(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チャンバは、内部に複数の薄膜蒸着アセンブリがそれぞれ備わった第1チャンバと第2チャンバとを含み、前記第1チャンバと第2チャンバとが、互いに連繋されたことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニング・スリットシートは、前記蒸着物質の移動経路をガイドする連結部材によって結合され、一体に形成されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニング・スリットシート間の空間を、外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項6に記載の薄膜蒸着装置。
前記複数個の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを含み、前記2列の蒸着源ノズルは、互いに向き合う方向にチルトされていることを特徴とする請求項8に記載の薄膜蒸着装置。
前記遮断板アセンブリは、複数枚の第1遮断板を具備する第1遮断板アセンブリと、複数枚の第2遮断板を具備する第2遮断板アセンブリと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
前記複数枚の第1遮断板及び前記複数枚の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする請求項13に記載の薄膜蒸着装置。
前記パターニング・スリットシートは、第1マークを含み、前記基板は、第2マークを含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、第1マークと第2マークとのアライン程度を撮影するカメラ・アセンブリを含み、前記カメラ・アセンブリは、
筒状であり、一端に開口を有するフードと、
前記フード内に装着されたカメラと、
前記カメラと開口との間に位置した光学系と、
前記光学系と開口との間に位置した保護ウインドーと、
前記保護ウインドーに形成されたヒータと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
前記パターニング・スリットシートは、第1マークを含み、前記基板は、第2マークを含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、第1マークと第2マークとのアライン程度を撮影するカメラ・アセンブリと、前記カメラ・アセンブリによる第1マークと第2マークとのアライン程度についての情報を介して、前記第1マークを前記第2マークにアラインさせるように、前記薄膜蒸着アセンブリを駆動する第2駆動部と、をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
前記パターニング・スリットシートは、第1マークを含み、前記基板は、第2マークを含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、第1マークと第2マークとのアライン程度を撮影するカメラ・アセンブリと、を含み、
前記カメラ・アセンブリは、
筒状であり、一端に開口を有するフードと、
前記フード内に装着されたカメラと、
前記カメラと開口との間に位置した光学系と、
前記光学系と開口との間に位置した保護ウインドーと、
前記保護ウインドーに形成されたヒータと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
前記パターニング・スリットシートは、第1マークを含み、前記基板は、第2マークを含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、第1マークと第2マークとのアライン程度を撮影するカメラ・アセンブリと、前記カメラ・アセンブリによる第1マークと第2マークとのアライン程度についての情報を介して、前記第1マークを前記第2マークにアラインさせるように、前記薄膜蒸着アセンブリを駆動する第2駆動部と、をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような従来のファイン・メタルマスクを利用した蒸着方法の限界を克服するためのものであり、大型基板の量産工程にさらに適し、高精細のパターニングの可能な薄膜蒸着装置、及びこれを利用した有機発光表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記のような目的を達成するために、本発明は、被蒸着用基板を静電チャックに固定させるローディング部;真空に維持されるチャンバと、前記チャンバの内部に配され、前記静電チャックに固定された基板に薄膜を蒸着する薄膜蒸着アセンブリとを含む蒸着部;前記静電チャックから、蒸着が完了した前記基板を分離させるアンローディング部;前記基板が固定された静電チャックを、前記ローディング部、蒸着部及びアンローディング部に順次移動させる第1循環部;前記アンローディング部から、基板と分離された静電チャックを、前記ローディング部に送り戻す第2循環部;を含み、前記第1循環部は、前記蒸着部を通過するとき、前記チャンバ内部に貫通するように備えられた薄膜蒸着装置を提供する。
【0007】
前記チャンバ内部に、複数の薄膜蒸着アセンブリが備えられうる。
前記チャンバは、内部に複数の薄膜蒸着アセンブリがそれぞれ備えられた第1チャンバと第2チャンバとを含み、前記第1チャンバと第2チャンバとが互いに連繋したものでありうる。
【0008】
前記第1循環部または第2循環部は、前記静電チャックを移送するキャリアを含むことができる。
前記キャリアは、前記チャンバを貫通するように配設され、前記第1循環部または第2循環部に沿って延びる第1支持台及び第2支持台を含む支持台と、前記第1支持台上に配され、前記静電チャックのエッジを支持する移動台と、前記第1支持台と移動台との間に介在され、前記移動台を前記第1支持台に沿って移動させる第1駆動部と、を含むことができる。
【0009】
前記薄膜蒸着アセンブリは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向を沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数個のパターニング・スリットが形成されるパターニング・スリットシートと、を含み、前記基板が、前記薄膜蒸着アセンブリに対して、前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニング・スリットシートは、一体に形成されうる。
【0010】
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニング・スリットシートは、前記蒸着物質の移動経路をガイドする連結部材によって結合されて一体に形成されうる。
前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニング・スリットシート間の空間を外部から密閉するように形成されうる。
前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と所定程度離隔されるように形成されうる。
前記薄膜蒸着アセンブリの前記パターニング・スリットシートは、前記基板より小さく形成されうる。
【0011】
前記複数個の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成されうる。
前記複数個の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを含み、前記2列の蒸着源ノズルは、互いに向き合う方向にチルトされうる。
前記複数個の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを含み、前記2列の蒸着源ノズルのうち第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニング・スリットシートの第2側端部を向くように配され、前記2列の蒸着源ノズルのうち第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニング・スリットシートの第1側端部を向くように配されうる。
【0012】
前記薄膜蒸着アセンブリは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に沿って複数個のパターニング・スリットが配されるパターニング・スリットシートと、前記蒸着源ノズル部と前記パターニング・スリットシートとの間に、前記第1方向に沿って配され、前記蒸着源ノズル部と前記パターニング・スリットシートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数枚の遮断板を具備する遮断板アセンブリと、を含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と離隔されるように配され、前記薄膜蒸着アセンブリと前記基板は、互いに相対的に移動するものでありうる。
【0013】
前記薄膜蒸着アセンブリの前記パターニング・スリットシートは、前記基板より小さく形成されるものでありうる。
前記複数枚の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に沿って延びるように形成されたものでありうる。
前記複数枚の遮断板は、等間隔に配されるものでありうる。
【0014】
前記遮断板アセンブリは、複数枚の第1遮断板を具備する第1遮断板アセンブリと、複数枚の第2遮断板を具備する第2遮断板アセンブリと、を含むものでありうる。
前記複数枚の第1遮断板及び前記複数枚の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に沿って延びるように形成されたものでありうる。
【0015】
前記複数枚の第1遮断板及び前記複数枚の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配されるものでありうる。
前記互いに対応する第1遮断板及び第2遮断板は、実質的に同じ平面上に位置するように配されるものでありうる。
前記蒸着源と前記遮断板アセンブリは、互いに離隔されたものでありうる。
前記遮断板アセンブリと前記パターニング・スリットシートは、互いに離隔されたものでありうる。
【0016】
前記パターニング・スリットシートは、第1マークを含み、前記基板は、第2マークを含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、第1マークと第2マークとのアライン程度(degree of alignment)を撮影するカメラ・アセンブリを含み、前記カメラ・アセンブリは、筒状であり、一端に開口を有するフードと、前記フード内に装着されたカメラと、前記カメラと開口との間に位置した光学系と、前記光学系と開口との間に位置した保護ウインドーと、前記保護ウインドーに形成されたヒータと、を含むものでありうる。
【0017】
前記パターニング・スリットシートは、第1マークを含み、前記基板は、第2マークを含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、第1マークと第2マークとのアライン程度を撮影するカメラ・アセンブリと、前記カメラ・アセンブリによる第1マークと第2マークとのアライン程度についての情報を介して、前記第1マークを前記第2マークにアラインさせるように、前記薄膜蒸着アセンブリを駆動する第2駆動部と、をさらに含むものでありうる。
【0018】
前記チャンバに連繋され、前記薄膜蒸着アセンブリの蒸着源が出入するように備えられたソースチャンバと、前記チャンバとソースチャンバとの間を開閉する弁と、前記蒸着源が前記チャンバに位置するとき、前記チャンバとソースチャンバとの間を閉鎖するシャッタと、をさらに含むものでありうる。
【0019】
本発明はまた、前述の目的を達成するために、基板を静電チャックに固定させる段階と、前記基板が固定された静電チャックを、チャンバを貫通するように設置された第1循環部を利用し、真空に維持される前記チャンバ内に移送する段階と、前記チャンバ内に配された薄膜蒸着アセンブリを利用し、前記基板と前記薄膜蒸着アセンブリとの相対的移動によって、前記基板に有機膜を蒸着する段階と、前記第1循環部を利用し、前記蒸着が完了した基板を、前記チャンバから取り出す段階と、前記静電チャックから、蒸着が完了した前記基板を分離させる段階と、前記基板と分離された静電チャックを、前記チャンバの外部に設置された第2循環部を利用し、前記基板を静電チャックに固定させる段階に送り戻す段階と、を含む有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【0020】
前記チャンバ内部に、複数の薄膜蒸着アセンブリが備えられ、各薄膜蒸着アセンブリによって、前記基板に連続的に蒸着がなされるものでありうる。
前記チャンバは、内部に複数の薄膜蒸着アセンブリがそれぞれ備えられ、互いに連繋された第1チャンバと第2チャンバとを含み、前記基板が、前記第1チャンバ及び第2チャンバにわたって移動し、連続的に蒸着がなされるものでありうる。
【0021】
前記薄膜蒸着アセンブリは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数個のパターニング・スリットが形成されるパターニング・スリットシートと、を含み、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニング・スリットシートは、一体に形成され、前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と離隔されるように配され、蒸着が進められる間、前記基板が、前記薄膜蒸着アセンブリに対して、前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着がなされうる。
【0022】
前記薄膜蒸着アセンブリは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に沿って複数個のパターニング・スリットが配されるパターニング・スリットシートと、前記蒸着源ノズル部と前記パターニング・スリットシートとの間に、前記第1方向に沿って配され、前記蒸着源ノズル部と前記パターニング・スリットシートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数枚の遮断板を具備する遮断板アセンブリと、を含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と離隔されるように配され、蒸着が進められる間、前記薄膜蒸着アセンブリと前記基板とが互いに相対的に移動することによって、基板に対する蒸着がなされるものでありうる。
【0023】
前記パターニング・スリットシートは、第1マークを含み、前記基板は、第2マークを含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、第1マークと第2マークとのアライン程度を撮影するカメラ・アセンブリを含み、前記カメラ・アセンブリは、筒状であり、一端に開口を有するフードと、前記フード内に装着されたカメラと、前記カメラと開口との間に位置した光学系と、前記光学系と開口との間に位置した保護ウインドーと、前記保護ウインドーに形成されたヒータと、を含み、前記蒸着が進められる間、前記第1マークと第2マークとのアライン程度を感知するものでありうる。
【0024】
前記パターニング・スリットシートは、第1マークを含み、前記基板は、第2マークを含み、蒸着が進められる間、前記薄膜蒸着アセンブリは、第1マークと第2マークとがアラインされるように、前記薄膜蒸着アセンブリを駆動するものでありうる。
【0025】
前記チャンバに連繋され、前記薄膜蒸着アセンブリの蒸着源が出入するように備えられたソースチャンバと、前記チャンバとソースチャンバとの間を開閉する弁と、前記蒸着源が前記チャンバに位置するとき、前記チャンバとソースチャンバとの間を閉鎖するシャッタと、をさらに含み、前記基板に対する蒸着が終了した後、前記蒸着源を前記ソースチャンバに移送する段階と、前記弁で前記チャンバとソースチャンバとの間を閉鎖する段階と、前記蒸着源を交換する段階と、を含むものでありうる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光表示装置の製造方法によれば、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用され、製造収率及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易になるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明による望ましい実施形態について詳細に説明すれば、次の通りである。
図1は、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置を概略的に図示したシステム構成図であり、
図2は、
図1の変形例を図示したものである。
図3は、静電チャック600の一例を図示した概略図である。
【0029】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置は、ローディング部710、蒸着部730、アンローディング部720、第1循環部610及び第2循環部620を含む。
ローディング部710は、第1ラック712と、導入ロボット714と、導入室716と、第1反転室718とを含むことができる。
【0030】
第1ラック712には、蒸着がなされる前の基板500が多数積載されており、導入ロボット714は、前記第1ラック712から基板500を取り、第2循環部620から移送されてきた静電チャック600に基板500を載せた後、基板500が付着された静電チャック600を導入室716に移す。
【0031】
導入室716に隣接しては、第1反転室718が備わり、第1反転室718に位置した第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させ、静電チャック600を蒸着部730の第1循環部610に装着する。
【0032】
静電チャック600は、
図3から分かるように、セラミックで形成された本体601の内部に、電源が印加される電極602が埋め込まれたものであり、この電極602に、高電圧が印加されることによって、本体601の表面に基板500を付着させる。
図1を参照すれば、導入ロボット714は、静電チャック600の上面に基板500を載せ、この状態で静電チャック600は、導入室716に移送され、第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させることによって、蒸着部730では、基板500が下を向くように位置する。
【0033】
アンローディング部720の構成は、前述のローディング部710の構成と反対に構成される。すなわち、蒸着部730を経た基板500及び静電チャック600を、第2反転室728で第2反転ロボット729が反転させ、搬出室726に移送し、搬出ロボット724が搬出室726から基板500及び静電チャック600を取り出した後、基板500を静電チャック600から分離し、第2ラック722に積載する。基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620を介して、ローディング部710に回送される。
【0034】
しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、基板500が静電チャック600に最初固定されるときから、静電チャック600の下面に基板500を固定させ、そのまま蒸着部730に移送させることもできる。その場合、例えば、第1反転室718及び第1反転ロボット719と、第2反転室728及び第2反転ロボット729は、不要になる。
【0035】
蒸着部730は、少なくとも1つの蒸着用チャンバを具備する。
図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記蒸着部730は、第1チャンバ731を具備し、この第1チャンバ731内に、複数の薄膜蒸着アセンブリ100,200,300,400が配される。
図1に図示された本発明の望ましい一実施形態によれば、前記第1チャンバ731内に、第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200、第3薄膜蒸着アセンブリ300及び第4薄膜蒸着アセンブリ400の4つの薄膜蒸着アセンブリが設置されているが、その数は、蒸着物質及び蒸着条件によって可変可能である。前記第1チャンバ731は、蒸着が進められる間、真空に維持される。
【0036】
また、
図2による本発明の他の一実施形態によれば、前記蒸着部730は、互いに連繋された第1チャンバ731及び第2チャンバ732を含み、第1チャンバ731には、第1薄膜蒸着アセンブリ100,第2薄膜蒸着アセンブリ200が、第2チャンバ732には、第3薄膜蒸着アセンブリ300、第4薄膜蒸着アセンブリが配されうる。このとき、チャンバの数が追加されうることは、言うまでもない。
【0037】
一方、
図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記基板500が固定された静電チャック600は、第1循環部610によって、少なくとも蒸着部730に、望ましくは、前記ローディング部710、蒸着部730及びアンローディング部720に順次移動し、前記アンローディング部720で、基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620によって、前記ローディング部710に送り戻される。
【0038】
前記第1循環部610は、前記蒸着部730を通過するとき、前記第1チャンバ731を貫通するように備えられ、前記第2循環部620は、静電チャックが移送されるように備わる。
図4は、本発明の望ましい一実施形態による第1循環部610の断面を図示したものである。
【0039】
第1循環部610は、基板500を固定している静電チャック600を移動させる第1キャリア611を含む。
前記第1キャリア611は、第1支持台613と、第2支持台614と、移動台615と、第1駆動部616とを含む。
【0040】
前記第1支持台613及び第2支持台614は、前記蒸着部730のチャンバ、例えば、
図1の実施形態では第1チャンバ731、
図2の実施形態では第1チャンバ731と第2チャンバ732とを貫通するように設置される。
前記第1支持台613は、第1チャンバ731内で、上部を向いて配され、第2支持台614は、第1チャンバ731で、第1支持台613の下部に配される。
図4に図示された実施形態によれば、前記第1支持台613と第2支持台614とが互いに垂直に折り曲げられた構造で備えられているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第1支持台613が上部に、第2支持台614が下部にある構造であるならば、いかなるものでも差し支えない。
【0041】
移動台615は、第1支持台613に沿って移動するように備えられたものであり、少なくとも一端が前記第1支持台613によって支持され、他端が静電チャック600のエッジを支持するように備わる。前記静電チャック600は、前記移動台615に固定的に支持され、移動台615によって第1支持台613に沿って移動することができる。移動台の静電チャック600を支持する部分は、薄膜蒸着アセンブリ100を向くように折り曲げられ、基板500を薄膜蒸着アセンブリ100に近く位置させることができる。
【0042】
移動台615と第1支持台613との間には、第1駆動部616が含まれる。この第1駆動部616は、第1支持台613に沿って転がるローラ617を含むことができる。前記第1駆動部616は、移動台615を、第1支持台613に沿って移動させるものであり、それ自体で駆動力を提供するものでもあり、別途の駆動源からの駆動力を移動台615に伝達するものでもよい。前記第1駆動部616は、ローラ617以外にも、移動台615を移動させるものであるならば、いかなる駆動装置でも適用可能である。
【0043】
図5は、本発明の望ましい一実施形態による第2循環部620の断面を図示したものである。
第2循環部610は、基板500が分離された静電チャック600を移動させる第2キャリア621を含む。
前記第2キャリア621も、第3支持台623と、移動台615と、第1駆動部616とを含む。
【0044】
前記第3支持台623は、第1キャリア611の第1支持台613と同一に延びる。この第3支持台623には、第1駆動部616を備えた移動台615が支持され、この移動台615に、基板500と分離された静電チャック600が装着される。移動台615及び第1駆動部616の構造は、前述の通りである。
【0045】
次に、前記第1チャンバ731内に配される薄膜蒸着アセンブリ100について説明する。
図6は、本発明の薄膜蒸着アセンブリの第1実施形態を概略的に図示した斜視図であり、
図7は、
図6の薄膜蒸着アセンブリの概略的な側断面図であり、
図8は、
図6の薄膜蒸着アセンブリの概略的な平断面図である。
図6ないし
図8を参照すれば、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニング・スリットシート150を含む。
【0046】
詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115が、蒸着源ノズル部120及びパターニング・スリットシート150を通過し、基板500に所望のパターンで蒸着されるようにするなら、基本的に第1チャンバ731内部は、FMM(fine metal mask)蒸着法と同じ高真空状態を維持しなければならない。また、パターニング・スリットシート150の温度が蒸着源110の温度より十分に低くなければならない(約100゜以下)。なぜならば、パターニング・スリットシート150の温度が十分に低くてこそ、温度によるパターニング・スリットシート150の熱膨張問題を最小化できるからである。このような第1チャンバ731内には、被蒸着体である基板500が配される。前記基板500は、平板表示装置用基板になりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラス(mother-glass)のような大面積基板が適用されうる。
【0047】
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリ100に対して相対的に移動しつつ、蒸着が進められることを1つの特徴とする。
詳細には、既存のFMM蒸着法では、FMMサイズが基板サイズと同一に形成されなければならない。従って、基板サイズが増大するほど、FMMも大型化されなければならず、これによって、FMM製作が容易ではなく、FMMを引っ張って精密なパターンにアライン(align)するのも容易ではないという問題点が存在した。
【0048】
かような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、薄膜蒸着アセンブリ100と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着がなされることを1つの特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着アセンブリ100と向き合うように配された基板500が、Y軸方向に沿って移動しつつ、連続的に蒸着を行うのである。すなわち、基板500が、
図6の矢印A方向に移動しつつ、スキャニング(scanning)方式で蒸着が行われるのである。
【0049】
本発明の薄膜蒸着アセンブリ100では、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニング・スリットシート150を設けることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリ100の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うために、パターニング・スリットシート150のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板500の長さよりはるかに短く形成できるのである。このように、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニング・スリットシート150を設けることができるために、本発明のパターニング・スリットシート150は、その製造が容易である。すなわち、パターニング・スリットシート150のエッチング作業や、その後の精密引っ張り作業及び溶接作業、移動作業及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニング・スリットシート150が、FMM蒸着法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化するほど、さらに有利になる。
【0050】
一方、チャンバ内で、前記基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。前記蒸着源110内に収納されている蒸着物質115が気化されることによって、基板500に蒸着がなされる。
【0051】
詳細には、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が充填されるルツボ112と、ルツボ112を加熱させ、ルツボ112内部に充填された蒸着物質115をルツボ112の一側、詳細には、蒸着源ノズル部120側に蒸発させるための冷却ブロック111を含む。冷却ブロック111は、ルツボ112からの熱が外部、すなわち、第1チャンバ内部に発散することを最大限抑制するためのものであり、この冷却ブロック111には、ルツボ111を加熱させるヒータ(図示せず)が含まれている。
【0052】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110で基板500を向く側には、蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、Y軸方向、すなわち、基板500のスキャン方向に沿って複数個の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数個の蒸着源ノズル121は、等間隔に形成されうる。蒸着源110内で気化された蒸着物質115は、かような蒸着源ノズル部120を通過し、被蒸着体である基板500側に向かうことになるのである。このように、蒸着源ノズル部120上でY軸方向、すなわち、基板500のスキャン方向に沿って複数個の蒸着源ノズル121が形成される場合、パターニング・スリットシート150のそれぞれのパターニング・スリット151を通過する蒸着物質によって形成されるパターンのサイズは、蒸着源ノズル121 1つのサイズだけに影響を受けるので(すなわち、X軸方向では、蒸着源ノズル121が一つだけ存在することに他ならない)、陰影(shadow)が発生しなくなる。また、多数個の蒸着源ノズル121がスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間のフラックス(flux)差が発生してもその差が相殺され、蒸着均一度が一定に維持されるという効果を得ることができる。
【0053】
一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニング・スリットシート150及びフレーム155がさらに備わる。フレーム155は、ほぼ窓ワクのような形態に形成され、その内側に、パターニング・スリットシート150が結合される。そして、パターニング・スリットシート150には、X軸方向に沿って複数個のパターニング・スリット151らが形成される。蒸着源110内で気化された蒸着物質115は、蒸着源ノズル部120及びパターニング・スリットシート150を通過し、被蒸着体である基板500側に向かうのである。このとき、前記パターニング・スリットシート150は、従来のFMM、特に、ストライプ・タイプ(stripe type)のマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを介して製作されうる。このとき、蒸着源ノズル121の総個数より、パターニング・スリット151の総個数がさらに多く形成されうる。
【0054】
一方、前述の蒸着源110(及びこれと結合された蒸着源ノズル部120)とパターニング・スリットシート150は、互いに一定程度離隔されるように形成され、蒸着源110(及びこれと結合された蒸着源ノズル部120)とパターニング・スリットシート150は、第1連結部材135によって互いに連結されうる。すなわち、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニング・スリットシート150が、第1連結部材135によって連結され、互いに一体に形成されうるのである。ここで、第1連結部材135は、蒸着源ノズル121を介して排出される蒸着物質を分散させないように、蒸着物質の移動経路をガイドすることができる。図面には、第1連結部材135が、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニング・スリットシート150の左右方向にのみ形成され、蒸着物質のX軸方向だけをガイドすると図示されているが、これは、図示の便宜のためのものであり、本発明の思想は、これに制限されるものではなく、第1連結部材135がボックス状の密閉型に形成され、蒸着物質のX軸方向及びY軸方向の移動を同時にガイドすることもできるのである。
【0055】
前述のように、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、基板500に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように、薄膜蒸着アセンブリ100が基板500に対して相対的に移動するために、パターニング・スリットシート150は、基板500から一定程度離隔されるように形成される。
【0056】
詳細には、従来のFMM蒸着法では、基板に陰影を生じさせないために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、そのように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないために、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。従って、ディスプレイ装置が大型化されるにつれて、マスクのサイズも大きくならなければならないなが、かような大型マスクを形成することが容易ではないという問題点が存在した。
【0057】
かような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100では、パターニング・スリットシート150が、被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔されるように配されるようにする。
【0058】
かような本発明によって、マスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ、蒸着を行うことにより、マスク製作が容易になるという効果を得ることができる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また工程で、基板とマスクとを密着させる時間が不要となるために、製造速度が向上するという効果を得ることができる。
【0059】
図9は、本発明の薄膜蒸着アセンブリの第2実施形態を示す図面である。図面を参照すれば、本発明の第2実施形態による薄膜蒸着アセンブリは、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニング・スリットシート150を含む。ここで、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が充填されるルツボ112と、ルツボ112を加熱させ、ルツボ112内部に充填された蒸着物質115を蒸着源ノズル部120側に蒸発させるための冷却ブロック111とを含む。一方、蒸着源110の一側には、蒸着源ノズル部120が配され、蒸着源ノズル部120には、Y軸方向に沿って複数個の蒸着源ノズル121が形成される。一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニング・スリットシート150及びフレーム155がさらに備えられ、パターニング・スリットシート150には、X軸方向に沿って、複数個のパターニング・スリット151が形成される。そして、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニング・スリットシート150は、第1連結部材135によって結合される。
【0060】
本実施形態では、蒸着源ノズル部120に形成された複数個の蒸着源ノズル121が所定角度チルトされて配されるという点で、前述の薄膜蒸着アセンブリの第1実施形態と区別される。詳細には、蒸着源ノズル121は、2列の蒸着源ノズル121a,121bからなり、前記2列の蒸着源ノズル121a,121bは、互いに交互に配される。このとき、蒸着源ノズル121a,121bは、XZ平面上で、所定角度傾くようにチルトされて形成されうる。
【0061】
本実施形態では、蒸着源ノズル121a,121bが所定角度チルトされて配される。ここで、第1列の蒸着源ノズル121aは、第2列の蒸着源ノズル121bを向くようにチルトされ、第2列の蒸着源ノズル121bは、第1列の蒸着源ノズル121aを向くようにチルトされうる。言い換えれば、左側列に配された蒸着源ノズル121aは、パターニング・スリットシート150の右側端部を向くように配され、右側列に配された蒸着源ノズル121bは、パターニング・スリットシート150の左側端部を向くように配されうる。
【0062】
かような構成によって、基板の中央部分と末端部分とでの成膜厚差が減少することになり、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには、材料利用効率が上昇するという効果を得ることができる。
【0063】
図10は、本発明の薄膜蒸着アセンブリの第3実施形態を示す図面である。図面を参照すれば、本発明の第3実施形態による薄膜蒸着装置は、
図6ないし
図8で説明した薄膜蒸着アセンブリが複数個備えられることを1つの特徴とする。言い換えれば、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置は、赤色発光層(R)材料、緑色発光層(G)材料、青色発光層(B)材料が一度に放射されるマルチ蒸着源(multi source)を具備できる。
【0064】
詳細には、本実施形態は、第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200及び第3薄膜蒸着アセンブリ300を含む。かような第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200及び第3薄膜蒸着アセンブリ300それぞれの構成は、
図6ないし
図8で説明した薄膜蒸着アセンブリと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0065】
ここで、第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200及び第3薄膜蒸着アセンブリ300の蒸着源には、互いに異なる蒸着物質が備わりうる。例えば、第1薄膜蒸着アセンブリ100には、赤色発光層(R)の材料になる蒸着物質が備えられ、第2薄膜蒸着アセンブリ200には、緑色発光層(G)の材料になる蒸着物質が備えられ、第3薄膜蒸着アセンブリ300には、青色発光層(B)の材料になる蒸着物質が備えられうる。
【0066】
すなわち、従来の有機発光ディスプレイ装置の製造方法では、各色相別に別途のチャンバとマスクとを具備することが一般的であったが、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置を利用すれば、1つのマルチソースで、赤色発光層(R)、緑色発光層(G)及び青色発光層(B)を一度に蒸着できるのである。従って、有機発光ディスプレイ装置の生産時間が画期的に短縮されると同時に、備えられなければならないチャンバ数が減少することによって、設備コストもまた、顕著に節減されるという効果を得ることができる。
【0067】
この場合、図面には詳細に図示されてはいないが、第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200及び第3薄膜蒸着アセンブリ300のパターニング・スリットシートは、互いに一定程度オフセット(offset)されて配されることによって、その蒸着領域を重畳させないようにすることができる。言い換えれば、第1薄膜蒸着アセンブリ100が赤色発光層(R)の蒸着を担当し、第2薄膜蒸着アセンブリ200が緑色発光層(G)の蒸着を担当し、第3薄膜蒸着アセンブリ300が青色発光層(B)の蒸着を担当する場合、第1薄膜蒸着アセンブリ100のパターニング・スリット151と、第2薄膜蒸着アセンブリ200のパターニング・スリット251と、第3薄膜蒸着アセンブリ300のパターニング・スリット351とを、互いに同一線上に位置させないように配することによって、基板上の互いに異なる領域に、それぞれ赤色発光層(R)、緑色発光層(G)、青色発光層(B)を形成させることができる。
【0068】
ここで、赤色発光層(R)の材料になる蒸着物質と、緑色発光層(G)の材料になる蒸着物質と、青色発光層(B)の材料になる蒸着物質は、互いに気化される温度が異なりうるので、前記第1薄膜蒸着アセンブリ100の蒸着源110の温度と、前記第2薄膜蒸着アセンブリ200の蒸着源の温度と、前記第3薄膜蒸着アセンブリ300の蒸着源の温度とが互いに異なるように設定することも可能であるのである。
【0069】
一方、図面には、薄膜蒸着アセンブリが3個備えられると図示されているが、本発明の思想は、これに制限されるものではない。すなわち、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置は、薄膜蒸着アセンブリを多数個具備でき、前記多数個の薄膜蒸着アセンブリそれぞれに互いに異なる物質を具備できる。例えば、薄膜蒸着アセンブリを5個具備し、それぞれの薄膜蒸着アセンブリに、赤色発光層(R)、緑色発光層(G)、青色発光層(B)及び赤色発光層の補助層(R’)並びに緑色発光層の補助層(G’)を具備できる。
【0070】
このように、複数個の薄膜蒸着アセンブリを具備し、多数層の薄膜層を一度に形成できるようにすることによって、製造収率及び蒸着効率が向上するという効果を得ることができる。また、製造工程が簡単になり、製造コストが低減するという効果も得ることができる。
【0071】
図11は、本発明の薄膜蒸着アセンブリの第4実施形態を概略的に図示した斜視図であり、
図12は、
図11の薄膜蒸着アセンブリの概略的な側断面図であり、
図13は、
図11の薄膜蒸着アセンブリの概略的な平断面図である。
【0072】
図11ないし
図13を参照すれば、本発明の第4実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、遮断板アセンブリ130及びパターニング・スリット151を含む。
【0073】
ここで、
図11ないし
図13には、説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、
図11ないし
図13のあらゆる構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0074】
かようなチャンバ内には、被蒸着体である基板500が静電チャック600によって移送される。前記基板500は、平板表示装置用基板になりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリ100に対して相対的に移動するが、望ましくは、薄膜蒸着アセンブリ100に対して、基板500をA方向に移動させることができる。
【0075】
前述の第1実施形態のように、本発明の薄膜蒸着アセンブリ100では、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニング・スリットシート150を設けることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリ100の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うために、パターニング・スリットシート150のX軸方向への幅、及び基板500のX軸方向への幅のみ実質的に同一に形成すれば、パターニング・スリットシート150のY軸方向の長さは、基板500の長さよりはるかに短く形成されても差し支えない。もちろん、パターニング・スリットシート150のX軸方向への幅が、基板500のX軸方向への幅より短く形成されても、基板500と薄膜蒸着アセンブリ100との相対的移動によるスキャニング方式によって、十分に基板500全体に対して蒸着が可能である。
【0076】
このように、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニング・スリットシート150を設けることができるために、本発明のパターニング・スリットシート150は、その製造が容易である。すなわち、パターニング・スリットシート150のエッチング作業や、その後の精密引っ張り作業及び溶接作業、移動作業及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニング・スリットシート150が、FMM蒸着法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化されるほど、さらに有利になる。
【0077】
一方、第1チャンバ内で、前記基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。
前記蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が充填されるルツボ112と、このルツボ112を覆い包む冷却ブロック111とが備わる。冷却ブロック111は、ルツボ112からの熱が外部、すなわち、第1チャンバ内部への発散を最大限抑制するためのものであり、この冷却ブロック111には、ルツボ111を加熱させるヒータ(図示せず)が含まれている。
【0078】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110で基板500を向く側には、蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、X軸方向に沿って複数個の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数個の蒸着源ノズル121は、等間隔に形成されうる。蒸着源110内で気化された蒸着物質115は、かような蒸着源ノズル部120の蒸着源ノズル121を通過し、被蒸着体である基板500側に向かうことになる。
【0079】
蒸着源ノズル部120の一側には、遮断板アセンブリ130が備えられる。前記遮断板アセンブリ130は、複数枚の遮断板131と、遮断板131の外側に備えられる遮断板フレーム132とを含む。前記複数枚の遮断板131は、X軸方向に沿って互いに平行して配されうる。ここで、前記複数枚の遮断板131は、等間隔に形成されうる。また、それぞれの遮断板131は、図面で見たとき、YZ平面に沿って延びており、望ましくは、長方形に備わりうる。このように配された複数枚の遮断板131は、蒸着源ノズル部120とパターニング・スリット150との間の空間を複数個の蒸着空間Sに区画する。すなわち、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、前記遮断板131によって、
図13から分かるように、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に、蒸着空間Sが分離される。
【0080】
ここで、それぞれの遮断板131は、互いに隣接している蒸着源ノズル121間に配されうる。これは言い換えれば、互いに隣接している遮断板131間に、1つの蒸着源ノズル121が配されるというのである。望ましくは、蒸着源ノズル121は、互いに隣接している遮断板131間の真ん中に位置しうる。しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、互いに隣接している遮断板131間に、複数の蒸着源ノズル121が配されてもよい。ただし、その場合にも、複数の蒸着源ノズル121が互いに隣接している遮断板131間の真ん中に位置するようにすることが望ましい。
【0081】
このように、遮断板131が蒸着源ノズル部120とパターニング・スリットシート150との間の空間を、複数個の蒸着空間Sに区画することによって、1つの蒸着源ノズル121から排出される蒸着物質は、他の蒸着源ノズル121から排出された蒸着物質と混合されず、パターニング・スリット151を通過して基板500に蒸着されるのである。すなわち、前記遮断板131は、各蒸着源ノズル121を介して排出される蒸着物質を分散させずに直進性を維持させるように、蒸着物質のX軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0082】
このように、遮断板131を具備して蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮めることができ、従って、薄膜蒸着アセンブリ100と基板500とを一定程度離隔させることが可能になる。これについては、後述することとする。
【0083】
一方、前記複数枚の遮断板131の外側には、遮断板フレーム132がさらに備わりうる。遮断板フレーム132は、複数枚の遮断板131の側面にそれぞれ備わり、複数枚の遮断板131の位置を固定すると同時に、蒸着源ノズル121を介して排出される蒸着物質をY軸方向に分散させないように、蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0084】
前記蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130は、一定程度離隔されたことが望ましい。これにより、蒸着源110から発散する熱が遮断板アセンブリ130に伝導することを防止できる。しかし、本発明の思想は、これに制限されるものではない。すなわち、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130との間に、適切な断熱手段が備わる場合、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130とが結合されて接触してもよい。
【0085】
一方、前記遮断板アセンブリ130は、薄膜蒸着アセンブリ100から着脱自在に形成されうる。本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100では、遮断板アセンブリ130を利用して蒸着空間を外部空間と分離したので、基板500に蒸着されていない蒸着物質は、ほとんど遮断板アセンブリ130内に蒸着される。従って、遮断板アセンブリ130を薄膜蒸着アセンブリ100から着脱自在に形成し、長時間の蒸着後に、遮断板アセンブリ130に蒸着物質が多くたまれば、遮断板アセンブリ130を薄膜蒸着アセンブリ100から分離し、別途の蒸着物質リサイクル装置に入れて蒸着物質を回収できる。かような構成を介して、蒸着物質リサイクル率を上げることによって、蒸着効率が向上し、製造コストが節減されるという効果を得ることができる。
【0086】
一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニング・スリットシート150及びフレーム155がさらに備わる。前記フレーム155は、ほぼ窓ワクのような形態に形成され、その内側に、パターニング・スリットシート150が結合される。そして、パターニング・スリットシート150には、X軸方向に沿って複数個のパターニング・スリット151が形成される。各パターニング・スリット151は、Y軸方向に沿って延びている。蒸着源110内で気化されて蒸着源ノズル121を通過した蒸着物質115は、パターニング・スリット151を通過し、被蒸着体である基板500側に向かう。
【0087】
前記パターニング・スリットシート150は、金属薄板で形成され、引っ張られた状態でフレーム155に固定される。前記パターニング・スリット151は、ストライプタイプで、パターニング・スリットシート150にエッチングを介して形成される。
【0088】
ここで、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、蒸着源ノズル121の総個数より、パターニング・スリット151の総個数がさらに多く形成される。また、互いに隣接している2枚の遮断板131間に配された蒸着源ノズル121の個数より、パターニング・スリット151の個数がさらに多く形成される。前記パターニング・スリット151の個数は、基板500に形成される蒸着パターンの個数に対応するようにすることが望ましい。
【0089】
一方、前述の遮断板アセンブリ130とパターニング・スリットシート150は、互いに一定程度離隔されるように形成され、遮断板アセンブリ130とパターニング・スリットシート150は、別途の第2連結部材133によって互いに連結されうる。詳細には、高温状態の蒸着源110によって、遮断板アセンブリ130の温度は、最大100℃以上上昇するために、上昇した遮断板アセンブリ130の温度が、パターニング・スリットシート150に伝導しないように、遮断板アセンブリ130とパターニング・スリットシート150とを一定程度離隔させる。
【0090】
前述のように、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、基板500に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように、薄膜蒸着アセンブリ100が基板500に対して相対的に移動するために、パターニング・スリットシート150は、基板500から一定程度離隔されるように形成される。そして、パターニング・スリットシート150と基板500とを離隔させる場合に発生する陰影問題を解決するために、蒸着源ノズル部120とパターニング・スリットシート150との間に遮断板131を具備し、蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮小させることができる。
【0091】
従来のFMM蒸着法では、基板に陰影を生じさせないために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、そのように、基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触によって、基板にすでに形成されていたパターンが引っ掻かれるような不良問題が発生する問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないために、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。従って、ディスプレイ装置が大型化されることによって、マスクのサイズも大きくならなければならないなが、かような大型マスクを形成することが容易ではないという問題点が存在した。
【0092】
かような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100では、パターニング・スリットシート150を、被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔されるように配する。これは、遮断板131を具備し、基板500に生成される陰影が小さくなるようになることによって実現可能になる。
【0093】
かような本発明によって、パターニング・スリットシートを基板より小さく形成した後、このパターニング・スリットシートを基板に対して相対移動させることによって、従来のFMM法のように大きいマスクを製作しなければならない必要がなくなったのである。また、基板とパターニング・スリットシートとの間が離隔されているために、相互接触による不良を防止するという効果を得ることができる。また、工程で、基板とパターニング・スリットシートとを密着させる時間が不要であるために、製造速度が速まるという効果を得ることができる。
【0094】
前記薄膜蒸着アセンブリ100で蒸着源110は、
図14A及び
図14Bから分かるように、蒸着がなされる第1チャンバ731に連結されたソースチャンバ113に収容されうる。
【0095】
すなわち、蒸着がなされる第1チャンバ731には、別途のソースチャンバ113が連結され、このソースチャンバ113と第1チャンバ731との間は、高真空弁118を介して開閉されるようにする。
蒸着が終わり、蒸着源110に蒸着物質を再充填するためには、第1チャンバ731内を大気圧にベント(vent)しなければならない。ところで、このように、第1チャンバ731を大気圧にした後、再び蒸着のために真空とする場合には、時間が多くかかり、タクト(takt)時間が長くなる。
【0096】
このために、本発明の望ましい一実施形態では、前記ソースチャンバ113内に、蒸着源110を支持するステージ114を配し、このステージ114をベローズ(bellows)116と連結させる。このベローズ116の駆動によって、前記ステージ114が駆動し、これによって、蒸着源110がソースチャンバ113と第1チャンバ731との間を移動できるようになる。
【0097】
蒸着源110の周囲には、シャッタ117を配し、
図14Aから分かるように、蒸着源110が第1チャンバ731の内部で上がったときには、ソースチャンバ113との連結開口を遮断し、蒸着物質によってソースチャンバ113内部を汚染させないようにする。蒸着が終わった後には、
図14Bから分かるように、シャッタ117を開放した状態で、ソースチャンバ113の内部で蒸着源110を下げ、高真空弁118で、ソースチャンバ113を第1チャンバ731に対して気密に閉鎖する。この状態で、ソースチャンバ113を大気圧に変更し、ソースチャンバ113に備わった別途のドア(図示せず)を開け、蒸着源110をソースチャンバ113外に取り出し、蒸着物質を再充填する。かような構造によって、第1チャンバ731全体が排気されずとも、簡単に蒸着源110に蒸着物質を充填させられる。
【0098】
一方、前記のような薄膜蒸着アセンブリ100は、
図4から分かるように、第2支持台614に装着されうる。このとき、第2支持台614には、第2駆動部618が位置し、この第2駆動部618は、薄膜蒸着アセンブリ100のフレーム155に連結され、基板500と薄膜蒸着アセンブリ100とのアラインのために、薄膜蒸着アセンブリ100の位置を微細調整させる。かようなアラインのための微細調整は、蒸着がなされる間、リアルタイムで可能である。
【0099】
かような基板500と薄膜蒸着アセンブリ100とのアラインのために、前記薄膜蒸着アセンブリ100には、
図11及び
図13から分かるように、アライン用カメラ・アセンブリ170を具備できる。このカメラ・アセンブリ170は、フレーム155に形成された第1マーク159と、基板500に形成された第2マーク501とをリアルタイムでアラインさせる。
【0100】
前記カメラ・アセンブリ170は、
図15から分かるように、蒸着が進行中である真空チャンバ内で、円滑な視野確保を行えるように備えられる。すなわち、
図15から分かるように、円筒形フード171内に、カメラ172が配され、このカメラ172とフード171の開口176間には、レンズを含む光学系173が配される。そして、光学系173と開口176との間には、ヒーティング・パターン175が形成された保護ウインドー174が配される。ヒーティング・パターン175によって蒸着が進められる間、保護ウインドー174表面に有機物を成膜させないようにする。これによって、蒸着が進められる間にも、真空チャンバ内で保護ウインドー174を介して、カメラ172がアラインを知ることができる。
【0101】
図16は、本発明の薄膜蒸着アセンブリの第5実施形態を概略的に図示した斜視図である。
【0102】
図16に図示された実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、第1遮断板アセンブリ130、第2遮断板アセンブリ140、パターニング・スリットシート150を含む。
ここで、
図16には、説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、
図16のあらゆる構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保することである。
【0103】
かようなチャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板500が配される。そして、チャンバ(図示せず)内で基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。
蒸着源110及びパターニング・スリットシート150の詳細な構成は、前述の
図11による実施形態と同一であるので、詳細な説明を省略する。そして、前記第一遮断板アセンブリ130は、
図11による実施形態の遮断板アセンブリと同一であるので、やはり詳細な説明は省略する。
【0104】
本実施形態では、第1遮断板アセンブリ130の一側に、第2遮断板アセンブリ140が備わるのである。前記第2遮断板アセンブリ140は、複数枚の第2遮断板141と、第2遮断板141の外側に備わる第2遮断板フレーム142とを含む。
前記複数枚の第2遮断板141は、X軸方向に沿って、互いに平行に備わりうる。そして、前記複数枚の第2遮断板141は、等間隔に形成されうる。また、それぞれの第2遮断板141は、図面で見たとき、YZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように形成される。
【0105】
このように、配された複数枚の第1遮断板131及び第2遮断板141は、蒸着源ノズル部120とパターニング・スリットシート150との間の空間を区画する役割を行う。すなわち、前記第1遮断板131及び第2遮断板141によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に、蒸着空間が分離されることを1つの特徴とする。
【0106】
ここで、それぞれの第2遮断板141は、それぞれの第1遮断板131と一対一で対応するように配されうる。言い換えれば、それぞれの第2遮断板141は、それぞれの第1遮断板131とアラインされ、互いに平行に配されうる。すなわち、互いに対応する第1遮断板131と第2遮断板141は、互いに同じ平面上に位置するのである。図面には、第1遮断板131の幅と、第2遮断板141のX軸方向の幅とが同じであると図示されているが、本発明の思想は、これに制限されるものではない。すなわち、パターニング・スリット151との精密なアラインが要求される第2遮断板141は、相対的に薄く形成される一方、精密なアラインが要求されない第1遮断板131は、相対的に厚く形成され、その製造を容易にすることも可能である。
【0107】
以上で説明したような薄膜蒸着アセンブリ100は、
図1から分かるように、第1チャンバ731内に複数個が連続して配されうる。この場合、各薄膜蒸着アセンブリ100,200,300,400は、互いに異なる蒸着物質を蒸着するようにすることができ、このとき、各薄膜蒸着アセンブリ100,200,300,400のパターニング・スリットのパターンが互いに異なるパターンになるようにし、例えば、赤色、緑色、青色の画素を一括蒸着するような成膜工程を進めることが可能である。
【0108】
図17は、本発明の蒸着装置を利用して製造されたアクティブ・マトリックス型有機発光表示装置の断面を図示したものである。
図17を参照すれば、前記アクティブマトリス型の有機発光表示装置は、基板30上に形成される。前記基板30は、透明な素材、例えば、ガラス材、プラスチック材または金属材によって形成されうる。前記基板30上には、全体的にバッファ層のような絶縁膜31が形成されている。
【0109】
前記絶縁膜31上には、
図17から分かるような薄膜トランジスタ(TFT)40と、キャパシタ50と、有機発光素子60とが形成される。
前記絶縁膜31の上面には、所定パターンに配列された半導体活性層41が形成されている。前記半導体活性層41は、ゲート絶縁膜32によって埋め込まれている。前記活性層41は、p型またはn型の半導体で備わりうる。
【0110】
前記ゲート絶縁膜32の上面には、前記活性層41と対応するところに、TFT40のゲート電極42が形成される。そして、前記ゲート電極42を覆うように、層間絶縁膜33が形成される。前記層間絶縁膜33が形成された後には、ドライエッチングのようなエッチング工程によって、前記ゲート絶縁膜32と層間絶縁膜33とをエッチングしてコンタクトホールを形成させ、前記活性層41の一部を露出させる。
【0111】
その次に、前記層間絶縁膜33上に、ソース/ドレイン電極43が形成されるが、コンタクトホールを介して露出された活性層41に接触するように形成される。前記ソース/ドレイン電極43を覆うように、保護膜34が形成され、エッチング工程を介して、前記ドレイン電極43の一部を露出させる。前記保護膜34上には、保護膜34の平坦化のために別途の絶縁膜をさらに形成することもできる。
【0112】
一方、前記有機発光素子60は、電流の流れによって、赤色、緑色、青色の光を発光させて所定の画像情報を表示するためのものであって、前記保護膜34上に、第1電極61を形成する。前記第1電極61は、TFT 40のドレイン電極43と電気的に連結される。
そして、前記第1電極61を覆うように、画素定義膜35が形成される。この画素定義膜35に、所定の開口64を形成した後、この開口64で限定された領域内に、有機発光膜63を形成する。有機発光膜63上には、第2電極62を形成する。
【0113】
前記画素定義膜35は、各画素を区画するものであり、有機物で形成され、第1電極61が形成されている基板の表面、特に、保護層34の表面を平坦化する。
前記第1電極61と第2電極62は、互いに絶縁されており、有機発光膜63に互いに異なる極性の電圧を加え、発光を行わせる。
【0114】
前記有機発光膜63は、低分子または高分子の有機物が使われうるが、低分子有機物を使用する場合、ホール注入層(HIL:hole injection layer)、ホール輸送層(HTL:hole transport layer)、発光層(EML:emission layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)、電子注入層(EIL:electron injection layer)などが、単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを始めとして多様に適用可能である。それら低分子有機物は、
図1ないし
図16から分かるように、蒸着装置及び蒸着源ユニットを利用し、真空蒸着の方法で形成されうる。
【0115】
かような有機発光膜を形成した後には、第2電極62を、やはり同じ蒸着工程で形成できる。
一方、前記第1電極61は、アノード電極の機能を行い、前記第2電極62は、カソード電極の機能を行えるが、それら第1電極61と第2電極62との極性は、反対になってもよいことは、言うまでもない。そして、第1電極61は、各画素の領域に対応するようにパターニングされ、第2電極62は、あらゆる画素を覆うように形成されうる。
【0116】
前記第1電極61は、透明電極または反射型電極で備わりうるが、透明電極として使われるときには、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ZnO、またはIn
2O
3で備わり、反射型電極として使われるときには、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及びそれらの化合物で反射層を形成した後、その上に、ITO、IZO、ZnOまたはIn
2O
3で透明電極層を形成できる。このような第1電極61は、スパッタリング法などによって成膜された後、フォトリソグラフィ法などによってパターニングされる。
【0117】
一方、前記第2電極62も、透明電極または反射型電極で備わりうるが、透明電極として使われるときには、この第2電極62がカソード電極として使われるので、仕事関数が小さい金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg及びそれらの化合物が有機発光膜63の方向を向くように蒸着した後、その上に、ITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3などで補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われるときには、前記のLi、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg及びそれらの化合物を全面蒸着して形成する。このとき、蒸着は、前述の有機発光膜63の場合と同様の方法で行うことができる。
【0118】
キャパシタ50は、互いに対向した下部電極51及び上部電極52を含む。
本発明は、以上以外にも、有機TFTの有機膜または無機膜などの蒸着にも使用でき、その他、多様な素材の成膜工程に適用可能である。
本発明は、図面に図示された実施形態を参考にして説明したが、それらは、例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。