【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例、製剤例及び試験例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、製剤例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
なお、以下の記載において、%は、特に示さない限り全て重量%を意味する。
【0040】
実施例1:アセトアミノフェン/リドカイン配合製剤
塩基性消炎鎮痛剤としてアセトアミノフェンを、また、局所麻酔剤としてリドカインを選択し、両者を配合した外用貼付剤を調製した。
(処方)
SIS 16%
流動パラフィン 28%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 40%
リドカイン 10%
アセトアミノフェン 5%
全 量 100%
【0041】
(製法)
予め、アセトアミノフェンをN−メチル−2−ピロリドン、およびリドカインをトルエンに溶解させ、それぞれを順次、トルエンに溶解させた残りの基剤成分と混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後、トルエン、およびN−メチル−2−ピロリドンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、所望の経皮吸収製剤(粘着層の厚み100μm)を得た。
【0042】
実施例2:アセトアミノフェン/オキシブプロカイン配合製剤
塩基性消炎鎮痛剤としてアセトアミノフェンを、また、局所麻酔剤としてオキシブプロカインを選択し、両者を配合した外用貼付剤を調製した。
(処方)
SIS 16%
流動パラフィン 28%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 40%
オキシブプロカイン 10%
アセトアミノフェン 5%
全 量 100%
【0043】
(製法)
予め、アセトアミノフェンをN−メチル−2−ピロリドン、およびオキシブプロカインをトルエンに溶解させ、それぞれを順次、トルエンに溶解させた残りの基剤成分と混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後、トルエン、およびN−メチル−2−ピロリドンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、所望の経皮吸収製剤(粘着層の厚み100μm)を得た。
【0044】
実施例3:バルデコキシブ/オキシブプロカイン配合製剤
塩基性消炎鎮痛剤としてバルデコキシブを、また、局所麻酔剤としてオキシブプロカインを選択し、両者を配合した外用貼付剤を調製した。
(処方)
SIS 18%
流動パラフィン 23%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 40%
オキシブプロカイン 15%
バルデコキシブ 3%
全 量 100%
【0045】
(製法)
予め、バルデコキシブをN−メチル−2−ピロリドン、およびオキシブプロカインをトルエンに溶解させ、それぞれを順次、トルエンに溶解させた残りの基剤成分と混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後、トルエン、およびN−メチル−2−ピロリドンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、所望の経皮吸収製剤(粘着層の厚み100μm)を得た。
【0046】
比較例1:アセトアミノフェン配合製剤
比較例1として、アセトアミノフェンのみを配合した外用貼付剤を調製した。
(処方)
SIS 16%
流動パラフィン 38%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 40%
アセトアミノフェン 5%
全 量 100%
【0047】
(製法)
予め、アセトアミノフェンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解した後、トルエンに溶解させた残りの基剤成分と混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後トルエン、およびN−メチル−2−ピロリドンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、所望の経皮吸収製剤(粘着層の厚み100μm)を得た。
【0048】
比較例2:リドカイン配合製剤
比較例2として、リドカインのみを配合した外用貼付剤を調製した。
(処方)
SIS 16%
流動パラフィン 33%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 40%
リドカイン 10%
全 量 100%
【0049】
(製法)
リドカインと他の基剤成分とをトルエンに溶解、混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後、トルエンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、所望の経皮吸収製剤(粘着層の厚み100μm)を得た。
【0050】
比較例3:オキシブプロカイン配合製剤
比較例3として、オキシブプロカインのみを配合した外用貼付剤を調製した。
(処方)
SIS 16%
流動パラフィン 33%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 40%
オキシブプロカイン 10%
全 量 100%
【0051】
(製法)
オキシブプロカインと他の基剤成分をトルエンに溶解、混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後、トルエンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、所望の経皮吸収製剤(粘着層の厚み100μm)を得た。
【0052】
比較例4:バルデコキシブ配合製剤
比較例4として、バルデコキシブのみを配合した外用貼付剤を調製した。
(処方)
SIS 18%
流動パラフィン 38%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 40%
バルデコキシブ 3%
全 量 100%
【0053】
(製法)
予めバルデコキシブをN-メチル-2−ピロリドンに溶解し、トルエンに溶解した他の基剤成分と混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後、トルエンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、所望の経皮吸収製剤(粘着層の厚み100μm)を得た。
【0054】
比較例5:オキシブプロカイン配合製剤
比較例5として、オキシブプロカインのみを配合した外用貼付剤を調製した。
(処方)
SIS 18%
流動パラフィン 26%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 40%
オキシブプロカイン 15%
全 量 100%
【0055】
(製法)
オキシブプロカインと他の基剤成分をトルエンに溶解、混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後、トルエンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、所望の経皮吸収製剤(粘着層の厚み100μm)を得た。
【0056】
以下、実施例及び比較例により、対比検討(1)〜(3)のための試験を行った。
[対比検討]
(1)本発明のアセトアミノフェン及びリドカインの両者を配合した外用貼付剤である実施例1の製剤と、アセトアミノフェンのみを配合した比較例1の製剤、及びリドカインのみを配合した比較例2の製剤との対比による、アセトアミノフェン及びリドカインの放出性の検討。
(2)別の局所麻酔剤を用いた、本発明のアセトアミノフェン及びオキシブプロカインの両者を配合した外用貼付剤である実施例2の製剤と、アセトアミノフェンのみを配合した比較例1の製剤、及びオキシブプロカインのみを配合した比較例3の製剤との対比による、アセトアミノフェン及びオキシブプロカインの放出性の検討。
(3)さらに別の塩基性消炎鎮痛剤を用いた、本発明のバルデコキシブ及びオキシブプロカインの両者を配合した外用貼付剤である実施例3の製剤と、バルデコキシブのみを配合した比較例4の製剤、及びオキシブプロカインのみを配合した比較例5の製剤との対比による、バルデコキシブ及びオキシブプロカインの放出性の検討。
【0057】
試験例1:ラット皮膚透過性試験
上記した実施例1、実施例2、および比較例1〜3で調製された外用貼付剤について、雄性ラット(ウィスター系、8週齢)の摘出皮膚を使用したin vitro皮膚透過性試験を行い、本発明の局所麻酔剤及び塩基性消炎鎮痛剤の両者を配合した外用貼付剤における各薬物の放出性の特異性を検証した。
【0058】
[方法]
ラットの腹部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター層側にし、その内側にはリン酸緩衝生理食塩水を満たし、ウォータージャケットには37℃の温水を還流させた。実施例1、実施例2、および比較例1〜3で調製された各製剤を、円状(1.77cm
2)に打ち抜き、摘出皮膚を貼付し、経時的にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフ法により、各薬物(リドカイン、オキシブプロカイン、及びアミノアセトフェン)の透過量を測定した。
【0059】
試験例2:ラット皮膚透過性試験
上記した実施例3、および比較例4〜5で調製された外用貼付剤について、雄性ヘアレスラット(HWY系、7週齢)の摘出皮膚を使用したin vitro皮膚透過性試験を行い、本発明の局所麻酔剤及び塩基性消炎鎮痛剤の両者を配合した外用貼付剤における各薬物の放出性の特異性を検証した。
【0060】
[方法]
ラットの腹部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター層側にし、その内側にはリン酸緩衝生理食塩水を満たし、ウォータージャケットには37℃の温水を還流させた。実施例1、実施例3、および比較例4〜5で調製された各製剤を、円状(1.77cm
2)に打ち抜き、摘出皮膚を貼付し、経時的にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフ法により、各薬物(オキシブプロカイン、及びバルデコキシブ)の透過量を測定した。
【0061】
[結果]
その結果を
図1〜
図6に示した。
【0062】
[考察]
対比検討(1)に対する考察
図1及び
図2に示した結果の対比より明らかなように、アセトアミノフェンとリドカインの両者を配合した実施例1の外用貼付剤は、アセトアミノフェンのみを配合した比較例1の外用貼付剤と比較して、アセトアミノフェンの放出性は、飛躍的に高いものであった(
図1)。
また、アセトアミノフェンとリドカインの両者を配合した実施例1の外用貼付剤は、リドカインのみを配合した製剤である比較例2の外用貼付剤と比較して、ほぼ同等のリドカイン放出性を示していた(
図2)。
この両者の結果を加味すると、本発明のアセトアミノフェンとリドカインの両者を配合した外用貼付剤は、吸収促進剤としてのリドカインの良好な放出性により、アセトアミノフェンの放出性も高まっていることが理解される。
【0063】
対比検討(2)に対する考察
一方、同様な試験を、別の局所麻酔剤であるオキシブプロカインについて検討したが、対比検討(1)と同様に、アセトアミノフェンとオキシブプロカインの両者を配合した実施例2の外用貼付剤は、アセトアミノフェンのみを配合した製剤である比較例2の外用貼付剤と比較して、アセトアミノフェンの放出性は、飛躍的に高いものであった(
図3)。
また、アセトアミノフェンとオキシブプロカインの両者を配合した実施例2の外用貼付剤は、オキシブプロカインのみを配合した製剤である比較例3の外用貼付剤と比較して、ほぼ同等のオキシブプロカインの放出性を示していた(
図4)。
【0064】
したがって、この場合にあっても、本発明のアセトアミノフェンとオキシブプロカインの両者を配合した外用貼付剤は、吸収促進剤としてのオキシブプロカインの良好な放出性により、アセトアミノフェンの放出性も高まっていることが理解される。
【0065】
対比検討(3)に対する考察
さらに、同様な試験を、別の塩基性消炎鎮痛剤であるバルデコキシブについて検討したが、対比検討(1)と同様に、バルデコキシブとオキシブプロカインの両者を配合した実施例3の外用貼付剤は、バルデコキシブのみを配合した製剤である比較例4の外用貼付剤と比較して、バルデコキシブの放出性は、良好なものであった(
図5)。
また、バルデコキシブとオキシブプロカインの両者を配合した実施例3の外用貼付剤は、オキシブプロカインのみを配合した製剤である比較例5の外用貼付剤と比較して、ほぼ同等のオキシブプロカインの放出性を示していた(
図6)。
【0066】
したがって、対比検討(1)及び(2)の結果と同様、この場合であっても本発明のバルデコキシブとオキシブプロカインの両者を配合した外用貼付剤は、吸収促進剤としてのオキシブプロカインの良好な放出性により、バルデコキシブの放出性も高まっていることが理解される。
【0067】
これらの対比検討(1)〜(3)の結果からみれば、局所麻酔剤を塩基性消炎鎮痛剤と共に配合した本発明の貼付剤にあっては、局所麻酔剤の放出性を抑制することなく、その放出性に伴って、塩基性消炎鎮痛剤の非常に優れた放出性を示すことができる経皮吸収製剤であることが判明し、本発明の極めて優れた特異性が理解されるものである。
【0068】
[製剤例]
以下に、上記の実施例1及び2に示した本発明の外用貼付剤以外の製剤例を、下記表1及び表2に示した。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
【表1】
粘着層の厚み:100μm
【0070】
【表2】
粘着層の厚み:100μm