特許第5677939号(P5677939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677939
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】雨水排出ます
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
   E03F1/00 Z
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-507999(P2011-507999)
(86)(22)【出願日】2009年5月8日
(65)【公表番号】特表2011-520049(P2011-520049A)
(43)【公表日】2011年7月14日
(86)【国際出願番号】GB2009050488
(87)【国際公開番号】WO2009136208
(87)【国際公開日】20091112
【審査請求日】2011年5月9日
(31)【優先権主張番号】0808457.6
(32)【優先日】2008年5月9日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501401630
【氏名又は名称】ハイドロ インターナショナル ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】HYDRO INTERNATIONAL PLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドウ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フィンク,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】レコーヌ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ファラム,マイケル,ガイ
【審査官】 ▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−331206(JP,A)
【文献】 特表2001−519710(JP,A)
【文献】 特開平10−219802(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3082407(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0251185(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過ユニット(12)及び出口ハウジング(14)を備える出口アセンブリ(8)が内部に配置されるチャンバ(2)を備える雨水排出ますであって、
前記出口ハウジング(14)は、
雨水が前記チャンバ(2)から前記出口ハウジング(14)へ前記濾過ユニット(12)を通って流れるようにするため、前記濾過ユニット(12)の開口(32)に接続する一次入口(46)と、
雨水が前記チャンバ(2)から前記出口ハウジング(14)へ堰(52)を越えて流れることができるようにして前記濾過ユニット(12)を迂回するため、前記一次入口(46)よりも高い位置に配置された前記堰(52)を含むバイパスユニットと、
前記チャンバ(2)から延びる出口(20)とを備え、
前記バイパスユニットの前記堰(52)が、前記チャンバ(2)から前記出口ハウジング(14)へ液体を流れさせるサイフォンを形成するように前記出口ハウジング(14)の上カバー(56)で閉じられていることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項2】
請求項1記載の雨水排出ますにおいて、
前記上カバー(56)は前記堰(52)を越えて拡がる湾曲領域(58)を有することを特徴とする雨水排出ます。
【請求項3】
請求項2記載の雨水排出ますにおいて、
前記バイパスユニットは第2の堰(52)をさらに備え、
前記上カバー(56)は、前記第2の堰(52)を越えて拡がる、第2のサイフォンを形成する第2の湾曲領域(58)を有することを特徴とする雨水排出ます。
【請求項4】
請求項3記載の雨水排出ますにおいて、
前記湾曲領域(58)は前記上カバー(56)の谷部領域(64)で互いに接続されていることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の雨水排出ますにおいて、
前記出口アセンブリは前記チャンバ(2)の壁(4)に隣接して配置されていることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項6】
請求項5記載の雨水排出ますにおいて、
前記壁(4)は円筒形であることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項7】
請求項6記載の雨水排出ますにおいて、
前記湾曲領域(58)は、前記チャンバ(2)の円筒形の壁(4)に対して半径方向に延び、下縁領域で終端することを特徴とする雨水排出ます。
【請求項8】
請求項7記載の雨水排出ますにおいて、
前記堰(52)は、前記円筒形の壁(4)に対して半径方向に延び、且つ前記湾曲領域(58)の2つの下縁領域の中間に位置することを特徴とする雨水排出ます。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の雨水排出ますのチャンバ(2)に収納され、前記濾過ユニット(12)及び前記出口ハウジング(14)を有する出口アセンブリであって、
前記出口ハウジング(14)は、
雨水が前記チャンバ(2)から前記出口ハウジング(14)へ前記濾過ユニット(12)を通って流れるようにするため、前記濾過ユニット(12)の開口(32)に接続する一次入口(46)と、
雨水が前記チャンバ(2)から前記出口ハウジング(14)へ堰(52)を越えて流れることができるようにして前記濾過ユニット(12)を迂回するため、前記一次入口(46)よりも高い位置に配置された前記堰(52)を含むバイパスユニットと、
前記チャンバ(2)から延びる出口(20)とを備え、
前記バイパスユニットの前記堰(52)が、前記チャンバ(2)から前記出口ハウジング(14)へ液体を流れさせるサイフォンを形成するように前記出口ハウジング(14)の上カバー(56)で閉じられていることを特徴とする出口アセンブリ。
【請求項10】
第1の高さに下縁部を有する、チャンバ(2)に連通する一次入口(46)と、前記第1の高さより高い第2の高さに下縁部を有する、前記チャンバ(2)に通じるバイパス入口(48)とを備える出口ハウジング(14)が配置されたチャンバ(2)を備える雨水排出ますであって、
前記出口ハウジングはまた、液体を前記チャンバ(2)から前記出口ハウジングに流入させるダクト(66)を備え、
前記ダクト(66)が、サイフォンを形成し、当該ダクト(66)の第1端(72)から前記サイフォンの頂部(67)まで前記出口ハウジング(14)内で上方に延びる第1部分(70)と、前記サイフォンの頂部(67)から、前記出口ハウジング(14)外で前記チャンバ(2)内に配置された前記ダクト(66)の第2端まで下方に延びる第2部分(74)とを有し、
前記サイフォンの頂部(67)が、前記バイパス入口(48)の下縁部より低い位置にあることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項11】
請求項10記載の雨水排出ますにおいて、
前記ダクト(66)は取り外し可能な濾過器(80)を含んでいることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項12】
請求項11記載の雨水排出ますにおいて、
前記取り外し可能な濾過器(80)は前記ダクト(66)の第2部分(74)に配置されていることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか一項に記載の雨水排出ますにおいて、
前記ダクト(66)を通る液体の流量を制限する制限部(72)を備えることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項14】
請求項13記載の雨水排出ますにおいて、
前記制限部(72)は前記ダクト(66)の第1端に設けられていることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の雨水排出ますにおいて、
前記制限部(72)は、前記ダクト(66)の前記第1部分及び前記第2部分の流れ断面の5%〜20%の範囲の流れ断面を有することを特徴とする雨水排出ます。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか一項に記載の雨水排出ますにおいて、
前記ダクト(66)に対し液体の流れが入出可能にする透過性又は孔のあいた閉鎖部(76)が、前記ダクト(66)の第2端に設けられていることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれか一項に記載の雨水排出ますにおいて、
前記ダクト(66)の第2端は前記第1端の位置より低い位置にあることを特徴とする雨水排出ます。
【請求項18】
請求項10〜17のいずれか一項に記載の雨水排出ますにおいて、
前記ダクト(66)の第1端は前記出口ハウジング(14)のベースに近接して配置されていることを特徴とする雨水排出ます。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水排出ます、及び雨水排出ます又は雨水停留及び処理システムの構成要素になり得る容器の排出口に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水排出ますは、通常、道路、舗装路その他の舗装面など、孔のない地表面から流れる表面雨水を集めるために用いられている。地表面から流れる水は、地表面の通常格子で覆われた開口を通って排出ますに流れる。排出ますは、地下の下水施設から流れる水も受け入れる。排出ますは、通常は主下水管又は落水口に接続した出口を有する。
【0003】
排出ますの出口は通常、排出ますの底の上方にあるので、排出ますの下方領域が、流れの固体汚染物を定期的に抽出するために停留する汚水溜めとして作用し、主下水管を流れる水は、少なくとも元の汚染物の一部からフリーである。また、排出ます出口の最大容量を超えて流入する大量の水が流れる間、水は排出ます内で増大し、流入量が低下した後、排出される。このような排出ますは、特許文献1(米国特許第7,005,060号)に開示されている。この排出ますでは、排出ますのチャンバから出口に流れる水は上流の濾過器を通って、排出ます出口が出ている出口ハウジングへ向かう。濾過器を通る流れは上方に向かうので、固体の汚染物は、濾過器の下側で捕捉され、流入量が低下したとき濾過器から落下して、排出ますの底で汚水溜めに入る。濾過は、排出ますの出口に向かう流量を制限するので、大量の水が流れる間、排出ます内の水位は濾過を超えて上昇するであろう。水を直接出口ハウジングに流すことができる堰を備えたバイパスを設け、それによって、水が濾過器を通過することなく排出ます出口へ向かうようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,005,060号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような排出ますの問題点は、流れの速い状況で堰を超える流量が上表面の洪水を回避するには充分でないということである。また、排出ますへの流れによって水位が堰より容易に低くなるときは、排出ますからの排水は濾過器を通るだけである。このため、排出ます内の水位は緩慢にしか低下せず、大量の雨水が短時間で断続すると安全な範囲が殆どなくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、出口アセンブリが配置されたチャンバを備えた雨水排出ますが提供される。出口アセンブリは、雨水がチャンバから出口ハウジングへ濾過ユニットを通って流れるようにするため、濾過ユニットに設けた一次入口を有する出口ハウジングと、雨水が前記チャンバから前記出口ハウジングへ堰を越えて流れることができるようにして前記濾過ユニットを迂回するため、一次入口より高い位置に設けられた堰を有するバイパス入口とを備える。出口ハウジングはチャンバからの出口を有し、堰は出口ハウジングの上カバーで閉じられ、液体をチャンバから出口ハウジングへ流れさせるサイフォンを形成することを特徴とする
【0007】
サイフォンを備えることは、ひとたび排出ますチャンバ内の水位がサイフォンを生じさせるに充分な高さまで上昇すると、サイフォン効果により水がバイパス入口を通って急速に排出されることを意味する。更に、バイパスへの入口を堰の高さより低い位置に設けることにより、水位が堰の高さより低い位置まで低下した後でも急速な排水を継続することができる。
【0008】
上カバーは、堰を越えて互いに通じるサイフォンの上流及び下流の脚を形成するように堰を越えて拡がる湾曲領域を有する。
【0009】
堰は、出口アセンブリ上で互いに対向して配置され得る2つの堰の一つであり、各堰はそれぞれサイフォンを形成する上カバーの湾曲領域を有する。
【0010】
上記2つの堰の湾曲領域は、上カバーの谷部で互いに接続され得る。その谷部領域は、全体として堰の上縁部まで下方に拡がってよい。谷部領域の下側では、サイフォンの下流脚が合流して、出口まで延びる単体のダクトを形成する。
【0011】
出口ハウジングは、排出ますチャンバの壁に隣接して配置されることが好ましい。
【0012】
その壁は円筒状でよく、出口ハウジングは、円筒形の壁の内側表面に合致するように形成された円弧状のハウジング壁を有するものでよい。更に、堰と上カバーの湾曲領域の下縁部は、円筒形の壁に対して半径方向に延びた平面上にあってよい。堰は、各湾曲領域の下縁部のほぼ中間に配置され得る。
【0013】
本発明の他の観点によれば、第1の高さに下縁部を有する一次入口と、第1の高さより高い第2の高さに下縁部を有する二次入口とを備えた容器を収容したチャンバを備える雨水排出ますが提供される。この容器も、ダクトを備えた排水口を有し、ダクトは、サイフォンを形成し、ダクトの第1端からサイフォンの頂部まで容器内を上方に延びた第1部分と、サイフォンの頂部から容器の外でチャンバ内に配置されたダクトの第2端まで下方に延びた第2部分とを有し、サイフォンの頂部は、二次入口の下縁部より低い位置に配置されることを特徴とする。
【0014】
本発明をよりよく理解し且つ本発明をどのように実施できるかをより明確に示すため、以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】出口アセンブリを有する雨水排出ますを示す図。
図2図1の線II-IIに沿う排出ます断面図。
図3】出口アセンブリの構成を示す断面図。
図4図1の線IV-IVに沿う断面図で、出口アセンブリの他の構成を示す図。
図5図1図4の雨水排出ますに用いられる下水出口を示す図。
図6図1図4に示された排出ますに構造が近似したモジュールを含む雨水停留及び処理システムを示す図。
図7】雨水停留及び処理システムの他の実施形態を示す図。
図8図1に対応するが、他の形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、排出ますは、円筒形の壁4とベース6とで形成されたチャンバ2を備える。図1には、構成を明示するため円筒形の壁4を部分的に示している。実際には、壁4は全体としてベース6の周りに拡がっている。チャンバ2内には、図示の実施形態ではチャンバ2の壁4で支持された出口アセンブリ8がある。この実施形態の出口アセンブリは、ブラケット10上に設置された2つの濾過ユニット12と、これら濾過ユニット12で支持された出口ハウジング14とを備える。図3及び図4から明らかなように、濾過ユニット12と出口ハウジング14は、それぞれ湾曲した壁16、18を有し、各壁の半径は円筒形の壁4の内側表面と同じで出口アセンブリ8が壁4にぴったり適合するようになっている。出口20は、出口ハウジング14から壁4の開口部を通って延び、下流の主下水管のような管設備に接続している。
【0017】
図3を参照すると、各濾過ユニット12は、蓋24を設けたケーシング22を備える。通常の操作では、蓋24は、回転可能な保持器26によってケーシング22上に保持されている。蓋24は、ハンドル28とこれに従属する支持構造30を有する。ケーシング22は矩形の開口32を有し、支持構造30は、大開口36を形成した支持パネル34を下端に備えている。パネル34は、開口32の底縁のすぐ下に配置されている。ケーシング22のベースは、図3には示されていないが、大開口36に対応する大開口を備えたパネル38で構成されている。パネル34と38の間には、濾過媒体を含むコンポーネント40が配置される。図3に示された実施形態では、濾過媒体は、半剛性で僅かに浮揚性があり透過性を有する濾過材料の2つのブロック42からなる。この目的に適した材料は、台湾、台中のMATALA Water Technology Co. LtdからMATALAの商標で提供されているものが使用できる。
【0018】
各ブラケット10は、多孔板の形のスクリーン44を含んでいる。ブラケット10の左右端は閉じられているので、パネル38の開口を通ってケーシング22に入る流れの全てがスクリーン44を通過しなければならない。
【0019】
各濾過ユニット12は、図2に示すように出口ハウジング14の対応する開口46と心合せした各開口32で出口ハウジング14に接続されている。従って、各ケーシング22の内部は、出口ハウジング14の一次入口を構成する心合せした開口32及び46を介して、出口ハウジング14の内部と連通している。
出口ハウジング14は、全体として鉛直方向に延びたダクト状に形成され、その上方領域にバイパス入口48、その中心領域の心合せした開口32、46で構成される一次入口、その下方領域に出口20を有する。また、出口ハウジング14は、以下で説明する一連の下水出口50を有する。
【0020】
図2及び図4を参照して、各バイパス入口48は、出口ハウジング14の壁54の上端に沿って拡がる堰52を備えており、壁54は全体として後壁18の半径方向、従って排出ますの円筒形の壁4の半径方向に拡がる。出口ハウジング14の上部には、2つの湾曲領域58を有する上カバー56があり、各湾曲領域は堰52を越えて拡がり、堰52を越えて互いに連通する上流の脚60及び下流の脚62を有するサイフォンを生成する。上流脚60及び下流脚62は、図4に示すように、それぞれ半径方向外側に向かって拡大されている。湾曲領域58は、谷部64で互いに接続している。谷部64の下方では、下流脚62がハウジング14の全断面を占めるように合流している。
【0021】
図1に示すように、下水出口50は、出口ハウジング14の下方領域に配置されるが、適宜の下水装置に設けてもよい。使用されていないどの出口50も閉じることができる。下水出口50が1以上設けられているので、それらのうち適当な数の出口を使用することで下水の流量を制御することができる。
【0022】
図5は、下水出口の別形態を示す。ダクト66は、出口ハウジング14の壁に設けたシールリング68でシールした開口を通って延びている。ダクト66は、ハウジング出口14の壁を通る逆U字状の湾曲部67で形成された頂部を有し、出口ハウジング14内に位置する第1部分70は、ベース69として示された出口ハウジング14の底部に近接した位置まで延び、その終端にダクト66の第1端を構成する排出管72を備えている。チャンバ2内にある出口ハウジング14の外側では、ダクト66の第2部分74が湾曲部67から下方に延びて、出口ハウジング14のベース69の下側、従って排出管72より低い位置で第2端を構成している。その第2端において、ダクトの第2部分74は、ねじ付きのカラー78によりダクト66に着脱可能な端キャップ76を備える。この端キャップ76は、液体がダクト66を通って出口ハウジング14の外部から内部へ流れるのを妨げないように孔のあいた又は透過性の材料で作られる。
【0023】
排出管72は、直径がダクト66の主要部より小さいので、ダクト66を通る流量を制限する流れ制限部として作用する。排出管72は、流れ断面がダクト66のそれよりも実質的に小さく形成される。例えば、排出管72の流れ断面は、ダクト66の流れ断面の5%から20%でよい。一実施形態では、排出管の直径は12.5mm、ダクト66の直径は38mm、すなわち断面積の比は約10%である。
【0024】
上記に代えて又は上記に加えて、ダクト66は、その全長の一点で別個の制限器を備えることができる。また、ダクト66は、例えば第2部分74に配置されたカートリッジ80内に濾過媒体を備え、カートリッジ80は、その中の濾過媒体あるいはカートリッジ80そのものを交換するためにダクト66から取り外し可能とする。
【0025】
外側にあるダクト66の第2部分74は、クランプ82で、出口20の1つに固定することができる。
【0026】
作動時には、表面を流れる水が、例えば路面に設置した格子を通って、チャンバ2の上端から内部に侵入する。また、チャンバ2は、地下の下水設備から壁4を通過して入る流れを受けてもよい。水がチャンバ2内に溜まると、多孔スクリーン44及び濾過媒体ブロック42を通って上方に流れ、心合せした開口32、46を通って出口ハウジング14内に入り、そこから出口20を通って流れる。スクリーン44及び濾過ブロック42が固体材料を捕えるので、出口20を通って流れる水は浄化される。水はコンポーネント40を通って上方に流れるので、わずかに浮遊性を有するブロック42は、ベースパネル38から上昇して上方のパネル34に接触する。水位が開口32の下縁部に達する前にチャンバ2への水の流れが止まるならば、水位は再びコンポーネント40を通って再び低下するだけで、ブロック42を再びベースパネル38上に許容する。ブロック42及び多孔スクリーン44を通る水の逆流は、集めた固体材料の少なくとも一部を取り除き、次の周期的な収集が行われるところで、チャンバ2の底部まで落とすことになる。
【0027】
濾過ブロック42は、出口ハウジング14の一次入口32、46を通る水の流れに対する抵抗となる。従って、濾過ユニット12を通って出口ハウジング14に流れる流量は、出口20の最大容量よりも少ない。チャンバ2内に大量の水が流入する状況では、流入する水の全てが濾過ユニット12を回避できるとは限らず、チャンバ2内の水位は濾過ユニット12の上方まで上昇し続ける。結局、水位が堰52を超えると、いくつかの付加的な流れが生じ、バイパス入口48を通って堰52を越えて流れ、出口ハウジング14内に流れ込んで、初めに濾過ユニット12を通ることなく出口20に至る。水位が更に上昇するならば、上カバー56を含む出口ハウジング14が浸水し、堰52及び上カバー56の湾曲領域58で形成されたサイフォンを機能させる。サイフォン効果によってバイパス入口48を通る水の流れが加速され、チャンバ2からの排出を、極限状態でなくチャンバ2のオーバーフローを防止するに充分な流量まで増加させる。水が堰52の高さより低い位置まで低下した後でも、バイパス入口48は水没したままであるから、サイフォン効果によりチャンバ2内の水位が急速に減少し続ける。一旦、水位が入口より低いサイフォンの脚60の上まで低下すると、サイフォンが破られ、チャンバ2から出口ハウジング14に向かう流れが一次入口32、46を通って流れ続ける。前述のように、流れが停止すると、濾過ブロック42を通じて水位が低下する。
【0028】
更に、チャンバ2内の水が、ダクト66(図5)で構成されたサイフォン頂部67の上方に達すると、サイフォンの外でチャンバ2内の水位が引き続きサイフォン頂部67の高さよりも低下したとき、ダクト66のサイフォン効果がチャンバ2の内部から出口ハウジング14への流れを続行するように、サイフォンが働く。孔のあいた又は透過性のキャップ76は、ダクト66を通ってチャンバ2から出口ハウジング14の内部への流れをスクリーンし、カートリッジ80内の濾過器は、固体材料の出口ハウジング14への通過を制限する働きがある。排出管72の直径が縮小していることで、ダクト66を通る流れが相対的に緩くなる。得られる効果は、流れが緩い条件下では、チャンバ2からの流れが、濾過ユニット12を迂回するダクト66を通って出口ハウジング14の内部に達することである。ダクト66を通る流れは、チャンバ2内の水位が一次入口32、46の下縁部より下まで低下した後でも続く。サイフォン(ダクト66)の頂部67の高さは、一次入口32、46より上である必要はないが、入口より低くすることができる。
【0029】
別の実施形態では、ダクト66で構成される下水出口は、サイフォン効果を生じないように、それに代えて、出口50の1つに直接接続するように構成することができる。かくして、ダクト66は90°湾曲した部分を有し、出口50から外方に短い距離だけ延びて、湾曲部から下方に延びた部分74となっている。
【0030】
図6に示された雨水停留及び処理システムは、入口管92を有する入口チャンバ90と、出口管96を有する出口チャンバ94とを備える。入口チャンバ90及び出口チャンバ94は、一方が他方の上に重ねられ、これらのチャンバ90、94の両側に複数(この場合、10個)のモジュール98の列が配置されている。各モジュールは、図1から図4に示された排出ますの構造と同様であり、図6に想像線で示すように、出口ハウジング14及び濾過ユニット12の配列を備えた出口アセンブリ8を収容している。図1には、濾過ユニット12が2つだけ示されているが、他の個数の濾過ユニットを使用してもよい。後に図8を参照してより詳しく説明する。
【0031】
各モジュール98は、ダクト100によって入口チャンバ90に接続した入口を有する。その入口は、濾過ユニット12上方の高さでモジュール98内に開口している。図2の出口20に対応する出口が、ダクト102によって出口チャンバに通じている。
【0032】
動作時には、雨水は、適当な管構造によって入口管92に運ばれて入口チャンバ90に入る。そこから、水はモジュール98に流れ、濾過ユニット12を通って出口ハウジング14に達し、出口チャンバ94から出口管96を通って排出される。かくして、このシステムは水を停留する機能を果たすものであり、水がチャンバ90、94及びモジュール98内に溜められるので、下流の設備にかかる負荷を軽減する。水量が低下すると、水はモジュール98から出口ハウジング14を通って排出され、次の大雨時に備えた容量を確保することができる。
【0033】
図7は、類似のシステムを示す。この場合、入口チャンバ90及び出口チャンバ94は、共通のハウジング104内で仕切り106により各側面に沿って配置されている。
【0034】
図8に示すように、単体の排出ます又はモジュール98内に上記と異なる個数の濾過ユニット12が設けられている。各ケーシング22(図3)は、全体として対向する2つの壁にそれぞれ1つの開口32を有し、これらの壁はチャンバ2の半径方向に拡がっている。従って、濾過ユニットは、各開口32により互いに連通して側面に沿って設置される。外壁(すなわち、他の濾過ユニット12に隣接しない壁)に設けた開口32は、閉鎖パネル108で閉じられている。従って使用時には、水は、出口ハウジング14に達するまで、1つの濾過ユニット12から次のユニットへ流れることができる。
【0035】
各排出ます又はモジュール内の濾過ユニットの数は、所要の濾過容量に応じて決められる。いくつかの環境では、濾過ユニットは、出口ハウジング14の対向する側面の間で排出ます又はモジュールの円弧全体を占めてもよい。例えば、単体の排出ます又はモジュール98内に濾過ユニット12が6個収容されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8