(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5677616
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】くさび緊結式足場における緊結装置
(51)【国際特許分類】
E04G 7/32 20060101AFI20150205BHJP
E04G 7/34 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
E04G7/32 A
E04G7/34 303A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-204843(P2014-204843)
(22)【出願日】2014年10月3日
【審査請求日】2014年10月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592178303
【氏名又は名称】東阪工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】坂本 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】宮本 親幸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 隆司
(72)【発明者】
【氏名】内藤 賢
【審査官】
津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−050656(JP,A)
【文献】
特開平11−002023(JP,A)
【文献】
実開平06−020747(JP,U)
【文献】
特開2007−031987(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2007−0111597(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/32
E04G 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の所定高さの外周に固着せられた受け金具と、2つの支柱間に渡される腕木材の端部に設けられた係止金具とよりなり、受け金具は、平面からみてコ形で中央壁が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具は、垂直部の上端に後ろ向き水平突出部が形成せられるとともに垂直部から下方に逆くの字状にのびその下半が受け金具の中央壁と略同じ斜度で前下がりに傾斜した逆くの字部とさらにこれより後ろ下がりに傾斜した下端部とを有する縦長板状のくさびと、横断面が支柱の外周面にそう垂直壁にくさび嵌め入れ用後方開口凹部を上縁に有する後方突出状周縁が設けられ、この周縁の高さの上方寄り部分が腕木材の外周にそうように弧状に突出せしめられて腕木材の外周両側に固着せられ、さらにその下方において受け金具の中央壁に引っ掛けられる下向き段部が形成せられるとともに、これより下部分が受け金具を挿通してその下方に突出する長さの受け金具挿通部となされ、くさびがその上端の後ろ向き水平突出部を上縁の上方に残して上下動自在に嵌めいれられるとともにその下端部が周縁下端の後面に接し得るようになされたくさび案内部材とよりなりなるくさび緊結式足場における緊結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、くさび緊結式足場における緊結装置に関する。
【0002】
なお、この明細書において、支柱と腕木材との関係において、前とは緊結する支柱のある側を、後ろとは緊結する腕木材のある側をいうものとする。
【背景技術】
【0003】
本願出願人が先に提案したくさび緊結式足場における緊結装置が、下記特許文献1に開示されている。
【0004】
この緊結式足場における緊結装置は、支柱の所定高さの外周に固着せられた受け金具と、2つの支柱間に渡される腕木材の端部に前側が露出するように埋入付設せられかつ受け金具に係止せられる係止金具とよりなり、受け金具は、平面からみてコ形で中央壁が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具は、緊結のため降下せしめられるさいに支柱と接する垂直部を備えた前縁と受け金具の中央壁と略同じ斜度で前下がりに傾斜した後縁を有する縦長板状のくさびと、一部が腕木材から下方に突出しかつ平面からみて受け金具に嵌る大きさのコ形で中央壁が受け金具と同じ斜度で前下がりに傾斜せしめられており、くさびが上下動自在に挿入せられているくさび案内部材と、くさびとくさび案内部材の中央壁の間に介在せられて上端部がくさび案内部材の上部に前後揺動自在に取付けられ、かつ下端部に後方に突出した抜け止め突起が設けられるとともに、押しばねでくさび側に付勢せられている揺動バーを備えており、くさび案内部材の両側壁にくさび脱出阻止バーが渡し止められ、くさび脱出阻止バーが横断しかつくさびの上下動に必要な縦長さで緊結解除時くさび脱出阻止バーが接する後縁を備えた縦長孔または前向き切欠部がくさびに形成せられ、くさび案内部材の腕木材のから下方が受け金具への挿入部となされ、くさび案内部材の中央壁における挿入部分には、前後貫通状抜け止め突起収納部が形成せられ、くさび案内部材の挿入部が受け金具に挿入されて受け金具の上端に腕木材の端部が受け止められた状態において、受け金具の中央壁に抜け止め突起収納孔に対応して抜け止め突起受け入れ部が形成せられ、抜け止め突起受け入れ部は、係止金具が受け金具から上方に抜けようとしたさい抜け止め突起が引っ掛かる上縁を有しており、揺動バーが、緊結時ばね力に抗して後方に揺動して抜け止め突起を受け金具の抜け止め突起受け入れ部に押し入れ、緊結解除時ばね力により前方に揺動して抜け止め突起を受け金具の抜け止め突起受け入れ部から引き出すように、くさび案内部材の中央壁とくさびとの間隔が定められているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−280743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の装置によれば、受け金具の上端に腕木材の端部が直接受けられており、くさび作用により腕木材がぐらつくことがないので、腕木材はしっかりと水平に保たれ、しかも、薄鋼板製の床付き布わくを使用してこれに風圧が下から加わったとしても、係止金具側の抜け止め突起が受け金具の抜け止め突起受け入れ部の上縁に引っ掛かるので上に抜ける危険性がなく、エキスパンドメタル製でなく薄鋼板製の床付き布わくを使用できるという利点があるが、構造が若干複雑である。
【0007】
本発明の目的は、構造が簡単なくさび緊結式足場における緊結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明によるくさび緊結式足場における緊結装置は、支柱の所定高さの外周に固着せられた受け金具と、2つの支柱間に渡される腕木材の端部に設けられた係止金具とよりなり、受け金具は、平面からみてコ形で中央壁が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具は、垂直部の上端に後ろ向き水平突出部が形成せられるとともに垂直部から下方に逆くの字状にのびその下半が受け金具の中央壁と略同じ斜度で前下がりに傾斜した逆くの字部とさらにこれより後ろ下がりに傾斜した下端部とを有する縦長板状のくさびと、横断面が支柱の外周面にそう垂直壁にくさび嵌め入れ用後方開口凹部を上縁に有する後方突出状周縁が設けられ、この周縁の高さの上方寄り部分が腕木材の外周にそうように弧状に突出せしめられて腕木材の外周両側に固着せられ、さらにその下方において受け金具の中央壁に引っ掛けられる下向き段部が形成せられるとともに、これより下部分が受け金具を貫通してその下方に突出する長さの
受け金具挿通部となされ、くさびがその上端の後ろ向き水平突出部を上縁の上方に残して上下動自在に嵌めいれられるとともにその下端部が周壁下端の後面に接し得るようになされたくさび案内部材とよりなりなるものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によるくさび緊結式足場における緊結装置は、支柱の所定高さの外周に固着せられた受け金具と、2つの支柱間に渡される腕木材の端部に設けられた係止金具とよりなり、受け金具は、平面からみてコ形で中央壁が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具は、垂直部の上端に後ろ向き水平突出部が形成せられるとともに垂直部から下方に逆くの字状にのびその下半が受け金具の中央壁と略同じ斜度で前下がりに傾斜した下半を有する逆くの字部とさらにこれより後ろ下がりに傾斜した下端部とを有する縦長板状のくさびと、横断面が支柱の外周面にそう垂直壁にくさび嵌め入れ用後方開口凹部を上縁に有する後方突出状周縁が設けられ、この周縁の高さの上方寄り部分が腕木材の外周にそうように弧状に突出せしめられて腕木材の外周両側に固着せられ、さらにその下方において受け金具の中央壁に引っ掛けられる下向き段部が形成せられるとともに、これより下部分が受け金具を貫通してその下方に突出する長さの
受け金具挿通部となされ、くさびがその上端の後ろ向き水平突出部を上縁の上方に残して上下動自在に嵌め入れられるとともにその下端部が周壁下端の後面に接し得るようになされたくさび案内部材とよりなりなるものであるから、くさび上端の後ろ向き水平突出部をハンマーで叩いてくさびを押し下げると、くさびの垂直部はくさび案内部材の垂直部に密接するとともに、くさびの逆くの字部下半が受け金具の中央壁に密接し、きらにこれより後ろ下がりに傾斜した下端部が受け金具の後方突出状周縁の後面に接することによりくさびが降下状態に保たれる。その結果、くさび作用により腕木材がぐらつくことがないので、腕木材はしっかりと水平に保たれ、しかも薄鋼板製の床付布わくを使用してこれに風圧が下から加わったとしても、係止金具が受け金具がから上に抜ける危険性はない。したがって、構造が簡単であるに関わらずエキスパンドメタル製でなく薄鋼板製の床付き布わくを使用できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】支柱に腕木材を緊結する直前の状態を示す水平断面図である。
【
図2】支柱に腕木材を緊結する直前の状態を示すくさび案内部材を含む腕木材の前端部を切り欠いた
図1の側面図である。
【
図3】係止金具を受け金具に入れ、くさび案内部材の下向き段部を受け金具の中央壁に引っ掛け、くさびをくさび案内部材に叩き入れた状態を示す受け金具およびくさび案内部材を含む腕木材の前端部を切り欠いた側面図である。
【
図4】
図3のIV−IV線にそう断面図断面図である。
【
図5】くさびをくさび案内部材からハンマーで叩き上げて出す状態を示す受け金具およびくさび案内部材を含む腕木材の前端部を切り欠いた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1ないし
図5に示すくさび緊結式足場における緊結装置は、支柱(1)の所定高さの外周に固着せられた受け金具(2)と、2つの支柱(1)間に渡される腕木材(3)の端部に設けられた係止金具(4)とよりなり、受け金具(2)は、平面からみてコ形で中央壁(5)が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具(4)は、垂直部(6)の上端に後ろ向き水平突出部(7)が形成せられるとともに垂直部(6)から下方に逆くの字状にのび受け金具(2)の中央壁(5)と略同じ斜度で前下がりに傾斜した下半(8)を有する逆くの字部(9)とさらにこれより後ろ下がりに傾斜した下端部(10)とを有する縦長板状のくさび(11)と、横断面が支柱(1)の外周面にそう垂直壁(12)にくさび嵌め入れ用後方開口凹部(13)を上縁(14a)に有する後方突出状周縁(14)が設けられ、この周縁(14)の高さの上方寄り部分が腕木材(3)の外周にそうように弧状に突出せしめられて腕木材(3)の外周両側に固着せられ、さらにその下方において受け金具(2)の中央壁(5)に引っ掛けられる下向き段部(15)が形成せられるとともに、これより下部分が受け金具(2)を貫通してこれより下方に突出する長さの受け金具挿通部(16)となされ、くさび(11)がその上端の後ろ向き水平突出部(7)を上縁(14a)の上方に残して上下動自在に嵌め入れられるとともにその下端部(10)が周壁(14)下端の後面に接し得るようになされたくさび案内部材(17)とよりなりなるものである。
【0012】
図1およぴ
図2に示す支柱(1)に腕木材(3)を緊結する直前の状態から支柱(1)に腕木材(3)を緊結するには、
図3に示すように、受け金具(2)に腕木材(3)の端部に設けられた係止金具(4)を入れ、くさび(11)の後ろ向き水平突出部(7)をハンマー(18)で叩くことにより、くさび(11)を押しさげる。すると、くさび(11)の垂直部(6)はくさび案内部材(17)の垂直部(12)に密接するとともに、くさび(11)の逆くの字部(9)の下半(8)が受け金具(2)の中央壁(5)に密接し、きらにこれより後ろ下がりに傾斜した下端部(10)が受け金具(2)の後方突出状周縁(13)下端の後面に接することによりくさび(11)が降下状態に保たれる。その結果、くさび作用により腕木材(3)がぐらつくことがないので、腕木材(3)はしっかりと水平に保たれる。
【0013】
支柱(1)に緊結された腕木材(3)を外すには、
図5に示すように、が受け金具(2)の後方突出状周縁(13)下端の後面に接する状態にあるくさび(11)の下端部(10)をハンマー(18)で叩き上げれば、くさび(11)を上に上げることができるので、受け金具(2)から腕木材(3)の端部に設けられた係止金具(4)を上へ抜けばよい。
【符号の説明】
【0014】
(1) 支柱
(2) 受け金具
(3) 腕木材
(4) 係止金具
(5) 受け金具の中央壁
(6) 係止金具の垂直部
(7) 係止金具の後ろ向き水平突出部
(8) 係止金具の垂直部から下方にのびた逆くの字部の下半
(9) 係止金具の垂直部から下方にのびた逆くの字部
(10) 逆くの字部の下半より後ろ下がりに傾斜した下端部
(11) くさび
(12) くさび案内部材の垂直壁
(13) くさび案内部材の後方突出状周縁の上縁の後方開口凹部
(14) くさび案内部材の後方突出状周縁
(14a) くさび案内部材の後方突出状周縁の上縁
(15) くさび案内部材の下向き段部
(16) 受け金具挿通部
(17) くさび案内部材
【要約】
【課題】構造が簡単なくさび緊結式足場における緊結装置を提供する。
【解決手段】くさび緊結式足場における緊結装置は、支柱に固着せられた受け金具と、腕木材の端部の係止金具とよりなる。受け金具は、平面視コ形で中央壁が前下がりに傾斜している。係止金具は、上端に後ろ向き水平突出部を有する垂直部と垂直部から下方に逆くの字状にのびその下半が受け金具の中央壁と略同じ斜度で前下がりに傾斜した逆くの字部とこれより後ろ下がりに傾斜した下端部とを有する縦長板状のくさびと、横断面が支柱の外周面にそう垂直壁に後方開口凹部を上縁に有する後方突出状周縁が設けられこの周縁左右の高さの上方寄り部分が弧状となされて腕木材の外周両側に固着せられ、その下方に下向き段部が形成せられ、その下部分が受け金具貫通部となされ、くさびが後ろ向き水平突出部を残して嵌め入れられたくさび案内部材とよりなりなる。
【選択図】
図3