特許第5677943号(P5677943)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677943
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20150205BHJP
   C07K 14/31 20060101ALI20150205BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20150205BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   C12N15/00 A
   C07K14/31ZNA
   C07K1/22
   C12P21/00 C
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2011-511987(P2011-511987)
(86)(22)【出願日】2008年9月24日
(65)【公表番号】特表2011-521653(P2011-521653A)
(43)【公表日】2011年7月28日
(86)【国際出願番号】EP2008062754
(87)【国際公開番号】WO2009146755
(87)【国際公開日】20091210
【審査請求日】2011年9月26日
(31)【優先権主張番号】61/130,992
(32)【優先日】2008年6月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510314965
【氏名又は名称】アフィボディ・アーベー
【氏名又は名称原語表記】AFFIBODY AB
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ノルド、カリン
(72)【発明者】
【氏名】レンデル、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】アブラムセン、ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ベルグマン、トマス
(72)【発明者】
【氏名】ヤルスタド、アンデルス
【審査官】 西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/097361(WO,A1)
【文献】 特表2005−538693(JP,A)
【文献】 J. Biotechnol. ,2007年,Vol.128, No.1,pp.162-183
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/09
C07K 1/22
C07K 14/31
C12P 21/00
CAplus/MEDLINE/WPIDS/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫グロブリン G Fc 領域結合モチーフBMを含んでいる免疫グロブリン G Fc 領域結合ポリペプチドであって、該モチーフは以下のものから選択されるアミノ酸配列からなる免疫グロブリン G Fc 領域結合ポリペプチド:
i) EQQX4AFYEIL HLPNLTEX18QX20 X21AFIX25X26LRX29,式中で, 互いに独立に,
X4 は、H および Nから選択される;
X18 は、DおよびGから選択される;
X20 は、RおよびKから選択される;
X21 は、HおよびQから選択される;
X25 は、R, AおよびGから選択される;
X26 は、A, SおよびTから選択される;および
X29 は、G, KおよびAから選択される;
並びに
ii) 少なくとも 93 %の同一性をi)に規定される配列の前記結合モチーフに対応するウィンドウに対して有し、前記IgG Fc結合ポリペプチドは相互作用のKD 値が多くとも1 x 10-6 MであるようにIgG Fcと結合するアミノ酸配列。
【請求項2】
請求項1に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記アミノ酸配列 i)が配列番号1-3から選択されるポリペプチド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記IgG Fc-結合モチーフが三ラセン束タンパク質ドメインの部分を形成するポリペプチド。
【請求項4】
請求項3に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、アミノ酸配列: FWK-[BM]-DPSQSARLLAXaAKKLDDAQを含み、式中の[BM]は請求項1〜2の何れか一項に規定のIgG Fc-結合モチーフであり;Xa は、R, G およびQから選択されるポリペプチド。
【請求項5】
請求項4に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、配列番号4〜6から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、配列番号7〜9から選択されるアミノ酸配列を含むIgG Fc-結合ポリペプチド。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、アミノ酸配列が同じ又は異なりえる少なくとも二つのIgG Fc-結合ポリペプチド 単量体の単位を含んでいる多量体の形態のポリペプチド。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド。
【請求項9】
IgG Fcを含んでいる分子をサンプルから単離する方法であって、以下の工程を含む方法:
(i) IgG Fcを含んでいる分子を含有しているサンプルを提供すること;
(ii) 前記サンプルを請求項1〜7の何れか一項に記載されるIgG Fc-結合 ポリペプチドと接触させて、前記IgG Fcを含んでいる分子を前記ポリペプチドに結合させること;
(iii) 結合したIgG Fcを含んでいる分子を前記サンプルから単離すること。
【請求項10】
IgG Fcを含んでいる分子を産生する方法であって、以下の工程を含む方法:
(i) 所望のIgG Fcを含んでいる分子を発現させること;
(ii) IgG Fcを含んでいる分子のサンプルを前記の発現物から得ること;
(iii) 前記サンプルを請求項1〜7の何れか一項に記載されるIgG Fc-結合ポリペプチドと接触させて、IgG Fcを含んでいる分子を前記ポリペプチドに結合させること;
(iv) 結合したIgG Fcを含んでいる分子を前記サンプルから単離すること、および
(v) 結合したIgG Fcを含んでいる分子をIgG Fc-結合ポリペプチドから溶出で回収すること。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法であって、前記IgG Fcを含んでいる分子は、IgG 分子又はその断片である方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記IgGは、モノクローナル IgG 抗体である方法。
【請求項13】
請求項9または10に記載の方法であって、前記IgG Fcを含んでいる分子は、Fc融合タンパク質である方法。
【請求項14】
請求項1〜7の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドを含んでいるアフィニティークロマトグラフィー媒体。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリン G Fc (IgG Fc)に結合するポリペプチドに関する。前記ポリペプチドは、抗体 および/または Fc 融合 タンパク質の生産におけるアフィニティー分離 および/または 精製などの産業的な適用を有する。
【0002】
[背景]
モノクローナル抗体 および Fc 融合 タンパク質の産業的な生産において、精製は、頻繁に親和性クロマトグラフィーを用いて実施される。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のプロテインAは、IgGのFc部分へのプロテインAの本来(native)の親和性のため係る適用において親和性リガンドとして長く使用されてきた。プロテインA全体、同様に、その個々のFc-結合ドメインは、改善された特性を有する操作された親和性リガンドの合理的なデザインの出発点として引き続いて供される。現在使用される IgG Fc 親和性リガンドは比較的成功しているが、継続的に改善する必要がある。プロテインAにより呈されるものと匹敵する又はそれよりも高いIgG Fcへの親和性を有している因子の継続的な提供は、なおも価値のあり興味のある事項である。例えば、プロテインA アフィニティークロマトグラフィーは、典型的には低pH条件を使用し、低pH条件への幾つかの抗体 および Fc 融合タンパク質の感受性が原因の収量の損失が生じる可能性がある。従って、アフィニティークロマトグラフィーの間にプロテインAと比べて高いpHでの溶出が許容される新しい IgG Fc-結合剤の提供は、有益であろう。
【0003】
例えば、親和性分離および/または精製のための抗体またはFc 融合タンパク質の生産に使用できるだろう新しい IgG Fc-結合剤を提供することは、本発明の課題である。
【0004】
[発明の概要]
本発明の一側面によると、本発明は、IgG Fc-結合モチーフBMを含んでいる免疫グロブリン G Fc (IgG Fc) 結合 ポリペプチドを提供し、該モチーフは以下のものから選択されるアミノ酸配列からなる:
i) EQQX4AFYEIL HLPNLTEX18QX20 X21AFIX25X26LRX29,
式中で, 互いに独立に,
X4 は、H および Nから選択される;
X18 は、DおよびGから選択される;
X20 は、RおよびKから選択される;
X21 は、HおよびQから選択される;
X25 は、R, AおよびGから選択される;
X26 は、A, SおよびTから選択される;および
X29 は、G, KおよびAから選択される;
並びに
ii) 少なくとも 85 %の同一性をi)に規定される配列に対して有するアミノ酸配列。
【0005】
本発明によるIgG Fc-結合ポリペプチドに関連する上記の規定のクラスの配列は、幾つかの親骨格(parent scaffold)のランダムなポリペプチドバリアントの分析に基づき、ファージディスプレイ選択実験 (例1 および 2)においてIgG Fcとの相互作用に関するコンビナトリアル プロテイン ライブラリ(combinatorial protein library)から選択される。同定されたIgG Fc-結合 モチーフまたは「BM」は、親骨格の標的結合領域に対応する。この領域は、三ラセン束タンパク質ドメイン(three-helical bundle protein domain)内で二つのアルファラセンを構成する。親骨格において、二つのBM ラセンの多様なアミノ酸残基には、Fcとの相互作用のための結合表面に関与するアミノ酸残基が含まれる。本発明において、表面残基のランダムなバリエーションおよび引き続くバリアントの選択によって、オリジナルのFc 相互作用能力が修飾される。
【0006】
当業者が理解するように、任意のポリペプチドの機能(例えば、本発明のポリペプチドのIgG Fc-結合能)は、ポリペプチドの三次構造に依存的である。従って、機能に影響することなくポリペプチドのアミノ酸の配列に若干の変化を施すことが可能である。従って、本発明は、i)のBMの修飾されたバリアントを包含し、生じた配列がi)で規定されるクラスに属している配列と少なくとも 85 % 同一であるものである。例えば、アミノ酸残基の特定の機能群に属しているアミノ酸残基(例えば、疎水性, 親水性, 極性など)は、同じ官能基から別のアミノ酸残基に交換できる。
【0007】
本発明のポリペプチドの一態様において、X4 は、Hである。
【0008】
本発明のポリペプチドの一態様において、X18 は、Gである。
【0009】
本発明のポリペプチドの一態様において、X20 は、Kである。
【0010】
本発明のポリペプチドの一態様において、X21 は、Hである。
【0011】
本発明のポリペプチドの一態様において、X25 は、Rである。
【0012】
本発明のポリペプチドの一態様において、X26 は、Aである。
【0013】
本発明のポリペプチドの一態様において、X29 は、Gである。
【0014】
記載の実験セクションで詳細に記載されるとおり、IgG Fc-結合 バリアントの選択によって、個々の IgG Fc-結合 モチーフ (BM) 配列の同定が導かれた。これらの配列は、本発明のこの側面のIgG Fc-結合ポリペプチドの規定におけるBM 配列 i)の個々の態様を構成する。個々の IgG Fc-結合モチーフの配列は、図 1および配列番号1-3 (図 1)に提示される。本発明のこの側面の態様において、BM 配列 i)は、特に配列番号1であってもよい。
【0015】
本発明の態様において、BM は、三ラセン束タンパク質ドメインの部分を形成してもよい。例えば、BM は、前記三ラセン束タンパク質ドメイン内で相互連結ループ(interconnecting loop)で二つのアルファラセンの部分を実質的に構成または形成してもよい。
【0016】
本発明の特定の態様において、係る三ラセン束タンパク質ドメインは、細菌性のレセプタータンパク質のドメインから選択される。係るドメインの限定されることのない例は、黄色ブドウ球菌のプロテインAの五つの異なる三-ラセンドメイン(three-helical domains), 及びその誘導体である。従って、本発明のIgG Fc-結合 ポリペプチドは、以下のものから選択されるアミノ酸配列を含んでもよい:
ADNNFNK-[BM]-DPSQSANLLSEAKKLNESQAPK (ブドウ球菌性のプロテインAのドメインA内のBM);
ADNKFNK-[BM]-DPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK (ブドウ球菌性のプロテインAのドメインB内のBM);
ADNKFNK-[BM]-DPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK (ブドウ球菌性のプロテインAのドメインC内のBM);
ADAQQNNFNK-[BM]-DPSQSTNVLGEAKKLNESQAPK (ブドウ球菌性のプロテインAのドメインD内のBM);
AQHDE-[BM]-DPSQSANVLGEAQKLNDSQAPK (ブドウ球菌性のプロテインAのドメインE内のBM);および
VDNKFNK-[BM]-DPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK (ブドウ球菌性のプロテインAのドメインBのプロテインZ誘導体内のBM);
式中で[BM]は、上記の規定のとおりIgG Fc-結合モチーフである。
【0017】
本発明の代替的な態様において、式中のBMは、再び前記三ラセン束タンパク質ドメイン内で相互連結ループで二つのアルファラセンの部分を実質的に構成または形成してもよく、IgG Fc-結合 ポリペプチドは以下のアミノ酸配列を含む:
FWK-[BM]-DPSQSARLLAXaAKKLDDQ,
式中で[BM]は、上記の規定のとおりIgG Fc-結合モチーフであり、Xa は、R, G およびQから選択される。
【0018】
例えば、IgG Fc-結合ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含んでもよい:
VDAKFWK-[BM]-DPSQSARLLAXaAKKLDDQAPK
式中で[BM]は、上記の規定のとおりIgG Fc-結合モチーフであり、Xa は、R, G およびQから選択される。
【0019】
これらの態様の幾つかの例において、Xa は、Rである。
IgG Fc-結合ポリペプチドは、例えば、配列番号4-6、例えば、配列番号4(図 1)から選択されるアミノ酸配列を含んでもよい。
別の代替的な側面によると、本発明はIgG Fc-結合ポリペプチドを提供し、該IgG Fc-結合ポリペプチドのアミノ酸は次のiii)およびiv)から選択される一の規定を満たす配列を含む: iii) 配列番号7-9から選択されるもの, およびiv) 配列番号7-9 (図 1)から選択される配列と85 %以上の同一性を有しているアミノ酸配列。本発明のこの側面の態様において、IgG Fc-結合ポリペプチドは、特に配列番号7, 又はその配列と85 %以上の同一性を有している配列を含んでもよい。
【0020】
本発明で異なるポリペプチドのアミノ酸配列の間の同一性の程度を参照する場合、本発明で開示された配列と85 %同一性の下限が与えられる。幾つかの態様において、本発明のポリペプチドは、本発明で開示された配列と少なくとも 86 %, 少なくとも 87 %, 少なくとも 88 %, 少なくとも 89 %, 少なくとも 90 %, 少なくとも 91 %, 少なくとも 92 %, 少なくとも 93 %, 少なくとも94 %, 少なくとも95 %, 少なくとも96 %, 少なくとも97 %, 少なくとも98 %または少なくとも99 % 同一の配列を有してもよい。比較を、比較される配列の最短に対応するウィンドウ(window)に対し、または比較される配列の少なくとも一つにおけるIgG Fc-結合モチーフに対応するウィンドウに対し実施してもよい。
【0021】
本発明の任意の側面によるIgG Fc-結合ポリペプチドは、相互作用のKD 値が多くとも 1 x 10-6 M、例えば、多くとも 1 x 10-7 M, 例えば、多くとも 5 x 10-8 MであるようにIgG Fcと結合しえる。
【0022】
前記ポリペプチドは、IgG Fcと良好に結合することが有利である。特に、前記ポリペプチドは、ヒト IgG 分子のFc部分と結合する能力があってもよい。発明の幾つかの態様において、前記ポリペプチドは、ヒト IgGのクラス 1, 2 および 4と結合する能力があるが、しかし、クラス 3と結合しない。幾つかの態様において、前記ポリペプチドは、IgG FcのCH2 および CH3ドメインの間のインターフェースと結合する能力がある。幾つかの態様において、前記ポリペプチドは、Fc アミノ酸残基 T250-S254, T256, L309-L312, L314, D315, E430 および L432-Y436〔Deisenhofer, Biochemistry (1981) 20(9):2361-70によるナンバリング〕により構成されるFc 分子表面の領域と結合する能力がある。
【0023】
当業者は、本発明によるポリペプチドを本発明の範囲を逸脱することなく特定の適用に合わせるため、様々な修飾 および/または 付加を本発明によるポリペプチドに施すことができることを認識する。これらの修飾 および 付加は、以下に詳細に記載され、同じポリペプチド鎖における付加的なアミノ酸, または本発明のポリペプチドと化学的に抱合される又は別な方法で結合される標識および/または治療上の因子を含んでもよい。
【0024】
さらにまた、本発明は、IgG Fc-結合を保持する本発明のIgG Fc-結合 ポリペプチドの断片を包含する。結合特異性が保持された野生型の黄色ブドウ球菌のプロテインAドメインの断片を作出する可能性は、Braisted AC等〔Braisted AC et al in Proc Natl Acad Sci USA 93:5688-5692 (1996)〕により示された。その論文に詳細された実験において、構造に基づく設計およびファージディスプレイ法を用いて、59残基の三ラセン束の結合ドメインが減らされて、33残基の二ラセンの誘導体を生じる。これは反復的に改善される安定性 および 結合親和性を生じる異なる領域からのランダムな変異の段階的な選択によって達成された。本発明のポリペプチドと同じ論法にしたがって、当業者は、「親(parent)」のIgG Fc-結合 ポリペプチドのものと同じ結合特性を有する「最小化(minimized)」したIgG Fc-結合 ポリペプチドを得ることができる。従って、本発明のポリペプチドの断片を構成しているポリペプチドは、本発明の範囲内である。
【0025】
本願の明細書等に使用される「IgG Fc-結合(IgG Fc-binding)」および「IgG Fcの結合親和性(binding affinity for IgG Fc)」の用語は、Biacore 機器 (GE Healthcare)などの表面プラズモン共鳴技術の使用などにより試験しえるポリペプチドの特性を参照する。例えば、以下の例に記載のとおり、IgG Fc-結合親和性は、IgG FcまたはIgG Fcの断片が機器のセンサーチップに固定化され、試験されるポリペプチドを含んでいるサンプルが前記チップを通過する実験において試験しえる。代わりに、試験されるポリペプチドが、機器のセンサーチップに固定化され、IgG Fc又はその断片を含んでいるサンプルが前記チップを通される。当業者は、このような実験によりえられる結果を解釈して、IgG Fcに対するポリペプチドの結合親和性の少なくとも定性的測定を確立するだろう。定量的な測定が所望される場合(例えば、相互作用のKD 値の決定)、表面プラズモン共鳴法も使用しえる。結合値は、例えば、Biacore 2000 機器 (GE Healthcare)で規定しえる。IgG Fcは、測定のセンサー チップに固定化され、親和性が決定されるポリペプチドのサンプルは段階希釈で調製され、ランダムな順序で注射される。次にKD 値を、例えば、機器の製造者により提供されるBIAevaluation 4.1 ソフトウェアの1:1 Langmuir結合モデルを用いた結果から計算してもよい。
【0026】
アミノ酸置換が導入される場合、これらは前記ポリペプチドの基礎構造に影響すべきではない。例えば、前記ポリペプチドのCαバックボーンの全体のフォールディングは、プロテインAのドメインのものと実質的に同じであってもよい(即ち、同じ順序で同じ 要素の二次構造を有している)。従って、この基礎構造を有しているポリペプチドは、野生型のプロテインA ドメインと類似するCD スペクトルを有するだろう。当業者は、関連性があるだろう他のパラメータを認識する。基礎構造が保存される必要性によって、どのポジションのアミノ酸配列が置換されえるかの制限がなされる。例えば、ポリペプチドの表面に配置されたアミノ酸残基が置換され、他方でポリペプチド「三ラセン束」のコア内に埋設されたアミノ酸残基が分子の構造上の特性を保存するため一定に維持されるべきことが好適である。同じ論法は、本発明のポリペプチドの断片に適用される。
【0027】
また、上記のIgG Fc-結合ポリペプチドが、付加的なアミノ酸残基が各々の末端で添加されたIgG Fc-結合ドメインとして存在するポリペプチドを本発明は網羅する。これらの付加的なアミノ酸残基は、ポリペプチドによるIgG Fcの結合に役割を果たし得るが、例えば、ポリペプチドの一または二以上の産生, 精製, インビボおよび/またはインビトロの安定化, カップリング(coupling)または検出などの関連する他の目的に等しく良好に貢献しえる。係る付加的なアミノ酸残基は、化学的なカップリングの目的で添加される一または二以上のアミノ酸残基を含んでもよい。この一例は、結合モチーフに関してN-末端またはC-末端(例えば、NまたはC末端又はその近傍)でのシステイン残基の付加である。また、このような付加的なアミノ酸残基は、タグに特異的な抗体と相互作用するためのHis6 タグまたは「myc」(c-myc) タグまたは「FLAG」タグなどのポリペプチドの精製または検出のための「タグ(tag)」を提供しえる。
【0028】
また、上記のIgG Fc-結合 ポリペプチドが、付加的なペプチドまたはタンパク質または他の官能基が化学的な抱合(既知の有機化学の方法を用いて)の手段でN-またはC-末端に又は任意の他の残基に(特異的に又は非特異的に)共役されるIgG Fc-結合ドメインとして存在するIgG Fc-結合ポリペプチドを本発明は網羅する。
【0029】
また、上記で議論した「付加的なアミノ酸残基(additional amino acid residues)」は、第一にIgG Fc-結合ドメインと同じ結合作用, または別の結合作用, または酵素作用, 毒性作用(例えば、免疫毒素), または蛍光シグナル伝達作用, 又はその組み合わせなどの任意の所望の作用を有する一または二以上のポリペプチドドメインを提供しえる。
【0030】
本発明のポリペプチドは、単量体または多量体の形態であってもよい。前記ポリペプチドの多量体の形態は、結合特性の増強を有しえる点で有利だろう。好適な多量体の形態は、二量体の, 三量体の 及び 四量体の形態を含む。前記ポリペプチドの多量体の形態は、適切な数の本発明のポリペプチドを含んでもよい。これらのポリペプチドは、基本的に多量体内でドメインを形成する。これらのドメインは、全て同じアミノ酸配列を有してもよいが、代わりに異なるアミノ酸配列を有してもよい。前記ポリペプチドは、既知の有機化学の方法を用いた共有結合性のカップリングで連結されえる、またはポリペプチドの組換え型の発現のための系において一または二以上の融合ポリペプチドとして発現されえる、または直接的もしくはリンカー(例えば、アミノ酸リンカー)を介しての何れかで結合されえる。
【0031】
その上、本発明のIgG Fc-結合ポリペプチドが第一のドメインまたは成分(moiety), および 第二または更なる成分(moieties)を提供する融合ポリペプチドは、本発明の範囲内でIgG Fcを結合すること以外の他の作用も意図される。このような融合ポリペプチドの第二または更なる成分は、IgG Fc以外の別の標的分子に親和性を有する結合ドメインを含んでもよい。このような結合ドメインは、別の類似するポリペプチド結合剤であってもよい。例えば、ポリペプチド結合剤は、プロテインAのドメイン Bから由来するプロテインZのバリアントであってもよい。これにより、幾つかのタイプの適用(例えば、医学, 獣医学, 診断, 分離, およびイメージング)に使用しえるマルチ特異的試薬(multi-specific reagents)の作出が可能となる。このようなマルチ特異的な融合ポリペプチドの調製を、分子生物学の技術分野において周知の方法を用いて実施してもよい。
【0032】
本発明の他の態様において、第二または更なる成分は、標的に結合親和性を有している無関係の天然または組換えタンパク質(又はその断片であって、天然または組換えタンパク質の結合または他の能力を保持する断片)を含んでもよい。例えば、本発明にしたがったIgG Fc-結合ポリペプチドは、連鎖球菌株G148 (「ABD」)のプロテインGのアルブミン結合ドメイン GA3, または血清タンパク質に親和性を有する任意の他のポリペプチドなどのアルブミン結合ドメインと結合されえる。
【0033】
本発明のIgG Fc-結合ポリペプチドは、他の融合ポリペプチドの形態で提供されてもよい。例えば、IgG Fc-結合ポリペプチド, またはその断片は、標的結合に加えて又は標的結合の代わりに他の作用を示す第二の又は更なる成分もしくは複数の成分に共有結合性に連結されてもよい。一例は、一または二以上のIgG Fc-結合ポリペプチドおよびレポーター又はエフェクター成分(effector moiety)として供される酵素的に活性なポリペプチドの間の融合であろう。IgG Fc-結合ポリペプチドと共役されて融合タンパク質を形成しえるレポーター 酵素の例は、当業者に周知であり、β-ガラクトシダーゼ, アルカリホスファターゼ, 西洋わさびペルオキシダーゼ, カルボキシペプチダーゼなどの酵素を含む。本発明の融合ポリペプチドの第二の又は更なる成分もしくは複数の成分の他の選択肢は、緑色蛍光タンパク質, 赤色蛍光タンパク質, ルシフェラーゼ及びそのバリアントなどの蛍光ポリペプチドを含む。
【0034】
本発明のポリペプチドは、試薬のIgG Fcに対する親和性に依存する任意の方法に有用でありえる。それ故、前記ポリペプチドは、かかる方法において検出試薬, 捕獲試薬 または分離試薬として使用しえる。特に、前記ポリペプチドは、不均一な混合物から抗体またはFc融合タンパク質を分離する, 精製する及び/又は産生することがゴールであるアフィニティークロマトグラフィーにおいて親和性試薬として前記ポリペプチドを有用なものとする幾つかの特性を呈する。前記ポリペプチドはマトリックスと結合でき、例えば、工業生産においてIgG Fc-を含有する治療化合物の精製に使用される。高い標的親和性、酸性および塩基性の両方の環境における高い安定性、IgG Fabフラグメントと比べIgG Fcフラグメントへの高い選択性などの特性が原因で、本発明のIgG Fc-結合ポリペプチドは、非常に魅力的な親和性試薬を提供すると考えられる。
【0035】
以上より、本発明の別の側面は、IgG Fcを含んでいる分子をサンプルから単離する方法であり、該方法は以下の工程を含む:
(i) IgG Fcを含んでいる分子を含有しているサンプルを提供すること;
(ii) 前記サンプルを本願に記載されるIgG Fc-結合 ポリペプチドと接触させて、前記IgG Fcを含んでいる分子を前記ポリペプチドに結合させること;
(iii) 結合したIgG Fcを含んでいる分子を前記サンプルから単離すること。
【0036】
本発明の単離方法において、前記サンプルは、原核生物または真核生物(例えば、哺乳類または植物)のIgG Fcを含んでいる分子を発現している細胞の培養から又は小胞系(vesicular system)などの代替の発現系における係る分子の発現から由来しえる。代わりに、前記サンプルは、宿主(例えば、植物または哺乳類の宿主)におけるトランスジェニック発現から由来しえる。
【0037】
幾つかの態様において、IgG Fcを含んでいる分子は、IgG 分子又はその断片である。例えば、それらは、ヒトのIgG 分子又はその断片であってもよい。幾つかの態様において、IgG Fcを含んでいる分子は、モノクローナル IgG 抗体である。特に、係るモノクローナル IgG 抗体は、ヒトのモノクローナル IgG 抗体であってもよい。例えば、それらは、クラス 1, 2 および/または 4からのヒト モノクローナル IgG 抗体である。
【0038】
他の態様において、IgG Fcを含んでいる分子は、Fc融合タンパク質である。このような融合タンパク質におけるFc ドメインは、効果的に融合タンパク質の単離の「親和性ハンドル(affinity handle)」として使用しえる。非常に様々な Fc 融合タンパク質が作出された。例えば、治療上の適用を有しているFc 融合タンパク質は、可溶性の TNF-α レセプター および Fcの間の融合体であるエタネルセプト(etanercept), およびVEGF レセプター ドメイン および Fcの間の融合体であるVEGF Trap〔Holash et al, Proc Natl Acad Sci USA (2002) 99(17):11393-11398〕を含む。これら二つは多大な関心を寄せる例であるが、それらの記載は非限定的なものであり、原則的に親和性リガンドとして本願に記載される本発明のIgG Fc-結合ポリペプチドを用いて特性を修飾し、親和性精製を促進するためにFc ドメインを任意の所望のタンパク質に融合することが可能である。
【0039】
本発明のなお別の側面は、IgG Fcを含んでいる分子を生産する方法に関し、該方法は以下の工程を含む:
(i) IgG Fcを含んでいる所望の分子を発現させること;
(ii) IgG Fcを含んでいる分子のサンプルを前記の発現物から得ること;
(iii) 前記サンプルを本願に記載されるIgG Fc-結合 ポリペプチドと接触させて、IgG Fcを含んでいる分子を前記ポリペプチドに結合させること;
(iv) 結合したIgG Fcを含んでいる分子を前記サンプルから単離すること、および
(v) IgG Fcを含んでいる結合分子をIgG Fc-結合ポリペプチドから溶出して回収すること。
【0040】
発現工程 (i)は、任意の既知の発現系、例えば、原核生物または真核生物(例えば、哺乳類または植物の細胞)における組換え型の発現または小胞系を用いて実施してもよい。また、前記サンプルは、宿主(例えば、植物または哺乳類の宿主)におけるトランスジェニック発現から由来しえる。
【0041】
幾つかの態様において、IgG Fcを含んでいる分子は、IgG 分子又はその断片である。例えば、それらは、ヒトのIgG 分子又はその断片であってもよい。幾つかの態様において、IgG Fcを含んでいる分子は、モノクローナル IgG 抗体である。特に、係るモノクローナル IgG 抗体は、ヒトのモノクローナル IgG 抗体であってもよい。例えば、それらは、クラス 1, 2 および/または 4からのヒト モノクローナル IgG 抗体である。
【0042】
他の態様において、IgG Fcを含んでいる分子は、Fc融合タンパク質である。
本発明の単離及び産生の方法の幾つかの態様において、IgG Fc-結合ポリペプチドは、クロマトグラフィー媒体に固定化される。一般的に、インビトロで本発明のポリペプチドを用いる方法は、例えば、フィルター または膜, マイクロタイタープレート, タンパク質アレイ, バイオセンサー表面, ビーズ, フローサイトメトリー, 組織切片などの異なる形式で実施してもよい。特定の側面において、本発明は、本願に記載されるIgG Fc-結合ポリペプチドが固定化されたアフィニティークロマトグラフィー媒体を提供する。このような媒体は、マトリックスとして任意の既知のクロマトグラフィー材料に基づいたものであってもよく、ポリペプチドとマトリックスとのカップリングは、幾つかの既知の処置の何れか一つを用いて実施してもよい。
【0043】
本発明のポリペプチドの配列におけるアミノ酸残基のナンバリングおよび「ポジション(position)」の用語の使用は、相対的である。特定の開示されたポリペプチド(即ち、上記のもの)と同数のアミノ酸残基を有する本発明のポリペプチドにおいて、ポリペプチドのアミノ酸のポジションは正確に開示されたポリペプチドにおけるものと対応する。例えば、開示されたポリペプチドと比較してN 末端伸展(N terminal extension)が存在する状況において、非伸展ペプチド(non-extended peptide)のものと対応する伸展ペプチドにおけるアミノ酸残基は同じポジション番号を有する。例えば、伸展ポリペプチドにおいて六つのアミノ酸残基伸展が存在する場合、修飾されたポリペプチドのアミノ酸番号7(N末端からの計数)は、開示されたポリペプチドのポジション番号1におけるアミノ酸と対応する。
【0044】
上記の本発明のIgG Fc-結合ポリペプチドを導入している融合ポリペプチドおよびタンパク質の記載に関して、一、二、および更なる成分の指定(designation)が、一方でIgG Fc-結合成分または複数の成分および他方で他の作用を呈している成分の間を区別するための明確性の目的のためなされることに注意すべきである。これらの指定は、融合タンパク質またはポリペプチドのポリペプチド鎖における異なるドメインの実際の順序を参照することを意図していない。従って、例えば、第一の成分は、融合タンパク質またはポリペプチドのN末端に、中央に、またはC末端に出現してもよい。
本発明は、さらに以下の限定されない例によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】図 1は、本発明のIgG Fc-結合ポリペプチドに含まれるIgG Fc-結合モチーフの例(配列番号1-3), 本発明のIgG Fc-結合ポリペプチドの例(配列番号4-9), 黄色ブドウ球菌のプロテインAのドメイン BのプロテインZ 誘導体(配列番号10), および以前にコンビナトリアル プロテイン ライブラリからファージディスプレイ選択でえられたZのバリアント Z01730(配列番号11)のアミノ酸配列のリストである。
図2A】図 2は、A: Z02829, B: Z02726 および C: Z02742に対する90 ゜Cでの加温が関与する可変性の温度測定(VTM)の前後で195-250 nmでとられるCD スペクトルのオーバーレイを示す。Z02829は、タンパク質の最初で二つの置換(全体の発現された分子の配列に関連するA8N および W11N、即ち、配列番号7と関連するA3N および W6N)を含んでいるZ02674の誘導体である。従って、Z02829のIgG Fc-結合モチーフは、Z02674のものと同じである。
図2B】図 2は、A: Z02829, B: Z02726 および C: Z02742に対する90 ゜Cでの加温が関与する可変性の温度測定(VTM)の前後で195-250 nmでとられるCD スペクトルのオーバーレイを示す。Z02829は、タンパク質(全体の発現された分子の配列に関連するA8N および W11N、即ち、配列番号7と関連するA3N および W6N)の最初で二つの置換を含んでいるZ02674の誘導体である。従って、Z02829のIgG Fc-結合モチーフは、Z02674のものと同じである。
図2C】図 2は、A: Z02829, B: Z02726 および C: Z02742に対する90 ゜Cでの加温が関与する可変性の温度測定(VTM)の前後で195-250 nmでとられるCD スペクトルのオーバーレイを示す。Z02829は、タンパク質(全体の発現された分子の配列に関連するA8N および W11N、即ち、配列番号7と関連するA3N および W6N)の最初で二つの置換を含んでいるZ02674の誘導体である。従って、Z02829のIgG Fc-結合モチーフは、Z02674のものと同じである。
図3A図3は、本発明のIgG Fc-結合分子のBiacore分析からえられたセンサーグラムを示す。25 nM のZ02674 (実線), Z02726 (破線) またはZ02742 (点線)を、固定化された パリビズマブ(A; 1280 反応単位, RU); トラスツズマブ(B; 1200 RU) および エタネルセプト(C; 1500 RU)を含んでいるCM5 センサーチップ表面に注入後にえられたセンサーグラム。ブランクのセンサーチップ表面からのシグナルを差し引いた。
図3B図3は、本発明のIgG Fc-結合分子のBiacore分析からえられたセンサーグラムを示す。25 nM のZ02674 (実線), Z02726 (破線) またはZ02742 (点線)を、固定化された パリビズマブ(A; 1280 反応単位, RU); トラスツズマブ(B; 1200 RU) および エタネルセプト(C; 1500 RU)を含んでいるCM5 センサーチップ表面に注入後にえられたセンサーグラム。ブランクのセンサーチップ表面からのシグナルを差し引いた。
図3C図3は、本発明のIgG Fc-結合分子のBiacore分析からえられたセンサーグラムを示す。25 nM のZ02674 (実線), Z02726 (破線) またはZ02742 (点線)を、固定化された パリビズマブ(A; 1280 反応単位, RU); トラスツズマブ(B; 1200 RU) および エタネルセプト(C; 1500 RU)を含んでいるCM5 センサーチップ表面に注入後にえられたセンサーグラム。ブランクのセンサーチップ表面からのシグナルを差し引いた。
図4A図4は、本発明のIgG Fc-結合分子のkinetic Biacore分析からえられたセンサーグラムを示す。オーバーレイのプロットは、固定化されたパリビズマブの25 nMまたは100 nMのZ02674 (A); Z02726 (B) および Z02742 (C) (点線)に注入後にえられたセンサーグラムを示す。応答曲線を、1:1の結合モデル(実線)に適合させた。
図4B図4は、本発明のIgG Fc-結合分子のkinetic Biacore分析からえられたセンサーグラムを示す。オーバーレイのプロットは、固定化されたパリビズマブの25 nMまたは100 nMのZ02674 (A); Z02726 (B) および Z02742 (C) (点線)に注入後にえられたセンサーグラムを示す。応答曲線を、1:1の結合モデル(実線)に適合させた。
図4C図4は、本発明のIgG Fc-結合分子のkinetic Biacore分析からえられたセンサーグラムを示す。オーバーレイのプロットは、固定化されたパリビズマブの25 nMまたは100 nMのZ02674 (A); Z02726 (B) および Z02742 (C) (点線)に注入後にえられたセンサーグラムを示す。応答曲線を、1:1の結合モデル(実線)に適合させた。
図5A図5は、本発明の固定化されたIgG Fc-結合ポリペプチドを含んでいるカラムのクロマトグラムを示す。オーバーレイのクロマトグラムは、表示のとおりZ00000, Z02742, Z02674またはZ02726を含んでいるカラムから酸性の pH 勾配で溶出された場合のエタネルセプト(A), トラスツズマブ(B) および パリビズマブ(C)の溶出プロフィールを示す。
図5B図5は、本発明の固定化されたIgG Fc-結合ポリペプチドを含んでいるカラムのクロマトグラムを示す。オーバーレイのクロマトグラムは、表示のとおりZ00000, Z02742, Z02674またはZ02726を含んでいるカラムから酸性の pH 勾配で溶出された場合のエタネルセプト(A), トラスツズマブ(B) および パリビズマブ(C)の溶出プロフィールを示す。
図5C図5は、本発明の固定化されたIgG Fc-結合ポリペプチドを含んでいるカラムのクロマトグラムを示す。オーバーレイのクロマトグラムは、表示のとおりZ00000, Z02742, Z02674またはZ02726を含んでいるカラムから酸性の pH 勾配で溶出された場合のエタネルセプト(A), トラスツズマブ(B) および パリビズマブ(C)の溶出プロフィールを示す。
図6図6は、表示のとおり固定化された Z00000, Z02742, Z02674またはZ02726を含んでいるカラムへの動的な結合容量(IgGのモル / ポリペプチドのモル)のヒストグラムを示す。
【0046】
例 1
IgG Fc-結合ポリペプチドの選択およびキャラクタリゼーション
この例において、ライブラリ ZLib2002からのIgG 結合 Z バリアントの初期の選択に続いて作出されたZLib2007-IgGと表記されるZ バリアント ライブラリおよび結果の評価を、本発明のIgG Fc-結合ポリペプチドの選択のため使用した。ライブラリの構築および選択の処理の詳細な事項は、一般にGronwall等(Gronwall et al, J Biotechnol 128:162-183, 2007)記載される。ZLib2007-IgGからの四つの異なるファージディスプレイ選択が、様々な IgG および IgG-様分子に関してなされた。クローンの配列を決定し、配列をクラスタリングで分析し、各クローンのアミノ酸配列を全ての選択されたクローンおよびライブラリデザインにおける分布のなかの可変的なアミノ酸の分布と比較した。IgG Fc-結合分子を四回の選択ラウンド(selection rounds)の後、さらなるキャラクタリゼーションのため選択し、五ラウンドは選択の間により厳密な洗浄条件、高いpH、高い温度での溶出で実施した。選択ラウンド 5から由来する付加的な IgG Fc-結合分子を、さらなるキャラクタリゼーションのため選択した。
【0047】
材料および方法
選択
五つの選択ラウンドを、四つの選択の構成(selection setups)の各自で行い、新しいファージのストックを各ラウンドの間に調製した。標的タンパク質を、幾つかの選択の構成における選択ラウンドの間で交替(alternated)した。使用した標的は、ミエローマ血清からのヒトの免疫グロブリン G2κ(IgG2κ)(Meridian Life Science, cat. no. A50184H), ミエローマ血清からのヒトの免疫グロブリン G3λ(IgG3λ)(Meridian Life Science, cat. no. A50186H), ミエローマ血清からのヒトの免疫グロブリン G4λ (IgG4λ)(Meridian Life Science, cat. no. A50947H), エタネルセプト(商品名 Enbrel(登録商標); Apoteket cat. no. 566661, producer Wyeth, lot 21032), ビオチン化したヒトの免疫グロブリン G, Fcフラグメント (IgG-Fc) (Jackson Immunoresearch, cat. no. 009-060-008, lot 66321), および ビオチン化したヒトの免疫グロブリン G1κ (IgG1κ) (Ancell, cat. no. 295-030, lot 141605)であった。各選択の構成の各ラウンドの標的タンパク質の概要は、表 1に示される。エタネルセプトに対する選択の免疫チューブ(immunotube)の表面で固相で固定化されたIgG バリアントに対する又は標的に対する選択のため液相中のビオチン化した標的タンパク質で選択を行った。
【0048】
【表1】
【0049】
選択(37 ゜C) および 洗浄(37-45 ゜C)のための温かい条件を、ラウンド 5の全ての構成で使用した。
【0050】
ファージライブラリのストックを、二回PEG/NaCl沈殿し、1 mlの選択緩衝剤〔PBS: 2.68 mM KCl, 1.47 mM KH2PO4, 137 mM NaCl, 8.1 mM Na2HPO4, pH 7.4; に0.1 % Tween20 (Acros Organics cat. no. 2333 62500) および 0.1 % ゼラチン (Prolabo, cat. no. 24 360.233)を添加したもの〕に溶解した。
【0051】
液相選択: ファージを、ストレプトアビジン被覆ビーズ〔Dynabeads(登録商標) M-280; Dynal cat. no. 112.06〕で 1 時間、室温でプレインキュベーションした。Fabに対するプレ-クリアリング(Pre-clearing)を、Fabで被覆したMaxisorp 免疫チューブ(Nunc, cat. no. 444202)でおこなった。選択手順で使用される全てのチュウブおよびビーズを、選択緩衝剤でプレ-ブロック(pre-blocked)した。ファージを、ビオチン化した標的と撹拌下で3 時間でインキュベーションした。それから、ファージを、プレ-ブロックしたストレプトアビジンビーズに移し、15 min撹拌してインキュベーションし、ビーズを表 1の選択緩衝剤で洗浄した。
【0052】
固相選択: 標的タンパク質を免疫チューブに固定化した。ファージを、Fabで被覆した免疫チューブでプレ-インキュベーションした。全てのチューブ(標的で被覆したチューブを含む)を、選択前に選択緩衝剤でブロックした。ファージを固定化された標的分子と撹拌下でインキュベーションした。チューブを、その後に選択緩衝剤で洗浄した。
【0053】
溶出および感染: 固形または液相の何れかの選択からのファージを、溶出緩衝剤(表 1の概説のとおり、0.05 M グリシン-HCl、pH 2.2, または0.05 M NaAc 緩衝剤、pH 3.5, 3.8 または4.5)で溶出し、直ぐに中和緩衝剤(1 M Tris-HCl, pH 8.0)で中和した。溶出したファージ(容量の95 %)を使用して、選択の各ラウンドの後に対数期の大腸菌RR1ΔM15細胞(Ruther, Nucleic Acids Res 10:5765-5772, 1982)を感染させた(溶出したファージと比較して、約 500 倍過剰の細胞)。37 ゜Cで25 min インキュベーション後、細胞を遠心分離した。ペレットを、小容量のTSB-YE 〔30 g/l トリップティックソイブロス(tryptic soy broth), 5 g/l 酵母抽出物〕に溶解し、TYEプレート 〔15 g/l 寒天, 10 g/l トリプトン 水 (Merck), 5 g/l 酵母抽出物, 3 g/l NaCl, 2 % グルコース および 0.1 g/l アンピシリン〕に播種し、その後一晩、37 ゜Cでインキュベーションした。
【0054】
ファージストックの調製: TYE プレートにおいて一晩成長させたファージを感染させた細胞を、TSB培地(30 g/l トリップティックソイブロス)に再懸濁した。各溶出したファージの約 100の感染させた細胞に対応する量の懸濁した細胞を、2 % グルコース および 100 mg/ml アンピシリンを添加したTSB-YE培地に播種した。これらの細胞を対数期で37 ゜Cで成長させ、成長前の細胞と同量に近い容量を20 倍過剰のM13K07ヘルパーファージ(New England Biolabs, cat. no. NO315S)で感染させた。細胞およびヘルパーファージを、37 ゜Cで30 minインキュベーションし、遠心分離でペレットにし、100 mM IPTG (イソプロピル-β-D-1-ガラクトピラノシド), 25 μg/ml カナマイシン および100 μg/ml アンピシリンを添加したTSB-YE 培地に再懸濁し、一晩、30 ゜Cで成長させた。再懸濁した細胞のアリコート(aliquot)を、グリセロール貯蔵物として-20 ゜Cで貯蔵した。
【0055】
誘導した培養物を、遠心分離し、上清のファージをPEG/NaCl 緩衝剤(20 % ポリエチレングリコール, 2.5 M NaCl)で二回沈殿した。ファージを、選択緩衝剤に再懸濁した。
【0056】
ファージ貯蔵物 および 溶出したファージを、各ラウンドの選択後にタイトレーションした。
【0057】
結合のELISA分析
四または五ラウンドの選択後にえられたクローンのタンパク質を、96ウェルプレートで生産し、ELISAのセットアップを用いて標的の結合活性に関して選抜した。
【0058】
単一コロニーを深いウェルのプレート (Nunc, cat. no. 278752)で100 μg/ml アンピシリン および 1 mM IPTGを添加した1 ml TSB-YE培地に播種し、37 ゜Cで8-24 h成長させてタンパク質を生産した。少量の各培養物を、96ウェルプレート (Costar, cat. no. 9018)に移し、-20 ゜Cでグリセロールストックで貯蔵した。残っている細胞を、遠心分離でペレットにし、400 μlのPBS-T0.05 (PBS + 0.05 % Tween20)に再懸濁し、-80 ゜Cで凍結して細胞のペリプラスム分画を放出させた。凍結したサンプルを、ウォーターバスで解凍し、細胞を遠心分離でペレットにした。連鎖球菌(Streptococcus)の株G148からのアルブミン結合ドメイン ABDに融合した可溶性の候補 IgG Fc-結合分子を含んでいる上清を、以下の通りELISAで結合に関してアッセイした。
【0059】
マイクロタイターウェルを、コーティング緩衝剤(0.1 M 炭酸ナトリウム, pH 9.5)において100 μlのHASを6 μg/ml(Sigma, cat. no. J-1010)でコートした。ウェルを、2 %ドライミルクを補足した200 μlのPBS-T0.05 で1 h、室温でブロックした。ブロッキングの除去後、100 mlの候補 IgG Fc-結合分子の溶液を各ウェルに添加し、プレートを室温で1.5 hインキュベーションした。100 μlのPBS-T0.05中のビオチン化したIgG1κ(ラウンド 4から由来するクローンに関して0.05 および0.5 μg/mlの濃度およびラウンド 5からのクローンに関して0.01 μg/mlの濃度)またはIgG Fc (0.5 μg/mlの濃度; Jackson Immunoresearch, cat. no. 009-008, ロット 66321)を、ウェルに添加し、1.5 hインキュベーションした。結合した標的を、SA-HRP (Dako, cat. no. P0397)で検出し、1:5000にPBS-T0.05で希釈し、室温で1 hインキュベーションした。プレートを、PBS-T0.05で四回洗浄し、ビオチン化した標的, SA-HRPおよび発色溶液(developing solution)でインキュベーションした。発色溶液は、等容量のImmunoPure TMB キット基質TMB および H2O2 (Pierce, cat. no. 34021)を混合することにより調製し、100 μlを各ウェルに添加した。暗所中での30 minのインキュベーション後、100 μlの停止液 (2 M H2SO4)を添加した。プレートを、ELISA 分光光度計で450 nmで読取った。ブロッキングから読取までの全ての工程を、Tecan Genesis Freedom 200 ロボットで実施した。
【0060】
三つのコントロールを使用した:
ウェル F12: 上記のとおり処理されたポジティブコントロール、しかし、選択ラウンド 4からのクローンのプレートに関して、Z00000 (配列番号10) および Z01730 (配列番号11)の混合物をペリプラスム画分として使用した。選択ラウンド 5からのクローンのプレートに関して、Z00000のペリプラスム画分を使用した。
ウェル G12: ポジティブコントロール。ウェル F12に関して記載のとおり、しかし、ラウンド 4の後に1 μg/mlおよびラウンド 5の後に0.5 μg/mlの濃度のビオチン化したIgG1κで行った。
ウェル H12: ブランク。PBS-T0.05をペリプラスム画分の代わりに使用した。
【0061】
潜在的な結合物のシークエンシング
ELISAの結果に基づいて、クローンをシークエンシングに選択した。選択ラウンド 4から取得されたクローンに関して、ポジティブコントロール(ウェル F12)と類似する吸光値のクローンを優先した。選択ラウンド 5から取得されたクローンに関して、最高の吸光値のクローンを優先した。抜き取ったクローンの間で高い多様性があることが望ましい。それ故、異なる吸光度値の多くのクローンを両方の選抜から選択した。
【0062】
PCR 断片を、オリゴヌクレオチド AFFI-21 (5'-tgcttccggctcgtatgttgtgtg-3') および AFFI-22 (5'-cggaaccagagccaccaccgg-3')を用いて選択したコロニーから増幅した。増幅した断片のシークエンシングを、製造者の推奨にしたがってBigDye(登録商標) ターミネーター v3.1 サイクル シークエンシング キット (Applied Biosystems, cat. no. 4336919) および ビオチン化オリゴヌクレオチド AFFI-72 (5'-ビオチン-cggaaccagagccaccaccgg-3')を用いて実施した。シークエンシング反応物を、Magnatrix 8000 (Magnetic Biosolutions)を用いて磁気ストレプトアビジン被覆ビーズ(Magnetic Biosolutions, cat. no. 11103)に結合させることにより精製し、ABI PRISM(登録商標) 3100 Genetic Analyzer (Applied Biosystems)で分析した。シークエンシングの結果をインポートし、Nautilus ソフトウェア (Thermo Electronics Corporation)で分析した。
【0063】
結果
選択
四つの異なる選択の構成を適用し、五つの選択ラウンドを各選択の構成に関してなした。洗浄数の増加および異なるpH値での溶出を、選択の構成で使用した。
【0064】
ELISA
四および五ラウンドの選択後にえられたクローンを、96ウェルプレートで生産し、ELISAのセットアップを用いて標的の結合活性に関して選抜した。推定上のIgG Fc-結合分子は、凍結融解によりえられたペリプラスム画分に存在した。
第四の選択ラウンドから由来するクローンのELISA スクリーニングにおいて、IgG1κ および IgG Fcを標的としてIgG1κに関して0.05 μg/ml および 0.5 μg/mlおよびIgG Fcに関して0.5 μg/mlの濃度で使用した。ラウンド 4 のクローンのELISAの結果によって、吸光度値がIgG1 および IgG Fcの間でよく対応し、0.05 μg/ml IgG1の低濃度でさえも非常に高いことが示された。
第五の選択ラウンドから由来するクローンのELISA スクリーニングにおいて、IgG1κを標的として 0.01 μg/mlの濃度で使用した。バックグラウンドの結合物の数は、ラウンド 4からのクローンと比較して、ラウンド 5から由来するクローンの間で非常に高かった。反応は、pH 4.5で溶出したIgG_21 選択物からのクローンの間で最低であった。
【0065】
シークエンシング
ラウンド 4 および 5からのクローンの配列を決定し、結果を既に既知のプロテイン Z バリアントと比較した。本発明の目的のため、ラウンド 4から由来する一つのクローン(Z02674と表される, 配列番号7; 図 1を参照されたい)およびラウンド 5から由来する二つのクローン(Z02726 および Z02742と表される, それぞれ配列番号8 および 配列番号9; 図 1を参照されたい)を、さらなるキャラクタリゼーションのため選択した。
要約すると、ライブラリ ZLib2007-IgGからの選択は成功し、適切な候補がさらなるキャラクタリゼーションのため選択された。
【0066】
例 2
IgG Fc-結合ポリペプチドのさらなるキャラクタリゼーション
この例において、例 1に記載された選択からのIgG Fc-結合ポリペプチドのグループを、サブクローン化し、単量体の形態で発現し、これらの結合特性を研究した。
【0067】
材料および方法
培養および精製
IgG Fc-結合ポリペプチド Z02674, Z02726 および Z02742(同様に、Z02829と表記されるZ02674の修飾バージョン)を、発現がT7 プロモーターにより制御される発現ベクターに単量体としてサブクローン化した。IgG Fc-結合 ポリペプチドを、付加的なN末端アミノ酸配列GSSLQ および 付加的なC末端アミノ酸配列VDと共に発現させた。従って、発現させたZ02674, Z02726 および Z02742 分子は、配列 GSSLQ-[配列番号#]-VDを有し、#は7, 8 または9に対応する(図 1を参照されたい)。
【0068】
大腸菌のBL21(DE3) 細胞(Novagen)を、プラスミドで形質転換し、50 μg/mlのカナマイシンを添加した1 lのTSB + YE 培地(トリプティックソイブロスと酵母抽出物)で37 ゜Cで培養した。OD600 = 1で、IPTGを終濃度 1 mMで添加してタンパク質発現を誘導し、培養を37 ゜Cで別に5 時間インキュベーションした。細胞を、遠心分離で収穫し、200 mlの結合緩衝剤(50 mM リン酸ナトリウム, 150 mM NaCl, pH 7.0)に再懸濁し、超音波処理して発現させたタンパク質を放出させた。細胞片(Cell debris)を遠心分離で除去し、上清をXK26 カラム中で40 mlのIgG-セファロースに適用した(GE Healthcare)。夾雑物を、結合緩衝剤で洗浄して除去し、IgG Fc-結合分子を溶出緩衝剤(0.1 M HAc)で溶出させた。精製したIgG Fc-結合分子を、ゲル濾過で10 mM NH4HCO3に移し、その後に凍結乾燥した。濃度を、280 nmでの吸収及びそれぞれのタンパク質の吸光係数を用いて決定した。最終的な産物の純度を、クーマシーブルーで染色したSDS PAGEで分析した。精製したIgG Fc-結合分子の同一性を、HPLC-MSを用いて確認した。
【0069】
溶解性分析
凍結乾燥したタンパク質を、PBSに溶解した。タンパク質溶液を、プラスチックのキュベットに移し、不溶解性のタンパク質を視覚的な点検で検査した。
【0070】
円二色性分析
CD分析を、PBS中で0.5 mg/mlのタンパク質で実施した。195-250 nmでのスペクトル測定を20 ゜Cで実施した。精製タンパク質の融点 (Tm)を、可変的な温度測定(VTM: variable temperature measurement)で、サンプルを90 ゜Cまで加温する間に220 nmをモニターして決定した。サンプルを20 ゜Cに再平衡化(re-equilibrating)した後、新しいスペクトルを取得した。VTMの前後のスペクトルのオーバーレイによって、構造が90 ゜Cまで加温した後に回復するかどうか示された。
【0071】
結合分析
精製分子とヒト IgGとの結合を、Biacore 2000機器(GE Healthcare)で表面プラズモン共鳴を用いて分析した。エタネルセプト〔商品名 Enbrel(登録商標), ヒト IgGのFc 領域を含んでいる融合タンパク質; Apoteket article no. 566661〕および二つのヒトモノクローナル IgG 抗体, パリビズマブ〔商品名 Synagis(登録商標), VH3 ドメインを含まない; Apoteket article no. 549170〕およびトラスツズマブ〔商品名 Herceptin(登録商標), VH3 ドメインを含む: Apoteket article no. 573477〕を、標的タンパク質として使用した。標的タンパク質を、製造者の推奨にしたがってCM-5チップの表面のカルボキシル化デキストラン層にアミンカップリングで異なるフローセルに固定化した。固定化された標的タンパク質への結合を分析するため、精製されたIgG Fc-結合分子HBS-EP (0.01 M HEPES, 0.15 M NaCl, 3 mM EDTA, 0.005 % 界面活性剤 P20, pH 7.2)を希釈し、25 nM および 100 nMで25 μl/minの定常的な流速で4 分間注入した。表面を、0.3 M HAc, pH 3.2の注入で再生した。解離平衡定数 (KD)の見積を、BIAevaluation 4.1(GE Healthcare)で1対1のラングミュア結合モデルを用い、物質移動効果(mass transfer effects)を考慮して行った。
【0072】
サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ 排除 クロマトグラフィー (SEC)を、凝集物の点検のため実施した。精製されたIgG Fc-結合分子を0.5 mg/mlにPBSで希釈し、50 μlを流速 0.5 ml/分でPBSで平衡化したSuperdex 75 10/300 GL カラム (GE Healthcare)に注入した。
【0073】
結果
培養および精製
単量体の IgG Fc-結合分子を、大腸菌(E. coli)中でプラスミドベクターから発現させた。1 リッターの培養物からのIgG セファロース-精製タンパク質の総量を、A280 nmで分光光度的に決定し、表 2に示した。
【0074】
【表2】
【0075】
凍結乾燥したタンパク質をPBSに溶解し、20 μgをSDS-PAGEで分析した。全てのタンパク質の調製物は、IgG Fc-結合分子を幾つかの夾雑物タンパク質と共に含んでいた。IgG Fc-結合分子のサイズを、HPLC-MSを用いて確認した。
【0076】
溶解性分析
PBSを、凍結乾燥したIgG Fc-結合分子分子に添加した。各バイアルにおけるタンパク質の量に基づく予想された濃度は、表 3に示される。
【0077】
【表3】
【0078】
全て 三つのタンパク質の調製物は、沈殿した夾雑する物質を含んでいた。Z02674に関して、不溶解性の物質を遠心分離で除去し、上清を+4 ゜C 一晩維持した。新しい視覚的な点検を行い、新しい沈殿は認められなかった。濃度を遠心分離後にA280で測定し、17.4 mg/mlであることが認められた。Z02726 および Z02742に関して、溶液のpHを約 10に50 % NaOHで上昇させ、両方のタンパク質に関して透明な溶液が生じた。
【0079】
円二色性分析
CD分析を、タンパク質 Z02726, Z02742 および Z02829で実施した。Z02829は、タンパク質の最初で二つの置換(全体の発現された分子の配列に関連するA8N および W11N、即ち、配列番号7と関連するA3N および W6N)を含んでいるZ02674の誘導体である。従って、Z02829のIgG Fc-結合モチーフは、Z02674のものと同じである。
IgG Fc-結合分子の決定した融点を表 4に示した。
【0080】
【表4】
【0081】
VTMの前後で195-250 nmで取得されたスペクトルのオーバーレイを図 2A-2Cに示した。これらのオーバーレイのダイアグラムから明らかなとおり、全て三つのIgG Fc-結合ポリペプチドは90゜Cで熱された後に完全にそれらの構造を回復した。
【0082】
結合分析
精製したポリペプチドとヒト IgG Fcとの結合を、Biacore 2000機器で表面プラズモン共鳴を用いて分析した。パリビズマブ(VH3 ドメインなし), トラスツズマブ(VH3 ドメインあり) および エタネルセプト(TNFαr-Fc 融合)を、アミンカップリング(amine-coupling)でチップ表面に固定化した。Z プロテイン Z00000 (配列番号10)および早期にえられたバリアント Z01730 (配列番号11)を、コントロールとして使用した。固定された標的タンパク質に25 nMで注入されたIgG Fc-結合分子への結合ダイアグラムは、図 3A-3C および 図 4A-4Cに示される。
【0083】
これらの図から明らかなとおり、全ての試験したポリペプチドはIgGと結合する。
推定の結合親和性を計算するため、パリビズマブへの結合から得られたダイアグラムを、製造者から提供されたBIAevaluation ソフトウェアで分析した。結果を表5に示す。この表に示すとおり、IgG Fc-結合ポリペプチドは、周知のIgG Fc-結合分子であるポジティブコントロールのZ00000に匹敵するIgGへの結合親和性を示す。
【0084】
【表5】
【0085】
サイズ排除クロマトグラフィー
SEC分析を、100 μgの精製 タンパク質をPBSで平衡化したSuperdex 75 10/300 GL カラムに注入することにより実施した。全ての IgG Fc-結合分子は、単一のピークに溶出された。ピークの形は、IgG Fc-結合分子の間で異なり、それらは異なる時間で溶出する。しかしながら、それらは全てZ00000よりも後に溶出し、凝集物が存在しないことを示す。
【0086】
例 3
溶出 pHのアフィニティークロマトグラフィー試験およびIgG Fc-結合ポリペプチドの能力
この例において、例 1に記載される選択からの個々の IgG Fc-結合ポリペプチドは、クロマトグラフィー媒体と結合し、それらの溶出条件および結合容量(binding capacities)をアフィニティークロマトグラフィー実験で試験した。
【0087】
材料および方法
IgG Fc-結合ポリペプチドの固定化
本発明のIgG Fc-結合 ポリペプチド Z02742, Z02674 および Z02726および参照分子 Z00000を、各々NHS-活性化 HiTrap TM カラム(0.962 ml, GE Healthcare)に固定化した。固定化(一級アミンを介したリガンドのカップリング)を、製造者の指示のとおり実施した。各ポリペプチドを四つのカラムに固定化し、そのうち二つを溶出 pH試験に使用し、二つを容量試験に使用した。
【0088】
緩衝剤の調製
クエン酸 および NaCl (Merck)を、それぞれ0.1 M および 0.9 重量パーセント(% wt/wt)の最終的な濃度に水で溶解した。この溶液からpHを溶液の一部分に関して6.2(緩衝剤 A)に及び溶液の他の部分に関して2.5(緩衝剤 B)に調整することにより二つの緩衝剤を調製した。pHの調整は、NaOHの添加でおこなった。緩衝剤を、使用前に濾過した。
【0089】
溶出試験
溶出 pHを、三つの異なるサンプルに関してIgG Fc-結合ポリペプチドリガンドを含んでいるカラムで試験した。サンプルは、トラスツズマブ〔商品名 Herceptin(登録商標), Apoteket article no. 573477〕, エタネルセプト〔商品名 Enbrel(登録商標), Apoteket article no. 〕およびパリビズマブ〔商品名 Synagis(登録商標), Apoteket article no. 549113〕であった。サンプルを、製造者の指示にしたがって調製し、その後に緩衝剤 Aに1 mg/ml溶液に希釈した。
【0090】
カラムを、AKTA TM エキスプロラ 10 S クロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)に取り付け、平衡化〔4 カラム容量(CV)の緩衝剤 A, 流速 1 ml/min〕した。サンプル溶液を、Superloop TM (50 ml, GE Healthcare)に注入し、2 mlを各カラムに流速0.4 ml/minでロードした。カラムを洗浄(3 CVの緩衝剤 A, 1 ml/min)し、サンプルを酸性のpH 勾配(25 CV, 0-100 % 緩衝剤 B, 1 ml/min)で溶出した。酸性の pH 勾配の後、カラムを洗浄(4 CVの100 % 緩衝剤 B, 1 ml/min)し、再平衡化(4 CVの緩衝剤 A, 1 ml/min)した。
【0091】
溶出したフラクションのpH測定を可能とするため、溶出したサンプルをフラクションコレクター (Frac-950, GE Healthcare)で収集した。280 nm (A280)での吸光度が1 mg/mlのサンプル溶液のA280の5 %を超えた場合にピークを収集した。吸光度が同じ5 %の閾値未満に落ちた場合、ピークの収集を停止した。
【0092】
容量試験
クロマトグラフィー媒体への動的な結合容量(Dynamic binding capacity)は、通常は280 nmでの吸光度が280 nmでのサンプル吸光度の10 %に達する場合の前記媒体へ適用したサンプルの量と規定される。容量を、固定化された IgG Fc-結合ポリペプチドを含んでいるカラムにサンプルをロードすることにより決定した。容量を決定するため、デッドボリューム(即ち、チュウブおよびカラムの容量)を10 %ブレークスルー(breakthrough)に必要とされるサンプル容量から差し引かれた。デッドボリュームを、サンプルをIgG Fc-結合ポリペプチドを含んでいないカラムをとおすことにより測定した。
【0093】
ヒトのポリクローナル IgG 〔商品名 Gammanorm(登録商標), Apoteket article no. 096169, VH3 サブファミリー および 非-VH3 サブファミリー抗体の混合物を含む〕を、結合能を決定するため使用した。IgG サンプルを、165 mg/mlのGammanorm(登録商標)を0.75 mg/mlに 1 X PBSで希釈することで調製した。
【0094】
カラムを、AKTA TM エキスプロラ 10 S クロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)に取り付け、平衡化〔4 CVの緩衝剤A, 1 ml/min〕した。サンプルを流速 0.241 ml/min (滞留時間 4 min)でA280がサンプル吸光度の10 % (このケースにおいて128.2 mAU)に達するまでカラムにロードした。結合したタンパク質を溶出(10 CVの緩衝剤 B, 1 ml/min)し、カラムを再平衡化(4 CVの緩衝剤 A, 1 ml/min)した。
【0095】
結果
溶出試験
全サンプルは、他のポリペプチドリガンドを含んでいるカラムからよりも固定化されたZ02674を含んでいるカラムから高いpH (即ち、グラディエントの初期)で溶出された。トラスツズマブは、他のカラムからよりもより低いpH (即ち、グラディエントの後期)でZ00000を含んでいるカラムから溶出された。従って、トラスツズマブの溶出フラクションのpHは、参照の分子Z00000を含んでいるカラムからよりも本発明のIgG Fc-結合ポリペプチドを含んでいるカラムからのもので高かった。異なるカラムのクロマトグラムのオーバーレイ(Overlays)は、図 5A-Cに示される。
【0096】
以上のように本発明の試験したIgG Fc-結合ポリペプチドは、IgGと結合し、参照の分子Z00000を結合させたカラムのプロフィールと匹敵する又はそのプロフィールよりも良好なアフィニティークロマトグラフィーにおける溶出プロフィールを示した。
【0097】
容量試験
本発明のIgG Fc 結合ポリペプチドを結合させたカラムの容量は、0.23から0.33 モル IgG/ モル ポリペプチドリガンドの範囲であり、Z00000を結合させたカラムの容量と匹敵(comparable)する(図 6を参照されたい)。しかしながら、固定化されたZ02674を含んでいるカラムの動的な結合容量は、他のカラムに対するよりも約 20-30%高かった。
本願発明の実施態様は、以下のとおりである。
(1)
免疫グロブリン G Fc 領域結合モチーフBMを含んでいる免疫グロブリン G Fc 領域結合ポリペプチドであって、該モチーフは以下のものから選択されるアミノ酸配列からなる免疫グロブリン G Fc 領域結合ポリペプチド:
i) EQQX4AFYEIL HLPNLTEX18QX20 X21AFIX25X26LRX29,
式中で, 互いに独立に,
X4 は、H および Nから選択される;
X18 は、DおよびGから選択される;
X20 は、RおよびKから選択される;
X21 は、HおよびQから選択される;
X25 は、R, AおよびGから選択される;
X26 は、A, SおよびTから選択される;および
X29 は、G, KおよびAから選択される;
並びに
ii) 少なくとも 85 %の同一性をi)に規定される配列に対して有するアミノ酸配列。
(2)
(1)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、X4 がHであるポリペプチド。
(3)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、X18 がGであるポリペプチド。
(4)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、X20 がKであるポリペプチド。
(5)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、X21 がHであるポリペプチド。
(6)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、X25 がRであるポリペプチド。
(7)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、X26 がAであるポリペプチド。
(8)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、X29 がGであるポリペプチド。
(9)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記アミノ酸配列 i)が配列番号1-3から選択されるポリペプチド。
(10)
(9)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記アミノ酸配列が配列番号1であるポリペプチド。
(11)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記IgG Fc-結合モチーフが三ラセン束タンパク質ドメインの部分を形成するポリペプチド。
(12)
(11)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記IgG Fc-結合モチーフが、実質的に前記三ラセン束タンパク質ドメイン内で二つのアルファラセン及びそれらを連結しているループと部分を形成するポリペプチド。
(13)
(12)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記三ラセン束タンパク質ドメインは、細菌性のレセプタータンパク質のドメインから選択されるポリペプチド。
(14)
(13)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記三ラセン束タンパク質ドメインは、黄色ブドウ球菌からのプロテインA又はその誘導体のドメインから選択されるポリペプチド。
(15)
(14)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって:
ADNNFNK-[BM]-DPSQSANLLSEAKKLNESQAPK;
ADNKFNK-[BM]-DPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK;
ADNKFNK-[BM]-DPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK;
ADAQQNNFNK-[BM]-DPSQSTNVLGEAKKLNESQAPK;
AQHDE-[BM]-DPSQSANVLGEAQKLNDSQAPK;および
VDNKFNK-[BM]-DPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK;
から選択されるアミノ酸配列を含み、
式中で[BM]は、(1)〜(10)の何れか一項に規定のIgG Fc-結合モチーフであるポリペプチド。
(16)
(12)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、アミノ酸配列: FWK-[BM]-DPSQSARLLAXaAKKLDDAQを含み、式中の[BM]は(1)〜(10)の何れか一項に規定のIgG Fc-結合モチーフであり;Xa は、R, G およびQから選択されるポリペプチド。
(17)
(12)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、アミノ酸配列: VDAKFWK-[BM]-DPSQSARLLAXaAKKLDDAQAPKを含み、式中の[BM]は(1)〜(10)の何れか一項に規定のIgG Fc-結合モチーフであり;Xa は、R, G およびQから選択されるポリペプチド。
(18)
(16)〜(17)の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、Xa がRであるポリペプチド。
(19)
(16)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、配列番号4〜6から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(20)
(19)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(21)
アミノ酸配列が以下のものから選択される一の規定を満たす配列を含むIgG Fc-結合ポリペプチド:
iii) 前記配列が配列番号7〜9から選択される配列である;
iv) 前記配列が配列番号7〜9から選択される配列と85 %以上の同一性を有しているアミノ酸配列である。
(22)
(21)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、アミノ酸配列が以下のものから選択される一の規定を満たす配列を含むIgG Fc-結合ポリペプチド:
v) 前記配列が配列番号7である;
vi) 前記配列が配列番号7と85 %以上の同一性を有しているアミノ酸配列である。
(23)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、付加的なアミノ酸残基を前記IgG Fc-結合ポリペプチドに対してC末端および/またはN末端に含むポリペプチド。
(24)
(23)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記または各々のアミノ酸の伸展が前記ポリペプチドによるIgG Fcの結合を増強するポリペプチド。
(25)
(23)または(24)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記または各々のアミノ酸の伸展が、前記ポリペプチドの産生, 精製, インビボまたはインビトロ安定化, カップリングまたは検出を改善するポリペプチド。
(26)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、相互作用のKD 値が多くとも1 x 10-6 MであるようにIgG Fcと結合するポリペプチド。
(27)
(26)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、相互作用のKD 値が多くとも1 x 10-7 MであるようにIgG Fcと結合するポリペプチド。
(28)
(27)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、相互作用のKD 値が多くとも5 x 10-8 MであるようにIgG Fcと結合するポリペプチド。
(29)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、ヒト IgG 分子のFc部分と結合する能力があるポリペプチド。
(30)
(29)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、ヒト IgGのクラス 1, 2 および 4と結合する能力があるポリペプチド。
(31)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、IgG FcのCH2 および CH3ドメインの間のインターフェースと結合する能力があるポリペプチド。
(32)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、Fc アミノ酸残基 T250-S254, T256, L309-L312, L314, D315, E430 および L432-Y436により構成されるFc 分子表面の領域と結合する能力があるポリペプチド。
(33)
先行する項の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、アミノ酸配列が同じ又は異なりえる少なくとも二つのIgG Fc-結合ポリペプチド 単量体の単位を含んでいる多量体の形態のポリペプチド。
(34)
(33)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記IgG Fc-結合ポリペプチド単量体の単位は、共に共有結合性に連結されたポリペプチド。
(35)
(33)または(34)に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドであって、前記IgG Fc-結合ポリペプチド単量体の単位は、融合タンパク質として発現されるポリペプチド。
(36)
先行する項の何れか一項に記載のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド。
(37)
(1)〜(35)の何れか一項に記載のポリペプチドを産生する方法であって、(36に記載のポリヌクレオチドを発現させることを含む方法。
(38)
IgG Fcを含んでいる分子をサンプルから単離する方法であって、以下の工程を含む方法:
(i) IgG Fcを含んでいる分子を含有しているサンプルを提供すること;
(ii) 前記サンプルを(1〜35の何れか一項に記載されるIgG Fc-結合 ポリペプチドと接触させて、前記IgG Fcを含んでいる分子を前記ポリペプチドに結合させること;
(iii) 結合したIgG Fcを含んでいる分子を前記サンプルから単離すること。
(39)
(38)に記載の方法であって、前記サンプルがIgG Fcを含んでいる分子を発現している細胞から由来する方法。
(40)
(38)〜(39)の何れか一項に記載の方法であって、前記IgG Fcを含んでいる分子は、IgG 分子又はその断片である方法。
(41)
(40)に記載の方法であって、前記IgGは、ヒト IgGである方法。
(42)
(40)〜(41)の何れか一項に記載の方法であって、前記IgGは、モノクローナル IgG 抗体である方法。
(43)
(38)〜(39)の何れか一項に記載の方法であって、前記IgG Fcを含んでいる分子は、Fc融合タンパク質である方法。
(44)
(38)〜(43)の何れか一項に記載の方法であって、前記IgG Fc-結合ポリペプチドは、クロマトグラフィーのマトリックスに固定化された方法。
(45)
IgG Fcを含んでいる分子を産生する方法であって、以下の工程を含む方法:
(i) 所望のIgG Fcを含んでいる分子を発現させること;
(ii) IgG Fcを含んでいる分子のサンプルを前記の発現物から得ること;
(iii) 前記サンプルを(1)〜(35)の何れか一項に記載されるIgG Fc-結合 ポリペプチドと接触させて、IgG Fcを含んでいる分子を前記ポリペプチドに結合させること;
(iv) 結合したIgG Fcを含んでいる分子を前記サンプルから単離すること、および
(v) 結合したIgG Fcを含んでいる分子をIgG Fc-結合ポリペプチドから溶出で回収すること。
(46)
(45)に記載の方法であって、前記IgG Fcを含んでいる分子は、IgG 分子又はその断片である方法。
(47)
(46)に記載の方法であって、前記IgGは、ヒト IgGである方法。
(48)
(46)〜(47)の何れか一項に記載の方法であって、前記IgGは、モノクローナル IgG 抗体である方法。
(49)
(45)に記載の方法であって、前記IgG Fcを含んでいる分子は、Fc融合タンパク質である方法。
(50)
(45)〜(49)の何れか一項に記載の方法であって、前記IgG Fc-結合ポリペプチドは、クロマトグラフィー媒体に固定化された方法。
(51)
(1〜(35)の何れか一項に記載のIgG Fc-結合ポリペプチドを含んでいるアフィニティークロマトグラフィー媒体。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]