(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に補聴器を駆動するための電池が収納されているとともに一方向に長い補聴器本体ケースに対し、該補聴器本体ケースの長手方向一端側に取り付けられる本体ケースと、
前記本体ケースに設けられていて、該本体ケースを前記補聴器本体ケースに取り付けた状態で該補聴器本体ケースの長手方向一端側に設けられた外部端子に電気的に接続される接続端子と、
前記接続端子及び外部端子を介して補聴器に電力を供給する予備用電池と、を備えており、
前記本体ケースには、その内方に、前記補聴器本体ケースに設けられた窪みに対して係脱可能な係合部が設けられており、
前記補聴器内の電池の残容量が少なくなった場合でも、前記補聴器に取り付けられることにより前記補聴器を継続して駆動することができる、補聴器用予備バッテリ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように、1次電池を補聴器の電源とした場合には必ず電池交換作業が発生する。これに対し、補聴器の電源として2次電池を用いることによって、電池の交換作業を不要にすることが考えられる。そして、このように2次電池を補聴器の電源として利用する場合には、電池交換が不要になるため、2次電池を補聴器内に封入する構成が考えられる。
【0006】
ところが、2次電池を補聴器内に封入した場合、電池交換を容易に行うことができないため、例えば外出時などに2次電池の残容量がほとんどなくなった場合には補聴器を使用できなくなるおそれがある。また、一般的に、1次電池と2次電池とでは定格電圧が異なるため、2次電池用に設計された補聴器に対して、緊急時(外出時に2次電池の残容量がほとんどなくなった場合など)にのみ1次電池を使用することは難しい。
【0007】
そのため、本発明では、補聴器の電池の残容量が少なくなった場合でも、補聴器を継続して駆動可能な構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態にかかる補聴器用予備バッテリは、内部に補聴器を駆動するための電池が収納されているとともに一方向に長い補聴器本体ケースに対し、該補聴器本体ケースの長手方向一端側に取り付けられる本体ケースと、前記本体ケースに設けられていて、該本体ケースを前記補聴器本体ケースに取り付けた状態で該補聴器本体ケースの長手方向一端側に設けられた外部端子に電気的に接続される接続端子と、前記接続端子及び外部端子を介して補聴器に電力を供給する予備用電池と、を備えている(第1の構成)。
【0009】
以上の構成により、外部端子を有する補聴器に対して、補聴器用予備バッテリを容易に接続して、該補聴器用予備バッテリから補聴器に電力を供給することができる。これにより、外出時等で補聴器内の電池の残容量が少なくなった場合でも、該補聴器を継続して駆動させることが可能になる。
【0010】
しかも、補聴器用予備バッテリは、一方向に長い補聴器本体ケースの長手方向一端側に取り付けられるため、該補聴器用予備バッテリを補聴器本体ケースに接続した状態では、該補聴器本体ケースを延長したような形状になる。これにより、例えば、耳かけ型の補聴器の場合でも、使用者が大きな違和感を受けることなく、補聴器に補聴器用予備バッテリを接続することができる。
【0011】
前記第1の構成において、前記本体ケースは、前記補聴器本体ケースよりも比重の小さい材料によって構成されている(第2の構成)。これにより、補聴器用予備バッテリの軽量化を図ることができる。よって、補聴器用予備バッテリを補聴器に装着した状態でも、大きな違和感なく使用し続けることが可能になる。
【0012】
前記第1または第2の構成において、前記本体ケースは、前記補聴器本体ケースの長手方向一端側を覆うように有底筒状に形成されている(第3の構成)。これにより、補聴器本体ケースに対して、補聴器予備バッテリをより確実に装着することができる。しかも、補聴器予備バッテリの本体ケースが補聴器本体ケースと重なっているため、補聴器に対して補聴器予備バッテリをよりコンパクトに装着することが可能になる。
【0013】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、前記予備用電池は、充放電可能な二次電池であり、前記予備用電池を充電するための充電部を有している(第4の構成)。こうすることで、補聴器用予備バッテリの予備用電池を交換する必要がなくなる。
【0014】
前記第4の構成において、前記充電部は、前記予備用電池を充電するための電力を供給する充電ユニットとの間で電磁誘導を利用して電力を受け取ることができる受電コイルを備えている(第5の構成)。
【0015】
これにより、電磁誘導を利用して補聴器用予備バッテリの予備用電池を容易に充電することができる。すなわち、上述の構成のように電磁誘導を利用して充電を行うことで、接点を有する構成のように接点同士を互いに接触させる必要がないので、特に位置決めすることなく補聴器用予備バッテリの予備用電池を容易に充電することができる。
【0016】
前記第1から第5の構成のうちいずれか一つの構成において、前記本体ケースには、その内方に、前記補聴器本体ケースに設けられた窪みに対して係脱可能な係合部が設けられている(第6の構成)。
【0017】
これにより、補聴器本体ケースに対して補聴器用予備バッテリの本体ケースを容易に着脱することができる。
【0018】
前記第6の構成において、前記本体ケースの内面には、前記係合部を収納可能な凹部が形成されていて、前記凹部内には、前記係合部を前記本体ケースの内面と交差する方向に変位可能に弾性支持しつつ、該本体ケース内に前記補聴器本体ケースが挿入された状態では前記係合部を該補聴器本体ケースに付勢する弾性支持部が設けられている(第7の構成)。
【0019】
こうすることで、補聴器用予備バッテリの本体ケースに設けられた係合部を、補聴器本体ケースに設けられた窪みに対して容易に着脱することができる。すなわち、補聴器用予備バッテリの本体ケース内に補聴器を挿入する際には、係合部が変位して、該係合部が補聴器本体ケースに設けられた窪みに係合するまでの間、補聴器の相対移動を容易にする。また、補聴器を補聴器用予備バッテリの本体ケースから抜き出すときにも、前記係合部が変位して、該係合部が補聴器本体ケースの窪みから脱離するのを容易にする。そして、前記係合部が補聴器本体ケースの窪み内に位置付けられているときには、該係合部が窪みに押し付けられるため、補聴器から補聴器用予備バッテリが容易に脱離するのを防止できる。
【0020】
前記第6の構成において、前記係合部は、弾性部材によって構成されている(第8の構成)。これにより、上述の第7の構成と同様、補聴器用予備バッテリの本体ケースを補聴器本体ケースに対して容易に着脱することができるとともに、係合部が補聴器本体ケースの窪みと係合しているときには、本体ケースが補聴器本体ケースから脱離するのを防止できる。
【0021】
前記第1から第8の構成のうちいずれか一つの構成において、前記接続端子は、前記補聴器本体ケースにおいて前記本体ケース内への進入方向の先端側に形成された前記外部端子と電気的に接続されるように、前記本体ケース内の底部に設けられている(第9の構成)。
【0022】
これにより、補聴器に対して補聴器用予備バッテリの本体ケースを取り付けた際に、補聴器本体ケースに設けられた外部端子が、補聴器用予備バッテリの本体ケースに設けられた接続端子に電気的に接続される。よって、上述の構成により、補聴器を補聴器用予備バッテリの本体ケースの奥まで挿入することで、該補聴器と補聴器用予備バッテリとをより確実に電気的に接続することができる。
【0023】
前記第1から第9の構成のうちいずれか一つの構成において、前記予備用電池は、前記補聴器本体ケース内に収納されている電池である二次電池に電力を供給するように構成されている(第10の構成)。
【0024】
補聴器本体ケース内に収納されている二次電池の残容量が残り少なくなった場合でも、上述のように、補聴器用予備バッテリによって二次電池を充電することで、補聴器を継続して駆動することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態にかかる補聴器用予備バッテリによれば、補聴器本体ケースの長手方向一端側に接続される本体ケースと、補聴器本体ケースに設けられた外部端子に電気的に接続される接続端子と、補聴器に電力を供給する予備用電池とを備えている。これにより、補聴器に対して補聴器用予備バッテリを取り付けるだけで、該補聴器に容易に電力を供給できる。よって、補聴器の電池の残容量が少なくなった場合でも、該補聴器に補聴器用予備バッテリを容易に取り付けて該補聴器を継続して駆動することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0028】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る補聴器用予備バッテリ1を、補聴器2に取り付ける様子を示す図である。この補聴器用予備バッテリ1は、補聴器2の補聴器本体部10の一端側に取り付け可能なように、有底筒状に形成されている。補聴器用予備バッテリ1及び補聴器2は、詳しくは後述するように、補聴器用予備バッテリ1内の予備用電池22から補聴器2に対して電力を供給可能に構成されている。なお、補聴器用予備バッテリ1は、補聴器2内の電池(図示省略)の残容量が少なくなった場合に使用される予備用バッテリである。
【0029】
補聴器2は、図示しない増幅回路や制御回路等が内部に収納された補聴器本体部10と、該補聴器本体部10に接続されるフック部12と、該フック部12に接続されるチューブ部13とを備えている。補聴器本体部10およびフック部12は、耳を囲むように全体として円弧状に形成されている。すなわち、本実施形態の補聴器2は、耳にかけて固定するタイプの耳かけ型補聴器である。
【0030】
補聴器本体部10は、特に図示しないが、補聴器本体ケース11内に、外部の音を増幅するための増幅回路や補聴器の駆動を制御するための制御回路、これらの回路に電力を供給する電池等を有している。補聴器本体ケース11は、例えばABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)などの樹脂材料によって構成される。また、補聴器本体ケース11は、側面視で、耳の後頭部側に沿うように一方向に長く且つ全体として緩やかな円弧状に形成されているとともに、耳の後頭部側に隠れるような厚みを有している。補聴器本体ケース11は、補聴器2を装着した状態で使用者の頭部側に位置する頭部側側面11aと、該頭部側側面11aに対向する外側面11bと、該頭部側側面11aと外側面11bとの間で補聴器2の厚み方向に延びる周側面11cとを有している。
【0031】
補聴器本体ケース11には、周側面11cのうち該補聴器本体ケース11の長手方向の一端側の部分に、フック部12の一方の端部が接続されている。さらに、補聴器本体ケース11には、
図3にも示すように、周側面11cのうち、フック部12が接続されていない他端側の部分に、補聴器用予備バッテリ1の接続端子25(後述)と電気的に接触可能な外部端子15が設けられている。この外部端子15は、補聴器本体部10内の電池に電気的に接続されていて、該電池を充電する際に充電器の端子と電気的に接触するための端子として機能する。なお、外部端子15を、補聴器用予備バッテリ1と電気的に接続するための専用の端子としてもよい。
【0032】
また、
図1及び
図3に示すように、補聴器本体ケース11の周側面11cのうち、補聴器2を装着した状態で耳側及び後頭部側に位置する部分には、それぞれ、窪み11dが形成されている。これらの窪み11dは、補聴器本体ケース11の周側面11cにおいて、
図3に示すように、補聴器用予備バッテリ1のバッテリケース21(後述)に設けられた係合ピン28(後述)と係合した状態で、該補聴器本体部10の外部端子15を補聴器用予備バッテリ1の接続端子25(後述)に押し付けるような位置に設けられている。なお、
図1に示す構成では、一例として補聴器本体ケース11の厚み方向に延びるように窪み11dを形成しているが、この限りではなく、窪み11dは点状の窪みであっても良い。
【0033】
また、特に図示しないが、補聴器本体ケース11には、頭部側側面11a、外側面11b及び周側面11cの少なくとも一つに、該補聴器本体ケース11の長手方向に延びる切れ込みが形成されている。この切れ込みは、後述する補聴器用予備バッテリ1のバッテリケース21の内周面に形成された突起部(図示省略)と係合するように形成されている。こうすることで、補聴器用予備バッテリ1と補聴器2とを位置決めした状態で接続することが可能になる。
【0034】
補聴器本体ケース11内に収納されている電池は、充放電可能な二次電池である。このように、補聴器2に用いる電池として二次電池を用いることで、電池の交換作業が不要になる。よって、補聴器本体ケース11は、補聴器2の電池を内部に封入した構成であってもよい。
【0035】
フック部12は、樹脂製の部材であり、
図1に示すように、耳の上部に沿うように、全体として略円弧状に形成されている。また、フック部12は、一方の端部が他方の端部よりも太くなるように形成されている。フック部12の太い方の端部は、補聴器本体ケース11の長手方向の一端側に接続されている。フック部12の内部には、補聴器本体部10から出力される音を伝えるための音伝導通路(図示省略)が形成されている。
【0036】
チューブ部13は、チューブ状の樹脂製部材からなり、可撓性を有する。このチューブ部13は、その内部空間がフック部12の音伝導通路に連通するように、一端側がフック部12の細い方の端部に接続されている。一方、チューブ部13の他端側には、使用者の耳内に挿入される耳栓部14が設けられている。
【0037】
上述のような構成により、補聴器2は、外部の音を補聴器本体部10で増幅して、その増幅された音を、フック部12及びチューブ部13を介して耳栓部14から使用者の耳内に伝えることができる。これにより、使用者は、外部の音を、増幅された音として聞くことが可能となる。
【0038】
補聴器用予備バッテリ1は、全体として有底筒状に形成されていて、補聴器本体部10におけるフック部12が接続される側とは反対側(他端側)に取り付け可能に構成されている。すなわち、補聴器用予備バッテリ1は、その内部に補聴器本体部10の他端側を挿入可能に構成されている。また、補聴器用予備バッテリ1は、
図2及び
図3に示すように、有底筒状のバッテリケース21(本体ケース)と、その内方下部に配置される予備用電池22及び回路部23とを備えている。
【0039】
バッテリケース21は、補聴器本体部10の一部を収納可能な有底筒状に形成された樹脂製の部材である。このバッテリケース21は、補聴器本体ケース11を構成する樹脂(ABS樹脂)よりも比重の小さい樹脂(例えばポリエチエン、ポリプロピレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)など)によって構成される。
【0040】
また、バッテリケース21には、予備用電池22及び回路部23を内部に収納した状態でそれらを覆うように底板24(底部)が設けられている。この底板24上には、バッテリケース21内に補聴器本体部10を挿入した状態で該補聴器本体部10の外部端子15が接触する位置に、予備用電池22と電気的に接続された接続端子25が設けられている。この接続端子25は、バネ部26を介して底板24上に取り付けられている。これにより、接続端子25が補聴器本体部10の外部端子15と接触する際に、バネ部26によって接続端子25を補聴器本体部10の外部端子15に対して付勢することができ、外部端子15と接続端子25とをより確実に接触させることができる。なお、本実施形態では、接続端子25をバネ部26によって弾性支持しているが、この限りではなく、該接続端子25を補聴器本体部10の外部端子15に対して押し付けられるような構成であればバネ以外の構成であってもよい。また、接続端子25自体がバネとして機能するように構成されていてもよい。
【0041】
また、バッテリケース21には、その底面に、後述する充電ユニット3の端子と接触する外部端子27が設けられている。この外部端子27は、バッテリケース21内で、回路部23を介して予備用電池22に電気的に接続されている。このような外部端子27を設けることによって、充電ユニット3から供給される電力を補聴器用予備バッテリ1内に取り込むことが可能になる。
【0042】
さらに、バッテリケース21には、その内面開口側に、補聴器本体ケース11に形成された窪み11dと係合する係合ピン28(係合部)が設けられている。この係合ピン28は、先端部分が半球状に形成されていて、バッテリケース21の内面に形成された凹部21aに対してバネ部29(弾性支持部)によって弾性支持されている。バネ部29は、バッテリケース21の内面に形成された凹部21a内に配置されていて、係合ピン28を該補聴器本体ケース11の内方に向かって付勢するように設けられている。ここで、凹部21aは、係合ピン28を収納可能な大きさに形成されている。
【0043】
なお、本実施形態では、係合ピン28をバネ部29によって弾性支持しているが、この限りではなく、該係合ピン28をバッテリケース21の窪み11d内で変位させることができるとともに補聴器本体ケース11に対して付勢可能な構成であれば、バネ以外の構成であってもよい。
【0044】
これにより、
図4に示すように、バッテリケース21内に補聴器本体部10が挿入されると、係合ピン28がバネ部29を圧縮してバッテリケース21の内面に形成された凹部21a内まで移動して(
図4の白抜き矢印)、補聴器本体部10の移動を許容する(
図4の黒矢印)。そして、係合ピン28が補聴器本体部10の補聴器本体ケース11に形成された窪み11d内に位置付けられると、
図3に示すように、係合ピン28はバネ部29の弾性復元力によって補聴器本体ケース11に押し付けられて(
図4の白抜き矢印)、係合ピン28が窪み11d内で係合状態となる。よって、補聴器本体部10に補聴器用予備バッテリ1を容易に取り付けることができる。
【0045】
補聴器本体部10を補聴器用予備バッテリ1から取り外す際には、該補聴器本体部10の移動に伴って、係合ピン28がバネ部29を圧縮してバッテリケース21の凹部21a内へ移動する(
図4の白抜き矢印)。これにより、バッテリケース21内での補聴器本体部10の移動が比較的自由になって(
図4の黒矢印)、補聴器用予備バッテリ1を補聴器本体部10から容易に取り外すことができる。
【0046】
また、バッテリケース21の内面上に設けられた係合ピン28によって補聴器本体部10の位置決めを行うことができる。すなわち、係合ピン28によって、補聴器本体部10は、外部端子15が補聴器用予備バッテリ1の接続端子25に押し付けられる位置に位置付けられる。これにより、補聴器本体部10の外部端子15と補聴器用予備バッテリ1の接続端子25とをより確実に電気的に接触させることができる。
【0047】
なお、既述のとおり、バッテリケース21の内周面には、補聴器本体ケース11の外表面に形成された切り欠き(図示省略)に係合可能な突起部(図示省略)が設けられているため、該バッテリケース21と補聴器ケース11との周方向の位置合わせも可能である。バッテリケース21と補聴器本体ケース11との周方向の位置合わせが可能であれば、該バッテリケース21に突部を設けるとともに補聴器ケース11に切り欠きを設けても良い。
【0048】
補聴器用予備バッテリ1の予備用電池22は、充放電可能な二次電池である。この予備用電池22は、バッテリケース21に設けられた外部端子27を介して充電ユニット3(
図5参照)から供給される電力を充電する一方、バッテリケース21の底板24に設けられた接続端子25を介して補聴器本体部10に電力を供給する。
【0049】
補聴器用予備バッテリ1の回路部23は、予備用電池22の充電を制御するための充電回路や、保護回路、昇圧回路等を有している。この回路部23によって、外部端子27を介して充電ユニット3から供給される電力を予備用電池22内に効率良く且つ安全に充電することができる。回路部23は、軽量化及び小型化のために、例えば、フレキシブル基板に回路部品等が実装された構成が好ましい。なお、回路部23の充電回路や保護回路、昇圧回路等は、従来の二次電池で使用される各回路と同様であるため、詳しい説明を省略する。ここで、回路部23及び外部端子27によって充電部が構成される。
【0050】
上述のような構成を有する補聴器用予備バッテリ1は、
図5に示すように、専用の充電ユニット3によって充電される。この充電ユニット3は、例えば
図5に示すように複数(
図5に示す一例では4つ)の凹部3aを有していて、該凹部3aの底部に補聴器用予備バッテリ1の外部端子27と接触する端子(図示省略)が設けられている。この充電ユニット3の端子は、ACアダプタ4に電気的に接続されていて、該ACアダプタ4によって電力が供給される。このような構成において、充電ユニット3の凹部3a内に、補聴器用予備バッテリ1を挿入することで、該補聴器用予備バッテリ1内の予備用電池22を充電することができる。
【0051】
(実施形態1の効果)
以上より、この実施形態によれば、補聴器2の補聴器本体部10に対して、予備用電池22を備えた補聴器用予備バッテリ1を着脱することができる。これにより、例えば補聴器2内の電池の残容量が少なくなった場合でも、補聴器用予備バッテリ1を補聴器本体部10に取り付けることにより、補聴器2の駆動を継続することができる。
【0052】
具体的には、補補聴器用予備バッテリ1のバッテリケース21を、補聴器本体部10を収納可能な有底筒状に形成するとともに、バッテリケース21の底板24に接続端子25を設けることで、補聴器本体部10の外部端子15と補聴器用予備バッテリ1とを容易に電気的に接続することができる。
【0053】
また、上述の構成により、補聴器用予備バッテリ1は、補聴器本体部10に接続した状態で該補聴器本体部10を延伸したような形状を有するため、使用者に違和感を与えるのを極力、防止することができる。
【0054】
しかも、補聴器用予備バッテリ1のバッテリケース21に、バネ部29によって弾性支持された係合ピン28を設けるとともに、補聴器本体ケース11に窪み11dを設けることで、補聴器用予備バッテリ1を補聴器本体部10により確実に接続することができる。また、このような構成にすることで、補聴器本体部10に対して補聴器用予備バッテリ1を容易に着脱することができる。
【0055】
[実施形態2]
図6に、本発明の実施形態2に係る補聴器用予備バッテリ50の概略構成を示す。この実施形態の構成は、電磁誘導を利用して予備用電池22を充電するために、電磁誘導用の受電コイル52を備えている点で、上述の実施形態1とは構成が異なる。以下の説明では、実施形態1の構成と異なる点についてのみ説明し、実施形態1の構成と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
具体的には、
図6に示すように、補聴器用予備バッテリ50のバッテリケース51内には、実施形態1と同様の構成を有する予備用電池22、回路部23、底板24及び接続端子25等が設けられている。本実施形態に係る補聴器用予備バッテリ50では、電磁誘導を利用して電力が供給されるように、受電コイル52を備えている。この受電コイル52は、
図6に示すように、バッテリケース51の底部分に配置されている。そして、受電コイル52の上方には、磁力線の透過を防止する磁性シート53を介して、予備用電池22が配置されている。予備用電池22、回路部23、底板24及び接続端子25の構成は、実施形態1と同様なので詳しい説明を省略する。
【0057】
ここで、バッテリケース51は、上述のように、受電コイル52を内部に配置するために、実施形態1のバッテリケース21に比べて筒軸方向の高さが大きくなるように形成されている。
【0058】
なお、特に図示しないが、補聴器用予備バッテリ50を充電するために、充電ユニットにも送電コイルが設けられている。
【0059】
このような構成により、充電ユニットの送電コイルと補聴器用予備バッテリ50の受電コイル52との間で、電磁誘導を利用して電力の授受を行うことができる。ここで、受電コイル52及び回路部23によって充電部が構成される。
【0060】
(実施形態2の効果)
以上より、この実施形態によれば、補聴器用予備バッテリ50に受電コイル52を設けて、電磁誘導を利用して電力を受け取れるようにした。そのため、補聴器用予備バッテリ50の外表面に端子等が露出しない。これにより、補聴器用予備バッテリ50を補聴器本体部10に接続した状態で、露出する端子等が存在しないため、該補聴器用予備バッテリ50の防水性の向上を図れる。
【0061】
しかも、補聴器用予備バッテリ50を上述のような構成にすることで、該補聴器用予備バッテリ50を図示しない充電ユニットで充電する際に、端子同士の接続が必要になる。そのため、該充電ユニットに対する補聴器用予備バッテリ50の精度の良い位置決めが不要になる。
【0062】
[実施形態3]
図7に、本発明の実施形態3に係る補聴器用予備バッテリ60の概略構成を示す。この実施形態の構成は、予備用電池22として1次電池を用いる点で、上述の実施形態1とは構成が異なる。以下の説明では、実施形態1の構成と異なる点についてのみ説明し、実施形態1の構成と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
具体的には、
図7に示すように、予備用電池22を1次電池によって構成することで、実施形態1に示すような回路部23が不要になる。これにより、補聴器用予備バッテリ60のバッテリケース61内に収納する部品数を、実施形態1の構成に比べて少なくすることができる。そのため、バッテリケース61のサイズを実施形態1の構成に比べて小さくすることができる。
【0064】
(実施形態3の効果)
以上より、この実施形態によれば、補聴器用予備バッテリ60の予備用電池22として1次電池を用いることにより、バッテリケース61内に収納される部品数を低減することができ、補聴器用予備バッテリ60の小型化を図れる。
【0065】
[実施形態4]
図8に、本発明の実施形態4に係る補聴器用予備バッテリ70の概略構成を示す。この実施形態の構成は、ケース71の外に電池72を設けた点で、上述の実施形態1とは構成が異なる。以下の説明では、実施形態1の構成と異なる点についてのみ説明し、実施形態1の構成と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
具体的には、補聴器用予備バッテリ70は、
図8に示すように、ケース71と、該ケース70の外に配置され且つ該ケース71に配線73を介して接続される電池72とを備えている。ケース71は、有底筒状に形成されていて、その内側の底部に接続端子25が設けられている。この接続端子25は、ケース71内で、配線73に電気的に接続されている。このような構成により、ケース71内の接続端子25には、外部の電池72から配線73を介して電力が供給される。
【0067】
なお、本実施形態の構成の場合、電池72は、例えば使用者のポケット等に収納されることになる。
【0068】
(実施形態4の効果)
以上より、この実施形態によれば、ケース71の外に電池72を配置するため、補聴器用予備バッテリ70を補聴器本体部10の大きさに合わせる必要がなくなる。これにより、電池72のサイズを大きくすることができ、該電池72の大容量化を図れる。よって、補聴器用予備バッテリ70の長時間使用が可能になる。
【0069】
[実施形態5]
図9に、本発明の実施形態5に係る補聴器用予備バッテリ80の概略構成を示す。この実施形態の構成は、バッテリケース81の内面開口側に、ゴム製の係合部材82を設けた点で、上述の実施形態1とは構成が異なる。以下の説明では、実施形態1の構成と異なる点についてのみ説明し、実施形態1の構成と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
具体的には、補聴器用予備バッテリ80のバッテリケース81の内面開口側には、対向する位置に複数の凹部81aが形成されている。そして、この凹部81a内に、ゴム製の係合部材82(係合部)が配置されている。この係合部材82は、先端部分が半球状である柱状に形成されていて、基端部分がバッテリケース81の凹部81a内に固定されている。これにより、係合部材82は、半球状の先端部分がバッテリケース81の内方に向かって突出している。
【0071】
以上の構成により、補聴器本体部10に対して補聴器用予備バッテリ80を取り付ける際に、バッテリケース81の内面上に内方に向かって突出するように設けられた係合部材82が補聴器本体ケース11の外表面に設けられた窪み11dに係合する。これにより、実施形態1の構成と同様、補聴器本体部10に対して補聴器用予備バッテリ80をより確実に取り付けることができる。
【0072】
しかも、係合部材82はゴム製であるため、容易に変形することができる。よって、補聴器本体部10に対して補聴器用予備バッテリ80を容易に着脱することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、係合部材82をゴム製としているが、この限りではなく、係合部材82を弾性変形可能な他の材料によって構成してもよい。また、バッテリケース81に設ける凹部81aを、該バッテリケース81の内周面の全周に設けるとともに、係合部材をリング状の部材によって構成してもよい。さらに、係合部材82の先端部分及び補聴器本体部10の窪み11dの各縦断面(
図9に示す断面で見た場合の断面)を略矩形状にしてもよい。
【0074】
(実施形態5の効果)
以上より、この実施形態によれば、バッテリケース81の内面開口側に、ゴム製の係合部材82を設けた。これにより、補聴器本体部10に対して補聴器用予備バッテリ80を容易に着脱できるとともに、バッテリケース81の係合部材82が補聴器本体ケース11の窪み11dに位置付けられた状態では、補聴器本体部10に対して補聴器用予備バッテリ80をより確実に接続することができる。
【0075】
[実施形態6]
図10に、本発明の実施形態6に係る補聴器用予備バッテリ90の概略構成を示す。この実施形態の構成は、バッテリケース91の内面開口側にねじ山部91aを設けるとともに、補聴器本体部100の補聴器本体ケース101の外表面にねじ溝101aを設けた点で、上述の実施形態1とは構成が異なる。以下の説明では、実施形態1の構成と異なる点についてのみ説明し、実施形態1の構成と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
具体的には、
図10に示すように、バッテリケース91の内面開口側に、該バッテリケース91の内面に沿うようにねじ山が延びるねじ山部91aが設けられている。このねじ山部91aに対応するように、補聴器本体部100の補聴器本体ケース101の外表面にねじ溝101aが形成されている。
【0077】
これにより、補聴器本体部100のねじ溝101aに対してバッテリケース91のねじ山部91aが嵌合するように、該補聴器本体部100に対してバッテリケース91を回しながら取り付ける(
図10の矢印)ことで、該補聴器本体部100とバッテリケース91とを接続することができる。なお、補聴器本体部100のねじ溝101a及びバッテリケース91のねじ山部91aは、両者が螺合する回転方向が
図10に矢印で示す方向とは逆方向になるように形成されていてもよい。
【0078】
本実施形態のように、ねじ山部91aとねじ溝101aとの嵌合によって補聴器本体部100とバッテリケース91とを接続することにより、両者をより強固に接続することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、
図10に示すように、ねじ山部91a及びねじ溝部101aを、バッテリケース91の内周の3周分、形成しているが、この限りではなく、バッテリケース91の内周面の1周分であってもよいし、4周分以上であってもよい。
【0080】
(実施形態6の効果)
以上より、この実施形態によれば、補聴器用予備バッテリ90のバッテリケース91の内面開口側にねじ山部91aを設けるとともに、補聴器本体部100の補聴器本体ケース101の外表面にねじ山部91aと螺合するねじ溝101aを設けた。これにより、補聴器用予備バッテリ90のねじ山部91aに補聴器本体部100のねじ溝101aを螺合させることで、補聴器用予備バッテリ90を補聴器本体部100に取り付けることができる。このように、ねじ山91aとねじ溝101aとの螺合によって補聴器用予備バッテリ90と補聴器本体部100とを接続することで、両者をより強固に接続することができる。
【0081】
[実施形態7]
図11に、本発明の実施形態7に係る補聴器用予備バッテリ110と補聴器本体部120との接続構造を示す。この実施形態の構成は、補聴器用予備バッテリ110と補聴器本体部120とを板状の端子112によって電気的に接続する点で、上述の実施形態1とは構成が異なる。以下の説明では、実施形態1の構成と異なる点についてのみ説明し、実施形態1の構成と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
具体的には、
図11に示すように、補聴器用予備バッテリ110には、バッテリケース111の外方に延びる板状の端子112が2つ平行に並んで設けられている。これらの端子112は、特に図示しないが、バッテリケース111内に配置された電池と電気的に接続されている。これにより、電池から端子112から電力が供給される。なお、特に図示しないが、バッテリケース111内には、電池以外にも、該電池を充電するための充電回路や保護回路等を構成する回路部が収納されている。
【0083】
補聴器本体部120の補聴器本体ケース121には、補聴器用予備バッテリ110の端子112が嵌合可能な溝部121aが形成されている。この溝部121aは、その溝側面に図示しない端子が露出するように形成されている。この端子は、補聴器本体部120内の各回路に電気的に接続されている。
【0084】
以上の構成により、
図11に白抜き矢印で示すように、補聴器本体部120の溝部121a内に、補聴器用予備バッテリ110の端子112を挿入することで、補聴器用予備バッテリ110と補聴器本体部120とを電気的に接続することができる。よって、補聴器用予備バッテリ110の電池から補聴器本体部120に対して電力を供給することが可能になる。
【0085】
なお、本実施形態では、補聴器用予備バッテリ110に設ける端子112を板状に形成するとともに、補聴器本体部120に溝部121aを形成しているが、この限りではなく、端子112をピン状に形成するとともに補聴器本体部120に該ピン状の端子が挿入可能な穴部を設けても良い。
【0086】
(実施形態7の効果)
以上より、この実施形態によれば、補聴器用予備バッテリ110に外方に延びる板状の端子112を設けるとともに、補聴器本体部120に該端子112と嵌合可能な溝部121aを設けた。これにより、補聴器本体部120と補聴器用予備バッテリ110とを容易に接続することができる。
【0087】
しかも、補聴器用予備バッテリ110と補聴器本体部120とを、板状に延びる端子112によって電気的に接続することで、補聴器用予備バッテリ110と補聴器本体部120との接触部分の面積を小さくすることができる。これにより、実施形態1から6に示すような大きなバッテリケースが不要になるため、補聴器用予備バッテリ110の小型化を図れる。また、
図11のように、補聴器本体部120の取り付け部分が曲面であっても、その形状に合わせることなく、よりコンパクトで且つ軽量な補聴器用予備バッテリ110を補聴器本体部120に取り付けることが可能になる。
【0088】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0089】
前記各実施形態では、補聴器本体部10及びフック部12は、耳を囲むように全体として円弧状に形成されているが、この限りではなく、補聴器として用いられる他の形状であってもよい。
【0090】
前記各実施形態では、補聴器本体部10にフック部12を接続し、該フック部12にチューブ部13を接続しているが、この限りではなく、補聴器本体部10に直接、チューブが接続されたタイプの補聴器であってもよい。
【0091】
前記各実施形態では、係合ピン28や係合部材82によってバッテリケース21と補聴器本体部10とを係合したり、ねじ山部91a及びねじ溝部101aによってバッテリケース21と補聴器本体部10とを結合したりしている。しかし、これらの限りではなく、バッテリケース21と補聴器本体部10とを接続できる構成であれば、他の構成であってもよい。