(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5677948
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】2つの蓄電素子を含む蓄電システムの再充電装置及びかかる再充電装置の関連した使用方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20060101AFI20150205BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20150205BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20150205BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 P
B60L11/18 C
H01M10/44 Q
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-515562(P2011-515562)
(86)(22)【出願日】2009年6月25日
(65)【公表番号】特表2011-526142(P2011-526142A)
(43)【公表日】2011年9月29日
(86)【国際出願番号】FR2009051219
(87)【国際公開番号】WO2009156696
(87)【国際公開日】20091230
【審査請求日】2012年6月18日
(31)【優先権主張番号】0854352
(32)【優先日】2008年6月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507274799
【氏名又は名称】プジョー シトロエン オートモビル エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】グリヴォ, アントワンヌ
【審査官】
石川 晃
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−189854(JP,A)
【文献】
特開2007−274784(JP,A)
【文献】
特開2007−274840(JP,A)
【文献】
特開2008−125163(JP,A)
【文献】
特開2007−244124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
B60L 11/18
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電網からの電気エネルギーの蓄電システムの再充電装置であって、前記蓄電システムが、電気自動車又はハイブリッド車の給電源として使用され、前記システムが、
第1の電気エネルギー蓄電素子(1)、特にバッテリと、第2の電気エネルギー蓄電素子(2)、特にスーパーキャパシタパッケージと、
前記第1素子と第2素子との間に配置された直流−直流電気コンバータ(3)とを含み、前記第1素子が、第1の使用直流電圧を有し、かつ前記第2素子が、前記第1の電圧を超え得る第2の使用直流電圧を有し、
一方ではコンバータが前記第2素子(2)に接続される側で、前記コンバータに電気的な結合によって接続され、他方では前記給電源に取外し可能な電気的な結合によって接続された電圧整流装置(5)であって、給電網から供給された交流電圧を前記コンバータの動作範囲内に含まれる直流電圧に整流可能である整流装置(5)と、さらに
前記第2素子の充電電流の制御手段(4、6)であって、前記コンバータ(3)と前記第2素子(2)との間に配置された制御手段とを含み、
前記制御手段が、起動により、第1素子(1)の充電中に、前記コンバータ(3)から前記第2素子(2)を電気的に絶縁することが可能になる、切断装置(4)を含むことを特徴とする再充電装置。
【請求項2】
前記切断装置(4)が、電気機械式継電器又は電子的整流システムであることを特徴とする、請求項1に記載の再充電装置。
【請求項3】
前記整流装置(5)が、単相又は三相ダイオードブリッジによって構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の再充電装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の再充電装置の使用方法であって、給電網から蓄電システムを充電するために、一方ではコンバータが第2素子(2)に接続される側で、コンバータ(3)に電気的な結合によって接続され、他方では給電源に取外し可能な電気的な結合によって接続された電圧整流装置(5)を使用して、給電網から供給される交流電圧を前記コンバータ(3)の動作範囲内に含まれる直流電圧に整流し、かつ
第1蓄電素子(1)と、第1素子(1)の充電を制御する制御装置(4、6)との間に配置されたコンバータ(3)を使用し、
請求項1又は2に記載の再充電装置を利用する場合に蓄電システムを再充電するために、
整流装置(5)によって供給される整流電圧がコンバータ(3)の入力端子に印加され、前記コンバータが、印加された電圧レベルを第1素子(1)の充電電圧値の範囲と整合するように適合させながら、電気エネルギーを第1素子(1)に向けて移行させ、付随的に、
第1素子(1)の再充電中に第2素子(2)を電気的に絶縁するように、前記第2素子(2)とコンバータ(3)との間に配置された切断装置(4)を起動させることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学蓄電池のような第1蓄電素子と、EDF(フランス電力公社)の家庭用配電網のような電源から再充電可能なスーパーキャパシタのような第2蓄電素子とを含む蓄電システムの再充電装置、並びにこの装置の使用方法に関する。
【0002】
本発明は、製造コストを削減し、かつハイブリッド車又は完全な電気自動車のバッテリを再充電するための再充電装置を簡略にすることを特に目的とする。
【背景技術】
【0003】
少なくとも1つの蓄電素子を含むハイブリッド車又は完全な電気自動車が知られている。一般的に、この素子は、パワートレインを介して自動車の運動エネルギーによって、又は熱機関によって駆動される発電機によって、又は給電網からの再充電によって再充電できる。この蓄電素子は、一般的に化学蓄電池である。このようにして、幾つかのハイブリッド車及び電気自動車は、220Vの交流電圧を供給するEDF網のような配電網から再充電可能である。このタイプの充電では、EDF配電網の電圧レベルを、再充電のためにバッテリが必要とするレベルに適合させることを可能にする充電器を利用する必要がある。しかるに、かかる充電器は、重く、複雑かつ高価な設備である。
【0004】
その上、自動車の増大する需要に応えるべく、蓄電容量を増加させるために、第1蓄電素子の蓄電容量とは異なる蓄電容量を有する第2蓄電素子の給電システムが付与された。この第2蓄電素子は、一般的にスーパーキャパシタである。
【0005】
一般的に、自動車に搭載する電気網において、スーパーキャパシタ端子における公称の使用直流電圧は、例えば0Vから300Vに及ぶことがあり、他方でバッテリ端子における公称電圧は、100Vである。
【0006】
このようにして二電圧電気エネルギーの全体的供給網が得られる。2つの蓄電素子は、直流−直流電圧コンバータ(又はDC−DCコンバータ)を介して互いに結合される。このコンバータは、自動車の様々な機構及び付属品の電気的な需要に応じて2つの蓄電素子間での電気エネルギーが移行できるように機能する。
【0007】
しかるに、スーパーキャパシタの電圧が、バッテリの電圧よりも低いとき、予備充電の問題又は初期充電の問題が現れる。
【0008】
一般的に、コンバータの動作領域外で、DC−DCコンバータ自体から、この第2素子を充電することはできない。しかし、この第2素子は、より高い電源から直接充電されるときは、非常に大きな初期電流が発生する可能性があるので、この第2素子の充電電流を制限する必要がある。
【0009】
したがって、本発明は、特定の充電器の付加を必要とせず、それゆえ利用がより簡易であり、かつ公知の再充電装置に比べて安価であって、給電網からの異なる公称の使用直流電圧を有する2つの蓄電素子を含む蓄電システムの再充電装置を提案することを狙いとする。
【発明の概要】
【0010】
したがって、そのために、本発明は、給電網からの電気エネルギーの蓄電システムの再充電装置であって、前記蓄電システムが、電気自動車又はハイブリッド車の給電源として使用され、前記システムが、
−第1の電気エネルギー蓄電素子、特にバッテリと、第2の電気エネルギー蓄電素子、特にスーパーキャパシタパッケージと、
−前記第1素子と第2素子との間に配置された直流−直流電気コンバータとを含み、前記第1素子が、第1の使用直流電圧を有し、かつ前記第2素子が、前記第1の電圧を超え得る第2の使用直流電圧を有する再充電装置に関する。
【0011】
本発明によれば、再充電装置は、
− 一方では、コンバータが前記第2素子に接続される側から前記コンバータに電気的な結合によって接続され、他方では、前記給電網に取外し可能な電気的な結合によって接続された電圧整流装置であって、前記給電網から供給された交流電圧を前記コンバータの動作範囲内に含まれる直流電圧に整流可能である電圧整流装置と、さらに
−前記第2素子の充電電流の制御手段であって、前記コンバータと前記第2素子との間に配置された制御手段とを含む。
【0012】
一実施形態によれば、制御手段は、起動により、第1素子の充電中に前記コンバータの前記第2素子を電気的に絶縁することが可能になる、切断装置を含む。
【0013】
好ましくは、この切断装置は、電気機械式継電器又は電子的整流システムとすることができる。
【0014】
一実施形態によれば、前記制御手段は、動作により、前記第2蓄電素子の充電電流を制限するように、前記第2蓄電素子に印加される電圧を制御することが可能になる、予備充電装置を含む。好ましくは、この予備充電装置は、可変相互コンダクタンスの電気双極子によって形成される。
【0015】
好ましくは、この電気双極子は、抵抗と継電器とから、又は、相互コンダクタンスがその制御ピン上の適切な電圧によって制御されるトランジスタから構成される。
【0016】
優先的には、整流装置は、単相又は三相ダイオードブリッジによって構成される。
【0017】
本発明はさらに、本発明による再充電装置の使用方法に関し、その方法では、前記給電網から供給された交流電圧を直流電圧に変換し、その値を、前記コンバータの動作範囲内に含まれるように整流するために整流装置を使用するとともに、第1蓄電素子と、前記第1素子の充電を制御する制御装置との間に配置されたコンバータを使用する。
【0018】
一実施形態によれば、第2素子とコンバータとの間に配置された切断装置を備えた本発明による再充電装置内で使用される給電網によって蓄電システムを再充電するために、
−整流装置によって供給される整流電圧がコンバータの入力端子に印加され、前記コンバータが、印加された電圧のレベルを、第1素子の充電電圧値の範囲と整合するように適合させながら、電気エネルギーを第1素子に向けて移動させ、付随的に、
−第1素子の再充電中に第2素子を電気的に絶縁するように、前記第2素子とコンバータとの間に配置された切断装置を起動させる。
【0019】
もう一つの実施形態によれば、第2素子とコンバータとの間に配置された予備充電装置を備えた本発明による再充電装置内で使用される給電網によって蓄電システムを再充電するために、
−第2素子の充電電圧が、整流装置によって供給される整流電圧よりも低いときは、第2素子の端子における電圧と整流電圧とが等しくなるまで第2素子の予備充電を行うように予備充電装置を動作させ、かつ第2素子の予備充電中は直流−直流コンバータを停止させ、
−第2素子の充電電圧が整流装置によって供給される整流電圧以上であるときは、予備充電装置を停止させ、第1素子を直接充電するために直流−直流コンバータを動作させる。
【0020】
本発明は、以下の説明を読んで添付の図面を検討すれば、よりよく理解されるであろう。これらの図面は、例示したものにすぎず、本発明を少しも限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】切断装置を含む本発明の第1の実施形態による再充電装置の概略図である。
【
図2】予備充電装置を含む本発明の第2の実施態様による再充電装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び
図2は、スーパーキャパシタパッケージ2から構成される第2の電気エネルギー蓄電素子に結合されたバッテリ1から構成される第1の電気エネルギー蓄電素子を含む電気エネルギー蓄電システムのアーキテクチャを概略的に示す。
【0023】
一般的に、自動車搭載の電気網において、スーパーキャパシタ端子における公称の使用直流電圧は、例えば0Vから300Vに及ぶことがあり、他方でバッテリ端子における電圧は、ほぼ100Vである。
【0024】
2つの蓄電素子間でエネルギーの移行を保証するために、DC−DCコンバータ3が2つの蓄電素子1、2の間に配置される。
【0025】
図1は、EDF配電網から蓄電システムを再充電するための、本発明の第1の実施形態による再充電装置を示す。再充電装置は、配電網から供給される交流電圧を、DC−DCコンバータの動作領域内に含まれる直流電圧に整流できる整流装置5を含む。この装置は、一方では取外し可能な電気的な結合7によって交流網に、他方では固定電気結合8によって、コンバータ3が第2素子2に接続される側で電気コンバータ3の端子に接続される。
【0026】
かかる再充電装置は、有利なことに、充電器の付加を必要とせずに、220Vの交流電圧を供給するEDF配電網のような家庭用配電網への接続を介して第1素子の再充電を可能にする。
【0027】
さらに再充電装置は、第1蓄電素子の再充電中に、蓄電システムの残りの第2蓄電素子を電気的に絶縁することを目的とする、切断装置4を含む。この切断装置は、DC−DCコンバータ3と第2素子との間に配置される。この切断装置の存在は、DC−DCコンバータ3の動作領域外でこの容量を充電するときに現れる、第2素子の初期充電の問題を取り除くことを目的とする。
【0028】
ここで提案する解決策は、第1素子の再充電中に、第2素子を電気的に絶縁することからなり、したがって整流装置5が配電網に接続されるとき、第2素子に向かう充電電流の循環がない。
【0029】
図1に示すような再充電装置の動作原理は、以下の通りである。第1素子を再充電しようとするとき、整流装置を配電網に接続する。整流装置によって供給された整流電圧は、コンバータ3に直接印加され、次いでコンバータが電気エネルギーを第1素子1に向かけて移行させる。整流電圧のレベルは、第1素子の充電値の領域と整合するように、コンバータによって適合される。同時に、切断装置4を、開状態になるように起動し、したがって第2素子2は、第1素子1の再充電中、コンバータ3から絶縁される。
【0030】
再充電後に、整流装置と配電網との間の接続を切り、自動的に切断装置は、閉状態になるように停止され、蓄電システムを機能させるために、コンバータ3と第2素子2との間の接続を再度確立する。
【0031】
好ましくは、整流装置は、単相ダイオードブリッジによって、又は三相配電網上での再充電の場合に三相ダイオードブリッジによって構成される。
【0032】
切断装置は、好ましくは、電気機械式継電器又はトランジスタのような電子的整流システムから構成される。この切断装置の交互の開閉は、適切な信号手段によって制御される。
【0033】
本発明の第1の実施形態による再充電装置は、必要な場合に、電気網から第2素子の予備充電を行うことを可能にしない。
【0034】
図2は、給電網からの第1素子の再充電を可能にするだけでなく、第2素子2の充電電流の制御を確実に行いながら、予備再充電をも可能にする、本発明の第2の実施形態による再充電装置を示す。このために、
図2に示す再充電装置はさらに、コンバータ3と第2素子2との間に配置され、予備充電中に動作する予備充電装置6を含む。
【0035】
予備充電中、コンバータ3は、動作状態にない。第2素子2は、瞬時充電電流を制限するように出力電圧が制御される予備充電装置6を介して、整流電圧によって給電される。第2素子2の端子における電圧が、整流電圧の値に達したとき、予備充電装置6は、電流をもはや拘束しないように、回路内でできるだけ小さい抵抗を有する状態に置かれる。
【0036】
次いでDC−DCコンバータ3は、第1素子1を再充電するために再度動作される。
【0037】
好ましくは、この予備充電装置は、可変の相互コンダクタンスを有する電気双極子によって構成される。例として、予備充電装置は、抵抗と、接点が抵抗端子への分岐に置かれる継電器とによって、又は相互コンダクタンスが電圧制御装置によって変調されるトランジスタから形成される。
【0038】
したがって、本発明のこの第2の実施形態の動作原理は、第2素子の予備充電が、給電網によって給電される整流電圧よりも低い電圧を有するとき、第2素子の予備充電を可能にする点において第1の実施形態と異なる。
【0039】
すなわち、第2素子2の充電電圧が、整流装置5によって供給される整流電圧よりも低いときは、第2素子2の端子における電圧と整流電圧とが等しくなるまで第2素子2の予備充電を行うように予備充電装置6を動作させ、かつ第2素子2の予備充電中は直流−直流コンバータ3を停止させる。第2素子2の端子における電圧が、整流電圧に達したとき、第1素子を充電するために、コンバータ3を再度動作させる。
【0040】
有利には、第2素子2の充電電圧が、整流装置5によって供給される整流電圧以上であるときは、予備充電装置を停止させ、かつ第1素子1を充電するために直流−直流コンバータ3を直接動作させる。