特許第5677528号(P5677528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5677528制御弁の構成部品の故障を検出するための診断方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677528
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】制御弁の構成部品の故障を検出するための診断方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20150205BHJP
   F16K 31/126 20060101ALI20150205BHJP
   F16K 51/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   G05D7/06 Z
   F16K31/126 Z
   F16K51/00 Z
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-155901(P2013-155901)
(22)【出願日】2013年7月26日
(62)【分割の表示】特願2010-548754(P2010-548754)の分割
【原出願日】2009年1月16日
(65)【公開番号】特開2013-242910(P2013-242910A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2013年8月21日
(31)【優先権主張番号】12/040,498
(32)【優先日】2008年2月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591055436
【氏名又は名称】フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィルケ, ガレン デイル
【審査官】 川東 孝至
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/041111(WO,A1)
【文献】 特表2007−534079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/00− 7/06
F16K 31/126
F16K 51/00
F16K 37/00
G05B 23/00−23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気式制御弁のアクチュエータにおける漏洩源を決定するための方法であって、
前記制御弁のアクチュエータに接続されたアクチュエータ・ロッドの移動を検知すること、
前記アクチュエータの室に付与された圧力を検知すること、
前記付与されたアクチュエータ圧力および前記アクチュエータ・ロッドの移動についてのセンサ・データに基づいてアクチュエータの気体漏れの存在を検出すること、
気体漏れが検出された場合に、アクチュエータの排出口に接続されたフロースイッチが前記アクチュエータの排出口を経る排気の放出を指示するか否かを決定すること、
前記フロースイッチが排気の放出を指示しない場合に、空気管の漏れの指示を生成させること、及び
前記フロースイッチが排気の放出を指示しかつ前記制御弁が運動状態にあることが検知される場合に、アクチュエータ・ダイアフラムの故障の指示を生成させることを含む、決定方法。
【請求項2】
前記フロースイッチが排気の放出を指示し、かつ前記制御弁が静止状態にあると検知された場合に、不確定の指示を生成させ、前記フロースイッチに再度ポーリングを行う前に一定の時間待機する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、通信プロトコルを使用するプロセス制御ネットワーク全体を通して、前記空気管の漏れ又はダイアフラムの故障の指示の一方を伝達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プロセス制御弁におけるアクチュエータの漏洩源を特定するための装置であって、
供給入口ポート及び排出口を有する空気式アクチュエータと、
周囲の環境に開放する第1のポート及び前記アクチュエータの排出口に流体移動可能に接続された第2のポートを有するフロースイッチと、
前記アクチュエータの室に付与された圧力を検知するように設定された圧力センサと、
弁棒の移動を検知するためのポジション・センサと、
前記フロースイッチ、前記圧力センサ及び前記ポジション・センサからのセンサ・データを受け取るためのデバイスであって、前記フロースイッチが排気の非放出を示す場合に空気管の漏れの指示を生成し、また前記フロースイッチが排気の放出を示しかつ前記制御弁が運動中であることが観察されるときにアクチュエータ・ダイアフラムの故障の指示を生成するデバイスとを含む、特定装置。
【請求項5】
前記デバイスがデジタル式ポジショナからなる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記フロースイッチの第1のポートと前記ポジショナの排出口とが互いに流体移動可能に接続されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記フロースイッチが、動作のための動力源を必要としない受動素子からなる、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
空気式制御弁のアクチュエータにおける漏洩源を決定するためのシステムであって、
供給入口及び排出口を有する空気式アクチュエータを含む制御弁と、
周囲の環境に開放する第1のポート及び前記アクチュエータの排出口に流体移動可能に接続された第2のポートを有するフロースイッチと、
互いに通信可能に接続されたワークステーション、プロセス・コントローラ及び複数のフィールド・デバイスを含み、少なくとも1つのフィールド・デバイスが前記アクチュエータの排出口からの流体の流れを決定するために前記フロースイッチに接続され、少なくとも1つのフィールド・デバイスが前記アクチュエータの室に付与された圧力を測定するように適合され、また少なくとも1つのフィールド・デバイスが弁棒の移動距離を測定するように適合されているプロセス制御システムと、
測定された流れ、前記アクチュエータの室の圧力及び前記弁棒の移動についてのセンサ・データを受け取るように適合された検出装置であって、さらに、前記アクチュエータの排出口から気体が排出されていないことが決定された場合に空気管の漏れの指示を生成しまた前記フロースイッチが排気の放出を示しかつ前記制御弁が静止状態にあることが観察された場合にアクチュエータ・ダイアフラムの故障の指示を生成するように適合されている検出装置とを含む、検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許は、一般的には、加工プラントにおける診断法及び保守、特に、加工プラント内の制御弁の故障を減らす又は防止する方法で加工プラント内に診断能力を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
産業プロセスにおける制御弁の故障は、ほとんどの場合、プラントの操業に影響を与える。一般的に、制御弁の故障は、制御信号に対する制御弁の応答に影響を与える。特に、制御弁は制御信号に対する応答が悪化する又は遅延することとなり、これによりは、プロセスの変動を引き起こすような制御性能の低下をもたらし、プラントのオペレータに対する経費が高くつき、さらに悪い場合には、危険な状態へと導く。したがって、制御弁の悪化つまり劣化を早期に検出することによって、加工プラントの運転途絶を防止するように制御弁を規則的、定期的に保守することを可能とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
制御弁の性能低下はいくつかの理由のために起こり得る。一般的に、構成部品の劣化が主な要因である。しかしながら、部品の劣化は、典型的には、制御弁が例えば構成部品の故障のために正常に機能しないところまで制御弁の働きが低下する際のみに検出され、この時点においては、保守点検を実施するには遅すぎる可能性がある。保守点検への取り組みの一つは、定期的に、制御弁の構成部品を物理的な検査に付することである。しかしながら、この選択肢は、制御弁を使用するプロセス制御ループが遮断され及び/又は制御弁
が検査のために取り除かれ又は分解される必要があるため、費用がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つもしくは複数の開示した実施例によれば、特許請求された方法及びシステムによってプロセス制御弁の構成部品の故障又は劣化を特定する。ある実施例では、前記特許請求された方法及びシステムが、アクチュエータばね、空気管類及びベローズシールにおける劣化及び/又は故障を検出する。
【0005】
一実施例では、空気式制御弁におけるアクチュエータばねの劣化又は故障が、アクチュエータの圧力とアクチュエータ・ロッドの移動とを監視することにより検出され得る。
【0006】
一実施例では、制御弁におけるベローズの劣化又は故障が、ベローズ室の圧力と弁の運動とを監視することにより検出され得る。
【0007】
一実施例では、アクチュエータにおける漏洩源が特定され得る。一実施例では、機器の管又はダイアフラムの一方における漏れが検出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】制御弁を示す図である。
図2】制御弁の断面図である。
図3A】直動型の弁の構造を示す図である。
図3B】逆方向稼働の弁の構造を示す図である。
図4A】ばねの劣化を決定するように設定された制御弁の実施例を示す図である。
図4B】ばねの劣化を検出するためのプロセスの例を示す図である。
図5A】制御弁内に取り付けられたベローズ・シールを示す図である。
図5B】ベローズの故障を検出するためのプロセスの例を示す図である。
図6A】空気式アクチュエータにおける漏れを特定するように適合された制御弁の実施例を示す図である。
図6B】アクチュエータ漏れの構成部品を特定するためのプロセスの例を示す図である。
図7】ポジショナの排出口がアクチュエータの排出口に流体移動可能に接続された空気式アクチュエータの構造を示す図である。
図8】変更を加えられた複動式ポジショナを使用する漏れ検出システムの実施例を示す図である。
図9】検出アルゴリズムを実行するために使用可能な計算装置を示す図である。
図10】検出モジュールの実施例を示す図である。
図11】1つもしくは複数の制御弁及び検出モジュールを実装する加工プラントのプロセス制御システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、プロセス制御システム、例えば、加工プラントで使用され得る制御弁組立体10を示す。制御弁組立体10は弁12と、アクチュエータ22と、制御弁機器つまりポジショナ34とを含む。弁12は弁本体14と、入口ポート16と、出口ポート18とを含み、また、アクチュエータ22は弁帽20と、空気式ダイアフラム・ケーシング40とを含む。弁帽20を経て弁棒32を配置することが可能であり、該弁棒は弁12を作動させるために用いることができる。ヨーク30が弁帽20に取り付けられ又は設けられてもよい。ヨーク30は図1に示すように弁帽20に接続されてもよいが、他の実施例では、ヨーク30は弁本体14の他の場所に据え付けられてもよい。ヨーク30は、空気式ダイアフラム・ケーシング40を弁本体14に結合するために用いられてもよい。弁棒32は、後述する弁棒組立体15の一部を形成することができるものであって、空気式ダイアフラム・ケーシング40から弁12へと力を伝達するように適合することができ、これにより弁12の動作を制御する。
【0010】
空気式ポジショナ34はヨーク30に取り付けてもよい。ポジショナ34はアクチュエータ22を制御するために用いてもよい。一般的に、ポジショナ34のようなポジショナは電空のものからなり、また禁止態様下で制御弁組立体10を動作させるためにプロセス制御ループ内で使用してもよい。すなわち、ポジショナ34は、I/P(圧力に対する電
流)回路(構成部品は図示せず)で電子入力信号を受け取ることにより、前記電子入力信号を空気出力信号に変換するように動作し、これがアクチュエータ22を駆動する。この出力圧力信号は前記空気式ダイアフラム・ケーシングに直接付与されてもよく、次いで、前記電子入力信号に比例するように流動を制御すべく前記弁に前記空気信号を結合する。
【0011】
図2は、図1に示す制御弁組立体10の断面を示す。類似の部材が同様に表示されていることに留意されたい。図2は、入口ポート16と、出口ポート18と、入口ポート16及び出口ポート18間でこれらに連なる通路11とを規定する弁本体14を示す。通路11が貫通する弁本体14内に弁座13を配置してもよい。弁棒組立体15は、前記通路内に配置され弁座13に対して移動可能である弁プラグ17から構成されてもよく、これにより弁本体14を経る流体流れを制御する。弁棒組立体15は、さらに、弁プラグ17に結合され弁帽20内の孔19(例えば、弁本体の開口)を経て伸びる弁棒32を含む。弁棒組立体15が上昇されて弁プラグ17と弁座13との間のポートが開くと、通路11を経る流体の流れが増大する。弁棒組立体15の下降は、前記ポートを閉じ、弁プラグ17が弁座13に完全に係合するまで(図2に示す)流体の流れを減少させ、これにより通路11を経るさらなる流体の流れを阻止する。
【0012】
弁棒組立体15は、該弁棒組立体を昇降動作させるためにアクチュエータ22に連結さ
せてもよい。アクチュエータ22は、アクチュエータ・ロッド35に連結されたダイアフラム36を収容するダイアフラム・ケーシング40を含む。ダイアフラム36は、一組(1つもしくは複数)のアクチュエータばね37により偏倚されてもよい。図2に示す実施例は、ダイアフラム36がディスク38とボルト39とを介してアクチュエータ・ロッド35に連結されてもよいことを示すが、この技術分野において公知の他の締結手段も同様に使用可能である。図2に示すように、弁棒32は弁棒コネクタ33によりアクチュエータ・ロッド35に連結されてもよい。アクチュエータ22は、アクチュエータ・ロッド35を昇降させるように動作可能であり、その結果、弁棒組立体15を昇降させる。アクチュエータ22のダイアフラム・ケーシング40はヨーク30により弁本体12の上方に担持されまた配置されてもよい。
【0013】
アクチュエータ22は、ポジショナ34により制御される空気式アクチュエータであってもよい。ポジショナ34は、流体源(図示せず)からの加圧気体を受け入れる流体圧力源入口ポート42を有してもよい。ポジショナ34は、アクチュエータ・ダイアフラム・ケーシング22の入口ポート44に流体移動可能に連結された出口ポート43を有してもよい。前記アクチュエータ・ダイアフラム・ケーシングは、ダイアフラム・ケーシング40の非加圧側に設けられた排出口45を有してもよい。図2に示す実施例は、排出出口ポート45がポジショナ34に連結されてもよいことを示すが、出口45が周囲の大気に開放するようにすることも一般的である場合がある。ポジショナ34は、一般的に、加圧空気源(図示せず)のような加圧源からダイアフラム・ケーシング40に付与される気体の総量及び時期を制御するように動作できる。気体が前記アクチュエータの入口ポート44に付与されると、前記アクチュエータの室、例えば室46内の圧力がアクチュエータ・ロッド35に対して、付与圧力とアクチュエータ・ダイアフラム36の有効面積とに比例する力を与える。したがって、ダイアフラム36が変位すると、下方の室47の容積が出口ポート45を通る流体を調達し又は沈める場合がある。
【0014】
図2は複数のばね37を用いる空気式アクチュエータの例を示すが、いくつかの空気式アクチュエータでは単一のばねのみが用いられることに注目すべきである。このような例が図3A及び図3Bに示されている。図3A及び図3Bにおいては、単一のばね48及び49が用いられ、それぞれ、ダイアフラム51及び53を偏倚させる。図3Aは、ばね48が押し下げ閉鎖構造弁のためのアクチュエータ・ロッド55を偏倚させる直動型構造を示し、これに対して、図3Bは、ばね49が押し下げ開放構造弁のためのアクチュエータ・ロッド57を偏倚させる逆方向稼働構造を示す。
【0015】
(異常な制御弁動作の検出)
ここに記載したシステムは、劣化状態にある複数の制御弁構成部品を特定することにより、弁の性能低下の原因を決定するのに役立つ。特に、不良状態にあるか又は予想の性能域外で動作する可能性のある制御弁構成部品を決定しかつ特定するため、種々のセンサ信号がここに記載のアルゴリズムと共に用いられてもよい。すなわち、前記システムは、前記制御弁が致命的に機能不全に陥る前に構成部品の劣化の早期検出を可能にすることができる。
【0016】
一実施例では、本システムが、アクチュエータばね、空気管類及び/又はベローズ・シ
ールのような構成部品に起因する制御弁の機能低下を監視する場合がある。制御弁においては、アクチュエータの応答が、前記アクチュエータを偏倚させるために用いられるアクチュエータばねの劣化により悪影響を受ける場合がある。前記ばねが劣化するにつれて、前記弁をその動作状態(開又は閉)に切り替えるための応答時間が遅延する可能性がある。アクチュエータの応答は、さらに、空気通路(例えば、空気の出口及び入口への管並びに該出口及び入口からの管)における漏れ、又はアクチュエータ・ダイアフラムの一部若しくは全部の故障により、影響を受ける可能性がある。加えて、制御弁の応答は、前記制
御弁のプロセス環境を外部雰囲気(例えば、制御弁を取り巻く環境)から隔てるために使用されるベローズ・シールの劣化に悩まされる可能性がある。ここに記載の前記システムは、前記した構成部品のうちの1つもしくは複数の劣化を検出し又は予測するために用いてもよい。
【0017】
(アクチュエータばねの故障又は劣化の検出)
ばねの故障は、制御弁の応答時間の減少(すなわち停滞)を生じさせる一つの故障態様である。図3A及び図3Bに示すようなアクチュエータにおける前記単一のばねの劣化は、故障を即時に引き起こす。多数ばねのアクチュエータでは、単一ばねの故障は制御弁の故障又は制御不能を即時に引き起こすことがない場合がある。しかしながら、多数ばねアクチュエータにおける単一のばねの故障でも、前記弁の動作範囲を制限し又は弁座に対する荷重を低減させ、これにより前記弁内での弁座漏れを増大させるアクチュエータの推力を減少させるアクチュエータの不均一荷重を生じさせる可能性がある。また、単一ばねの故障は、複数の他のばねが間もなく故障するかもしれないことを示す可能性がある。
【0018】
一般的に、ばねの悪化は、前記ばねの腐食又は酸化のようないくつかの要因、あるいは疲労のような構造的又は機械的な破壊のために起こる可能性がある。これらの状況のいずれかが、前記ばねが該ばねの他の物理的パラメータ間での弾性の減少を示すようにさせる可能性がある。
【0019】
前記したように、アクチュエータばねの劣化検出システムは、ばねの劣化又は故障を予測又は検出するように実行することができ、その結果、予防策が採られ、保守費用及び高価につく操業停止を少なくする。前記ばね劣化検出システムは、既存のプロセス制御システムにおいて実施することができ、又は独立して機能する演算器として組み込むことができる。一般的に、前記ばね劣化検出システムが、演算器で動作するハードウエア又はソフトウエアとして実装され得る。
【0020】
一実施例においては、アクチュエータばね定数の現在値を算出し及び監視することが、ばねの劣化を検出するために用いられ得る。この実施例では、ばね定数が算出され、また最初の又は指定のばね定数値と比較され得る。前記算出されたばね定数が、前記最初の又は指定された値から予め定められた閾値を超えるとき、ばねの劣化又は故障が検出され得る。他の実施例では、前記ばね定数値を算出するため、アクチュエータ圧力と弁移動とが監視されかつ測定され得る。次の式が、前記ばね定数値を算出するために用いられ得る。
【0021】
ΔPA=ΔTKa
【0022】
ここにおいて、ΔTは弁の移動距離であり、ΔPはアクチュエータに付与された圧力の変化であり、Aは前記アクチュエータのダイアフラムについての有効ダイアフラム面積であり、また、Kaはばね定数である。
【0023】
図4Aは、アクチュエータにおけるばね劣化を決定するために使用され得る制御弁の一実施例を示す。図2及び図4Aの共通の部品は同じように表示されている。図4Aは、ポジション・センサ401が制御弁組立体10の位置、運動及び/又は移動に関するデータ
を提供できることを示す。弁12の移動は、アクチュエータ・ロッド35の動作に基づく可能性がある。図2に示すように、アクチュエータ・ロッド35が、弁棒32と、弁棒コネクタ33と、弁プラグ17とに動作可能に連結され得る。したがって、この組の複数の構成部品のうちの任意の1つの移動の測定が、前記組の複数の構成部品のうちの任意の部材の移動を示し得る。
【0024】
圧力センサ403が、上方の圧力室46に付与される圧力を示すデータを提供できる。
【0025】
加えて、デバイス405が、移動センサ401又は圧力センサ403の一方又は双方からのセンサ・データを受け取るために用いられ得る。デバイス405は、さらに後述するように、ばねの故障を検出しかつ指示すべく一つのアルゴリズムを実行することができる。図4Aに示すデバイス405はポジショナ34から分離して示されているが、デバイス405はポジショナ34の一部として実装されることが可能である。その実例は、例えば、ポジショナ34がプロセッサ及びメモリを有するデジタル式ポジショナからなる場合である。
【0026】
図4Bは、アクチュエータばねの劣化を検出するためのプロセスの実施例を示す。ブロック410において、前記弁の移動(例えば、アクチュエータ・ロッド35、コネクタ33又は弁棒32の移動)が検知され得る。一実施例では、前記弁の位置が定期的に標本抽出され、また、2つの標本抽出された位置間の差に基づいて移動が決定され得る。ブロック411において、付与された圧力が検知され得る。一実施例では、前記付与圧力を定期的に標本抽出し、2つの標本抽出された測定値間の差をとることにより、付与圧力の変化が検知され得る。一実施例では、前記位置及び付与圧力の標本抽出のための時期が合わされ得る。換言すると、位置及び付与圧力の双方の標本抽出が共通の期間にわたって同時になされ得る。
【0027】
ブロック413において、前記アクチュエータばねの現在のばね定数が決定され得る。例えば、特定の期間に、弁の移動距離が対応する圧力変化と共に測定され得る。一実施例では、第1の時期における前記弁の第1の位置を記録することができ、また、第2の時期における前記弁の第2の位置を記録することができ、ここにおいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間の差が弁移動距離ΔTとして算出され得る。前記弁移動の間、付与されたアクチュエータ圧力に対応する変化が起こり得る。このアクチュエータ圧力の変化は、前記弁が前記第1の位置にあるときの第1の時刻における前記アクチュエータ圧力を記録し、次いで前記弁が前記第2の位置に到達する第2の時刻における前記アクチュエータ圧力を記録することにより、測定され得る。次に、2つの圧力の測定値の差が圧力の変化ΔPとして用いられ得る。
【0028】
ブロック414においては、算出された現在のばね定数値間の差が最初のばね定数値と比較され得る。前記現在及び最初のばね定数値が予め定められた閾値を超えて異なる場合は、ばねの故障又はばねの劣化の指示が発生され得る(415)。前記現在及び最初のばね定数値の差が前記閾値を超えない場合は、前記プロセスが繰り返され得る。前記最初のばね定数値は(例えば、製造業者が)提供することができ、あるいは、前記最初のばね定数を決定するためにブロック410−413が用いられ得る。
【0029】
前記閾値は、前記アクチュエータばね又は複数のアクチュエータばねの耐用年数に基づくレベルに設定され得る。例えば、前記閾値は、1つ又は複数の交換ばねが予定に入れられ及び/又は組み込まれるまで前記ばねが前記弁を維持するのに有用な寿命を有するポイ
ントまで前記ばねが劣化することを指示するレベルに設定され得る。
【0030】
一実施例において、弁移動ΔTは、一方向への前記弁の単一の連続した運動についてのみ算出され得る。換言すると、この実施例では、前記弁が第1の位置と第2の位置との間を移動する間に方向を変えることなしに連続的に前記第1の位置から前記第2の位置へ移動するとき、弁移動が移動距離とされるだけである。この実施例では、端点(例えば、そこでは弁移動が物理的に制限される)間の運動は、弁移動ΔTに含まれ得ない。
【0031】
一実施例において、前記アクチュエータは複数のばねを含む。これは図2に示されている。この例では、前記ばね定数は複数のばねの効果を代表するようにばね定数の総計とさ
れ得る。この実施例では、前記閾値を適切に設定することにより、単一のばねの故障が検出され得る。特に、前記閾値は、前記ばねの数量と前記ばね定数の総計に対する各ばねの平均寄与とに基づき得る。例えば、前記複数のばねにおけるこれらのばねのうちの一つが取り除かれている場合は(例えば、完全な故障)、前記閾値は総ばね定数の差に対応するように設定される。他の例では、1つもしくは複数のばねが最低の機能まで劣化しているもののいずれのばねも完全な故障に至っていないとき、前記閾値は前記総ばね定数の差を反映するように設定され得る。一実施例において、前記閾値は、動作中の前記弁の摩擦とヒステリシスとを克服するのに必要とされるばねの数量に基づいて設定され得る。この実施例では、前記閾値は、弁の性能が低減又は低下する前に前記システムがばねの問題点を示すように設定され得る。
【0032】
一実施例において、前記閾値は次の式に基づいて設定される。
【数1】

ここにおいて、n=ばねの総数であり、複数のばねでは、K…Kで示される複数のばね定数が存在する。Kは、前記複数のばねのうちの第1のばねのばね定数を示す。
【0033】
(ベローズ・シールの劣化の検出)
図5Aは、ベローズ・シールを使用する制御弁を示す。ベローズ501は、プロセス制御流体環境503から周囲プラント雰囲気505を隔てるための境界として用いてよい。例えば、ベローズ501は、有害又は有毒なプロセス制御アプリケーションにおいて必要とすることができ、ここにおいて、前記周囲プラント雰囲気からの有害な化学物質の封じ込めが必要とされる(例えば、労働安全危険局(OSHA)規制を参照)。
【0034】
一般的に、ベローズは、非常に薄い壁の管で形成された複数の深い襞を有し、また金属で製造される可撓性を有する1ピースの折り畳み可能で継ぎ目のない装置からなる。前記ベローズの襞の可撓性は、性質上、螺旋状の圧縮コイルばねの可撓性に似ている。制御弁の適用において、ベローズ501は、該ベローズの第1の端部514でベローズ・ガスケット511を用いて弁棒509の第1の部分513に固定されている。ベローズ501の第2の端部516は弁本体14の一部518に固定されている。バルブ本体の一部518は弁帽20の一部からなり得る。ベローズ501は前記制御弁内(例えば、503内)の制御流体を前記制御弁の外部の周囲雰囲気505から隔て、他方、弁棒509が多くの摩擦なしに自由に移動することを許す。ベローズの直径及び襞の数量は一般的には弁棒と弁帽室との間に適合するように定められるが、前記制御弁の装置及び型に応じて変わる。
【0035】
ベローズ501は、疲労(例えば、金属疲労)及び/又は腐食から、予測不可能で壊滅
的な態様で壊れる。また、故障の可能性のため、充填部材515が補助的なシール構造として前記制御弁内に組み込まれ得る。ベローズにシールが施された弁は、通常、前記弁棒の頂部近傍にある弁棒517の第2の部分に追加の充填部材515又はシールを組み入れている。前記弁棒の第2の部分は弁本体の開口に関して移動可能である。充填物515は、ベローズ501が破れた場合に大気への弁棒509を通しての漏れに対する最後の防御として働き得る。
【0036】
充填物515は、前記プロセスの流体と外部の雰囲気との間に追加の安全防御壁を提供するが、この充填物515は、実際に外部漏れが生じるまで、ベローズ・シールがいつ故障したかを検出することを困難にする可能性がある。一般的に、レベル及び流れの信号を
示すために複数の圧力センサが用いられる。例えば、デジタル式ポジショナが、付与されたアクチュエータ圧力を検出すべく圧力センサに連結され得る。これらの圧力センサは、制御フィードバックを与えるように使用され得る。さらに、アクチュエータ・カップリング又は弁カップリングにおける低圧力を検出するため、制御弁内で複数の圧力トランスミッタが用いられ得る。しかしながら、この低圧力の測定値だけでは、ベローズの漏れと、弁の動きの影響又は前記ベローズの漏れと、制御弁の運動に影響を与える、前記充填物との間に閉じ込められた気体の温度の影響とを区別する情報を提供することができない。
【0037】
図5Aは、ベローズ・シールの劣化又は故障を検出するように適合された制御弁507を示す。特に、図5Aは、充填物515とベローズ501との間の流体の圧力を検知できる圧力センサ520を示し、ここでは、ベローズ501と充填物515との間の空間が室530を形成し得る。第2のセンサ532が弁の移動を検知する。この実施例では、2つのセンサ(すなわち、ベローズ室圧力センサ520及び移動センサ532)がポジショナ534にセンサ測定値又はセンサ・データを与えることができる。次いで、ポジショナ534は、ベローズ故障の可能性を決定するために一つのアルゴリズム(さらに後述する)を適用することができる。いくつかのデジタル式ポジショナが弁移動(すなわち、ポジショナにより移動された距離又は異なる時刻における前記弁の位置)を検知するために既に適合されており、したがって、また、いくつかの実施例ではセンサ532がポジショナ534に組み入れられることに注目すべきである。
【0038】
ベローズの故障は、次の条件が決定されたときに示される。
【0039】
(1)前記弁棒が進められ又は移動される間、室530内が一定圧力、又は
(2)前記弁棒の移動なしに室530の圧力の増大
【0040】
上に記載された2つの検出条件は、理想気体の法則PV=nRTを用いて説明することができる。
【0041】
この適用において、Pは室A内の圧力であってもよく、Vは室Aの容積であってもよく、nは室A内の気体のモル数であってもよく、Rは理想気体の定数であってもよく、また、Tは絶対温度であってもよい。一般的に、ベローズ501が機能しかつベローズ・ガスケット511がプロセス流体(例えば、前記制御弁のセクション503における流体)から室530を適切に密封する限り、室530の容積は弁の移動によってのみ影響を受ける。したがって、ベローズ509とベローズ・ガスケット511とに故障がなければ、圧力と移動とは反比例の状態にあるはずである。特に、圧力と移動とは、積nRTにより、反比例の状態にあるはずである。しかしながら、ベローズ509が漏れ又は破れると、室530の圧力と容積との関係が歪められる可能性がある。したがって、漏れ又は破れがあると、前記した条件が室530の圧力と容積との間の関係を示す可能性がある。
【0042】
図5Bは、制御弁におけるベローズ又はベローズ・ガスケット又はシールの故障を検出するためのプロセス又はアルゴリズムの一例を示す。ブロック541において、弁棒の移動つまり運動が検知又は測定される。一実施例では、前記弁棒の位置が定期的に標本抽出され、2つの標本抽出された位置間の差に基づいて移動が決定され得る。ブロック542において、前記ベローズ室の圧力の変化が検知され得る。一実施例では、ベローズ室の圧力の変化が、前記室の圧力を定期的に標本抽出しかつ2つの標本抽出された測定値間の差を取ることにより検知され得る。一実施例では、前記弁棒の位置及び前記ベローズ室の圧力の標本抽出のための期間が同じにされ得る。換言すると、位置及び付与圧力の双方の標本抽出は、共通の期間にわたって同時にすることができる。
【0043】
ブロック543において、前記弁棒が移動しているかどうかを決定し得る。弁棒の移動
がない場合は、ベローズ室の圧力変化544があるかどうかが決定され得る。一実施例では、圧力の変化が、前記弁棒が静止状態にあることが検知された期間と同じ期間内に決定され得る。弁棒の移動543がなく(すなわち、弁棒が静止状態にあった)かつ圧力変化がないときは、前記プロセスがブロック(541)から繰り返してもよい。弁棒がまだ静止状態(543)にあり、また、圧力変化があるときは、ベローズの故障の指示を生成することができる(546)。
【0044】
弁棒が移動している場合(543)、ベローズ室内で対応する圧力変化があるかどうかが決定され得る(545)。545において、対応するベローズ室の圧力変化がある場合は、ブロック541において前記プロセスを繰り返してもよい。対応するベローズ室の圧力変化がない場合(545)、ベローズの故障の指示を生成することができる(546)。前記したように、条件付きのブロック545において対応する圧力変化があるかどうかを決定することは、前記弁の移動距離がベローズ室の圧力変化に反比例するかどうかを決定することを含み得る。ブロック545は、さらに、積nRTにより前記弁の移動距離がベローズ室の圧力変化に反比例するかどうかを決定することを含み得る。
【0045】
一実施例では、任意のプロセスを次のように実行することができる。前記弁棒がブロック543においていくつかのサイクル間(例えば、ブロック543が弁棒の移動がないことを検出するいくつかの連続した時間の間)移動していない場合は、ブロック544がより長い時間にわたってベローズ室の圧力変化を監視することができる。この実施例では、室530におけるゆっくりとした圧力減少を監視することが、補助的な弁棒充填物の劣化又はベローズ・ガスケットにおける漏れを検出するために、用いることができる。ゆっくりした圧力減少が検出されると、充填物又はガスケットの故障指示が生成され得る。一実施例では、前記制御弁のプロセス(例えば、長い開又は閉の期間)の結果として、弁棒は静止状態にあり得る。一実施例では、室530の圧力低下があるかどうかを決定するために前記弁棒を一定期間意図的に止めてもよい。他の実施例では、ゆっくりした圧力減少の監視が、図5Bのプロセスと同時に実行される分離プロセスとして実行され得る。
【0046】
図5Bは複数のブロックの特定の順序を示すが、これらのブロックは順次に配列し直され、この開示の範囲内にとどまることに注目すべきである。例えば、弁棒の移動を最初に確認することに代えて、前記ベローズ室内の圧力変化を最初に確認することができる。
【0047】
図5Aは、ポジショナ534がポジション・センサ532及び圧力センサ520から入力信号を受け取ることができることを示す。ポジショナ534は演算能力を有することができる。例えば、ポジショナはプロセッサとメモリとを有する演算装置(例えば、デジタル式ポジショナ)を含むことができ、図5Bに示すプロセスを実行するためのプログラム命令(例えば、メモリに記憶する)を実行するように適合され得る。図5Aは、前記検出プロセス又はアルゴリズムがポジショナで実行され得ることを示すが、弁ポジショナから分離しかつ弁ポジショナとは異なる演算装置が2つのセンサ520及び532からのセンサ・データを収集しつまり受け取り、ベローズの故障を決定するためにここに記載した前記アルゴリズムを適用するように他の実施例において使用され得ることに注目すべきである。
【0048】
前記制御弁の本体内部の空洞503内の圧力の変化を単に測定する現今のシステムは、ベローズ又は充填物の故障を検出するための情報を提供できない。換言すると、現在のシステムは、誤った警告を発しやすい可能性がある。特に、圧力の変化(例えば、圧力低下)が弁棒の移動によるものであるのか、あるいは前記ベローズ室内(例えば、前記ベローズと前記充填物との間の)に閉じ込められた気体の温度変化の影響によるものであるのかを区別することが困難である。漏洩状態にない前記ベローズを通しての気体の透過は徐々に温度の上昇を引き起こし、誤った警告を与える可能性がある。同様に、前記制御弁の環
境の周囲温度の上昇が誤った警告を与える可能性がある。
【0049】
一実施例において、ベローズの漏れ又は故障が検出されると、保守が行われるまで前記制御弁の安全な動作を確保するために室Aに不活性気体を吹き込むことができる。
【0050】
(空気管及びアクチュエータ・ダイアフラムの劣化の検出)
アクチュエータの漏れは制御弁の性能低下の一因であり、また2つの可能性ある漏洩領域は、空気式アクチュエータのための機器の空気管及び故障が起きたアクチュエータ・ダイアフラムにおける漏れ口である可能性がある。複数の圧力センサが空気式アクチュエータへの付与圧力を検出するために使用でき、また、前記圧力センサからのデータが異常な圧力作用(例えば、前記アクチュエータを経る過剰な気体流動)を示すことが可能で、これにより前記アクチュエータにおける漏れを指示する。しかしながら、このアクチュエータ漏れの原因及び場所は容易には特定するこができない。したがって、付与されたアクチュエータ圧力だけを監視することは、漏れやすいアクチュエータの構成部品を特定するための情報を提供できない。一実施例では、一つのアルゴリズムが、アクチュエータの構成部品の漏れによる制御弁の性能低下の原因を決定しかつ特定するために用いることができる。
【0051】
図6Aは、一組の空気式アクチュエータの構成部品における漏れ口を特定するように適合された制御弁の実施例を示す。ポジショナ34は、該ポジショナを作動させまた検出アルゴリズムを実行するための演算装置(さらに後述する)を含むデジタル式ポジショナであり得る。図6Aに示す実施例では、フロースイッチ91をアクチュエータの排出口45に設置し、かつポジショナ34に配線することができる。この実施例では、アクチュエータの排出口45をフロースイッチ91の入口ポート92に接続することができ、他方、フロースイッチ91の出口ポート93が周囲の大気に開放している。一般的に、フロースイッチは該フロースイッチの入口及び出口間の差圧を検知し、予め定められたフローレベルで電気的スイッチを作動させる。フロースイッチ91は、市販のフロースイッチであってもよい。フロースイッチ91は、動作に外部電源を必要としない受動素子であってもよい。
【0052】
一実施例では、フロースイッチ91は、アクチュエータの排出口45が気体を排出しているときを指示するため、アクチュエータの排出口45に取り付けることができる。現今のデジタル式ポジショナにおいて、前記ポジショナは前記アクチュエータの室の圧力を監視するための診断法を含むことができる。例えば、前記したアクチュエータばねの例と同様、圧力センサが前記アクチュエータへの付与圧力を検知し、前記デジタル式ポジショナに測定値を提供することができる。前記したように、前記デジタル式ポジショナは、例えばアクチュエータの圧力低下が閾値を下回ったとき、何らかの漏れが存在することを検出することができる。しかしながら、おおまかなアクチュエータの圧力低下(例えば、前記ダイアフラム・ケーシングの室内の)を検知しただけでは、前記漏れの原因を特定するための情報を提供することができない。
【0053】
図6Aに示す装置を使用する一実施例では、前記漏れの原因を迅速に特定すべくあるアルゴリズムを用いることができる。図6Bは、漏れ検出アルゴリズム又はプロセスを示す。ブロック600において、アクチュエータ圧力の低下がアクチュエータ漏れの指示を生成し得る。この漏れの指示が発せられ、受け取られ、又は気付かれると、前記ダイアフラムのフロースイッチが流れの状態を決定するためにポーリングを受ける可能性がある(601)。前記フロースイッチが、ブロック602において、気体が前記アクチュエータの排出口を通して排出されていないことを示すときは、機器の管の漏れが存在する可能性がある。この状態が存在するとき、前記デジタル式ポジショナ又は検出装置が管の漏れの指示を生成することができる(603)。前記フロースイッチが、ブロック602において、気体が前記アクチュエータの排出口を通して排出されていることを示す場合は、ブロック604が前記弁棒が運動しているか否かを決定できる。弁棒の運動は、存在する弁棒の移動により、又は前記弁及びアクチュエータ・ステムの位置/運動を検知する複数のポジション・センサにより決定され得る。弁棒の運動は、一般的に、排気の放出を生じさせる。したがって、前記弁棒が運動している場合は、前記漏れの原因を確定することができない。この場合には、前記プロセスは、フロースイッチ601に対するポーリングを再度行いまた前記プロセスの複数のブロックを繰り返すに先立ち、しばらくの間待つことができる(605)。前記フロースイッチがブロック602において排出を指示するときに604において前記弁棒が運動していないことが決定され場合、そのときにはダイアフラムの故障が存在する可能性がある。この場合には、故障のあるダイアフラムの指示又はダイアフラム故障の指示が生成され得る(606)。
【0054】
前記したように、前記フロースイッチは市販の受動フロースイッチであってもよい。例えば、前記フロースイッチは、Gentech FCS-04又はMalema M-60/M064スイッチであってもよい。前記フロースイッチの異なる実施は、開いた又は閉じた排出口に対応する閉じたスイッチポジション又は開いたスイッチポジションを有することができる。上述の前記アルゴリズムは、前記スイッチの極性に適合するように適切に構成され得る。
【0055】
一般的に、現今のばね及びダイアフラム・アクチュエータの様式は、前記アクチュエータの排出口側のばね及びダイアフラムに大気中腐食を負わせる可能性がある。この露出は前記ダイアフラムの寿命を短くし、また、海洋設備における塩分による又は一時的放出による大気中腐食は前記ばねの有効寿命を短くする。この問題に対する解決策は、図7に示すように、前記ポジショナの排出口を前記アクチュエータの排出口に接続することにある。図7は、ポジショナ34の排出口59がダイアフラム・ケーシング40の排出口45に流体移動可能に接続されていることを示す。この構成においては、ポジショナ34がダイアフラム36に圧力を付与しているとき、ダイアフラム36及びダイアフラム・プレート37の下方向への運動により、気体がアクチュエータの排出口45から押し出される可能性がある。ポジショナ34がアクチュエータ・ダイアフラム・ケーシング40の室に排気すると、ダイアフラム36が上方向に向けて(この構成において)運動し、放出された加圧空気がポジショナの排出口59から、アクチュエータの排気口45に接続された前記管に排出される。このように、アクチュエータ49に流入する空気は、外部の大気ではなく、ポジショナの排出口59からの最初の加圧空気である。その結果、前記ダイアフラムとばねとが最初に圧縮空気源からの圧縮空気に接し、この空気は、通常、潜在的に腐食性のある大気(例えば、湿気と塩分を運ぶ)ではなく、フィルタに通されまた乾燥されたものである。
【0056】
図8は、図7に示す原理に立脚する変更された複動式ポジショナ83を使用する漏れ検出システムの実施例を示す。典型的な二重作動ポジショナ内に、2つの供給出口を前記アクチュエータに圧縮空気を供給するために設けることができ、ここにおいて、各供給出口はリレー84のような指定の空気式リレーにより制御され得る。単一の圧縮空気供給のみを必要とするダイアフラム・アクチュエータ、例えば、アクチュエータ85に前記二重作動ポジショナが設置されるときは、第2のリレーがフローメータ86に置き換えられ得る。この場合、アクチュエータの排出口87が、変更されたポジショナ83に戻ってフロースイッチ86に接続され得る。アクチュエータの排出口87は、フロースイッチ86を介してポジショナの排出口88に接続され(内部接続通路は図示せず)、図7におけると同様の効果を生じさせることができる。このように、制御弁は、連結された排出口構成から腐食を防止するように前記した診断プロセスを実行するのに容易に適合され得る。したがって、ダイアフラム及びばね式アクチュエータへの組み込みのための二重動型ポジショナの変更は、ここに記載した診断様式の経済的な取り込みを提供し、またより魅力あるパッケージを提供することができる。さらに、現在ポジショナ83自体の内部に配置されてい
るフロースイッチ86は、前記ポジショナの回路に容易に一体化され又は接続され得る。
【0057】
故障のある管又は故障のあるアクチュエータ・ダイアフラムの検出及び特定の利点は、一つの欠陥を他の欠陥から改善するためのコストの差にある。一般的に、管の漏れはこの分野では短期間内に、容易に入手可能である材料を使って簡単に改善することができ、また、前記弁が点検から除外され又はオフラインされることを必要としなくてもよい。例えば、場合によっては、前記改善は単に取付具の締め付けを含む可能性がある。他方、ダイアフラムの故障は、入手不可能である予備の部品を必要とし、また元通りにするのに著しく長い期間を要する可能性がある。さらに、ダイアフラムの故障は、前記アクチュエータが分解される間に前記制御弁がオフラインされることを必要とする可能性がある。
【0058】
(演算装置の実行)
前記プロセス又はアルゴリズムは、前記制御弁の動作の間に弁の構成部品の劣化を検出し及び/又は構成部品の故障を特定するための演算装置において実行され得る。前記劣化
を検出するアルゴリズムは検出モジュールに組み込むことができる。検出モジュールという用語は、ここでは、センサ・データのようなデータを集め、また前記した欠陥又は故障事象のような事象を決定するためにこのデータについてのある処理を行う任意のタイプのブロック又はエレメントに言及するために使用されることに注目すべきである。結果として、この用語は、これらのエレメントが機能ブロックの形態であるかあるいは他の型のブロック、プログラム、ルーティン又はエレメントであるかを問わず、この機能を果たすソフトウエア、ファームウエア、ハードウエア及び/又は他のエレメントに及ぶように意図
されている。
【0059】
図9は、検出アルゴリズムを実行するように使用され得る演算装置を示す。演算装置50の複数の構成部品は処理装置52と、システムメモリ54と、さまざまなシステム部品を処理装置52に接続するシステム・バス56とを含むが、しかし、これらに限定されない。メモリ54は、処理装置52によりアクセス可能である任意の入手可能なメディアであってもよく、揮発性及び不揮発性の両メディア、取り外し可能及び取り外し不可能の両メディアを含む。ユーザは、キーボードやポインティング・デバイスのようなユーザ入力装置66を介して演算装置50にコマンド及び情報を入力することができる。これらの及び他の入力装置が、システム・バス56に接続され得るユーザ入力インターフェース60を介して、処理装置52に接続され得る。また、モニタ又は他の型のディスプレイ装置が、ユーザ・インターフェース60を介して、プロセッサ52に接続さ得る。他のインターフェース及びバス構造もまた使用され得る。特に、複数の他のデバイス(例えば、複数のセンサ)からの複数の入力信号62が入出力(I/O)インターフェース58を介して演
算装置50に受け取られ、また、演算装置120からの出力信号64が入出力(I/O)
インターフェース58により他の複数の装置に供給され得る。インターフェース58及び60は、システム・バス56を介して、種々のデバイスをプロセッサ52に接続する。
【0060】
図10は、図9に示す演算装置50に組み込まれた検出モジュール70を示す。一実施例では、図10に示された検出モジュール70が、アクチュエータに付与された圧力の変化及び弁移動距離のような入力信号を受け取ることにより空気式制御弁におけるアクチュエータのばねの悪化を検出するためのアルゴリズムを実行するために、使用され得る。
【0061】
論理ブロック72が一組(すなわち、1つもしくは複数)のセンサ又は測定信号74を受け取り、前記組のプロセス信号74(例えば、差、平均等)のパラメータを算出することができる。算出された1つ又は複数のパラメータは、規則ブロック78に含まれる規則に従って動作する検出ブロック76により受け取られ得る。規則ブロック78は、例えば、演算装置50(図9)のメモリ54の一部内に組み込まれており、さらに後述するように、劣化し又は故障を起こした構成部品を検出するためのアルゴリズムを規定することがで
きる。
【0062】
一実施例では、第1の組の算出されたパラメータが被処理値ブロック80に記憶され得る。前記被処理値は、例えば、演算装置50により算出され、また定期的に更新され得る。例えば、一実施例では、前記被処理値は、論理ブロック72であって第1の動作期間、典型的には前記プロセスの通常動作の間又は構成フェーズの間の期間の間に名目上又は通常の複数のパラメータを生成し又は獲得する論理ブロック72により生成され得る。これらの名目上のパラメータは、次に、さらなる使用のために被処理値ブロック80に被処理値として記憶され得る。この動作は、特定の動作条件のための被処理値80の動的調整を可能にする。この状況では、複数のパラメータ(前記被処理値ために用いられ得る)は、前記プロセス又は動作状況に基づいてユーザが選択可能である期間中監視され得る。一実施例では、演算装置50のような演算装置が前記被処理値を生成させ又は受け取り、あるいは前記被処理値を他のプロセス装置に伝達するように使用され得る。
【0063】
規則ブロック78は、前記した構成部品の故障を検出し又は特定するための規則を含むことができる。例えば、規則ブロック78は、構成部品の故障を決定するための前記した1つもしくは複数のプロセスを実行するプログラム命令を含むことができる。検出ブロック76は、故障の事象が検出されたときに警告82を出力するようにプログラムすることができる。
【0064】
一実施例では、統計的プロセス監視アプローチが、1つもしくは複数の前記した劣化検出アルゴリズムをさらに改善すべく実行され得る。例えば、前記ばねの故障検出アルゴリズムに適用されるときは、論理ブロック72が、最初の設定又は獲得期間の間に所与のアクチュエータ・ロッドの移動距離(ΔT)のためのアクチュエータ圧力の変化(ΔP)の基準の平均(μ)及び基準の標準偏差(σ)を決定することができる。これらのパラメータは、「通常」の条件における前記プロセスの表現とみなすことができる。次いで、前記ベースラインの平均及びベースラインの標準偏差は、複数の処理値として(すなわち、ブロック80を使用して)、メモリ54に記憶され得る。監視フェーズの間、前記アルゴリズムを実行するモジュール70が前記圧力変化の現在の値を取り、プロセス平均
【数2】

と、弁移動における所与の変化のための前記圧力変化の標準偏差(S)と、を算出する(又は逆も同様)。
【0065】
組み込まれたSPMアルゴリズムを用いて、例えば、計算ブロック76を介して、実際の又は現在の平均がある閾値を超えてベースラインの平均から異なるときにばねの劣化が検出ブロック76で検出され、また、指示又は警告82が出力され得る。例えば、現在の平均があるパーセントを超え、ベースラインの平均
【数3】

を下回るときにばねの故障が検出され得る。
【0066】
式中、αはユーザが定めるパーセント(例えば、5%)である。この式は、規則ブロック78において1つもしくは複数の規則として表わされ得る。一実施例では、検出モジュール70が検出閾値(例えば、ユーザにより定められたもの)のための入力信号を含み得
る。この実施例では、前記検出閾値が被処理値として記憶され得る。
【0067】
他の実施例では、前記閾値が前記獲得フェーズの間に観察された差異に基づいて設定され得る。例えば、ばねの故障は、
【数4】

であるときに検出され得る。この場合、前記観察された差異は被処理値ブロック80を介してメモリ54に記憶され得る。したがって、この実施例では、前記検出閾値が自動的に決定され、手動設定の総数が低減され得る。前記観察され又は検出された差異に従って、3以外の標準偏差のための任意の他の乗数が使用されることに注目すべきである。また、前記差異変数は前記検出モジュールにより自動的に算出されるが、この変数は被処理変数としてユーザ設定可能のパラメータ入力信号であり得る(例えば、ユーザの入出力66)。
【0068】
他の実施例では、最初のばね定数が与えられ(例えば、特定の空気式制御弁について製造業者により与えられ)、この最初のばね定数は、ある一つの最初のばね定数を算出し又は検証することなしに、被処理値として記憶され得る。一実施例では、前記アルゴリズムのための予め定められた閾値は被処理値ブロック80に記憶され得る。
【0069】
同じような方法で、SPMが前記ベローズの漏れ検出アルゴリズムに適用することができ、ここにおいて、論理ブロック72が、最初の期間に所与の弁棒の運動に関してベローズ室の圧力変化のベースラインの平均(μ)及びベースラインの標準偏差(σ)を決定することができる(又は、逆もまた同様)。監視フェーズの間に、前記アルゴリズムを実行する検出モジュール70が前記圧力変化及び弁棒移動の現在値を取り、他方におけるある変化に対抗する一つの差異のプロセス平均
【数5】

と、標準偏差(S)とを計算することができる。実際と予想の偏差の違いが閾値を超えるとき、ベローズ漏れの指示が生成され得る。
【0070】
(アクチュエータばねの劣化検出モジュールとともに用いられるプロセス制御システム)
一般的に、前記したような制御弁は、図11に示すようなプロセス制御システムに実装され、かつプロセス制御システムにより制御され得る。前記アルゴリズムを含む検出モジュールが、図11に示すプロセス制御システムの1つもしくは複数の構成部品に実装され得る。
【0071】
図11を特に参照すると、加工プラント210の一例は、1つもしくは複数の通信ネットワークを介して支援機器と共に互いに接続された、いくつかの制御及び保守システムを含むことができる。特に、図11に示す加工プラント210は、1つもしくは複数のプロセス制御システム212及び214を含むことができる。プロセス制御システム212は、PROVOX又はRS3システム、あるいは、コントローラ212Bと、アナログおよびハイウエイ・アドレサブル・リモート・トランスミッタ(Highway Addressable Remote
Transmitter (HART (登録商標))フィールド・デバイス215のような種々のフィールド・デバイスに接続された複数の入出力(I/O)カード212Cとに接続されたオペレー
タ・インターフェース212Aを含む任意の他の制御システムからなる場合がある。プロ
セス制御システム214は、分散型プロセス制御システムであってもよく、イーサネット(登録商標)・バスのようなバスを介して1つもしくは複数の分散型コントローラ214Bに接続された1つもしくは複数のオペレータ・インターフェース214Aを含む。コントローラ214Bは、例えば、テキサス州オースチンのエマーソン プロセス マネージメント(Emerson Process Management)により販売されているDeltaV(商標)・コントローラ、又は他の所望の型のコントローラであってもよい。コントローラ214Bは、入出力装置を介して、例えば、HART又はFOUNDATION(商標)Fieldbusからなるフィールド・デバイス、又は例えば、PROFIBUS(商標)、WORLDFIP(商標)、Device-Net(商標)、AS−インターフェース及びCANプロトコルのいずれかを使用するフィールド・デバイスを含む他の任意のスマート若しくは非スマート型フィールド・デバイスのような1つもしくは複数のフィールド・デバイス216に接続されている。
【0072】
一般的に、プロセス・コントローラ212B又は214Bのようなプロセス・コントローラは、プラント・ネットワーク・システムと通信し、前記プロセス・コントローラの管理下にある動作(例えば、フィールド・デバイスの動作)についての情報を提供し、また、プロセス・コントローラの動作の調整に使用される前記プラント・ネットワーク・システムからの設定点信号を受け取ることができる。周知のとおり、フィールド・デバイス215又は216は物理的なプロセス・パラメータを制御し(例えば、制御弁又は他の機構のアクチュエータとして)、又は物理的なプロセス・パラメータを測定することができる(例えば、センサとして)。前記フィールド・デバイスは、コントローラ212B又は214Bと通信し、プロセス制御信号を受け取り、又は物理的なプロセス・パラメータに関するデータを供給することができる。前記通信は、アナログ又はデジタルの信号を介して行われ得る。入出力装置212Cのような複数の入出力装置は、フィールド・デバイスから、プロセス・コントローラへの通信に関するメッセージを受け取ることができ、又はプロセス・コントローラからフィールド・デバイスに関するメッセージを受け取ることができる。オペレータ・インターフェース214A(又は212A又は218)は、例えば、制御最適化ツール、診断エキスパート、ニューラル・ネットワーク、チューナ等を含む前記プロセスの動作を制御するためのプロセス制御オペレータに利用可能であるツール217,219を記憶し、また実行することができる。
【0073】
保守システムがプロセス制御システム212及び214、又は診断及び監視の活動を行う前記プロセス制御システムの個々の装置に接続される場合がある。例えば、保守コンピュータ218が、通信のために、また、場合によってはデバイス215の他の保守活動を再設定し、又はこれを行うために、任意の所望の通信回線又はネットワーク(無線又は携帯端末ネットワークを含む)を介してコントローラ212B及び/又はデバイス15に接
続される場合がある。同様に、保守用アプリケーションが、デバイス216の動作状態に関するデータ収集を含む、保守および機能の監視を行うための分散型プロセス制御システム214に関連する1つもしくは複数のユーザ・インターフェース214Aに組み込まれまた該ユーザ・インターフェースにより実行され得る。
【0074】
ワークステーション212A、214A又は218のいずれかを代表できるコンピュータシステム又はワークステーション274は、一般的に、プロセッサ274Aと、メモリ274Bと、ディスプレイ装置274Cとを含むことができる。ワークステーション274は、異常状況阻止システム235の少なくとも一部(異常状況阻止システムと称することがある)を実行し、また、特に、コンピュータシステム274は、ディスプレイ274C(又はプリンタのような任意の他のディスプレイ装置)を通してユーザに情報を提供するために構成アプリケーション238と故障検出システム(例えば、プロセッサ274Aを使用して)とを記憶し(例えば、メモリ274Bを使用して)、かつ実行することができる。加えて、コンピュータシステム274は、警報又は警告アプリケーション243を実行することができる。もちろん、検出システム235、警報アプリケーション243及
び/又は構成システム238は、同一の又は異なるソフトウエア・コンポーネントの一部
として実行され得る。
【0075】
データベース278はコミュニケーション・バス245に接続され、構成情報ならびにオンラインプロセス変数データ、パラメータデータ、状況データ、および加工プラント210内のプロセス・コントローラ212B又は214B及びフィールド・デバイス215又は216に関連する他のデータとを収集し、かつ記憶するデータ史家として動作することができる。
【0076】
一般的に言えば、異常状況阻止システム235は、加工プラント210内のフィールド・デバイス216,216、コントローラ212B,214B、並びにあらゆる他の所望のデバイスおよび装置に任意的に配置された検出モジュール、及び/又は、コンピュータ
システム274内の故障検出システム274と通信することができ、これらの構成部品のそれぞれを構成し、これらが監視している前記デバイス又はサブシステムの動作に関する情報を受け取る。異常状況阻止システム235は配線で接続されたバス245を介してプラント210内のコンピュータ又はデバイスの少なくともいくつかのそれぞれに通信可能に接続され、あるいは代わりに、例えば、無線接続、OPCを使用する専用接続、データを収集するための携帯端末に依存するもの等の間欠的接続、を含む任意の他の所望の通信接続を介して接続され得る。同様に、異常状況阻止システム235は、加工プラント210内の前記フィールド・デバイス及び装置に関するデータを取得することができ、その取得は、このようなデータが例えば第三者サービスプロバイダにより収集されるようにローカルエリア・ネットワーク(LAN)、公衆接続、例えばインターネット、電話接続等(インターネット接続246として図11に示されている)を介して行われる。さらに、異常状況阻止システム235は、例えば、イーサネット(登録商標)、モドバス(Modbus)、HTML、XML、専有技術/プロトコル等を含む種々の技術及び/又はプロトコルを介して、プラント210内のコンピュータ/デバイスに通信可能に接続され得る。
【0077】
加えて、フィールド・デバイス215及び216は、例えば、センサ、弁、トランスミッタ、ポジショナ等のような任意のタイプの装置であってもよく、また、任意の所望の開放された、専有の、又はその他の通信若しくはプログラミングのプロトコルに適合することができる。また、入出力デバイス212Cがフィールド・デバイス215により使用される所望のプロトコルに適合できることが理解されよう。
【0078】
1つもしくは複数のフィールド・デバイス215及び216のそれぞれは、異常な構成部品の検出のための検出アルゴリズムを実行するためのルーティンのようなルーティンを記憶するためのメモリ(図示せず)を含むことができ、これについては後述する。また、1つもしくは複数のフィールド・デバイス215及び216のそれぞれは、また、センサ・データ収集を実行するためのルーティン及び/又は構成部品の故障検出のためのルーティ
ンのようなルーティンを実行するプロセッサ(図示せず)を含むことができる。センサ・データ収集及び/又は異常動作検出はソフトウエアによって必ずしも実行される必要がな
いことに注目すべきである。むしろ、この技術分野の当業者は、このようなシステムが、1つもしくは複数のフィールド・デバイス及び/又は他のデバイス内のソフトウエア、フ
ァームウエア及び/又はハードウエアの任意の組み合わせにより実行され得ることを認め
るであろう。
【0079】
図10に示す検出モジュール70は全体として又は一部分としてフィールド・デバイス内に実装可能であり、次いで、前記フィールド・デバイスは前記したものに類似した空気式制御弁に接続され得る。一実施例では、前記検出モジュールは、プロセス・コントローラ212B又は214B、ワークステーション274(例えば、検出アプリケーション242を介して)、又は他のデバイス内に実装され得る。代わりに、検出モジュール70の
複数のプロセス・ブロックが全体としてフィールド・デバイス(例えば、215又は216)内に実装され得、又はフィールド・デバイスとプロセス・コントローラとの間で分配され得る。1つの特定の導入においては、検出モジュール70が、例えば、前記したまたFOUNDATION(商標)フィールドバス・プロトコルを実行するプロセス制御システムにおいて使用される機能ブロックのような機能ブロックとして実装され得る。
【0080】
構成部品の故障は異なるセンサの組み合わせ(前記したような)を用いて検出できるため、センサを有する図11に示す任意のフィールド・デバイスを関連のあるパラメータ(
例えば、圧力、移動、流れ等)を測定するのに用いることができる。しかしながら、そこ
には、内蔵の信号処理部(例えば、異常状況阻止を有するローズマウント(Rosemount)
製3051S)を有するフィールド・デバイスを使用する利点がる可能性がある。特に、プロセス制御フィールド・デバイスは、ホスト・システム(例えば、プロセス・コントローラを介してフィールド・デバイスから測定値を収集するワークステーション)よりも早い速度で抽出されたデータへのアクセスを有するため、前記フィールド・デバイスにおいて算出されたセンサ・データがより正確であり得る。その結果、フィールド・デバイスに実装された前記検出装置は、一般的に、前記センサ・データが収集された前記デバイスの外部に配置されたブロックよりも、前記収集されたセンサ・データに関してより細粒の計算を決定することが可能である。したがって、場合によっては、故障のより迅速な検出が、内臓の信号処理を有するフィールド・デバイスを用いて達成され得る。
【0081】
ローズマウント製3051FOUNDATION(商標)フィールドバスからなるフィールド・デバイスが、統計的プロセス監視(SPM)能力を有する先端的診断方法ブロック(Advanced Diagnostics Block(ADB))を備えることに注目すべきである。このSPMブロックは
プロセス変数(例えば、特性図表)のベースライン平均及び標準偏差を獲得する能力を有することができ、獲得したプロセス変数と現在の平均及び標準偏差と比較し、これらのどちらかがユーザ指定の閾値を超えて変化するときにPlant Web(登録商標)警告を生成さ
せることができる。前記フィールド・デバイスにおける前記SPMの機能性は、構成部品の故障を検出するためにここの記載に基づく検出モジュールとして動作するように構成されることが可能である。
【0082】
前記警報/警告アプリケーション243は、プラント210の検出モジュール70によ
り生成された警報を管理し及び/又は送るように使用することができ、ここにおいて、検
出モジュール70は前記した1つ、もしくは複数のアルゴリズムを実行できる。この場合、劣化又は故障の事象が検出されると、意味のある警報が、運転を監視し、かつ維持する責任を有する個人又はグループ(例えば、オペレータ、エンジニア、保守管理者等)に提供され得る。誘導支援は、人がユーザ・インターフェース(例えば、前記プロセス制御システムに接続されたワークステーション274における)を通して状況を解決するのを手助けするために提供され得る。前記警報に応答してユーザに示される補正動作は、構成部品を修理し、又は前記制御弁の保守の予定を立てるべきことの指示を含むことができる。例えば、前記したアクチュエータ漏れの検出においては、前記アクチュエータの漏洩源(例えば、ダイアフラムの故障又は機器の管)の指示を受け取ると、ワークステーション274がユーザに管の漏れを改善するために取付具を締め付けるか又はアクチュエータ・ダイアフラムの交換の予定を立てるかの指示をするか又は提供することができる。
【0083】
検出モジュール70は、警報アプリケーション243及び/又は前記加工プラント内の
他のシステムを介して、異常状況阻止システム235に情報を提供することができる。例えば、検出ブロック76により生成された前記故障指示が、オペレータに不良状態を知らせるため、異常状況阻止システム235及び/又は前記警報/警告アプリケーション243に提供され得る。他の実施例では、(構成部品の故障が検出されたとき)オペレータがパラメータの値を見ることができるように、検出モジュール70が異常状況阻止システム2
35に複数のパラメータの値を提供することができる。
【0084】
プロセス制御システムにおいては、検出モジュール70(フィールド・デバイス又はプロセス・コントローラを介して実行される)が構成アプリケーション238と通信状態におかれてもよく、ユーザが検出モジュール70を設定することを可能にする。例えば、検出モジュール70の1つもしくは複数のブロックは、構成アプリケーション238を介して修正され得るユーザ設定可能のパラメータ(例えば、製造業者又はプラント・データベースにより提供される最初のアクチュエータのばね定数)を有することができる。
【0085】
次の文章は、多くの異なる実施例の詳細な説明を示すが、前記説明の法律的範囲はこの特許の最後に明記された特許請求の範囲の言葉により規定されることと理解されるべきである。前記詳細な説明は、例としてのみ解釈されるべきであり、すべての可能性ある実施例を説明することは不可能ではないとしても非現実的であるから、すべての可能性ある実施例を説明しない。現在の技術又はこの特許の出願日後に開発された技術を用いて数多くの代わりの実施例が導入されるであろうが、それはなおも特許請求の範囲内に収まるものである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11