特許第5677766号(P5677766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677766
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】外科手術用器具のためのピンロック機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
   A61B17/10 310
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-102766(P2010-102766)
(22)【出願日】2010年4月27日
(65)【公開番号】特開2010-259791(P2010-259791A)
(43)【公開日】2010年11月18日
【審査請求日】2013年3月1日
(31)【優先権主張番号】61/175,815
(32)【優先日】2009年5月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/753,998
(32)【優先日】2010年4月5日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジェイ. レースネット
(72)【発明者】
【氏名】ディノ カスビキス
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−211651(JP,A)
【文献】 特公平5−068259(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068― 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部分と、
長手方向軸を規定し、かつ、該ハンドル部分から遠位に延びる細長部分と、
該細長部分の遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第一の顎部材および第二の顎部材を含み、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、それらの間に組織をクランプするための寸法にされており、該第一の顎部材は、該長手方向軸に対して実質的に横向きの列に配置された少なくとも1列のファスナーを有する、エンドエフェクタと、
該第一の顎部材と機械的に協働して配置された第一のピンおよび第二のピンであって、各ピンは、係合セクションを含み、該第一のピンおよび該第二のピンは、第一の位置と第二の位置との間で移動可能であり、該第一の位置において、該係合セクションは、該第二の顎部材から間隔を空けており、該第二の位置において、該係合セクションは、該第二の顎部材と係合し、該第一のピンおよび該第二のピンは、互いから間隔を空けている、第一のピンおよび第二のピンと、
遠位位置と近位位置との間で移動可能なナイフであって、該ナイフは、該第一のピンと並び、かつ、隣接して終わる上縁部と、該第二のピンと並び、かつ、隣接して終わる下縁部とを有し、該ナイフは、該上縁部と該下縁部の間で延びている長さを規定し、該ナイフは、該長さに対して、第一の対向する平坦な部分と、第二の対向する平坦な部分とを含み、各ピンは、該ナイフに対向する単一の平坦な表面を有し、該第一のピンは、該第一の対向する平坦な部分に隣接し、かつ、対向するように配置され、該第二のピンは、該第二の対向する平坦な部分に隣接し、かつ、対向するように配置され、該第一の対向する平坦な部分の少なくとも一部分は、該第一のピンの平坦な表面と位置合わせをされ、該第二の対向する平坦な部分の少なくとも一部分は、該第二のピンの平坦な表面と位置合わせをされ、該第一のピンの平坦な表面および該第二のピンの平坦な表面は、互いの方に向けられており、該ナイフの該上縁部および該下縁部は、それぞれ、該第一のピンおよび該第二のピンによってふさがれていない、ナイフと
を含む、外科手術用器具。
【請求項2】
2列のファスナーをさらに含み、前記ナイフは、該2列のファスナーの間に配置されている、請求項1に記載の外科手術用器具。
【請求項3】
前記第一のピンおよび前記第二のピンは、前記第一の顎部材および前記第二の顎部材が組織をクランプするための位置まで移動するときに、遠位方向に自動的に移動する、請求項1に記載の外科手術用器具。
【請求項4】
各ピンは、実質的にD字型である、請求項1に記載の外科手術用器具。
【請求項5】
各ピンの半球状の部分が、前記ナイフから離れるように延びている、請求項4に記載の外科手術用器具。
【請求項6】
前記ナイフは、前記上縁部と前記下縁部との間に第二の長手方向軸を規定し、各ピンは、各ピンの前記平坦な表面が、前記第二の長手方向軸を越えて延びないように配置されている、請求項1に記載の外科手術用器具。
【請求項7】
前記第一のピンおよび前記第二のピンのそれぞれは、非円形の断面を有する、請求項1に記載の外科手術用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年5月6日に出願された仮出願番号61/175,815に対する優先権を主張する。この仮出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、外科手術用器具に関し、そしてより特定すると、組織をクランプし、切断し、そして連結するための外科手術用器具に関する。
【背景技術】
【0003】
特定の外科手術ステープル留め器具は、ステープルの列を、圧縮された生体組織に通して適用するために使用される。これらの外科手術用ステープル留め器具は、例えば、組織または器官を、切離もしくは切除する前、または吻合中に固定するために使用される。いくつかの場合において、これらの外科手術用ステープル留め器具は、胸部および腹部の手順において器官を閉塞させるために利用される。
【0004】
代表的に、このような外科手術用ステープル留め器具は、アンビルアセンブリ、外科手術用ステープルのアレイを支持するためのカートリッジアセンブリ、このカートリッジアセンブリとこのアンビルアセンブリとを近接させるための近接機構、このカートリッジアセンブリとこのアンビルアセンブリとの間に組織を捕捉し、そして近接中および発射中にこのカートリッジアセンブリとこのアンビルアセンブリとの間の整列を維持するための、整列またはガイドピンアセンブリ、ならびに外科手術用ステープルをこのカートリッジアセンブリから排出するための発射機構を備える。
【0005】
使用において、この整列ピンアセンブリが前進させられ、そしてこのアンビルアセンブリとこのカートリッジアセンブリとが近接させられる。次に、外科医は、この器具を発射してステープルを組織内に配置する。必要に応じて、外科医は、同じ器具または別のデバイスを使用して、ステープルの列に隣接する組織またはステープルの列の間の組織を切断し得る。この整列ピンは、いくつかの例において、カートリッジの近接と共に自動的に前進させられる。他の例において、この整列ピンは、別の機構によって前進させられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1A)
ハンドル部分;
長手方向軸を規定し、そして該ハンドル部分から遠位に延びる細長部分;
該細長部分の遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、間に組織をクランプするための寸法にされており、該第一の顎部材は、該長手方向軸に対して実質的に横向きの列に配置された少なくとも1列のファスナーを有する、エンドエフェクタ;ならびに
該第一の顎部材と機械的に協働して配置され、係合セクションを備えるピンであって、該ピンは、第一の位置と第二の位置との間で移動可能であり、該第一の位置において、該セクションは、該第二の顎部材から間隔を空けており、そして該第二の位置において、該係合セクションは、該第二の顎部材と係合し、該ピンは、非円形の断面を有する、ピン、
を備える、外科手術用器具。
(項目2A)
遠位位置と近位位置との間で移動可能なナイフをさらに備え、該ナイフは、上記ピンと並んで終わる上縁部を有し、該ピンが、ナイフスロットの両側に配置されており、該ナイフスロットから上記ナイフが延びる、上記項目に記載の外科手術用器具。
(項目3A)
上記ピンが、上記ナイフを収容するための寸法にされたギャップを有する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目4A)
2列のファスナーをさらに備え、上記ナイフが、該2列のファスナーの間に配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目5A)
上記ピンが実質的に半円形の断面である、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目6A)
上記ピンが実質的にL字型の断面である、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目7A)
上記ピンが約270°の弧に形成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目8A)
第二の非円形のピンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目9A)
上記ピンが互いから間隔を空けており、そして一方のピンが、ナイフの頂部に隣接しており、そして他方のピンが、該ナイフの底部に隣接して位置している、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目10A)
実質的に半円形の断面を有する第二のピンをさらに備え、上記ピンの各々が、実質的に平坦な表面を有し、該第二のピンの該実質的に平坦な表面が、他方のピンの該実質的に平坦な表面が面する方向とは逆の方向に面する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目11A)
上記第一の顎部材および上記第二の顎部材が組織をクランプするための位置まで移動すると自動的に上記ピンが遠位方向に移動する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目12A)
ハンドル部分;
長手方向軸を規定し、該ハンドル部分から遠位に延びる細長部分;
該細長部分の遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、間に組織をクランプするための寸法にされており、該第一の顎部材は、該長手方向軸に対して実質的に横向きの列で配置された少なくとも1列のファスナーを有する、エンドエフェクタ;
該第一の顎部材と機械的に協働するように配置され、係合セクションを備えるピンであって、該ピンは、第一の位置と第二の位置との間で移動可能であり、該第一の位置において、該係合セクションは、該第二の顎部材から間隔を空けており、そして該第二の位置において、該係合セクションは、該第二の顎部材と係合する、ピン;ならびに
該第一のピンから間隔を空けた第二のピンであって、該第一のピンおよび該第二のピンの各々が、ナイフと並ぶ表面を有し、該第一のピンの第一の表面が、第一の方向に面し、そして該第二のピンの第二の表面が、第二の逆の方向に面する、第二のピン、
を備える、外科手術用器具。
(項目13A)
上記第一の表面および上記第二の表面が、実質的に平坦である、上記項目に記載の外科手術用器具。
(項目14A)
上記第一のピンが、上記ナイフの頂表面の方に面する第三の表面を有し、そして上記第二のピンが、該ナイフの底表面の方に面する第四の表面を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目15A)
上記第一の顎部材および上記第二の顎部材が組織をクランプするための位置まで移動すると自動的に上記ピンが遠位方向に移動する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
【0007】
本発明はさらに、以下を提供する:
(項目1B)
ハンドル部分;
長手方向軸を規定し、そして該ハンドル部分から遠位に延びる細長部分;
該細長部分の遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、間に組織をクランプするための寸法にされており、該第一の顎部材は、該長手方向軸に対して実質的に横向きの列に配置された少なくとも1列のファスナーを有する、エンドエフェクタ;ならびに
該第一の顎部材と機械的に協働して配置され、係合セクションを備えるピンであって、該ピンは、第一の位置と第二の位置との間で移動可能であり、該第一の位置において、該セクションは、該第二の顎部材から間隔を空けており、そして該第二の位置において、該係合セクションは、該第二の顎部材と係合し、該ピンは、非円形の断面を有する、ピン、
を備える、外科手術用器具。
(項目2B)
遠位位置と近位位置との間で移動可能なナイフをさらに備え、該ナイフは、上記ピンと並んで終わる上縁部を有する、上記項目に記載の外科手術用器具。
(項目3B)
上記ピンが、上記ナイフを収容するための寸法にされたギャップを有する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目4B)
2列のファスナーをさらに備え、上記ナイフが、該2列のファスナーの間に配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目5B)
上記ピンが実質的に半円形の断面である、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目6B)
上記ピンが実質的にL字型の断面である、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目7B)
上記ピンが約270°の弧に形成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目8B)
第二の非円形のピンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目9B)
上記ピンが互いから間隔を空けており、そして一方のピンが、ナイフの頂部に隣接しており、そして他方のピンが、該ナイフの底部に隣接して位置している、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目10B)
遠位位置と近位位置との間で移動可能なナイフをさらに備え、該ナイフが、上記ピンと並んで終わる上縁部を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目11B)
上記ピンが、ナイフスロットの両側に配置されており、該ナイフスロットから上記ナイフが延びる、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目12B)
実質的に半円形の断面を有する第二のピンをさらに備え、上記ピンの各々が、実質的に平坦な表面を有し、該第二のピンの該実質的に平坦な表面が、他方のピンの該実質的に平坦な表面が面する方向とは逆の方向に面する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目13B)
上記第一の顎部材および上記第二の顎部材が組織をクランプするための位置まで移動すると自動的に上記ピンが遠位方向に移動する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目14B)
ハンドル部分;
長手方向軸を規定し、該ハンドル部分から遠位に延びる細長部分;
該細長部分の遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第一の顎部材および第二の顎部材を備え、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、間に組織をクランプするための寸法にされており、該第一の顎部材は、該長手方向軸に対して実質的に横向きの列で配置された少なくとも1列のファスナーを有する、エンドエフェクタ;
該第一の顎部材と機械的に協働するように配置され、係合セクションを備えるピンであって、該ピンは、第一の位置と第二の位置との間で移動可能であり、該第一の位置において、該係合セクションは、該第二の顎部材から間隔を空けており、そして該第二の位置において、該係合セクションは、該第二の顎部材と係合する、ピン;ならびに
該第一のピンから間隔を空けた第二のピンであって、該第一のピンおよび該第二のピンの各々が、ナイフと並ぶ表面を有し、該第一のピンの第一の表面が、第一の方向に面し、そして該第二のピンの第二の表面が、第二の逆の方向に面する、第二のピン、
を備える、外科手術用器具。
(項目15B)
上記第一の表面および上記第二の表面が、実質的に平坦である、上記項目に記載の外科手術用器具。
(項目16B)
上記第一のピンが、上記ナイフの頂表面の方に面する第三の表面を有し、そして上記第二のピンが、該ナイフの底表面の方に面する第四の表面を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
(項目17B)
上記第一の顎部材および上記第二の顎部材が組織をクランプするための位置まで移動すると自動的に上記ピンが遠位方向に移動する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用器具。
【0008】
(摘要)
ハンドル部分、細長部分、ならびに第一の顎部材および第二の顎部材を備える外科手術用器具。この細長部分は、長手方向軸を規定し、そしてこのハンドル部分から遠位に延びる。この第一の顎部材およびこの第二の顎部材は、間に組織をクランプするための寸法にされる。この第一の顎部材は、この長手方向軸に対して実質的に横向きの列に配置された、少なくとも1列のファスナーを有する。ピンが、この第一の顎部材と機械的に協働するように配置され、そして第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。この第一の位置において、係合セクションは、第二の顎部材から間隔を空ける。この第二の位置において、係合セクションは、この第二の顎部材と係合する。このピンは、非円形の断面を有する。
【0009】
(要旨)
本開示は、ハンドル部分、細長部分、およびエンドエフェクタを備える外科手術用器具を提供する。この細長部分は、長手方向軸を規定し、そしてこのハンドル部分から遠位に延びる。このエンドエフェクタは、この細長部分の遠位部分に隣接して配置され、そして第一の顎部材および第二の顎部材を備える。この第一の顎部材およびこの第二の顎部材は、間に組織をクランプするための寸法にされる。
【0010】
ピンが、この第一の顎部材と機械的に協働するように配置される。このピンは、係合セクションを備え、そして第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。この第一の位置において、この係合セクションは、第二の顎部材から間隔を空ける。この第二の位置において、この係合セクションは、この第二の顎部材と係合する。このピンは、非円形の断面を有する。
【0011】
好ましくは、クランプされた組織を切断するために遠位に移動するナイフが提供される。好ましくは、このナイフは、このピンと並んで終わる上縁部を有する。1つの実施形態において、このピンは、ナイフを収容するための寸法にされたギャップを有する。この器具は、ファスナーの複数の列を備え得、このナイフが、これらの列の間に配置される。
【0012】
1つの実施形態において、このピンは、断面が実質的に半円形である。別の実施形態において、このピンは、断面が実質的にL字型である。
【0013】
この器具は、第二の非円形ピンを備え得る。1つの実施形態において、これらのピンは、互いから間隔を空けており、そして一方のピンがナイフの頂部に隣接し、そして他方のピンが、このナイフの底部に隣接して配置される。これらのピンは、ナイフスロット(このナイフスロットからナイフが延びる)の両側に配置され得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、この器具は、実質的に半円形の断面を有する第二のピンをさらに備え得、これらのピンの各々は、実質的に平坦な表面を有し、この第二のピンの実質的に平坦な面は、他方のピンの実質的に平坦な面が面する方向とは逆の方向に面する。
【0015】
これらのピンは、いくつかの実施形態において、第一の顎部材と第二の顎部材とが組織をクランプする位置まで移動するときに自動的に遠位方向に移動し得る。
【0016】
別の局面において、ハンドル部分、細長部分およびエンドエフェクタを備える外科手術用器具が提供される。この細長部分は、長手方向軸を規定し、そしてこのハンドル部分から遠位に延びる。このエンドエフェクタは、この細長部分の遠位部分に隣接して配置される。このエンドエフェクタは、第一の顎部材および第二の顎部材を備え、この第一の顎部材およびこの第二の顎部材は、間に組織をクランプするための寸法にされる。この第一の顎部材は、この長手方向軸に対して実質的に横向きの列に配置された、少なくとも1列のファスナーを有する。ピンが、この第一の顎部材と機械的に協働して配置され、そして係合セクションを備える。このピンは、第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。この第一の位置において、この係合セクションは、この第二の顎部材から間隔を空け、そしてこの第二の位置において、この係合セクションは、この第二の顎部材と係合する。第二のピンが、第一のピンから間隔を空けており、この第一のピンおよびこの第二のピンの各々は、ナイフと並ぶ表面を有する。この第一のピンの第一の表面は、第一の方向に面し、そしてこの第二のピンの第二の表面は、第二の逆方向に面する。
【0017】
いくつかの実施形態において、これらのピンの第一の表面および第二の表面は、実質的に平坦である。この第一のピンは、ナイフの頂表面の方に面する第三の表面を有し得、そしてこの第二のピンは、このナイフの底表面の方に面する第四の表面を有し得る。いくつかの実施形態において、これらのピンは、第一の顎部材と第二の顎部材とが組織をクランプする位置まで移動するときに自動的に遠位方向に移動する。
【0018】
本開示の外科手術用ステープル留め器具の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本開示の外科手術用ステープル留め器具の斜視図である。
図1A図1Aは、図1の器具のエンドエフェクタの斜視図である。
図1B図1Bは、顎部材が開位置にある、図1の器具のエンドエフェクタの側面断面図である。
図1C図1Cは、顎部材が閉位置にある、図1のエンドエフェクタの側面断面図である。
図2図2は、半円形の断面を有するピンを有するカートリッジアセンブリの1つの実施形態の拡大斜視図である。
図3図3は、図2に示される細部の領域の斜視図である。
図4図4は、4列のステープルを有するカートリッジアセンブリの別の実施形態の拡大斜視図である。
図5図5は、カートリッジアセンブリの別の実施形態の拡大斜視図である。
図6図6は、図5に示される細部の領域の拡大斜視図である。
図7図7は、半円形の断面を有する2つのピンを有するカートリッジアセンブリの別の実施形態の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の外科手術用ステープル留め器具の実施形態が、図面を参照しながら詳細に記載される。図面において、同じ参照番号は、数枚の図の各々における対応する要素を表す。以下の説明において、用語「近位」とは、外科手術用ステープル留め器具の使用者に近い方の端部または部分をいい、一方で、用語「遠位」とは、外科手術用ステープル留め器具の使用者から遠い方の端部または部分をいう。
【0021】
簡潔さのために、本開示は、図面において参照番号100により指定される外科手術用ステープル留め器具のためのピンに焦点を当てる。米国特許第7,407,076号(その全内容は、本明細書中に参考として援用される)は、外科手術用ステープル留め器具100の実施形態の構造および作動を詳細に記載する。
【0022】
図1は、ファスナーを適用するため、および組織を切断するために設計された、外科手術用ステープル留め器具100を図示する。手短には、外科手術用ステープル留め器具100は、ハンドル部分110、細長部分120、およびこの細長部分120の遠位部分から延びるエンドエフェクタ130を備える。ハンドル部分110は、エンドエフェクタ130を起動するためのトリガ140を備える。細長部分120は、ハンドル部分110から遠位に延び、そしてこの細長部分に沿った長手方向軸A−Aを規定する。エンドエフェクタ130は、細長部分120の遠位部分に隣接して配置され、そして第一の顎部材またはカートリッジアセンブリ150、および第二の顎部材またはアンビルアセンブリ160を備える。この実施形態において、カートリッジアセンブリ150は、トリガ140の起動の際に、アンビルアセンブリ160に対して長手軸方向に移動して、顎部材150と160との間に組織をクランプするように適合される。組織をクランプする目的で、このアンビルアセンブリがこのカートリッジアセンブリの方に移動(近接)させられ得ること、またはこのカートリッジアセンブリとこのアンビルアセンブリとの両方が互いの方に移動させられ得ることもまた、想定される。
【0023】
カートリッジアセンブリ150は、複数のスロット152(図1Bおよび図1C)を備え、各々のスロットが、ステープルまたは他の任意の適切なファスナーを保持し得る。各スロット152は、プッシャースラストバーまたはプランジャー122と作動可能に関連する。プッシャー122は、細長部分120に沿って、部分的にカートリッジアセンブリ150内に延びる。カートリッジアセンブリ150はまた、ナイフを備え、このナイフは、カートリッジアセンブリ150とアンビルアセンブリ160との間にクランプされた組織を切断するために、前進可能である。使用において、プッシャー122は、トリガ140の起動の際に遠位に移動し、そしてスロット152内に配置されたステープルの、遠位方向への、細長部分120の長手方向軸に対して実質的に平行な排出を引き起こす。スロット152に加えて、カートリッジアセンブリ150は、プッシャー122に作動可能に接続されたピン154、およびピン154をスライド可能に受容するための寸法にされたボア156を備える。ピン154は、プッシャー122の並進に応答して、ボア156に沿って長手軸方向に移動するように適合される。あるいは、ピン154は、ハンドル部分110内のスライド式ノブ155によって移動させられ得る。図1A図1Cに図示される実施形態において、アンビルアセンブリ160は、ピン154の少なくとも一部分を受容するように設計された穴162を有する。アンビルアセンブリ160は、カートリッジアセンブリ150から排出されたファスナーを変形させるための、ステープル変形ポケット164を有する。細長スロットが、アンビルアセンブリにおいて、ポケット164の間に提供されて、以下に記載されるナイフを収容し得る。
【0024】
アンビルアセンブリ160が操作中にカートリッジアセンブリ150に対して静止状態を維持する一方で、カートリッジアセンブリ150は、トリガ140の起動の際に、近位位置と遠位位置との間で長手軸方向に移動可能である。この近位位置において、カートリッジアセンブリ150は、近位位置の図1Bに見られるように、アンビルアセンブリ160から間隔を空けている。トリガ140の起動は、このトリガに作動可能に接続されたクランプスライド170を遠位に移動させ、これは次に、ピン174に起因して、スラストバー122をより遠位に移動させる。次に、スラストバー122の遠位への並進は、カートリッジアセンブリ150の、アンビルアセンブリ160に向かう近接位置への遠位への移動を引き起こす。カートリッジアセンブリ150が近位位置から遠位位置の方へと移動する間、エンドエフェクタ130は、図1Cに示されるように、カートリッジアセンブリ150とアンビルアセンブリ160との間に配置された任意の組織「T」をクランプする。この遠位位置において、カートリッジアセンブリ150は、アンビルアセンブリ160のより近くに位置し、そして組織「T」をアンビルアセンブリ160に対して押し付ける。
【0025】
一旦、カートリッジアセンブリ150がその遠位(近接)位置に達すると、トリガ140のさらなる起動(すなわち、トリガ140の2回目の握り)は、スロット152からのファスナーの排出を引き起こす。すなわち、プッシャー122の連続的な遠位への並進は、一旦、カートリッジアセンブリ150が遠位位置に位置すると、スロット152内に配置されたファスナーの展開を引き起こす。展開中、これらのファスナーはスロット152を出、そして組織を通って前進して、これらのファスナーの形成(例えば、ステープルレッグをB字型の構成に屈曲させること)のために、アンビルアセンブリ160のステープル変形ポケットと接触する。トリガ140の起動はまた、このナイフを前進させて、カートリッジアセンブリ150とアンビルアセンブリ160との間にクランプされた組織を切断する。
【0026】
クランプスライド170の遠位への動きが、整列ピン154をボア156に沿って遠位に移動させることに留意のこと。これは、米国特許第7,407,076号に記載されるような、ピンプッシャー172の細長スロットを通って延びるピンを介しての、整列ピンプッシャー172とクランプスライド170との作動可能な接続に起因する。(ピンプッシャー172は、ピン154の近位端に係合するように構成された当接部材を有する、垂直部分を備える。)ピン154の充分な遠位への移動の際に、アンビルアセンブリ160の穴162は、ピン154の一部分を受容する。ピン154と穴162との間の構造的相互作用(カートリッジアセンブリ150が遠位位置に位置しているとき)は、スロット152とステープル変形ポケット164との整列を補助する。整列ピン154は、代替的に、ピンプッシャー172が例えばスライド式ノブ155によって手動で移動させられる際に、手動で移動させられてもよいことが理解されるべきである。
【0027】
ここで図2図7に図示される本開示の整列ピンの実施形態を参照すると、これらのピンは、上に記載された図1のステープラーと一緒に使用されても、他の適切な外科手術用ステープラーと一緒に使用されてもよい。これらのピンは、カートリッジの近接と共に(すなわち、トリガの起動に応答して)自動的に移動するように、かつ/または近接とは別に使用者により(例えば、器具の種々の位置に位置する独立したスライド式ノブまたは他の手動制御器もしくはノブによって)移動させられるように、構成され得る。従って、本明細書中に開示されるピンは、いずれかの様式(自動または手動)または両方の様式で移動させられ得ることが想定されることが理解されるべきである。
【0028】
図2および図3は、図1のカートリッジアセンブリ150の拡大図を図示する。この実施形態において、カートリッジアセンブリ150は、複数のステープルスロット132および1つのナイフスロット134を備える。各ステープルスロット132は、ステープルまたはファスナー136を収容する。ナイフスロット134は、ナイフ138を受容するように適合される。ナイフ138は、ステープル列の間の組織を切断するために長手軸方向に移動するように構成される。好ましくは、ナイフ138は、ステープルがカートリッジアセンブリ150から組織を通して前進させられるときに、遠位に前進させられる。この実施形態において、2列のステープルが提供され、実質的に直線に、器具100の長手方向軸A−Aに対して実質的に横向きに延びる。異なる数のステープルおよびステープル列もまた想定される。
【0029】
カートリッジアセンブリ150は、ピン154を受容するように構成されたボア156をさらに備える。ピン154は、近位位置と遠位位置との間で長手軸方向に移動するように適合され、そして実質的に半円形の断面を有して、ピン154に隣接するナイフ138の通過を可能にする。すなわち、ナイフ138は、ピン154の実質的に平坦な内側表面領域のそばを(並んで)通過する。ピン154の実質的に半円形の形状は、ナイフ138がピン154の領域まで延びることを可能にする。示されるように、ナイフ138は、ピン154の底154aを過ぎて延び、そしてピン154の中間領域154bに隣接して終わる。他のナイフの高さもまた想定される。ステープルスロット132およびステープル線は、ナイフ138の頂縁部138aを越えて延び、そしてナイフ138の底縁部138bを越えて延びる。
【0030】
図4は、一般的に参照番号250により表される、カートリッジアセンブリの代替の実施形態を図示する。このカートリッジアセンブリは、4列のステープルが提供されていることを除いて、図2のカートリッジアセンブリ150と実質的に同一である。示されるように、ステープル236の実質的に直線の4つの列が、器具の長手方向軸A−Aに対して実質的に横向きに配置されており、2つのジグザグの列が、ナイフ238の両側に配置されている。本明細書中の他の実施形態においてと同様に、ステープル236は、この器具の長手方向軸に対して実質的に平行な方向に発射される。ナイフ238は、カートリッジアセンブリとアンビルアセンブリとの間にクランプされた組織を切断するために、ナイフスロット234から移動可能である。ピン254は、ピン154と同様に、実質的に半円形の形状である。ステープル236は、ナイフ238の上縁部238aおよび下縁部238bを越えて延びる。
【0031】
図5の代替の実施形態において、一般的に参照番号350により表されるカートリッジアセンブリは、ピン354の構成を除いて、図2のカートリッジアセンブリ150と実質的に同一である。示されるように、ステープル336の実質的に直線の2つの列が、器具の長手方向軸に対して実質的に横向きに配置されており、ナイフ338の両側に1つずつの列が配置されている。異なる数の列もまた想定される。ナイフ338は、カートリッジアセンブリとアンビルアセンブリとの間にクランプされた組織を切断するために、ナイフスロット334から移動可能である。ステープル336は、ナイフ338の上縁部338aおよび下縁部338bを越えて延びる。ピン354は、構成が実質的にL字型であり、ナイフを収容するためのギャップ357を作製する。すなわち、部分354aは、ナイフ338に並んで下向きに延び、そして部分354bは、ナイフ338の上縁部338aより上に横向きに延びる。その結果、ピン354は、約270°の弧に広がる(しかし、他の弧もまた想定される)。
【0032】
1つの整列ピンが示されるが、2つの整列ピンが提供され得ることもまた想定される(例えば、1つがカートリッジの上部分にあり、そして他のものがカートリッジの下部分にある)ことが理解されるべきである。これは、例として図7の実施形態に示されており、この例において、上側ピン454および下側ピン455が、カートリッジ450に提供されている。ピン454、455の各々は、図2のピン154と同様に、構成が実質的に半円形であるが、図5の実質的にL字型のピンもまた提供され得る(頂端部または底端部のうちの一方に提供されて反対の端部の実質的に半円形のピンと一緒に利用されるか、あるいは頂端部と底端部との両方に提供されるかのいずれか)。ピン454、455は、好ましくは、ナイフ438の両側にあることに留意のこと。他の実施形態においてと同様に、ステープル線は、ナイフ438の上縁部438aおよび下縁部438bを越えて延びる。
【0033】
上記説明は、多くの詳細を含むが、これらの詳細は、本開示の範囲に対する限定であると解釈されるべきではなく、単に、本開示の種々の実施形態の例示であると解釈されるべきである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、種々の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0034】
100 外科手術用ステープル留め器具
110 ハンドル部分
120 細長部分
122 プランジャー
130 エンドエフェクタ
140 トリガ
150 カートリッジアセンブリ
152 スロット
154 ピン
156 ボア
160 アンビルアセンブリ
図1
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7