(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板が超合金、ニッケルベース超合金、コバルトベース超合金、チタンおよびこの合金、アルミナイドおよび/またはシリサイドをベースとする金属間化合物、金属マトリックス複合体、セラミックマトリックス複合体、ならびに有機マトリックス複合体を含む群の部品形成材料で形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の部品。
500℃を超える温度を示す高温作業環境で動作する熱機械部品としての、請求項6および7、9および10のいずれか一項に記載の部品の使用であり、前記コーティングが基板の熱障壁として作用し、該コーティング層が12W.m−1.K−1未満の熱伝導率を示す、使用。
酸化性および100℃を超える温度を示す高温の作業環境で動作する熱機械部品としての、請求項8から10のいずれか一項に記載の部品の使用であり、前記コーティング層が有害種を捕捉する効果を示す、使用。
【背景技術】
【0002】
このようなセラミックコーティング層が特に熱障壁として使用されるのは、この断熱特性(非常に低い熱伝導率)のために、100℃を超え得る温度勾配により基礎をなす基板の動作温度を低下させることが可能であるからである。
【0003】
さらに金属層は、単独でまたは基板とセラミックコーティング層との間の下層としてのどちらかで、高温のときの、特に金属層が、特に2原子酸素が低い分圧にておよび/または大気圧中で、1000℃を超える温度にて存在する条件下で保護を提供するα−Al
2O
3アルミナの層を生じさせるアルミニウムを含むときの、酸化による腐食に対する耐性特性のために使用される。特にアルミナイド層およびMCrAlY型(式中、Mは、ニッケル、コバルト、鉄、またはこれらの金属の混合物から選択される金属である。)合金の層が挙げられ得る。このような酸化は特に天然の方式で、空気中で高温にて起こる。
【0004】
現在、このようなセラミック層または金属層を製造するための複数の方法が公知である。
【0005】
化学気相成膜(CVD)による成膜方法は、ガス状前駆物質から薄膜を成膜する方法である。CVDは、比較的安価であるという利点と、分布を均一にできるという利点と、コーティング層の厚さを制御できるという利点も示す。対照的に、この製造方法は汚染種(前駆物質/活性化物質)を利用し、このような廃棄物の続いての処理を必要とする。加えて、航空機などの分野における熱機械部品への用途のためには、作業温度は比較的高く、コーティング層を製造するために必要な時間は3時間を下回らない数時間である。
【0006】
この技法によって基板上に成膜されたコーティング層は、従来はアルミナイドの層である。このコーティング層を備えた基板の寿命および性能を改善するために、特に、白金中のアルミナイド層をめっきすることによって保護酸化物層の付着を改善する提案が行われてきた。これにもかかわらず、白金は非常に高価な原材料であり、白金めっきはアルミニウム処理の前に幾つかの追加操作を生じさせ、これにより生産コストがさらに上昇する。
【0007】
熱スプレー技法は、微粒子(5マイクロメートル(μm)から100μmのサイズを通例有する。)を加速して、微粒子を基板に輸送する役割を果たすベクトルガスを送出することに存し、粒子は液体状態、ペースト状態、または固体状態でさえあり得る。ベクトルガスは、エンタルピー源でもあり得、粒子を融点まで(特にプラズマスプレーによって)加熱する役割を果たす。概して、スプレー技法は方向性であり、即ちスプレー技法は線形軸に沿ってジェットを送出するので、複雑である幾何形状を有する基板のすべての部分にスプレー層をスプレーする、および/または均一化することを目的として実施される、自動システムまたは費用のかかる後処理を必要とする。加えてスプレー技法は、汚染性である工程、特に真空噴霧を使用して製造される粉末を利用する。
【0008】
この技法によって基板上に成膜されたコーティング層は、従来、MCrAlYの層、例えばFeCrAlY、CoCrAlY、またはNiCOCrAlYである。これらの層が成膜されるためには、基板と熱的および化学的に適合性である必要がある。
【0009】
別の公知の技法は、イオンを注入することによって金属形の反応性元素を合金またはコーティングの表面に添加することに存する。この比較的高価な技法は粒子加速器および真空容器の使用を必要とし、このため注入できる部品/基板のサイズに制限が設けられ、表面にてわずか約0.05μmから0.5μmまでの深さでドーピングが引き起こされる。部品/基板の形状はまた単純で、本質的に平面でなければならない。
【0010】
ブラシによって塗布され得る塗料を形成する水性もしくは有機懸濁液(スラリまたはゾル−ゲル)を塗布することによって、または塗料に部品を浸漬することによって前記層を形成することも可能であり、塗料は続いて気化される。これにもかかわらず、このような状況下で結合剤、特に有機結合剤が使用され、これらは有害なことがある揮発性元素を放出する。加えてコーティング層の十分な厚さを得るためには、懸濁液を連続して複数回塗布することが必要であり、これにより中間の乾燥段階を考えると、工程の実施は比較的長時間となる。さらに、このような懸濁液を均一な方式で形状が複雑な部品に塗布することは困難である。
【0011】
大半の提案された保護コーティングは高価で比較的汚染性であり、これらは使用温度の上昇と共に制限される寿命を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
部品を形成する基板の表面の、少なくとも一部を被覆するセラミックコーティング層を製造する方法の、好ましい一例によって与えられる可能性において、コーティング層は少なくとも陰極と陽極との間でのカソード電着(CELD)工程によってのみ基板に成膜される。基板が、電子を伝導する材料からなり、陰極を構成することが理解されるべきである。本発明のセラミックコーティング層の組成物を得るために、電解質は電着工程が酸化セリウムに基づくコーティング層を形成するように、少なくとも1つのセリウム塩を含む。
【0036】
この方法は、部品の材料を構成する基板の上に直接、またはさもなければ、部品を被覆して、次に被覆される基板を構成する下層の上にコーティング層を形成する役割を果たす。
【0037】
例えばコーティング層の成膜を望まない区域でマスクを使用することによって、またはさもなければ電着を局所的に行うことによって、基板の表面の一部を被覆することも可能である。
【0038】
1つの考えられる構成において、前記電解質は、少なくとも2つの塩を含み、この少なくとも2つの塩は、電着工程によってコーティング層が酸化セリウムならびに、ランタニドの、イットリウムの、ジルコニウムのおよびハフニウムの酸化物からなる群から選択される、少なくとも1つの他の酸化物のベースを含むように、セリウム塩ならびに、ランタニドの、イットリウムの、ジルコニウムのおよびハフニウムの塩からなる群から選択される、少なくとも1つの他の塩を含む。
【0039】
このように、希土類の混合物の(例えばセリウムおよびランタンの、または実際にセリウムおよびランタンおよびガドリニウムなどの)オキシ水酸化物が単一段階で同時成膜される。
【0040】
本発明のコーティング層を製造するこのような方法は、気相成膜技法または熱スプレー技法と比較して、特に環境保護的および経済的(実施時間が短く、真空装置の使用を避けて大気圧下で行われる。)である。このように、以前にコーティングされていない部品をコーティングすることが可能である。
【0041】
さらに本製造方法の実施は、孔を有する部品と適合性である。電流線の形態は、孔の内部、特に小型の冷却孔の内部で著しい成膜が生じるのを防止し、このため孔は閉塞されない。
【0042】
また、このような方法により、危険な化学薬品の使用が回避され、毒性廃棄物の産生が回避されることが認識されるべきである。
【0043】
使用され得る電着設備20は、中に被覆のための基盤形成部品が浸漬されて、陰極26(作用電極)として作用する電解質24で充填された単一の容器22を含む。陽極28(または対電極)も電解質24に浸漬される。陽極28は、例えば白金グリッドの形の、電解質浴(電解質)に対して化学的に不活性である材料によって構成され、陽極は基板(陰極26)にて均一である電流線を生成するような方式で位置決めされる。
【0044】
好都合には、電着工程は、電解質24の抵抗の効果を最小限にするために、および電着中のより良好な制御を提供するために、陰極26付近に配置された参照電極30も使用する。この参照電極30は好ましくは飽和カロメル電極(SCE)によって構成され、カロメルは塩化第一水銀Hg
2Cl
2である。
【0045】
この三電極電着設備20によって、電流密度および電圧が
インサイチューで正確に追跡できるようになり、同時にコーティング層が作製される。
【0046】
3個の電極(陰極26、陽極28および参照電極30)は、制御およびデータ取得システム34に連結された電流源32に接続されている。
【0047】
第1の別法において、電流源32が陽極28と陰極26との間に電位(または電圧)を与える定電位モードが使用される。このような状況下では、電流源32はポテンシオスタットであり、電着工程は陰極26と陽極28との間に電圧を印加することによって行われる。陰極26と陽極28との間に印加された電圧は好ましくは−30ボルト(V)から+30Vの範囲にあり、さらに好ましくは−2.5Vから+2.5Vの範囲にある。
【0048】
好ましい第2の別法において、電流源32が陽極28と陰極26との間に電流密度を与える定電流モードが使用される。このような状況下では、電流源32はガルバノスタットであり、電着工程は陰極26と陽極28との間に電流密度を印加することによって行われる。陰極26と陽極28との間に印加された電流密度は好ましくは、−0.5ミリアンペア/平方センチメートル(mA/cm
2)から−5mA/cm
2の範囲にあり、さらに好ましくは−0.5mA/cm
2から−2mA/cm
2の範囲にある。
【0049】
電解質は、電解質24に溶解された塩の形で陰極上に成膜される1つ以上の種を含有する。電流密度または電位の印加は、種であって、これが用いられてセラミックコーティング層が、電解質の量と、陰極26(基板)の表面との間の界面(拡散層)に形成される種を減少させる役割を果たす。
【0050】
成膜の厚さにわたって均一であるまたは勾配を示す(組成、微細構造、結晶学的特徴などに関する)特徴を得ることが可能である。
【0051】
塩は、1つ以上のアニオンおよび/またはカチオン種、特に硝酸塩、硫酸塩、塩化物、または酢酸塩を含み、好ましくは硝酸塩である。このように、電解質は好ましくは、硝酸塩、特に硝酸セリウムを0.05モル/リットル(mol/L)以上の濃度で含む。硝酸塩を0.1mol/L以上の濃度で提供することが可能である。
【0052】
電着コーティング層の1つ以上のカチオン種は、大部分のセリウム、即ちセリウムをベースとする本質的なまたは唯一の種、または場合により、ランタニド系列の種によって、イットリウムによって、ジルコニウムによっておよびハフニウムによって構成される群に属する1つ以上の他の種を含む、いずれの組合せも含む。ランタンまたはガドリニウムの使用も好都合である。
【0053】
電解質24は、溶媒に溶解された塩の量に依存する組成および濃度を示す。特に電解質24は、25ミリジーメンス平方メートル/mol(mS.m
2/mol)から1000mS.m
2/molの範囲に、好ましくは150mS.m
2/molから500mS.m
2/molの範囲にある、高いイオン導電率を示す。
【0054】
電解質24は、セリウムの塩、ならびに場合により、ランタニドおよび/またはイットリウムおよび/またはジルコニウムおよび/またはハフニウムから選択される1つ以上の他の塩を本質的に含有する1つ以上の塩の比較的高濃度の溶液である。このように、電解質24の総濃度が0.05mol/Lから5mol/Lの範囲にあるための対応がなされている。
【0055】
好ましくはセリウム塩は(単独でまたはランタニド、イットリウム、ジルコニウムおよびハウニウムの塩の存在下で)初期において、電解質中で0.05mol/Lから5mol/Lの範囲の、さらに好ましくは0.1mol/Lから0.3mol/Lの範囲の濃度である。
【0056】
電解質24の溶媒は水性ベースのもしくはアルコール(エタノール)の溶液であり、または実際にケトン、エステル、もしくはアルデヒド、または実際にこれらのうち2つの混合物をベースとする。電解質を水性ベース溶媒と共に使用することが好ましいのは、より汚染性が低く、再生が容易なためである。
【0057】
好ましくは電解質24の温度は、高レベルの蒸発を回避するために、および電解質24の温度の維持のために消費するエネルギーをより少なくするために、4℃から100℃の範囲に、さらに好ましくは15℃から25℃(周囲温度)の範囲にある。加えてこのような温度範囲によって、高温酸化に対する用途および/または熱障壁用途のために最適化された結晶サイズおよび酸素空孔の濃度を得ることが可能となる。
【0058】
好ましくは電解質24のpHは7未満であり、電解質は明らかに酸性で2.5から5.5の範囲にあり得る。
【0059】
追加の、しかし必須ではない方式において、電解質24は1つ以上の添加剤および/または界面活性剤も含み得る。
【0060】
電解質ならびに3個の電極26、28および30を含有する容器22は、大気圧の周囲空気と接触している。容器22は電解質24に浸漬されている。電解質24を軽く撹拌することが可能である。
【0061】
電着は好ましくは1時間(h)を超えて続かない。この期間は好ましくは、10分(min)から30分の範囲に、さらに好ましくは15分から25分の範囲にある。このように、本製造方法は、比較的迅速に実施できる。
【0062】
電着の間に、特に酸素O
2および電解質24の水H
2OからヒドロキシルイオンOH
−を生成する役割を果たす、1つ以上の還元反応(1)から(4)が得られる。
【0063】
(1)2H
3O
++2e
−→H
2+2H
2O
(2)2H
2O+2e
−→H
2+2OH
−
(3)O
2+2H
2O+4e
−→4OH
−
(4)O
2+2H
2O+2e
−→2OH
−+H
2O
2
【0064】
時には、塩のアニオンは陰極反応に寄与し得る。このように、特に硝酸塩を用いると、等式は以下の通りである。
【0065】
(5)NO
3−+10H
++8e
−→NH
4++3H
2O
(6)NO
3−+H
2O+2e
−→NO
2−+2OH
−
【0066】
電解質24は酸性pHを示すので、H
3O
+カチオンの存在およびヒドロキシルイオンOH
−(塩基)の形成も、塩基およびカチオンを含有する形成化合物が成膜されることに寄与し得る。
【0067】
このように、セリウムカチオン種およびヒドロキシルアニオン種の特定の状況では、Ce(OH)
3および/またはCe(OH)
22+の形成は、特に(7)から(9)の反応によって促進される。
【0068】
(7)Ce
3++3OH
−→Ce(OH)
3
(8)4Ce
3++O
2+4OH
−→2H
2O→4Ce(OH)
22+
(9)2Ce
3++2OH
−+H
2O
2→2Ce(OH)
22+
【0069】
最後に、電着化合物の酸化および/または部分脱水が起こり得る。セリウムを含む種の特異的な状況において、Ce
3+はCe
4+に酸化され得る。
【0070】
(10)Ce(OH)
3+→CeO
2+H
3O
++e
−
(11)Ce(OH)
22+→CeO
2+2H
2O
【0071】
コーティングはこのように、塩基性の電気的発生によって、電解質中に存在するカチオン種との反応によって、電気的結晶化または沈殿のどちらかによって形成される。
【0072】
コーティング層は、一般組成T(OH)
z−x(L)
x、YH
2Oを有する膜の初期形成から生じ、式中、
T(希土類)は、ランタニド、イットリウム、ジルコニウムおよびハウニウムを含む群に属し、
Lはリガンドであり(硝酸塩または他のアニオンなど)、
zは、開始塩の正電荷の数であり、
xは、リガンドの負電荷の数であり、ならびに
Yは、水分子の数である。
【0073】
好ましい別の構成において、場合により、製造方法はコーティング層を乾燥する段階も含む。このような段階は好ましくは、周囲温度にて少なくとも24時間、好ましくは48時間まで行われる。
【0074】
さらに正確には、いったん電着が終了すると、コーティングされた部品は各種の溶媒(水、アルコール、ケトン、エステル、アルデヒド)を使用して場合によりすすがれて、次にコーティングの基板からの完全な剥離を回避するために十分に低い出力にて冷気流もしくは熱気流または他の何らかのガス流によって場合により乾燥され得て、または部品は、コーティング中の水分の少なくとも一部を蒸発させるために、吸湿性物質の存在下で容器中にある期間にわたって貯蔵され得る、または他のいずれかの方法、例えば空調が使用され得る。好ましい方法は、アルコール中でのすすぎと、続いての少量の熱気流を使用する第1の乾燥段階と、続いての減圧下での貯蔵による第2の乾燥段階である(デシケータ内で、好ましくは少なくとも24時間にわたる。)。
【0075】
好ましい別の構成において、場合により、可能であれば乾燥ステージの後に、製造方法は、コーティング層に好ましくは400℃から2000℃の範囲にある高温が少なくとも10分の期間にわたって加えられる熱処置乾燥段階も含む。
【0076】
容器内の圧力は大気圧以下であり得る。容器中のガス状雰囲気は、完全もしくは部分酸化性および/または不活性および/または還元性であり得るが、コーティング中で形成される物質を生じさせることができ、酸素、窒素、炭素、セリウム、他のランタニド、イットリウム、ジルコニウム、ハウニウムまたはこれらの種のいずれかの組合せ(中性形、カチオン性形、アニオン性形、共有または金属形の)以外の種を含有する、SO
2、HClなどのいずれの腐食性物質も含有してはならない。
【0077】
このような状況下では、好ましくは熱処置は、少なくとも0.0001バールの酸素の存在下の大気圧のアルゴン下で、好ましくは60分の期間にわたって1050℃にて行われる。このような状況下では、好ましくは5℃/分(℃/分)の上昇および下降温度傾斜が使用される。
【0078】
コーティング層でコーティングされた部品のこのような追加の熱処置によって、コーティング層の組成、微細構造、結晶構造および/または厚さを特異的に修飾および調整することが可能になる。このような調整は、繰返し酸化に耐える能力、等温酸化に耐える能力、熱伝導率の低下、自然酸化によって得たアルミナ層の存在への依存性の低下および溶融塩または「CMAS」(「CaO−MgO−Al
2O
3−SiO
2」、即ちエンジン吸引砂および/またはエンジンの上流部に由来する他のいずれかの破片から生じる、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよびケイ素の酸化物、ならびにこのような酸化物の混合物を含有する酸化物組成物)の成膜に耐えるより大きい能力などの、意図される用途に対応する特性を改善する役割を果たす。
【0079】
このように、コーティング層の成膜は、セラミックである天然化合物の形で得られる(金属化は従来の電着から生じる現象に存在するために含まれないので、金属性ではない。)。
【0080】
得られたコーティング層は、可変量の水を含有して(金属オキシ酸化物)、ヒドロキシルアニオンまたは塩および溶媒から産生された他のアニオンも含む、酸化セリウム(ランタニドおよび/またはイットリウムおよび/またはジルコニウムおよび/またはハウニウムの1つ以上の酸化物と場合により関連付けられる。)をベースとする組成物を示す。
【0081】
このように、酸化セリウム、ならびに場合により、セリウムを除くランタニドの、イットリウムの、ジルコニウムのおよびハウニウムの酸化物によって構成された群に属する、他の何らかの酸化物に加えて、コーティング層は、式M
x(OH)
y(式中、Mは、セリウムならびに/または場合により他の何らかのランタニド金属、イットリウム、ジルコニウムおよび/もしくはハウニウムであり、
xはヒドロキシルアニオンの負電荷(OH
−)であり、
yは、ランタニド金属、イットリウム、ジルコニウムおよび/またはハウニウムの正電荷の数である。)の少なくとも1つの金属水酸化物および少なくとも1つのヒドロキシルアニオン(OH
−)も含む。
【0082】
さらに詳細にはコーティング層は乾燥および/または熱処置後に、式MO.OHの金属オキシ酸化物を含み、式中、Mは、セリウムならびに/または場合により他の何らかのランタニド金属、イットリウム、ジルコニウムおよび/もしくはハウニウムである。
【0083】
コーティング層は、酸化セリウムのベースに加えて、ランタニド、イットリウム、ジルコニウムおよびハウニウムによって構成された群からの1つ以上の元素、また、酸素、窒素、炭素(または電解質の対イオンに含有される他のいずれかの種)を、ニッケルおよび/またはアルミニウムおよび/またはクロムおよび/またはコバルトおよび/またはチタンおよび/またはタングステンおよび/またはタンタルおよび/またはモリブデンおよび/またはレニウムおよび/またはルテニウムおよび/またはニオブおよび/またはケイ素および/または鉄および/またはマンガンおよび/または白金および/またはイリジウムと共に含有する可変組成を示し得る。
【0084】
好ましい製造方法によって得られたコーティング層は、非晶性および/または結晶性および/またはナノメートルである構造(ナノメートルオーダーのサイズを有する元素)を有し得る。概してコーティング層は、結晶がナノメートル範囲のサイズを有する結晶相の最小パーセンテージを示す。
【0085】
さらに前記コーティング層は通常、針状および/または
結節状である微細構造を示す。
【0086】
電着のために選択されたパラメータに応じて、本発明のコーティング層は、高温酸化および/もしくは熱障壁効果ならびに/または有害種を捕捉する効果に耐える特性を示す。
【0087】
すべての状況の下で、孔(および場合により亀裂)を含有するいわゆる「乾燥泥」陶器微細構造に存する特異的形態は、好ましい製造方法によって得られたようなコーティング層の外面で観察され得る(
図2から6)。
【0088】
酸化セリウムベースのみを用いて(および乾燥を用いて)形成されたコーティング層の表面を示す
図2から4に見られるように、
図1から
図4まで上昇する異なる電流密度では、異なる形態を得ることが可能である(
図2は−0.5mA/cm
2、
図3は−1mA/cm
2および
図4は−1.5mA/cm
2)。
【0089】
加えて、使用する電流密度の上昇によって、サイズ(長さ、幅および奥行き)が増大する亀裂が出現する(
図3および4)。
【0090】
電流密度の変化によって、コーティング層表面の組成も修飾される。より低い電流密度を印加すると、コーティング中に存在する基板元素がより高濃度で生じるのは、より低い電流密度が、特にニッケル合金をベースとする基板のニッケルで、より高い電流密度と比較して、より薄い厚さを示すためである。
【0091】
成膜の厚さも、印加された電流密度および成膜時間と共に増大する。
【0092】
最大電流密度の使用時には、最大35at%の希土類が観察されている。
【0093】
図5も酸化セリウムのみに基づいて形成されたコーティング層を示し、より高い倍率によって、コーティング層外面の針状構造の絡まりが明らかになっている。「針状構造」という用語は、構造をなす元素について3次元の優先方向に長い形態が存在する結果として、顕微鏡写真の構成要素が金属組織断面に針形状を有するように見える構造を意味する。
【0094】
相対的に
図6は、混合酸化物(詳細には、セリウムおよびガドリニウムの酸化物)を使用して作製されたコーティング層について、
結節状微細構造がコーティング層の外層に見られることを示している。「
結節状微細構造」という用語は、構造をなす元素が優先的に長くなっていない、丸みのある形態が存在する結果として、不規則な円形形状である顕微鏡写真の構成要素の存在を意味するために使用される。
【0095】
上述の製造方法から生じた本発明のコーティング層は層ごとに成長して、幾つかの特殊性を示す。
【0096】
特にコーティング層は、かなりの濃度の酸素空孔、特に1×10
17空孔/立方センチメートル(空孔/cm
3)以上である、および好ましくは10×10
20空孔/cm
3以上である酸素空孔の濃度を示す。
【0097】
加えてコーティング層は、複数の開口亀裂を有する多孔質構造を示す。
【0098】
本発明との関連において、このような亀裂の存在は、これらが複数の役割を演じるために望ましい。特に亀裂の存在によって、特に熱サイクルの間に異なる熱膨張係数の結果として、コーティング層(セラミックの性質を有する。)が基板(概して金属の性質を有する。)から剥離するのを回避することが可能となる。さらにこのような亀裂の存在は、周囲の酸素がコーティング層を通じて基板まで接近することを制限する。
【0099】
さらに生じたコーティング層は孔および亀裂を示すので、この種のセラミックのすでに低い熱伝導率において追加の還元が得られる。
【0100】
特に、2つの隣接する亀裂間の距離は5μmから50μmの範囲にあり、前記亀裂は1μmから25μmの範囲にある幅lを示す。
【0101】
大半の場合に、特に基板またはコーティング層のどちらかがアルミニウムを含むときに、保護酸化物の薄い層(特にアルミナの層)がコーティング層と基板との間の界面に形成され、これにより酸化または高温腐食に対する保護が提供される。このような保護酸化物層は、基板の酸化によって生成することができる。保護酸化物層は、アルミニウム、希土類(セリウムならびに場合によりランタニドおよび/またはイットリウムおよび/またはジルコニウムおよび/またはハウニウム)および酸素を含有する。
【0102】
本コーティング層は少なくとも5μmの厚さを示す。
【0103】
コーティング層でコーティングされた部品の追加の熱処置によってコーティング層は脱水され、これによりコーティング層の微細構造および/または厚さおよび/または組成を修飾することが可能となる。
【0104】
特に比較的適度な熱処置温度、特に900℃未満の温度により、陶器の微細構造は維持され、結晶構造はより大きい範囲まで定義され、成膜の厚さは縮小し、希土類の表面濃度は低下して、基板の元素はコーティング層の中へ上昇する。
【0105】
図7は、このように、ニッケルをベースとした熱処置なしの単結晶超合金型の基板上に、酸化セリウムCeO
2−xのみに基づいて形成された、上述の製造方法で得たコーティング層の断面図である。
【0106】
図8は、
図7と同じであるが、適度の温度における熱処置(通例900℃で1時間)後のコーティング層を示し、熱処置の終了時には厚さは薄くなり、針状微細構造は維持される。
【0107】
より高い温度、特に900℃を超える温度が熱処置に使用される場合、微細構造は
結節状となり、成膜の厚さはなおさらに薄くなり、界面にて生じる酸化物層はより厚くなっている。
【0108】
このように、
図9は、
図7と同じであるが、高温における熱処置(詳細には1050℃にて1時間)後のコーティング層を示し、熱処置の終了時にはコーティング層の厚さは薄くなり、
結節状微細構造が出現している。
【0109】
保護酸化物層の形成を促進する目的で、処置を行うために酸化性雰囲気が使用される。従って、空気の減圧下で熱処置を行うことが好ましい。
【0110】
この目的のために、好ましい熱処置において、コーティング層でコーティングされた部品は周囲温度にて容器内に配置され、次に容器が5×10
−2ミリバール(mbar)まで真空引きされてから、大気圧のアルゴン流下で温度が5℃/分の速度で1050℃まで上昇され、熱処置はこの温度で1バールの圧力のアルゴン下で1時間行われ、次に温度が空気流下にて5℃/分の速度で周囲温度まで下げられる。これは、酸化を促進するために減圧酸素中において(少なくとも0.0001バールで存在する残留酸素)アルゴン下で行われる処置を構成する。
【0111】
図9のコーティング層はこのような熱処置を受けている。
【0112】
ベア基板および各種の別法でコーティングされた基板について、等温酸化性能および繰返し酸化性能をそれぞれ示す
図10および11をここで参照する。
図10において、ミリグラム/平方センチメートル(mg.cm
−2)で表現される単位面積当たりの重量増加は、大気圧の空気下での1100℃における酸化時間の関数として測定される。
図11において、単位面積当たりの重量増加(mg.cm
−2)は、大気圧の空気下での1100℃における繰返し酸化サイクルの回数の関数として測定される。
【0113】
曲線Aは、ニッケルベース単結晶超合金型のベア基板に関する。曲線Bは、気相アルミナイズ(VPA)技法によって成膜されたニッケルアルミナイドでコートされた同じ基板(アルミナイズ基板(alminized substrate))に関する。曲線Cは、カソード電着および熱処置によって得た酸化セリウムからなるコーティング層でコーティングされた、同じ基板に関する。最後に
図10において、曲線Dは、カソード電着および熱処置によって得た酸化セリウムからなるコーティング層で被覆されたニッケルアルミナイドの下層でコーティングされた、同じ基板を有する部品に関する。
【0114】
図10および11において、コーティング層(曲線C)は、アルミナイジングによって与えられる保護(曲線B)と同様である、高温酸化(等温または繰返しにかかわらず)に対する保護を与えることがわかる。この保護は、ベア基板(曲線A)と比較して、酸化の反応速度を著しく低下させる。
【0115】
酸素空孔の存在は、コーティング層と基板との間の界面での(特にアルミナの)保護酸化物層の形成に寄与することによって、高温酸化に対するこのような耐性が可能となり、この酸化物層は続いて、酸素が界面中に進入するのを部分的に防止する。
【0116】
曲線Bと比較して曲線Cで見られる大きな重量増加が発生するのは、空孔を介して酸素が進入することによるアルミナ層のこのような形成の間である。
【0117】
図11において、繰返し酸化に対する耐性もコーティング層(曲線C)およびアルミナイズ層(曲線B)で良好であることと、この耐性がベア基板の耐性よりもはるかに良好であることがわかる。
【0118】
微細構造が変化することが観察され、等温酸化(
図10)または繰返し酸化(
図11)の間に
結節状微細構造が出現する。
【0119】
アルミナイド層(特にニッケルアルミナイド層)の成膜(CVD、または他の何らかの技法、特にVPAによる成膜にかかわらず)の前または後に、カソード電着によって成膜される、大部分が酸化セリウムからなるコーティング層の提供が可能であることが確認されるはずである。
【0120】
セラミックコーティング層に好ましい詳細な特性の関数として、本発明のコーティングの好ましい特徴の記述が続く。
【0121】
応用例1:高温における抗酸化および/または抗腐食
このような状況では、以下の好ましい構成の1つ以上を示す「乾燥泥」型コーティング層が提供される。
【0122】
2つの隣接する亀裂の間の距離が20μm未満であり、
前記亀裂が10μm未満の幅lを示し、
前記コーティング層は、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの
結節状微細構造を示し、
前記コーティング層は、10
23/cm
3以下、および好ましくは10×10
20空孔/cm
3以上、または実際に30×10
20空孔/cm
3を超える、酸素空孔の濃度を示し、ならびに
前記コーティング層は、30μm未満の厚さを示す。
【0123】
コーティング層の組成は、以下の通りである。
【0124】
15at%から30at%の範囲の酸化セリウム、
50at%から75at%の範囲の酸素、および
0.5at%から15at%の窒素。
【0125】
コーティング層の結晶構造は重要ではない。
【0126】
このように、酸化性および500℃を超える温度を示す高温である作業環境で動作する熱機械部品として、このような部品を使用することが可能である。
【0127】
コーティング層はある最低限の酸素空孔密度(10×10
20空孔/cm
3以上)を示すため、準化学量論的化合物が存在する。さらに酸素空孔の存在によって基板とコーティング層との間の界面に拡散するように、環境から酸素を捕捉することが可能になり、これにより確実に酸化物層がこの界面にて迅速に形成され、これにより基板が保護される。さらに、酸素のこのような捕捉によって、酸素の部分圧が低下し、このように最も安定な酸化物(アルミナ形成合金からなる基板のためのα−Al
2O
3アルミナ)の形成が促進される。
【0128】
応用例2:熱障壁
このような状況では、以下の好ましい構成の1つ以上を示す「乾燥泥」型コーティング層が使用される。
【0129】
2つの隣接する亀裂の間の距離は、20μmから50μmの範囲にあり、
前記亀裂が10μm未満の幅lを示し、
前記コーティング層は、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの
結節状である微細構造を示し、
前記コーティング層は、10
23/cm
3以下、および好ましくは10×10
20空孔/cm
3以上、または実際に30×10
20空孔/cm
3を超える、酸素空孔の濃度を示し、ならびに
前記コーティング層は、20μmを超える厚さを示す。
【0130】
コーティング層の組成は、以下の通りである。
【0131】
15at%から30at%の範囲の酸化セリウム、
50at%から75at%の範囲の酸素、および
0.5at%から15at%の窒素。
【0132】
コーティング層の結晶構造は立方晶および/または正方晶であるが、単斜晶ではない。
【0133】
このように、500℃を超える温度を示す、高温である作業環境で動作する熱機械部品として、このような部品を使用することが可能であり、前記コーティングは基板の熱障壁として作用して、コーティング層は、12ワット/メートルケルビン(W.m
−1.K
−1)未満の熱伝導率、または実際に5W.m
−1.K
−1未満の熱伝導率を示す。
【0134】
単独のまたは少なくとも1つの希土類酸化物によって安定化(ドーピング)されたような酸化セリウムでは、均一であるまたは厚さが徐々に変化する濃度を示すコーティング層を得ることが可能である。
【0135】
応用例3:温室効果ガス排出の低減
(特に航空機エンジンからの)温室効果ガス排出を低減することができる、有害種および汚染種を捕捉するこのような効果は、上述の好ましい工程によって得た本発明のセラミック/酸化物コーティング層が、触媒として作用する酸化セリウムをベースとしているという事実に起因する。この組成のために、およびこの高い空孔、特に酸素空孔の密度のために、ガス(炭化水素、一酸化炭素、酸化窒素、すすおよび他の排気ガス化合物など)を捕捉すること、ならびに酸化還元反応により、有害なおよび/または汚染性の化合物の少なくとも一部を排除することが可能であり、同時に反応するのに好適であるイオンの少なくとも一部が再生される。工程によって得たコーティング層の良好な酸素貯蔵能力(OSC)特性も同時に言及する必要があるのは、熱力学的に最も安定である酸化物層を形成するために、酸素空孔を存在させることによって、酸化性汚染性ガスとの関連で作用するだけでなく、コーティング層中での拡散によっても作用する酸素を周囲から捕捉する現象が存在することになるためである。
【0136】
このような状況では、以下の好ましい構成の1つ以上を示す「乾燥泥」型コーティング層がある。
【0137】
2つの隣接する亀裂の間の距離が20μm未満であり、
前記亀裂が10μm未満の幅lを示し、
前記コーティング層は、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの
結節状である微細構造を示し、
前記コーティング層は、10×10
20空孔/cm
3以上である酸素空孔の濃度を示し、および
前記コーティング層は、30μm未満の厚さを示す。
【0138】
コーティング層の組成は、以下の通りである。
【0139】
15at%から30at%の範囲の酸化セリウム、
50at%から75at%の範囲の酸素、および
0.5at%から15at%の窒素。
【0140】
コーティング層の結晶構造は重要ではない。
【0141】
さらに、前記コーティング層は好ましくは、孔および亀裂が存在するために無視できない有効表面積を有する、ナノメートルおよび/またはマイクロメートルサイズの
結節状(丸みのある形態)である微細構造を示す。
【0142】
このように、100℃を超える温度の高温および酸化性の作業環境で動作する熱機械部品として、このような部品を使用することが可能であり、前記コーティング層は有害種を捕捉する効果を示す。
【0143】
空孔が存在するためにガスを捕捉することが可能であり、酸化還元反応によって有害なおよび/または汚染性の化合物の少なくとも一部を排除することが可能であり、同時に再度反応するのに好適であるイオンの少なくとも一部が再生される。酸化物をベースとするセラミックコーティング層は、コーティング層の組成のために、およびこのように空孔の密度のために、単独で触媒として作用する主な利点を有し、空孔の密度は他のカチオンによるドーピングおよびこのモル分率の変化によって制御することができる。このように、触媒作用を行うための補助金属は、自発的コーティング型のコーティングを提供するため、提供する必要はない。
【0144】
好ましい製造方法の実施に関連するプロトコルの詳細な説明が続く。
【0145】
段階1.1から1.13を実施することによって、CeO
2−xコーティングの層がニッケルベース基板,特にニッケルベース超合金基板の上に作製される。
【0146】
電解浴(または電解質)の調製
1.1:Ce(No
3)
3、6H
2O塩を水に所望の濃度で溶解させる、
1.2:空気との接触および金属カチオン(セリウムに適用される。)の考えられる部分酸化を回避するための密封貯蔵、
1.3:電解浴の調製。この電解浴は、周囲温度の溶液400マイクロリットル(mL)を撹拌せずに充填したビーコンである、および
1.4:3個の電極を有する従来の電気化学セル、即ち参照電極30を使用した、コーティングされる試料であって、これ自体が作用電極(陰極26)を構成する試料の表面全体に電流密度を良好に分散させる、幅広白金対電極(陽極28)。
【0147】
コーティングのための部品の調製
1.5:気相アルミナイズのために白金Ptを成膜する前に、通例のようにアルミナAl
2O
3を用いたサンドブラストによってこの表面を調製するが、他のいずれの種類の調製(機械研磨、電気化学的調製など)も除外される必要はない、
1.6:試料のアルコール溶媒、好ましくはエタノール中でのグリース除去、すすぎおよび次いで熱気中での乾燥(50℃<T<200℃)、ならびに
1.7:電気接触を提供する(例えば接触クランプなど)および電着電解浴に対して不活性である(例えばPt)系を使用して、試料/部品の全体の表面上への膜形成の妨害を回避するための、試料/部品の断面(端)による試料/部品の固定。
【0148】
電着
1.8:接触クランプの、印加のための設定値の制御(印加電位または印加電流)および分極されている系の応答の記録(このため
インサイチュー追跡を行うことが可能となる。)の両方の役割を果たすポテンシオスタット(またはガルバノスタット)への接続、
1.9:(表面全体に均一な成膜を得るために)白金対電極に対して完全に中心となる位置における、および
インサイチューで行われる測定の再現性を確実にするために、常に同じ方式で分極に対する系の応答を記録するために、一定であり制御された参照電極からの距離での、コーティングのための部品の浸漬、
1.10:好ましい電着条件:時間=20分、j=−1mA.cm
−2、浴の濃度=0.1mol/L、
1.11:電着終了時における、部品の抜出しおよび次の水中でのすすぎ、続いてのアルコール溶媒(エタノール)中での30秒間(s)のすすぎおよび熱気中での乾燥(1.6項と同様)、
1.12:乾燥空気中、好ましくは空気から湿気を捕捉するための物質(例えばシリカゲルなど)を含有するデシケータ中での少なくとも24時間の貯蔵、ならびに
1.13:5℃/分の速度で温度が上昇および下降される、1050℃にて1時間にわたる不活性アルゴン雰囲気下での熱処置。
【0149】
このようにして得たコーティング層の特徴は、以下の通りである。
【0150】
形態および厚さ:電着によって得たコーティング層は、基板表面を均一な方式で亀裂の形で不連続部を有しながら被覆して、「乾燥泥」型の外観を生じさせる。亀裂の分布はランダムであり、亀裂の幅は1μmから25μmの範囲にあり、亀裂間の距離は好ましくは5μmから50μmの範囲にある。亀裂は、コーティング層の厚さ全体を完全に、または部分的に貫通し得る。コーティング層の厚さは、1μmから100μmの範囲にあるべきである。希土類酸化物をベースとするコーティング層の下には、基板と反応する成膜から生じる下層が出現することが可能である。下層の厚さは、コーティング層の厚さを超えるべきではない。
【0151】
組成:コーティング層は、0.10at%から35at%の範囲での元素セリウムを、可能であればランタニド型および/またはイットリウムおよび/またはジルコニウムおよび/またはハウニウムの1つ以上の元素、0.5at%から75at%の酸素、ならびに0.5at%から30at%の窒素と共に含む。
【0152】
結晶構造:熱処置の前に、コーティング層は、酸化物、水酸化物、硝酸塩、またはこれらの組合せと、元素セリウム、および可能であればまた、1つ以上の他のランタニド元素および/またはイットリウムおよび/またはジルコニウムおよび/またはハウニウムとの結晶相、ならびにわずかな非晶相を含む。熱処置後にコーティング層全体が結晶化される。
【0153】
微細構造:コーティング層の微細構造は、(針型の)細長形状、(球状隆起またはカリフラワー型の)丸形形状、砂漠のバラ(Desert Rose)型形状およびプレート形状を含む。このサイズは亀裂間距離を超えない。
【0154】
欠陥:コーティング層は、各種の割合(0.5%から75%)でアニオン型およびカチオン型空孔欠陥を含む。
【0155】
コーティング層の類似の特徴は、CeO
2−xコーティングの層を基板(部品またはコーティング下層の材料)上で成膜することによって得られており、基板は、
ニッケルアルミナイド(もしくは他の何らかの種類のアルミナイド上)の基板、または
白金をベースとする基板、または
ニッケルシリサイド(もしくは他の何らかの種類のシリサイド上)の基板、または
いくらかの最低量の電子伝導性を示す複合材料(例えばCoマトリックスおよびタングステンカーバイドの補強を有する「サーメット」)によって構成された基板である。
【0156】
他の成膜技法も、特に本特許出願の概要で言及した従来技術の成膜技法のいずれもセラミックコーティング層を作製するのに使用され得る。
【0157】
このように、電気泳動、ゾル−ゲル技法、シルクスクリーン印刷、塗料はけまたは浸漬による塗布、化学沈殿、吹付け、化学気相成膜、物理気相成膜(PVD)、またはこのいずれかの組合せなどの各種の成膜技法もセラミックコーティング層を作製するのに使用され得る。
【0158】
例えば吹付けにより、同じ種類の溶液が使用され得るが、成膜のための希土類を含有し、また成膜をより可塑性にして成膜が表面で剥離するのを防止する、溶液の粘度を上昇させて、基板と溶液との間の濡れ性(接触)を改善するための1つ以上の添加剤(例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)など)を添加する。(少なくともわずかに)酸化性である雰囲気下でのステージにおいて温度を上昇させる追加の熱処置も、コーティングを強化するために、基板への吹付け成膜の定着を促進するために、ならびに成膜層に存在する化学組成、形態、微細構造、結晶構造および欠陥の量を制御するために必要である。