(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、
図1を参照すると、一実施形態に従う人工大動脈心臓弁10を示している。弁10は、可撓性弁尖区画14を支持する拡張可能な枠部材またはステント12を含む。弁10は、配備部位までの体内を通しての送達のための圧縮状態まで半径方向に圧縮可能であり、配備部位において、
図1に示すその機能的寸法まで拡張可能である。特定の実施形態においては、弁10は、自己拡張式であり、すなわち、弁は、送達シースの遠位端から前進させられたときに、その機能的寸法まで半径方向に拡張することができる。自己拡張式弁の経皮送達および埋込に特に適した装置を、下記に詳細に説明する。他の実施形態においては、弁は、圧縮状態で送達カテーテルのバルーン上に載置されるように適合することができる、バルーン拡張可能な弁であってもよい。弁は、当該技術分野において公知のように、バルーンを膨張させることによって、配備部位において、その機能的寸法まで拡張することができる。
【0025】
図示した弁10は、心臓の他の天然弁を置換するために使用することもできるが、天然の大動脈弁輪内に配備するように適合される。また、弁10は、静脈弁等の体内の他の弁を置換するように適合することができる。
【0026】
図3および4は、図示目的のために、弁尖区画14のないステント12を示す。示すように、ステント12は、複数の縦方向に延在する、一般的に正弦波形状の枠部材、または支柱16から形成することができる。支柱16は、交番する曲げによって形成され、かつメッシュ構造を形成するように隣接湾曲部の頂点から形成された節部18において溶接されるか、またはさもなければ、相互に固定される。支柱16は、弁が送達装置(下記に説明するもの等)のために、減少された直径まで圧縮されることを可能にし、次いで、送達装置から配備した時に、弁を患者の体内でその機能的寸法まで拡張させる、ニチノールとして公知のニッケルチタン合金等の好適な形状記憶材料から作製することができる。弁が送達装置の膨張可能なバルーン上に圧着され、バルーンの膨張によって、その機能的寸法まで拡張するように適合される、バルーン拡張可能な弁である場合には、ステント12は、ステンレス網等の好適な延性材料から作製することができる。
【0027】
ステント12は、流入端部26および流出端部27を有する。支柱16によって形成された、メッシュ構造は、一般に、円筒の「上部」部分または流出端部分20と、外向きに弓形に湾曲、または膨満した中間区画22と、内向きに弓形に湾曲した「下部」部分または流入端部分24とを備える。中間区画22は、望ましくは、埋め込まれると、弁を適所に固定することを補助するために、大動脈の基部内のバルサルバ洞内に延在するように寸法決定および成形される。示すように、メッシュ構造は、望ましくは、流入端部26において終端する張り出し部分を形成するように、流出端部分20から中間区画22に向かって徐々に直径が増大し、次いで、中間区画22から流入端部分24上の位置まで徐々に直径が減少し、次いで、徐々に直径が増大する、その全長に沿って湾曲形状を有する。
【0028】
弁が拡張状態にある時に、中間区画22は、直径D
1を有し、流入端部分24は、最小直径D
2を有し、流入端部26は、直径D
3を有し、流出端部分20は、直径D
4を有し、そこでは、D
2は、D
1およびD
3未満であり、D
4は、D
2未満である。また、D
1およびD
3は、望ましくは、弁が埋め込まれる天然弁輪の直径を上回る。この方法で、ステント12の全体の形状は、埋込部位において弁を保持することを補助する。より具体的には、
図5Aおよび5Bを参照すると、弁10は、下部区画24が大動脈弁輪28内に位置し、中間区画24がバルサルバ洞56内まで大動脈弁輪の上を延在し、下部の張り出し端部26が大動脈弁輪の下に延在するように、天然弁(図示した実施例において大動脈弁)内に埋め込むことができる。弁10は、大動脈弁輪28の周辺組織ならびにステントの形状に対する、下部区画24の半径方向外向きの力によって、天然弁内に保持される。具体的には、中間区画24および張り出し下端部26は、上流および下流(大動脈に向かう、およびそこから離れる)方向の弁の軸の脱落に対して、さらに抵抗するために、大動脈弁輪28を超えて半径方向外向きに延在する。
図5Bに図示するように、天然弁尖58の状態によって、弁は、典型的には、ステント12の外表面とバルサルバ洞の壁との間で上方に褶曲され、その間で圧縮される、天然弁尖58を有する、天然弁輪28内で配備する。いくつかの場合においては、弁10を埋め込む前に、弁尖58を切除することが望ましい場合があり得る。
【0029】
自己拡張式枠を有する公知の人工弁は、典型的には、血管系の非罹患領域内に延在しそこに固定される、さらなる固定デバイスまたは枠部分を有する。ステント12の形状が弁を保持することを補助するので、さらなる固定デバイスは不要であり、ステントの全長Lは、ステントの上部部分20が大動脈の非罹患領域内に延在することを防止するか、または上部部分20が大動脈の非離間領域内に延在する範囲を少なくとも最小化するために、最小化することができる。患者の血管系の非罹患領域を回避することは、今後の介入が必要な場合の副作用を回避することに役立つ。例えば、人工弁は、主に、ステントが弁の罹患部分に固定されるため、患者からより容易に除去することができる。
【0030】
特定の実施形態においては、22mm〜24mmの弁輪における使用を目的とした弁では、直径D1は、約28mm〜約32mm、具体的な例としては、30mmであり、直径D2は、約24mm〜約28mm、具体的な例としては、26mmであり、直径D3は、約28mm〜約32mm、具体的な例としては、30mmであり、直径D4は、約24mm〜約28mm、具体的な例としては、26mmである。特定の実施形態において、長さLは、約20mm〜約24mm、具体的な例としては、22mmである。
【0031】
図1を参照すると、ステント12は、ステントの上部部分20から延在する柱30(図示した実施形態において3つ)の形態の、複数の角度離間した保持アーム、または突出部を有することができる。各保持アーム30は、弁と送達装置(下記に説明)との間の解放可能な接続を形成するために使用することができる、弁保持機構の突起部を受容するように寸法決定される、各口径部32を有する。さらなる実施形態においては、保持アーム30は、弁保持機構が使用されない場合には、提供する必要がない。
【0032】
図6および7において最もよく示すように、図示した実施形態において、弁尖アセンブリ14は、可撓性材料から作製される3つの弁尖34a、34b、34cを備える。各弁尖は、流入端部分60および流出端部分62を有する。弁尖は、任意の好適な生物学的材料(例えば、ウシまたはウマの心膜等の心膜組織)、生体適合性剛性材料、または参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,730,118号に説明されるもの等の他のそのような材料を含むことができる。弁尖アセンブリ14は、弁の流入端部に隣接する縫合糸線44において、弁尖34a、34b、34cの流入端部分の外表面に固定される、環状補強スカート42を含むことができる。弁尖アセンブリ14の流入端部分は、スカート42をステントの下部部分24の支柱16に縫合することによって、ステント12に固定することができる(
図1に最もよく示す)。
図7に示すように、弁尖アセンブリ14はさらに、弁尖の流入端部分60の内部表面に固定される、内側補強ストリップ46を含むことができる。
【0033】
図1および2を参照すると、弁尖アセンブリ14の流出端部分は、弁尖34a、34b、34cの3つの角度離間した交連付着において、ステント12の上部部分に固定することができる。
図2に最もよく示すように、各交連付着は、2つの弁尖の交連において、補強区画36を隣接する上部縁部分38に巻きつけ、かつ縫合糸48を用いて、補強区画36を縁部分38に固定することによって、形成することができる。次いで、補強材料および弁尖の挟持された層は、ステントの流出端部に隣接する縫合糸50を用いて、ステント12の支柱16に固定することができる。したがって、弁尖は、望ましくは、流入端部26から流出端部27まで、ステントの全長または実質的に全長に延在する。補強区画36は、縫合糸線における応力集中を最小化し、使用中に屈曲する弁尖の部分上の「針穴」を回避するように、ステントへの弁尖の付着を補強する。補強区画36、スカート42、および内側補強ストリップ46は、望ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の生体適合性剛性材料、またはポリエステル織物(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))等の織布材料から作製される。
【0034】
図7は、弁10の動作を示す。心拡大期に、弁尖34a、34b、34cは、弁を効果的に閉鎖するように崩壊する。示すように、ステント12の中間区画22の湾曲形状は、中間区画と、バルサルバ洞を模倣する弁尖との間の間隙を画定する。したがって、矢印52で示すように、弁尖が閉鎖する時に、「洞」に進入する逆流は、弁尖の上部表面に沿って血液の乱流を生成する。この乱流は、血栓形成を最小化するために、弁尖およびスカート42を洗浄することを補助する。
【0035】
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第2008/0065011号にさらに説明されるように、弁10は、送達装置の遠位端において捲縮状態で載置される弁が、大腿動脈を通して体内に導入され、大動脈弓を通して心臓まで前進させられる、逆行性アプローチで埋め込むことができる。
【0036】
図8は、一実施形態に従う、患者の血管系を通して、上述の弁10等の自己拡張式弁を送達するために使用することができる、送達装置100を示す。送達装置100は、細長いシャフト104を有する、第1の最外部または主要カテーテル102を備え、その遠位端は、送達シース106(送達シリンダとも称される)に結合する。主要カテーテル102の近位端は、送達装置(図示せず)のハンドルに接続される。弁の送達中、外科医は、ハンドルを使用して、患者の血管系を通して送達装置を前進および後退させることができる。必要ではないが、米国特許出願公開第2008/0065011号に開示するもの等の主要カテーテル102は、患者の血管系を通して前進させられる時に、外科医がシャフト104の遠位部分の湾曲または屈曲の量を誘導または制御することを可能にするように構成される、ガイドカテーテルを含むことができる。
【0037】
送達装置100はまた、細長いシャフト110(本明細書において、トルクシャフトとも称される)と、シャフト110の上に配置される円筒状ネジ112と、シャフト110の遠位端部分116に接続される弁保持機構114とを有する、第2のカテーテル108(本明細書において、弁カテーテルとも称される)を含む。弁カテーテル108のシャフト110は、送達シース106および主要カテーテル102のシャフト104を通って延在する。送達装置100はまた、細長いシャフト120と、シャフト120の遠位端部分に固定されるノーズ部品122を有する、第3のノーズカテーテル118を含むことができる。ノーズ部品122は、患者の血管系を通す侵襲性追跡に示すように、先細りの外表面を有することができる。ノーズカテーテルのシャフト120は、弁10、保持機構114、および弁カテーテル108のシャフト110を通って延在する。弁カテーテル108のトルクシャフト110は、主要カテーテルのシャフト104およびノーズカテーテルのシャフト120に対して、軸方向に移動可能かつ回転可能になるように構成することができる。送達装置100はまた、下記にさらに説明するように、圧縮状態の弁10を送達シース106の内部に充填するために使用することができる、充填コーン124と共に提供することができる。
【0038】
弁カテーテルシャフト110の遠位端部分116は、ネジ112が載置される端部品156を含むことができる。端部品156は、ネジ112の同様に成形された内表面と嵌合する端部品の長さに沿って、少なくとも部分的に延在する非円形の断面形状を有する(
図11に最もよく示す)。例えば、図示した実施形態においては、端部品156の一部分は、ネジ112の正方形に成形された内表面と嵌合する正方形の断面形状を有する。この方法で、シャフト110の回転は、ネジ112の対応する回転を引き起こす。
【0039】
弁カテーテル108は、望ましくは、送達シースからの弁10の増分および制御された前進が生じるように、送達シース106に対して回転可能になるように構成される。したがって、一実施形態に従い、送達シース106(
図9〜12に最もよく見られるように)は、第1および第2の細長いカムスロット126、およびネジ112の雄ネジ132に係合するように適合される雌ネジ128を備えることができる。主要カテーテルシャフト104の遠位端部分は、送達シース106内に延在し、かつ送達シースのカムスロット126内に半径方向外向きに延在する、第1および第2の突起部130で形成することができる。
【0040】
図11に最もよく示すように、シャフト110の遠位端部分は、端部品156の近位端部分の上に延在し、接着剤等を用いてそこに固定される。ネジ112は、送達シース106内の端部品56上に配置される。ネジ112の遠位端および端部品56は、弁カテーテルシャフト110の回転が、端部品56、ネジ112、および弁10の対応する回転を引き起こすために効果的であるように、保持部材114を介して弁10に結合される。シース106に対するシャフト110およびネジ112の回転は、シャフト110および弁10を、シース106に対して、近位または遠位方向(それぞれを矢印134aおよび134bで示す)のいずれかに、縦方向に移動させるために効果的である。下記にさらに説明するように、弁配備中の近位方向のシャフト110の移動は、シースの開口遠位端136から弁10を前進させる。
【0041】
図13および14に最もよく示すように、弁保持機構114は、内側フォーク138、および外側フォーク140を含む。内側フォーク138は、ステント12の保持アーム30に対応する、複数(図示した実施形態において3つ)の角度離間した突起部142を含み、その突起部は、内側フォークの近位端において、ヘッド部分144から延在する。外側フォーク140は、同様に、ステント12の保持アーム30に対応する、複数(図示した実施形態において3つ)の角度離間した突起部146を含み、その突起部は、外側フォークの近位端においてヘッド部分148から延在する。
【0042】
外側フォークの各突起部は、内側フォークの対応する突起部と協働して、ステントの保持アーム30との解放可能な接続を形成する。図示した実施形態においては、例えば、各突起部146の遠位端部分は、開口部150で形成される。組み立てられた時(
図15に最もよく示すように)、保持アーム30が開口部150から後退して出ないように、ステントの各保持アーム30は、外側フォークの突起部146の開口部150を通して挿入され、内側フォークの突起部142は、保持アーム30の開口部32を通して挿入される。見てとれるように、開口部32から突起部を除去するために、突起部142を近位に(矢印152の方向に)後退させることは、弁10を保持機構から解放するために効果的である。この方法で、保持機構114は、送達シースから配備した後に、ユーザが弁の位置を微調整または調節することを可能にするために、弁カテーテル108に対して弁を保持することが十分に確保されている弁との解放可能な接続を形成する。下記にさらに説明するように、弁が所望の埋込部位に位置する時に、弁と保持機構との間の接続は、外側フォーク140に対して内側フォーク138を後退させることによって、解放することができる。
【0043】
内側フォークのヘッド部分144は、弁カテーテルシャフト110に接続することができる一方、ヘッド部分148は、ネジ112に接続することができる。
図13に示すように、例えば、内側フォークのヘッド部分144は、複数の角度離間した、内向きに偏向された保持フランジ154で形成することができる。弁カテーテルシャフト110の端部品156は、円柱溝部160を有する円筒シャフト158で形成することができる。シャフト158は、フランジ154の内部遊離端によって画定された直径をわずかに上回る外径を有する。したがって、内側フォーク138は、フランジ154が溝160内に内向きに湾曲するまで、シャフト158をヘッド部分144内に挿入することによって、端部品156に固定することができ、それによって、ヘッド部分144とシャフト158との間の嵌合接続が形成される。
図16で見てとれるように、ヘッド部分144がシャフト158上に挿入される時に、端部品156が、内側フォークに対して近位または遠位方向に縦方向に移動することを防止するように、溝160内の管状肩部162は、フランジ154の遊離端の反対に位置し、端部品156の別の管状肩部164は、ヘッド部分144の近位端の反対に位置する。
【0044】
外側フォークのヘッド部分148は、同様の方法で、ネジ112の遠位端に固定することができる。
図16に最もよく見られるように、ヘッド部分148は、複数の角度離間した、内向きに偏向された保持フランジ155で形成することができる。ネジ112の遠位端部分は、環状溝168を有する円筒シャフト166で形成することができる。シャフト166は、フランジ155の遊離端によって画定される直径をわずかに上回る外径を有する。したがって、外側フォーク140は、フランジが内向きに溝168内に湾曲するまで、シャフト166をヘッド部分148に挿入することによって、ネジ112に固定することができ、それによって、ヘッド部分148とシャフト166との間の嵌合接続が形成される。
図16に見てとれるように、ヘッド部分148がシャフト166上に挿入される時に、ネジが、外側フォークに対して、近位または遠位方向に縦方向に移動することを防止するように、溝168内の管状肩部170は、フランジ156の遊離端の反対に位置し、ネジ112の別の管状肩部172は、ヘッド部分の近位端の反対に位置する。
【0045】
弁10は、以下の方法で、充填コーン124を使用して、圧縮され、送達シース106内に充填することができる。第1に、
図17に示すように、弁10は、上述のように、保持機構114に固定することができる。充填コーン124は、一方の端部において第1の開口部176と、他方の端部において第2のより小さい開口部178と、第1の開口部における第1の直径から、第2の開口部178に近接する、第2のより小さい直径まで先細りになる、先細りの内部表面180とを含む。
図18に示すように、保持部材114が充填コーンの外に延在するまで、保持機構114および弁10は、充填コーン124を介して、矢印174の方向に押し出し、保持部材および弁を半径方向に圧縮することができる。弁の圧縮を促進するために、弁および保持機構を冷水槽内に浸漬しながら、後者ステップを実施することができる。
【0046】
図19および20を参照すると、弁は、充填コーン124によって、その圧縮状態に保持される一方、端部品156は、上述のように、シャフト158を内側フォークのヘッド部分144内に矢印182の方向に挿入することによって、内側フォークに固定される。
図21および22を参照すると、次いで、ネジ112は、上述のように、シャフト166を外側フォークのヘッド部分148内に挿入することによって、端部品156の上を矢印184の方向に摺動し、かつ外側フォーク140に固定することができる。続いて、
図23および24を参照すると、送達シース106は、ネジの近位端をシース106の遠位端に接触させ、次いで、弁カテーテルシャフト110を回転することによって、ネジ112の上に定置され、それは、シースをネジの上で前進させる。シャフト110の連続した回転により、シース106を保持部材114および弁10の上を前進させ、次いで、シースが充填コーンから出るときに、それが弁の上を前進することを可能にするように充填コーンを押し離す。
図9および11に図示するように、弁が完全にシースの内側になるまで、シャフト110を回転する。
【0047】
ノーズコーン122が使用される時、ノーズコーンが弁10に沿って充填コーンを介して摺動することができるように、ノーズコーンは、望ましくは、充填コーンの開口部178より小さい外径を有する。さらなる実施形態においては、従来の圧着機構を使用して、弁10を半径方向に圧縮することができる。
【0048】
弁10が送達シース106内に充填されると、送達装置100は、患者の体内に挿入することができる。1つのアプローチにおいては、弁は、送達装置が大腿動脈内に挿入され、患者の血管系を通して心臓まで前進させられる、逆行性アプローチで送達することができる。送達装置の挿入前に、導入器シースは、患者の血管系を通って、大動脈を通して左室内に前進させられる、ガイドワイヤの後に、大腿動脈内に挿入することができる。次いで、送達装置100は、導入器シースを介して挿入され、弁10を含む送達装置の遠位端部分が、天然大動脈弁に隣接する位置か、またはその中の位置まで前進させられるまで、ガイドワイヤの上を前進させることができる。
【0049】
その後、弁10は、ガイドカテーテル102に対して弁カテーテル108を回転することによって、送達装置100から配備することができる。上記のように、弁カテーテルは、外科医が主要カテーテル102に対する弁カテーテル108の回転を引き起こすことを可能にする、弁カテーテルシャフト110の近位端に接続される、回転可能なハンドル部分(図示せず)を有することができる。弁カテーテル108の回転は、主要カテーテルシャフト104およびシースに対する、弁カテーテルシャフト110、端部品156、およびネジ112の対応する回転を引き起こし、それは、次に、弁10をシースの開口端部から前進させるために、これらの構成要素を送達シース106に対して遠位に前進させられる。弁カテーテル108の回転は、弁が送達シースの開口遠位端から前進し、拡張し始めると、正確で制御された方法で弁をシースに対して移動させる。したがって、公知の送達装置とは異なり、送達装置から弁が前進し、拡張し始めると、弁は、シースの遠位端に対する弁の拡張力によってもたらされた、シースからの非制御された移動に対して維持される。また、弁がシースから部分的に前進させられた後に、それは、例えば、弁を再設置するか、または弁を体内から完全に引き出すために、弁をシース内に再度後退させることが望ましい場合があり得る。部分的に配備した弁は、カテーテルシャフト110が後退され、弁をシース内に引き戻す、弁カテーテルの回転を逆転することによって、シース内に再度後退させることができる。
【0050】
公知の送達デバイスにおいては、外科医は、弁をシースから抜くために、押し引き力をシャフトおよび/またはシースに印加しなければならない。したがって、シャフトを歪曲する(例えば、シャフトを軸方向に圧縮または伸展する)ことなく、デバイスの遠位端に力を伝達することは困難であり、それは、次に、シースから抜くプロセス中の弁の非制御された動作を引き起こす。この影響を軽減するために、シャフトおよび/またはシースは、より剛性に作製することができ、それは、デバイスが血管系を通して操縦することがより困難になるので望ましくない。対照的に、上述の弁をシースから抜く方法は、公知のデバイスに必要とされる、シャフト上への押し引き力の印加を排除し、それによって、デバイスの可撓性を低下させることなく、比較的高い正確な力をシャフトの遠位端に印加することができる。特定の実施形態においては、シースから抜くプロセスに悪影響を及ぼすことなく、20lbsだけ高い力をトルクシャフトの端部に伝達することができる。対照的に、押し引き機構を使用する従来のデバイスは、典型的には、シースから抜くプロセス中に、約5lbsの力を超えることができない。
【0051】
弁10が送達シースから前進させられ、その機能的寸法まで拡張した後において(
図10に示すように)、弁は、保持機構114を介して送達装置に接続されたままである。したがって、弁が送達シースから前進させられた後に、外科医は、弁の対応する動作を引き起こす、送達装置を近位および遠位方向または左右に移動させるか、または伝達装置を回転させること等によって、天然弁内の所望の埋込位置に対して弁を再設置することができる。保持機構114は、望ましくは、弁の位置が、天然弁内の所望の埋込位置に対して調節されると、血流に対して、送達装置に対する弁の位置を保持することを十分に確保し、かつ剛性である、弁と送達装置との間の接続を提供する。外科医が弁を天然弁内の所望の埋込位置に設置すると、弁と送達装置との間の接続は、弁カテーテルシャフト110をガイドカテーテルに対して近位方向に後退させることによって、解放することができ、それは、その突起部142を弁の保持アーム30内の開口部32から引き出すように、内側フォーク138を後退させるために効果的である(
図26および27)。送達装置の後退は、保持機構114から弁を完全に切断するように、外側フォーク140を後退させる(
図28)。その後、送達装置は、弁を天然弁内に埋め込んだまま(
図5Aおよび5Bに示す等)、体内から引き出すことができる。
【0052】
さらなる実施形態においては、送達装置は、バルーン拡張可能な人工弁を送達するように適合することができる。上述のように、保持機構114を使用して、弁を送達装置の端部に固定することができる。弁のステントが自己拡張式ではないため、シース106は、任意である可能性がある。保持機構114は、導入器シースを介する送達装置および弁アセンブリの押し能力を強化する。
【0053】
図29Aは、別の実施形態に従う、送達装置の遠位端部分200を示す。送達装置200は、送達装置100と同様の構成を有し、多くのそれと同一の構成要素(いくつかの共通する構成要素は、明確にするために
図29Aから除去される)を有する。送達装置200は、細長い弁カテーテル202を備える。弁カテーテル202は、細長い可撓性トルクシャフト204と、シャフト204の遠位端に固定される端部品206と、トルクシャフト204から延在する外側シャフト220とを備える。
【0054】
送達シース208は、外側シャフト220の遠位端に固定される。送達シース208は、シャフト204の遠位端部分、端部品206、弁保持機構114、およびシースの内側に圧縮状態で保持される弁10の上に配置される。保持機構114の外側フォーク140のみを
図29Aに示す。外側フォーク140のヘッド部分148は、上述のもの等の端部品の階段状シャフト部分210との嵌合接続を形成すること等によって、端部品206に固定することができる。内部フォーク138(
図29Aに図示せず)は、そのヘッド部分144において、弁カテーテルシャフトを通って延在する、内側シャフトの遠位端(
図29Aに図示せず)に接続することができる。内部シャフトは、細長いノーズカテーテル118のシャフト120であってもよい(
図8)。内部フォーク138の突起部142は、上記に説明するように、弁10を送達装置に固定するために、ステント12内の開口部32を通って延在する。内部フォーク138が、シャフト204を通って延在する内部シャフトに固定されるため、内部フォーク138は、シャフト204に対して、内部シャフトを近位方向に後退させることによって、内部フォークの突起部を外側フォーク140に対して後退させて、ステントの開口部から引き出すことができる(それによって、弁10を解放する)。
【0055】
図示した構成のシャフト204は、可撓性の溝付き管を含む、第1の層212と、第1の層212の周辺にらせん状に巻かれるワイヤコイルを含む、第2の層214とを含む。第1の層212は、金属(例えば、ステンレス網)、ポリマー材料、または別の好適な材料から作製することができる。ワイヤコイル214は、他の材料を使用することができるが、例えば、ステンレス網ワイヤであってもよい。ワイヤコイル214は、少なくともシャフト204の遠位端部分に沿って延在し、シース208の雌ネジ216に係合する。この方法で、ワイヤコイル214は、シャフト204の雄ネジとしての機能を果たす。トルクシャフト204を外側シャフト220に対して回転する時に、シース208は、シャフト204の回転が、弁10を配備するために、シャフト204をシース208に対して遠位に前進させるように、外側シャフト220によるシャフト204との回転に対して保持される。
【0056】
使用中、送達装置200は、患者の血管系に挿入され、心臓の埋込部位まで前進させられる。次いで、トルクシャフト204は、弁10がシースから抜かれて、その機能的寸法まで拡張するまで、外側シャフト220に対して回転し、シャフトを遠位方向に(矢印218で示すように)前進させる。この地点において、弁10は、保持機構114によって送達装置に接続されたままであり、それによって、ユーザは、埋込部位において、拡張した弁の位置を微調整することができる。弁が所望の配向になると、保持機構114によって形成された接続は、上述のように内側シャフトを後退させることによって、解放することができる。その後、保持機構は、シース内に再度後退させることができ、送達装置のすべてを体内から除去することができる。
【0057】
図29Bは、別の実施形態に従う、送達装置の遠位端部分250を示す。送達装置250は、送達装置100と同様の構造を有し、かつ多くのそれと同一の構成要素(いくつかの共通する構成要素は、明確にするために、
図29Bから除去される)を有する。送達装置250は、送達シース256内に延在する細長い可撓性トルクシャフト254を備える、細長い弁カテーテル252を備える。シャフト254は、例えば、示すようなコイル状シャフト、またはケーブル(例えば、ステンレス網ケーブル)を備えることができる。第1のネジ部材258は、シースのシャフト254の遠位端部分上に配置されそこに固定され、第2のネジ部材260は、シースの第1のネジ部材上に配置される。第1のネジ部材258は、第2のネジ部材260の雌ネジに係合する雄ネジを有する。第2のネジ部材260はまた、シース256の雌ネジに係合する雄ネジを有する。
【0058】
送達装置はさらに、シャフト254の上を延在する外側シャフト264を含むことができ、シース256の近位端に固定される遠位端部分を有する。トルクシャフト254は、外側シャフト264およびシース256に対して回転させて、シースから弁を配備させるために、シースに対してトルクシャフトを縦方向に前進させることができる。環部材266は、トルクシャフト254の外表面上に載置され、トルクシャフトの回転時に、外側シャフト264に対して、トルクシャフトと共に縦方向に移動する。環部材266は、下記にさらに説明するように、トルクシャフト254が、所定距離だけ遠位方向に前進させられた後に、第2のネジ部材260に接触し、それをシース256内に前進させるように位置する。
【0059】
図29Bにさらに示すように、弁保持機構114の外側フォーク140は、そのヘッド部分148において、第1のネジ部材258の階段状シャフト部分262に固定することができ、それは、次に、トルクシャフト254に固定される。内側フォーク138(
図29Bにおいて図示せず)は、そのヘッド部分において、トルクシャフト254を通って延在する、内側シャフト(図示せず)の遠位端に接続することができる。内側フォークの突起部は、上述のように、シャフト254の遠位端から延在し、外側フォークの突起部と協働して、ステントの柱30との解放可能な接続を形成する。トルクシャフト254に対して内側シャフトを後退させることによって、内部フォークは、外側フォークに対して後退させられ、柱30への接続を解放することができる。
【0060】
使用中、送達装置250は、患者の血管系の中に挿入され、心臓の埋込部位まで前進させられる。弁の配備を開始するために、トルクシャフト254は、外側シャフト264に対して回転させられ、それは、シースの遠位端から弁10を部分的に前進させるために、第2のネジ部材260およびシース258に対して、第1のネジ部材258を回転させ、かつ遠位方向に前進させる。トルクシャフト254が所定距離だけ前進させられた後に、環部材266は、トルクシャフト254の回転が、シースから弁10を完全に前進させるために、第1のネジ部材および第2のネジ部材をシースに対して遠位方向に(矢印268の方向に)前進させることに効果的であるように、第2のネジ部材260と接触する。弁が所望の配向になると、保持機構114によって形成された接続は、上述のように内側シャフトを後退させることによって解放することができる。その後、保持機構は、シース内に再度後退させることができ、送達装置のすべてを体内から除去することができる。
【0061】
図30〜37は、別の実施形態に従う送達装置300を図示する。
図30〜33は、送達装置300の遠位端部分を示す。
図34〜35は、送達装置300の近位端部分を示す。
図36〜37は、送達装置300の弁10の配備を示す(弁の弁尖は、図において、明確にするために除去される)。
【0062】
送達装置300は、装置の遠位端における弁保持機構306(
図32および33)と、装置の近位端におけるハンドル部分308(
図34および35)との間に延在する、細長いシャフト304を有する、第1の外側カテーテル302を備える。主要カテーテルシャフト304の遠位端は、弁保持機構306に結合され、それは、次に弁10に固定される。外側カテーテル302は、患者の血管系を通る送達装置の前進を促進するために、シャフト304の一部分の選択的湾曲または屈曲を可能にするように構成される、ガイドカテーテルであってもよい。
【0063】
送達装置はまた、主要カテーテルシャフト304を通って延在する、細長いトルクシャフト312を有する、第2のトルクカテーテル310を含む。トルクシャフト304の遠位端は、保持機構306を通って延在する可撓性シャフト316と、シャフト316の長さに沿って離間する1つ以上のネジ部材318とを備える、可撓性ネジ機構314に接続される(
図32および33)。
図33に示すように、ネジ機構314のシャフト316は、患者の血管系を通る送達装置の追跡を補助するために、湾曲または屈曲を可能にするために十分な可撓性を呈する。主要カテーテルシャフト304は、ネジ部材318の雄ネジに係合する雌ネジで形成することができる。例えば、主要シャフト304の遠位端部分(例えば、シャフト304の遠位端において、11mmのセグメント)は、雌ネジで形成することができる。トルクシャフト312の近位端部分は、下記にさらに説明するように、ハンドル部分308内に延在し、そこで、それは、主要カテーテルシャフト304に対するトルクシャフトの回転を可能にするように、制御ノブ320に結合する(
図34および35)。
【0064】
動作中、各ネジ部材318は、主要シャフト304の雌ネジ部分を通過しそれに係合する。ネジ部材318は、望ましくは、ネジ部材が雌ネジを通過すると、トルクシャフトへの軸方向に向けられた力の印加を防止するか、またはそれを少なくとも最小化するように、調節ネジ部材318が主要シャフトの雌ネジの他方の端部から係脱する前に、ネジ部材318が主要シャフト304の雌ネジ部分の一方の端部に係合することができるように、相互から離間される。この方法で、比較的高いシースから抜く力を、送達装置の全体の可撓性を損なうことなく、シースに印加することができる。
【0065】
送達装置はまた、その遠位端においてノーズ部品328に接続される、細長いシャフト326を有する、第3のノーズカテーテル324を含むことができる。ノーズカテーテルシャフト326は、トルクシャフト312を通って延在し、ハンドル部分308の近位端から外向きに延在する近位端部分を有する(
図34および35)。主要カテーテルシャフト304、トルクシャフト312、およびノーズカテーテルシャフト326は、望ましくは、相互に対して軸方向に移動可能になるように構成される。
【0066】
図30および31に示すように、送達装置はさらに、圧縮された弁10の上を延在する移動可能なシース322を含むことができる。シース322は、トルクシャフト312およびネジ機構314の縦方向移動が、シース322の対応する縦方向移動を引き起こすようにネジ機構314に接続される。例えば、シースは、フィンガ316の各口径部362(
図32)内に延在する、内向きに延在する突起部358(
図31)を有することができ、それは、次に、可撓性シャフト316の遠位端に接続される。フィンガ362は、望ましくは、シャフト316がそれぞれ遠位または近位方向に移動する時に、シャフト316がフィンガ362に対して回転することを可能にするために、フィンガ362を押すか、または引く猿環接合によって、シャフト316に接続される。その結果、下記にさらに説明するように、主要シャフト304に対するトルクシャフト312およびネジ機構314の回転は、シースからの弁の制御された配備を可能にするように、弁に対して、シースを近位方向および遠位方向(
図30において両矢印330で示すように)に移動させることに効果的である。
【0067】
図32および33を参照すると、弁保持機構306は、外側フォーク330と、内側フォーク332とを備える。フィンガ362の一部分は、内側フォーク332を示すために、
図33から切り離されている。外側フォーク330は、ヘッド部分334と、ヘッド部分334から延在する、複数(図示した実施形態において3つ)の細長い可撓性突起部336とを備える。ヘッド部分334は、上述のように、外側フォークが階段状主要カテーテルシャフト304のシャフト部分との嵌合接続を形成することを可能にするように、弾性保持フランジ338で形成することができる。内側フォーク332は、ノーズカテーテルシャフト326に固着されるヘッド部分340と、ヘッド部分340から延在する複数の細長い突起部342とを有する。外側フォークの突起部336の遠位端部分は、弁10の各保持アーム30を受容するように寸法決定される、口径部344を使用して形成することができる。内側フォーク332の突起部342の遠位端は、上述および
図14〜16に示す弁保持機構114と同様に、保持アーム30の口径部32を通って延在して、弁10を固定するための解放可能な接続を形成する。シース322から弁が配備させられた後に、弁と保持機構306との間の接続は、保持アーム30の口径部32から突起部342を引き出すために、主要カテーテルシャフト304に対してノーズカテーテルシャフト326を後退させることによって、解放することができる。ネジ機構314の外側突起部336およびシャフト316は、送達装置が患者の血管系を通って埋込部位まで前進させられると、送達装置の部分が湾曲または屈曲することを可能にするが、それがシース322から配備させられた後に、弁の再設置を可能にすることに十分な剛性であるような、十分な可撓性を呈する。突起部336を含む外側フォーク330は、所望の可撓性を提供する、金属(例えば、ステンレス網)またはポリマー等の様々な好適な材料のうちのいずれかから作製することができる。
【0068】
図34および35を参照すると、ハンドル部分308は、第1のギア348および第2のギア350を収容する筐体346を備える。第1のギア348は、筐体を通って延在し、筐体の外部に位置する制御ノブ320に接続されるシャフトを有する。第2のギア350は、トルクシャフト312の上に配置されそこに固着される。したがって、制御ノブ320の手動回転は、第1のギア348の回転を引き起こし、それは、次に、第2のギア350を回転させる。第2のギア350は、主要カテーテルシャフト304、弁保持機構306、および弁10に対して、トルクシャフト312およびネジ機構314を回転させる。トルクシャフト312およびネジ機構314の回転は、次に、弁に対するシース322の直線運動を引き起こす。
【0069】
使用中、弁10は、半径方向に圧縮された状態でシース322内に充填され(
図30に示すように)、それは、例えば、上述の充填コーン124を使用することによって達成することができる。次いで、送達装置300は、患者の血管系の中に挿入され、埋込部位における位置か、またはそれに隣接する位置まで前進させられる。次いで、弁10は、ハンドル部分上のノブ320を回転させることによって、シースから配備することができ、それは、次に、トルクシャフト312およびネジ機構316が主要シャフト304内に後退させられ、それによって、
図31に示すように、弁を露出するために、シース322が近位方向(
図31において矢印352)に移動させられる。ノブ320の回転は、弁配備中にシース322の制御された正確な後退を可能にする。有利に、シースから抜くプロセス中に、弁の位置が埋込部位において弁輪に対して一定に維持することができる一方で、シースは後退させられている。反対方向のノブの回転は、弁を再度被覆するために、シースを遠位方向に移動させる。したがって、体内の送達装置を再設置するか、または送達装置および弁を体内から完全に引き出す必要がある場合には、シースから弁が少なくとも部分的に前進させられた後に、ノブの回転を逆転させて、弁を圧縮状態のシース内に再度戻すことが可能である。
【0070】
送達シースから弁10が前進させられ、その機能的寸法まで拡張した後に(
図36に示すように)、弁は、保持機構306を介して送達装置に接続されたままである。その結果、送達シースから弁が前進させられた後に、外科医は、弁の対応する移動を引き起こすか、送達装置を近位および遠位方向、または左右に移動させるか、または送達装置を回転させること等によって、天然弁の所望の埋込位置まで弁を再設置することができる。保持機構306は、望ましくは、弁の位置が天然弁の所望の埋込位置に対して調節されると、血流に対して、送達装置に対して弁の位置を保持することを十分に確保し、剛性である弁と送達装置との間の接続を提供する。外科医が弁を天然弁の所望の埋込位置に位置付けると、外科医は、主要カテーテルシャフト304に対して、ノーズカテーテルシャフト326の近位端354を近位方向(
図34において矢印356で示すように)に引くことによって、弁と送達装置との間の接続を解放することができ、それは、弁の保持アーム30の開口部32からその突起部342を引き出すために、内側フォーク332を後退させることに効果的である(
図37)。主要カテーテルシャフト304の後退は、外側フォーク330を後退させて、保持機構306から弁を完全に切断する(
図37に示すように)。その後、保持機構は、シース322内に再度後退させることができ、送達装置は、弁を天然弁(
図5Aおよび5Bに示すもの等)の中に埋め込んだまま、体内から引き出すことができる。
【0071】
弁10が保持機構306に依然として接続されているが、シースから完全に配備させられた後に、外科医が手術を中断することを決断する場合には、膨張した弁をシース内に再度後退させることは不可能であり得る。したがって、
図38A〜38Cは、拡張した弁10をシース322内に再度回収する上で補助するために、送達装置300と共に使用することができる、弁回収デバイス400の一実施形態を示す。図示した実施形態における弁回収デバイス400は、患者の血管系の中に挿入され、主要カテーテルシャフト304の上を前進するように構成される、細長い、一般に円筒状本体を備える。本体の遠位端部分は、通常、圧縮状態、一般に、円筒形体(
図38Aに示すように)で保持される、複数の細長い可撓性フラップ部分402を備え、相互から半径方向外向きに屈曲して、拡張した弁10の近位端を受容することに十分大きい、一般にコーン形状の容器を形成することができる(
図38Bおよび38C)。フラップ部分402は、望ましくは、
図38Bおよび38Cに示す拡張状態を超えて拡張することから防止される。また、フラップ部分402は、円周方向に互いに重なるように寸法化され、それによって、フラップ部分が拡張する時に、それらは、フラップ部分間に任意の隙間を有さない、連続的外表面を有するコーンを形成する。フラップ部分402の拡張を生じさせるために、各フラップ部分は、回収デバイス400の長さに沿って、その近位端に延在する、各プルワイヤに接続することができる。張力がプルワイヤの近位端に印加される時に、フラップ部分は、相互から半径方向外向きに屈曲する。また、フラップ部分402は、回収プロセス中に、血液がフラップ部分を通って流れることを可能にする、メッシュ材料、または有孔ホイル等の有孔材料から作製することができる。
【0072】
あるいは、フラップ部分402は、ニチノール等の形状記憶材料から作製することができ、かつ自己拡張型である。自己拡張型フラップ部分は、通常、
図38A〜38Bに示す拡張構造を取る。フラップ部分402は、外側シース406によって、半径方向に圧縮された状態に保持することができる(
図38A)。シース406が、フラップ部分402に対して矢印408の方向に後退させられる時に、フラップ部分402は、
図38A〜38Bに示す拡張構造に拡張する。
【0073】
上述のように、回収デバイス400を使用して、完全に拡張した弁を回収し、それを患者の体内から除去することができる。
図38Aに示すように、使用中、回収デバイス400は、カテーテルシャフト304の上を通って体内に挿入され、配備された弁10に向かって前進させられる。
図38Bおよび38Cに示すように、次いで、フラップ部分402は、弁を係合するために、拡張され、遠位方向にさらに前進させられる。回収デバイスが弁の上を前進すると、弁は、圧縮させられる。弁がシース322への挿入を可能にすることに十分小さい直径まで圧縮される時に、シース322は、シースが弁の上を延在するまで、(例えば、ノブ320の回転によって)遠位方向に前進させられる。弁がシースの内側にあると、回収デバイスの後に、送達装置および弁は、患者の体内から除去することができる。
【0074】
特定の実施形態においては、回収デバイス400の細長い本体の一部分は、ネジ部材318のネジ山に係合するように適合される、雌ネジを有することができ(
図32)、それによって、回収デバイスは、ノブ320の回転によって遠位および近位方向に移動することができる(
図34)。使用中、回収デバイスは、体内に挿入され、回収デバイスのネジ山部分がネジ部材318に係合するまで、主要カテーテルシャフト304の上を前進させられる。次いで、フラップ部分402は、拡張させられ、回収デバイスおよびシースは、ノブ320の回転によって拡張した弁の上を前進させられる。フラップ部分402の遠位端は、シース322の遠位端を越えて延在し、それによって、両方が前進させられると、弁の近位端は、まず、フラップ部分と接触し、シース内への弁の挿入を促進するように圧縮し始める。
【0075】
図39は、送達装置300の修正を図示する。この実施形態においては、弁10は、弁を包囲する、1つ以上の解放可能なバンド370等の回収デバイスによるシース322からの配備後に、その圧縮状態に維持される。バンド370は、バンドが開口し、弁が拡張することを可能にする、スネアデバイスを引くか、または移動させることによって、解放することができる。あるいは、バンド370は、弁が埋込部位に前進させられた後に体内で溶解する、生体吸収性または可溶性材料から作製することができる。弁がシースから前進させられる間に、弁がその圧縮状態に維持されるため、シースの端部からの弁の「跳躍」の問題は、弁のより制御された送達を可能にするように、回避することができる。バンド370または同様の抑制デバイスが使用される場合には、送達装置は、シースを通して弁を押すように操作可能である、従来の押し出しシャフトを用いることができ、シースからの弁の配備を生じるように回転させられる、回転トルクシャフトを含む必要はない。言い換えると、バンド370または同様の抑制デバイスは、オペレータが、シースから弁を押すようにシャフトを押す、従来の送達装置と共に使用することができる。さらに、いくつかの実施形態においては、送達装置は、抑制デバイスが患者の血管系を通って、埋込部位に前進させられると、弁をその圧縮状態に保持することができるという事実により、送達中に圧縮された弁を被覆するシースを含む必要はない。
【0076】
図40は、別の実施形態に従う、送達装置400を図示する。送達装置400は、細長いシャフト404を有する第1の最外部または主要カテーテル402を含み、その遠位端は、弁送達中に圧縮状態の弁10の上を延在し、それを保持するように寸法決定される送達シース406に結合される。シャフト404の近位端は、送達装置のハンドルアセンブリ408に接続される。送達装置はまた、シャフト404から延在する、細長いシャフト412を有する、第2のカテーテル410(弁カテーテルとも称される)を含む。送達装置はまた、細長いシャフト416と、シャフト416の遠位端部分に固定される、ノーズ部品418とを有する、第3のノーズカテーテル414を含むことができる。ノーズカテーテルシャフト416は、弁カテーテルシャフト412を通って延在し、ガイドワイヤを受容するための管腔を含むことができる。シャフト404、412、および416は、望ましくは、遠位および近位方向の相互に対して軸方向に移動可能になるように構成される。
【0077】
図46に最もよく示すように、ノーズ部品418は、患者の血管系を通る送達装置の非侵襲的追跡のための先細りの遠位端部分と、シース406内に延在する先細りの近位端部分とを有することができる。弁が配備させられた後に、ノーズ部品の先細りの近位端部分は、体内から送達装置を引き出すために、シース406内にノーズ部品がより容易に再度挿入されることを可能にする。シース406は、ノーズ部品をシース内に再度後退させる操作を補助するための放射線不透過性先端部分490を含むことができる。
【0078】
図48に最もよく示すように、弁カテーテルシャフト412は、X線造影液体等の造影剤を、弁を取り囲む間隙内のシース406内に導入するために、1つ以上の管腔492を有することができる。シース406は、患者の血管系の中に造影剤を注入するための、1つ以上の口径部494(
図46および48)を有することができる。ハンドルアセンブリ408は、管腔内に造影剤を導入するために、管腔492と液体連通する、個別の入口部を有することができる。造影剤は、人工弁を移植するための所望の位置を特定することを補助するために、人工弁を配備させる前に、天然弁に隣接する患者の血管系の中に注入することができる。例えば、大動脈弁を置換する時に、造影剤は、天然弁尖の基質にすぐ隣接する大動脈内に注入することができる。これは、人工弁を配備させるための所望位置の特定に役立つように、オペレータに視覚的フィードバックを提供する。人工弁が埋め込まれた後に、さらなる造影剤を、人工弁の弁尖にすぐ隣接する場所に注入して、人工弁の操作の視覚的フィードバックを提供することができる。
【0079】
具体的な実施形態においては、シース406の内径は、約0.265インチ未満であり、シースの外径は、約0.28インチ未満である。
【0080】
図41を参照すると、図示した構造におけるハンドルアセンブリは、シャフト404、412および416の近位端部分を収容する筐体420と、ネジシャフト422とを含む。ネジシャフト422は、縦方向移動のために、細長い支持ロッド424上の筐体420の内部に載置される。支持ロッド424の遠位端は、遠位ブラケット426によって支持することができ、支持ロッドの近位端は、近位ブラケット428によって支持することができる。主要シャフト404の近位端は、スタブシャフト430に固定することができ、それは、次に、接着する等によって、ネジシャフト422の内部に固定することができる。下記にさらに説明するように、ネジシャフト422は、ノブの回転時に、ネジシャフト422および主要シャフト404の縦方向移動を制御するように動作可能である、アクチュエータまたは制御ノブ432に動作可能に接続される。ハンドルアセンブリ408はさらに、その近位端に載置される、コネクタ470を含むことができる。コネクタ470は、シャフト416を通るガイドワイヤの挿入のために、ノーズカテーテルシャフト416の管腔と液体連通する、第1の通路472を有する。コネクタ470は、それを通って解放ワイヤ506の近位端部分が延在する、第2の通路474を有することができる(下記に説明)。
【0081】
図42に最もよく示すように、ハンドルアセンブリ408の筐体420は、近位筐体部分434と、遠位筐体部分436とを備えることができる。近位筐体部分434は、第1および第2の筐体部分434a、434bを備えることができ、遠位筐体部分436は、第1および第2の筐体部分436a、436bを備えることができる。ネジシャフト422は、第2の筐体部分436bのスロット464を通って延在する、フラッシュポート462を含むことができる。フラッシュポート462は、シャフト間にフラッシュ液体を導入するために、主要シャフト404と弁カテーテルシャフト412との間の間隙と液体連通する、管腔を有する。
【0082】
コントロールノブ432は、ノブ部分438と、近位筐体部分434内に延在する近位延長部440と、遠位筐体部分436内に延在する遠位延長部442とを備えることができる。
図41に最もよく示すように、ハンドルアセンブリが組み立てられた時に、ノブ部分438は、近位筐体部分と遠位筐体部分との間に載置される。近位筐体部分434は、近位延長部440内の対応する環状溝446(
図44)内に延在する、近位筐体部分の環状フランジ444を介して、近位延長部440に固定することができる。同様に、遠位筐体部分は、遠位延長部442内の対応する環状溝450(
図44)内に延在する、遠位筐体部分の環状フランジ448を介して、遠位延長部442に固定することができる。
【0083】
制御ノブ432は、遠位延長部442の上に載置される、ネジ係合ラッチ452を含むことができる。ネジ係合ラッチ452は、ユーザが、主要シャフト404のそれぞれの微調節または方向調節のために、ネジシャフト422を選択的に係合または係脱することを可能にするように動作可能である。さらに説明するように、ネジ係合ラッチ452(第1および第2のラッチ部分452a、452bを含むことができる)は、制御ノブの遠位延長部442内に形成された、上部および下部スロット454内に載置される。
図45に最もよく示すように、ラッチ452は、スロット454を通って延在し、かつネジシャフト422の雄ネジに係合することができる、上部および下部の内向きに延在するフランジ456を有する。ラッチ452は、また、フランジ456に隣接する弓状の上部および下部の内表面458で形成することができる。ラッチ452は、フランジ456がスロット454から延在し、ネジシャフト422に係合する、係合位置と、湾曲表面458がスロット454内で整列させられ、ラッチがネジシャフト422から係脱される、係脱位置との間で、外側方向(両矢印460で示すように)に遠位延長部442の上で摺動可能である。バネ466は、バネの偏向に対して、ラッチ452を係合位置に保持するために、遠位延長部442と、ラッチ部分452bとの間に配置されることができる。
図43に最もよく示すように、バネ466の一方の端部は、遠位延長部442の側面にあるノッチ468内に保持することができ、バネの他方の端部は、ラッチ部分452bの内部表面に対して支えるように設置することができる。
【0084】
フランジ456がネジシャフト422のネジ山を係合するように、ラッチが係合位置にあるときに、制御ノブ432の回転は、筐体420内でネジシャフト422を縦方向に移動させる。主要シャフト404がネジシャフト422に固定されるため、ネジシャフトの縦方向移動は、弁カテーテルシャフト412の遠位端に載置された弁に対して、主要シャフト404およびシース406の対応する縦方向移動を引き起こす。制御ノブ432の回転は、制御された弁の配備のために、正確で制御された方法で、弁に対してシース406を移動させるために効果的である。湾曲表面458がスロット454内で整列させられるように、ラッチ452が係脱位置まで移動させられる時に、ラッチ452は、表面458によって画定される内径がネジシャフト422の外径を上回るという事実により、ネジシャフト422から係脱される。係脱位置においては、主要シャフト404は、シース406の位置の方向調節のために、制御ノブ432に対して自由に押すか、または引くことができる。オペレータは、筐体420から延在する主要シャフト404の部分を押すか、もしくは引くことによるか、または、フラッシュポート462(スロット464内で移動する)上で押すか、もしくは引くことによって、シース406の位置を調節することができる。
【0085】
弁カテーテルシャフト412は、患者の血管系の中を通る送達装置の誘導を促進するために、外科医が送達装置の遠位部分の湾曲または屈曲の量を誘導するか、または制御することを可能にするように構成されるガイドカテーテルを備えることができる。例えば、
図41および42を参照すると、ハンドルアセンブリ408は、送達装置の遠位端の湾曲または屈曲の量を調節するように動作可能である、調節機構476を含むことができる。調節機構476は、筐体420内に延在する遠位延長部480を有する、回転可能な調節ノブ478を含むことができる。遠位延長部480は、中央摺動ロッド484の上の縦方向動作のために支持される、摺動ナット482に係合する雌ネジで形成された孔を有する。2つの支持ロッド486は、摺動ナット482の内表面と、摺動ロッド484の外表面との間に延在する。各支持ロッド486は、調節ノブ478に対する摺動ナット482の回転を制限するために、摺動ロッド484の外表面内および摺動ナット482の内表面内の細長いノッチ内で支持される。この配列に基づいて、ノブ478の回転(時計回りまたは反時計回りのいずれか)は、遠位および近位方向の摺動ロッド484に対して、摺動ナット482を縦方向に移動させる。少なくとも1つの引きワイヤ(図示せず)は、その近位端において、摺動ナット482に固定され、ハンドルアセンブリおよびシャフト412を通って延在し、その遠位端におけるシャフト412の遠位端に隣接する位置において固定される。送達装置の遠位端部分の湾曲を増加させるために、ノブ478は、摺動ナット482の近位方向の動作を引き起こすように回転させられ、それは、次に、送達装置の湾曲を増大するために引きワイヤを引く。送達装置の湾曲を減少させるために、調節ノブ478は、摺動ナット482を遠位方向に移動させるように反対方向に回転させられ、それは、送達装置の遠位端部分がそれ自体の弾力下で直線にすることを可能にするように、引きワイヤの張力を減少する。ガイドカテーテルの湾曲を制御するための調節機構のさらなる詳細は、米国特許出願公開第2008/0065011号および同第2007/0005131に開示され、それは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
ここで、
図47〜49を参照すると、人工弁10は、解放可能な接続を介して、弁カテーテルシャフト412の遠位端から延在する複数の縫合糸500を備える、弁カテーテルシャフト412の遠位端に固定することができる。各縫合糸500は、弁ステント12のフック部分502(
図49)を通って延在し、そこを通って解放ワイヤ506が延在する、ループ504で形成される。解放ワイヤ506は、解放ワイヤをノーズカテーテルシャフトと平行整列に維持するために、ノーズカテーテルシャフト416の上に載置される、スペーサ508を通って延在することができる。解放ワイヤ506はさらに、弁カテーテルシャフト412、ハンドルアセンブリ408、およびコネクタ470を通って延在する(
図41)。
図48に最もよく示すように、縫合糸500は、弁カテーテルシャフトの先端部分510の口径部を通って延在することができ、弁カテーテルシャフトに対して、縫合糸500を固定するために、相互に縛り付けられるか、またはさもなければ、先端部分510に固定される。全体の弁10を図示せず、図示目的のために弁ステント12のみを
図49に示すことに留意されたい。弁10は、
図1〜2に示す構造と同様の構造を有することができる。
【0087】
弁送達中に、弁は、半径方向に圧縮された状態でシース406内に載置される。シース406から弁を配備するために、シースは、制御ノブ432の回転(ラッチ452が係合位置にある時)、または主要シャフト404を近位方向に引くこと(ラッチ452が係脱位置にある時)によって、弁に対して後退させられる。
図49に示すように、シース406の後退は、弁を露出し、それは、縫合糸500を介して弁カテーテルシャフト412に接続されたままの間、その機能的寸法に拡張させる。弁が弁カテーテルシャフト406に接続されたままであるため、拡張した弁の位置は、送達装置のハンドルアセンブリ408を移動させることによって調節することができる。弁が埋込のためのその所望位置にあると、弁は、解放ワイヤから縫合糸ループ504を解放するために、解放ワイヤ506を後退させ、それによって、弁のフック部分502から縫合糸500を解放することによって、解放することができる。解放ワイヤ506は、ハンドル上のコネクタ470から延在する、解放ワイヤの近位端上で引くことによって、後退させることができる(
図41)。
【0088】
図50は、弁と弁カテーテルシャフト412との間の解放可能な接続を形成するための、さらなる接続技術を示す。この実施形態は、縫合糸500が先端部分510に対して固定されていないことを除き、
図48に示す実施形態と同様である。その代わり、縫合糸の近位端部分512は、細長いシャフト、または弁カテーテルシャフト412から延在するワイヤ等の摺動解放機構(図示せず)に固着される。縫合糸500によって、弁がシャフト412に接続されている間に、解放機構は、遠位方向に移動され、弁のフック部分502の制御された拡張を可能にするように、縫合糸500内の緩みを増大することができる。解放機構は、解放機構の摺動動作を生じさせるように、ユーザが操作することができる、ハンドルアセンブリ上に位置する、摺動または回転ノブに動作可能に接続することができる。使用中、シース406は、弁に対して後退させられる。これは、それらが縫合糸500に依然として接続されているため、内向きに湾曲される、フック部分502を除き、ステント12が拡張することを可能にする。解放ワイヤ506を後退させる前に、摺動解放機構は、緩み500を増大させるために、遠位方向に移動させられ、ステントのフック部分502の制御された半径方向の拡張を可能にする。ステントが完全に拡張すると、解放ワイヤ506は、縫合糸500からステントのフック部分502を解放するために、後退させることができる。
【0089】
図51は、弁と弁カテーテルシャフト412との間の解放可能な接続を形成するための、接続技術の別の実施形態を示す。この実施形態においては、複数のテザー514(ステントの各フック部分502のうちの1つ)は、弁カテーテルシャフト412の遠位端から延在する。各テザー514の遠位端は、縫合糸518によって、各フック部分502に接続される、各付着要素516に固定される。各縫合糸518は、付着要素516にしっかりと固定される、1つの端部を有し、付着要素516のフック部分502および開口部520を通って延在し、その対向端部においてループ521を有する。各テザー514および付着要素516では、解放ワイヤ522は、シャフト412の遠位端から、各縫合糸518のループ521を通って延在する。テザー514の近位端は、シースから弁を配備するために、シース406が後退させられた後に、テザー514の緩みを増大させて、ステントフック部分502の制御された半径方向の拡張を可能にするように、遠位方向に移動することができる、摺動解放機構に固定することができる。ステントが完全に拡張した後に、各解放ワイヤ522は、各縫合糸518を解放するために、後退させることができ、次いで、それは、フック部分502を解放するように、開口部520を通って引き戻される。各解放ワイヤ522は、例えば、ハンドルアセンブリ408から延在する、各解放ワイヤの近位端上で引くことによって、独立して後退させることができる。あるいは、各解放ワイヤ522は、解放ワイヤを同時に一斉に後退させるように、後退または回転することができる、ハンドルアセンブリ上の共通のノブに接続することができる。
【0090】
図52Aおよび52Bは、別の実施形態に従う、送達装置の遠位端部分600を図示する。送達装置600は、その遠位端においてノーズ部品604と、自己拡張型ステント弁608(
図52Aおよび52Bに概略的に示す)を受容するための環状凹部分606とを有する、カテーテルシャフト602を含む。可撓性外側シース、またはスリーブ610は、カテーテルシャフト602および弁608の上を延在し、患者の血管系を通す送達のために、その圧縮状態の弁を凹部分606内に維持する。弁を被覆する、シース610の遠位端部分は、外側襞層612および内側襞層614を有する、襞部分である。内側襞層614の近位端616は、(例えば、接着剤を使用して)カテーテルシャフト602の外表面に固定される。使用中、外側襞層612は、矢印618が示すように、近位方向に引かれ、
図52Bに示すように、弁を露出し、それが拡張することを可能にすることができる。スリーブ610は、望ましくは、弁608の外向きの拡張力に対して、円筒形状を維持するために十分な剛性を呈するが、外側襞層が内側襞層に対して引き戻されることを可能にするために十分な可撓性である。任意に、薄い流体層620は、襞層の隣接表面の摩擦を円滑かつ最小化するために、外側襞層612と内側襞層614との間に形成することができる。送達装置600の利点は、スリーブが引き戻されると、スリーブ610と弁608との間に生じた摩擦力がなく、そのため、その圧縮されたシースに入れられた状態から弁を解放するために、より少ない力がユーザによって必要とされるということである。
【0091】
スリーブ610は、様々なポリマー(例えば、ナイロンもしくはPTFE)または金属(例えば、ニチノール)を含む、様々な材料のうちのいずれかから構成することができる。スリーブは、例えば、網状層、メッシュ層、非有孔層、またはそれらの組み合わせであってもよい、材料の1つ以上の層を備えることができる。図面には図示しないが、スリーブ610は、ユーザによる操作のために、送達装置のハンドルまで延在することができる。あるいは、スリーブ610は、ハンドルの手前で終端することができ、スリーブの近位端とハンドルとの間に延在する、1つ以上の引きワイヤに接続することができ、引きワイヤは、弁を配備させるために、外側襞層を引き戻すように、近位に引くことができる。
【0092】
ノーズ部品604を、カテーテルシャフト602の部品として示すが、これは、必須ではない。さらなる実施形態においては、送達装置は、上述の実施形態に説明するように、シャフト602を通って延在し、ノーズ部品604を載置する内側ノーズカテーテルシャフトを含むことができる。また、本明細書に開示する、弁と送達装置との間の解放可能な接続を形成するための、様々な接続機構のうちのいずれかは、
図52Aおよび52Bに示す実施形態に組み込むことができる。また、シャフト602は、バルーン膨張式弁(その場合では、弁は、自己拡張型である必要はない)をバルーン上に載置するために、シャフトの遠位端において、膨張式バルーンを有する、バルーンカテーテルのシャフトであってもよい。
【0093】
図53A〜53Eは、別の実施形態に従う、送達装置700を図示する。送達装置700は、外側カテーテルシャフト702と、外側シャフトを通って延在する内側カテーテルシャフト704とを備える。外側シャフト702の遠位端部分は、人工ステント弁706(概略的に示す)の上を延在し、患者の血管系を通して送達中に、それを圧縮状態に維持する、シースを備える。内側シャフト704の遠位端部分は、弁706のステントから延在して、弁と送達装置との間の解放可能な接続を形成する、1つ以上の嵌合延長アーム、または柱708と協働するように成形される。例えば、図示した実施形態においては、各柱708は、円環部分で終端する、直線部分を備え、シャフト704の遠位端部分は、各柱708を受容する、対応して成形された凹部710を有する。各凹部710は、各柱708の開口部714内に延在するように成形される、半径方向に延在する突出部712を含むことができる。
図53Bに最もよく示すように、各凹部710および突出部712は、柱708の表面と凹部内の隣接する表面との間に小さい間隙を提供して、半径方向(すなわち、シャフト704の軸に垂直)に凹部から柱の挿入および除去を促進するように、寸法決定することができる。
【0094】
図53Aに図示するように、弁706が送達装置700内に充填される時に、弁の各柱708が凹部710内に配置されるように、弁は、柱および対応する凹部の形状に基づき、(近位および遠位方向の)シャフト704に対する軸運動に対して保持される。
図53Dを参照すると、外側シャフト702が弁706を配備するために後退させられると、弁は、拡張することが可能になるが、弁の制御された送達のために、柱および対応する凹部によって形成された接続により、シースの遠位端からの「跳躍」に対して保持される。この段階において、部分的に配備した弁は、シャフト704によって、依然として保持され、外側シース702に対してシャフト704を近位方向に後退させることによって、外側シース702内に再度後退させることができる。
図53Eを参照すると、外側シースが、柱708を超えて近位方向に後退させられる時に、弁ステントの拡張力は、柱を凹部710から半径方向外向きに拡張させ、それによって、シャフト704から弁を完全に解放する。
【0095】
3つの柱708および対応する凹部710を、図示した実施形態において示すが、任意の数の柱および凹部を使用することができる。さらに、柱および凹部は、四角形、楕円形、長方形、三角形、またはそれらの様々な組み合わせ等の様々な他の形状を有することができる。柱は、弁ステントを形成するために使用する、同一の材料(例えば、ステンレス網またはニチノール)から形成することができる。あるいは、柱は、縫合材料等の剛性の少ない材料から形成されたループであってもよい。ループは、弁ステントに固定され、凹部710内で受容されるように寸法決定される。
【0096】
図54A〜54Dは、
図53A〜53Eに示す送達装置と同様の送達装置800を図示する。送達装置800は、回転可能なノブ804を有するハンドル部分802と、ハンドル部分802から延在する外側カテーテルシャフト806と、ハンドル部分から外側カテーテルシャフト806を通って延在する内側カテーテルシャフト808を含む。内側カテーテルシャフト808の遠位端は、環状凹部812および複数の軸方向に延在する角度離間した凹部814で形成される、端部品810を含む。凹部812、814は、弁のステント(
図54A〜54Dにおいて図示せず)から延在する、T型柱816を受容するように、寸法決定され、かつ成形される。各柱816は、対応する凹部814内に受容される、軸方向に延在する部分816aと、環状凹部812内に受容される、横方向の端部分816bとを有する。外側シャフト806は、弁の伝達中に、端部品812および弁の上を延在するように、寸法決定され、かつ成形される、シース818を含む。
【0097】
外側シャフト806は、
図40〜42に示す実施形態に関連して上記に説明するように、ノブ804の回転時に、内側シャフト808に対して、外側シャフト806およびシース818の縦方向動作を生じるように、ノブ804に動作可能に接続される。使用中、弁は、弁の柱816を凹部812、814内に定置させ、かつ弁を圧縮状態で維持するために、弁の上を延在するようにシースを遠位に移動させることによって、送達のために載置される。弁を埋め込むための標的部位、またはその付近において、ノブ804は、弁に対してシース818を後退させるように回転させられる。弁を配備するために、シースが後退させられると、弁は、拡張することが可能になるが、弁の制御された送達のために、柱および対応する凹部によって形成された接続によって、シースの遠位端からの「跳躍」に対して保持される。この段階において、部分的に配備した弁は、端部品810によって、依然として保持され、弁に対して、シャフト806を遠位に移動させることによって、シース内に再度後退させることができる。シースが柱816を超えて近位方向に後退させられる時に、弁ステントの拡張力は、凹部812、814から柱を半径方向外向きに拡張させ、それによって、端部品810から弁を完全に解放する。
【0098】
図55A〜55Bは、カテーテルまたは同様のデバイス、例えば、人工心臓弁を送達し、かつ埋め込むための送達装置を体内に導入するために使用することができる、900で示す、導入器の一実施形態を示す。導入器900は、細長い管、または体内のチャネル(例えば、血管)の中への挿入のために寸法決定された、シャフト902を含む。管902は、筐体904から延在する。カテーテル(
図55A〜55Bにおいて図示せず)を受容するための中心開口部908を有する、キャップ部分906は、筐体の近位端に載置される。シール910は、キャップ部分の対向面と筐体との間に捕集される。シールは、シリコーンゴム等の任意の好適な弾性材料、または様々な他の好適なエラストマのうちのいずれかから作製することができる。シールは、キャップ部分の開口部908と整列される、中心開口部912と、管902の管腔とを有する。シール910は、体内へのカテーテルの挿入中の血液喪失を最小化するために、カテーテルの表面に係合している間に、カテーテルが開口部912を通って挿入されることを可能にするように寸法決定される。筐体内に位置する、管902の近位端部分は、筐体904の内表面上の対応する雌ネジに係合する、雄ネジ部分914を有する。ネジ山部分914の近位延長部分916は、シール910に接触する。ネジ山部分914は、好適な接着剤等を用いて、管902に固着される。さらなる実施形態においては、管およびネジ山部分は、ネジ山部分が管上に直接形成される、単一または単一部品構造を有することができる。
【0099】
筐体904は、両矢印917に示すように、シール910の開口部912を選択的に膨満するか、またはそれに接触するように、管902に対して縦方向に移動可能である。図示した実施形態における筐体904は、管に対して筐体の縦方向動作を生じるように、管902に対して回転可能である。筐体が近位位置(
図55A)から遠位位置(
図55B)まで移動すると、シール910は、シール開口部912を第1の直径D1から第2のより大きい直径D2まで膨満させる、延長部分916に対して伸展する。上述のように、導入器900を使用して、体内への弁送達装置(例えば、上述の送達装置100)の導入を補助することができる。使用中、管902は、従来の方法を用いて事前に膨満することができる、血管(例えば、大腿動脈)の中に挿入される。次いで、筐体904は、シールの開口部を、管902の管腔内への圧縮弁(および弁を被覆する任意のシース)の通過を可能にするために十分大きい直径まで膨満するように、遠位に移動される。弁(または送達装置の最大部分)がシールを通過した後に、筐体は、筐体を近位に移動させて、シール開口部912がその膨満前の寸法まで再度収縮することを可能にするように、反対方向に回転される。この状態においては、シールは、送達装置の外表面に係合して、送達装置の外表面に沿った血液喪失を予防または少なくとも最小化する。
【0100】
図56A〜56Bは、別の実施形態に従う、導入器1000を示す。この実施形態は、
図55A〜55Bの実施形態と多くの類似点を共有する。したがって、
図55A〜55Bの対応する構成要素と同一である、
図56A〜56Bの構成要素は、同一の各参照番号を有し、さらに説明しない。導入器1000は、導入器900とは異なり、導入器1000の管902は、筐体904の内表面に摺動可能に係合する、外部部分1002を含む。したがって、
図56Bに図示するように、筐体904を回転させるよりはむしろ、筐体は、単に、シール開口部912を膨満させるために、管902に対して、遠位に押すことができる。筐体904からの手動圧力の除去は、シール開口部を収縮させるように、シール910の弾力性が筐体を近位に引き戻すことを可能にする。
【0101】
図57Aおよび57Bは、体内の血管の中への送達装置(例えば、弁送達装置)の挿入を促進するために使用することができる、1100で示す、統合導入器シースおよび充填器アセンブリを示す。導入器シースは、本明細書に説明する送達装置の実施形態等の、人工弁を埋め込むために使用される送達装置との使用に特に適する。導入器シースは、様々な種類の腔内デバイス(例えば、ステント、ステント移植弁)を置換するための他の種類の送達装置を、多くの種類の血管非血管性体内管腔(例えば、静脈、動脈、食道、胆道管、腸、尿道、卵管、他の内分泌または外分泌管等)内に導入するために使用することもできる。
【0102】
従来の導入器シースは、典型的には、バルーンカテーテル上に載置された弁に、閉塞されていない通路を提供するように、シース筐体内のシールを通って挿入される、管状充填器を必要とする。充填器は、導入器シースの近位端から延在し、それによって、その使用長を増大させ、体内に挿入することができる、送達装置の使用可能な使用長を減少させる。導入器シース1100は、シースの使用長を減少させ、したがって、体内に挿入することができる、送達装置の使用可能な使用長を増大させるために、シース筐体内に収容された、統合充填器管を含む。また、従来の導入器シースは、キャップと、典型的には、弁がシャフトの遠位端上に載置される前に、導入器シースから除去され、送達装置上にシャフト上に事前充填され、次いで、弁および送達装置がシース筐体内に挿入されると、シース筐体に再度取り付けられる、各シールとを含む。手順は、さもなければ、弁が捲縮状態でシャフト上に載置されている間に、シールの開口部を通って押し出される場合に生じ得る、人工弁への損傷を防止するために、この方法で実施される。いくつかの場合においては、シールは、キャップ内のその目的位置から脱落する可能性があり、それは、シールへの損傷を生じる可能性がある。そのような場合においては、ユーザは、シールの修復または置換のために、キャップおよびシールアセンブリを分解する必要があり得る。
【0103】
図示したアセンブリ1100は、シール筐体1102と、筐体から遠位に延在する管状スリーブ1104とを含む。シール筐体1102は、図示した実施形態に示すように、弁1106、ディスク1108、および止血弁1110等の1つ以上の封止弁を収容する。弁は、同様の生体適合性材料も使用することができるが、望ましくは、ポリイソプレン等の弾性の生体適合性材料から加工される。弁1106、1108、1110は、米国特許第6,379,372号において、さらに示され、説明され、それは、参照により本明細書に組み込まれる。スペーサ1112は、クロススリット弁1106とシール筐体の近位端との間に挿入することができる。
【0104】
シール筐体の長さに沿って、縦方向に移動するように適合される、部品1114は、シール筐体の近位端に結合される。図示した実施形態においては、端部品は、シール筐体1102の外表面上の雄ネジ部分1118に係合する、雌ネジ1116で形成された、管状本体を有する。したがって、端部品1114の回転は、シール筐体に対して、同一の内向きおよび外向きに移動する。端部品1114は、中央開口1120を有する、その近位端においてキャップ部分1119と、端部品の内側に固着された、細長い充填器管1122とを有する。開口部1120および充填器管1122は、送達装置上に載置された弁(または、他の人工弁)の通過を可能にするように寸法化される。端部品1114はまた、開口部1120と整列する、中心開口部1126を有する、シール1124を収容する。シール1124は、それが導入器シースアセンブリ1100内に挿入される時に、送達装置の外表面に密封的に係合する。
【0105】
上述のように、端部品1114は、シール筐体1102に対して、内向きおよび外向きに調節することができる。
図57Aに示す延在位置から、
図57Bに示す後退位置まで、端部品1114を調節することによって、充填器管1122がシール1106、1108、1110を通って移動し、弁が導入器シースを通過するための閉塞されていない通路を提供する。従来の導入器シースのように、充填器管は、端部品の裏に延在しないため、充填器管は、血管系の中に挿入することができる、送達装置の使用可能な使用長を減少させない。また、キャップ部分1119は、縦方向動作のために、端部品1114上に摺動的に載置され、かつシール1124に係合し、それを伸張させるように位置する、内側管状部分1128を有する。キャップ部分1119が、端部品に対して遠位に押し出される時に、管状部分1128は、送達装置および捲縮した弁にアセンブリ内への閉塞されていない通路を提供するために、シール1124を伸張させ、シール開口部1126を、第1の直径(
図57A)から第2のより大きい直径(
図57B)まで膨満させる。従来の導入器シースとは対照的に、キャップおよびその各シールは、弁を送達装置上に載置する前に、シースから除去され、送達装置上に事前に充填される必要はない。理解することができるように、図示した実施形態の構成は、シース内への送達装置の導入を促進し、かつ、充填プロセス中の潜在的なシールの脱落を回避する。
【0106】
使用中、
図57Aに示す延在位置にある導入器シース1100は、挿入されたガイドワイヤ(図示せず)の上に定置され、スリーブ1104が所望の距離だけ本体容器内に延在するまで、その上を前進させることができる。次いで、キャップ部分は、弁を充填器管1122内に位置付けるために、シール開口部1126を通る通路を可能にするように、シール1124を膨満するために、遠位に押し出すことができる。その後、キャップ部分は、シールの弾力性(
図57A)下で近位位置に再度移動することを可能にすることができ、それによって、シール1124が送達装置の外側シャフトの周辺に流体密封を形成することを可能にする。その後、端部品1114は、管1122を弁1106、1108、1110(
図57B)を通って摺動させるために回転させられ、したがって、スリーブ1104の管腔と連通する送達装置、およびスリーブが挿入される本体容器を定置する。有利には、このアプローチは、充填プロセスを簡略化し、シース内に弁を充填するために必要とされる、工程および部品の数を減少させる。
【0107】
導入器シース1100の代替的実施形態においては、シール筐体1102は、端部品1114上の雄ネジに係合する雌ネジを有することができる。端部品は、前述のように、充填器管1122の位置を調節するために回転することができる。また、シール筐体上のネジ山および端部品のピッチは、封止弁を通って充填器を延在させるために必要とされる、回転動作の量を変化させるために異なってもよい。別の実施形態においては、端部品1114は、端部品を回転させることなく、押し、引くことによって、シール筐体の長さに沿って、摺動可能に位置付け可能であってもよい。別のさらなる実施形態においては、キャップ部分は、
図56Aおよび56Bの実施形態に示すように、シールを膨満するために、キャップ部分の縦方向移動を生じるように、端部品1114に対して回転可能であってもよい。
【0108】
公知の導入器シースは、典型的には、約0.010〜0.015インチの放射状壁の厚さを有するポリマー管から作製されるスリーブを用いる。
図58Aは、公知のデバイスと比較してさらに薄い壁厚を有する薄い金属管状層を有する、1200で示す導入器シースの別の実施形態を示す。具体的な実施形態においては、シース1200の壁厚は、約0.0005〜約0.002インチである。導入器シース1200は、近位に位置する筐体、またはハブ1202と、遠位に延在するスリーブまたはカニューラ1204とを含む。筐体1202は、上記に詳細に説明するように、血液喪失を最小化するために、シールまたは一連のシールを収容することができる。スリーブ1204は、ニチノールまたはステンレス網等の金属または金属合金から形成され、望ましくは、スリーブに所望程度の屈曲を付与するために、一連の円周方向に延在するか、またはらせん方向に延在するスリットまたは開口部で形成される、管状層1206を含む。
【0109】
図58Bに示すように、例えば、管状層1206は、交互円形バンド1207の「Iビーム」パターン、および隣接バンド1207を接続する、軸方向に延在する接続部分1210を有する開口部1208で形成(例えば、レーザ切断)される。2つの隣接バンド1207は、図示した実施形態に示すように、スリーブの軸の周辺で相互から90度角度離間した4つの接続部分1210等の、複数の角度離間した接続部分1210によって接続することができる。スリーブ1204は、それが、捩れるか、または座屈せずに蛇行通路を通って押し出されると、スリーブが屈曲することを可能にするために十分な可撓性を呈する。
図59は、レーザ切断するか、またはさもなければ、管状層1206内に形成することができる、開口部の別のパターンを示す。
図59の実施形態における管状層は、隣接バンド1212を接続し、スリーブの長さに沿ってらせんパターンに配列される接続部分1216を有する、交互バンド1212および開口部1214のパターンを示す。さらなる実施形態においては、バンドおよび開口部のパターン、および/またはバンドおよび/または開口部の幅は、その長さに沿ってスリーブの剛性を変化させるために、スリーブの長さに沿って異なってもよい。例えば、バンドの幅は、スリーブの近位端付近においてより高い剛性、および遠位端付近においてより高い可撓性を提供するように、スリーブの近位端から遠位端まで減少してもよい。
【0110】
図60に示すように、スリーブは、管状層1206の上を延在し、スリーブと、スリーブが挿入される容器壁との間の摩擦を減少するような低摩擦材料から作製される薄い外層1218を有することができる。スリーブはまた、管状層1206の内表面を被覆し、スリーブと、スリーブ内に挿入される送達装置との間の摩擦を減少するような低摩擦材料から作製される、薄い内層1220を有することができる。内層および外層は、PET、PTFE、および/またはFEP等の好適なポリマーから作製することができる。
【0111】
具体的な実施形態においては、管状層1206は、約0.0005インチ〜約0.002インチの範囲の放射状壁厚を有する。そのため、スリーブは、公知のデバイスよりも、約1〜2Frの小さい外径で提供することができる。スリーブ1204の比較的より小さい形状は、使用の利便性を向上し、動脈壁の断裂を介する患者の怪我のリスクを低減し、高度に石灰化された動脈、蛇行経路または小さい直径の血管を有する患者に対して、最小の侵襲性の手順(例えば、心臓弁置換)の潜在的な使用を増大させる。
【0112】
さらなる実施形態においては、送達装置は、トルクシャフトを回転させるために手動動力源を使用するノブまたは同様の機構の代わりに、またはそれの他に、トルクシャフトの回転を生じさせるために、動力源と共に提供することができる。例えば、ハンドル部分308(
図35)は、ギア348に接続され、それに回転動作を伝達する小さい電気モータを収容することができる。この方法で、ユーザは、ハンドル部分のモータを単に起動することによって、トルクシャフト312の回転(弁を10をシースから抜く)を生じさせることができる。モータは、望ましくは、トルクシャフトが両方向に回転することができるように双方向モータである。あるいは、動力源は、トルクシャフトを回転させるように構成される油圧動力源(例えば、油圧ポンプ)、または空気(空気動作型)動力源であってもよい。
【0113】
別の実施形態においては、動力源(例えば、電気、油圧、または空気動力源)は、シャフトに動作可能に接続することができ、それは、次に弁10に接続される。動力源は、シースから弁を前進させるために、正確で制御された方法で、弁シースに対して、シャフトを遠位方向に縦方向に往復運動させるように構成される。あるいは、動力源は、シースから弁を配備するために、弁に対して、シースを近位方向に縦方向に往復運動させるためにシースに動作可能に接続されてもよい。
【0114】
開示した本発明が適用され得る、多くの潜在的な実施形態を考慮して、図示した実施形態は、本発明の所望の実施例のみであり、本発明の範囲を限定するものとして受け取られてはならないことを認識されたい。むしろ、本発明の範囲は、以下の請求項によって定義される。したがって、我々は、我々の発明のすべてが、これらの請求項の範囲および精神に含まれることを主張する。