特許第5677946号(P5677946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファーネクストの特許一覧

特許5677946シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ
<>
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000007
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000008
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000009
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000010
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000011
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000012
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000013
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000014
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000015
  • 特許5677946-シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677946
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害を処置するためのピロカルピンおよびメチマゾールの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4178 20060101AFI20150205BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 31/567 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20150205BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   A61K31/4178
   A61K31/4164
   A61P43/00 123
   A61P25/02
   A61P43/00 111
   A61K31/195
   A61K31/567
   A61K31/047
   A61K31/485
   A61K31/436
   A61K31/192
   A61P43/00 121
   A61P25/00
【請求項の数】9
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2011-514033(P2011-514033)
(86)(22)【出願日】2009年6月17日
(65)【公表番号】特表2011-524878(P2011-524878A)
(43)【公表日】2011年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2009057544
(87)【国際公開番号】WO2009153291
(87)【国際公開日】20091223
【審査請求日】2012年6月5日
(31)【優先権主張番号】08305280.3
(32)【優先日】2008年6月18日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510149471
【氏名又は名称】ファーネクスト
【氏名又は名称原語表記】PHARNEXT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100119079
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 佐保子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】コーアン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】チュマコフ,イリア
(72)【発明者】
【氏名】ナビロシュカン,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ゲラシメンコ,オクサナ
(72)【発明者】
【氏名】ショレ,ナタリー
【審査官】 光本 美奈子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−504679(JP,A)
【文献】 特表2002−526417(JP,A)
【文献】 特表2011−504915(JP,A)
【文献】 KELTNER J L,MYOTONIC PUPILS IN CHARCOT-MARIE-TOOTH DISEASE.SUCCESSFUL RELIEF OF SYMPTOMS WITH O.O25% PILOCARPINE,ARCHIVES OF OPHTHALMOLOGY,1975年11月,V93 N11,P1141-1148
【文献】 BASSI S,ENCEPHALOMYELITIS WITH THYROTOXICOSIS,JOURNAL OF NEUROLOGY,1978年,V218 N4,P293-295
【文献】 COFFEY R J,FAMILIAL TRIGEMINAL NEURALGIA AND CHARCOT-MARIE-TOOTH NEUROPATHY,SURGICAL NEUROLOGY,米国,BROWN AND CO.,,1991年 1月 1日,P49-53
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00〜31/80
A61P 1/00〜43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロカルピン、セビメリンおよびそれらの塩からなる群から選択されるムスカリン受容体アゴニスト、並びにメチマゾール、カルビマゾール、プロピオチオウラシルおよびそれらの塩からなる群から選択される甲状腺ホルモン合成の阻害剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、シャルコー・マリー・トゥース病またはCMTに関連した障害の処置のために使用する組成物。
【請求項2】
ムスカリン受容体アゴニストがピロカルピンである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
甲状腺ホルモン合成の阻害剤がメチマゾールまたはカルビマゾールである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ピロカルピンおよびメチマゾール、またはピロカルピンおよびカルビマゾール、あるいはそれらの塩を含有し、場合により薬学的に許容される担体または賦形剤を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
シャルコー・マリー・トゥース病がCMT1Aである請求項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1個の追加の有効化合物を更に含む請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
下記のいずれかの薬物組合せを有する請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物:
ピロカルピンとメチマゾール;
ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトール、ナルトレキソンとバクロフェン;
ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストンとソルビトール;
ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトールとバクロフェン;
ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトールとラパマイシン;
ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトールとケトプロフェン;
ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトールとフルルビプロフェン;
メチマゾールとセビメリン;
ピロカルピンとプロピルチオウラシル;
ピロカルピン、メチマゾールとバクロフェン;
ピロカルピン、メチマゾールとミフェプリストン;
ピロカルピン、メチマゾールとソルビトール;
ピロカルピン、メチマゾールとナルトレキソン;
ピロカルピン、メチマゾールとラパマイシン;
ピロカルピン、メチマゾールとケトプロフェン;
ピロカルピン、メチマゾールとフルルビプロフェン;
ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトール、バクロフェンとラパマイシン;または
ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトール、ナルトレキソンとラパマイシン。
【請求項8】
化合物を、同時にまたは順次に、一団としてまたは別々に投与するための請求項1〜のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
処置が、患者がCMT1Aを有するかどうかを決定するための工程を更に含む、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャルコー・マリー・トゥース病および関連した障害の処置のための組成物および方法に関する。
【0002】
シャルコー・マリー・トゥース病(「CMT」)は、オーファン遺伝子末梢多発性神経障害である。約2,500個体に1人が罹患するので、この疾患は、末梢神経系の最も普通の遺伝病である。その発症は、典型的には、人生の10代または20代の期間に起るが、幼児期に検出されることがある。疾患の進行は、漸進的な神経筋変性を伴って慢性的である。この疾患は、神経痛およびひどい筋肉障害を伴う症例を伴い無力化性(invalidating)である。CMTは、フランスでは約30,000症例を有する最もよく研究された病理である。大多数のCMT患者は、ミエリン遺伝子:PMP22を含有する染色体17フラグメントの重複を有し(形態CMT1A)、2ダースの遺伝子が異なる形態のCMTにおいて関係している。したがって、起源において単一遺伝子性であるけれども、この病理は、可能なモジュレータ遺伝子により臨床的異質性を示す。CMT患者において突然変異した遺伝子は、シュワン細胞またはニューロンの分化に影響を与えるかまたは末梢神経におけるこれらの細胞の相互作用を変化させる密接に関連した分子経路のまわりにクラスタリングしている。
【0003】
PMP22は、末梢神経系における本質的にすべての有髄繊維のコンパクトな部分に発現されたミエリンの主要な成分であり、そして主としてシュワン細胞により産生される。更に、PMP22遺伝子は、神経線維腫症、カフェオーレ班および皮膚の線維腫性腫瘍(fibromatous tumors)により特徴付けられる常染色体優性障害、を有する患者の新形成の発生に関与していると推測される。正常なPMP22タンパク質のあまり多くない1.5倍の過剰発現が、CMT患者における重複のためのヘテロ接合のシュワン細胞においても観察される(あるまれな症例では、CMT1A様発現型はPMP22タンパク質における構造的突然変異にも関連しうる)(Lupski et al., 1992; Suter et al, 1992; Roa et al., 1993; Thomas et al., 1997; Suter & Scherer, 2003; Nave & Sereda, 2007)。異常なPMP22遺伝子量(dosage)がCMT1A様表現型を引き起こす直接の証拠は、PMP22タンパク質の過剰発現を有するげっ歯類モデルにおけるトランスジェニック実験により与えられた(Niemann et al., 1999; Perea et al., 2001; Robaglia-Schlupp et al., 2002; Meyer et al., 2006; Sereda & Nave, 2006)。
【0004】
更に、プロゲステロンレセプターの阻害剤およびアスコルビン酸による治療介入は、トランスジェニック動物におけるこの発現を減少させて、疾患表現型の進行を改善または遅くした(Sereda et al., 2003; Passage et al., 2004; Meyer zu Horste et al., 2007)。
【0005】
Bussi et al., 1978は、神経障害および脳脊髄炎と関連した甲状腺中毒症の処置におけるメチマゾールの使用に関する。
【0006】
CeltrixのWO00/20024は、甲状腺障害であるIGF依存性障害の症状を軽減するためのメチマゾールの使用に関する。
【0007】
WO2004/019938は、神経障害痛の症候群の処置におけるピロカルピンの使用に関する。
【0008】
筋緊張性乳頭異常の処置のためのピロカルピン単独の使用は、Keltner et al., 1975により示唆された。しかしながら、CMTの処置のためのピロカルピンの使用は記載されていない。更に、任意の他の化合物との組み合わせにおけるピロカルピンの使用も示唆されていない。
【0009】
最後に、CMT疾患を処置するための効果的なかつ改良された治療の必要がある。
【0010】
発明の要約
本発明の目的は、CMTおよび関連した障害を処理するための新規な治療アプローチを提供することである。更に詳しくは、本発明者等は、CMTおよび関連した障害をもたらす経路に有効に影響を与える新規な組み合わせ治療を同定し、そしてこれらの障害の処置のための新規なアプローチを提示する。したがって、本発明は、CMT病および関連した障害を処置するための新規な組み合わせ製品および組成物ならびにその使用を提供する。
【0011】
本発明の目的は、更に特定的には、CMTまたは関連した障害を処置する(ための医薬の製造の)ための化合物の組み合わせの使用であって、該化合物の組み合わせが、ムスカリンレセプターアゴニストまたはそのプロドラッグおよび甲状腺ホルモン合成の阻害剤またはそのプロドラッグから選ばれる、化合物の組み合わせの使用に関する。
【0012】
本発明の他の目的は、同時にまたは順次に被検体に一団にして投与するかまたは別々に投与するための、ムスカリンレセプターアゴニストまたはそのプロドラッグおよび甲状腺ホルモン合成の阻害剤またはそのプロドラッグを含む組み合わせ製品にある。
【0013】
本発明は、ムスカリンレセプターアゴニストおよび甲状腺ホルモン合成の阻害剤またはそのプロドラッグおよび場合により薬学的に許容されうる担体または賦形剤を含む薬学的組成物にも関する。
【0014】
最も好ましい態様においては、ムスカリンレセプターアゴニストは、ピロカルピン薬剤の有効作用物質である、(3S,4R)−3−エチル−4−[(3−メチルイミダゾール−4−イル)メチル]オキソラン−2−オン(CAS92−13−7)又はそのプロドラッグである。
【0015】
更に、最も好ましい態様においては、甲状腺ホルモン合成の阻害剤は、更にプロスタグランジンシグナリングにおける活性を示す。このような化合物の好ましい例は、1−メチル−3H−イミダゾール−2−チオン(CAS60−56−0、メチマゾール薬剤の有効作用物質である)またはそのプロドラッグ、例えばカルビマゾールを含む。
【0016】
他の態様においては、本発明は、被検体のCMTの処置のためのムスカリンレセプターアゴニストおよび甲状腺ホルモン合成の阻害剤を含む組成物であって、該処置が、患者がCMT1Aを有するかどうかを決定するための工程を更に含む、組成物に関する。
【0017】
これに関して、本発明の特定の目的は、ピロカルピン、またはそのプロドラッグおよびメチマゾールまたはそのプロドラッグ、および場合により薬学的に許容されうる担体または賦形剤を含む組成物に関する。実施例に示されたとおり、このような組み合わせは、認知された動物モデルにおいてCMTを有効に処置することを可能とする。
【0018】
本発明の製品または組成物は、更に、好ましくは、ラパマイシン、バクロフェン、ソルビトール、ミフェプリストン、ナルトレキソン、フルルビプロフェンおよびケトプロフェンからなる群より選ばれる少なくとも1つの追加の有効化合物を更に含むことができる。 好ましい態様においては、本発明に従う組成物は、少なくとも、
−ピロカルピン、メチマゾールおよびミフェプリストン;
−ピロカルピン、メチマゾールおよびバクロフェン;または
−ピロカルピン、メチマゾールおよびソルビトール;
を含む。
【0019】
他の好ましい態様においては、本発明に従う組成物は、少なくとも、
−ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、バクロフェンおよびソルビトール;または
−ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、バクロフェン、ソルビトールおよびナルトレキソン、
を含む。
【0020】
他の態様においては、本発明は、メチマゾール、プロカルピンおよび2つの追加の有効化合物、好ましくはミフェプリストンおよびソルビトールを含む製品または組成物に関する。
【0021】
他の態様においては、本発明は、メチマゾール、プロカルピンおよび3つの追加の有効化合物、好ましくは;
−ミフェプリストン、バクロフェンおよびソルビトール;または
−ミフェプリストン、ソルビトールおよびラパマイシン;または
−ミフェプリストン、ソルビトールおよびケトプロフェン;または
−ミフェプリストン、ソルビトールおよびフルルビプロフェン、を含む製品または組成に関する。
【0022】
他の態様においては、本発明は、メチマゾール、プロカルピンおよび4つの追加の有効化合物、好ましくは;
−ミフェプリストン、ソルビトール、バクロフェンおよびナルトレキソン;
−ミフェプリストン、ソルビトール、バクロフェンおよびラパマイシン;
−ミフェプリストン、ソルビトール、ナルトレキソンおよびラパマイシン;
を含む製品または組成物に関する。
【0023】
他の態様においては、本発明は、表1に開示された任意のドラッグ組み合わせを含む製品または組成物に関する。
【0024】
他の特定の態様においては、本発明は、
−メチマゾール、バクロフェン;または
−メチマゾールおよびセビメリン、
を含む製品または組成物にも関する。
【0025】
他の特定の態様においては、本発明は、
−メチマゾールおよびバクロフェン;または
−メチマゾールおよびセビメリン、
を含む製品または組成物に関する。
【0026】
他の態様においては、本発明は、ピロカルピンおよびプロピルチオウラシルを含む製品または組成物にも関する。
【0027】
本発明の他の目的は、ピロカルピンとメチマゾールの組み合わせの使用またはこれらの2つの化合物単独の使用または、CMTまたは関連した障害の処置(のための医薬の製造)のためのこれらの2つの化合物の効果を高める他の化合物との組み合わせにおけるこれらの2つの化合物の使用に関する。
【0028】
本発明の他の目的は、本発明の他の目的は、毒性神経障害の処置(のための医薬の製造)のための、ピロカルピンとメチマゾールの組み合わせの使用またはこれらの2つの化合物単独の使用または、これらの2つの化合物の効果を高める他の化合物との組み合わせにおけるこれらの2つの化合物の使用に関する。
【0029】
本発明の他の目的は、ALS(筋委縮性側索硬化症)の処置(のための医薬の製造)のための、ピロカルピンとメチマゾールの組み合わせの使用またはこれらの2つの化合物単独の使用または、これらの2つの化合物の効果を高める他の化合物との組み合わせにおけるこれらの2つの化合物の使用に関する。
【0030】
好ましくは、CMTの処置のためのピロカルピンおよびメチマゾールの効果を高める化合物は、ミフェプリストン、バクロフェン、ソルビトール、ナルトレキソン、ラパマイシン、フルルビプロフェンおよびケトプロフェンからなる群より選ばれる。
【0031】
別の態様においては、ピロカルピンおよびメチマゾール混合物は、CMTまたは関連した障害の処置のために、1つの追加の有効化合物、好ましくはミフェプリストンまたはバクロフェンと組み合わせて使用される。
【0032】
他の態様においては、ピロカルピンおよびメチマゾール混合物は、2つの追加の有効化合物、好ましくはミフェプリストンおよびソルビトールと組み合わせて使用される。
【0033】
他の態様においては、ピロカルピンおよびメチマゾール混合物は、バクロフェン、ラパマイシン、ケトプロフェンまたはフルビプロフェンから選ばれる第3化合物との組み合わせた好ましくは、ミフェプリストンおよびソルビトールからなる、3つの追加の有効化合物と組み合わせて使用される。
【0034】
他の態様においては、ピロカルピンおよびメチマゾール混合物は、4つの追加の有効化合物、好ましくは、ミフェプリストン、ソルビトール、バクロフェンおよびナルトレキソンもしくはラパマイシン;またはミフェプリストン、ソルビトール、ナルトレキソンおよびラパマイシンと組み合わせて使用される。
【0035】
本発明は、更に、CMTまたは関連した障害、特にCMTを処置することを必要とする被検体に、ムスカリンレセプターアゴニストまたはそのプロドラッグ、および甲状腺ホルモン合成の阻害剤またはそのプロドラッグの有効量の組み合わせを投与することを含む、CMTまたは関連した障害、特にCMTを処置するための方法を提供する。
【0036】
本発明は、更に、ピロカルピンまたはそのプロドラッグおよびメチマゾールまたはそのプロドラッグの有効量の組み合わせを被検体に投与することを含む、被検体におけるCMTを処置する方法にも関する。
【0037】
本発明は、ピロカルピンおよびメチマゾールと、優先的には、ラパマイシン、バクロフェン、ソルビトール、ミフェプリストン、ナルトレキソン、フルルビプロフェンおよびケトプロフェンからなる群より選ばれる少なくとも1つの追加の有効化合物との有効量の組み合わせを被検体に投与することを含む、被検体におけるCMTを処置する方法にも関する。
【0038】
別の態様においては、本発明は、
−ピロカルピン、メチマゾールおよび、少なくとも1つ追加の有効化合物であって、バクロフェン、ミフェプリストン、ソルビトールおよびナルトレキソンから選ばれる化合物;
−ピロカルピン、メチマゾールおよびバクロフェン;
−ピロカルピン、メチマゾールおよびミフェプリストン;
−ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトールおよびバクロフェン;
−ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトールおよびラパマイシン;
−ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトールおよびケトプロフェン;
−ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトールおよびフルルビプロフェン;
−ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトール、バクロフェンおよびナルトレキソン;
−ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトール、バクロフェンおよびラパマイシン;
−ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ソルビトール、ナルトレキソンおよびラパマイシン;
−メチマゾールおよびバクロフェン;
−メチマゾールおよびセビメリン;または
−ピロカルピンおよびプロピルチオウラシル、
の有効量の組み合わせを被検体に投与することを含む、被検体におけるCMTを処置する方法にも関する。
【0039】
本発明は、任意の哺乳動物被検体、特にヒト被検体におけるCMTまたは関連した障害を処置するために使用されうる。本発明は、CMT1aを処置するのに特に適している。
【0040】
この点で、本発明の特定の目的は、ピロカルピンまたはそのプロドラッグおよびメチマゾールまたそのプロドラッグの有効量の組み合わせを被検体に投与することを含む、被検体におけるCMT1aを処置する方法である。
【0041】
本発明の更なる目的は、CMT1aを処置する方法であって、(1)被検体がCMT1aを有するかどうかを評価し、そして(2)CMT1aを有する被検体を、ピロカルピンまたはそのプロドラッグおよびメチマゾールまたそのプロドラッグの有効量の組み合わせにより処置する、ことを含む方法である。
【0042】
被検体がCMT1Aを有するかどうかを決定することは、当技術分野でそれ自体知られている種々の試験、例えばDNAアッセイによりなされうる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】相対的レベルは、化合物AおよびBで24時間処理された初代ラットシュワン細胞におけるPMP22mRNA発現の%として示される。左側には、1mMまたは1μMの化合物A(メチマゾール)添加の24時間後のPMP22mRNA発現レベルの%が示される。PMP22mRNAは、初代シュワン細胞において有意に減少すること、および化合物Aのより低い用量は最も重要なPMP22ダウンレギュレーションを誘導することが観察された。:p<0.05;***:p<0.001;コントロールとは有意に異なる(ペアーワイズスチューデントのt検定)。右側には、化合物B(ピロカルピン)に24時間暴露されて、PMP22mRNA発現のレベルは、非常に低い用量で(10nMおよび50nM)ですら初代シュワン細胞において有意にダウンレギュレーションされる。同様に、本発明者等は、化合物B(1μM)が24時間のインキュベーションの後にPMP22タンパク質の発現レベルを有意に、初代シュワン細胞において38%減少させることを観察した。この効果は、48時間のインキュベーションの後依然として有意である(−18%、p<0.001)。
図2】RT4−D6P2Tシュワン細胞腫細胞におけるRT−Q−PCRにより定量されたPMP22mRNA発現レベルに対する選ばれた薬物の効果。***:p<0.0001;コントロール(薬物なし)とは有意に異なる。ΔΔCt値に対する両側スチューデントのt検定。
図3】傾向の形態で表わされた処理研究全体にわたりバー試験における雌ラットの運動評価の結果。WTプラセボ:プラセボで処理された正常なラット;TGプラセボ:プラセボで処理されたコントロールトランスジェニックラット;TGptx25:ネガティブコントロール物質で処理されたトランスジェニックラット;TGA:メチマゾール0.2mg/kgの1日用量で処理されたトランスジェニックラット;TGB:ピロカルピン0.35mg/kgの1日用量で処理されたトランスジェニックラット。
図4】20週の期間薬物で処理されたCMTラットにおける感覚神経電位振幅の電気生理学的評価。TGプラセボ:プラセボで処理されたコントロールトランスジェニックラット;TGptx25:ネガティブコントロール物質で処理されたトランスジェニックラット;TGA:メチマゾール0.2mg/kgの1日用量で処理されたトランスジェニックラット;TGB:ピロカルピン0.35mg/kgの1日用量で処理されたトランスジェニックラット。
図5図3の説明に記載の通りの薬物で処理された動物から得られた死後のサンプルの分析。20週間薬物およびプラセボで処理されたラットを深く麻酔しそして全体の坐骨神経およびヒラメ筋を注意深くサンプリングしそして重量を計った。グラフは、これらの測定30の平均値を提示する。
図6】足どり評価試験(雌ラット)における混合物1のポジティブ効果;黒線はプラセボで処理されたコントロールラットを表わし;黒太線は、プラセボで処理されたトランスジェニックラットを表わし;点線は混合物1で処理されたトランスジェニックラットを表わす。p<0.05;黒:wtプラセボ対tgプラセボ;グレー:tgプラセボ対tg混合物1.統計学は、スチューデント両側検定で行い;平均は±s.e.m.で表わされる。
図7】尾の神経の興奮性閾値に対する混合物2のポジティブ効果(白いバーはプラセボで処置されたコントロール雄ラットを表わし;黒いバーはプラセボで処理されたトランスジェニック雄ラットを表わし;グレーのバーは混合物2で処理されたトランスジェニック雄ラットを表わす。統計学は、スチューデント両側検定で行い;平均は±s.e.m.で表わされる。
図8】バー試験における4週間の処理後の混合物2のポジティブ効果(白いバーはプラセボで処理されたコントロール雄ラットを表わし;黒いバーはプラセボで処理されたトランスジェニック雄ラットを表わし;グレーのバーは混合物2で処理されたトランスジェニック雄ラットを表わす)。統計学は、スチューデント両側検定で行い;平均は±s.e.m.で表わされる。
図9】3週間の処理の後の混合物2の足どりに対するポジティブ効果(白いバーは流れるような足どりで歩く各群における雄ラットの百分率を表わし;グレイのバーは流れるようではない足どりを表わし;黒いバーは無能力を表わす)。統計学は、スチューデント両側検定で行われる。
図10】慢性OXALPNモデルにおける抗アロディニア効果。青はコントロール動物のアセトン試験における反応時間を示し、赤はオキサリプラチン処理された動物を示し、緑色はオキサリプラチンおよび混合物2で処理された動物を示す。
【0044】
発明の詳細な説明
本発明は、CMTまたは関連した障害を処置するための新規な治療アプローチを提供する。本発明は、既知の薬物の組み合わせから製造された新規な組成物およびこのような疾患の有効な矯正のためのそれらの新規な使用を開示し、そして任意の哺乳動物被検体において使用されうる。
【0045】
本発明に関して、用語「CMTに関連した障害」は、遺伝的および後天性の両方の他の末梢神経障害を意味する。
【0046】
CMTの主要な形態、CMT1Aは、PMP22遺伝子の重複により引き起こされる。PMP22は、末梢神経系における本質的にすべての有髄繊維の密な部分において発現されるミエリンの主要な成分である。PMP22タンパク質は、他の構造的ミエリンタンパク質P0と相互作用し、したがって、変化したPMP22/P0タンパク質比は、ミエリン鞘の緻密化に影響を与えうる(Vallat et al., 1996; D'Urso et al., 1999)。in−vitro研究で証明されたとおり、PMP22タンパク質はRho依存性方式で細胞伸展の調節にも関与しており、したがって軸索被覆に影響を与えることができる(Brancolini et al., 1999)。更に、PMP22はα6β4インテグリンと複合体を形成し、そして細胞外マトリックスとシュワン細胞の相互作用を媒介することができる(Amici et al., 2006; Amici et al., 2007)。更に、PMP22タンパク質の増加したレベルは、Arf6で調節された形質膜エンドソーム回収経路を変えそして後期エンドソームにおけるPMP22の蓄積をもたらすことができる(Chies et al., 2003)。過剰発現したPMP22タンパク質は細胞内タンパク質ソーティングを乱しそしてシュワン細胞におけるタンパク質分解装置をオーバーロードすることも証明された(Notterpek et al., 1997; Tobler et al., 2002; Fortun et al., 2003; Fortun et al., 2006; Fortun et al., 2007; Khajavi et al., 2007)。最後に、PMP22は、細胞増殖およびプログラムされた細胞死のコントロールに直接関与しており(Sancho et al., 2001; Atanasoski et al., 2002) そして突然変異体PMP22タンパク質は、深部再構成(profound reorganization)および軸索イオンチャネルの異常な発現を促進することが示された(Ulzheimer et al., 2004; Devaux & Scherer, 2005)。
【0047】
結果として、用語「CMTに関連した障害」は、末梢障害、例えば、ALS、毒性神経障害、特発性神経障害、糖尿病性神経障害、癌およびHIVで誘導される神経障害、ギランバレー症候群を含む。
【0048】
好ましい態様においては、CMTに関連した障害は、HNPP(圧迫性麻痺になりやすい性質を有する遺伝性神経障害)、CMT1B、CMT1C、CMT1D、CMT1X、CMT2A、CMT2B、CMT2D、CMT2E、CMT2−P0、重症脱髄神経障害DSS(Dejerine-Sottas症候群)、CHN(先天性ミエリン形成減少性神経障害)、CMT4A、CMT4B1、CMT4B2、CMT4D、CMT4F、CMT4、AR−CMT2A、HSN1を含む、脱髄神経障害などの神経障害を意味する。
【0049】
本発明はCMT1Aを処置するのに特に適している。
【0050】
本明細書で使用された、障害の「処置」は、障害により引き起こされた痛みの治療、防止、予防、遅延または減少を含む。処置という用語は、特に疾患進行および関連した症状のコントロールを含む。
【0051】
化合物という用語は、本願において特定的に名付けられた化合物、およびその任意の薬学的に許容されうる塩、水和物、エステル、エーテル、異性体、ラセミ体(racemates)、コンジュゲート、プロドラッグを意味する。
【0052】
用語「組み合わせ」は、少なくとも2つの薬物が被検体に共投与されて生物学的効果を引き起こす処置を意味する。組み合わせた治療においては、少なくとも2つの薬物を一緒にまたは順次に一緒に又は別々に「投与することができる。少なくとも2つの薬物は、異なる経路およびプロトコールにより投与することができる。
【0053】
本発明は、CMTまたはCMT関連障害は、薬物の特定の組み合わせにより処置されうる。更に詳しくは、本発明は、メチマゾールおよびピロカルピン化合物を、組み合わせにおいて使用してCMTおよび関連した障害を処置することができることを示す。これに関して、実験結果は、メチマゾールとピロカルピンの組み合わせは、ラットシュワン細胞におけるPMP22の遺伝子のRNA発現のレベルを有意に減少させることを示す。更に、ヒトCMT疾患をモデル化するPMP22トランスジェニックラットは、毎日メチマゾールおよびピロカルピンを含有する組み合わせにより処置された。挙動終点の有意な改良が観察された。
【0054】
ピロカルピン:(3S,4R)−3−エチル−4−[(3−メチルイミダゾール−4−イル)メチル]オキソラン−2−オン
この薬物、C1116Oは、i)頭および頸の癌のための放射線治療により引き起こされた唾液腺機能低下からの乾燥口腔の症状;およびii)シェーグレン症候群を有する患者の乾燥口腔の症状の処置のために認可された。
【0055】
ムスカリンレセプターのアゴニスト、それは、平滑筋繊維収縮(消化管、眼、気管支)を引き起こし、汗、唾液、気管支および胃分泌を刺激する。更に、それは、両副交感神経様作用(血管拡張)神経節興奮経路を刺激する複雑な心臓血管作用を示す。
【0056】
本発明者等は、ピロカルピン、ムスカリンレセプターのアゴニストは、in−vitroでシュワン細胞におけるPMP22タンパク質の発現を減少させることを証明した。本発明者等は、ピロカルピンによるムスカリンレセプターの刺激は、おそらく、複雑なセットの分子機構により、反対の方式でミエリン関連タンパク質マーカーの発現を調節するErk/Akt活性の細胞内バランスにおいて、より顕著なErkシグナリングにシフトさせる、ということを提唱する(Ogata et al., 2004)。
【0057】
理論により束縛されるものではないが、ムスカリンレセプターの刺激は、いくつかの随伴する機構によりAktおよびErkキナーゼの活性を改変することができるということが推定される(Ma et al., 2004; Anger et al., 2007)。例えば、ムスカリンレセプターは、PKCによるIRS−1の阻害性チロシン脱リン酸化または阻害性セリンリン酸化を促進することによりIGF−1によるシグナリングを選択的にブロックすることができるが、PDGFレセプターについてはできない。さらにまた、ムスカリンレセプターは、Src様Fynキナーゼを介するERKジグナリグの細胞内トランスアクチベーションを媒介することができ;その上、アデニル酸シクラーゼの活性を減少させることにより、ムスカリンレセプターは、PKA媒介される機能によっても、Akt/Gsk−3βおよびErkキナーゼの機能的調節に関与している可能性がある。最後に、ムスカリンレセプターの刺激は、AMPKの活性化により、Aktの脱リン酸化を一過性に引き起こすことができ、かくしてβ−カテニンの細胞内プールを減少させることができることが証明された(Batty et al., 2004; King et al., 2006)。
【0058】
結果として、他のムスカリンレセプターアゴニスト、例えば、セビメリン(CAS番号107233−08−9)、カルバコール(CAS番号51−83−2)、メタコリン(CAS番号55−92−5)およびベタンコール(CAS番号674−38−4)も使用することができる。
【0059】
メチマゾール:1−メチル−3H−イミダゾール−2−チオン
メチマゾールは、ヨウ化物をヨウ素に転換しそして得られるヨウ化物分子のチロシンのフェノール環への取り込みを触媒する甲状腺ペルオキシダーゼの活性をブロッキングすることにより、新規な甲状腺ホルモンの産生を阻害する。したがって、メチマゾールは、甲状腺ホルモンレセプターの転写活性を効率的に減少させることができる。更に、メチマゾールは、プロスタグランジンHシンターゼ活性を減衰させることによりプロスタグランジン産生を抑制することが報告されている(Zelman et al., 1984)。プロスタグランジンは、それらの同族GPCRレセプターを介して、ミエリン関連タンパク質の発現を促進するAktシグナリング経路の活性を更に増加させることができる(Ogata et al., 2004; Castellone et al., 20069)。したがって、甲状腺ホルモン合成を阻害しそしてプロスタグランジン産生またはシグナリングに影響を与える化合物は、本発明で使用するのに特に有利である。
【0060】
メチマゾールに作用様式により関連した他の化合物は、カルビマゾール(メチマゾールのプロドラッグ−CAS番号22232−54−8)およびプロピルチオウラシル(CAS番号51−52−5)およびアミオダロン(CAS番号1951−25−3)である。
【0061】
実施例で開示されたとおり、化合物メチマゾールおよびピロカルピンは、CMTに対する改良された治療効果をもたらす組み合わさった作用を及ぼし、減少した副作用で有効治療用量を削減することを可能とする。
【0062】
本発明の特定の態様は、CMTまたは関連した障害、特にCMT1Aを処置するための組み合わせ治療であって、該組み合わせ治療がメチマゾールおよびピロカルピン化合物を含みそして少なくともこの組み合わせの活性を高めることができる第3の化合物を含む、組み合わせ治療にある。
【0063】
本発明の他の特定の態様は、ALSを処置するための組み合わせ治療であって、該組み合わせ治療がメチマゾールおよびピロカルピン化合物を含みそして少なくともこの組み合わせの活性を高めることができる第3の化合物を含む、組み合わせ治療にある。
【0064】
本発明の他の特定の態様は、毒性神経障害を処置するための組み合わせ治療であって、該組み合わせ治療がメチマゾールおよびピロカルピン化合物を含みそして少なくともこの組み合わせの活性を高めることができる第3の化合物を含む、組み合わせ治療にある。
【0065】
本発明の他の特定の態様は、化合物メチマゾールおよびピロカルピンだけを使用する、CMTまたは関連した障害を処置するための治療にある。
【0066】
本発明の他の特定の態様は、メチマゾールおよび/またはピロカルピンを少なくとも1つの追加の有効化合物と組み合わせて使用する、CMTまたは関連した障害を処置するための治療にある。好ましい態様においては、該少なくとも1つの追加の化合物は、表1に列挙された化合物の群から選ばれる。
【0067】
本発明の他の特定の態様は、表1に開示された任意の薬物組み合わせを含む製品または組成物にある。
【0068】
本発明の他の特定の態様は、表1に開示された任意の薬物組み合わせを含む、CMTまたは関連した障害を処置するための組み合わせ治療にある。
【0069】
本発明の他の特定の態様は、表1に開示された任意の薬物組み合わせを含む、ALSを処置するための組み合わせ治療にある。
【0070】
本発明の他の特定の態様は、表1に開示された任意の薬物組み合わせを含む、毒性神経障害を処置するための組み合わせ治療にある。
【0071】
本発明に従う治療は、場合により任意の他の治療と共同して薬物組み合わせとして行われる。本発明に従う治療は、家庭で、個人病院で、診療所で、病院の外来患者部門でまたは病院で提供されることができ、その結果、医師は治療効果を綿密に観察することができそして必要とされる任意の調整をすることができる。
【0072】
治療の期間は、疾患の段階、患者の年齢および状態、および患者が処置にいかに応答するかに依存する。
【0073】
更に、追加の神経障害を発生するリスクのより高いヒト(例えば、遺伝的に例えば糖尿病にかかりやすいかまたは糖尿病を有するヒトまたは腫瘍学的処置下にあるヒト等)は、最終的神経障害応答を軽減または遅延させるための予防処置を受けることができる。
【0074】
組み合わせの各成分の投薬量、投与の頻度および投与方式を独立にコントロールすることができる。例えば、1つの薬物は経口的に投与されうるが、第2の薬物は、筋肉内に投与することができる。組み合わせ治療は、休止期間を含むオンアンドオフ(on-and-off)サイクルで与えられることができ、その結果、患者の身体は、まだ予測されない副作用などのいずれかからの回復ヘのチャンスを有する。薬物は、1つの投与が両薬物を送達するように一緒に製剤化することもできる。
【0075】
医薬組成物の製剤化
組み合わせの各薬物の投与は、他の成分と組み合わせて、末梢神経に到達するとPMP22の高められた発現の効果を矯正することができる薬物の濃度をもたらす任意の適当な手段によることができる。
【0076】
組み合わせの有効成分が純粋な化学品として投与されることが可能であるが、この状況では製剤とも呼ばれる薬学的組成物としてそれらを提供することが好ましい。可能な組成物は、経口、直腸、局所(経皮、頬および舌下を含む)または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適当な組成物を含む。
【0077】
より普通には、これらの医薬製剤は、数投与単位を含有する「患者パック」または、単一パッケージ、通常ブリスターパツクにおいて明確な処置期間の間使用するための通常計量された単位用量の投与のための他の手段において患者に処方される。患者パックは、患者が通常の処方に欠けている患者パックに含有されたパッケージインサートに常にアクセスできるという点で、薬剤師はバルク供給からの薬剤の患者の供給を分割するという、従来の処方に対する利点を有する。パッケージインサートの包含は、医師の指示に対する患者の応諾を改良することが示された。したがって、本発明は、更に、医薬製剤のために適当な包装材料と組み合わせた、本明細書で前記した、医薬製剤を含む。このような患者パックにおいては、組み合わせ処理のための製剤の意図する使用は、処理のために最も適当に製剤を使用するのを助けるためのインストラクション、施設、設備、条件適応および/または他の手段により推論される。このような手段は、患者パックを、本発明の組み合わせによる処置のために使用するのに特に適当ならしめそして適合させる。
【0078】
薬物は、任意の適当な担体物質中に任意の適切な量で含有され得、そして組成物の全重量の1〜99重量%の量で存在することができる。組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入剤、皮膚(パッチ)または眼投与経路用に適当な剤形で提供されうる。したがって、組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、溶液剤、ヒドロゲルを含むゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、水薬剤(drenches)、浸透送達装置、坐剤、浣腸剤、注射可能剤、移植片、噴霧剤またはエアゾル剤の形態にあることができる。
【0079】
薬学的組成物は、慣用の製薬学的実施によって製剤化されうる(例えば、Remington: The Science and Practice of pharmacy(20th ed), ed. A.R.Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000 and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J.C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York)。
【0080】
本発明にしたがう薬学的組成物は、投与すると実質的に直ちに有効薬物を放出するかまたは投与後の任意の所定の時間にまたは所定の時間の期間放出するように製剤化されうる。
【0081】
コントロールされた放出製剤は、(i)延長された時間の期間にわたって身体内に薬物の実質的に一定の濃度を作り出す製剤;(ii)所定の遅延時間の後に延長された時間の期間にわたって身体内に薬物の実質的に一定の濃度を作り出す製剤;(iii)有効薬物物質の血漿レベルのばらつきと関連した望ましくない副作用の最小化を伴って、身体における相対的に一定の有効薬物レベルを維持することにより、所定の時間の期間薬物作用を持続させる製剤;(iv)例えば、コントロールされた放出組成物を、疾患のある組織もしくは器官に隣接して空間的に配置するかまたは疾患のある組織もしくは器官に空間的に配置することにより薬物作用を局所化する製剤;および(v)薬物を特定のターゲット細胞型に送達するように担体または化学的誘導体を使用することにより薬物作用をターゲティングする製剤を含む。
【0082】
コントロールされた放出製剤の形態にある薬物の投与は、薬物が、単独でまたは組み合わせにおいて、(i)狭い治療指数(即ち、有害な副作用または毒性反応をもたらす血漿濃度と治療効果をもたらす血漿濃度との差が小さい;一般に治療指数TIは、50%平均致死量(LD50)対50%平均有効量(ED50)の比として定義される);(ii)胃腸管における狭い収吸ウインドー;または(iii)血漿レベルを治療レベルに維持するために1日に頻繁に投与することが必要なような非常に短い生物学的半減期、を有する場合に特に好ましい。
【0083】
放出の速度が問題の薬物の代謝の速度より勝っているコントロールされた放出を得るために、多数のストラテジーのいずれかを遂行することができる。コントロールされた放出は、例えば種々のタイプのコントロールされた放出組成物およびコーティングを含む、種々の製剤パラメーターおよび成分の適切な選択により得られうる。かくして、薬物は、適切な賦形剤により、投与されるとコントロールされた方式で薬物を放出する薬学的組成物(一単位または多数単位錠剤またはカプセル組成物、油溶液剤、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル剤、マイクロスフェア剤、ナノ粒子、パッチ剤およびリポソーム剤)に製剤化されうる。
【0084】
経口用途のための固体剤形
経口用途用の製剤は、無毒性の薬学的に許容されうる賦形剤との混合物において有効成分(1つまたは複数)を含有する錠剤を含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤または充填剤(例えば、スクロース、微結晶セルロース、バレイショデンプンを含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);顆粒化剤および崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、バレイショデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギネートまたはアルギン酸);結合剤(例えば、アラビアゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコール);および滑剤、スベリ剤(glidants)および接着防止剤(例えば、ステアリン酸、シリカまたはタルク)であることができる。他の薬学的に許容されうる賦形剤は、着色剤、矯味・矯臭剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤等であることができる。
【0085】
錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または錠剤は、場合により胃腸管における崩壊および収吸を遅延させ、それにより、より長い期間にわたり持続した作用を与えるために既知の技術によりコーティングされていてもよい。コーティングは、所定のパターンにおいて(例えば、コントロールされた放出製剤を達成するために)有効薬物物質を放出させるのに適合することができ、またはコーティングは、胃を通過した後まで有効薬物物質を放出しないように適合させることができる(腸溶コーティング)。コーティングは、糖衣、フイルムコーティング(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンに基づく)または腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラックおよび/またはエチルセルロースに基づく)であることができる。時間遅延物質、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートを使用することができる。
【0086】
固体錠剤組成物は、望まれない化学変化(例えば、有効薬物物質の放出前の化学的分解)から組成物を保護するのに適合したコーティングを含むことができる。コーティングは、Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載の方法と同様な方法で固体剤形上に適用されうる。
【0087】
2つの薬物は、錠剤において一緒に混合され得、または分配されうる。例えば、第1薬物は錠剤の内側に含有されそして第2薬物は外側にあり、それにより第2薬物の実質的部分は第1薬物の放出前に放出される。
【0088】
経口用途用の製剤は、そしゃく錠としてまたは有効成分が不活性固体希釈剤(例えばバレイショデンプン、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセル剤、または有効成分が水または油媒体、例えば液体パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセル剤として提示されることもできる。散剤および顆粒剤は、慣用の方法で錠剤およびカプセル剤下の上記した成分を使用して調製されうる。
【0089】
経口用のコントロールされた放出組成物は、例えば有効薬物物質の溶解および/または拡散をコントロールすることにより有効薬物を放出するように構成されうる。
溶解または拡散コントロールされた放出は、薬物の錠剤、カプセル剤、ペレット剤または顆粒製剤の適切なコーティングによりまたは薬物を適切なマトリックス中に配合することにより達成されうる。コントロールされた放出コーティングは、上記した1種以上のコーティング物質および/または例えばシェラック、ミツロウ、グリコワックス、キャスターワックス、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセロールパルミトステアレート、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、および/またはポリエチレングリコールを含むことができる。コントロールされた放出マトリックス製剤においては、マトリックス材料は、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバロウおよびステアリルアルコール、カルボポール934、シリコーン、グリセリルトリステアレート、メチルアクリレート−メチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよび/またはハロゲン化フルオロカーボンを含むこともできる。
【0090】
特許請求の範囲に請求された組み合わせの薬物の1種以上を含有するコントロールされた放出組成物は、浮遊錠剤またはカプセル剤(即ち、経口投与されると、ある長さの時間胃内容物の頂部に浮遊する錠剤またはカプセル剤)の形態にあることもできる。薬物(1つまたは複数)の浮遊錠剤製剤は、薬物(1つまたは複数)と賦形剤および20〜70%w/wの親水コロイド、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物を顆粒化することにより調製されうる。次いで得られた顆粒剤を錠剤に圧縮成形することができる。胃液と接触すると、錠剤は、その表面近くに実質的に水不透過性ゲルバリアーを形成する。このゲルバリアーは、1より低い密度を維持するのを助けて、それにより錠剤が胃液中に浮遊したままであることを可能とする。
【0091】
経口投与用の液剤
水の添加により水性懸濁剤の調製に適当な散剤、分散可能な散剤または顆粒剤は、経口投与用の便利な剤形である。懸濁剤としての製剤は、分散化剤もしくは湿潤剤、懸濁化剤および1種以上の保存剤との混合物中の有効成分を与える。適当な懸濁化剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等である。
【0092】
非経口組成物
薬学的組成物は、慣用の無毒性の薬学的に許容されうる担体および佐剤を含有する剤形、製剤においてまたは適当な送達装置または移植片により注射、注入または移植(静脈内、筋肉内、皮下等)により非経口的に投与することもできる。このような組成物の製剤化および調製は、薬剤の分野の当業者には周知である。
【0093】
非経口的用途用の組成物は、単位剤形において(例えば、一回投与アンプルにおいて)または数用量を含有しそして適当な保存剤を加えることができる(下記参照)バイアルにおいて提供されうる。組成物は、溶液剤、懸濁剤、乳剤、注入装置、または移植用の送達装置の形態にあることができるか、またはそれは、使用前に適当な水または他の適当なビヒクルにより再構成されるべき乾燥散剤として提供されうる。有効薬物(1つまたは複数)とは別に、組成物は、適当な非経口的に許容されうる担体および/または賦形剤を含むことができる。有効薬物(1つまたは複数)は、コントロールされた放出のためにミクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム等の中に含ませることができる。組成物は、懸濁化剤、可溶化剤、安定剤、pH調節剤および/または分散化剤を含むことができる。
【0094】
本発明に従う薬学的組成物は、無菌注射に適当な形態にあることができる。このような組成物を調製するために、適当な有効薬物(1つまたは複数)を、非経口的に許容されうる液体ビヒクル中に溶解または懸濁させる。なかでも、使用することができる許容されうるビヒクルは、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウムもしくは適当な緩衝剤により適当なpHに調節された水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液である。水性製剤は、1種以上の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチルまたはプロピル)を含有することもできる。薬物の1つが水に僅かにしか溶解しない場合には、溶解増強剤または可溶化剤を加えることができ、または溶媒は10〜60%w/wのプロピレングリコール等を含むことができる。
【0095】
コントロールされた放出非経口組成物は、水性懸濁剤、ミクロスフェア、マイクロカプセル、磁性ミクロスフェア、油溶液剤、油懸濁剤または乳剤の形態にあることができる。あるいは、有効薬物(1つまたは複数)は、生物適合性単体、リポソーム、ナノ粒子、移植片または注入装置中に含ませることができる。ミクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製に使用するための物質は、例えば、生物分解性/生物浸食性ポリマー、例えばポリガラクチン、ポリ−(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)である。コントロールされた放出非経口製剤を製造するときに使用することができ生物適合性担体は、炭水化物(例えばデキストラン)、タンパク質(例えばアルブミン)、リポタンパク質または抗体である。移植片に使用するための物質は、非生物分解性(例えばポリジメチルシロキサン)または生物分解性(例えば(ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)またはポリ(オルトエステル)であることができる。
【0096】
直腸組成物
直腸用途のために、組成物用の適当な剤形は、坐剤(乳剤または懸濁剤型)および直腸ゼラチンカプセル(溶液剤または懸濁剤)を含む。典型的な坐剤製剤においては、有効薬物(1つまたは複数)は、適切な薬学的に許容されうる坐剤基材、例えば、カカオ脂、エステル化脂肪酸、グリセリン化ゼラチン、およびポリエチレングリコールのような種々の水溶性または水分散性基剤と組み合わされる。種々の添加剤、エンハンサーまたは界面活性剤を配合することができる。
【0097】
経皮および局所組成物
薬学的組成物は、ミクロスフェアおよびリポソームを含む普通に無毒の薬学的に許容されうる担体および賦形剤を含有する剤形または製剤において経皮収吸のために皮膚に局所的に投与することもできる。製剤は、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、リニメント剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、溶液剤、懸濁剤、スティック剤、噴霧剤、ペースト剤、硬膏剤、および他の種類の経皮薬物送達システムを含む。薬学的に許容されうる担体または賦形剤は、乳化剤、酸化防止剤、緩衝剤、保存剤、湿潤剤、浸透増強剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、香料および皮膚保護剤を含むことができる。
【0098】
乳化剤は、天然に存在するゴム(例えば、アラビアゴムまたはトラガントゴム)であることができる。
保存剤、湿潤剤、浸透増強剤は、パラベン、例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルおよび塩化ベンザルコニウム、グリセリン、プロピレングリコール、尿素等であることができる。
【0099】
皮膚に対する局所投与用の上記した薬学的組成物は、処置されるべき身体の部分へのまたは該部分の近くへの局所的投与と一緒に使用されることもできる。組成物は、直接の適用に適合させることができ、または特定の薬物送達装置、例えば包帯剤、または替わるものとして硬膏剤、パッド剤、スポンジ剤、ストリップ剤または他の形態の適当な柔軟な材料による適用に適合させることができる。
【0100】
投薬量および処置の期間
組み合わせの薬物は、同じまたは異なる製剤において同時に投与されうるかまたは順次に投与されうることが認識されるであろう。好ましい態様において、薬物は、同じ賦形剤または担体中に一緒に製剤化されうる。順次に投与される場合に、第2(または追加の)有効成分の投与における遅延は、有効成分の組み合わせの有効な効果の利点を失うようなものであるべきではない。この説明にしたがう組み合わせのための最小要件は、組み合わせが、有効成分の組み合わせの有効な効果の利点を伴う組み合わせた使用を意図するべきであるということである。組み合わせの意図した使用は、本発明に従う組み合わせを使用するのを助けるための施設、設備、適応物および/または他の手段により推測されうる。
【0101】
本発明の主題である治療的に有効量の2種以上の薬物は、PMP22遺伝子の増加した発現の効果を減少させるため、CMT1A疾患を発生するリスクを防止または減少させるため、一旦CMT1A疾患臨床的に明らかになってもCMT1A疾患の進行を止めるかまたは遅くするため、および神経障害事象が最初にまたはその後に起こるリスクを防止または減少させるために有用な医薬の調製のために一緒に使用されうる。
【0102】
本発明の有効薬物は、例えば1日に2回または3回分割された用量で投与されうるけれども、組み合わせにおける各薬物の単一日用量が好ましく、単一薬学的組成物単位剤形)おけるすべての薬物の単一日用量が最も好ましい。
【0103】
投与は、数日から数年間毎日1〜数回であることができ、そして患者の一生の間であることさえできる。慢性的にまたは少なくとも周期的に反復する長期投与が大抵の症例で指示されるであろう。
・用語「単位剤形」は、ヒト被検体のための単位投薬量(unitary dosage)として適当な物理的に分離した単位(例えばカプセル剤、錠剤またはローディングされた注射器シリンダー)を指し、各単位は、必要な薬学的担体とともに、所望の治療効果を生じるように計算された必要な所定の量の有効物質(1つまたは複数)を含有する。
【0104】
単位投薬量のための好ましい組み合わせにおける各薬物の量は、処置されるべきヒトの一般的健康状態を考慮して、投与方法、患者の体重および年齢、CMT1A疾患により引き起こされた神経障害損傷の重症さまたは潜在的副作用のリスクを含むいくつかのファクターに依存する。
【0105】
更に、特定の患者に関するゲノム薬理学(薬物動態学、薬力学または治療の効能プロフィル)情報が使用される投薬量に影響を与えることができる。
【0106】
より高い投薬量が必要でありうる特に障害性のCMT疾患症例に応答するとき、またはより低い投薬量が選ばれるべき子供を処置するときを除いて、組み合わせにおける各薬物の好ましい投薬量は、通常、長期維持処置のために通常処方されたまたは多数の相3臨床的研究において安全であることが証明された範囲を超えない用量の範囲内にある。
例えば、
・メチマゾールでは、経口的に摂取されるならば1日当たり約0.5〜約15mg。
局所的に投与されるならば、特定の用量が選ばれるべきである。
・ピロカルピンでは、経口的に摂取されるならば1日当たり約0.1〜約20mg。
最も好ましい投薬量は、長期維持処理のために通常処方された量の1%〜10%の量に相当する。
【0107】
実際に投与される薬物の量は、処置されるべき状態(1つまたは複数)、投与されるべき正確な組成、個々の患者の年齢、体重および応答、患者症状の重症度および選ばれた投与経路を含む関連した状況(relevant circumstances)に照らして、医師により決定される。したがって、上記投薬量範囲は、本明細書における教示のための一般的手引きおよび支持を与えることを意図するが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0108】
治療スキーム、投薬量および投与経路
以下に、ヒトにおける薬物組み合わせの投薬量(投与経路において異なる)を説明する。
【0109】
メチマゾールおよびピロカルピン
1−単一薬学的組成物として経口投与される:数ヶ月間経口的に毎日メチマゾール約0.5〜約15mgおよびピロカルピン約0.1〜約20mg、組成物中の両薬物の最も好ましい投薬量は0.6〜35mg/単位(1日当たり)の範囲にある。
2−数ヶ月間経口的に同時に投与される:数ヶ月間経口的に毎日メチマゾール約0.1〜約15mgおよびピロカルピン約0.02〜約20mg、組成物中の両薬物の最も好ましい投薬量は1.02〜35mg/単位(1日当たり)の範囲にある。
3−数ヶ月間に同時に投与される:数ヶ月間経口的に毎日メチマゾール約0.05〜約15mgおよびピロカルピン約0.01〜約20mg、組成物中の両薬物の最も好ましい投薬量は0.06〜35mg/単位(1日当たり)の範囲にある。
【0110】
本発明で開示された投薬量の中の任意の組み合わせにおけるこの薬物の投薬量は、男性または女性の処置のために提唱される製剤において異なることができる。
【0111】
本発明の追加の局面および利点は、説明のためのみであると考えられるべき下記の実験の節に開示される。
【0112】
実施例1
I.in−vitro実験
市販されているラット初代シュワン細胞
ラットシュワン細胞(SC)初代培養物(Sciencell # R1700)のバイアルを解凍しそしてポリ−L−リシンでプレコートされた75cm2フラスコ中で「Sciencellシュワン細胞培地」(Sciencell # R1701からの基本培地)中に10000細胞/cm2の密度で播種した。培養培地は、シュワン細胞の増殖を促進するための、基本培地、5%ウシ胎仔血清(3H-Biomedical AB # 1701-0025)、1%シュワン細胞増殖サプリメント(3H Biochemical AB # 1701-1752)、1%ゲンタマイシン(Sigma # G1397)および10μMのフォースコリン(Forskolin(Sigma # F6886))からなる。
【0113】
コンフルーエンシー(confluency)に達した後(細胞バッチに依存して4〜10日)シュワン細胞を、穏やかな攪拌または接着性繊維芽細胞からのSC単離を可能とするthy1.1イムノパニング(thy1.1 immunopanning)により精製して、少なくとも95%純度の培養物を産生する。次いでSCを計数し(トリパンブルー法)そして同じSC培地中にポリ−L−リシンでプレコートされた75cm2フラスコ中に播種する。コンフルーエンシーにおいて、細胞をすすぎ、トリプシン処理し(Invitrogen# 15400654から希釈されたトリプシン−EDTA1x)、カルシウムおよびマグネシウムなしにPBS中に希釈された)、計数しそして、FBS5%、細胞増殖サプリメント(CGS)1%、40μg/mlゲンタマイシンおよび4μMフォースコリンを有するSciencellシュワン細胞培地中で12ウエルディッシュ(140000細胞/ウエル)においてプレート培養した。
【0114】
注文品ラット初代シュワン細胞
初代シュワン細胞培養物(SC)は、スプレーグ−ドーリー新生ラット(P0とP2間)坐骨神経から確立される。すべての新生ラットを犠牲にそしてペトリ皿に単離する。解剖を無菌条件下に行う。
【0115】
背側皮膚を後脚および下部胴から除去する。坐骨神経を単離しそして、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(それぞれ、50UI/mlおよび50μg/ml、Invitrogen # 15070)およびウシ血清アルブミン(BSA, Sigma A6003)を補充された氷冷Leibovitz(L15,Invitrogen #11145)を入れた培養ディッシュに移す。ラットにつき両神経を氷冷L15を入れた15mlチューブに移す。次いでL15培地を除去しそして10mg/mlのコラゲナーゼ(Sigma #A6003)を有するDMEM(Invitrogen # 21969035)2.4mlにより置き換える。神経を37℃で30分間この培地中でインキュベーションする。次いで培地を除去しそして両神経を、カルシウムおよびマグネシウムなしのPBS(Invitrogen# 2007-03)中に希釈されたトリプシン(10%トリプシンEDTA10x,Invitrogen # 15400054)により37℃で20分間はく離させる。反応を、DNアーゼIグレードII(0.1mg/ml Roche diagnostic # 104159)およびウシ胎仔血清(FCS10%、Invitrogen # 10270)を含有するDMEMの添加により停止させる。細胞懸濁液を10mlピペットでトリチュレート(triturate)しそして50mlチューブ中のフィルターを通過させた(20μmナイロンメッシユフィルター、Fishersを有するSwinnex 13mm フィルターユニット、Milipore)。細胞懸濁液を室温(RT)で10分間350gで遠心しそしてペレットを、10%FCSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを有するDMEM中に懸濁させる。細胞を計数し(トリパンブルー法)そして5.10〜10細胞/ディッシュの密度でFalcon 100mm Primaria組織培養プレートに播種する。
【0116】
1日の培養の後、培地をDMEM、10%FCS、1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび10μMのシトシンb−D−アラビノフラノシド(Sigma # C1768)と取り換える。48時間後、培地を除去しそして細胞をDMEMで3回洗浄する。次いで、DMEM、10%FCS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、2μMのフォースコリン(Sigma # F6886)および10μg/mlのウシ下垂体抽出物(PEX,Invitrogen # 13028)からなるSC増殖培地を加える。この培地を2〜3日毎に取り換える。
【0117】
8日の培養後に(細胞バッチに依存して4〜10日)、シュワン細胞はコンフルエンシーに達しそして大量の汚染性繊維芽細胞を含有する培養物をthy1.1イムノパニング法により精製する。この精製の後、細胞を、ポリ−L−リシンでプレコートされた75cm2フラスコ中で10000細胞/m2で増殖培地中に懸濁させる。それらがコンフルーエンシーに達すると、細胞をすすぎ、トリプシン処理し(トリプシン−EDTA)、計数しそして12ウエルディッシュ中でプレート培養する(100000細胞/ウエル)。
【0118】
薬物インキュベーション
細胞が12ウエルディッシュ中でプレート培養されて後、培地を、1%のN2サプリメント(Invitrogen # 17502)、1%L−グルタミン(Invitrogen # 25030024)、2.5%FBS(Sciencell # 0025)、0.02mg/mlのコルチコステロン(Sigma # C2505)、4μMフォースコリンおよび50μg/mlのゲンタマイシンを補充されたDMEM−F12(Invitrogen # 21331020)の混合物からなる規定された培地により取り換える。SC分化を促進するために、増殖因子はこの培地には加えられない。
【0119】
24時間後、培地を、1%インスリン−トランスフェリン−セレン−X(ITS, Invitrogen # 51300)、16μg/mlのプトレシン(Sigma # P5780)、0.02μg/mlのコルチコステロンおよび50μg/mlのゲンタマイシンを補充された規定された培地により取り換える。この工程で、プロゲステロンもフォースコリンも培地中に存在しない。
【0120】
1日後、初代シュワン細胞を24時間薬物により刺激する(3ウエル/条件)。各化合物の調製は、細胞培養培地に添加するすぐ前に行われる。
【0121】
ピロカルピン(SIGMA)を、10μM〜10nM濃度範囲で初代シュワン細胞において試験し、メチマゾール(SIGMA)は10μM、1μM、100nMおよび10nMで試験した。
【0122】
薬物を、1%インスリン−トランスフェリン−セレン−X(ITS, Invitrogen # 51300)、16μg/mlのプトレシン、0.02μg/mlのコルチコステロン、10nMプロゲステロンおよび50μg/mlのゲンタマイシンを有するDMEM−F12からなる規定された培地に加える。薬物刺激前および刺激期間中のフォースコリンの不存在は、アデニル酸シクラーゼ飽和を回避する。
【0123】
培養された神経鞘腫細胞
ラット神経鞘腫RT4−D6−P2T細胞系(ATCC # CRL-2468(商標))を、DMEM(ATCC # 30-2002)および10%FCS(invitrogen # 10106)中で解凍する。細胞を空気(95%)−CO2(5%)の雰囲気中で加湿されたインキュベータ中で37℃に維持する。継体数4において、細胞を37℃で5〜15分間トリプシン処理(+1mlのトリプシン−EDTA、0.25%−0.53mM;Invitrogen)によりはく離させる。反応をウシ胎仔血清(FBS)10%を含有するDMEMの添加により停止させる。トリパンブルー排除試験(Sigma)を使用するNeubauer 血球計算機においてウエルを計数する。懸濁液を10mlピペットでトリチュレートし、次いで細胞を室温で10分間350xgで遠心する。はく離した細胞のペレットを再懸濁させそして12ウエルプレートに30000細胞/mlの基準で播種し、48時間後、培地を血清なしの培地(DMEM)により取り換える。15時間後、RT4−D6P2Tウエルを、選ばれた濃度で細胞培養培地に加えられた薬物により刺激する。各個々の薬物(1つまたは複数)組み合わせの調製は、細胞培養培地へのその添加のすぐ前に行われる。
【0124】
定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(Q−RT−PCR)
定量的RT−PCRを使用して、薬物刺激後のPMP22mRNAのレベルを、RT4−D6P2T細胞系におけるハウスキーピングRPS9mRNAと相対的に比較する。
【0125】
薬物インキュベーションの8時間後、細胞を低温無菌化PBSですすぎ、各細胞サンプルからのトータルRNAsを、Qiagen RNeasyマイクロキット(Qiagen # 74004)を使用してSCから抽出しそして精製する。核酸を、1μlのRNAサンプルを使用してナノドロップ分光光度計により定量する。RNAの品位は、BioAnalyzer(Agilent)装置により決定する。
【0126】
RNAsを標準プロトコールにしたがいcDNAに逆転写する。PCR増幅のためのcDNAテンプレートは、20μlの最終容積において、オリゴ(dT)の存在下に42℃で60分間SuperScript II逆転写酵素(Invitrogen # 18064-014)を使用して100ngのトータルRNAから合成する。
【0127】
cDNAを、<<Light Cycler(登録商標)480>>システム(Roche Molecular Systems Inc.)を使用してPCR増幅に付す。各cDNAを、PCR増幅のために使用する前に5倍希釈する。このcDNA2μlは、10μlの最終容積において5μlのMasterミックスキット(Roche # 04-887301001)と共にPCR反応溶液に入れる。予備実験は、両シーケンスについて増幅プロセスの対数期において定量がなされることおよび反応効率がターゲットとハウスキーピング遺伝子間で同様であることを確実にする。
【0128】
Taqmanケミストリーを使用して、RT−Q−PCR分析を行った。Sigma-Aldrichからの500nMの各プライマー(FおよびR)および200nMのプローブTaq1を使用することによりラットPMP22(NM_017037)の増幅によりPCR反応を行う。
【0129】
下記のPCR条件を使用する:95℃で5分間の変性、次いで95℃で10秒、60℃で40秒、および72℃で10秒および40℃で1分(40増幅サイクル)。PMP22遺伝子発現の相対的レベルを、ターゲット遺伝子PMP22から発生した産物の量を比較するCt法および薬物インキュベーションの8時間、24時間および48時間後のフローサイトメトリー(FACS)によるPMP22発現分析にしたがって測定し、初代ラットシュワン細胞の上清を回収し、遠心しそして冷凍する。SCをトリプシン−EDTAで分離する。大多数の細胞が懸濁液中にあるやいなや、トリプシンを10%FCSを有するDMEMを使用して中和する。
【0130】
細胞を有する上清を回収しそして遠心する。細胞のペレットをマイクロチューブ中に移し、PBS中で1回洗浄しそして特定の溶液(AbCys # Reagent A BUF09B)で固定する。10分後、細胞をPBSで1回洗浄しそして4℃に保つ。
【0131】
細胞固定の5日後、異なるインキュベーション時間を有するすべての細胞調製物を下記のプロトコールを使用して標識する。
【0132】
細胞を5分間7000rpmで遠心し、そしてペレットを、透過性化の溶液(AbCys # Reagent A BUF09B)中に懸濁させそして室温で1時間初代PMP22抗体(Abcam # ab61220,1/50)で標識する。次いで細胞を5分間7000rpmで遠心し、そして細胞ペレットをPBS中で1回すすぐ。二次抗体を加え、室温で1時間Alexa Fluor488(ヤギ抗ウサギIgG、Molecular Probes # A11008,1/100)にカップリングさせる。次いで細胞を5分間7000rpmで遠心しそして細胞ペレットをPBS中で1回すすぐ。標識化は、室温で1時間のインキュベーションでAlexa Fluor488(ニワトリ抗ヤギIgG、Molecular Probes # A21467,1/100)にカップリングさせた三次抗体を加えて増加させる。次いで細胞をPBS中で1回すすぐ。なんらの抗体なしのコントロール(標識されていない細胞)を自己蛍光のレベルを決定するのに使用しそして光電子増倍管の感度に適合させる。二次抗体および三次抗体を有するが一次抗体を有していないコントロールを、抗体の非特異的結合を評価するのに使用する。
【0133】
データ取得および分析は、5000の細胞に関してFACS ArrayサイトメーターおよびFACS Arrayソフトウエア(Becton Dickinson)により行われる。細胞容積(サイズ)と相関した前方散乱(FSC)および細胞内部の複雑さ(粒状性)に依存する側方散乱(SSC)を分析する。PMP22の発現について、トータル細胞内で分析を行いそしてポジティブ細胞の百分率を計算する。ポジティブ細胞は二次抗体を有するコントロールより高い蛍光強度を有する細胞である。
【0134】
SCの数を定量するために、コントロール培地中の細胞を、抗体抗S100プロテインを使用して分析する。
【0135】
細胞を下記のプロトコールにしたがって調製する:シュワン細胞を室温で1時間抗体抗S100プロテイン(Dako # S0311,1/100)で染色する。この抗体をPMP22免疫染色で述べたプロトコールにしたがって、しかし三次抗体とのインキュベーションなしに、標識する。
【0136】
結果
本発明者等は、PMP22mRNAレベル(図1)が初代シュワン細胞において有意に減少していること、およびピロカルピンの1μM用量は、最も重要なPMP22ダウンレギュレーションを誘導することを観察した。:p<0.05;***:p<0.001;コントロールとは有意に異なる(ペアーワイズスチューデントt検定)。右では、ピロカルピンに24時間暴露されて、PMP22mRNA発現レベルが、低い用量(10nMおよび50nM)においてすら初代シュワン細胞において有意にダウンレギュレーションされる。同様に、本発明者等は、ピロカルピン(1μM)が、24時間のインキュベーションの後PMP22タンパク質発現レベルを、初代シュワン細胞において38%、有意に減少させることを観察した。この効果は、48時間のインキュベーションの後も依然として有意である(−18%、p<0.001)。
【0137】
他の実験において、薬物(表1に列挙された)を、8時間の期間ラット神経鞘腫細胞系とインキュベーションしそしてPMP22mRNA発現レベルをRT−Q−PCRにより定量する。本発明者等は、個々の薬物として使用された、メチマゾール(0.1nm)およびピロカルピン(0.001nm)はPMP22mRNA発現レベルに対する有意な活性を及ぼさず、この発現レベルはそれらの組み合わせにより有意に減少させられることを観察した。これらの2つの薬物の相乗性は図2に示される。これらのデータは、選ばれた濃度でピロカルピンとメチマゾールの組み合わせが培養された神経鞘腫細胞におけるPMP22遺伝子の発現を有意にダウンレギュレーションすることができるが、初代シュワン細胞においてより高い濃度で活性なピロカルピンおよびメチマゾールはこの系におけるこの遺伝子の発現のレベルを減少させないことを証明する。
【0138】
II.CMT動物モデルにおけるin vivo実験
本発明者等は、CMTトランスジェニックラットモデルでの治療効果について化合物および組み合わせを試験したところ、マウスPMP22遺伝子の3つの追加のコピーを有するヘミ接合PMP22トランスジェニックラットは末梢神経および頭側神経における脱髄の症状を示す(Sereda et al., 1996; Grandis et al., 2004)。mRNAレベルでは、CMTラットにおけるPMP22の平均1.6倍の過剰発現は臨床的表現型と相関する。野生型遺伝子が疾患遺伝子に変わるPMP22過剰発現の推定的閾値レベルは、PMP22遺伝子発現を減少させることを目的とした処理により達成するべき明白な「目標」を示す。
【0139】
このCMTラットモデルは、臨床的観点からはヒトCMT1A疾患の良好な近似である。成熟CMTラットは、CMT1A患者の値と同様な、即ち50%未満の値、を有する運動神経伝導速度の遅速化を示す。坐骨神経刺激後、複合筋活動電位は、減少した振幅および脱同期化を示す。組織学的および電気生理学的変化が運動障害の明白な臨床的兆候に先行する(Sereda et al., 1996, 2003)。組織学的に顕著な筋萎縮により確認される軸索損失は、ヒトCMT1A症状と合致している。
【0140】
CMTラットは、実験的CMT1A治療用のモデルとして既に使用されている(Meyer zu Hoerste et al. 2007)。CMT1A疾患のこのモデルにおいて、病理の明白なおよび隠された兆候(運動欠損症、特に電気生理学的及び組織特性の特定の変化および最後にPMP22過剰発現のレベル)はCMT1A患者でみられる兆候に最も近いと思われる。
【0141】
本発明者等は、ラットモデルで治療効果について化合物および組み合わせを試験した。実験群は、別々に両性の若いラットで形成される。ラットは、体重に基づく無作為化スケジュールにしたがって群に割り当てられる。いくらかの実験では、無作為化は、バーテストにおけるラットの性能に基づく。両性は、数値的には処理群に等しいかまたは処理群より大きい別々のコントロール同腹子群により表わされる。ラットは、薬物生物利用性に依存して3または6週間の期間、薬物で慢性的に処理される−Alzet浸透圧皮下ポンプ(DURECT Corporation Cupertino,CA)により強制的に供給されるかまたは注射される。
【0142】
増加する体重に用量を調節するために、動物の体重を1週間に2回測定する。処理投与のために浸透圧ポンプが選ばれるならば、薬物の用量は、ポンプ持続の期間(6週間)にわたりその年齢について予測された動物の評価された平均体重に基づいて計算される。ポンプは適切な麻酔プロトコールにより、必要ならば再移植される。
【0143】
挙動試験
各3週間または4週間、動物を挙動試験に付す。各試験は、同じ部屋でかつその日の同じ時間に同じ研究者により行われ;この均一性は全実験にわたり維持される。すべての処置および遺伝子型決定は、研究者について盲検化される。「バー試験」および「掴み強度」か、研究全体にわたり性能を検討するために主として使用された。バー試験のスケジュールは、動物の成長につれて変えることができる(例えば、学習によるバイアスを回避するために)。
【0144】
掴み強度のアッセイは、筋力、感受性の状態(例えば、痛みを伴う触覚は力の測定された値を変えることがある)、挙動成分(「誘因」)からなると思われる掴み性能の僅かな差の検出を可能とする。値は、前肢と後肢で異なりそして動物の年齢に大きく依存する。
【0145】
掴み強度試験は、動物が別々にその前脚またはその後脚により掴みをしっかりと握って離さない強度を測定する。強度を測定するための掴みを有する力量計を配置する(Force Gauge FG-5000A)。ラットは、ラットがその前脚またはその後脚で掴みを掴みそしてラットが掴みを離すまでラットを後方に穏やかに引っ張るように、実験者により保持される。動物が掴みを離すときに測定された力を記録する。
【0146】
動物当たり前脚力を測定する2つの引き続く実験および後脚力を測定する2つの引き続く実験を処理する;最大スコアのみ(前脚で1つおよび後脚で1つ)を記録する(Nにおいて)。
【0147】
バー試験
バー試験は、固定ロッドを掴み続けるラットの能力を評価する。筋肉の弱さを示すPmp22ラットは、この試験で性能不足を示す(Sereda et al., 1996)。ラットを、ロッド(直径:2.5cm;長さ:50cm;テーブルの上30cm)の中央にその4つの脚を置く。実験を引き続いて行い;本発明者等の実験における試験の数(5または10)および期間(30または60秒)は、動物のバッチに依存していた。試験におけるこの変動性は、実験の過程でCMTラットの運動欠損の最善の検出に適合したスケジュールを決定するために導入された。
【0148】
性能指数を、各セッションで記録する。
−ロッド上に60秒または30秒保持するのに必要な試験の数。
−各試験でバー上で消費された平均時間(即ち、落下潜時(fall latency))およびセッションでの平均。実験過程において、セッションは、ラットがバー上にカットオフ時間、即ち30または60秒間2回とどまった後終了する。カットオフ時間(30または60秒)の性能は、完了していない試験に割り当てられる。
−落下の数
【0149】
一般的健康評価
動物の体重、明白な兆候(毛の外観、体の姿勢、振せん)は実験全体にわたり監視される。評価スケールは、0=正常、1=異常を記録するために使用される。
【0150】
足どり
各ラットを5分間汚れなしの新規なラットケージ(寸法55x33x18cm)において観察する。ラット足どりを4つのパラメーターで評価する。
−スコア0:正常な足どり(流れるような(fluid))
−スコア1:異常な足どり(流れるようでないまたはラットは僅かなびっこを引く)
−スコア2:中程度の無能(incapability)(ラットは一方の脚を引きずり、そしてそれを直しそして歩くことができる)
−スコア3:重症の無能(ラットはその一方または両方の後脚を引きずるが、それ/それらを直すことができない)
【0151】
傾斜面試験
滑り装置は、0°(水平)から60°までの角度で傾斜していることができる30x50cmのプレキシガラス面を有していた。各ラットを、頭を上にした姿勢(ヘッドアップ方位)で25°の角度の傾斜面に最初に置き、1分だけ離れた2つの試験を行う。30分後、同じ実験を35°の角度の傾斜面で行い、次いで40°の角度の傾斜面で行う。この時間の間ラットをそのケージに戻した。面を各試験の後清浄にする。
【0152】
ラットの性能を4つの異なるスコアにより評価する:
−スコア0:滑りなし
−スコア1:僅かな滑り(一方または両方の脚)
−スコア2:中程度に滑る(4つの脚)が面の端部までは滑らない
−スコア3:ラットは面のまさにその最下部まで滑っている。
【0153】
電気生理学
適当ならば、ラットを電気生理学的評価に付す:感覚神経伝導速度(sensitive nerve conduction velocity)ならびに潜時および電位振幅を測定する。NCV測定および電位獲得(potential acquisition)(皮下)を、増幅器、(AM System 1700および/またはEMG-UTC)、刺激装置(Havard apparatus 223)および獲得カードおよび獲得のためのソフトウエア(SPATOL)およびシグナル処理のためのソフトウエア(CALVISE)を備えたコンピュータからなるチェーンの助けにより行った。動物をケタミン/キサラジンを使用して麻酔しそして試験全体にわたりサーモスタットを備えたプレート上で37℃に維持した(麻酔は必要に応じて補給された)。刺激性銀針電極を尾の近位部に挿入した。記録電極を尾の遠位部(刺激電極から4および6cm)において約1mmの皮膚を通して皮下に挿入した。一定の電流方形波刺激、期間が0.2秒、を秒当たり0.3の周波数で与えた。5.000〜20.000倍に増幅された応答を可視化しそしてコンピュータに基づいたデータ獲得システムで収集した。潜時を、各波開始(ベースラインから最初に明らかに同定可能な偏位として定義された)で測定した。最も大きい偏位のピークからピークまでの振幅を計算して最大振幅を決定した。
【0154】
各記録について、少なくも10回の同一刺激に対する平均応答に関して測定を行った。
感覚関連伝導速度(sensory related conduction velocity(SNCV)を、刺激カソード間の距離を2つの部位の刺激から得られた対応する潜時間の差で割ることにより計算した。
【0155】
組織学的測定
最後の試験(最後の日まで続けられている処理)が終わると、ラットを安楽死させた。野生型ラットおよびトランスジェニックラットの後足を切り離し、そして4%ホルマリン溶液中に浸漬することにより固定し、そして追加の2日間10%ホルマリン溶液中に移した。水中で15分間すすいだ後、次いでそれらを26時間脱灰のための処理をした(Labonord Decalicifant rapide n°3 # DC3_09128300)。次いで足を2つの片に横断方向に切断し、それらをオスミウム着色のために処理する。
【0156】
組織を1%四酸化オスミウム溶液(VWR, Osmium VIII oxide 0.5g # 20551.076)の上に24時間つるし、次いで脱塩水で4〜6時間すすぐ。次いで組織を包埋の自動機械ートにおいて脱水し(VIP2000 Vertical, Bayer Diagnostics)そして古典的にパラフィン中に包埋した。
4μmの組織切片を引き続くキシレンおよびアルコール浴において脱水そして更なる分析のためにスライドに載せた(Pertex glue, # T/00911_MICROM)。
【0157】
像分析
6匹の動物からの切片を注意深く選んで同じ解剖学的レベル(趾接合部)を例示しそしてSaisam マイクロビジョンソフトウエア(Microvision InstrumentsによるArchimed pro(登録商標)1997-2000)とカップリングさせたOlympus 顕微鏡下に分析する。末梢神経を局所化しそして下記のとおり分析する:円形有髄繊維(circulary myelinated fibers)を計数する(神経繊維束少なくとも150繊維/動物)。有髄繊維の内周および同じ有髄繊維の外周に相当する軸索突起直径(cylindraxe diameters)を決定する。次いで、本発明者等は、野生型およびトランスジェニック動物の髄鞘厚さおよび軸索直径の分布を比較した。
【0158】
更に、本発明者等は、同じ神経切片の光学密度を測定して非有髄繊維含有率(オスミウム切片で見えず、それゆえ分析されない)がトランスジェニック動物でより高い(神経切片の全体的に青白い外観により反映される)かどうかを決定する。
【0159】
最後に、神経分析のために使用される以外の同じ切片に存在するすべての足筋肉を、手動で輪郭を描いて全体的筋肉表面を決定する。次いで本発明者等は、「筋肉含有率/切片表面」の比を計算した。
【0160】
坐骨神経を切除しそして重量測定のためおよび分子生物学および/または生化学アッセイのために使用する。(PMP22mRNAのためのRT−Q−PCRおよびミエリンタンパク質定量のためのウエスタンブロット;アラキドン酸代謝物などの生化学的マーカーのためのCaymanのEIAキット、ステロイドおよびアミンのためのHPLC定量、一般的に使用されるプロトコールに従って行われるCNTF、IL−6等のためおよび分析処理(薬物濃度測定)のためのELISA。
【0161】
後肢筋(ヒラメ筋)をサンプリングし、重量を測定し、急冷凍し(snap-frozen)、そして分析まで−80℃に保存する(坐骨神経の場合と同じ)。
【0162】
結果
強制された供給により投与されたメチマゾール(0.35mg/kg日用量)およびピロカルピン(0.2mg/kg日用量)は、処理手順全体にわたりバー試験性能を改善する(図3)が、化合物PXT25(比較のためにのみここに提示される)は、殆ど何らの改善も示さない。
【0163】
運動性能は、野生型(WT)群と比較してプラセボで処理された異なるCMT TGラットにおいて平均して3倍少ない合格であった。メチマゾールおよびピロカルピンによる処理は、この実験ではTG動物の改善を可能とし、効果は強制供給の8週間後で早くも統計的に有意となる。
【0164】
データは、これらの相対的に高い用量のメチマゾールおよびピロカルピンで処理されたCMTラットは、プラセボ群と比較して有意によりよい性能となったことを示す。化合物ピロカルピンで処理された群は、WTプラセボ群の性能のレベルと有意に異ならない性能のレベルを回復すらした。
【0165】
尾の遠位部で測定したSNAPは、TGプラセボ群において有意に減少しており、これは脱髄による重要な軸索損失を反映している可能性がある。この電気生理学的パラメーターは、化合物Aにより処理すると有意に改善されるが、図4、化合物Bで処理されたトランスジェニックラットのSNAPは、有意のための名目上の5%閾値に近付いている。
【0166】
この観察は、末梢神経のミエリン形成状態が測定可能に改善されないとしても、メチマゾールの作用が軸索損失を防止することができることを我々が推定することを可能とする。ピロカルピンの効果は、群内変動性のゆえにプラセボ群パラメーターとの差が統計的有意に達しなかったとしても、本質的に同じであると思われる。CMT1Aにおいて、(感覚神経活動電位)(SNAP)振幅は、より多く減少しそしてSNAP期間はCMT2におけるよりも長い。CMT1Aにおける複合筋活動電位(CMAP)およびSNAP振幅の減少は、多分、脱髄および軸索機能不全の組み合わさった効果である(Bienfait et al., 2006)。
【0167】
研究の終わりに、形態学的分析を行った。後肢組織の測定は、坐骨神経およびヒラメ筋がコントロールWTラットと比較してプラセボで処理されたCMT雌ラットにおいて有意に減少していることを示す(図5)。
【0168】
これらの欠損は、化合物A処理により完全に矯正されると思われる。:上記筋および神経の絶対質量は、コントロールWTラットにおけるよりも高くさえあるが、全体重は、プラセボ群(データは示されていない)と比較して、化合物A群においてむしろ減少している。後肢筋および神経に対するピロカルピン処理の効果は、メチマゾールの効果より小さいと思われる。
【0169】
メチマゾール(4mkg/kg)およびピロカルピン(7mkg/kg)の50倍低い用量の混合物1(表1)は、図6に示されたとおり10週間の強制供給された処理の後雌ラットの足どりスコアを改善する。本発明者等は、6週間の処理の後ポジティブな傾向を観察した。
【0170】
下記の図は、3つの異なる挙動および電気生理学的試験における雄ラットに対するピロカルピン(7mkg/kg);メチマゾール(4mkg/kg)、ミフェプリストン(40mkg/kg)、ナルトレキソン(4mkg/kg);バクロフェン(60mkg/kg)およびソルビトール(2mg/kg)を含有する混合物2(表1)のポジティブな効果を示す。
【0171】
図7は、これらの用量での混合物2は、尾の神経電気的刺激の後CMTプラセボラットで見出された興奮性閾値の上昇を減少させることを示す。
図8は、バー試験での雄の性能に対するポジティブな効果を示し;4週間の処理の後、落下の数は減少しそしてロッドでの消費時間は増加する。
【0172】
図は、混合物2が3週間の処理の後雄ラットの足どり性能も改善し、流れるような足どりで歩くラットの百分率は、CMTプラセボラットと比較して処理されたラットで35%増加することを示す。
【0173】
同様な結果が、他の組み合わせで得られそして結果の要約を表1に示す。
【表1】
【0174】
これらのデータは、in vivoで、本発明の組み合わせおよび治療方式はCMTの有効な処理を可能とすることができることを示す。
【0175】
III.毒性神経障害のモデルにおけるin vivoでの効果
薬物処理または治療方式は、オキサリプラチン3mg/kgの最初の腹腔内注射の前の日(D−1)から最後の試験日の前の日(D16)まで経口投与される。オキサリプラチン処理群に属する動物は、蒸留水を毎日投与される(10ml/kg)。動物は、試験された処理および蒸留水を毎日朝の間投与されるが、これに対してオキサリプラチンは午後に投与される。
【0176】
試験日(即ち、D1、D4、D10)の間、処理および蒸留水を試験の後に投与される。化合物およびビヒクル投与およびオキサリプラチン注射を含む、試験日(D4)に関して、処理および蒸留水は、試験後オキサリプラチンの注射の前に投与される。参照処理群からの動物は、試験日(D1、D4、D10およびD17)の間のみ投与される。
【0177】
低温アロディニア(cold allodynia)は、D1(オキサリプラチン3mg/kgの最初の注射の約24時間後(オキサリプラチンの急性効果))、D4、D10および(オキサリプラチンの慢性効果)およびD17(処理の完了の1週間後のオキサリプラチンの残留効果)に熱的非侵害性刺激(non-nociceptive stimulation)に対する応答を測定すること(アセトン試験)により評価される。
試験は、参照の投与の2時間後アセトン試験を使用して行われる。
参照物質は、ガバペンチン、100mg/kg、経口(1日1回×4試験日)。
【0178】
アセトン試験
低温アロディニアをアセトン試験により評価する。この試験において、後脚引っ込め(hind withdrawal)の潜時を、両後脚の足底表面にアセトンの滴を適用した後測定し(反応時間)そして応答の強度をスコア化する(低温スコア)。
【0179】
アセトンの冷却効果に対する反応時間は、アセトン適用後に20秒(カットオフ)以内に測定する。アセトンに対する応答も下記の4ポイントスケールに等級別される:0(応答なし);1(脚の速い引っ込め、払いのけ(flicking));2(脚の長期の引っ込めまたは顕著な払いのけ):3(舐めまたは噛みを伴う脚の反復払いのけ)。ラットによる6試験を行う。各実験群について、結果は、±SEMと共に各ラットについて6つのスコアの和として定義された累積客観的スコアとして表わされる。最小スコアは0(6つの試験のいずれにも応答なし)でありそして最大可能なスコアは18(6つの試験の各々に関して脚の反復払いのけおよび舐めおよび噛み)である。
【0180】
ガバペンチン:ソース:Zhejiang Chiral Medicine Chemicals,China
オキサリプラチン:ソース:Sigma,France
【0181】
結果
オキサリプラチンにおける混合物2の試験の結果を図10に示す。混合物2は毒性薬物処理により誘導される神経障害から動物を保護することは明らかである。
【0182】
IV.ALSのモデルにおけるIn vivo効果
動物モデル
本発明者等は、筋萎縮性側索硬化症病理を模倣したSOD1G93Aラットモデル(Howland DS et al., 2002により発生された)を選んだ。このモデルは、脊髄、多くの脳領域および末梢組織における突然変異したSOD1遺伝子を過剰発現する(Howland DS et al., 2002)。このモデルの運動ニューロン疾患の発症は、約115日目であり(Howland DS et al., 2002);それは後肢異常足どり(hind limb abnormal gait)として現れる。数日で、後肢の麻痺が生じる。
【0183】
実験手順
繁殖動物SOD1G93Aをスプレーグ・ドーリー雌ラットと交配させることによりコロニーを得た。ヘテロ接合SOD1G93Aラットは、hSOD1に特異的なプライマーで尾のDNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で同定された(Howland DS et al., 2002)。動物をコントロールされた照明(0500〜1900時に照明)および温度(23±1℃)を有する部屋に保ち、そして食物および水を自由に摂取できるようにした。この研究におけるすべての動物処理は、動物医療のガイドライン標準にしたがって行われた。
【0184】
体重測定を毎週行い、そして挙動試験を60日の年齢で開始しそして終点まで続けた。処理を5週間の年齢から経口または皮下の方法により毎日おこなった。
【0185】
観察試験:一般的局面の特徴付け
各ラットを5分間汚れなしの新規なラットケージ(寸法55x33x18cm)において観察した。5つの異なるパラメーターを記録する。
【0186】
足どり(gait)
−スコア0:正常な足どり(流れるような(fluid))
−スコア1:異常な足取り(流れるようでないまたはラットは僅かなびっこを引く)
−スコア2:中程度の無能(incapacity)(ラットは一方の脚を引きずり、そしてそれを直しそして歩くことができる)
−スコア3:重症の無能(ラットはその一方または両方の後脚を引きずるが、それ/それらを直すことができない)
【0187】
毛の様相
−スコア0:清浄および絹のような毛
−スコア1:立毛または汚れた毛
【0188】
震せん
−スコア0:震せんなし
−スコア1:震せん
【0189】
身体姿勢
−スコア0:正常
−スコア1:異常(平らになった(flattened)およびその背中を弓状に曲げる)
【0190】
後脚の姿勢
−スコア0:正常
−スコア1:後脚を広げる
【0191】
運動スコア試験:運動欠損の特徴付け
この試験は、ラットの30秒以内に自分自身常態に戻して両側に回転する能力を評価する(立ち直り反射)を評価する(Gale. K et al, 1985)。
【0192】
ノンパラメトリックスコアリングシステムをこれらの基準にしたがって使用する(matsumoto A.et al, 2006; Thonhoff JR et al,2007):
−スコア0:ラットは30秒以内に両側から自分自身を立ち直らせることができない;
−スコア1:ラットは30秒以内に一側のみから自分自身を立ち直らせることができない;
−スコア2:ラットは30秒以内に両側から自分自身を立ち直らせることができるが、ケージの中で立つことができない;ラットは常に身体のある部分を引きずっている;
−スコア3:ラットは30秒以内に両側から自分自身を立ち直らせることができ、ケージの中で立つことができないが、身体のある部分を引きずっていない;
−スコア4:ラットは30秒以内に両側から自分自身を立ち直らせることができ、ケージの中で立つことができるが、可視機能欠損を有する;
−スコア5:ラットは30秒以内に両側から自分自身を立ち直らせることができ、ケージの中で立つことができ、可視機能欠損を有していない。
【0193】
疾患の終点は、スコア0に決められ、ラットを次いで安楽死させる。
【0194】
傾斜面試験:運動欠損の特徴付け
滑り装置は、0°(水平)から60°の角度で傾斜していることができる30x50cmのプレキシガラス面を有していた。各ラットを、頭を上にした姿勢(ヘッドアップ方位)で25°の角度の傾斜面に最初に置き、1分だけ離れた2つの試験を行う。30分後、同じ実験を35°の角度の傾斜面で行い、次いで40°の角度の傾斜面で行う。この時間の間ラットをそのケージに戻した。面を各試験の後清浄にする。
【0195】
ラットの性能を4つの異なるスコアにより評価する:
−スコア0:滑りなし
−スコア1:僅かな滑り(一方または両方の脚)
−スコア2:中程度に滑る(4つの脚)が面の端部までは滑らない
−スコア3:ラットは面のまさにその最下部まで滑っている。
【0196】
金網試験:困難な状況における運動能力の特徴付け
金網を頂部で箱と接触させ(70°の角度で)そして底部でテーブルの縁と接触させて置いた(Thonhoff JR et al, 2007)。各ラットを金網の底部に置き、そして箱の中には頂部にラットの同腹子を置くことにより上昇するための動機を与えられた。各ラットを1週間に1回訓練した(3試験)
記録されたパラメーターは金網の頂部にタッチするまでの潜時であった。
【0197】
オープンフィールド試験:運動活動の特徴付け
運動活動を、床上1cmおよび5cmに2つの軸に従う16ホトセルビームを有するプレキシガラスボックス(45x45x30cm、BIOSEB, Lyon, FranceによるActi-Traqck)において測定した。
【0198】
各ラットの自然に起こる活動および診査活動を3時間の間評価した。4つのパラメーターを記録した(トータル移動距離、立ち上がり(reariings)の数、移動した距離およびオープンフィールドの中心で過ごした時間の百分率)。
【0199】
【表2】



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]