特許第5677410号(P5677410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5677410改良されたハイビーム機能を有する自動車用の照明モジュール、および照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677410
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】改良されたハイビーム機能を有する自動車用の照明モジュール、および照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20150205BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20150205BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20150205BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150205BHJP
【FI】
   F21S8/12 268
   F21S8/10 180
   F21S8/12 210
   F21S8/12 250
   F21S8/12 263
   F21W101:10
   F21Y101:02
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-506449(P2012-506449)
(86)(22)【出願日】2010年4月15日
(65)【公表番号】特表2012-524958(P2012-524958A)
(43)【公表日】2012年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2010055005
(87)【国際公開番号】WO2010121948
(87)【国際公開日】20101028
【審査請求日】2013年3月22日
(31)【優先権主張番号】09/01623
(32)【優先日】2009年4月21日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・リュック メルノー
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−010603(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0171665(US,A1)
【文献】 特開2005−135919(JP,A)
【文献】 特開2005−108554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10,8/12
F21W 101/10
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の照明モジュール(1)であって、
− 自身の少なくとも1つの光軸に沿う第1および第2の焦点を有する、凹面の第1のリフレクタ(2)であって、第1の焦点から出て、第1のリフレクタ(2)によって反射される光線の大部分が、第2の焦点(13)の方向に向かって収束していく第1のリフレクタ(2)と、
− 自身の少なくとも1つの光軸に沿う第1および第2の焦点を有する、凹面の第2のリフレクタ(3)であって、第1の焦点から出て、第2のリフレクタ(3)によって反射される光線の大部分が、第2の焦点(13)の方向に向かって収束していき、前記第1のリフレクタ(2)および第2のリフレクタ(3)は、前記第1のリフレクタ(2)の反射面が、前記第2のリフレクタ(3)の反射面に向き合うように切断された形状の外周を有している第2のリフレクタ(3)と、
− 概ね、前記第1のリフレクタ(2)と第2のリフレクタ(3)との間の平面内に配置されており、前記第1のリフレクタ(2)の反射面に対向している第1の面、および前記第2のリフレクタ(3)の反射面に対向している第2の面を有しており、かつ該第1の面と第2の面とを結ぶカットオフ端(9)を有しているシールド(8)と、
− 前記照明モジュール(1)の光軸に直交し、かつ前記カットオフ端を通る平面内に位置している第1の焦点を有している光学素子(20)
とを備えている照明モジュール(1)において、
前記カットオフ端(9)は、前記第1のリフレクタの第2の焦点(13)、および前記第2のリフレクタの第2の焦点(13)の領域に位置していること、および前記第1の照明モジュール(1)の第1のリフレクタ(2)は、互いに交差している2つの反射面(2aおよび2b)を有しており、各反射面(2a、2b)は、半平面において、それぞれの光軸(31、30)に沿った第1および第2の焦点を有している楕円によって記述される回転面であり、該2つの回転面(2a、2b)の光軸(31、30)は、それらの第2の焦点(13)で交差していることを特徴とする照明モジュール。
【請求項2】
自動車用の照明モジュール(100)であって、
− 自身の少なくとも1つの光軸に沿う第1および第2の焦点を有する、凹面の第1のリフレクタ(102)であって、第1の焦点から出て、第1のリフレクタ(102)によって反射される光線の大部分が、第2の焦点(113)の方向に向かって収束していく第1のリフレクタ(102)と、
− 自身の少なくとも1つの光軸に沿う第1および第2の焦点を有する、凹面の第2のリフレクタ(103)であって、第1の焦点から出て、第2のリフレクタ(103)によって反射される光線の大部分が、第2の焦点(113)の方向に向かって収束していき、前記第1のリフレクタ(102)および第2のリフレクタ(103)は、前記第1のリフレクタ(102)の反射面が、前記第2のリフレクタ(103)の反射面に向き合うように切断された形状の外周を有している第2のリフレクタ(103)と、
− 概ね、前記第1のリフレクタ(102)と第2のリフレクタ(103)との間の平面内に配置されており、前記第1のリフレクタ(102)の反射面に対向している第1の面、および前記第2のリフレクタ(103)の反射面に対向している第2の面を有しており、かつ第1の面と第2の面とを結ぶカットオフ端(109)を有しているシールド(108)と、
− 前記照明モジュール(100)の光軸と直交し、かつ前記カットオフ端を通る平面内に位置している第1の焦点を有している光学素子(120)
とを備えている照明モジュール(100)において、
前記カットオフ端(9、109)は、前記第1のリフレクタの第2の焦点(113)、および前記第2のリフレクタの第2の焦点(113)の領域に位置していること、および前記シールド(108)は、前記第2および第1のリフレクタ(103、102)のいずれかから来る光ビームのカットオフに、対応する作用を及ぼすように、少なくとも前記カットオフ端(109)において、前記照明モジュールの光軸(104)に直交する平面内で湾曲している輪郭を有していることを特徴とする照明モジュール。
【請求項3】
前記湾曲している輪郭は、概ね、前記照明モジュールの光軸(104)の真上に中心を有していることを特徴とする、請求項2に記載の照明モジュール。
【請求項4】
前記シールド(108)のカットオフ端は、一定の厚さを有しており、したがって、前記湾曲している輪郭は、前記シールド(108)の、互いに反対側の2つの反射面に存在していることを特徴とする、請求項2または3に記載の照明モジュール。
【請求項5】
前記湾曲形状は、前記シールド(108)の中央部分に限定されており、前記シールド(108)の残余の部分は、実質的に平坦であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1つに記載の照明モジュール。
【請求項6】
前記シールド(8、108)の第1の面と第2の面とは、前記カットオフ端でつながっていること、および前記第1のリフレクタ(2、102)と第2のリフレクタ(3、103)との第2の焦点は、共通の第2の焦点(13、113)に一致しており、前記カットオフ端は、該共通の第2の焦点の領域に位置していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の照明モジュール。
【請求項7】
前記シールド(8、108)の第1の面と第2の面とのうちの少なくとも一方は、反射性であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の照明モジュール。
【請求項8】
前記照明モジュール(1、100)は、概ね、前記第1のリフレクタ(2、102)の第1の焦点に位置している第1の光源(5、6、105)、および概ね、前記第2のリフレクタ(3、103)の第1の焦点に位置している第2の光源(7、107)を備えており、該第1の光源は、前記第1のリフレクタの方向のみに光線を放射し、該第2の光源は、前記第2のリフレクタの方向のみに光線を放射することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の照明モジュール。
【請求項9】
前記第1の光源(5、105)は、概ね、前記第1のリフレクタ(2、102)に向かう方向に光線を放射する発光ダイオードを備えており、前記第2の光源(7、107)は、概ね、前記第2のリフレクタ(3、103)に向かう方向に光線を放射する発光ダイオードを備えていることを特徴とする、請求項8に記載の照明モジュール。
【請求項10】
前記第1の光源(5、6、105)は、前記シールド(8、108)の第1の面上に保持されており、前記第2の光源(7、107)は、前記シールド(8、108)の第2の面上に保持されていることを特徴とする、請求項8または9に記載の照明モジュール。
【請求項11】
− ロービームタイプの第1の照明機能を有する第1の照明モジュール(1)と、
− 請求項1〜10のいずれか1つに記載の第2の照明モジュールとを
備えている、自動車用の照明装置であって、
第1および第2の照明モジュール(1、100)は、それらからの光ビームが収束し合うように、互いに近接して配置されている照明装置。
【請求項12】
− 前記第1の照明モジュール(1)は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の照明モジュールであり、前記第1の照明モジュールのビームベンダーのカットオフ端(9)は、前記第1の照明モジュールの第1のリフレクタによって反射される光線(15)に作用して、傾斜したカットオフ部分を有する、ロービームタイプの第1の光ビーム(17)を形成するために、該カットオフ端(9)の中央部分に位置している段差部(12)によって互いにずらされた2つの平坦な部分(11、11’)を有しており、
− 前記第2の照明モジュール(100)は、請求項7〜10のいずれか1つに記載の照明モジュールであり、前記第2の照明モジュールのビームベンダーのカットオフ端(9、109)は、前記第2の照明モジュールの第1のリフレクタ(102)によって反射される光線(115)に作用して、下向きに湾曲した輪郭を有する上端カットオフを呈する第2の光ビーム(117)を形成するために、概ね、前記第2の照明モジュールの光軸(104)の真上に中心を有する、湾曲した輪郭を呈しており、
前記第1および第2の照明モジュール(1、100)は、前記第1の光ビーム(17)のカットオフの傾斜した部分が、前記第2の光ビーム(117)のカットオフの湾曲した輪郭部分の領域に収束するように向き付けられていることを特徴とする、請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記第2の照明モジュール(100)の第2のリフレクタ(103)を用いて、前記第2の光ビーム(117)の上端カットオフの湾曲に相補的な湾曲を有する下端カットオフを呈する第3の光ビーム(116)を発生させるために、前記第2の照明モジュール(100)のビームベンダーは、一定厚のカットオフ端(109)を有していることを特徴とする、請求項12に記載の照明装置。
【請求項14】
前記第1の照明モジュール(1)の第1のリフレクタ(2)は、互いに交差する2つの反射面(2aおよび2b)を有しており、各反射面(2a、2b)は、半平面において、それぞれの光軸(31、30)に沿った第1および第2の焦点を有している楕円からなる回転面であり、これら2つの回転面(2a、2b)の光軸(31、30)は、それらの第2の焦点(13)で交差していることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項15】
自動車のロービーム用の、カットオフを有する光ビームを発生させるための照明ユニット(202)であって、
− 各々が、各々の光軸(31および30)に沿って、第1の焦点(F1およびF2)および第2の焦点(13)を有しており、各々の第1の焦点(F1およびF2)から出る光線を、各々の第2の焦点(13)の方向に向けて反射することができる少なくとも2つの反射面(2a、2b)を備えている第1のリフレクタ(2)であって、この少なくとも2つの反射面(2aおよび2b)の光軸(31および30)は、それらの第2の焦点(13)で互いに交差している第1のリフレクタ(2)と、
− 前記照明ユニットによって発生する光ビームにカットオフを生み出すように構成されているシールド(8)と、
− 前記シールドのカットオフ端(9)上に位置している第1の焦点(FL)を有している光学素子(20)とを具備している照明ユニットにおいて、
前記第1のリフレクタの反射面、前記シールド、および前記光学素子は、カットオフを有する光ビームを発生させるように構成され
前記第1のリフレクタ(2)の2つの反射面(2aおよび2b)の光軸(31および30)は、それらの間で、20〜40度の範囲、好ましくは25〜37度の範囲、より限定的には31度または35度の角度(α)をなし、
前記第2および第1の発光ダイオード(5、6)の各々は、基準軸(5a、6a)を有しており、それらの基準軸は、前記第1のリフレクタの2つの反射面(2b、2a)の光軸(30、31)間でなしている角度(α)と異なる角度(β)を、それらの基準軸間でなしている照明ユニット。
【請求項16】
前記2つの反射面のうちの一方(2a)の第1の焦点(F1)に位置している第1の発光ダイオード(6)、および前記2つの反射面のうちの他方(2b)の第1の焦点(F2)に位置している第2の発光ダイオード(5)を備えている、請求項15に記載の照明ユニット。
【請求項17】
前記第1のリフレクタ(2)、シールド(8)、および光学素子(20)は、請求項15〜16のいずれか1つに記載の照明ユニットである、請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項18】
前記第2のリフレクタは、前記照明モジュールの光軸(4)の下方、より詳細には前記照明モジュールの光軸(4)の11mm下方にある、前記第2のリフレクタ(3)の第1の焦点に位置している発光ダイオード(7)を伴っている、請求項17に記載の照明モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームに、基本的に水平なカットオフを有する、ロービームタイプの第1の照明機能を備えている、自動車用の照明モジュールに関する。より詳細には、本発明は、ハイビームタイプの光ビームを生成するための補完ビームを用いて実現される、ハイビームタイプの第2の照明機能を備えている照明モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
楕円タイプの2つのリフレクタを備える照明モジュールが、特許文献1によって公知である。これらの2つのリフレクタは、半楕円面に適合する形状を呈しており、それらの反射面を互いの方向に向けるように、すなわち対向するように重ね合わされている。この照明モジュールは、上部リフレクタに対して専用の光源、および2つのリフレクタに対して共通の光源を備えている。専用の光源は、ロービームタイプの照明ビームの形成に寄与するように、上部リフレクタの焦点の領域に位置しており、共通の光源は、ハイビームタイプの照明ビームの形成に寄与するように、下部リフレクタの焦点の領域に位置している。カットオフ端を有し、水平に配置されたシールドが、2つのリフレクタの第2の焦点の近傍に設けられている。レンズが、その光軸を、照明モジュールの光軸と一致させながら、シールドの先に配置されている。レンズは、その第1の焦点が、2つのリフレクタの第2の焦点の近傍になるように配置されている。ロービームを形成するために、上部リフレクタに対して専用の光源から放射された光線は、上部リフレクタの内面によって、概ね、2つのリフレクタの第2の焦点の方向に向かって反射される。光線の一部は、シールドのカットオフ端の前方を通過する。これらの光線は、レンズの下半分に達し、次いで、上方に屈折する。シールドは、もしシールドがなかったとすれば、レンズの下半分に達して、レンズを通過した後に放射される光ビームの上部を形成することとなる一部の光線を遮蔽する。したがって、このロービームは、カットオフと呼ばれる上限を有することになる。ハイビームを形成するために、共通の光源から上方に放射された光線は、上部リフレクタによって、レンズの上半分の下部の方向に向かって反射され、下方に放射された光線は、下部リフレクタによって、2つのリフレクタの第2の焦点の方向に向かって反射される。上部リフレクタに対して専用の光源から放射される光線と同様に、後者の光線の一部分は、シールドの前方を通過して、レンズの上半分に達する。残りの部分は、シールド、またはシールドの反射性の部分によって反射され、次いで、レンズの下部によって屈折させられて、光ビームの、下端カットオフを有する上部を形成する。したがって、シールドの位置によって、下部リフレクタからの光ビームのうちの上部部分の、カットオフの位置が決定され、この光ビームが、下部リフレクタからの光ビームのうちの下部部分に加えられる。この重ね合わせによって、ハイビーム機能を遂行する光ビームを得ることができる。この照明モジュールは、ハイビームタイプの光ビームのカットオフの近傍に、照明の強度の弱い領域を有しており、特許文献1の一実施形態に対応している。さらに、光ビームの下部部分は、集中光源ではない光源から生じるので、特殊である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4914747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、2つの光ビームを発生させることができる、コンパクトな照明装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、次のものを備えている、自動車用の照明モジュールを提供する。
− 自身の少なくとも1つの光軸に沿った第1および第2の焦点を有する、凹面の第1のリフレクタであって、この第1の焦点から出て、第1のリフレクタによって反射される光線の大部分が、この第2の焦点の方向に向かって収束していく第1のリフレクタと、
− 自身の少なくとも1つの光軸に沿った第1および第2の焦点を有する、凹面の第2のリフレクタであって、この第1の焦点から出て、第2のリフレクタによって反射される光線の大部分が、この第2の焦点の方向に向かって収束していき、第1のリフレクタおよび第2のリフレクタは、第1のリフレクタの光軸と第2のリフレクタの光軸とが、大まかに同じ方向を向き、かつ第1のリフレクタの反射面が、第2のリフレクタの反射面に向き合うように切断された形状の外周を有している第2のリフレクタと、
− 概ね、第1のリフレクタと第2のリフレクタとの間の平面内に配置されており、第1のリフレクタの反射面に対向している第1の面、および第2のリフレクタの反射面に対向している第2の面を有しており、かつこれらの第1の面と第2の面とを結んでいるカットオフ端を有しているシールドと、
− 照明モジュールの光軸に直交し、かつカットオフ端を通る平面内に位置している第1の焦点を有している光学素子。
カットオフ端は、第1のリフレクタの第2の焦点、および第2のリフレクタの第2の焦点の領域に位置している。第1の照明モジュールの第1のリフレクタは、互いに交差している2つの反射面を有しており、各反射面は、半平面において、それぞれの光軸に沿う第1および第2の焦点を有している楕円からなる回転面であり、これらの2つの回転面の光軸は、それらの第2の焦点で交差していると有利である。
【0006】
このようにして、互いに相補的な2つの光ビームを放射することができる、コンパクトな照明モジュールが得られる。これは、第1のリフレクタから生成される光ビームが、第2のリフレクタから生成される光ビームのカットオフにほぼ相補的な形状を有するカットオフを呈するように、第1のリフレクタの第1の焦点に、第1のリフレクタの方向のみに光線を放射する第1の光源を配置し、第2のリフレクタの第1の焦点に、第2のリフレクタの方向のみに光線を放射する第2の光源を配置することによって実現される。したがって、2つの光源が点灯されている場合には、比較的一様な、カットオフの存在しない完全な光ビームが得られ、2つの光源のうちの一方だけが点灯されている場合には、シャープなカットオフを有する光ビームが得られる。カットオフ端が、対応するリフレクタの第2の焦点の領域に位置しているために、カットオフ端に焦点が合うから、カットオフはシャープである。この第1のリフレクタに、2つの反射面を設けることによって、2つの光源を、照明モジュール内にコンパクトに用いることができる。この場合には、1つの光源が、第1のリフレクタの2つの反射面のうちの一方の第1の焦点に位置しており、別の1つの光源が、第1のリフレクタの他方の反射面の第1の焦点に位置している。したがって、2つの光源を有する第1のリフレクタと、2つの光源に組み合わされた2つの反射面で共用される、レンズなどの光学素子とを用いることによって、第2のリフレクタからの光ビームのカットオフ形状とほぼ相補的なカットオフ形状を有する、第1のリフレクタからの光ビームを得ることができる。したがって、コンパクト性が増す。光源が発光ダイオードである場合に、これは、特に有利なことである。これによって、単一の光源に替えて、より出力の低い2つの光源を採用することができる。
【0007】
第1および第2のリフレクタの光軸は、おおよそ同一方向を向いている。言い換えると、第1のリフレクタの光軸が、自動車の前方を向いているときに、第2のリフレクタの光軸も、自動車の前方を向いている。
【0008】
したがって、例えば自動車に搭載されているときに、第1のリフレクタが上部に位置している場合には、第1の光源のスイッチが入れられていれば、第1のリフレクタは、ロービームタイプの光ビームを発生させることができる、すなわち、ロービームヘッドライトに寄与することができる。ハイビームヘッドライトに切り替えるためには、第2の光源のスイッチが入れられる。そうすると、第2のリフレクタからの光ビームが、ハイビームを形成するように、第1のリフレクタからの光ビームを補完する。
【0009】
本発明は、さらに、次のものを備えている、自動車用の照明モジュールを提供するものである。
− 自身の少なくとも1つの光軸に沿った第1および第2の焦点を有する、凹面の第1のリフレクタであって、この第1の焦点から出て、第1のリフレクタによって反射される光線の大部分が、この第2の焦点の方向に向かって収束していく第1のリフレクタと、
− 自身の少なくとも1つの光軸に沿った第1および第2の焦点を有する、凹面の第2のリフレクタであって、この第1の焦点から出て、第2のリフレクタによって反射される光線の大部分が、この第2の焦点の方向に向かって収束していき、第1のリフレクタおよび第2のリフレクタは、第1のリフレクタの光軸と第2のリフレクタの光軸とが、大まかに同じ方向を向き、かつ第1のリフレクタの反射面が、第2のリフレクタの反射面に向き合うように切断された形状の外周を有している第2のリフレクタと、
− 概ね、第1のリフレクタと第2のリフレクタとの間の平面内に配置されており、第1のリフレクタの反射面に対向している第1の面、および第2のリフレクタの反射面に対向している第2の面を有しており、かつ第1の面と第2の面とを結んでいるカットオフ端を有しているシールドと、
− 照明モジュールの光軸に直交し、かつカットオフ端を通る平面内に位置している第1の焦点を有している光学素子。
カットオフ端は、第1のリフレクタの第2の焦点、および第2のリフレクタの第2の焦点の領域に位置している。シールドは、第2および第1のリフレクタのいずれかから来る光ビームのカットオフに、対応する作用を及ぼすように、少なくともカットオフ端において、照明モジュールの光軸に直交する平面内で湾曲している輪郭を有していると有利である。
【0010】
このようにすると、互いに相補的な2つの光ビームを放射することができる、コンパクトな照明モジュールが得られる。これは、第1のリフレクタから生成される光ビームが、第2のリフレクタから生成される光ビームのカットオフにほぼ相補的な形状を有するカットオフを有するように、第1のリフレクタの第1の焦点に、第1のリフレクタの方向のみに光線を放射する第1の光源を配置し、第2のリフレクタの第1の焦点に、第2のリフレクタの方向のみに光線を放射する第2の光源を配置することによって実現される。したがって、2つの光源が点灯されている場合には、比較的一様な、カットオフの存在しない完全な光ビームが得られ、2つの光源のうちの一方だけが点灯されている場合には、シャープなカットオフを有する光ビームが得られる。カットオフ端が、対応するリフレクタの第2の焦点の領域に位置しているために、カットオフ端に焦点が合うから、カットオフはシャープである。
【0011】
第1および第2のリフレクタの光軸は、大まかに同一方向を向いている。言い換えると、第1のリフレクタの光軸が、自動車の前方を向いているときに、第2のリフレクタの光軸も、自動車の前方を向いている。
【0012】
湾曲している輪郭は、概ね、照明モジュールの光軸の真上に中心を有していることが好ましい。湾曲が上に凸であり、第1のリフレクタが上方に位置している場合には、この照明モジュールは、下向きに湾曲した、すなわち丸まったくぼみを除いて水平な上端カットオフを有する光ビームを生成することができる。これによって、カットオフのわずかのずれによる、光ビームの中心における不均一性を伴うことなく、この光ビームを、異なるカットオフ、例えば傾斜カットオフタイプの、ロービームのカットオフを中心に有する光ビームに重ね合わせることができる。
【0013】
湾曲している輪郭は、ビームベンダーの、互いに反対側の2つの反射面に存在していることが好ましい。
【0014】
湾曲している輪郭は、シールドの中央部分に限定されており、シールドの残余の部分は実質的に平坦であることが好ましい。
【0015】
本発明においては、シールドの第1の面と第2の面とは、カットオフ端でつながっており、第1のリフレクタと第2のリフレクタとの第2の焦点は、共通の第2の焦点に一致しており、カットオフ端は、この共通の第2の焦点の領域に位置していることが好ましい。
【0016】
したがって、このような照明モジュールによって生み出されるカットオフは、シールドの厚さがゼロでないという事実、およびシールドのカットオフ端が丸まっている部分を有しているという事実に起因する損失または不均一性を克服することができるという特徴を有している。したがって、実際、第1のリフレクタからの光ビームのカットオフは、第2のリフレクタからの光ビームのカットオフとほとんど一致する。したがって、例えば一様なハイビームを得ることができる。
【0017】
本発明において、シールドの第1の面と第2の面とのうちの少なくとも一方は、反射性であることが好ましい。このようにすると、光束を、より良好に回収することができる。実際、シールドの反射面に達した光線は、前方に向けて反射され、光ビームの形成に寄与する。したがって、反射面のないシールドの場合と同様のカットオフを有しているが、より光強度の強い光ビームが得られる。反射表面を有するシールドを、以下においては、ビームベンダーとも呼ぶ。
【0018】
本発明においては、シールドは、その複雑な輪郭が、カットオフ端から、照明モジュールの後部に向かって少なくなる複雑面を形成している薄い素子であることが好ましい。
【0019】
本発明においては、複雑面は、ビームベンダーの中央の薄い縁の部分に一致していることが好ましい。
【0020】
カットオフ端は、ビームベンダーの主面に投影したときには、実質的に直線の輪郭を呈していることが好ましい。
【0021】
この場合にも、本発明による照明モジュールは、概ね、第1のリフレクタの第1の焦点に位置している第1の光源、および概ね、第2のリフレクタの第1の焦点に位置している第2の光源を備えており、第1の光源は、第1のリフレクタの方向のみに光線を放射し、第2の光源は、第2のリフレクタの方向のみに光線を放射することが好ましい。第1の光源は、概ね、第1のリフレクタに向かう方向に光線を放射する発光ダイオードすなわちLEDを有しており、第2の光源は、概ね、第2のリフレクタに向かう方向に光線を放射するLEDを有していることが好ましい。LEDは、電流を供給されたときに光を発生させる半導体素子を支持している基板を有している。LEDは、一般に、基板を含む半平面の、半導体素子が位置している側から、ある方向に向けられた光錐を放射する。この光錐の軸は、概ね、LEDの放射方向と一致する。
【0022】
特に有利な一実施形態によれば、第1の光源は、シールドの第1の面上に保持されており、第2の光源は、シールドの第2の面上に保持されている。
【0023】
本発明は、さらに、次のものを備えている、自動車用の照明装置を提供するものである。
− ロービームタイプの第1の照明機能を有する第1の照明モジュールと、
− 本発明による第2の照明モジュール。
第1および第2の照明モジュールは、それらからの光ビームが収束し合うように、互いに近接して配置されている。
【0024】
この照明装置は、ハイビームモードにおいて投影される光ビームの中央部分における誤差を最小にすることができる。さらに、各照明モジュールからの光ビームを重ね合わせることによって、第1の照明モジュールの光ビームの中央の高くなった部分と、第2の照明モジュールの光ビームの、下向きに湾曲した中央部分とが重なり合うため、水平面の調整の精度に関して柔軟性が与えられる。
【0025】
この照明装置の好適な一変形実施形態によれば、次のようになる。
− 第1の照明モジュールは、本発明による照明モジュールであり、第1の照明モジュールのビームベンダーのカットオフ端は、第1の照明モジュールの第1のリフレクタによって反射される光線に作用して、傾斜したカットオフ部分を有する、ロービームタイプの第1の光ビームを形成するために、カットオフ端の中央部分に位置している段差部によって互いにずらされた2つの平坦な部分を有しており、
− 第2の照明モジュールは、本発明による照明モジュールであり、第2の照明モジュールのビームベンダーのカットオフ端は、第2の照明モジュールの第1のリフレクタによって反射される光線に作用して、下向きに湾曲した輪郭を有する上端カットオフを示す第2の光ビームを形成するために、概ね、第2の照明モジュールの光軸の真上に中心を有する、湾曲した輪郭を呈している。
第1および第2の照明モジュールは、第1の光ビームのカットオフの傾斜した部分が、第2の光ビームのカットオフの湾曲した輪郭部分の領域に収束するように向き付けられている。
【0026】
この照明装置の好適な一変形実施形態においては、第1の照明モジュールにおいて、第1の照明機能のための光ビームを、さらなる光ビームが補完したときに、ハイビームタイプの第2の照明機能が実行される。
【0027】
この照明装置の好適な一変形実施形態においては、第2の照明モジュールの第2のリフレクタを用いて、第2の光ビームの上端カットオフの湾曲に相補的な湾曲を有する下端カットオフを呈する第3の光ビームを発生させるために、第2の照明モジュールのビームベンダーは、一定厚のカットオフ端を有している。
【0028】
この照明装置の好適な一変形実施形態によれば、第1の照明モジュールの第1のリフレクタは、いくつかの、好ましくは2つの反射ユニットを備えている。これらの反射ユニットの各々は、その反射ユニットの第1の焦点に位置している光源を有しており、これらの反射ユニットの光軸は、それらの収束焦点で交差している。
【0029】
この照明装置の好適な一変形実施形態によれば、第1の照明モジュールの第1のリフレクタおよび/または第2のリフレクタは、回転楕円面の一部分からなる反射面を有している。
【0030】
この照明装置の好適な一変形実施形態によれば、第1の照明モジュールの第1のリフレクタは、互いに交差する2つの反射面を有しており、各反射面は、半平面において、それぞれの光軸に沿った第1および第2の焦点を有している楕円からなる回転面であり、これらの2つの回転面の光軸は、それらの第2の焦点で交差している。
【0031】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1の照明モジュールは、少なくとも1つの第1の光源を有している、上半平面上の第1のリフレクタと、第2の光源を有しており、第1のリフレクタに対向している、下半平面上の第2のリフレクタと、少なくとも近似的に、2つのリフレクタの連結面に一致する平面内に存在する、第1および第2のリフレクタからの光線が収束する収束焦点と、2つのリフレクタの連結面内に配置されており、概ね、2つのリフレクタの収束焦点の領域に位置するカットオフ端を有しているビームベンダーと、第1のリフレクタの光源を用いて実行される第1の照明機能と、第1および第2のリフレクタの光源を用いて実行される第2の照明機能とを備えている。
【0032】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1のリフレクタは、互いに交差する2つの反射面を有しており、各反射面は、半平面において楕円によって記述される回転面であり、2つの回転面の回転軸は、収束焦点で交差している。
【0033】
本発明は、さらに、放射される光ビームが、基本的に水平であるが、中央部分に段差部分を有するカットオフを呈する、ロービームタイプの第1の照明機能を有している第1の照明モジュールと、第1の照明モジュールと異なる照明モジュールであり、ハイビームタイプの照明機能を実行するために、第1の照明モジュールの、少なくとも中央部分における光ビームに重なるような下端カットオフを有し、第1の照明モジュールからの光ビームを補完する照明機能を実行する第2の照明モジュールとを備えている、自動車用の照明装置を提供するものである。
【0034】
第2の照明モジュールからの光ビームの下端カットオフを、第2の照明モジュールからの光線の収束焦点の近傍に位置している、適切な輪郭を有するシールドによって実現することができる。そのカットオフの輪郭は、基本的には水平であるが、中央部分が、第1の照明モジュールの場合のカットオフの段差部分と重なるように、わずかに下向きに湾曲していると有利である。
【0035】
本発明は、さらに、自動車のロービームヘッドライト用の、カットオフを有する光ビームを発生させるための、次のものを備えている照明ユニットを提供するものである。
− 各々が、各々の光軸に沿って、第1の焦点および第2の焦点を有しており、各々の第1の焦点から出る光線を、各々の第2の焦点の方向に向けて反射することができる少なくとも2つの反射面を備えている第1のリフレクタであって、これらの少なくとも2つの反射面の光軸が、それらの第2の焦点で互いに交差している第1のリフレクタと、
− この照明ユニットによって発生する光ビームにカットオフを生み出すように構成されているシールドと、
− シールドのカットオフ端上に位置している第1の焦点を有している光学素子。
反射面、シールド、および光学素子は、カットオフを有する光ビームを発生させるように配置されている。
【0036】
したがって、この照明ユニットでは、そのモジュールに2つの光源を使用することができるが、それでもコンパクトである。この場合に、1つの光源は、第1のリフレクタの2つの反射面のうちの一方の第1の焦点に位置しており、別の1つの光源は、第1のリフレクタの2つの反射面のうちの他方の第1の焦点に位置している。したがって、2つの光源を有する第1のリフレクタと、2つの光源に組み合わされた2つの反射面で共用される、レンズなどの光学素子とを用いることによって、カットオフを有する光ビームを得ることができる。このことは、光源が発光ダイオードである場合に、特に有利である。これによって、単一の光源に替えて、より出力の低い2つの光源を用いることができる。
【0037】
照明ユニットの光学素子は、集光レンズであることが好ましい。
【0038】
この照明ユニットにおいては、第1のリフレクタの各反射面は、それぞれ1つの部分楕円面上にあり、それらの2つの部分楕円面は、2つの反射面を分離している分離線に沿って交差していることが好ましい。この部分楕円面の形状は、厳密に楕円面の一部分の形状ではなくて、概ね楕円面の一部分の形状であってもよい。2つの反射面が、分離線でぴったりと連結されていることが有利である。
【0039】
この照明ユニットにおいては、2つの反射面の光軸は、それらの間で、20〜40度の範囲、好ましくは25〜37度の範囲の角度、より限定的には31度または35度の角度をなしていることが好ましい。これらの値においては、リフレクタによって合焦される光の量が増大する。
【0040】
この照明ユニットは、2つの反射面のうちの一方の第1の焦点に位置している第1の発光ダイオード、および2つの反射面のうちの他方の第1の焦点に位置している第2の発光ダイオードを備えていることが好ましい。例示的な一実施形態によれば、各発光ダイオードは、基準軸を有している。2つの発光ダイオードの基準軸間の角度は、20〜30度の範囲にあることが好ましい。この範囲の値においては、LEDの位置決めに、より柔軟性が与えられる。これは、この照明ユニットにおいては、それらの発光ダイオードの基準軸が、第1のリフレクタの2つの反射面の光軸間でなしている角度と異なる角度を、それらの基準軸間でなすことができるということを意味しており、有利である。例えば2つのLEDの基準軸間のこの角度は26度であり、第1のリフレクタの2つの反射面の光軸間の角度は31度または35度である場合がある。これらのLEDに対する基準軸は、それぞれ対応するLEDを通り、かつそのLEDの光放射面(矩形の)の長辺の一方と直交する軸に一致している場合がある。
【0041】
発光ダイオードの光放射面は、実質的に、照明ユニットの光軸を通る平面内にあると有利である。これらの光放射面の中心は、レンズの光軸と概ね一致する、照明ユニットの光軸を通る平面内にあることが好ましい。
【0042】
この照明ユニットを、前述の照明モジュールにおいて用いることができる。したがって、本発明の第1の目的である照明モジュールは、第1のリフレクタ、シールド、および光学素子が、前述の照明ユニットである照明モジュールである場合がある。この照明モジュールの第2のリフレクタは、照明モジュールの光軸の下方、具体的には、光軸の11mm下方にある、第2のリフレクタの第1の焦点に位置している発光ダイオードを有していることが有利である。
【0043】
本発明においては、リフレクタとしての所望の形状を備える部分に、反射性材料から成る被覆材を付着させることによって、例えば概ね楕円面形状を有するリフレクタにアルミめっきを施すことによって、反射面に反射特性を与えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】「ディップビームヘッドライト」と呼ばれることもある、カットオフ輪郭を有するロービームタイプの放射ビームを供給するための、カットオフ端を有するビームベンダーを備えた照明モジュールの概略的な斜視図である。
図2図1の照明モジュールを別の角度から見た、概略的な斜視図である。
図3図1および図2の照明モジュールのビームベンダーのカットオフ端の斜視図である。
図4図1および図2、さらに図6および図7の照明モジュールの断面図である。
図5図1および図2の照明モジュールの第1のリフレクタおよび第2のリフレクタのそれぞれからの光ビームのフットプリントの図である。
図6】本発明による別の照明モジュールの概略的な斜視図である。
図7図6の照明モジュールを別の角度から見た、概略的な斜視図である。
図8図6および図7の照明モジュールのビームベンダーの斜視図である。
図9図6および図7の照明モジュールの第1のリフレクタおよび第2のリフレクタのそれぞれからの光ビームのフットプリントの図である。
図10図1および図2の照明モジュールと、図6および図7の照明モジュールとの第1のリフレクタおよび第2のリフレクタからの光ビームを重ね合わせた図である。
図11図1および図2の照明モジュールと、図6および図7の照明モジュールとの第2のリフレクタおよび第1のリフレクタからの光ビーム、およびそれらを重ね合わせた光ビームの明るさを、25mの地点において記録された等照度曲線で示す図である。
図12】本発明による照明ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
非限定的な例として示す、本発明の各実施形態の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴および利点が明らかになると思う。
【0046】
本発明の各実施形態が添付図面に示されており、以下、照明装置を、ヘッドランプとして自動車に搭載されている位置と関連付けて説明する。この場合、広く知られていることであるが、例えば「水平」、「垂直」、「上部」、「下部」、「上」、「下」などの、各要素の位置を説明する目的で用いられている用語は、自動車における絶対的な位置を表わすためのものではないだけではなく、各要素の位置を、図面の配置に関連付けて相対的に説明するためのものである。本明細書において説明する照明装置は、他の位置に、および/または他の応用のために搭載することができる。さらに、理解を容易にするために、光源、リフレクタ、およびレンズなどの各光学素子の位置は、それらの光軸が互いに一致するように、および/または相互の焦点に一致するように示されているが、わずかの変化が許される場合、さらには、視認できるほどの変化が望ましい場合に限り、特に、光学素子の不完全な特性およびある種の光学収差を補正する場合、またはある種の付加的効果を得る場合には、このような各光学素子の配置を、厳密に解釈すべきではない。本明細書のいくつかの図に示されているビームベンダーは、表示を明瞭にするために、故意に拡大されている。
【0047】
図1は、自動車のヘッドランプの照明モジュールの概略的な斜視図である。照明モジュール1は、二重の凹面の反射面を有する、上部の半平面状の第1のリフレクタ2を備えている。各反射面2a、2bは、対称軸のまわりの、楕円の一部分の回転面である。これら2つの反射面は、照明モジュール1の垂直中央面において交差し、したがって、二重のふくらみ形状を有する第1のリフレクタを形成している。第1のリフレクタ2の反射面2b、2aから反射された光ビームが収束するように、これらの反射面2b、2aの回転軸すなわち対称軸(光軸とも呼ばれる)30、31は、互いに交差している。発光ダイオードすなわちLEDタイプの光源5、6が、概ね、第1のリフレクタ2を形成している各反射面2b、2aの第1の焦点に配置されている。これらの反射面が、回転対称性を有していれば、各反射面の第1の焦点は、それぞれの回転軸上にある。各反射面の第2の焦点も、それぞれの回転軸上にある。反射面2aおよび2bは、それらの第2の焦点13が、それらの2つ回転軸の交点に一致するように向けられている。
【0048】
照明モジュール1は、さらに、第1のリフレクタの二重の反射面の各々と同様に、楕円の一部分を、回転軸すなわち対称軸32のまわりに回転させることによって描かれる凹面から成る反射面を有する、下部の半平面上の第2のリフレクタ3を備えている。光源7(この場合もLEDタイプの)が、第2のリフレクタの第1の焦点に配置されている。第2のリフレクタは、その第2の焦点が第1のリフレクタの第2の焦点と一致するように、第1のリフレクタに相対的に寸法を定められており、かつ配置されている。
【0049】
照明モジュール1の主光軸4は、第1のリフレクタ2の反射面2b、2aのそれぞれの対称軸30、31を含む平面内を通っている。
【0050】
自動車外の照明ビームの光分布を最適にするために、リフレクタの内側の反射面が完全には楕円面でなく、1つ以上の特殊な輪郭または複雑な輪郭を有している場合があることに注意されたい。これは、第1のリフレクタ2の反射面2aおよび2b、または第2のリフレクタ3の反射面が回転対称性を、完全には有していない場合があるということを意味している。
【0051】
第1のリフレクタ2と第2のリフレクタ3とを連結し、さらに、光源5、6、および7を支持するために、実質的に平坦な連結部が、第1のリフレクタ2と第2のリフレクタ3との間に設けられている。これらの光源は対応する半平面の内部に、すなわち光源5および6は上半平面の内部に、光源7は下半平面の内部に、光を放射するように設計されている。
【0052】
このタイプの光源は、点光源とほぼ等価であると考えることができるほどに、極めてコンパクトであるという有利な特徴を有している。しかしながら、他のタイプの公知の光源を用いることも可能である。
【0053】
点光源と概ね等価である3つの光源から出射した光線は、第1のリフレクタ2および第2のリフレクタ3の反射面によって反射され、それらの光線の全てが、第1のリフレクタ2と第2のリフレクタ3とで共通の第2の焦点13の方向に向かって収束していく。実際には、光源は点光源ではなく、また反射面の形状は、必ずしも完全に回転楕円面であるとは限らない。そのため、反射された光線は、その全てが第2の焦点13に収束するわけではなく、第2の焦点13を含む、第2の焦点13の近傍の領域に収束する。
【0054】
一般に「ビームベンダー」8と呼ばれる(シールドと呼ばれることもある)反射光学素子が、主光軸4上に配置されており、「カットオフ端」9と呼ばれるその前端は、第2の焦点13の近傍に位置している。この薄くて、かつ基本的には平坦なビームベンダー8は、上側反射面および下側反射面を有している。したがって、第1のリフレクタ2および第2のリフレクタ3から反射されて、第2の焦点13の方向に向かって収束していった光線のうちで、ビームベンダー8の表面に達した光線は、そこで反射される。
【0055】
この照明装置の光路上に、レンズから成る光学素子20が設けられている。平凸タイプのこのレンズは、第1のリフレクタ2および第2のリフレクタ3の第2の焦点13に一致する焦点、および照明モジュール1の主光軸4に一致する光軸を有している。したがって、第2の焦点13から来た光線は、光学素子20から、主光軸4に実質的に平行に送り出される。例えば両凸レンズまたは集光用の凹凸タイプのレンズなどの、他のタイプの集光レンズを用いることも可能である。放物面ミラータイプのリフレクタを用いることもできる。この場合には、その光軸は、主光軸4と実質的に直交しているか、または少なくとも交差しており、その焦点は、第2の焦点13と概ね一致している。したがって、このようなリフレクタは、その光軸に実質的に平行な方向に、言い換えると、主光軸4に直交する方向に、または主光軸4と交差している軸に沿って、光線を反射する。
【0056】
図2は、別の角度から見た、図1の照明モジュールの概略的な斜視図である。図2は、第1のリフレクタ2が、第2のリフレクタ3に対して傾いていることを示している。前述のように、第1のリフレクタの反射面2aおよび2bの両回転軸は、照明モジュール1の主光軸4とともに、同一平面内にある。これに対し、第2のリフレクタ3の回転軸は、照明モジュール1の主光軸4と、角度αをなしている。この角度αは極めて小さく、通常は数度であり、主として、ビームベンダー(理想的には無限に薄い)が実際にはある厚さを有しているという事実に基づいている。ビームベンダーは、実際には、長手方向に、断面が三角形の垂直中央面を有している。
【0057】
図3には、ビームベンダー8が、そのカットオフ端の拡大斜視図として、詳細に示されている。ビームベンダー8は有限の厚さを有しており、その厚さは、カットオフ端9から後端に向かって増している。カットオフ端9の概ね中央部分、言い換えると、主光軸4の領域に位置する部分に、段差部12が存在している。この段差部12の両側の上面および下面は、実質的に平坦である。したがって、段差部12は、カットオフ端の輪郭の不連続部を構成している。第1のリフレクタおよび第2のリフレクタから光学素子20の方を見たときに右側の、言い換えると、図3においては左側のカットオフ端11は、反対側のカットオフ端11’より若干高くなっている。したがって、ビームベンダーによるカットオフによって、リフレクタの右側部分からの光線、言い換えると、その後、光学素子20から投影される光ビームのうちの左側部分を形成する光線は、より多く遮蔽される。したがって、光ビームのこの左側部分は、右側部分より、より下部までのカットオフを示す。すなわち、段差部12は、傾斜部分を生み出す。これによって、図5に示されているように、ロービームタイプのカットオフを得ることができる。
【0058】
図4は、図1および図2の照明モジュールの、中央面に沿った断面図である。図4の目的は、ビームベンダーの効果、およびビームベンダーが行う、光ビームに対するカットオフの効果を示すことである。上部の光源5、6のうちの1つが、対応する反射面の輪郭とともに示されている。したがって、この部分は、第1のリフレクタ2を形成している2つの反射面2a、2bのうちの1つの、その垂直中央面における断面図である。下部の光源7も、対応する第2のリフレクタ3の反射面の輪郭とともに示されている。くさび形の断面を有するビームベンダー8も示されている。
【0059】
上部の光源5または6によって、第1のリフレクタ2の第1の焦点から放射された光線15は、第1のリフレクタ2の反射面2bまたは2aから、第2の焦点13の方向に向かって反射される。光源5または6が点光源でないために、光源5または6は、光軸から若干はずれた光線(破線で示されている)も放射する。これらの光線は、反射面からの反射の後に、第2の焦点13に正確には収束しない。したがって、いくらかの光線だけが第2の焦点13を通過し、光学素子20によって屈折させられて、主光軸4と平行になる。これらの光線は、照明モジュール1から放射される下部ビーム(図5に、そのフットプリント17が示されている)の上端カットオフを形成する。他の光線の一部は、カットオフ端9の前方を通過し、光学素子20の下半分に向かって進む。これらの光線は、第2の焦点13の上方を通過するから、光学素子20は、これらの光線を下方に屈折させる。したがって、これらの光線は、カットオフより下側に位置する、下部ビームの下側部分を形成する。残りの光線は、ビームベンダーの上側反射面に達して、光学素子20の上半分に向かって反射される。したがって、これらの光線も、第2の焦点13の上方を通過するから、光学素子20は、これらの光線も、下方に屈折させる。したがって、これらの光線は、カットオフより下側に位置する、下部ビームの下側部分を補完する。したがって、下部ビームのカットオフすなわち上端を決定するものは、ビームベンダーのカットオフ端9の位置である。
【0060】
第1のリフレクタ2と組み合わされた上部の光源5および6は、ロービームタイプの照明機能、言い換えると、投影される光ビームに上端カットオフを有する照明機能を発揮させる。この下部ビームの単純化されたフットプリント17が、図5に示されている(このフットプリントは、通常、25メートルの位置における光ビームの投影である)。軸H−Hは水平軸であり、軸V−Vは垂直軸である。このフットプリントは、概ね水平であるが、ビームベンダー8のカットオフ端11の段差部12によって生み出される段差、すなわち高低差を有するカットオフを備えている。このカットオフの輪郭は、対向車両の運転者の眩惑を制限するための法的必要条件である。
【0061】
下部の光源7および第2のリフレクタ3は、第1のリフレクタ2および上部の光源5、6の組み合わせに対して逆に働く。例えば下部の光源7によって、第2のリフレクタ3の第1の焦点から放射された光線14は、第2のリフレクタ3の反射面によって、第2の焦点13の方向に向かって反射される。いくらかの光線が第2の焦点13を通過し、光学素子20によって屈折させられて、主光軸4と平行になる。これらの光線は、照明モジュール1から放射される上部ビーム(図5に、そのフットプリント16が示されている)の下端カットオフを形成する。他の光線の一部は、カットオフ端9の前方を通過し、光学素子20の上半分に達する。残りの光線は、ビームベンダー8の下側反射面に達して、光学素子20の下半分に向かって反射される。したがって、これらの光線は、第2の焦点13の下方を通過し、光学素子20は、これらの光線を上方に屈折させる。これらの光線は、下端カットオフより上側に位置する、上部ビームの部分を形成する。
【0062】
下部の光源7は、上部の光源5および6と組み合わされて、ハイビームタイプの照明機能を果たす。カットオフ端9の厚さは一定である。したがって、上部ビームのフットプリント16と、下部ビームのフットプリント17とは相補的である。光源5、6および7が点灯されているときには、ハイビームタイプの光ビームが得られる。カットオフ端におけるビームベンダーの厚さがゼロでないために、2つのカットオフの輪郭間の境界域に、低照明領域が生じる。この低照明領域は、暗領域ではなく、低光強度領域である。
【0063】
図1および図2の照明モジュールに類似する別の照明モジュール100が、図6および図7に示されている。照明モジュール100は、照明モジュール1に非常に類似しているが、上部の光源として、ただ1つの光源105しか有していないという点、ビームベンダー108が複雑面を有しているという点、および第1のリフレクタ102が、照明モジュール100の主光軸104と一致する回転軸を有する、ただ1つの反射面しか備えていないという点で本質的に異なっている。第1のリフレクタに組み合わされている光源が1つしか存在しないということは、この照明モジュールによる照明が、図1および図2の照明モジュール1による照明より弱いということを意味している。この照明モジュールは、補助的な照明成分を確保するために、照明モジュール1と組み合わせて用いるように設計されている。下部の光源107は、第2のリフレクタ103と組み合わされている。
【0064】
図8は、ビームベンダー108を、より詳細に示している。ビームベンダー108は、カットオフ端の領域で、わずかに上に凸に湾曲している。ビームベンダー108は、上面および下面の両方で、複雑面を有している。レンズから成る光学素子120から正面を見ると、ビームベンダーは、カットオフ端において、概ね光軸上に中心を有して対称である、上に凸に湾曲した輪郭を呈している。カットオフ端は、第1のリフレクタ102および第2のリフレクタ103の第2の焦点113の領域に位置している。この輪郭の湾曲は、カットオフ端109からビームベンダーの後端に向かうにつれて、次第に小さくなる。したがって、ビームベンダーの後部は、実質的に平坦である。湾曲帯の幅は、ビームベンダーの全幅の1/3倍未満、好ましくは4/1倍未満である。しかしながら、上方から見ると、カットオフ端109は、概ね直線の輪郭を呈している。
【0065】
図4は、図6および図7の照明モジュールにも適用することができる。この場合には、図4は、照明モジュール100の長手方向垂直中央面に沿った断面図であり、2つの光源105および107からの光線115、114に対するビームベンダーの働きを示している。
【0066】
2つの光源105および107から放出され、照明モジュール100から投影される光ビームのフットプリントが、図9に、単純化して示されている。軸H−Hは水平軸であり、軸V−Vは垂直軸である。
【0067】
下部ビームのフットプリント117は、第1のリフレクタ102に組み合わされた上部の光源105からの光ビームのフットプリントである。水平線よりわずか下方に、基本的に水平なカットオフが見られる。光ビームの中央部分に、下に凸に湾曲した部分も見られる。この湾曲部分は、カットオフ端109における、ビームベンダー108の複雑な形状に対応している。カットオフ端におけるビームベンダー108の上側反射面は、上側反射面の残りの部分より高い部分を有し、したがって、湾曲した輪郭に一致する、より低いカットオフ部分を生み出す。照明モジュール100の光軸の真上に位置する、カットオフ端の中心点は最も高く、したがって、カットオフの最下端は、フットプリント117のカットオフ端と垂直軸V−Vとの交点に一致する。
【0068】
フットプリント116は、第2のリフレクタ103に組み合わされた下部の光源107からの光ビームのフットプリントである。下方に凸に湾曲した部分が、上部ビームのフットプリント116のカットオフの中央部分にも見られる。この湾曲部分は、一定厚のカットオフ端109における、ビームベンダー108の複雑な形状に対応している。照明モジュール100の光軸の真上に位置する、カットオフ端の中心点は最も高く、したがって、カットオフの最下端は、フットプリント116のカットオフ端と垂直軸V−Vとの交点に一致する。したがって、第2のリフレクタ103と下部の光源107とを組み合わせることにより、照明モジュール1の第2のリフレクタ3と光源7との場合と同じ原理にしたがって、下端カットオフを有する上部ビームのフットプリント116が生じる。
【0069】
図10は、投影された光ビームの中央部分における、2つの照明モジュール1および100の各光ビームを重ね合わせて示している。中央部分は、自動車の運転者の視界の質にとって最も重要な部分である。第1の照明モジュール1のビームベンダーによる、照明モジュール1からの各光ビームのカットオフが、実線で示されている。第2の照明モジュール100の複雑面を有するビームベンダーによる、照明モジュール100からのロービームタイプ、および相補的なハイビームタイプの各光ビームのカットオフが、破線で示されている。本発明の説明を明解にするために、これらのカットオフは、きわめて概略的に示されていることに注意されたい。さらに、照明モジュールの下部フットプリントと、上部フットプリントとのそれぞれのカットオフ間に含まれる領域は、照明に全く関与しないわけではない。しかしながら、この領域は、少なくとも、照明の不規則性または不均一性を示す。そのため、中央部分に特別の問題を引き起こす。フットプリント117で示されている、照明モジュール100の、より低出力の下部ビーム(段差部12を有するビームベンダーを備える照明モジュール1においては、2つの光源が用いられることとは対照的に、複雑なビームベンダーを備えた照明モジュール100においては、単一の光源しか用いられていない)の存在によって、フットプリント17で示されている、照明モジュール1の下部ビームが補強されるとともに、法律によって要求される階段状のカットオフが遵守される。フットプリント17と117とを重ね合わせることによって、図1および図2による照明モジュールと、図6および図7による照明モジュールとを備えた照明装置のロービーム機能が構成される。ハイビームタイプの照明機能は、フットプリント17、117、16および116を重ね合わせることによって完成される。フットプリント16と同等の出力を有し得るフットプリント116は、ハイビームタイプの照明機能を完成させるとともに、不均一性の領域である中央部分をカバーするために用いられることが、図10に示されている。その結果、光ビームの均一性の観点から、特に中央部分において改良されたハイビーム機能が実現される。さらに、複雑面を有するビームベンダーによって生じる、カットオフの湾曲形状は、運転者の視界の質にとって重要な中央部分をカバーすることができるほどに十分に広く選ばれる。この湾曲部分が、第1の照明モジュールの光ビームの中央の段差部分を十分にカバーするという事実は、光ビームの収束に関する、2つの照明モジュール同士の調整に柔軟性をもたらす。
【0070】
光ビームに、他の出力レベルを用いることもできることに注意されたい。上述のように、段差部を有するビームベンダーに対して、3つの光源を備える照明モジュールを選択すること、および複雑面を有するビームベンダーに対して、2つの光源を備える照明モジュールを選択することは、一例であるにすぎない。例えば、段差部を有するビームベンダーを用いた照明モジュールが、2つの光源を備えていることもある。段差部を有するビームベンダーを用いた1つの照明モジュールと、複雑なビームベンダーを用いた2つの照明モジュールとを組み合わせることも可能である。
【0071】
図11は、25mの地点において投影された各光ビームの明るさを、等照度曲線で示している。光ビーム(b)は、第1の照明モジュール1の第1のリフレクタ2からのロービームタイプの光ビームに対応している。これは、図5のフットプリント17に対応している。光ビーム(a)は、第1の照明モジュール1の第2のリフレクタ3からの相補的な光ビームに対応している。これは、図5のフットプリント16に対応している。光ビーム(c)は、これらの2つの光ビームの重ね合わせである。
【0072】
光ビーム(e)は、第2の照明モジュール100の第1のリフレクタ102からの下部ビームに対応している。これは、図9のフットプリント117に対応している。光ビーム(d)は、第2の照明モジュール100の第2のリフレクタ103からの上部ビームに対応している。これは、図9のフットプリント116に対応している。光ビーム(f)は、これらの2つの光ビーム(e)と(d)との重ね合わせである。光ビーム(g)は、2つの照明モジュール1および100からの、組み合わされた光ビーム(c)と(f)との重ね合わせである。この光ビーム(g)は、ハイビームに対応している。照明の不規則性が、2つの照明モジュールからの光ビームの結合によって補正されることが示されている。光ビーム(d)の下端カットオフの下方への湾曲部分、言い換えると、第2の照明モジュール100の第2のリフレクタ103からの上部ビームの湾曲部分によって、ハイビームモードにおいて、中央領域の照明を補強することができる。
【0073】
ロービーム、すなわち「ディップ」ヘッドライトを得るためには、上部の光源105、5および6だけが点灯されることに注意されたい。この場合には、光ビーム(b)と(e)とが重ね合わされる。第2の照明モジュールの第1のリフレクタ102からの光ビーム(e)が、下向きに湾曲したカットオフを有しているために、ロービームタイプの光ビームの中央部分における、カットオフの位置合わせに問題はない。
【0074】
図12は、自動車のロービームヘッドランプ用の、カットオフを有する光ビームを発生させるための、次のものを備えている照明ユニット202を示している。
− 少なくとも2つの反射面2a、2bを備えた第1のリフレクタ2。反射面2a、2bは、それぞれに、光軸31に沿った第1の焦点F1および第2の焦点13、光軸30に沿った第1の焦点F2および第2の焦点13を有しており、第1の焦点F1、F2から出た光線を第2の焦点13の方向に向かって反射することができ、2つの反射面2a、2bの光軸31、30は、それらの第2の焦点13において、互いに交差している。
− この照明ユニットによって発生する光ビームにカットオフを生み出すように構成されているシールド8。
− 第1の焦点FLがシールドのカットオフ端9上に位置している光学素子20。
第1のリフレクタの反射面2aおよび2b、シールド8、および光学素子20は、カットオフを有する光ビームを発生させるように配置されている。
【0075】
照明ユニット202の光学素子20は、第1の焦点FLがシールドのカットオフ端9上に位置している集光レンズである。
【0076】
第1のリフレクタ2の2つの反射面2a、2bの光軸31、30の間の角度は、20〜40度の範囲、好ましくは25〜37度の範囲、より限定的には31度または35度の角度αである。
【0077】
第1のリフレクタ2の各反射面2aおよび2bは、それぞれ1つの部分楕円面上にあり、それらの2つの部分楕円面は、2つの反射面を分離している分離線2cに沿って交差している。この部分楕円面の形状は、厳密に楕円面の一部分の形状ではなくて、概ね楕円面の一部分の形状であってもよい。2つの反射面2aと2bとが、分離線2cでぴったりと連結されていると有利である。
【0078】
発光ダイオードである光源6および5(以下、発光ダイオード6および5と呼ぶ)が、それぞれ反射面2aおよび2bの第1の焦点に配置されている。各発光ダイオード5、6は、それぞれ基準軸5a、6aを有している。発光ダイオードのこれらの基準軸は、第1のリフレクタ2の反射面2a、2bの光軸31、30が、それらの間でなしている角度αと異なる角度βを、それらの間でなしている。この例においては、これらの発光ダイオード5、6に対する基準軸5a、6aは、それぞれ対応する発光ダイオードを通り、かつその発光ダイオードの光放射面(矩形の)の長辺5b、6bの一方に直交する軸と一致している。
【0079】
この照明ユニットを、前述の照明モジュールに用いることができる。したがって、図1〜4に示されている、本発明の第1の目的である照明モジュール1は、第1のリフレクタ2、シールド8、および光学素子20が、この照明ユニット202である照明モジュールであってもよい。この場合の照明モジュール1の第2のリフレクタ3は、照明モジュール1の主光軸4の下方、具体的には、主光軸4の11mm下方にある、第2のリフレクタ3の第1の焦点に位置している、発光ダイオードから成る光源7を伴っていると有利である。
【符号の説明】
【0080】
1 照明モジュール
2 第1のリフレクタ
2a、2b 反射面
2c 分離線
3 第2のリフレクタ
4 主光軸
5〜7 光源
5a、6a 基準軸
5b、6b 長辺
8 ビームベンダー
9、11、11’ カットオフ端
12 段差部
13 第2の焦点
14、15 光線
16、17 フットプリント
20 光学素子
30〜32 対称軸
100 照明モジュール
102 第1のリフレクタ
103 第2のリフレクタ
104 主光軸
105、107 光源
108 ビームベンダー
109 カットオフ端
113 第2の焦点
114、115 光線
116、117 フットプリント
120 光学素子
202 照明ユニット
F1、F2、FL 第1の焦点
α、β 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12