板状ハブ部材の外周面と中央凹所の周囲壁面との間の隙間であって且つ隣接する脚の間に塗料吐出口が形成されている。このことから、回転霧化頭に洗浄液を供給して回転霧化頭を洗浄しようとしても円周溝や脚に付着した塗料が洗浄されずに残ってしまうという問題がある。このこともあって、特許文献5に、ハブ部材を霧化ヘッド本体から取り外して分解掃除するやり方が詳しく説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】JP特開2005−118710号公報
【0015】
【特許文献2】JP特開平9−234393号公報
【0016】
【特許文献3】JP特開2001−104841号公報
【0017】
【特許文献4】JP特開2009−119402号公報
【0018】
【特許文献5】JP特開2002−224593号公報
【0019】
【特許文献6】US 6,189,804 B1
【0020】
【特許文献7】US 6,360,962 B2
【0021】
【特許文献8】US 7,017,835 B2
【発明の開示】
【0022】
本願発明の目的は、静電塗装機用の回転霧化頭を分解して洗浄できるだけでなく、回転霧化頭を分解することなく内部洗浄によって色替えが可能な回転霧化頭を提供することにある。
【0023】
本願発明の更なる目的は、機構部品の位置決めを確かなものにしつつ内部洗浄の際の塗料残りの問題を低減することのできる回転霧化頭を提供することにある。
【0024】
本願発明の更なる目的は、内部洗浄による洗浄効率を向上することのできる回転霧化頭を提供することにある。
【0025】
本発明の更なる目的は、被塗物の塗装面に気泡が混じるのを抑制することのできる静電塗装機用の回転霧化頭を提供することにある。
【0026】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
塗料フィードチューブから供給される塗料を受け入れる塗料空間(S)と、該塗料空間(S)の底面に位置するスプーンカット溝(30)とを有する静電塗装機用の回転霧化頭(1)であって、
ベル型の霧化ヘッド本体(2)と、
該霧化ヘッド本体(2)の中央凹所(6)に霧化ヘッド本体(2)の前方からアクセスして脱着可能に配設される合成樹脂製の機構部品(4)とを有し、
該機構部品(4)が、周方向に連続する側壁(14)と、該側壁(14)の後端から後方に向けて延び且つ周方向離間して配設された複数の脚(16)と、
該脚(16)の自由端に設けられ、前記霧化ヘッド本体(2)の中央凹所(6)の周囲壁(8)に形成された円周溝(18)に係合する爪(16a)とを有し、
前記霧化ヘッド本体(2)の中央凹所(6)の周囲壁面(8)が、前方に向かうに従って徐々に拡径する傾斜(θ)した壁面で構成され、
前記機構部品(4)の前記周方向に連続する側壁(14)の外周面(14a)が前記中央凹所(6)の周囲壁面(8)と相補的な形状に形作られて、該機構部品の側壁(14)の外周面(14a)と前記中央凹所(6)の周囲壁面(8)とが接しており、
前記機構部品(4)の前記周方向に連続する側壁(14)の内周面(14b)が前記スプーンカット溝(30)に連続し、
前記機構部品(4)には、前記塗料空間(S)に通じる複数の塗料吐出口(24)が周方向に間隔を隔てて設けられ、
該塗料吐出口(24)は、前記機構部品(4)の側壁の内周面(14b)に連続しており、
前記機構部品(4)が、前記側壁(14)及び複数の脚(16)を備えた合成樹脂製の第1の機構部品(504)と、少なくとも前記スプーンカット溝(30)を備えた合成樹脂製の追加の機構部品(506)とで構成され、
前記霧化ヘッド本体(2)には、前記中央凹所の底部に前記追加の機構部品(506)を受け入れる円周凹所(522)が形成されていることを特徴とする静電塗装機用の回転霧化頭を提供することにより達成される。
【0027】
機構部品(4)の外周面(14a)がその前後方向の全域に亘って中央凹所(6)の周囲壁面(8)に実質的に接していることから、塗料が機構部品(4)の外周面(14a)に回り込み難い。また、機構部品(4)の外周面(14a)及び中央凹所(6)の周囲壁(8)が前方に向けて徐々に拡径した形状を有しているため、仮に機構部品(4)と中央凹所(6)の周囲壁(8)との間に塗料が侵入したとしても、遠心力によって外部に排出される。したがって、機構部品(4)の外周面(14a)と中央凹所(6)の周囲壁(8)との間に塗料が回り込むのを防止することができるため、特許文献2に開示の弾性リングを必要としない。
【0028】
参考例として、スプーンカット溝(30)は、合成樹脂製の機構部品で構成してもよいし、霧化ヘッド本体(2)に形成してもよい。霧化ヘッド本体(2)にスプーンカット溝(30)を形成する場合には、次の具体的な構成を採用するのが好ましい。すなわち、前記機構部品(4)の前記複数の脚(16)の径方向内側に配設され且つ後方に向けて突出した円周隆起(20)を有し、他方、前記霧化ヘッド本体(2)が、その中心部分に形成された塗料フィードチューブを受け入れるための透口(10)の周囲に円周台座(22)を有し、この円周台座(22)に、前記透口(10)と同軸の且つ周方向に連続して延びるスプーンカット溝(30)が形成される。そして、前記機構部品(4)の円周隆起(20)が前記霧化ヘッド本体(2)の円周台座(22)の外周部に着座すると共に該円周台座(22)の外周面に当接するように構成するのがよい。
【0029】
この参考例によれば、機構部品(4)の脚(16)の先端部に形成された爪(16a)を使って機構部品(4)を霧化ヘッド本体(2)に脱着可能に固定することができるだけでなく、機構部品(4)の脚(16)の内側に位置する円周隆起(20)を霧化ヘッド本体(2)の円周台座(22)の外周部に着座させると共にこの円周台座(22)の外周面に当接させることにより、霧化ヘッド本体(2)に対して脱着可能な機構部品(4)は、脚の内側に位置する円周隆起(20)が、霧化ヘッド本体(2)の円周台座(22)の外周面に当接することで、機構部品(4)の脚による固定構造に対する支持剛性を向上させることができる。このことに加えて、機構部品(4)の円周隆起(20)を霧化ヘッド本体(2)の円周台座(22)に着座する構成を採用することにより、霧化ヘッド本体(2)に対する機構部品(4)の位置決めが容易であり且つ位置決めの確実性を向上させることができる。
【0030】
本発明の他の目的、作用効果は以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1第1参考例の回転霧化頭の断面図である。
図2第1参考例の回転霧化頭の一部を構成する霧化ヘッド本体の断面図である。
図3第1参考例の回転霧化頭の一部を構成する機構部品の断面図である。
図4図3に示す機構部品の正面図である。
図5図3に示す機構部品の側面図である。
図6図3に示す機構部品の背面図である。
図7】第実施例の回転霧化頭の断面図であり、第1参考例図1に対応した図である。
図8】第実施例の回転霧化頭の分解断面図である。
図9】第実施例の回転霧化頭の断面図であり、第1参考例図1に対応した図である。
図10】第実施例の回転霧化頭の分解断面図である。
図11】第2参考例の回転霧化頭の断面図であり、第1参考例図1に対応した図である。
図12】第2参考例の回転霧化頭の分解断面図である。
図13】第実施例の回転霧化頭の断面図であり、第1参考例図1に対応した図である。
図14】第実施例の回転霧化頭の分解断面図であり、機構部品を分解した状態で示す図である。
図15】第実施例の回転霧化頭を霧化ヘッド本体と機構部品とに分解した断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 回転霧化頭
2 霧化ヘッド本体
2b 霧化ヘッド本体の内周面
2c 霧化ヘッド本体の外周縁
4 機構部品
6 霧化ヘッド本体の中央凹所
8 中央凹所の周囲壁
10 霧化ヘッド本体の底部に形成された透口
12 機構部品の前方壁
14 機構部品の側壁
14a 機構部品の側壁の外周面
14b 機構部品の側壁の内周面
16 機構部品の脚
16a 脚の爪
18 機構部品の脚の爪を受け入れるための円周溝
20 機構部品の後方に突出した円周隆起
22 霧化ヘッド本体の底の円周台座
24 機構部品の前方壁の外周部分に形成された塗料吐出口
30 霧化ヘッド本体の底部に形成された透口回りのスプーンカット溝
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、添付の図面に基づいて参考例及び本発明の好ましい実施例を説明する。
第1参考例(図1図6
図1は、回転霧化式の静電塗装機から取り外した回転霧化頭を示す。図示の回転霧化頭1は、例えば特許文献2(JP特開平9−234393号公報)と同様に、霧化ヘッド本体2と、この霧化ヘッド本体2の中心部分に配設される機構部品4との組立体であり、機構部品4は霧化ヘッド本体2に対して脱着可能である。
【0034】
霧化ヘッド本体2の後端部には、例えば特許文献1、2と同様に、エアモータの回転軸(図示せず)が螺合する雌ネジ部2aが形成されている。そして、この雌ネジ部2aの中心軸線は回転霧化頭1の回転軸線と共通であり、回転霧化頭1は従来と同様にエアモータによって回転駆動される。
【0035】
特許文献2に詳細に開示されているように、エアモータの回転軸は中空軸で構成され、この回転軸の中に塗料フィードチューブが挿入されている。塗料フィードチューブを通じて回転霧化頭1の中心部分に塗料が供給される。また、塗料フィードチューブの外周面と回転軸の内周面との間の空間は、洗浄液(典型的にはシンナー)の通路として利用され、この洗浄液通路を通じて供給される洗浄液によって回転霧化頭1の洗浄が行われる。塗料及び洗浄液の供給に関して特許文献3に詳しい説明があるので、この特許文献3をここに援用することにより、その説明を省略する。
【0036】
図2は、機構部品4を取り外した状態の霧化ヘッド本体2を示す。図2を参照して、霧化ヘッド本体2は、導電性材料、例えばアルミニウム合金、ステンレス合金、硬質な樹脂材料からなる成型品であり、従来と同様にベルの形状に成形されている。すなわち、霧化ヘッド本体2は前方に向けて開放した内周面2bを有し、この内周面2bは霧化ヘッド本体2の外周縁2cに連なっている。霧化ヘッド本体2に対して高電圧を印可することで塗料を帯電させることが可能である。
【0037】
霧化ヘッド本体2の内周面2bには、中心部分に前方に向けて開放した中央凹所6が形成され(図2)、この中央凹所6は、前方に向けて徐々に拡径した概略円筒形の形状を有している。より詳しく説明すると、中央凹所6は、その断面形状において、回転霧化頭1の回転軸線Oと平行なラインLに関して中央凹所6の周囲壁面8が角度θ、傾斜しており、中央凹所6は前方に向けて徐々に直径が拡大した筒状の形状を有している。中央凹所6の底部の中心部分に見られる断面円形の貫通した透口10は、塗料フィードチューブ(図示せず)を受け入れるための貫通孔であり、回転霧化頭1(霧化ヘッド本体2)の回転軸線と同軸である。
【0038】
図3図6は機構部品4に関する図面であり、図3は断面図であり、図4は正面図であり、図5は側面図であり、図6は背面図である。機構部品4は、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂のような合成樹脂からなる成型品であり、比較的堅い部材である。
【0039】
機構部品4は、正面視したときに円板状の前方壁12(図4)を有し、この前方壁12は従来のハブ部材の機能を具備した部位を構成している。機構部品4は、この前方壁12の外周部から後方に向けて延びる側壁14(図3)を更に有し、この側壁14は周方向に連続している。側壁14は、外周面14aと内周面14bとを有し、外周面14aは、前述した霧化ヘッド本体2の中央凹所6の周囲壁面8と相補的な形状を有する。この側壁14の外周面14aは、前方に向けて徐々に拡径した略円筒の形状を有している。すなわち、機構部品4の外周面14aは前端の方が後端に比べて大きな直径を有し、この直径は、中央凹所6の対応する箇所の直径と実質的に等しい。
【0040】
機構部品4は、その後端面の外周部分から後方に向けて延びる複数の脚16を有し、この複数の脚16は、図6から分かるように、周方向に等間隔に配置されている。脚16はその後端つまり自由端に径方向外方に向けて突出した爪16aを有する。霧化ヘッド本体2の中央凹所6に機構部品4を装着するときに、脚16の弾性変形によって中央凹所6の前方から機構部品4を挿入することができる。そして、機構部品4が正規位置に位置すると、脚16の爪16aが、中央凹所6の周囲壁の後端部に形成されている円周溝18(図2)に入り込んで円周溝18の側壁と係合する。これにより機構部品4が霧化ヘッド本体2の内部に脱着可能に固定される(図1)。
【0041】
機構部品4の底部つまり後端部には、脚16の内周側且つこれに隣接して、後方に向けて突出し且つ周方向に連続して延びる円周隆起20が形成されている。この円周隆起20に対応して、霧化ヘッド本体2の中央凹所6の底面には、断面円形の透口10の周囲に隆起した周方向に延びる円周台座22が形成されており、この円周台座22の外周部に、機構部品4の円周隆起20が着座した状態になると共に円周台座22の外周面に当接した状態になる(図1)。
【0042】
このように、機構部品4の後端部において、脚16の内周側に位置する円周隆起20を、霧化ヘッド本体2の円周台座22に着座させると共に円周台座22の外周面に当接させるという構造を採用することで、脚16と円周溝18とからなる機構部品4の固定構造に対する支持剛性を高めることができる。
【0043】
機構部品4は、前方壁12の外周部分に複数の塗料吐出口24を有し、この複数の塗料吐出口24は、図4から分かるように共通の円周上において等間隔に配列されている。また、前方壁12の中心部分には、従来と同様に、後方に向けて突出した分液頂26を有し(図3)、この分液頂26を中心とした円周上に4つの洗浄孔28が等間隔に形成されている(図4)。
【0044】
機構部品4の側壁14に関し、後方に向けて開放した内周面14bは、前方に向かうに従って徐々に拡径した傾斜壁面で構成され、この内周面14bの前端に連なるようにして上記塗料吐出口24が形成されている。すなわち、塗料吐出口24は機構部品4の側壁の内周面14bに連続している。最も好ましくは、塗料吐出口24の軸線は、側壁14の内周面14bの傾斜方向と同じ方向に指向されている(図1図3)。
【0045】
霧化ヘッド本体2の円周台座22には、その前方に向いた面つまり機構部品4の前方壁12と対向する面に、円形透口10と同軸に周方向に連続して延びるスプーンカット溝30を形成するのが好ましく、このスプーンカット溝30の外周壁面30a(図2)は前述した機構部品4の側壁14の内周面14bの後端に連続し且つほぼ同じ傾斜角度に設定されて側壁14の内周面14bと面一に連なっている(図1)。
【0046】
最も好ましい態様として、スプーンカット溝30を備えた円周台座22の外周側の端面つまり頂面32は、スプーンカット溝30に臨んで切り欠いた形状の段部34によって凹凸形状を有し(図2)、他方、機構部品4の円周隆起20の自由端面には、その内周側に凹凸部36が形成されている(図3)。この機構部品4の円周隆起20の凹凸部36は、上記円周台座22の外周側頂面32の凹凸と相補的な形状に形作られており、これにより、外周側頂面32と凹凸嵌合することができ、この凹凸嵌合によって機構部品4を霧化ヘッド本体2に装着したときに、確実に且つ簡単に、機構部品4を正規位置に位置決めすることができる。
【0047】
また、機構部品4の円周隆起20の自由端面の凹凸部36を、円周台座22の外周側頂面32に凹凸嵌合させたときに、機構部品4の側壁14の内周面14bは、円周台座22のスプーン溝30の外周壁面30aと面一の状態になる。この面一状態によって、機構部品4の側壁14と、霧化ヘッド本体2の円周台座22との間に塗料が侵入するのを防止することができる。
【0048】
図1から分かるように、霧化ヘッド本体2と、その中央凹所6に霧化ヘッド本体2の前方からアクセスさせて霧化ヘッド本体2に嵌装される機構部品4との間にシール部材(Oリング)が介装されていない。その代わりに、機構部品4の外周面14aは、その前後の全長に亘って中央凹所6の周囲壁8と実質的に接した状態にある。また、この周囲壁8は前方に向けて拡径した傾斜壁で構成されている。更に、機構部品4の前方壁12の外周部分に塗料吐出口24が形成されている。
【0049】
上記の構成を採用することにより、塗料吐出口24から流出した塗料は、遠心力によって、機構部品4の前方壁12の外周縁部を伝って半径方向外方に流れ、次いで、霧化ヘッド本体2の内周面2bを伝って外周縁2cから放出されるのは言うまでもないことであるが、機構部品4の前後の全長に亘って中央凹所6の周囲壁8と実質的に接した状態にあることから、塗料が機構部品4と中央凹所6との間に侵入する可能性が小さい。より詳しく説明すると、仮に塗料が侵入したとしても、中央凹所6の周囲壁8が前方に向けて拡径した傾斜壁で構成されているため遠心力によって前方に排出される傾向になる。したがって、ハブ本体とこれを受け入れる霧化ヘッド本体2の中央凹所6との間に塗料が回り込むのを防止することができる。
【0050】
塗料の色替えのために回転霧化頭1を洗浄するときには、前述したように回転霧化頭1に洗浄液(典型的にはシンナー)が供給される。シンナーは、図3に破線で示すように、機構部品4の連続した側壁14で囲まれた空間内を流動することで機構部品4及び霧化ヘッド本体2の円周台座22が洗浄され、そして、洗浄孔28及び塗料吐出口24を通じて外部に流出して、機構部品4の前方壁12の前面及びヘッド本体の内周面2bの洗浄が行われる。
【0051】
塗料フィードチューブから供給される塗料を受け入れる回転霧化頭1内の塗料空間Sは、この第1実施例では、機構部品4と霧化ヘッド本体2とで画成される。この機構部品4で囲まれた塗料空間S(図1)において、この塗料空間Sを囲む壁面が、連続した面一の滑らかな面で構成されており、換言すると、この塗料空間Sの壁面に段差などの塗料が固着し易い部位が無いため、塗料空間Sを囲む壁面に塗料が残留して固着してしまうのを防止しつつ塗料空間Sの全域を洗浄液で塗料残り無しに且つ効率良く洗浄することができる。
【0052】
再び図1を参照して、機構部品4を霧化ヘッド本体2に装着した状態では、機構部品4の前方壁12と、霧化ヘッド本体2の内周面2bとの間に段部40ができるように、霧化ヘッド本体2の中央凹所6の深さ寸法と機構部品4の厚み寸法を設定するのがよい。前述したように、回転霧化頭1の回転軸線に対して中央凹所6の周囲壁面8が角度θを有している。この角度θは近似的にゼロとみなすことのできる程度に小さな角度であることから、段部40は、機構部品4の前方壁12の前面に対して略垂直方向に起立した壁面で構成されている。
【0053】
この段部40をダム部と呼ぶと、フィードチューブ(図示せず)から供給された塗料は、前方壁12の外周部分に形成された塗料吐出口24から出て径方向外方に広がるが、この塗料は段部40で一旦受け止められて延展する。つまり段部40はダム機能を奏し、そして、段部40のダム機能によって塗料に含まれる気泡が消失することが実験より実証できた。換言すると、上記段部40を備えた回転霧化頭1を使って塗装した被塗物は気泡の無い平滑性に優れた塗装面であった。
【0054】
図7以降の図面は本発明の実施例を示し、これら実施例の説明において上記第1参考例と同様の要素には、第1参考例で使用した参照符号と同一の参照符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0055】
第1実施例(図7図8
第1参考例ではスプーンカット溝30が霧化ヘッド本体2に形成されていたが、この第実施例の回転霧化頭200にあっては、合成樹脂製の底部材202が追加され、この底部材202に上述したスプーンカット溝30が形成されている。すなわち、この第実施例では、回転霧化頭200の塗料空間Sが2つの機構部品208、202によって画成される。
【0056】
図8を参照して具体的に説明すると、第2実施例の回転霧化頭200にあっては、霧化ヘッド本体204と、これに組み込まれる機構部品206とで構成されており、機構部品206は、第1機構部品208と、この第1機構部品208とは別体で且つ追加の機構部品としての底部材202と、で構成されている。第1機構部品208及び底部材202は同じ合成樹脂材料からなる成型品であってもよいし、別の合成樹脂材料で作られてもよい。典型的には、第1機構部品208と底部材202は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂のような合成樹脂からなる成型品である。
【0057】
底部材202は、図8から分かるように、円盤状の形態を有し、この前方側の面202aにスプーンカット溝30が形成されている。底部材202の反対側の面つまり後方側の面202bは平面である。また、底部材202は、その中心に前後に貫通した円形開口210を有し、この円形開口210は、霧化ヘッド本体204の透口10に通じている。
【0058】
第1機構部品208は、第1参考例で説明した機構部品4と実質的に同じ構成を有していることから、第1参考例で説明した機構部品4の各要素と同じ要素には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図8から分かるように、霧化ヘッド本体204は、その中央凹所8の底部にリング状の円周凸条212を有する。霧化ヘッド本体204は、この円周凸条212の内周部分に上記追加の機構部品つまり底部材202と相補的な形状を備えた追加の凹所214を有し、この追加の凹所214によって上記底部材202が受け入れられると共に底部材202が位置決めされる。
【0060】
図8から理解できるように、回転霧化頭200は、霧化ヘッド本体204に対して、追加の機構部品つまり底部材202を先ず組み込み、次に第1機構部品208を組み込むことによって完成する。そして、第1の機構部品208と追加の機構部品つまり底部202とで塗料空間Sが画成される。
【0061】
つまり、この第実施例の回転霧化頭200にあっては、塗料フィードチューブから供給される塗料を受け入れる塗料空間Sが、共に合成樹脂材料から成形された第1機構部品208と追加の機構部品202とで画成され、この第1機構部品208及び追加の機構部品202は霧化ヘッド本体204から取り外すことができる。
【0062】
第1機構部品208は、図7から最も良く理解できるように、円周凸条212と凹凸嵌合することにより位置決めされる。そして、完成した回転霧化頭200は、第1機構部品208と底部材202とが協働して画成する塗料空間Sは、隙間の無い且つ段部の無い内壁面を有している。
【0063】
この第実施例の回転霧化頭200にあっては、第1参考例に比べて、霧化ヘッド本体204の中央凹所6の底部の形状が簡素であることから、霧化ヘッド本体20の製造コストを低減することができる。勿論、第実施例の回転霧化頭200にあっても、第1機構部品208及び底部材202を霧化ヘッド本体204に組み込んだ状態で塗料空間Sを洗浄することができる。また、第1機構部品208及び底部材202を霧化ヘッド本体204から取り外して、霧化ヘッド本体204、第1機構部品208、底部材202を個々に洗浄して再使用することができる。また、第1機構部品208と、追加の機構部品である底部材202とが別部品で構成されていることから、第1機構部品208と底部材202とを異なる合成樹脂材料から作ることもでき、例えば第1機構部品208をPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂で作り、底部材202を洗浄性に優れたフッ素樹脂(典型例:テフロン(登録商標))で作ってもよい。
【0064】
第2実施例(図9図10
この第実施例の回転霧化頭300は、上述した第実施例(図7図8)の変形例でもある。第実施例の回転霧化頭300は仕切り壁216無しである。この第実施例の回転霧化頭300の霧化ヘッド本体302は、底部材202を受け入れる大径部304の後方端が段部306で規定されている。霧化ヘッド本体302の大径部304に底部材202を装着すると、この底部材202は段部306によって係止され、これにより底部材202(スプーンカット202)の位置決めが行われる。
【0065】
第2参考例(図11図12
この第2参考例は第1参考例図1など)の変形例でもある。この第2参考例の回転霧化頭400の霧化ヘッド本体402は、第1参考例の霧化ヘッド本体2に形成されているスプーンカット溝30の深部を合成樹脂で作り、この合成樹脂製のスプーンカット部材404を追加の機構部品としてある。スプーンカット部材404はリング状の成型品である。そして、霧化ヘッド本体402には、円周台座22において、円周凸条212に隣接して且つ円周凸条212の内周側に、スプーンカット部材404と相補的な形状の円周凹所406が形成され、この円周凹所406によってスプーンカット部材404が受け入れられることによりスプーンカット部材404の位置決めが行われる。この位置決めされたスプーンカット部材404の外周縁は第1機構部品4と段差無く連続している。
【0066】
すなわち、この第2参考例の回転霧化頭400にあっては、塗料フィードチューブから供給される塗料を受け入れる塗料空間Sは、第1機構部品4とスプーンカット部品404と霧化ヘッド本体402とで画成される。この第2参考例にあっても、塗料空間Sは、隙間の無い且つ段差の無い内壁面を有している。
【0067】
勿論、この第2参考例においても、第1の機構部品4と、この第1機構部品4とは別体の追加の機構部品であるスプーンカット部材404とは同じ樹脂材料から作ってもよいし、異なる樹脂材料から作ってもよい。
【0068】
第3実施例(図13図15
実施例の回転霧化頭500は、機構部品502が、第1の機構部品504と追加の機構部品506とで構成され、この第1機構部品504と追加の機構部品506とが独立して作られているのは上述した第1、第2参考例及び第1、第2実施例と共通であるが、第1機構部品504と追加の機構部品506とが螺合によって一体化される点で第1、第2実施例とは異なる。
【0069】
また、第1機構部品504は、基本的には第2実施例の回転霧化頭200の第1機構部品208と同じであるが、脚16の内周側に円筒状且つ後方に延びる筒部508を有する点で第2実施例の回転霧化頭200(第1機構部品208)と異なる。この筒部508の内周面には雌ねじで構成された第1ネジ部510が形成されている。
【0070】
実施例に含まれる追加の機構部品506は、第1実施例及び第2実施例に含まれる追加の機構部品つまり底部材202と基本的に同じ構成を有しているが、第1実施例及び第2実施例に含まれる追加の機構部品つまり底部材202とは次の点で異なる。すなわち、第実施例に含まれる追加の機構部品つまり底部材506は、その外周面に、雄ねじで構成された第2ネジ部512を有している。この第2ネジ部512は上述した第1ネジ部510と螺合することによって、第1機構部品504と追加の機構部品506とが分離可能に連結される。
【0071】
実施例に含まれる第1機構部品504の筒部508は、その内周面に段部514を有し、この段部514から筒部508の後端までの距離Lは、追加の機構部品つまり底部材506の外周部分の厚さ寸法と同じである。第1機構部品504に追加の機構部品つまり底部材506を螺着させたときに、この底部材506の外周部分の前端面が第1機構部品504の段部514(図14)によって係止される。そして、この状態で、第1機構部品504の筒部508の後端面は、追加の機構部品506の後端面と面一となる。
【0072】
実施例の回転霧化頭500の霧化ヘッド本体520は、中央凹所6の深部に前方に開放した追加の円筒状の凹所522を有し(図14)、この円筒状凹所522は段部524によって規定されている(図14図15)。第実施例に含まれる機構部品502には円筒状凹所522に受け入れられ、そして、段部524が、第1機構部品504の筒部508の後端面及び追加の機構部品506の後端面の一部を係止し、これにより機構部品502が位置決めされる。
【0073】
この第実施例の回転霧化頭500は、塗料フィードチューブから供給される塗料を受け入れる塗料空間Sが、共に合成樹脂から成形された第1及び追加の機構部品502、506で画成される。そして、この塗料空間Sは、隙間の無い且つ段差の無い滑らかな内壁面を有している。回転霧化頭500を分解して洗浄するときには、霧化ヘッド本体520から機構部品502を取り外し、そして、この機構部品502を分解して第1機構部品504と追加の機構部品506とを分離させた状態で洗浄することができる。
【0074】
第1機構部品504と追加の機構部品506とは同じ樹脂材料から作ってもよいし、異なる樹脂材料から作ってもよい。
【0075】
以上、第1、第2参考例及び本発明の第1〜第3の実施例を説明したが、これらの参考例及び実施例に含まれるダム機能を備えた段部40を機構部品によって形成してもよいのは勿論である。例えば、第1参考例 (図1〜6)の回転霧化頭1に含まれる機構部品4において、その前方壁12の外周部分に前方に延びる筒部を一体成形し、この筒部によって段部40を構成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、回転霧化式の静電塗装機に好適に適用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15