(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
オフセットプレス、スクリーンプレス、及びフレキソ印刷機などの多くの現行のプレートベースの印刷システムは、既存のオフセット、スクリーン、又はフレキソ印刷のインフラ構造を利用する浄化方法、及びマーキング材料を見出して可変データ画像を形成することによって、新しい資本設備を投資する必要なしに可変データを取り入れる方法から恩恵に浴することができる。今日のハイブリッド印刷アプローチは、従来のインライン式フレキソ印刷ユニット、スクリーン印刷ユニット、若しくはオフセット印刷ユニットに整合される連続的インクジェット(CIJ)又はドロップオンデマンド(DOD)インクジェットを含む。ハイブリッドシステムは、ほとんどの可変データ情報が大きな静止画像のサブセットであるときにインベストメントとして意味をなす。このように、バーコード、アドレス指定、一部の個人化、セキュリティコード、又は一部のショートラン印刷設計変更に対して、このようなハイブリッドアプローチが意味をなす。
【0003】
残念なことに、市場に出ているほとんどのハイブリッドシステムは、静的プレートベースのアプローチを用いたフレキソ、スクリーン、又はオフセットプロセスによって通常印刷されるスポットカラーにカラーマッチングするためにプロセスカラーを使用することは非常に挑戦的である問題で目下難儀をしている。これは、プロセスカラーが通常は基本的に異なる化学的性質によるからである。また、スポットカラーの4つのカラープロセスとの反復可能なマッチングを実現することは、多数のトライアル及びエラーなしに制御することが非常に困難であり、これは多数の不用の物質をもたらす結果になる。さらに、パイル高さ及び基板内へのにじみの程度(ブリードスルー)が種々のインクの化学的性質に対して異なるために、静止背景画像を形成するために使用されるスクリーンインク、フレキソインク、又はリソインクにインクジェットインクの正確なグロスを適合させることもまた不可能である。
【0004】
たとえば、CIJ及びDODは通常、水系インクであり、これはインクの低粘度によりブリードスルー問題を有する可能性がある。水系インクはまた、金属製基板やプラスチック基板上ではうまく機能しない。さらに、包装及び織物用途に対し、フレキソ印刷プロセス及びスクリーン印刷プロセスにおいて整合するブリリアントチタンホワイトやラスタを備えた光沢のある金属であるインクジェット可能な材料をだれも調合することはできなかった。
【0005】
紫外線(UV)インクジェットマシンはブリードスルー問題がさほどでもないが、インク、及び噴出可能であるようにインクの粘度を低下させるのに必要な分散媒に取り込まなければならない光開始剤やアクリレートベースのモノマにより色域及びカラーマッチング問題を有することが多い。たとえば、顔料の供給は通常、吐出し可能なインクでは通常ははるかに少ない。非常に高い解像度がインクジェット技術で達成できたことは興味深いことであり、UVインクジェット技術のパッケージング市場への進出を制限することは根本的な技術上の障害ではない。その代わりに、はるかに大きな技術上の障害は、ブランド設定要件を満たすためのスポットカラーマッチングの1つである。一部のハイブリッド解決法は、単一スポットカラー・フレキソ印刷インク流れのみで印刷される背景画像と整合するインプリントされた色に近似するために、6又は8の可変データCIJカラープロセスに依存し、このフレキソ印刷インクは印刷コストがかなり減少する。フレキシブル/フィルム製品基板などの一部のフレキソ印刷用途へのハイブリッド解決法の完全な市場進出を制限し、波形であることはこのスポットカラー要件である。
【0006】
スポットカラーで可変データを印刷する必要性の一例は、会社のロゴカラーの的確なマッチングがブランド設定目的に対して重要である名刺への用途を有する。従って、ほとんどの名刺印刷ジョブは、オフセット印刷に必要なプレートの枚数を最小限にするために市販のプリンタにおいて大きな列をなしたバッチ処理で注文される。ディジタル技術は要求に応じて注文を許容するが、会社のロゴに対して許容可能であるように十分望ましいカラーマッチングを提供できないことが多い。これは、メタリックカラーが使用されるときに特に当てはまる。
【0007】
別の例は、低価格商品が見栄えの良いラベルで再包装することによって大幅な値入れで販売される高級ブティックの再ブランド設定の領域にある。これら製品は、高級ブティックで、又は結婚式や会議などの特別なスケールの高いイベントに対して再販売される。特別なイベントに対し金属光沢インクの可変データを導入する能力は、他のハイブリッドシステムを超える途方もなく大きな更なる利点になる。
【0008】
Tシャツスクリーン印刷市場は、会社のロゴのスポットカラーに整合するスポットカラーの個々の名称の可変データ印刷が理想的であるが、現在のディジタル印刷技術で経済的に信頼できる、別の好ましい例である。本発明の実施態様は関連技術のこれら及びその他の不具合に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施態様によると、ディジタル処理されたプログラム化可変画像レイヤが透明なインク射出材料から基板上に作成される。この透明なインク射出材料は、画像が本質的に「可変」である負の(negative)リフトオフレイヤを形成するが、この理由は、インクジェットヘッドがディジタル処理されたプログラム化方式で基板に材料を付加して基板の各パスで異なる画像を形成することができるからである。
【0013】
可視のマーキング材料から構成される静止画像は、フレキソ印刷、スクリーン若しくはオフセットなどの静止プレート又はスクリーンベースのイメージング技術を用いて基板に付加される。最初に付加されるマーキング材料の可視画像が静止画像と称されるが、これは基板上のそれぞれの圧痕で変化されることがないからである。すなわち、マーキング材料は、定着したマスタリソグラフィックオフセットプレートやスタンピングプレートによって、基板に、あるいはスクリーン印刷の場合にはマーキング材料が流れることを可能にする開口の固定パターンを備えたスクリーンに転写される。それゆえ、一部の実施の形態において、静止画像レイヤは、高色素性メタリックスクリーン印刷インクを用いて形成され得る。
【0014】
透明なインクジェット材料は、該透明なインクジェット材料で事前に塗布された基板の領域に付加された静止画像の一部をリフトオフし又ははねのけるために使用される。インクジェットされたリフトオフ材料の負の画像が変化するように付加されたので、いったん基板の表面から除去されると、フレキソ印刷、スクリーン、又はオフセットインクそのものから可変データ画像を形成する。すなわち、透明なインクジェット材料が除去されるとき、該透明なインクジェット材料上に配置された静止画像マーキング材料のこれらの部分を除去することによってマーキング材料から可変データ画像を形成する。
【0015】
本発明において、可視の静止画像レイヤを形成するために使用されるインキング材料は、それがフレキソ印刷、オフセット、スクリーン印刷、若しくは他の何か従来の技術によって適用されるかどうかにかかわらず、マーキンング材料と称される。本発明のために、基板から静止的に形成されたフレキソ、スクリーン、若しくはオフセットの画像の一部をリフトオフするために使用される透明な負の画像を形成するインキング材料は透明なリフトオフ材料と称される。透明なリフトオフ材料は、そのほとんどが画像可変部分を形成するために基板の表面から除去されることになるので、犠牲的材料(sacrificial material)と称されることもある。
【0016】
ハイブリッド印刷モードにおいて高い処理速度でスポットカラーに整合するために、本発明者らは、透明なリフトオフ材料の以下の特性が好ましいことを確認している。透明なリフトオフ材料は低粘度状態から容易に射出されるべきである。すなわち、20センチポイズ(cP)以下のある高めの温度状態の粘度を有すべきである。透明なリフトオフ材料が基板に当たるとすぐに、基板に浸透することを防止されるべきであり、即ち、ブリードスルーまたはドットゲインとならないように基板に当たるとすぐに十分な粘度を有すべきである。
【0017】
透明なリフトオフ材料は好ましくは、マーキング材料を実質的にはねつける平滑な表面エネルギーの低い表面を形成すべきである。一部の実施の形態において、この平滑面は透明なリフトオフ材料に激しくぶつかるために平滑化ローラを用いて容易になされ得る。好ましくは、透明なリフトオフ材料の上面は、マーキング材料が基板表面に接触することを防止するために十分なパイル高さを有するように、基板の凹凸に最大偏差より上に突出する。好ましくは、透明なリフトオフ材料に付加されるマーキング材料は、透明なリフトオフ材料の上面の上で玉になる傾向があり、マーキング材料が粘着性ウェブクリーナを使用して基板から容易に除去されることもできる。
【0018】
好ましくは、透明なリフトオフ材料の低温粘度及び粘着は、フレキソ印刷版又はオフセットブランケットローラと接触する基板の下で透明なリフトオフ材料がハイブリッドシステムのフレキソ又はオフセット構成要素へ戻り転送することはない。すなわち、低温度状態において透明なリフトオフ材料の粘度はマーキング材料の粘度より十分高くあるべきである。
【0019】
好ましくは、透明なリフトオフ材料は、全体的にマーキング基板から分離され、又は2つの部分に分かれ、一方が基板から上昇し他方が基板に付着することができるように、その粘度を一時的に減少するために比較的短時間で加熱され得る。分離の直前に、透明なリフトオフ材料の粘度は、画像の静止部分を形成するために使用されるマーキング材料よりも低い値を得るべきである。一部の実施の形態において、分離前であって基板にマーキング材料が塗布された後、マーキング材料は、透明なリフトオフ材料が分離の際に一時的に加熱されるとき透明なリフトオフ材料の粘度よりも十分に高くマーキング材料の粘度を増加させるように、選択的にUV光でスポット硬化されてもよい。
【0020】
分離及びリフトオフプロセスの後に、残留する透明なリフトオフ材料のパイル高さを除去する手段がディファレンシャルグロスを抑制するために必要とされる。多孔性基板では、透明なインクが全体的に毛管作用で基板内に運ばれるようになるような、より高温に加熱されたローラステップであればよい。非多孔性フィルムでは、粘着性ウィック材料が透明なリフトオフ材料のほとんどを除去するために使用され、基板上で目立ったディファレンシャルグロスを起きないようにするのに十分な極めて薄いレイヤを残すような、より高温であればよい。
【0021】
本発明者らは、高温での低粘度の透明なワックスベースのインクが透明なリフトオフ材料としての使用に理想的に適していることを確認した。理想的なリフトオフ材料の例は、固形インク又はホットメルトインクとして一般に称されるものであり、これらは着色染料や顔料がないように調合され、相変化液晶重合体ワックス状材料に基づく。これらの材料の多くの例は、全体として参照によって組み込まれる米国特許第5,643,357号を含む種々の特許においてゼロックスコーポレーションによって開示されている。これらの固形インクは高温で射出されることができ、比較的小さなドットゲインで多孔性及び非多孔性表面にぶつかることになり、基板と接触すると、塗布されていない基板内ににじまないようにすばやく凝固することになる。
【0022】
こうしたタイプのインクもまた、パイル高さが高いことを実現し、このことはインクが基板の凹凸をカバーするのを可能にするとして望ましいとされる。さらに、滑らかな表面は、その後、強打し又は平坦にし、表面エネルギーを低下させてフレキソ印刷画像又はオフセット画像が基板に付加されるときに非常に小さなマーキング材料が実際に固形インクの上部に転写されることによって、固形インクの上部に形成することができる。
【0023】
実験では、上記の固形インク上で転動されるマーキング材料のほとんどが固形インクによってはねのけられることが示されている。少量のシリコーン添加剤を固形インクワックスに添加することは、これによりマーキング材料の実質的にすべてをはねのけることになるときに望ましいとされる。上記の固形インクが望ましいのは、これらインクが高粘度である(固形である)のでオフセットブランケットローラなどのマーキングローラ上に戻り転写しハイブリッドシステムのプレートベースの(オフセット又はフレキソ印刷)静止印刷機器を汚すことがないからである。
【0024】
以下の段落において、実施態様は添付図面を参照して記載され、この場合、同様の参照番号が全体にわたって同様の要素を意味する。これら実施態様は限定するものではなく、むしろ多くの実施の形態に共通の発明の態様を示すために付与される。一部の例では、周知の詳細説明は発明の態様を不必要に分かりにくくするのを避けるように省略される。
【0025】
さらに、本発明の一部を構成する多数の概略図は縮尺によって描画されておらず、ハイブリッド印刷システムにおける種々の構成要素の位置の正確でない相対的な記載を提供することを意図している。当業者は、種々の図示された構成要素の正確な位置が実際のシステムの設計及び容積の制約に基づいて変化し得ることを理解されたい。さらに、図示された実施態様がウェブ形状の基板を示し、当業者がこれらの描画された実施の形態のそれぞれのカット紙バージョンが同じ発明の態様を利用して容易に実現できることもまた指摘すべきである。
【0026】
一部の例では、実施態様の一つに含まれる構成要素は、実施態様における別の構成要素の「上流」又は「下流」として記載される。用語「上流」の使用は、システム内を移動するときに基板の経路と反対の方向を意味することを意図し、一方、用語「下流」の使用はシステム内を移動するきに基板の経路の方向を意味することを意図する。このように、第1の構成要素が第2の構成要素の「上流」として表示される場合、これは、基板上の点が第2の構成要素の前で第1の構成要素と遭遇することになることを意味する。
【0027】
図1〜
図3は、ある実施態様による負のイメージングリフトオフプロセスを示す上面図である。
図1を参照すると、透明なリフトオフ材料は、所望のパターン100を形成するために基板(図示せず)の表面上に射出される。
図2を参照すると、マーキング材料は静止画層レイヤ200を形成するために基板の表面に付加される。このマーキング材料は、静止画像レイヤ200の一部がパターン100上に重複するように付加される。
図2に示されるように、静止画像レイヤ200は実質的に正方形であるが、静止画像レイヤに対して他の形状も当然使用され得る。
【0028】
図3を参照すると、透明なリフトオフ材料から構成されるパターン100は、静止画像200の重なり部分に沿って除去され、動態可変画像300を残しておく。この技術は、静止画像200若しくは基板上のどこかに印刷される他の静止画像部を備えた可変画像300に正確にスポットカラーマッチングすることを可能にし、これは同じ化学成分を備えた同一マーキング材料が静止画像及び可変画像をともに形成するために使用されるからである。
【0029】
図8〜
図13は、別の実施態様による負のイメージングリフトオフプロセスを示す断面図である。
図8はプロセス800を示し、ここで透明なリフトオフ材料805は、基板810の表面上の選択された領域にインク射出される。次に、
図9のプロセス900に示されるように、透明なリフトオフ材料805は強打され又は平滑化されて滑らかな上面を形成する。
図10のプロセス1000において、マーキング材料1010が基板810に付加される。しかしながら、透明なリフトオフ材料805がマーキング材料1010のほとんどをはねつけると可変画像領域1020のみが基板に堅固に付着されたままになる。透明なリフトオフ材料805の表面に残留する少量の残留マーキング材料はリフトオフ材料からは容易に除去することができる。
【0030】
次に、
図11に示されるプロセス1100において、マーキング材料1010のUV粘着は、マーキング材料の粘度を増加させ、同時に基板に対しその接着強度を増加させるように実行される。さらに、UVランプは透明なリフトオフ材料805の粘度を任意選択的に減少させることもできる。次に、
図12のプロセス1200において、ウェブクリーナ1210は透明なリフトオフ材料805の表面上の余分なマーキング材料1010と、透明なリフトオフ材料のほとんどを除去するために適用される。
図13のプロセス1300において、ウェブクリーニングプロセスの後に基板810上に残留する余分な透明リフトオフ材料805は加熱によって基板内に打ち込まれ、これは基板が残留する余分な残留量の透明なリフトオフ材料を運び出すのに十分な多孔性であることを想定する。プロセス1200及び1300は、基板810の表面領域1310から透明なリフトオフ材料805の実質的にすべてを除去する。
図1〜
図3に示される実施態様のように、結果は、通常、粘性が高すぎて直接インク射出できないマーキング材料から形成される動態可変画像領域1020になってしまう。
【0031】
図4は、実施態様によるハイブリッド印刷システム100の一部を示す概略図である。システム400は、基板405の右側の矢印によって示されるように左から右方向にシステム内を移動している基板405上に印刷する。システム400の構成要素は、インクジェットユニット410、粉砕ローラ420、オフセット印刷プレス465、UV付加ユニット470、加熱ローラ480、及びヒータ490を有する。
【0032】
オフセット印刷プレス465は、形成ローラ430、画像プレートローラ440、ブランケットローラ450、及び圧痕ローラ460を有する。オフセット印刷プレス465のこれら構成要素の細部及び機能は周知であり、本発明に見出される発明の形態の理解には必要とされないので、本明細書中で更に詳述されない。
【0033】
一実施態様による負のリフトオフパターンを形成する方法は
図4を参照して記載される。最初に、透明なクリアオフ材料は、インクジェットユニット410を使用して基板405の選択された部分の上に比較的高温でインク射出される。射出プロセスの間に、透明なリフトオフ材料の粘度は約1cPから約10cPの間にあることが好ましい。透明なリフトオフ材料が基板405に当たるとき、基板に対する熱エネルギーの急速な転送により高粘度状態に直ちに移行することになる。この点において、透明なリフトオフ材料は、クリアオフ材料は、オフセット印刷プレス465によってその後付加されるマーキング材料のはねつけに関して理想的でないある構成(トポグラフィ)を有することもある。
【0034】
その結果、次のプロセスは、滑らかな表面を作成するために粉砕ローラ420を使用して透明なリフトオフ材料の粉砕である。ある実施の形態において、透明なリフトオフ材料に対し化学親和力を有する側鎖基を有するシリコーン状の材料から構成される少量の共重合体は、粉砕ローラ420が透明なリフトオフ材料のどれかを持ち上げることを防止するために、透明なリフトオフ材料の成分に小量添加されてもよい。さらにこの状況を避けるために、ある実施態様は付加的に又はシリコーンオイル添加剤の代わりに非常に低い表面エネルギーを備えた粉砕ローラ420を使用する。たとえば、TEFLON(テフロン(登録商標))塗布によるアルミニウムドラムが粉砕ローラ420として使用されてもよい。
【0035】
次に、マーキング材料(図示せず)は、静止画像を作成するためにオフセット印刷プレス465を使用して基板405に付加される。マーキング材料の一部が透明なリフトオフ材料の表面に付加されるが、透明なリフトオフ材料が上記のように予め平滑化されていたので、マーキング材料のほとんどをはねつけることになる。一部の残留量のオフセットインク液滴は透明なリフトオフ材料の上部に残留することになる。以下の段落では、実施態様によるこの余分なマーキング材料を除去する好ましい方法について記載される。
【0036】
一部の実施の形態によると、マーキング材料の粘度は、基板405上にUV光を放出するように配置されるUV付加ユニット470を使用して透明なリフトオフ材料の粘度よりもはるかに高くされる。一部の実施の形態において、透明なリフトオフ材料は、UV光の存在下で破壊する化学結合を有することもあり、透明なリフトオフ材料の粘度を減少させる。この場合、UV付加ユニット470は、同時にマーキング材料の粘度を増加させ、一方で透明なリフトオフ材料の粘度を減少させるという2つの目的に適合する。
【0037】
他の実施の形態によると、透明なリフトオフ材料の粘度は加熱ステージを使用して代替的に減少され得る。加熱が利用される場合、ホットローラ構成は最適となる。この場合、透明なリフトオフ材料が加熱されるとき、約5,000cPから約50,000cPの範囲内の粘度を有することになる。この範囲は、加熱を受けて基板から透明なリフトオフ材料を分割させるのに十分低いが、透明なリフトオフ材料が多孔性基板に浸らないように十分に高い。
【0038】
次に、基板405は加熱ローラ480を用いてウェブクリーナ/ストリッパ475と接触される。ウェブクリーナ/ストリッパ475は、非常に効率的にマーキング材料を持ち上げることができるが、紙繊維のピックアップを生じるように粘着性がありすぎない吸収材料であることが理想的である。透明なリフトオフ材料の粘度がUV付加ユニット470を用いて前もって減少されたので、基板405がウェブクリーナ/ストリッパ475及び加熱ローラ480に接触するときに透明なリフトオフ材料の分割が促進され、透明なリフトオフ材料は、透明なリフトオフ材料の上部に残留する余分なマーキング材料とともに基板から除去される。透明なリフトオフレイヤにおいて分割が行われた後に、負の可変画像がこうして基板405上に形成される。ヒータ490は、最終的にインクをセットし、残留する透明なリフトオフ材料を多孔性基板内に打ち込むために随意選択的に使用され得る。
【0039】
代替的実施の形態によると、ウェブクリーナ/ストリッパ475は、高容量一般複製動作中にハイブリッド印刷システム400から一時的に離脱されることができる。これにより、オフセット印刷ショップ及びフレキソ印刷ショップが最終印刷又は包装に対して使用することになる実際のインクを用いて一組の可変データプルーフを実行することを可能にする。このことは、ショートラン・プルーフ及びマーケットトライアルや可変データアプリケーションに対して極めて大きな利点がある。
【0040】
図5は、別の実施態様によるハイブリッド印刷システム500の一部を示す概略図である。システム500は
図4に示されるシステム400と非常に類似しているが、オフセット印刷プレス465(及びオフセットインク)ではなく、フレキソ印刷プレス505(フレキソ印刷インク)を使用する。フレキソ印刷プレス505は、オフセット印刷プレス465の画像プレートローラ440及びブランケットローラ450ではなく、アニロックスローラ510及びフレキソローラ520を有する。フレキソ印刷プレス505のこれら構成要素の細部及び機能は周知であり本発明に見出される発明の形態の理解に対して必要とされないので、本明細書中に更に詳述されない。マーキング材料を基板405に付加するためにフレキソ印刷プレス505を使用することを除いてシステム500を使用して負の可変画像を形成するプロセスはシステム400に対し上述されたものと実質的に同一である。
【0041】
図6は、さらに別の実施態様によるハイブリッド印刷システム600の一部を示す概略図である。このシステム600は、基板405の右側に矢印で示されるように左から右方向にシステム内を移動している基板405上に印字する。システム600の構成要素は、インクジェットユニット410、粉砕ローラ420、オフセット印刷プレス465、加熱ローラ480、UV付加ユニット470、及びヒータ490を有する。システム600は、
図4のシステム400と類似しているが、システム600では、透明なリフトオフ材料上に残留するマーキング材料がウェブクリーナ/ストリッパ475及び加熱ローラ480を使用して除去された後に、マーキング材料のUV付加(tacking)が生じる。
【0042】
別の実施態様による負のリフトオフパターンを形成する方法は
図6を参照して述べられる。最初に、透明なリフトオフ材料がインクジェットユニット410を使用して基板405の選択された部分の上に比較的高温でインク射出される。射出プロセスの間に、透明なリフトオフ材料の粘度は約1cPから約10cPであることが好ましい。透明なリフトオフ材料が基板405と当たるとき、基板に対するその熱エネルギーの急速な転送により高粘度状態に直ちに移行することになる。この時点で、透明なリフトオフ材料は、オフセット印刷プレス465によってその後付加されるマーキング材料のはねつけから見て理想的でないある構成(トポグラフィ)を有してもよい。
【0043】
その結果として、次のプロセスは、滑らかな表面を設けるために粉砕ローラ420を使用して透明なリフトオフ材料を粉砕することである。ある実施の形態において、粉砕ローラ420が透明なリフトオフ材料のどれかを持ち上げるのを防止するためにシリコーンオイルが透明なリフトオフ材料の成分に添加されることもある。この状況をさらに防止するために、一部の実施態様は、更に若しくはシリコーンオイル添加剤の代わりとして非常に低い熱エネルギーを備えた粉砕ローラ420を使用してもよい。たとえば、TEFLON(テフロン(登録商標))コーティングされたアルミニウムドラムが粉砕ローラ420として使用されてもよい。
【0044】
次に、マーキング材料(図示せず)は、静止画像を形成するためにオフセット印刷プレス465を使用して基板405に付加される。マーキング材料の一部は透明なリフトオフ材料の表面に付加されるが、透明なリフトオフ材料が上記のように予め平滑化されているので、マーキング材料のほとんどをはねつけることになる。残留するある量のマーキング材料は透明なリフトオフ材料の上部に残留することになる。以下の段落は、別の実施態様によるこの余分なマーキング材料を除去する方法が述べられる。
【0045】
マーキング材料の粘度が、少量の固定又は粘着の後にフレキソ印刷インクに対する場合のように十分に低い(おそらく約10,000cP)場合、余分なマーキング材料をウェブクリーナ/ストリッパ475内に全体的にに運びこむことを可能にすることによって透明なリフトオフ材料の表面から余分なマーキング材料を直接除去することが可能である。この場合、UV付加ユニット470を用いた最終ハード粘着ステップはウェブクリーニングステップの後に発生する可能性がある。
【0046】
好ましくは、この実施の形態において、基板に対するマーキング材料の粘着性は、透明なリフトオフ材料に対するマーキング材料の粘着性よりもはるかに高いはずであり、ウェブクリーナ/ストリッパ475が画像領域(透明なリフトオフ材料を有していない領域)におけるマーキング材料を除去することを防止する。随意選択的に、多孔性の基板405を用いることにより、ウェブクリーナ/ストリッパが画像領域からマーキング材料を除去することになる可能性を少なくすることにもなる。マーキング材料としてウォータレス・オフセットインクを使用して、特に透明なリフトオフ材料がシリコーンオイルを有する場合、透明なリフトオフ材料の表面からマーキング材料を除去することから見てウェブクリーナ/ストリッパ475の能力を更に向上させる。
【0047】
次に、最終UV付加ステップが、UV付加ユニット475を用いてマーキング材料上で実行される。最後に、残留する透明なリフトオフ材料がディファレンシャルグロスが起こらないようにするために除去される必要がある。システム600において、このことはヒータ490を用いて実行される。マーキング材料は既に粘着されているので、最終加熱ステージはかなり高温である可能性があり、これにより、多孔性基板405に打ち込むことによって残留する透明なリフトオフ材料のパイル高さを削除する。金属フィルム又はプラスチックなどの非多孔性基板に対しては、化学的溶解などの透明なリフトオフ材料の残留量を除去するための他の化学的又は機械的クリーニング方法でもよい。
【0048】
異なる色のマーキング材料が同時に使用されている場合、上記の方法が多数のウェブクリーニングステージに拡張可能であることに理解されたい。たとえば、
図7は、実施態様による可変データの正確な整合で4色プロセスを実施するのに好適なハイブリッド印刷システムの一部700を示す図である。この実施の形態において、部分700は例えば、システム600の単一加熱ローラ480/UV付加ユニット470ステージの代わりになることがある。
【0049】
図7を参照すると、部分700は4つのステージを有し、各ステージにはオフセット印刷プレス465及びウェブクリーナ/ストリッパ475が設けられている。最初の3つのステージはローラ705を用いて基板405にウェブクリーナ/ストリッパ475を付加し、最終ステージは加熱ローラ480を使用するが、これは、透明なリフトオフ材料が基板405から分離されることになる最終ステージで加熱の必要があるにすぎないからである。部分700において、これらウェブクリーナ/ストリッパ475は、それぞれのプロセスカラーごとに透明なリフトオフ材料から上部残留物を除去するために使用され、4色すべてが印刷された後のみ、加熱又はまた別の手段によって透明なリフトオフ材料が除去される。
【0050】
ウェブクリーナ/ストリッパ475を使用して透明なリフトオフ材料の上部のマーキング材料を完全に除去及び/又ははねつけることはそれぞれのステージで好ましいとされるが、そうでない場合、透明なリフトオフ材料の表面エネルギー特性が変更される可能性があり、カラーステーション間のインクの集積(ビルドアップ)、混合、及び転写が生じることもある。しかしながら、ある代替的実施の形態において、最終ウェブクリーナ/ストリッパ475のみを使用することもなお可能であるが、これは4つのプロセスカラーが対応するUV付加ユニット470によってスポット硬化される後に透明なリフトオフ材料に十分に張り付く可能性があるが、スポット硬化される前にほとんど全体的にはねつけられる場合である。この場合、透明なリフトオフ材料が効率的に分離される可能性もある。したがって、部分700に見出される最初の3つのウェブクリーナ/ストリッパ475は、インク粘着性の動力学によっては随意選択的であってもよい。
【0051】
非多孔性のプラスチック基板又は金属基板では、加熱の他に他の方法を介して残留量の透明なリフトオフ材料を除去することが理想でもある。たとえば、生産性要件があまり高くない場合、基板又はマーキング材料を腐食しない化学洗浄液を使用して残留するリフトオフ材料を洗い流すこともできる。
【0052】
リフトオフ材料をきれいに除去するための他の手段は機械的スクレーピングを含む可能性がある。
図14は、ある実施態様によるハイブリッド印刷システムにおける使用に好適な機械的スクレーピングユニット1400を示す概略図である。機械的スクレーピングユニット1400は、加熱ローラ480、廃棄物キャッチャ1405、ドクターブレード1420、及び案内ローラ1430を有する。プラスチック基板又はアルミニウムなどの金属基板1405は左から右にスクレーピングユニット1400を通過し、通過するときに、ドクターブレード1420は基板から透明なリフトオフ材料を削り取るように動作し、次の廃棄処分のために廃棄物キャッチャ1410内に落下する。
【0053】
図14に示されるような機械的スクレーピングは紙基体に適していないこともあるが、金属基板が使用され透明なリフトオフ材料がシリコーンオイルを含み、加熱される場合、機械的スクレーピングは全く不可能ではない。金属基板又はプラスチック基板は一般に紙基体よりも丈夫であり、ドクターブレード1420によってより高いせん断抵抗がある。また、透明なリフトオフ材料、及び金属基板やプラスチッキ基板の表面接着性は紙基体よりも実質的に低い。
【0054】
最後に、基板がさらなる光沢のためにワニスで塗布されるある応用例がある。このような場合、ワニス(varnish)がいずれにしても透明なリフトオフ材料を上塗りするために、透明なリフトオフの最終リフトオフなしで済ませることも可能である。こうした場合に、リフトオフステップ感にマーキング材料のはねつけ又はそれらの完全な拒絶のみが必要となる。
【0055】
前述した段落では発明の実施態様を記述した。こうした実施の形態は限定ではなく図示の目的で提示され、発明の原理又は本明細書中に見出される原理から逸脱することなく実施態様に対して軽微な変更が成されても良い。