【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、一態様では、本発明は、繰り返し運動を有する物体からの信号を受信するように構成された受信器であって、信号が、物体の繰り返し運動の周波数に依存している周波数で繰り返している受信器と、受信器によって受信された信号をサンプリング・パラメータの第1の組によって、第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力を発生するように構成された解析器とを備え、解析器は、受信器によって受信された信号を、サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組を用いて、第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つ以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力を発生するように動作することを特徴とする物体検出器装置を提供する。
【0008】
受信器によって受信された信号を、少なくとも2つの異なるサンプリング・パラメータを用いてサンプリングすることが出来るということは、物体検出器装置が、運動の少なくとも2つの異なる周波数での繰り返し運動で動く物体を検出することが出来るようにする。例えば、物体が回転している物体であれば、このときは、本発明は、物体検出器装置が、回転している物体を少なくとも2つの異なる回転速度で検出できるようにする。従って、本発明は、現行の物体検出器装置よりもより広い範囲の繰り返し運動周波数で用いることが出来る。更に、検出のために物体の繰り返し運動の周波数を変えねばならないときは、周波数を変える際の遅延を、1つの特定の周波数で繰り返して動いている物体を検出することが出来る物体検出器装置よりも少なくすることが出来る。
【0009】
繰り返し運動は、回転運動であってもよい。例えば、物体検出器装置は、回転している物体からの信号を受信し、信号は、物体の回転速度に依存する周波数で繰り返すことを特徴とするように構成することが出来る。繰り返し運動は、往復運動であってもよい。例えば、物体検出器装置は、振動する物体からの信号を受信し、信号は、振動の周波数に依存する周波数で繰り返すことを特徴とするように構成することが出来る。物体は、直線的に振動していてもよい。物体は、軸の周りに振動していてもよい。代替として、物体は、軸に沿って振動していてもよい。
【0010】
少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組のデータは、過去に使われたデータであってもよい。当然のことながら、過去に使われたデータは、物体検出器装置の動作の前に記録され、蓄積されたデータとすることができる。この場合、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組は、所定の周波数で繰り返し運動をしている物体を表すデータを含むことが出来る。これは、物体検出器装置の動作中は、物体を検出するために記録される必要があるのは、サンプリングされたデータの1組だけであるので、物体の迅速な検出を可能にする。
【0011】
好適には、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組の中のデータは、サンプリングされたデータの組の中の信号をサンプリングするほぼ直前に、受信器によって受信された信号のサンプリングされたデータである。従って、物体を検出するために物体検出器装置の動作中は、少なくとも2つのサンプリングされたデータの組が記録される必要がある。すなわち、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組が記録される必要があり、次に第1の(または第2の)データの組が記録される必要がある。物体検出器装置が、過去に使われたデータを蓄積するための容量を持つ必要はないので、これは有利である。更に、物体検出器装置が、動作の前に物体が作り出すデータのパターンを知る必要はない。
【0012】
第1のサンプリングされたデータの組と比較される少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組は、第2のサンプリングされたデータの組と比較される少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と同じであってもよい。例えば、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組が過去に使われたデータであるときに、第1と第2のサンプリングされたデータの組は次いで、共に、2つのうちのどちらかが過去に使われたデータと整合するかどうかを見るために同一の過去に使われたデータとすることが出来る。
【0013】
好適には、第1のサンプリングされたデータの組が比較される少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組は、第2のサンプリングされたデータの組が比較される少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と異なる。特に、好適には、データを少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組にサンプリングするために用いられたサンプリング・パラメータは、信号を、以前にサンプリングされたデータの組と比較されるサンプリングされたデータの組にサンプリングするために用いられるサンプリング・パラメータと同じである。従って、好適には、第1のデータの組が、少なくとも1つの第1の以前にサンプリングされたデータの組と比較され、かつ、第2のデータの組が、少なくとも1つの第1の以前にサンプリングされたデータの組とは異なる、少なくとも1つの第2の以前にサンプリングされたデータの組と比較される。
【0014】
第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号と第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングされた信号とは同じ信号であってよい。例えば、第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングされた信号は、第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングされた信号と同じ物体から受信したものであってよい。
【0015】
更に、第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号は、第2のデータの組へサンプリングされた信号と同じ時間帯に亘ってとられた同じ信号であってもよい。従って、解析器は、受信器によって受信された信号を第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングし、および信号を第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングするように構成することが出来る。第1および第2のデータの組への信号のサンプリングは、ほぼ同時に行うことが出来る。解析器は、それ故に、異なる2組のサンプリング・パラメータを用いて並行して物体から受信した信号を解析することが出来る。
【0016】
解析器は、受信器に結合してよい。解析器と受信器とは、単一のユニットとして実現することが出来る。随意に、解析器は、受信器とは別のユニットとして、受信器との通信が出来る状態で供給することが出来る。
【0017】
解析器は、アナログ信号処理回路網を備えてよい。随意的に、解析器は、ディジタル信号処理回路網を備えてよい。当然のことながら、解析器は、アナログおよびディジタル信号処理回路網の両方を備えてもよい。解析器は、ハード・ワイヤードであってもよい。随意的に、解析器は、プログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)のようなプログラマブル・ロジック、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・アレイ・ロジック(PAL)、およびアンコミッテッド・ロジック・アレイ(ULA)のようなプログラムド・ゲート・アレイ(PGA)を備えてもよい。解析器の少なくとも一部は、例えば、プロセッサのように電子回路網上を走るソフトウェア経由で実装してもよい。適当なプロセッサは、ディジタル信号プロセッサ(DSP)のようなマイクロ・プロセッサと、プログラマブル・インテリジェント・コンピュータ(PIC)マイクロコントローラのようなマイクロコントローラとを含む。
【0018】
解析器は、受信器によって受信された信号をサンプリングするためのサンプラーを備えてもよい。解析器は、サンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組とを比較するための比較器を備えてもよい。解析器は、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも第2のサンプリングされたデータの組とをサンプリングするための個別のサンプラーを備えてもよい。解析器は、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも第2のサンプリングされたデータの組との比較をするための個別の比較器を備えてもよい。随意的に、同じサンプラーと比較器を、サンプリングされたデータの組の各々をサンプリングして比較するために用いることが出来る。当然のことながら、サンプラーと比較器とは、アナログまたはディジタル回路網またはその組み合わせ、または、実際、以前に言及したタイプの回路網のいずれかであってよい。特に、サンプラーと比較器とは、サンプリングおよびサンプリングされたデータの組を比較するために構成されたプロセッサによって供給することが出来る。
【0019】
解析器は、信号を第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングするために構成された第1の回路網、および、第1の回路網と並行して動作し、信号を第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングするように構成された第2の回路網を備えることが出来る。各々のサンプリング・パラメータによって信号をサンプリングする個別の回路網は、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組とを発生する異なるサンプリング・パラメータを用いて信号をサンプリングするステップを交互にする単一の回路よりもより効率的に動作することが出来る。当然のことながら、第1の回路網と第2の回路網とは、アナログまたはディジタル回路網、またはその組み合わせ、または、実際、以前に言及したタイプの回路網のいずれかであってよい。好適には、第1の回路網は第1のプロセッサであり、第2の回路網は、第2のプロセッサである。
【0020】
好適には、第1の回路網は、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組とを比較して、比較に基づいて出力を発生するように構成される。好適には、第2の回路網は、第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組とを比較して、比較に基づいて出力を発生するように構成される。比較のために異なる回路網を用いることは、第1のデータの組および第2のデータの組と、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較を交互にするような単一の回路を持つ場合に比べて遥かに効率がよい。
【0021】
好適には、解析器は、第1のサンプリング・パラメータと第2のサンプリング・パラメータとは異なるサンプリング・パラメータの少なくとも第3の組を用いて、受信器によって受信した信号を、少なくとも第3のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、少なくとも第3のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力を発生するように動作できる。解析器が用いることが出来るサンプリング・パラメータの組が多ければ多いほど、検出可能な繰り返し運動の異なる周波数を持つ物体の数は多くなる。
【0022】
より好適には、解析器は、信号を第3のデータの組にサンプリングするように構成された少なくとも第3の回路網を備える。好適には、第3の回路網は、第3のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組とを比較し、比較に基づいて出力を発生するように構成される。
【0023】
好適には、解析器は、第1のデータの組および第2のデータの組とそれらのそれぞれの以前にサンプリングされたデータの組との比較のいずれか1つまたは全てが、物体が検出されたことを示す出力信号をもたらすときに、物体検出信号を出力するように構成される。従って、サンプリング・パラメータの1つが物体の繰り返し運動の周波数で動いている物体を検出するために適当である限り、物体検出信号は出力される。より好適には、解析器は、第1の回路網と第2の回路網からの出力のOR出力を出すORゲートを備える。
【0024】
第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号は、第1のデータの組へサンプリングされた信号とは異なる信号であってもよい。特に、第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号は、第1のデータの組へサンプリングされた信号に引き続いて、受信器によって受信された信号であってもよい。第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号と第1のデータの組へサンプリングされた信号とは、同じ物体からであってもよい。随意的に、第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号と第1のデータの組へサンプリングされた信号とは、異なる物体からであってもよい。
【0025】
これは、物体検出器装置を、第1の周波数をもって運動している物体を第1に検出するように構成し、つぎに、引き続き、異なる第2の周波数をもって運動している物体を検出するように構成することを可能にするので有利である。第2の周波数を持つ物体は、第1の周波数で運動している物体と同じ物体であってもよいし、異なる物体であってもよい。それ故に、一度に1つの信号をサンプリングして処理する単一の回路だけを用いて、異なる周波数で動作している同じまたは異なる物体を検出することが可能である。
【0026】
解析器は、信号を第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、引き続き、信号を第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングするように構成された回路網を備えることが出来る。
【0027】
解析器は、サンプリング・パラメータの異なる所定の組を次々と繰り返してもよい。解析器は、物体が検出されたことを示す出力が解析器によって発生されるまで、サンプリング・パラメータの異なる所定の組を繰り返してもよい。例えば、解析器は、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較の結果が、物体が検出されたことにならない場合のみ、受信器によって受信した信号を、サンプリング・パラメータの第2の組を用いてサンプリングするように構成してもよい。これは、並列処理をする必要なく、複数の可能な周波数の中の1つをもって運動する物体の自動検出を可能にする。
【0028】
物体検出器装置は、サンプリング・パラメータの第1の組と第2の組の少なくとも1つを設定できる入力機構を備えることが出来る。これは、物体検出器装置が動作する前にサンプリング・パラメータを判定しておく必要はないので有利と成り得る。更に、これは、サンプリング・パラメータを物体検出器装置の動作中に変えられるようにする。
【0029】
入力機構は、利用者が、手動でサンプリング・パラメータの第1の組と第2の組の少なくとも1つを入力することが出来るような利用者入力デバイスを備えることが出来る。
【0030】
好適には、入力機構は、物体の繰り返し運動の周波数を判定するために動作するフィードバック・デバイスを備える。好適には、入力機構および解析器の少なくとも1つは、物体の繰り返し運動の判定された周波数に基づいて、サンプリング・パラメータの第1の組と第2の組の少なくとも1つを判定するように構成される。これは、解析器が、物体の運動の周波数で運動しているところの物体を首尾よく検出するのに必要な正しいサンプリング・パラメータを自動的に採用することが出来るので有利である。
【0031】
フィードバック機構は、物体の運動の周波数を示す、物体を駆動している機械からの信号を受信するように構成されてもよい。
【0032】
随意的に、フィードバック機構は、物体の運動の周波数を検出するように構成されてもよい。フィードバック機構は、受信器によって受信したマーカ信号の周波数を判定するように構成されてもよい。マーカ信号は、物体または物体を繰り返しの運動で動かす機械の一部分のどちらかの上のマーカによって作られてもよい。フィードバック機構は、マーカ信号の判定された周波数から繰り返し運動の周波数を計算するように構成されてもよい。好適には、マーカ信号は光信号である。当然のことながら、任意の所定の数のマーカが提供されてもよい。好適には、マーカは、物体の繰り返し運動のサイクル毎に1つのマーカ信号(例えば、回転または振動ごとに1つのマーカ信号)を提供するように構成される。
【0033】
好適には、解析器は、フィードバック機構を備える。好適には、受信器は、マーカ信号を受信するように構成される。より好適には、解析器は、解析器が、受信器によって受信した信号を解析して物体の存在を判定する物体検出モードと、解析器が、受信器によって受信した信号を解析して物体の運動の周波数を判定するフィードバック・モードとで選択的に動作するように構成される。
【0034】
マーカ信号は、受動的マーカ特徴物によって作られてもよい。例えば、マーカ特徴物は、光信号を反射してもよい。光信号は、赤外から紫外の範囲の任意の信号であってよい。好適には、光信号は、可視の信号である。光信号は、周辺光の反射でもよい。随意的に、物体検出器装置は、反射されるべき光信号を送信する光信号源を備えてもよい。マーカ信号は、能動的マーカ特徴物によって作られてもよい。例えば、マーカ特徴物は、光を送信してもよい。例えば、マーカ特徴物は、LEDであってもよい。
【0035】
サンプリングされたデータの組は、各々が受信器によって受信した特定の時点での信号の特性を表す複数のデータ・エントリを備えることが出来る。好適には、特性は、受信器によって受信した信号の強度である。好適には、信号のサンプルは、サンプリングされたデータの組の1つのデータ・エントリに対応する。
【0036】
好適には、サンプリング・パラメータは、サンプリング速度を含む。従って、好適には、第1のデータの組へサンプリングされた信号は、信号が第2のデータの組へサンプリングされる速度とは異なる速度でサンプリングされる。好適には、サンプリング速度は、一定の時間の間にとられるサンプルの数である。
【0037】
物体が回転しているときは、好適には、所定の回転速度をもつ物体を検出するためのサンプリング速度は、物体の1回転の間にすべての数のサンプルがとられるようなものである。好適には、所定の回転速度をもつ物体を検出するためのサンプリング速度は、物体の各回転の間に36以下のサンプルが取れるようなものであり、より好適には、24以下の、特に好適には、12以下のサンプルが取れることである。好適には、所定の回転速度をもつ物体を検出するためのサンプリング速度は、物体の各回転の間に6以上のサンプルが取れるようなものである。
【0038】
サンプリング・パラメータは、サンプリングされたデータの組の中のデータ・エントリの数を含むことが出来る。好適には、サンプリングされたデータの組には36以下のデータ・エントリが存在し、より好適には、サンプリングされたデータの組に24以下のデータ・エントリが存在し、特に好適には、サンプリングされたデータの組に12以下のデータ・エントリが存在する。好適には、サンプリングされたデータの組に6以上のデータ・エントリが存在し、特に好適には、サンプリングされたデータの組に10以上のデータ・エントリが存在する。最も好適には、サンプリングされたデータの組に12のデータ・エントリが存在する。
【0039】
サンプリング・パラメータは、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組とが比較されるところの、多くの以前にサンプリングされたデータの組を含むことが出来る。そのとき必要な相関の数が大きいほど、解析器の信頼性が大きくなるが、解析器から出力を得るのにかかる時間が長くなる。
【0040】
サンプリングされたデータが比較されるところの、以前にサンプリングされたデータの組の最適数は、物体の繰り返し運動の周波数に依存することが出来る。周波数が高いほど、所定の時間間隔の間に記録される以前にサンプリングされたデータの組の数は多くなる。
【0041】
サンプリングされたデータが比較される、以前にサンプリングされたデータの組の最適数は、物体検出器装置の動作環境に依存することが出来る。動作環境が汚いほど、そのとき、物体が偶然に検出されるのを避けるために、必要であるデータの組は多くなる。
【0042】
好適には、サンプリングされたデータの組は、少なくとも2つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される。或る状況では、好適には、サンプリングされたデータの組は、少なくとも3つの以前にサンプリングされたデータの組と比較され、より好適には、少なくとも4つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される。好適には、サンプリングされたデータの組は、8個以下の以前にサンプリングされたデータの組と比較され、より好適には、6個以下の以前にサンプリングされたデータの組と比較され、特に好適には、5個以下の以前にサンプリングされたデータの組と比較される。
【0043】
好適には、解析器は、清潔環境モードと汚染環境モードのどちらかで動作することが出来る。好適には、汚染環境モードでサンプリングされたデータが比較される、以前にサンプリングされたデータの組の数は、清潔環境モードの場合のそれの2倍である。
【0044】
サンプリング・パラメータは、解析器が動作するのは清潔環境モードであるか汚染環境モードであるかを含むことが出来る。物体の傍に削り屑や液体などの汚染物がありそうな場合には、オペレータは解析器を汚染環境モードで動作するように設定したいと望むこととなる。例えば、これは、物体が冷却剤を浴びせられるときの場合のこととなる。
【0045】
好適には、サンプリングされたデータの組は、バイナリ・データを含む。サンプリングされたデータの組の各データ・エントリは、任意の数のビットを含むことが出来る。随意的に、2ビット以上のデータを各データ・エントリに蓄積できる。そのような場合には、受信器での信号の強度を記録することが出来るだろう。好適には、サンプリングされたデータの組の各データ・エントリは、1ビットだけのデータを含む。従って、データの各セクションは2つの値の1つだけを持つことが出来る。これは、3つ以上の考えられる値を比較しなければならない場合より比較するのが簡単である。
【0046】
好適には、サンプリングされたデータの組の中の各データ・エントリは、解析器によってとられた1つのサンプルを表す。好適には、サンプリングされたデータは、スクロール式に第1と第2のデータの組に加えられる。好適には、解析器は、サンプリングされたデータをサンプリングされたデータの組の1端に加えるように構成される。好適には、サンプリングされたデータの組が一杯の場合は、解析器は、新しくサンプリングされたデータが加わる都度、最も古いサンプリングされたデータをサンプリングされたデータの組から取り除くように構成される。好適には、第1と第2のサンプリングされたデータの組は、最初に入ったものは最初に出るという規則を守る。
【0047】
好適には、サンプリングされたデータの組から取り除かれる最古のサンプリングされたデータは、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組に動かされる。従って、好適には、以前にサンプリングされたデータの組は、そのそれぞれの第1と第2のサンプリングされたデータの組から取り除かれたデータで満たされる。
【0048】
Xがサンプリングされたデータの組の中のデータ・エントリの数を表すとして、X個のサンプルがとられる毎に、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組は、それらの以前にサンプリングされたデータの組と比較することが出来る。この場合、サンプリングされたデータの組の中のデータが新しいデータと完全に置き換わる毎に、比較が行われる。
【0049】
第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組は、そのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と、より高頻度で比較することが出来る。好適には、少なくとも(X−1)個のサンプルがとられる毎に、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組とが、そのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される(ここでXは、サンプリングされたデータの組の中のデータ・エントリの数を表す。)。
【0050】
より好適には、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組が、新しいサンプルがサンプリングされたデータの組に加わる毎に、そのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される。従って、第1のデータの組と第2のデータの組とが、そのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される速度は、サンプリング速度と同じにすることが出来る。
【0051】
これは、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組の中の、 および/またはそのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組の中の誤りビットの迅速な削除を可能にする。誤りビットは、物体の特徴物を検出したことを不正確に示すビットとすることが出来る。そのような誤りビットは、例えば、電子回路における不正確さによって、または、物体の特徴物のように見える汚れの検出によって引き起こされる可能性がある。
【0052】
好適には、受信器は、電磁波(EMR)を受信するために構成される。 従って、好適には、受信器は、EMR受信器を備える。好適には、受信器は、物体から光信号を受信するように構成される。従って、好適には、受信器は、光受信器を備える。光信号は、赤外から紫外までの範囲の任意の信号であってよい。好適には、光信号は、可視の信号である。光信号は、反射された周辺光であってもよい。当然のことながら、適当な光受信器は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、イメージ・センサ、電荷結合デバイス(CCD)、および相補的金属−酸化膜―半導体(CMOS)検出器を含む。
【0053】
好適には、物体検出器装置は、信号を送信するように構成された送信器を備える。この場合、受信器によって受信した信号は、好適には、送信された信号の少なくとも部分反射である。当然のことながら、物体によって反射された信号の全てが、受信器によって検出されるとは限らず、信号のいくらかは、散乱され、受信器では検出できないこととなる。好適には、送信器は、光信号を送信するように構成される。より好適には、送信器は、レーザ・ビームを送信するように構成される。当然のことながら、適当な光送信器は、発光ダイオード(LED)およびレーザ・ダイオードのような様々な光源を含む。
【0054】
送信器と受信器は、独立に操作可能な個別のユニット内にあってもよい。好適には、送信器と受信器は、単一のユニットの中にある。
【0055】
受信器は、物体から反射された光信号の強度を判定するために構成することが出来る。好適には、送信器は、物体から反射される光信号の判定された強度に応じて、送信器から放出される光信号の強度を制御するように構成される。好適には、物体から反射される光の判定された強度が所定の閾値の上であるときは、送信器は、送信器から放出される光信号の強度を低減するように構成される。好適には、物体から反射された光の判定された強度が所定の閾値以下のときは、送信器は、送信器から放出される光信号の強度を増加させるように構成される。
【0056】
物体は、切削工具であってもよい。例えば、物体は、ドリルビットであってもよい。
【0057】
好適には、サンプリングされたデータの組のデータ・エントリの全てが同じ値を持つときには、解析器は、物体が検出されたことを示す信号を出力しないように構成される。
【0058】
本発明の第2の態様によれば、繰り返し運動を有する物体からの信号を受信するように構成された受信器であって、信号は物体の繰り返し運動の周波数に依存している周波数で繰り返している受信器と、サンプリング・パラメータの第1の組によって信号を第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第1の出力信号を発生し、サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組を用いて、同時に信号を第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第2の出力信号を発生するように構成された解析器とを備えた物体検出器装置が提供される。
【0059】
本発明の第3の態様によれば、繰り返し運動を有する物体からの信号を受信するように構成された受信器であって、信号は物体の繰り返し運動の周波数に依存している周波数で繰り返している受信器と、サンプリング・パラメータの第1の組によって受信器によって受信した第1の信号をサンプリングして、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第1の出力信号を発生するように構成された解析器であって、サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組により、第1の信号に引き続いて受信器によって受信した第2の信号を引き続きサンプリングして、第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第2の出力信号を発生するように構成可能な解析器とを備えた物体検出器装置が提供される。
【0060】
本発明の第4の態様によれば、繰り返し運動を有する物体からの信号を受信するように構成された受信器であって、信号は物体の繰り返し運動の周波数に依存している周波数で繰り返す受信器と、サンプリング・パラメータの第1の組によって信号を第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされているデータの組との比較に基づいて第1の出力信号を発生するように構成された解析器と、サンプリング・パラメータの第1の組が解析器へ入力できるような入力機構とを備えた物体検出器装置が提供される。
【0061】
随意的に、入力機構は、利用者が手動でサンプリング・パラメータの第1の組を入力できるように構成することが出来る。
【0062】
随意的に、入力機構は、利用者が手動で物体の繰り返し運動の周波数を入力できるように構成することが出来る。この場合、入力機構と解析器の少なくとも1つを、利用者によって入力された物体の繰り返し運動の周波数に基づいてサンプリング・パラメータの第1の組を判定して設定するように構成することが出来る。
【0063】
好適には、入力機構は、物体の繰り返し運動の周波数を判定するように動作できるフィードバック機構を備える。入力機構と解析器の少なくとも1つを、物体の繰り返し運動の判定された周波数に基づいてサンプリング・パラメータの第1の組を判定して設定するように構成することが出来る。
【0064】
フィードバック機構を、物体の繰り返し運動の周波数を示す、物体を駆動している機械からの信号を受信するように構成することが出来る。フィードバック・デバイスを、そのような信号を連続して受信し、物体の繰り返し運動の周波数の変化に合わせてサンプリング・パラメータの第1の組を連続して計算するように構成してもよい。
【0065】
フィードバック機構を、物体の繰り返し運動の周波数を検出するように構成してもよい。フィードバック機構は、受信器によって受信したマーカ信号の周波数を判定してもよい。マーカ信号を、物体または物体を繰り返しの様式で動かす機械の一部分のどちらかの上のマーカによって作ってもよい。フィードバック機構は、つぎに、マーカ信号の判定された周波数から繰り返し運動の周波数を計算してもよい。
【0066】
好適には、解析器は、フィードバック機構を備える。好適には、受信器は、マーカ信号を受信するように構成される。より好適には、解析器は、解析器が受信器によって受信した信号を解析して物体の存在を判定する物体検出モードと、解析器が受信器によって受信した信号を解析して物体の運動の周波数を判定するフィードバック・モードとで選択的に動作するように構成される。好適には、物体検出器装置は、解析器が物体検出モードとフィードバック・モードとの間を選択的に切り替えることを可能にするモード選択器を備える。好適には、モード選択器は、利用者によって操作できる。これは、例えば、物体検出器装置上のスイッチ経由、または、例えば、コンピュータのプログラム経由としてもよい。
【0067】
好適には、マーカ信号は、光信号である。マーカ信号を、受動的なマーカ特徴物によって作ってもよい。例えば、マーカ特徴物は、光信号を反射してもよい。光信号は、赤外から紫外の範囲内の任意の信号であってもよい。好適には、光信号は、可視の信号である。光信号は、反射された周辺光であってもよい。随意的に、物体検出器装置は、反射される光を送信する光信号源を備えてもよい。マーカ信号は、能動的なマーカ特徴物によって作られてもよい。例えば、マーカ特徴物は、光を送信してもよい。例えば、マーカ特徴物は、LEDであってもよい。
【0068】
好適には、入力機構は、物体の繰り返し運動の判定された周波数に基づいてサンプリング・パラメータの第1の組を判定するように構成される。
【0069】
本発明の第5の態様によれば、上記のように物体検出器装置を取り込んでいる機械工具装置が提供される。
【0070】
本発明の第6の態様によれば、物体の存在を検出する方法であって、(i)繰り返し運動を有する物体から信号を受信するステップであって、信号は、物体の繰り返し運動の周波数に依存した周波数で繰り返しているステップと、(ii)受信した信号を、サンプリング・パラメータの第1の組によって第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、第1のサンプリングされたデータの組と第1の以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力信号を発生するステップと、(iii)受信した信号を、サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組によって第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、第2のサンプリングされたデータの組と第2の以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力信号を発生するステップとを備えることを特徴とする方法を提供する。
【0071】
当然のことながら、本発明の方法は、上記した実施形態によって動作するように構成されてもよい。例えば、第2のサンプリングされるデータの組にサンプリングされる信号は、第1のデータの組にサンプリングされる信号に引き続いて受信器によって受信した信号であってもよい。好適には、第1のサンプリングされるデータの組にサンプリングされる信号は、第2のサンプリングされるデータの組にサンプリングされる信号と同じ信号である。受信された信号をサンプリング・パラメータの第2の組によってサンプリングするステップは、サンプリング・パラメータの第1の組によって受信された信号をサンプリングするステップと実質的に同時に起こってもよい。
【0072】
方法は、(i)に引き続いて、(ii)の前に、サンプリング・パラメータの第2の組を入力するステップと、サンプリング・パラメータの第2の組を用いるために解析器を再構成するステップを備えることが出来る。
【0073】
方法は、物体の繰り返し運動の周波数を判定するステップを備えることが出来る。この場合、方法は、物体の繰り返し運動の判定された周波数に基づいて、サンプリング・パラメータの第1の組と第2の組の中の少なくとも1つを判定するステップを更に備えることが出来る。
【0074】
方法は、物体の運動の周波数を示す、物体を駆動している機械からの信号を受信するステップを備えることが出来る。随意的に、方法は、物体の運動の周波数を判定するステップを備えることが出来る。方法は、受信器によって受信したマーカ信号の周波数を判定するステップを備えることが出来る。マーカ信号は、物体または物体を繰り返しの様式で運動させる機械の一部分のどちらかの上のマーカによって作られてもよい。方法は、マーカ信号の判定された周波数から繰り返し運動の周波数を計算するステップを更に備えてもよい。
【0075】
本発明の実施形態は、例示にしか過ぎない形式で、以下の図面を参照して記述される。