特許第5677400号(P5677400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5677400生体情報表示装置、および生体情報表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677400
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】生体情報表示装置、および生体情報表示システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
   A61B5/00 D
   A61B5/00 102E
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-246399(P2012-246399)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-94085(P2014-94085A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2014年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 博光
(72)【発明者】
【氏名】田中 理恵
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−098189(JP,A)
【文献】 特開2011−078640(JP,A)
【文献】 特開2001−000402(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2730217(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/125477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定中の生体情報が表示される測定中表示画面と生体情報の異常が表示される異常表示画面とを含み、表示画面に生体情報を表示する表示部と、
予め設定された警報条件に基づいて、前記異常表示画面を前記測定中表示画面の上に重ねて表示するように前記表示部の表示を制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示部は、前記異常表示画面に表示する表示内容に、異常を警報する旨と、異常時点の生体情報を含み、
前記表示制御部は、前記異常表示画面が表示された場合、前記生体情報の異常が解消されても、前記異常表示画面に表示した前記異常を警報する旨と異常時点の生体情報とを表示し続けるように前記表示部の表示を制御することを特徴とする生体情報表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記異常表示画面が表示された場合、外部操作によって確認処理が実行されるまで、前記異常表示画面に表示した前記異常を警報する旨と異常時点の生体情報とを表示し続けるように前記表示部の表示を制御することを特徴とする請求項1に記載の生体情報表示装置。
【請求項3】
測定される生体情報には複数種類の測定項目が含まれており、
前記表示制御部は、警報された生体情報に加えて、警報された生体情報に関連する生体情報を前記異常表示画面に表示することを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報表示装置。
【請求項4】
前記異常表示画面に表示する警報された生体情報および警報された生体情報に関連する生体情報には、波形によって表示される生体情報と数値によって表示される生体情報が含まれることを特徴とする請求項3に記載の生体情報表示装置。
【請求項5】
前記異常表示画面に表示する警報された生体情報は、心電図波形であり、当該心電図波形に関連する生体情報には、少なくとも観血血圧波形が含まれることを特徴とする請求項3または4に記載の生体情報表示装置。
【請求項6】
前記測定中表示画面の一部の表示画面領域上に前記異常表示画面を重ねて表示することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の生体情報表示装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の生体情報表示装置を複数台備え、当該複数台の生体情報表示装置が互いにネットワーク接続され、各生体情報表示装置によって表示された生体情報が前記ネットワーク接続されている他の生体情報表示装置においても表示可能な構成としたことを特徴とする生体情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者から検出した生体情報を表示画面に表示するための生体情報表示装置、および生体情報表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検者の生体情報を収集し、収集した生体情報を表示する装置は提案されている。例えば、下記の特許文献1には、患者の生体信号波形を警報時に破線表示することによって警報状態を監視者に明確に促すようにしたメモリモニタが開示されている。このメモリモニタによれば、複数人の患者の生体信号波形を陰極線管に表示し、警報状態の生体情報が生じた場合、その警報状態が生じた患者の生体信号波形のみを破線表示する。これにより警報状態を監視者に明確に促すことができ、装置パネル上の警報ランプ又は警報ブザーが不要となり患者監視において有効となるというものである。
【0003】
また、下記の特許文献2には、患者の病態や症状に応じ医師の指示内容に沿ったアラーム値の設定および告知を表現することができる患者監視システムが開示されている。この患者監視システムによれば、判定条件の範囲を逸脱した時にアラーム告知を行い、さらにアラーム告知に対して適切な処置を行えるよう表示部に「ドクターコール」、「投薬」等の処置表示を行う。また、アラーム発生時の監視情報である観測波形も表示画面に表示することにより、アラーム誤認識を避けるとともにアラーム発生時の処置を迅速かつ的確に行おうというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭56−046728号公報
【特許文献2】特開平11−290282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたメモリモニタの構成では、警報時においてその患者の生体信号波形を破線表示するものの、生体信号波形が異常な警報状態から回復するとその表示態様は破線表示から通常の表示態様に戻ってしまう。そのため、監視者が警報時にメモリモニタの表示部を見逃してしまった場合には、過去に警報があったことを認識することが困難であり、異常状態の発生に対して適切な処置を施すことができない虞があった。また、過去の警報が、アーチファクトが混入したことによるものなのか否か、瞬時に判断することが困難であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に開示された患者監視システムの構成では、アラーム告知に対する処置内容および監視情報が表示される表示部は、各患者を監視する装置から計測データが伝送されたデータ処理部の表示部(患者を監視する装置から離れた位置の表示部)である。この表示部にはアラーム告知時の監視情報は表示されるが、測定中の監視情報あるいはアラーム告知された監視情報に関連する監視情報は表示されない。そのため、患者のもとでアラーム告知の要因となる監視情報を確認することができない他、監視情報の対比判断をすることもできないので、予め医師によって指示記憶しておいた処置(「ドクターコール」、「投薬」等)に関しては可能であるが、さらなるその他の適切な処置を迅速に行うことは困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、過去に発せられた警報の見逃しを確実に防止するとともに、過去の警報がアーチファクトの混入等による過誤の警報であったのか否かを迅速に判断することができる生体情報表示装置および生体情報表示システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の生体情報表示装置は、測定中の生体情報が表示される測定中表示画面と生体情報の異常が表示される異常表示画面とを含み、表示画面に生体情報を表示する表示部と、
予め設定された警報条件に基づいて、前記異常表示画面を前記測定中表示画面の上に重ねて表示するように前記表示部の表示を制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示部は、前記異常表示画面に表示する表示内容に、異常を警報する旨と、異常時点の生体情報を含み、
前記表示制御部は、前記異常表示画面が表示された場合、前記生体情報の異常が解消されても、前記異常表示画面に表示した前記異常を警報する旨と異常時点の生体情報を表示し続けるように前記表示部の表示を制御することを特徴とするものである。
【0009】
また、上記の生体情報表示装置において、前記表示制御部は、前記異常表示画面が表示された場合、外部操作によって確認処理が実行されるまで、前記異常表示画面に表示した前記異常を警報する旨と異常時点の生体情報を表示し続けるように前記表示部の表示を制御することが好ましい。
【0010】
また、上記の生体情報表示装置において、測定される生体情報には複数種類の測定項目が含まれており、
前記表示制御部は、警報された生体情報に加えて、警報された生体情報に関連する生体情報を前記異常表示画面に表示することが好ましい。
【0011】
また、上記の生体情報表示装置において、前記異常表示画面に表示する警報された生体情報および警報された生体情報に関連する生体情報には、波形によって表示される生体情報と数値によって表示される生体情報が含まれることが好ましい。
【0012】
また、上記の生体情報表示装置において、前記異常表示画面に表示する警報された生体情報は、心電図波形であり、当該心電図波形に関連する生体情報には、少なくとも観血血圧波形が含まれることが好ましい。
【0013】
また、上記の生体情報表示装置は、前記測定中表示画面の一部の表示画面領域上に前記異常表示画面を重ねて表示することが好ましい。
【0014】
また、本発明の生体情報表示システムは、上記の生体情報表示装置を複数台備え、当該複数台の生体情報表示装置が互いにネットワーク接続され、各生体情報表示装置によって表示された生体情報が前記ネットワーク接続されている他の生体情報表示装置においても表示可能な構成としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、過去に発せられた異常発生の警報の見逃しを確実に防止するとともに、警報の内容を正確に把握し迅速な処置を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る生体情報表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】測定中表示画面上に表示する異常表示画面の生体情報の具体例を示す図である。
図3】測定中表示画面上に表示する異常表示画面の生体情報の具体例を示す図である。
図4】測定中表示画面上に表示する異常表示画面の生体情報の具体例を示す図である。
図5】(a)、(b)、(c)は、異常表示画面に表示する生体情報の具体的な組合せ例を示す図である。
図6】(a)、(b)、(c)は、異常表示画面に表示する生体情報の具体的な組合せ例を示す図である。
図7】(a)、(b)は、異常表示画面に表示する生体情報の具体的な組合せ例を示す図である。
図8】(a)、(b)、(c)は、本発明に係る生体情報表示システムの具体例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る生体情報表示装置および生体情報表示システムの実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、生体情報表示装置の一形態を示すものである。生体情報表示装置1は、被検者毎に使用される表示装置であり、いわゆるベッドサイドモニタのことをいう。生体情報表示装置1には、心電信号、血圧値、血中酸素飽和度、吸気酸素濃度、体温、呼気二酸化炭素濃度、呼吸状態等の生体情報を測定するためセンサ、プローブ等の生体情報取得手段2が接続される。具体的な生体情報取得手段2としては、心電信号を検出する心電電極、非観血血圧値を検出する圧力センサ、血中酸素飽和度および脈波を検出するSPO2プローブ、吸気酸素濃度を検出する酸素センサ、体温を検出するサーミスタ、呼気二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサ、呼吸を検出するサーミスタ等のセンサ類を挙げることができる。これら生体情報取得手段2が被検者に装着され、生体情報取得手段2によって取得された生体情報が生体情報表示装置1に入力される。
【0018】
生体情報表示装置1は、当該装置の動作を制御する制御部10と、測定した生体情報を表示する表示部20と、生体情報に関する設定値を入力する入力操作部30を備えている。上記生体情報取得手段2によって取得された生体信号は、生体情報表示装置1の制御部10に入力される。
【0019】
制御部10は、生体情報取得手段2および入力操作部30からの情報に基づいて生体情報表示装置1の各部の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)11を主構成部にしている。CPU11にはハードディスク、電子メモリ等の記憶手段が接続されている。CPU11は、記憶手段14に記憶されているプログラムに従って各種の数値計算、情報処理、および動作制御を実行しており、比較手段12、表示制御手段13、および生体情報演算手段17の機能を有している。
【0020】
生体情報演算手段17は、生体情報取得手段2から入力された各生体信号にそれぞれ所定の演算処理を施して、それぞれ生体情報として出力するものである。
【0021】
比較手段12は、生体情報演算手段17で演算処理された各生体情報と、予め設定された各生体情報の閾値との比較処理を行なっている。ここでいう生体情報の閾値とは、医療従事者等が設定した、その被検者にとって許容し得る生体情報のバラツキの最大値(許容範囲)を示す値だけではなく、前記許容範囲内に限らず独自に設定した値なども含む。この独自に設定した値とは、例えば、被検者の生体情報が所定の値を超えた回数、時間等を調べる場合などに、医療従事者が設定することができる値などである。また比較処理は、各生体情報の値そのもの(例えば心拍数や血圧値など)のみならず、生体情報そのものの異常判定のために波形の形状等の比較も行う。波形の形状比較は、例えば心電図波形を基本波形と比較して、近似しているかどうかによって不整脈か否かを判定する。比較手段12は、測定中の生体情報が閾値を上回っている(または下回っている)か否か、あるいは基本波形と比較して近似しているか否か、すなわち不整脈か否かの比較処理を常時行なっており、異常値の発生・検出時点および警報の報知タイミングを判定している。なお、上記の比較処理においては生体情報の異常のほかに、電極外れ等(波形が検出できない異常)も判定される。
【0022】
表示制御手段13は、生体情報取得手段2によって測定され生体情報演算手段17で演算処理されている生体情報(測定中の生体情報)をリアルタイムで表示部20に表示させるほか、生体情報取得手段2によって生体情報が取得された際に異常が発生したことを表示部20に表示させる制御処理を行なっている。表示制御手段13は、生体情報演算手段17から測定中の生体情報が送信されてくると、当該測定中生体情報を表示すべき旨の制御信号を表示部20に対して送信する。また、表示制御手段13は、比較手段12による比較処理の結果、測定された生体情報が異常であると判断された場合(警報条件を満たす場合)に、生体情報に異常が発生したことを表示すべき旨の制御信号を表示部20に対して送信する。なお、表示制御手段13は、本発明の特許請求の範囲の表示制御部の一例である。
【0023】
生体情報に異常が発生したことは、例えば、異常を警報する旨を視覚的に又は聴覚的に表示したり、異常が発生した時点の生体情報を表示することによって報知することができる。具体的には、異常を警報する旨の表示として、「生体情報警報」等の警報文字(メッセージ)表示によるもの、あるいは警報図形の表示によるもの等、視覚的に容易に認識できる態様の表示によって報知することができる。また、異常が発生した時点の生体情報の表示としては、異常と判断された生体情報の異常時の測定波形(異常波形)または測定数値(異常数値)の表示によるもの、あるいは異常波形(異常数値)に加えて異常と判断された生体情報に関連する生体情報の異常発生時の測定波形または測定数値の表示によるもの等で報知することができる。測定波形とは、例えば、心電図波形、血圧波形、脈波、呼吸波形等のことをいい、測定数値とは、例えば、心拍数、血圧値、血中酸素飽和度、体温、呼吸数、呼気二酸化炭素濃度、吸気酸素濃度等のことをいう。
【0024】
記憶手段14は、上述のプログラムが記憶されている他、各生体情報取得手段2によって取得され生体情報演算手段17で演算処理された生体情報、予め設定された各生体情報の閾値、異常発生時の生体情報、異常発生時に表示部20の表示画面に表示されるメッセージ等を記憶・保持している。記憶・保持される生体情報の項目としては、例えば、心電図波形、脈波波形、観血血圧波形、呼吸波形等の波形生体情報、あるいは心拍数、脈拍数、血圧値、酸素飽和度、二酸化炭素濃度、呼吸数、体温等の数値生体情報を挙げることができる。
【0025】
表示部20は、表示制御手段13からの制御信号に基づいて表示画面に生体情報を表示する。表示部20には、生体情報取得手段2によって測定されている生体情報をリアルタイムで表示するための測定中表示画面21と、測定されている生体情報に異常が発生したとき(警報条件を満たすとき)などに異常が発生したことを表示するための異常表示画面22が設けられている。異常表示画面22は、生体情報に異常が発生したときに測定中表示画面21上に表示される画面であるため、例えば、生体情報の異常発生時にポップアップ表示するようにしてもよい。
【0026】
また、異常表示画面22は、当該画面に表示される生体情報(異常波形、異常数値等)と測定中表示画面21に表示されている測定中の生体波形あるいは数値とを容易に比較できるように表示することが望ましい。したがって、異常表示画面22は、測定中表示画面21の一部の表示画面領域上に重ねて表示することが望ましい。さらに、異常表示画面22は、測定中表示画面21に表示されている生体波形あるいは数値の中の比較対象となる生体波形あるいは数値を覆い隠さない位置に表示することが望ましい。また、測定中の生体波形あるいは数値と、より比較し易くするために、異常表示画面22の位置をドラッグ移動できるようにしてもよい。異常表示画面22および当該画面に表示された生体情報等(異常発生を警報する旨、異常発生時の検出異常波形、異常波形に関連する波形等)は、当該異常が解消しても消去されず、外部操作によって確認処理作業が実行されるまで継続して表示される。
【0027】
入力操作部30は、キーボード、マウス、タッチパネル、あるいは携帯通信端末等により構成される。入力操作部30は、制御部10に接続されており、入力操作することによって各生体情報の閾値、異常発生時に異常表示画面22に表示されるメッセージ内容、異常発生時に異常表示画面22に表示される測定波形または測定数値等の種類を設定することができる。
【0028】
このような構成において、比較手段12が測定生体情報に異常が発生したと判定すると、表示制御手段13は、表示部20に異常表示画面22を表示させるとともに表示させた異常表示画面22を、当該異常が解消しても消去せず、医療従事者の外部操作による異常表示画面確認処理が実行されるまで、継続して表示し続けるように表示部20を表示制御する。したがって、異常表示画面22に表示された異常を警報する旨および異常時点の生体情報も確認処理が実行されるまで継続して表示され続けることになる。
【0029】
異常表示画面22を消去する具体的な処理としては、異常発生の見落とし、見過ごし、および見逃し等を確実に防止するために、複数段階に及ぶ処理内容とすることが好ましい。例えば、先ず、警報を確認したことを表す警報確認ボタンの押下作業を行う。続いて、画面に表示されたメッセージ内容および画面に表示された異常発生時の測定波形等の内容を確認したことを表す内容確認ボタンの押下作業を行う。さらに、内容確認の結果、異常表示画面22を消去してもよいと判断したことを表す消去確認ボタンの押下作業を行う。表示制御手段13は、このような三段階の処理が順次実行されたときに警報内容の解析が終了したとみなして異常表示画面22を消去するようにしてもよい。
【0030】
異常表示画面22は、特定の異常についてのみ表示するようにしてもよい。特定の異常とは、優先度(重篤度合い等)の高い異常、特定の症状・臓器に関する異常(心臓に関する異常等)、特定のパラメータ(心電図等)に関する異常などがある。なお、テクニカルアラームを含む全ての異常は、測定中表示画面21の上部(図示しないが、例えば図2において警報図形42の左側)に必ず表示される。この表示は異常内容を示すメッセージの警報のみで、原因がなくなれば自動的に消去される。
【0031】
次に、表示部20の画面に表示する生体情報の具体例を以下に示す。
図2から図4は、測定中表示画面21の一部の表示画面領域上に異常表示画面22を重ねて表示した状態を示している。表示部20は、表示制御手段13からの表示制御信号に基づいて、測定中表示画面21および異常表示画面22に生体情報を表示する。
【0032】
具体例の一つとして、図2に示すように、表示部20は、測定中表示画面21に、被検者から測定中の心電図波形31と、観血血圧波形32と、脈波波形33と、呼吸波形34とを含む波形生体情報を表示している。また、表示部20は、測定中表示画面21に、心拍数35と、観血血圧値36と、非観血血圧値37と、酸素飽和度38と、体温39と、呼吸数40と、二酸化炭素濃度41とを含む数値生体情報を表示している。また、測定中表示画面21の右上部には、過去に生体情報に異常が発生したことを表示する警報図形42を表示している。
【0033】
また、表示部20は、異常表示画面22に、生体情報に異常が発生したことを警報する警報図形51と、異常内容を示すメッセージ52と、異常発生日時53と、異常が検出された波形(ここでは心電図波形)54を表示している。メッセージ52を表示することで、心室性頻拍を要因として心電図に異常が生じたことを警報している。また、心室性頻拍状態となっている心電図波形54を表示することで、心室期外収縮の発生回数および波形形状を容易に認識可能とし迅速な診断、処置を可能にしている。また、表示部20は、異常表示画面22を比較対象となる心電図波形31に重ならない位置に表示している。比較対象となる波形とは、複数種類表示されている測定中の波形31から34の中の異常波形(ここでは心電図波形54)と同種の波形のことをいう。なお、異常表示画面22に表示する波形や数値等の項目は、医療従事者によって設定することもできる。
【0034】
他の具体例として、図3に示すように、表示部20は、図2と同様、測定中表示画面21に、心電図波形31と、観血血圧波形32と、脈波波形33と、呼吸波形34とを含む波形生体情報、心拍数35と、観血血圧値36と、非観血血圧値37と、酸素飽和度38と、体温39と、呼吸数40と、二酸化炭素濃度41とを含む数値生体情報、および警報図形42を表示している。
【0035】
また、表示部20は、異常表示画面22に、生体情報に異常が発生したことを警報する警報図形51と、異常内容を示すメッセージ52と、異常発生日時53と、異常が検出された波形(ここでは心電図波形)54と、心電図波形54に関連する観血血圧波形55を表示している。ここで表示されている観血血圧波形55は、心電図波形に異常が検出された時点において取得された観血血圧波形である。
【0036】
メッセージ52を表示することで、心室性頻拍を要因として心電図に異常が生じたことを警報している。また、心室性頻拍状態となっている心電図波形54を表示することで、心室期外収縮の発生回数および波形形状を容易に認識可能とし迅速な診断、処置を可能にしている。また、観血血圧波形55を表示することで、心電図波形の異常発生がアーチファクトによるものであるか否かの判断を容易にしている。心室性頻拍が発生すると、心室から拍出される血液量が減少し、血圧の低下が起こりやすい。したがって、観血血圧波形は心電図波形に関連する波形(生体情報)であり、心電図異常発生時の観血血圧波形55を観察することにより、心電図波形54の異常が心室性頻拍52に起因するものであるのか判断することができる。図3の例では、観血血圧波形55から血圧の低下が起きていると認識できる。よって、図3の異常表示画面22に表示する心電図波形54の場合、血圧低下を伴う心電図変化が発生したと判断することができ、心電図波形54の異常が心室性頻拍52に起因するものであると診断できる。
【0037】
他の具体例として、図4に示すように、表示部20は、図2と同様、測定中表示画面21に、心電図波形31と、観血血圧波形32と、脈波波形33と、呼吸波形34とを含む波形生体情報、心拍数35と、観血血圧値36と、非観血血圧値37と、酸素飽和度38と、体温39と、呼吸数40と、二酸化炭素濃度41とを含む数値生体情報、および警報図形42を表示している。
【0038】
また、表示部20は、図3と同様、異常表示画面22に、警報図形51と、メッセージ52と、異常発生日時53と、異常が検出された波形(ここでは心電図波形)54と、心電図波形54に関連する観血血圧波形56を表示している。
【0039】
メッセージ52を表示することで、心室性頻拍を要因として心電図に異常が生じたことを警報している。また、心室性頻拍状態となっている心電図波形54を表示することで、心室期外収縮の発生回数および波形形状を認識可能にしている。また、観血血圧波形56を表示することで、心電図波形の異常発生がアーチファクトによるものであるか否かの判断を容易にしている。心室性頻拍が発生すると、心室から拍出される血液量が減少し、血圧の低下が起こりやすい。したがって、心電図異常発生時の観血血圧波形56を観察することにより、心電図波形54の異常が心室性頻拍52に起因するものであるのか判断することができる。ここで、図4に示す観血血圧波形56の場合、血圧の低下は起きていない。よって、図4に示す心電図波形54は、血圧低下を伴わない心電図変化を生じていると判断することができる。また、心電図波形54と観血血圧波形56のリズムも相違しており、これらのことから心電図波形54の異常は心室性頻拍52に起因するものではなく、アーチファクトによるものかもしれないという判断も必要になる。
【0040】
図5から図7に、表示部20の異常表示画面22に表示する生体情報の他の具体例を示す。
図5(a)は、制御部10が、心電図の測定情報に異常が生じたことを検出し、心電図波形に関連する生体情報として血圧情報(循環)を選択し、これらの生体情報を異常表示画面22に表示させた状態を示している。
【0041】
表示部20は、表示制御手段13からの表示制御信号に基づいて、異常表示画面22に、生体情報に異常が発生したことを警報する警報図形51と、異常内容を示すメッセージ61と、異常発生日時53と、異常が検出された波形(ここでは心電図波形)62と、心電図波形62に関連する観血血圧波形63と、異常が検出された時点の心拍数64および血圧値65を表示している。
【0042】
メッセージ61を表示することで、心室性頻拍を要因として心電図に異常が生じたことを警報している。また、心室期外収縮が発生して心室性頻拍状態となっている心電図波形62を表示することで、心室期外収縮の発生回数および波形形状を容易に認識可能とし迅速な診断、処置を可能にしている。また、心電図波形の異常発生がアーチファクトによるものであるか否かの判断材料として観血血圧波形63を表示している。心室性頻拍が発生すると、心室から拍出される血液量が減少し、血圧の低下が起こりやすい。したがって、心電図異常発生時の観血血圧波形63を観察することにより、心電図波形62の異常が心室性頻拍61に起因するものであるのか判断することができる。観血血圧波形63は、血圧の低下を起こしている。よって、心電図波形62は、血圧低下を伴う心電図変化を発生したと判断することができ、心電図波形62の異常が心室性頻拍61に起因するものであると診断できる。さらに、異常が検出された時点の生体情報を数値情報(心拍数64、血圧値65)として添付表示することにより、異常発生を瞬時に認識することが可能になる。
【0043】
図5(b)は、制御部10が、呼吸の測定情報に異常が生じたことを検出し、呼吸波形に関連する生体情報として心拍情報を選択し、これらの生体情報を異常表示画面22に表示させた状態を示している。
【0044】
表示部20は、表示制御手段13からの表示制御信号に基づいて、異常表示画面22に、警報図形51と、異常内容を示すメッセージ71と、異常発生日時53と、異常が検出された波形(ここでは呼吸波形)72と、異常検出時点の二酸化炭素濃度74と、呼吸波形72に関連する心電図波形73と、異常検出時点の心拍数75を表示している。
【0045】
図5(c)は、制御部10が、呼吸の測定情報に異常が生じたことを検出し、呼吸波形に関連する生体情報として血液酸素情報を選択し、これらの生体情報を異常表示画面22に表示させた状態を示している。
【0046】
表示部20は、表示制御手段13からの表示制御信号に基づいて、異常表示画面22に、警報図形51と、異常内容を示すメッセージ81と、異常発生日時53と、異常が検出された波形(ここでは呼吸波形)82と、異常検出時点の呼吸数84と、呼吸波形82に関連する脈波波形83と、異常検出時点の酸素飽和度85を表示している。脈波波形83は、血管に血液が流入することによって生じる容積変化を測定して取得される波形であり、血管運動や間接的に心臓活動状態を表す波形である。
【0047】
メッセージ81によって、呼吸異常が生じたことを警報している。また、呼吸(呼気と吸気)に乱れのある呼吸波形82を表示することで、呼吸状態を容易に認識することができるとともに無呼吸に基づく酸素飽和度の低下を予測することができ、迅速な診断、処置を可能にしている。また、異常検出時の呼吸数を数値表示(呼吸数84)することにより、呼吸数の低下を瞬時に認識することが可能になる。また、関連する生体情報として異常検出時の脈波波形83と酸素飽和度85を表示することで、呼吸数の低下によって起こりうる酸素飽和度の低下による呼吸不全症の可能性を認識することができると共に、脈波波形により、心拍上昇等の無呼吸が心臓活動へ与える影響の診断に役立てることが可能になる。この例では、呼吸数低下が酸素飽和度低下を伴っており、アーチファクトではなく実際に呼吸機能の低下が疑われる。
【0048】
図6(a)は、制御部10が、心電図のST部分に異常が生じたことを検出し、心電図波形に関連する生体情報として血圧情報(循環)を選択し、これらの生体情報を異常表示画面22に表示させた状態を示している。
【0049】
表示部20は、表示制御手段13からの表示制御信号に基づいて、異常表示画面22に、警報図形51と、異常内容を示すメッセージ91と、異常発生日時53と、異常が検出された波形(ここでは心電図波形)92と、心電図波形92に関連する観血血圧波形93と、異常が検出された心電図波形92の一部を切り出した波形94と、異常が検出された時点の心拍数95および血圧値96を表示している。
【0050】
図6(b)は、制御部10が、非観血血圧値に異常が生じたことを検出し、非観血血圧値に関連する生体情報として血圧情報を選択し、これらの生体情報を異常表示画面22に表示させた状態を示している。
【0051】
表示部20は、表示制御手段13からの表示制御信号に基づいて、異常表示画面22に、警報図形51と、異常内容を示すメッセージ101と、異常発生日時53と、異常が検出された数値(ここでは非観血血圧値)102と、非観血血圧値102に関連する観血血圧波形103と、観血血圧値104を表示している。
【0052】
図6(c)は、制御部10が、非観血血圧値に異常が生じたことを検出し、非観血血圧値に関連する生体情報として体温情報を選択し、これらの生体情報を異常表示画面22に表示させた状態を示している。
【0053】
表示部20は、表示制御手段13からの表示制御信号に基づいて、異常表示画面22に、警報図形51と、異常内容を示すメッセージ111と、異常発生日時53と、異常が検出された数値(ここでは非観血血圧値)112と、非観血血圧値112に関連する体温113を数値表示している。
【0054】
図7(a)は、制御部10が、心電図の測定情報に異常が生じたことを検出し、心電図波形に関連する生体情報として血圧情報(循環)と血液酸素情報を選択し、これらの生体情報を異常表示画面22に表示させた状態を示している。
【0055】
表示部20は、表示制御手段13からの表示制御信号に基づいて、異常表示画面22に、警報図形51と、異常内容を示すメッセージ121と、異常発生日時53と、異常が検出された波形(ここでは心電図波形)122と、心電図波形122に関連する観血血圧波形123および脈波124と、異常が検出された時点の心拍数125、観血血圧値126および酸素飽和度127を表示している。
【0056】
メッセージ121を表示することで、心室性頻拍を要因として心電図に異常が生じたことを警報している。また、心室期外収縮が発生して心室性頻拍状態となっている心電図波形122を表示することで、心室期外収縮の発生回数および波形形状を容易に認識可能とし迅速な診断、処置を可能にしている。また、心電図波形の異常発生がアーチファクトによるものであるか否かの判断材料として観血血圧波形123を表示している。心室性頻拍が発生すると、心室から拍出される血液量が減少し血圧の低下が起こりやすい。したがって、心電図異常発生時の観血血圧波形123を観察することにより、心電図波形122の異常が心室性頻拍121に起因するものであるのか判断することができる。観血血圧波形123は、血圧の低下を起こしている。よって、心電図波形122は、血圧低下を伴う心電図変化が発生したと判断することができ、心電図波形122の異常が心室性頻拍121に起因するものであると診断できる。また、酸素飽和度は、呼吸不全症の可能性を検討する目安にすることができるため、酸素飽和度127を表示することによって、呼吸不全症の可能性を判断することができ、脈波波形124を表示することにより、心臓活動状態への影響を迅速に診断し、適切な処置を施すことができる。さらに、異常が検出された時点の生体情報を数値情報(心拍数125、観血血圧値126)として添付表示することにより、異常発生を迅速に認識することが可能になる。この例では、心室性頻拍に血圧低下および脈波の振幅低下を伴っているため、実際に心室機能が障害を起こす心室性不整脈が発生したと判断できる。
【0057】
図7(b)は、制御部10が、心電図の測定情報に異常が生じたことを検出し、心電図波形に関連する生体情報として血圧情報(循環)と血液酸素情報を選択し、これらの生体情報を異常表示画面22に表示させた状態を示している。
【0058】
表示部20は、表示制御手段13からの表示制御信号に基づいて、異常表示画面22に、警報図形51と、異常内容を示すメッセージ131と、異常発生日時53と、異常が検出された波形(ここでは心電図波形)132と、心電図波形132に関連する観血血圧波形133および脈波波形134と、異常が検出された時点の心拍数135、観血血圧値136および脈波値137を表示している。
【0059】
メッセージ131を表示することで、心室性頻拍を要因として心電図に異常が生じたことを警報している。また、心室性頻拍状態となっている心電図波形132を表示することで、心室期外収縮の発生回数および波形形状を認識可能にしている。また、観血血圧波形133を表示することで、心電図波形の異常発生がアーチファクトによるものであるか否かの判断を可能にしている。心室性頻拍が発生すると、心室から拍出される血液量が減少し血圧の低下が起こりやすい。したがって、心電図異常発生時の観血血圧波形133を観察することにより、心電図波形132の異常が心室性頻拍131に起因するものであるのか判断することができる。ここで、観血血圧波形133の場合、血圧の低下は起きていない。よって、心電図波形132は、血圧低下を伴わない心電図変化を生じていると判断することができる。また、脈波波形134は、血管に血液が流入することによって生じる容積変化を示す波形であり、血管運動や、間接的に心臓活動状態を表す。この脈波波形134には異常が確認できない。また、観血血圧値136および脈波値137にも異常がない。さらに、心電図波形132のリズムと観血血圧波形133および脈波波形134とのリズムも相違しており、これらのことから心電図波形132の異常は心室性頻拍131に起因するものではなく、アーチファクトによるものであると判断できる。
【0060】
続いて、図8の(a)から(c)は、生体情報表示システムの実施形態を示すものである。なお、各形態において表示する生体情報表示装置(ベッドサイドモニタ)は、図1から図7に基づいて前述した生体情報表示装置1と同様の機能を有するものである。
【0061】
図8(a)に示す生体情報表示システム140は、複数台の生体情報表示装置(ベッドサイドモニタ)を備えている。ベッドサイドモニタ141、142、143、144は、被検者のベッドサイドにそれぞれ設置されるものであり、各ベッドサイドモニタ141、142、143、144は、ネットワーク145によって接続され、データの通信を行えるようになっている。各ベッドサイドモニタの表示画面には、ネットワーク145を介して、他のベッドサイドモニタで測定した被検者の生体情報の波形や数値等を表示することができる。表示画面にどのベッドサイドモニタで測定した生体情報を表示させるかは、医療従事者等により指定することが可能である。ある被検者の生体情報に異常が発生した場合に、離れた場所のベッドサイドモニタ近くに居る医療従事者によってもその異常発生を認識できるように、異常発生に同期して各ベッドサイドモニタの表示画面上に、異常が発生した旨の警報(音、ランプ、メッセージ等)を表示するようにしてもよい。
【0062】
図8(b)に示す生体情報表示システム150は、複数台のベッドサイドモニタ151、152、153、154に加えて、さらにセントラルモニタ156がネットワーク155に接続されている。セントラルモニタ156は、ナースステーション、医師の控室等に設置されて、各被検者の生体情報を集中監視することができるモニタである。セントラルモニタ156には、各ベッドサイドモニタ151、152、153、154で測定した生体情報がネットワーク155を介して送信されてくる。送信された生体情報はセントラルモニタ156の記憶部に保持される。また、各ベッドサイドモニタ151、152、153、154によって測定された生体情報に異常が発生した場合には、図1から図7に基づいて前述した生体情報表示装置1と同様に、異常を警報する旨と異常時点の生体情報等がセントラルモニタ156の表示画面にも表示される。その他、セントラルモニタ156に表示される表示画面の種類、表示形態等についても生体情報表示装置1と同様であり、例えば、表示内容は、異常が解消しても消去されず、外部操作によって確認処理が実行されるまで表示される。
【0063】
図8(c)に示す生体情報表示システム160は、複数台のベッドサイドモニタ161、162、163、164に加えて、セントラルモニタ166とスマートフォン等の携帯通信端末167がネットワーク165に接続される。携帯通信端末167に対してもセントラルモニタ166と同様に、各ベッドサイドモニタ161、162、163、164で測定した生体情報がネットワーク165を介して送信されてくる。また、各ベッドサイドモニタ161、162、163、164によって測定された生体情報に異常が発生した場合には、図1から図7に基づいて前述した生体情報表示装置1と同様に、異常を警報する旨と異常時点の生体情報等が携帯通信端末167の表示画面にも表示される。その他、携帯通信端末167に表示される表示画面の種類、表示形態等も生体情報表示装置1と同様であり、例えば、表示内容は、異常が解消しても消去されず、外部操作によって確認処理が実行されるまで表示される。
【0064】
本発明の生体情報表示装置、および生体情報表示システムは、以上のような構成を有することにより、以下の作用効果を有する。
測定中表示画面の画面上に異常表示画面を重ねて表示し、その表示内容には異常を警報する旨、異常時点の生体情報等を含み、さらに表示した異常表示画面を、異常が解消しても消去せず、外部操作によって確認処理の作業が実行されるまで表示し続けるので、過去に発せられた異常発生の警報の見逃しを確実に防止することができるほか、警報の内容の重要度を迅速に判断することができる。
【0065】
また、測定される生体情報には複数種類の測定項目(心拍数、心電波形、血圧値、血中酸素飽和度、吸気酸素濃度、体温等の波形および数値データ)が含まれている。生体情報の異常を検出した際に、当該異常数値および異常波形を異常表示画面に表示することに加えて、当該生体情報の異常を引き起こす要因となり得る他の生体情報の数値および波形、あるいは当該生体情報の異常に伴って変化し得る他の生体情報の数値および波形、すなわち当該異常が発生した生体情報に関連する生体情報の数値および波形も異常表示画面に表示する。したがって、医療従事者は、被検者の様態を、必要な複数の生体情報に基づいて総合的に診断を行うことができるとともに、適切な治療を行うことができる。また、複数のパラメータの動態を観察することにより、異常発生がアーチファクトによるものであるか否かの判断を容易とし、瞬時に正確な診断を行うことができる。
【0066】
異常表示画面は、制御部による異常検出に同期して表示され、さらにその表示された内容は確認処理作業を実行するまで表示され続けるので、医療従事者は、確認処理作業を実行しない限り異常表示画面の表示内容を何の画面操作も行わずに容易に確認することができ、異常発生の見逃しを確実に防止することができる。
【0067】
生体情報表示システムを構成するベッドサイドモニタ、セントラルモニタ、スマートフォン等の携帯通信端末はネットワークによって接続されているので、医療従事者は、被検者から離れた場所に居ても、気になる被検者の生体情報を診ることができ、確実な判断および迅速な処置を施すことができる。
【0068】
本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
1:生体情報表示装置、2:生体情報取得手段、10:制御部、11:CPU、12:比較手段、13:表示制御手段、14:記憶手段、20:表示部、21:測定中表示画面、22:異常表示画面、30:入力操作部、140、150、160:生体情報表示システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8