【文献】
KNUDSEN B S,SHOWERING C-MET-DEPENDENT CANCERS WITH DRUGS,CURRENT OPINION IN GENETICS & DEVELOPMENT,CURRENT BIOLOGY LTD,2008年 2月 1日,V18 N1,P87-96
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
c−Metに対する抗体アンタゴニストが、CNCMに2007年3月14日に番号I−3731として寄託されたハイブリドーマにより分泌される、224G11と呼ばれるモノクローナル抗体であるか、または、
少なくとも配列番号1、2、3、10、11および12の配列を有する6つのCDR、もしくは、
少なくとも配列番号18のアミノ酸配列を含んでなる重鎖および配列番号21のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖
を含んでなる前記224G11抗体から誘導された、抗体またはその機能的断片である、請求項4に記載の医薬組成物または組合せ製品。
【背景技術】
【0002】
c−Metは、RONおよびSEAも含まれるRTKサブファミリーの典型的なメンバーである。c−MetRTKファミリーは、他のRTKファミリーとは構造的に異なっており、分散因子(SF)とも呼ばれる肝細胞増殖因子(HGF)に対する高親和性受容体として知られている唯一のものである(D.P. Bottaro et al., Science 1991, 251: 802-804; L. Naldini et al., Eur. Mol. Biol. Org. J. 1991, 10:2867-2878)。c−MetおよびHGFは、様々な組織で広く発現し、これらの発現は、通常、上皮および間葉起源の細胞に、それぞれ限定される(M.F. Di Renzo et al., Oncogene 1991, 6:1997-2003; E. Sonnenberg et al., J. Cell. Biol. 1993, 123:223-235)。これらは、両方とも通常のほ乳類の発生に不可欠であり、細胞遊走、形態形成分化および三次元環状構造の組織化ならびに成長および血管形成において、特に重要であることが示されている(F. Baldt et al., Nature 1995, 376:768-771; C. Schmidt et al., Nature. 1995:373:699-702; Tsarfaty et al., Science 1994, 263:98-101)。c−MetおよびHGFの制御された調節が、ほ乳類の発生、組織維持および修復において重要であることが示されている (Nagayama T, Nagayama M, Kohara S, Kamiguchi H, Shibuya M, Katoh Y, Itoh J, Shinohara Y., Brain Res. 2004, 5;999(2):155-66; Tahara Y, Ido A, Yamamoto S, Miyata Y, Uto H, Hori T, Hayashi K, Tsubouchi H., J Pharmacol Exp Ther. 2003, 307(1):146-51) とともに、これらの調節異常が癌の進行に関わっている。
【0003】
c−Metの不適切な活性化によりおこる異常なシグナル伝達は、ヒトの癌で観察される最も頻繁な変化の1つであり、腫瘍形成および移転において重要な役割を担っている(Birchmeier et al., Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 2003, 4:915-925; L. Trusolino and Comoglio P. M., Nat Rev. Cancer. 2002, 2(4):289-300)。
【0004】
c−Met活性化は、i)リガンド結合、ii)自発的なリガンド非依存的二量体化(spontaneous ligand independent dimerization)を引き起こす受容体過剰発現、またはiii)c−Met細胞内領域で主に起こり、増加したおよび持続するc−Metのリン酸化または本質的な受容体活性化をもたらす突然変異、を含む様々なメカニズムの結果として生じる( J. G. Christensen, Burrows J. and Salgia R., Cancer Letters. 2005, 226:1-26)。
【0005】
活性化されたc−Metは、細胞質ドメインに位置するマルチドッキングサイトにシグナル伝達エフェクターを補充し、Ras−MAPK、PI3K、SrcおよびStat3を包含するいくつかの重要なシグナル伝達経路の活性化をもたらす(Gao CF, Vande Woude GF, Cell Res. 2005, 15(1):49-51; Furge KA, Zhang YW, Vande Woude GF, Oncogene. 2000, 19(49):5582-9)。これらの経路は、腫瘍細胞の増殖、湿潤、血管形成およびアポトーシスの回避に重要である(Furge KA, Zhang YW, Vande Woude GF, Oncogene, 2000, 19(49):5582-9; Gu H, Neel BG, Trends Cell Biol. 2003 Mar, 13(3):122-30; Fan S, Ma YX, Wang JA, Yuan RQ, Meng Q, Cao Y, Laterra JJ, Goldberg ID, Rosen EM, Oncogene. 2000 Apr 27, 19(18):2212-23)。さらに、他のRTKと比べてc−Metシグナル伝達のユニークな一面は、その報告された、焦点接着複合体(focal adhesion complexes)と、α6β4インテグリン(Trusolino L, Bertotti A, Comoglio PM, Cell. 2001, 107:643-54)、CD44v6(Van der Voort R, Taher TE, Wielenga VJ, Spaargaren M, Prevo R, Smit L, David G, Hartmann G, Gherardi E, Pals ST, J Biol Chem. 1999, 274(10):6499-506)、Plexin B1またはセマフォリン(Giordano S, Corso S, Conrotto P, Artigiani S, Gilestro G, Barberis D, Tamagnone L, Comoglio PM, Nat Cell Biol. 2002, 4(9):720-4; Conrotto P, Valdembri D, Corso S, Serini G, Tamagnone L, Comoglio PM, Bussolino F, Giordano S, Blood. 2005, 105(11):4321-9; Conrotto P, Corso S, Gamberini S, Comoglio PM, Giordano S, Oncogene. 2004, 23:5131-7)などの非キナーゼ結合パートナーとの相互作用であり、それは該受容体による細胞機能調節の複雑性にさらに加えうる。最後に、最近のデータは、c−Metが、ゲフィチニブまたはエルロチニブに耐性のある腫瘍に含まれることがあることを示しており、EGFRとc−Metとの両方を標的とする化合物の組合せが極めて重要であることを示唆している (Engelman JA at al., Science, 2007, 316:1039-43)。
【0006】
c−Met RTKのうち20を超える突然変異が発見されている(Ma P. C. et al. Cancer and metastasis rev. 2003, 22:309-25)。突然変異の大部分は、チロシンキナーゼドメイン内の、c−Metの細胞内部分に位置するミスセンス変異であり、そして該チロシンキナーゼドメインを標的とする治療化合物の親和性または結合能力を損なうことがある。このように、c−Metの突然変異は、多かれ少なかれ治療抑制に反応することがある。例えば、SU11274(c−Metに対する低分子のチロシンキナーゼインヒビター)の前臨床試験では、ある突然変異の該物質の作用に対する感受性および耐性が識別された(Schmidt L. et al. Nat Genet. 1997, 16:68-73; Zhuang Z. et al. Nat Genet. 1998, 20:66-9)。M1268TおよびH1112Yは、細胞増殖および運動性の減少がみられる感受性のある突然変異であった。L1213VおよびY1248などの他の突然変異は、SU11274に対して耐性がありその影響を受けないことがわかった(Hahn O. et al. Hematol Oncol Clin N Am. 2005, 19:343-67)。これらの研究は、c−Metを標的とする治療における特定の突然変異の直接的な影響を示している。しかしながら、リガンドの存在または非存在下におけるc−Metのオリゴマー化には、ATPとチロシン含有ペプチド基質に対するキナーゼの結合親和性および結合動態を調節する必要がある(Hays J.l., Watowich SJ, Biochemistry. 2004, 43:10570-8)。
【0007】
この数年で、ガン細胞系統においてc−Metシグナル伝達を減弱するために多くの戦略が開発されてきた。これらの戦略は、i)c−MetまたはHGF/SFに対する中和抗体(Cao B, Su Y, Oskarsson M, Zhao P, Kort EJ, Fisher RJ, Wang LM, Vande Woude GF, Proc Natl Acad Sci U S A. 2001, 98(13):7443-8; Martens T, Schmidt NO, Eckerich C, Fillbrandt R, Merchant M, Schwall R, Westphal M, Lamszus K, Clin Cancer Res. 2006, 12(20):6144-52)またはc−Metへのリガンドの結合を防ぐためのNK4に対するFGF/SFの使用(Kuba K, Matsumoto K, Date K, Shimura H, Tanaka M, Nakamura T, Cancer Res., 2000, 60:6737-43)、ii)キナーゼ活性を遮断するc−Metに対する小さなATP結合部位インヒビター(Christensen JG, Schreck R, Burrows J, Kuruganti P, Chan E, Le P, Chen J, Wang X, Ruslim L, Blake R, Lipson KE, Ramphal J, Do S, Cui JJ, Cherrington JM, Mendel DB, Cancer Res. 2003, 63:7345-55)、iii)マルチドッキング部位への接近を妨げる改変SH2ドメインポリペプチドおよび受容体またはリガンドの発現を減少させるRNAiまたはリボザイム、を包含する。これらのアプローチのほとんどは、腫瘍阻害をもたらし、c−Metが癌における治療的介入に重要となりうることを示すc−Metの選択的阻害を示す。
【0008】
c−Met標的法のために作出された分子のうち、いくつかは抗体である。
最も広く記載されているものの1つは、Genentech(WO96/38557)により作出された抗c−Met 5D5抗体であり、これは、種々のモデルに単独で加えた場合には強力なアゴニストとして、かつ、Fabフラグメントとして用いた場合にはアンタゴニストとして挙動する。c−Metを標的とする別の抗体は、Pfizerにより「主にc−Metアンタゴニストとして、場合によってはc−Metアゴニストとして」働く抗体として記載されている(WO2005/016382)。
【発明の概要】
【0009】
本発明者は、本明細書に記載され、また2007年7月12日に出願された特許出願EP07301231.2および2008年1月11日に出願されたUS61/020,639にも記載されている、224G11、227H1、223C4および11E1と呼ばれるc−Metに対する抗体アンタゴニスト、またはその機能的断片が、c−Metの二量体化を阻害する特性を有し、インビボ(in vivo)で活性化することを明らかにしている。
【0010】
そこで、本発明により解決される課題は、具体的かつ想定されるだけでない、癌の治療に有益な組合せを提供することと考えられることができる。
【0011】
より詳しくは、本発明の目的は、前記記載のc−Met活性化に関連する全ての因子に影響できる新規な予測できない組合せを提供することにある。
【0012】
一般的態様では、本発明は、c−Metに対するアンタゴニストとアミノヘテロアリール化合物とを含んでなる活性成分の組合せの治療上の有効量を、前記ほ乳類に投与することを含んでなる、ほ乳類における癌の治療方法に関する。
【0013】
もう一つの一般的態様では、本発明は、c−Metに対する抗体アンタゴニストまたはその機能的断片と、アミノヘテロアリール化合物とを含んでなる組成物、好ましくは医薬としてのその使用のための組成物に向けられている。
【0014】
本発明は、さらに、同時、個別、逐次使用のための組合せ製品としての、
i)1つのc−Metに対する抗体アンタゴニストまたはその機能的断片、および
ii)アミノヘテロアリール化合物
を少なくとも含んでなる、医薬組成物に向けられている。
【0015】
「同時使用」とは、本発明による組成物の2種類の成分を単一かつ同一の医薬品形態で投与することを意味するものと理解される。
「個別使用」とは、本発明による組成物の2種類の成分を、同時に、個別の医薬品形態で投与することを意味するものと理解される。
「逐次使用」とは、本発明による組成物の2種類の成分を、それぞれ個別の医薬品形態で、継続的に投与することを意味するものと理解される。
【0016】
本発明によると、組合せは、好ましくは賦形剤および/または薬学上許容されるビヒクルと混合される。
【0017】
また、医薬としての、本発明による組成物についても、記載および特許請求される。
【0018】
もう一つの実施形態では、本発明の組合せは、パーツのキット(kit of parts)の形としてもよい。そのため、本発明は、c−Metに対する抗体アンタゴニストまたはこれらの機能的断片の1つと、アミノヘテロアリール化合物とを含む製品を包含し、好ましくは、それを必要とするほ乳類における癌の治療のための同時、個別または逐次送達のための結合製剤としての、上記記載のc−Metプロテインキナーゼ活性を阻害しうる製品を包含する。一つの実施形態では、製品は、それを必要とするほ乳類における癌の治療のための同時、個別または逐次使用のための結合製剤としての、上記記載のc−Metに対する抗体アンタゴニストまたはその機能的断片と、アミノヘテロアリール化合物とを含む。
【0019】
一つの実施形態では、本発明は、個々のほ乳類ごとのための抗ガン治療の過程を含む医薬パック(phamaceutical pack)であって、a)少なくとも1単位のc−Metに対する抗体アンタゴニストと、b)少なくとも1単位のアミノヘテロアリール化合物とを単位投与形態で含むパックを提供する。
【0020】
より具体的な態様では、本発明は、c−Metに対する抗体アンタゴニストまたはその機能的断片と、アミノヘテロアリール化合物とを含んでなる本発明による活性成分の組合せの治療上の有効量を前記ほ乳類に投与することを含んでなる、ほ乳類における癌の治療の方法を扱う。
【0021】
さらに、より具体的な態様では、本発明は、癌の治療のための、好ましくはほ乳類、より好ましくはヒトにおける癌の治療のための、本発明によるc−Metに対する抗体アンタゴニストまたはその機能的断片と、アミノヘテロアリール化合物とを含んでなる組成物を扱う。前記抗癌治療は、本発明の組成物の治療上の有効量を、前記ほ乳類に投与することを含んでなる。好ましくは、前記組成物は、薬学上許容されるキャリアおよび/または賦形剤をさらに含んでなる。
【0022】
好ましい実施形態では、前記アミノヘテロアリール化合物は、c−Metプロテインキナーゼを阻害しうるものである。より好ましくは、アミノヘテロアリール化合物は、同じアッセイ手順条件においてPF−02341066と名付けられたアミノヘテロアリール化合物に対して示される活性を阻害するc−Metプロテインキナーゼを、少なくとも25%、好ましくは40%、50%、60%、75%および85%有するものである(PF―02341066化合物の完全な構造は、本明細書を参照すること)。
【0023】
前記アミノヘテロアリール化合物の存在下でc−Metプロテインキナーゼの活性レベルを測定するのに用いることができるアッセイ手順の中では、番号WO2006/021884として公開されたPCT特許出願の100ページから記載された「HGFR連続−連結分光光度分析(HGFR continuous-coupled spectrophotometric assay)」と名付けられた手順アッセイを引用することができる。
【0024】
「抗体(antibody)」、「抗体(antibodies)」または「免疫グロブリン」という用語は、広い意味で、同じ意味で用いられ、そしてモノクローナル抗体(例えば、完全長または完全なモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体または多重特異性抗体(例えば、所望の生物活性を示す二重特異性抗体)を包含する。
【0025】
より詳しくは、前記分子は、ジスルフィド結合により相互接続した少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖を含んでなる糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(またはドメイン)(本明細書ではHCVRまたはVHと省略する)と、重鎖定常領域とを含んでなる。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3という3つのドメインを含んでなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと省略する)と軽鎖定常領域とを含んでなる。軽鎖定常領域は、CLという1つのドメインを含んでなる。VHおよびVL領域はさらに、相補性決定領域(CDR)と称され、より高度に保存されたフレームワーク領域(FR)と称する領域が組み入れられた、超可変性の領域に細分化することができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端まで、次の順序で並んだ3つのCDRおよび4つのFRを含んでなる:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原に相互作用する結合ドメインを有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典補体系の補体第一成分(C1q)を包含する免疫グロブリンが宿主組織または因子に結合することを媒介することができる。
【0026】
これらはさらに、起源または免疫グロブリンの型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgAなど)に関わらず、所望の特異的かつ親和的結合を示す、本明細書でより詳細に記載される、その一定の抗体機能的断片も包含してもよい。
【0027】
一般的に、モノクローナル抗体またはその機能的断片の作成のためには、特にネズミ由来のものには、「抗体」マニュアルに詳細に記載された方法(Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor NY, pp. 726, 1988)または、KohlerおよびMilsteinにより記載されたハイブリドーマから作成する方法(Nature, 256:495-497, 1975)を参照することができる。
【0028】
「アンタゴニスト」という用語は、直接または間接的に、c−Metの生物活性を妨げ、低下させ、阻害することができる化合物として理解されるべきである。
【0029】
一般的に、「治療上の有効量」とは、化合物、または病気の症状を防ぎ、緩和し、減少し、改善し、または治療を受けている患者の生存期間を延長する効果のある化合物の最低濃度または量をいう。より詳しくは、癌の治療については、治療上の有効量とは、(1)腫瘍の大きさを小さくする(好ましくは除去する)、(2)腫瘍移転を阻止する(それが、ある程度遅くする、好ましくは止める)、(3)腫瘍増殖をある程度阻止する(それが、ある程度遅くする、好ましくは止める)、および/または、(4)1つまたはそれ以上の癌に関する症状をある程度回復する(好ましくは取り除く)効果を有する量をいう。
【0030】
より詳しくは、前記c−Metに対する抗体アンタゴニストまたはその機能的断片が、
配列番号1、2および3のアミノ酸配列をそれぞれ含んでなるCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3を含む重鎖と、配列番号10、11および12のアミノ酸配列をそれぞれ含んでなるCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3を含む軽鎖とを含んでなる、抗体(224G11抗体より誘導された)またはその機能的断片、
配列番号4、5および6のアミノ酸配列をそれぞれ含んでなるCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3を含む重鎖と、配列番号13、11および14のアミノ酸配列をそれぞれ含んでなるCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3を含む軽鎖とを含んでなる、抗体(227H1抗体より誘導された)またはその機能的断片、
配列番号7、8および9のアミノ酸配列をそれぞれ含んでなるCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3を含む重鎖と、配列番号15、16および17のアミノ酸配列をそれぞれ含んでなるCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3を含む軽鎖とを含んでなる、抗体(223C4抗体より誘導された)、および
配列番号47、48および49のアミノ酸配列をそれぞれ含んでなるCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3を含む重鎖と、配列番号50、51および52のアミノ酸配列をそれぞれ含んでなるCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3を含む軽鎖とを含んでなる、抗体(11E1抗体より誘導された)、
からなる群から選択されるものである。
【0031】
より好ましい実施形態では、前記c−Metに対する抗体アンタゴニストまたはその機能的断片が、
配列番号18のアミノ酸配列を含んでなる重鎖と、配列番号21のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖とを含んでなる、抗体(224G11抗体より誘導された)またはその機能的断片、
配列番号19のアミノ酸配列を含んでなる重鎖と、配列番号22のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖とを含んでなる、抗体(227H1抗体より誘導された)またはその機能的断片、
配列番号20のアミノ酸配列を含んでなる重鎖と、配列番号23のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖とを含んでなる、抗体(223C4抗体より誘導された)、および
配列番号53のアミノ酸配列を含んでなる重鎖と、配列番号54のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖とを含んでなる、抗体(11E1抗体より誘導された)、
からなる群から選択されるものである。
【0032】
もう一つの特定の態様では、前記c−Metに対する抗体アンタゴニストまたはその機能的断片が、前記224G1、227H1、223C4または11E1抗体より誘導されたリコンビナント、キメラもしくはヒト化抗体、またはその断片である(誘導されたとは、少なくとも6つのCDRまたは少なくともこれらの抗体のどれかに対する上記記載の軽鎖と重鎖とを含んでなる、抗体またはその断片を指定することを意図している)。
【0033】
より詳しくは、好ましい実施形態では、本発明は、前記c−Metに対する抗体アンタゴニストが、224G11、227H1、223C4および11E1より選択される、本発明による方法または組成物に関する。
【0034】
これらモノクローナル抗体の全ては、CNCMに2007年3月14日に、CNCM I−3724(11E1に相当する)、I−3731(224G11に相当する)、I−3732(227H1に相当する)および2007年7月6日にI−3786(223C4に相当する)として寄託された、ハイブリドーマにより分泌される。これらのハイブリドーマは、ミエローマ細胞系列(Sp20 Ag14)と免疫したマウス脾細胞との細胞融合で生じるマウスハイブリドーマである。
【0035】
CDR領域またはCDRにより、IGMTにより定義される免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の超可変性領域を示すことが意図されている。
【0036】
IGMT独自ナンバリングは、抗原受容体、鎖型または種が何であれ、可変ドメインを比較するために定義されている(Lefranc M.-P., Immunology Today 18, 509 (1997); Lefranc M.-P., The Immunologist, 7, 132-136 (1999); Lefranc, M.-P., Pommie, C., Ruiz, M., Giudicelli, V., Foulquier, E., Truong, L., Thouvenin-Contet, V. and Lefranc, Dev. Comp. Immunol., 27, 55-77 (2003))。IMGT独自ナンバリングでは、保存されたアミノ酸は常に同じ位置にあり、例えば、システイン23(1st−CYS)、トリプトファン41(CONSERVED−TRP)、疎水性アミノ酸89、システイン104(2nd−CYS)、フェニルアラニンまたはトリプトファン118(J−PHEまたはJ−TRP)などである。IGMT独自ナンバリングは、フレームワーク領域(FR1−IMGT:1〜26番、FR2−IMGT:39〜55番、FR3−IMGT:66〜104番およびFR4−IMGT:118〜128番)および相補性決定領域:CDR1−IMGT:27〜38番、CDR2−IMGT:56〜65番およびCDR3−IMGT:105〜117番の標準化限界(standardized delimitation)を提供する。ギャップは非占有位置に相当するので、CDR−IMGT長さ(括弧の中に示され、ドットで区切られる、例えば、[8.8.13])は、非常に重要な情報となる。IMGT独自ナンバリングは、IMGT colliers de Perles(Ruiz, M. and Lefranc, M.-P., Immunogenetics, 53, 857-883 (2002); Kaas, Q. and Lefranc, M.-P., Current Bioinformatics, 2, 21-30 (2007))として指定された2Dグラフィック表示で、およびIMGT/3Dstructure−DB(Kaas, Q., Ruiz, M. and Lefranc, M.-P., T cell receptor and MHC structural data. Nucl. Acids. Res., 32, D208-D210 (2004))により3D構造で、用いられる。
【0037】
3つの重鎖CDRと3つの軽鎖CDRがある。CDRとCDRsの用語は、場合により、抗原または抗体が認識するエピトープに対する抗体の親和性によって結合することに関与する大部分のアミノ酸残基を含む、これらの領域の1つ、またはこれらの領域のいくつか、もしくはさらに全部を示すために、本明細書では用いられる。
【0038】
以下の表1は、好ましい抗体に関する要素を再分類したものである。
【0040】
本発明による方法または組成物のもう一つの好ましい実施形態では、前記c−Metに対する抗体アンタゴニストが、224G11(少なくとも配列番号1、2、3、10、11および12の6つのCDR、または少なくとも配列番号18および21を含んでなる)と呼ばれる抗体から誘導された抗体またはこれらの機能性断片の1つである。
【0041】
2006年3月2日に公開された特許出願WO2006/021884の記載によると、(その教示は、参照することにより本発明に組み込まれる)アミノヘテロアリール化合物は、c−Met阻害剤として知られており、タンパク質チロシンキナーゼ活性を示す。
【0042】
驚くべき結果として、本出願の出願人は、公開された特許出願WO2006/021884に記載されているようなアミノヘテロアリール化合物と、上記に記載されているc−Metに対するモノクローナル抗体アンタゴニストとの組合せの関連性のある相乗効果を示す結果を、初めて示している。
【0043】
本発明は、上記記載のc―Metに対する抗体アンタゴニストと、アミノへテロアリール化合物、好ましくは公開された特許出願WO2006/021884に記載されたアミノヘテロアリール化合物から選択されたアミノヘテロアリール化合物とを少なくとも含んでなる有効成分の組合せの治療上の有効量を前記ほ乳類に投与することを含んでなる、ほ乳類における癌の治療のための方法または組成物に関する。
【0044】
好ましい例としては、本発明の組成物のアミノへテロアリール化合物は、鏡像異性的に純粋な式Iの化合物、または、その薬学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0046】
式中:
Yは、NまたはCR
12;
R
1は、水素、ハロゲン、C
6−12アリール、5−12員ヘテロアリール、C
3−12シクロアルキル、3−12員ヘテロ脂環式基(heteroalicyclic)、−O(CR
6R
7)
nR
4、−C(O)R
4、−C(O)OR
4、−CN、−NO
2、−S(O)
mR
4、−SO
2NR
4R
5、−C(O)NR
4R
5、−NR
4C(O)R
5、−C(=NR
6)NR
4R
5、C
1−8アルキル、C
2−8アルケニルおよびC
2−8アルキニルより選択され;かつ、R
1の各水素は、1つまたはそれ以上のR
3基により任意に置換されており;
【0047】
R
2は、水素、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、C
2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−S(O)
mR
4、−SO
2NR
4R
5、−S(O)
2OR
4、−NO
2、−NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nOR
4、−CN、−C(O)R
4、−OC(O)R
4、−O(CR
6R
7)
nR
4、−NR
4C(O)R
5、−(CR
6R
7)
nC(O)OR
4、−(CR
6R
7)
nNCR
4R
5、−C(=NR
6)NR
4R
5、−NR
4C(O)NR
5R
6、−NR
4S(O)PR
5または−C(O)NR
4R
5であり、かつ、R
2の各水素は、R
8により任意に置換されており;
【0048】
各R
3は、独立して、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、C
2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−S(O)
mR
4、−SO
2NR
4R
5、−S(O)
2OR
4、−NO
2、−NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nOR
4、−CN、−C(O)R
4、−OC(O)R
4、−O(CR
6R
7)
nR
4、−NR
4C(O)R
5、−(CR
6R
7)
nC(O)OR
4、−(CR
6R
7)
nOR
4、−(CR
6R
7)
nC(O)NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nNCR
4R
5、−C(=NR
6)NR
4R
5、−NR
4C(O)NR
5R
6、−NR
4S(O)PR
5または−C(O)NR
4R
5であり、R
3の各水素は、R
8により任意に置換されており、かつ、隣接原子のR
3基を結合させて、C
6−12アリール、5−12員ヘテロアリール、C
3−12シクロアルキルまたは3−12員ヘテロ脂環式基を形成するために結合してもよく;
【0049】
各R
4、R
5、R
6およびR
7は、独立して、水素、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、C
2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリールであり;または、同じ窒素原子に結合したR
4、R
5、R
6およびR
7のうちいずれか2つを、それらが結合した窒素と一緒に、結合させて、N、OおよびSより選択される、1〜3の付加的なヘテロ原子を任意に含む3−12員のヘテロ脂環式基または5−12員のヘテロアリール基を形成してもよく;もしくは、同じ窒素原子に結合するR
4、R
5、R
6およびR
7のいずれかを2つを結合させてC
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基または5−12員ヘテロアリール基を形成してもよく;かつ、R
4、R
5、R
6およびR
7の各水素は、R
8により任意に置換されており;
【0050】
各R
8は、独立して、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、C
2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−NH
2、−CN、−OH、−O−C
1−12アルキル、−O−(CH
2)
nC
3−12シクロアルキル、−O−(CH
2)
nC
6−12アリール、−O−(CH
2)
n(3−12員ヘテロ脂環式基)または−O−(CH
2)n(5−12員ヘテロアリール)であり;かつ、R
8の各水素は、R
11により任意に置換されており;
【0051】
各R
9およびR
10は、独立して、水素、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−S(O)
mR
4、−SO
2NR
4R
5、−S(O)
2OR
4、−NO
2、−NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nOR
4、−CN、−C(O)R
4、−OC(O)R
4、−NR
4C(O)R
5、−(CR
6R
7)
nC(O)OR
4、−(CR
6R
7)
nNCR
4R
5、−NR
4C(O)NR
5R
6、−NR
4S(O)PR
5または−C(O)NR
4R
5であり;R
9またはR
10は、Aの環原子またはAの置換基と結合して、Aに結合した、C
3−12シクロアルキル、3−12員ヘテロ脂環式基、C
6−12アリールまたは5−12員環ヘテロアリール環を形成してもよく;かつ、R
9およびR
10の各水素は、R
3により任意に置換されており;
【0052】
各R
11は、独立して、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
1−12アルコキシ、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−O−C
1−12アルキル、−O−(CH
2)
nC
3−12シクロアルキル、−O−(CH
2)nC
6−12アリール、−O−(CH
2)
n(3−12員ヘテロ脂環式基)、−O−(CH
2)
n(5−12員ヘテロアリール)または−CNであり、かつ、R
11の各水素は、ハロゲン、−OH、−CN、一部または全部がハロゲン化された−C
1−12アルキル、一部または全部がハロゲン化された−O−C
1−12アルキル、−CO、−SOまたは−SO
2により任意に置換されており;
【0053】
R
12は、水素、ハロゲン、C
1−12 アルキル、C
2−12 アルケニル、C
2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−S(O)
mR
4、−SO
2NR
4R
5、−S(O)
2OR
4、−NO
2、−NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nOR
4、−CN、−C(O)R
4、−OC(O)R
4、−O(CR
6R
7)
nR
4、−NR
4C(O)R
5、−(CR
6R
7)
nC(O)OR
4、−(CR
6R
7)
nNCR
4R
5、−C(=NR
6)NR
4R
5、−NR
4C(O)NR
5R
6、−NR
4S(O)PR
5または−C(O)NR
4R
5であり、かつ、R
12の各水素は、R
3により任意に置換されており;
【0054】
各R
13は、独立して、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、C
2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−S(O)
mR
4、−SO
2NR
4R
5、−S(O)
2OR
4、−NO
2、−NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nOR
4、−CN、−C(O)R
4、−OC(O)R
4、−O(CR
6R
7)
nR
4、−NR
4C(O)R
5、−(CR
6R
7)
nC(O)OR
4、−(CR
6R
7)
nOR
4、−(CR
6R
7)
nC(O)NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nNCR
4R
5、−C(=NR
6)NR
4R
5、−NR
4C(O)NR
5R
6、−NR
4S(O)PR
5、−C(O)NR
4R
5、−(CR
6R
7)
n(3−12員ヘテロ脂環式基)、−(CR
6R
7)
n(C
3−12シクロアルキル)、−(CR
6R
7)
n(C
6−12アリール)、−(CR
6R
7)
n(5−12員ヘテロアリール)、−(CR
6R
7)
nC(O)NR
4R
5または−(CR
6R
7)
nC(O)R
4であり、隣接原子のR
13基を結合させて、C
6−12アリール、5−12員ヘテロアリール、C
3−12シクロアルキルまたは3−12員ヘテロ脂環式基を形成してもよく、かつ、R
13の各水素は、R
3により任意に置換されており;
各mは、独立して、0、1または2であり;
各nは、独立して、0、1、2、3または4であり;
各pは、独立して、1または2である。
【0055】
もう一つの好ましい例では、前記アミノヘテロアリール化合物は、鏡像異性的に純粋な式Iaの化合物または、その薬学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0057】
式中、
YはNまたはCHであり;
R
1は、フラン、チオフェン(thiopene)、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イソオキザゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モノホリン、ジチアン、チオモノホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアミン、アジチジン(azitidine)またはフェニル基であり;かつ、R
1の各水素は、R
3により任意に置換されており;
【0058】
各R
3は、独立して、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、
C2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−S(O)
mR
4、−SO
2NR
4R
5、−S(O)
2OR
4、−NO
2、−NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nOR
4、−CN、−C(O)R
4、−OC(O)R
4、−O(CR
6R
7)
nR
4、−NR
4C(O)R
5、−(CR
6R
7)
nC(O)OR
4、−(CR
6R
7)
nOR
4、−(CR
6R
7)
nC(O)NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nNCR
4R
5、−C(=NR
6)NR
4R
5、−NR
4C(O)NR
5R
6、−NR
4S(O)
pR
5または−C(O)NR
4R
5であり、R
3の各水素はR
8により任意に置換されており、かつ隣接原子のR
3基を結合させて、C
6−12アリール、5−12員ヘテロアリール、C
3−12シクロアルキルまたは3−12員ヘテロ脂環式基を形成してもよく;
【0059】
各R
4、R
5、R
6およびR
7は、独立して、水素、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、C
2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリールであり;または、同じ窒素原子に結合したR
4、R
5、R
6およびR
7のいずれか2つを、それらが結合した窒素と一緒に、結合させて、N、OおよびSより選択される、1〜3の付加的なヘテロ原子を任意に含む3−12員ヘテロ脂環式基または5−12員ヘテロアリール基を形成してもよく;もしくは同じ炭素原子に結合するR
4、R
5、R
6およびR
7のいずれか2つを結合させて、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基または5−12員ヘテロアリール基を形成してもよく;かつ、R
4、R
5、R
6およびR
7の各水素は、R
8により任意に置換されており;
【0060】
各R
8は、独立して、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、C
2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−NH
2、−CN、−OH、−O−C
1−12アルキル、−O−(CH
2)
nC
3−12シクロアルキル、−O−(CH
2)
nC
6−12アリール、−O−(CH
2)
n(3−12員ヘテロ脂環式基)または−O−(CH
2)n(5−12員ヘテロアリール)であり;かつ、R
8の各水素は、R
11により任意に置換されており;
【0061】
各R
9およびR
10は、独立して、水素、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−S(O)
mR
4、−SO
2NR
4R
5、−S(O)
2OR
4、−NO
2、−NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nOR
4、−CN、−C(O)R
4、−OC(O)R
4、−NR
4C(O)R
5、−(CR
6R
7)
nC(O)OR
4、−(CR
6R
7)
nNCR
4R
5、−NR
4C(O)NR
5R
6、−NR
4S(O)PR
5または−C(O)NR
4R
5であり;R
9またはR
10をAの環原子またはAの置換基と結合して、Aに結合した、C
3−12シクロアルキル、3−12員ヘテロ脂環式基、C
6−12アリールまたは5−12員ヘテロアリール環を形成してもよく;かつ、R
9およびR
10の各水素は、R
3により任意に置換されており;
【0062】
R
11は、独立して、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
1−12アルコキシ、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−O−C
1−12アルキル、−O−(CH
2)
nC
3−12シクロアルキル、−O−(CH
2)nC
6−12アリール、−O−(CH
2)
n(3−12員ヘテロ脂環式基)、−O−(CH
2)
n(5−12員ヘテロアリール)または−CNであり、かつR
11の各水素は、ハロゲン、−OH、−CN、一部または全部がハロゲン化された−C
1−12 アルキル、一部または全部がハロゲン化された−O−C
1−12アルキル、−CO、−SOまたは−SO
2により任意に置換されており;
【0063】
各R
13は、独立して、ハロゲン、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、C
2−12アルキニル、C
3−12シクロアルキル、C
6−12アリール、3−12員ヘテロ脂環式基、5−12員ヘテロアリール、−S(O)
mR
4、−SO
2NR
4R
5、−S(O)
2OR
4、−NO
2、−NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nOR
4、−CN、−C(O)R
4、−OC(O)R
4、−O(CR
6R
7)
nR
4、−NR
4C(O)R
5、−(CR
6R
7)
nC(O)OR
4、−(CR
6R
7)
nOR
4、−(CR
6R
7)
nC(O)NR
4R
5、−(CR
6R
7)
nNCR
4R
5、−C(=NR
6)NR
4R
5、−NR
4C(O)NR
5R
6、−NR
4S(O)PR
5、−C(O)NR
4R
5、−(CR
6R
7)
n(3−12員ヘテロ脂環式基)、−(CR
6R
7)
n(C
3−12シクロアルキル)、−(CR
6R
7)
n(C
6−12アリール)、−(CR
6R
7)
n(5−12員ヘテロアリール)、−(CR
6R
7)
nC(O)NR
4R
5または−(CR
6R
7)
nC(O)R
4であり、隣接原子のR
13基を結合させてC
6−12アリール、5−12員ヘテロアリール、C
3−12シクロアルキルまたは3−12員ヘテロ脂環式基を形成してもよく、かつ、R
13の各水素は、R
3により任意に置換されており;
各mは、独立して、0、1または2であり;
各nは、独立して、0、1、2、3または4であり;
各pは、独立して、1または2である。
【0064】
より詳しくは、本発明の好ましいアミノヘテロアリール化合物は、アミノピリジンまたはアミノピラジン化合物より選択される。
【0065】
前記アミノヘテロアリール化合物は、好ましくは、本発明の1つの実施形態によれば、5−ブロモ−3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピラジン−2−イラミン;5−イオド−3−[(R)1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピリジン−2−イラミン;5−ブロモ−3−[1(R)−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピリジン−2−イラミン;4−{5−アミノ−6−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピラジン−2−イル}−安息香酸;(4−{5−アミノ−6−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピラジン−2−イル}−フェニル)−ピペラジン−1−イル−メタノン;4−(4−{5−アミノ−6−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピラジン−2−イル}−ベンゾイル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;3−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]−5−[4−(ピペラジン−i−イルカルボニル)フェニル]ピリジン−2−アミン;4−{6−アミノ−5−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピリジン−3−イル}−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルベンザミド;(4−{6−アミノ−5−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピリジン−3−イル}フェニル)メタノール;4−{6−アミノ−5−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピリジン−3−イル}−N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N−メチルベンザミド;tert−ブチル4−(4−{6−アミノ−5−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピリジン−3−イル}ベンゾイル)ピペラジン−1−カルボキシレート;3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−[1−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−ピリジン−2−イラミン;1−[4−(4−{6−アミノ−5−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピリジン−3−イル}−ピラゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−ハイドロキシ−エタノン;3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(1−ピペリジン−4−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−2−イラミン;3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(1−ピペリジン−4−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−2−イラミン;3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(1−ピペリジン−4−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピラジン−2−イラミン;3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピラジン−2−イラミン;1−[4−(4−{5−アミノ−6−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピラジン−2−イル}−ピラゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−ハイドロキシ−エタノン;3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−[1−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−ピラジン−2−イラミン;1−[4−(4−{5−アミノ−6−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピラジン−2−イル}−ピラゾール−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−ジメチルアミノ−エタノン;3−[(R)−1−(2−クロロ−3,6−ジフルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(1−ピペリジン−4−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−2−イラミン;または、その薬学上許容される塩、溶媒和物もしくは水和物、からなる群より選択される。
【0066】
本発明のもう一つの好ましい実施形態では、アミノヘテロアリール化合物は、3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(1−ピペリジン−4−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−2−イラミンである。この化合物に対して与えられたもう一つの名前は、PF−02341066(PF−2341066とも記載される)である。
【0067】
この特定の化合物は、公開された特許出願WO2006/021884の例13に詳細に記載されており、その製造プロセスは、下記に記載の手順62に記載されている。
【0069】
無水DMF(100mL)中の5−ブロモ−3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピリジン−2−イラミン(12.83g、33.76mmol)の溶液に対し、ジ−tert−ブチルジカルボネート(21.25g、97.35mmol)および4−ジメチルアミ(ピ)オプリジン(4-dimethylami[pi]opyridine)(0.793g、6.49mmol)を加えた。反応は、窒素下で18時間、室温で撹拌させた。混合物に対し、NaH
CO3の飽和溶液(300mL)を加え、そして酢酸エチル(EtOAc)(3x250mL)を用いて抽出した。化合した抽出物は、水(5x100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(sat.NaHCO
3)およびブライン(brine)を用いて洗浄し、その後硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過、蒸発、および高圧乾燥後、di−boc保護した5−ブロモ−3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピリジン−2−イラミンは、オフホワイトの泡状の固体(19.59g、100%収率)として得られた。
1HNMR(DMSO−d
6,400MHz)δ8.18(d,1H),7.83(d,1H),7.59(dd,1H),7.48(t,1H),6.25(q,1H),1.75(d,3H),1.39(s,9H),1.19(s,9H)。
【0070】
DMSO(68mL)中の、di−boc保護した5−ブロモ−3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピリジン−2−イラミン(19.58g、33.76mmol)の溶液に対して、酢酸カリウム(11.26g、114.78mmol)およびビス(ピナコラート)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)(10.29g、40.51mmol)を加えた。混合物は、3回、脱気かつ窒素充填し、その後Pd(dppf)CI
2.CH
2CI
2(1.38g、1.69mmol)を加えた。反応混合物は、3回、脱気かつ窒素充填し、そしてその後12時間、窒素下で、80℃のオイルバスで、撹拌した。反応は、室温に冷され、酢酸エチル(100mL)で希釈し、そして酢酸エチルで洗浄したセライトパッドを通して濾過した。化合した酢酸エチル溶液(700mL)は、水(5x100mL)、ブライン(100mL)を用いて洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過および濃縮後、その残渣を、di−boc保護した3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン−2−イラミンを泡状の固体(20.59g、97%収率)として提供するために、酢酸エチル/ヘキサン(EtOAc/Hexane)(0%−50%)を用いて溶出するシリカゲルカラムにより精製した。
1HNMR(DMSO−d
6,400MHz)δ8.20(d,1H),7.70(d,1H),7.63(dd,1H)17.47(t,1H),6.20(q,1H),1.73(d,3H),1.50−1.13(m,30H)。
【0071】
ジクロロメタン(CH
2Cl
2)(80mL)中のdi−boc保護した3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン−2−イラミン(20.34g、32.42mmol)の溶液に対して、ジオキサン(dioxane)中のdryHCL(4N、40.5mL、162mmol)の溶液を加えた。反応液は、12時間窒素下において、40℃オイルバスで撹拌された。反応混合物は、室温まで冷され、EtOAc(400ml)で希釈し、その後、水層が塩基性(pH>8)になるまで、飽和炭酸水素ナトリウムを用いて丁寧にかつ素早く洗浄した。有機層は、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過、蒸発、および高圧乾燥後、3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン−2−イラミンは、オフホワイトの泡状固体(13.48g、97%収率)として得られた。
1HNMR(DMSO−d
6,400MHz)δ8.01(d,1H),7.27(dd,1H),7.17(d,1H),7.03(t,1H),6.12(q,1H),5.08(bs,2H),1.81(d,3H),1.30(s,6H),1.28(s,6H)。
【0072】
DME(40mL)中の、3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン−2−イラミン(4.2711g、10.0mmol)および4−(4−ブロモ−ピラゾール−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.9628g、12.0mmol)の撹拌溶液に対して、水(10mL)中の炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)(3.1787g、30.0mmol)溶液を加えた。溶液は、3回、脱気かつ窒素充填した。溶液に対して、Pd
(PPh3)2CI
2(351mg、0.50mmol)を加えた。反応溶液は、さらに3回、脱気かつ窒素充填した。反応溶液は、約16時間(またはボランピナコールエステルの消費まで)、87℃のオイルバスで撹拌し、室温まで冷やし、そしてEtOAc(200mL)で希釈した。反応混合物は、セライトパッドを通して濾過し、そしてEtOAcで洗浄した。EtOAc溶液は、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、および濃縮した。粗生成物は、Rf値0.15(50%EtOAc/Hexanes)の4−(4−{6−アミノ−5−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピリジン−3−イル}−ピラゾール−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.4167g、65%収率、−95%純度)を提供するために、EtOAc/Hexane系(EtOAc0%−EtOAc100%)を用いて溶出するシリカゲルカラムにより精製した。MSm/e550(M+1)
+。
【0073】
メタノール(5mL)またはジクロロメタ(ピ)エ(dichlorometha[pi]e)(30mL)中の4−(4−{6−アミノ−5−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−ピリジン−3−イル}−ピラゾール−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(566.7mg、1.03mmol)の溶液に対して、4NHCI/ジオキサン(15mL)を加えた。溶液は、約1時間または脱保護が完了するまで撹拌した。溶媒は蒸発させ、そして残渣はメタノールに溶解され、リニアグラジエントを用いて、アセトニトリル/5%〜30%の0.1%酢酸入りの水で溶出する逆相C−18分取HPLCにより精製された。凍結乾燥後、3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−5−(1−ピペリジン−4−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−2−イラミン酢酸塩が、白い固体として得られた(410mg、78%収率、100%HPLC純度、96.4%ee)。
1HNMR(DMSO−d
6,400MHz)δ7.84(s,1H),7.68(d,1H),7.50(dd,1H),7.46(s,1H),7.37(t,1H),6.83(d,1H),6.02(q,1H),5.57(bs,2H),4.09(m,1H),2.98(m,2H),2.53(m,2H),1.88(m,2H),1.82(s,3H),1.73(d,3H),1.70(m,2H)。MSm/e450(M+1)
+。
【0074】
本発明の特定の態様では、前記アミノヘテロアリール化合物は、式Ibの化合物である、本発明の組成物が想定されている:
【化4】
【0075】
もう一つの態様では、本発明は、前記癌がc−Metを過剰発現する癌、および/または自己リン酸化されたc−Metを表示する癌より選択される、方法に関する。
【0076】
より詳しくは、前記癌は、前立腺癌、骨肉腫、肺癌、乳癌、子宮内膜癌、膠芽腫(glyoblastoma)または結腸癌から選択される癌である。
【0077】
好ましい実施形態では、本発明は、上記に説明された組成物であって、前記c−Metに対する抗体アンタゴニストが、224G11、227H1、223C4および11E1の誘導抗体、またはその機能的断片から選択されたものに関する。
【0078】
より詳しくは、前記c−Metに対する抗体アンタゴニストは、224G11抗体より誘導されたものである。
【0079】
さらに、本発明のもう一つの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている組成物であって、前記アミノヘテロアリール化合物が、アミノピリジンまたはアミノピラジン化合物から選択されたものである。
【0080】
より詳しくは、前記アミノヘテロアリール化合物は、式Ibの化合物である:
【化5】
【0081】
本発明は、本願に記載の組成物の、ほ乳類における癌の治療のための使用にも関する。
【0082】
より詳しい好ましい実施形態では、前記癌は、c−Metを過剰発現する癌、および/または自己リン酸化されたc−Metを表示する癌より選択される癌である。より詳しくは、前記癌は、前立腺癌、骨肉腫、肺癌、乳癌、子宮内膜癌、膠芽腫または結腸癌から選択される癌である。
【0083】
本発明は、以下の実施例を読むことにより良く理解されるものである。