(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678013
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】コンデンシング型給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20150205BHJP
F24H 1/12 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
F24H9/02 301B
F24H1/12 B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-182829(P2012-182829)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-40950(P2014-40950A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2013年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】高山 正義
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−300366(JP,A)
【文献】
特開平05−060398(JP,A)
【文献】
特開平11−294867(JP,A)
【文献】
特開2001−317818(JP,A)
【文献】
特開2004−108669(JP,A)
【文献】
特開2010−188526(JP,A)
【文献】
特開2012−011302(JP,A)
【文献】
特開2008−002701(JP,A)
【文献】
特許第3021110(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00− 9/20
F24H 1/10− 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸熱フィンと吸熱フィンを貫通する吸熱管とを有し、燃焼装置から送られてくる燃焼排気中の顕熱を回収する顕熱回収式熱交換器と、
前記顕熱回収式熱交換器を通って送られてくる燃焼排気が導かれる排気入口が形成されたケーシング内に吸熱管を有し、前記顕熱回収式熱交換器で顕熱が回収された後の燃焼排気中の潜熱を回収する潜熱回収式熱交換器と、
前面開口部を有し、前記顕熱回収式熱交換器及び前記潜熱回収式熱交換器が収容された本体ケースと、
前記前面開口部を閉塞し、前記潜熱回収式熱交換器を通って送られてくる露点以下まで低下した燃焼排気を排出するための排気口を有する前カバーとを備えたコンデンシング型給湯器であって、
前記前カバーの少なくとも排気口上部の外装塗膜は、金属酸化物で被覆されたマイカ顔料を含むパール調塗膜を有するコンデンシング型給湯器。
【請求項2】
請求項1に記載のコンデンシング型給湯器において、
前記パール調塗膜は、酸化チタン粒子で被覆されたマイカ顔料を含むコンデンシング型給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収式熱交換器を有するコンデンシング型給湯器に関する。特に、本発明は外装ケースの前カバーに施される塗装に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置される給湯器の外装ケースは、一般に、燃焼装置や熱交換器が収容された本体ケースと、本体ケースの前面開口部を閉塞する前カバーとから構成されており、前カバーには、熱交換器で熱交換された燃焼排気を外部に排出するための排気口が形成されている。従来、これらの本体ケース及び前カバーの鋼板に施される外装塗膜には、耐候性を付与するための防錆顔料を含む下塗り塗膜と、所望の色調を付与するために種類や配合量を適宜変更した着色顔料を含む着色塗膜とを有する二層構造のものが使用されている。また、最近では、製品に高級感を付与するため、着色塗膜に代えて、アルミニウム顔料及び着色顔料を含むメタリック調塗膜も使用されるようになってきている。このメタリック調塗膜によれば、塗膜に入射した光がアルミニウム顔料で反射してきらきら輝き、独特のメタル感、光輝感が得られるだけでなく、観察する角度によって明るさが異なる色度の変化も付与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−263400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、省エネの観点から、給湯器の熱効率を向上するために、燃焼装置から送られてくる燃焼排気の顕熱及び潜熱を回収する、コンデンシング型の給湯器が普及してきている。このコンデンシング型給湯器では、潜熱回収式熱交換器での潜熱の回収によって、燃焼排気の温度が露点まで低下する。そのため、排気口から排出された燃焼排気は、冷たい部分に触れると結露が発生しやすい状態にある。
【0005】
給湯器の運転中、燃焼量が多い場合は、排気口から排出される燃焼排気の排気速度が速いため、前カバーの表面に燃焼排気が触れにくく、結露は発生し難いが、燃焼量が少なかったり、運転終了直後では、燃焼排気の排気速度も遅くなるため、潜熱回収式熱交換器内に残留している燃焼排気が排気口から排出されるときに排気口近傍に滞留しやすい。その結果、外気温が低く、前カバーの温度が低下していると、排気口上部に結露が発生しやすくなる。そして、燃焼排気中にはNOx、SOx等の酸化物が含まれているため、結露が発生すると、結露中には硝酸イオンや硫酸イオンが含まれ、そのpHは2〜3と非常に高くなっている。メタリック調塗膜では最表面にアルミニウム顔料の一部が突出しているため、上記のような高酸性の結露がアルミニウム顔料を含有するメタリック調塗膜に触れると、塗膜中からアルミニウム顔料が溶出してしまい、塗膜中のアルミニウム顔料と着色顔料のバランスが崩れて、前カバーが変色するという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、排気口近傍で燃焼排気が結露しても、変色が少なく、長期に渡って高い意匠性を維持可能な前カバーを有するコンデンシング型給湯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
吸熱フィンと吸熱フィンを貫通する吸熱管とを有し、燃焼装置から送られてくる燃焼排気中の顕熱を回収する顕熱回収式熱交換器と、
前記顕熱回収式熱交換器を通って送られてくる燃焼排気が導かれる排気入口が形成されたケーシング内に吸熱管を有し、前記顕熱回収式熱交換器で顕熱が回収された後の燃焼排気中の潜熱を回収する潜熱回収式熱交換器と、
前面開口部を有し、
前記顕熱熱交換器及び前記潜熱回収式熱交換器が収容された本体ケースと、
前記前面開口部を閉塞し、前記潜熱回収式熱交換器を通って送られてくる
露点以下まで低下した燃焼排気を排出するための排気口を有する前カバーとを備えた
コンデンシング型給湯器であって、
前記前カバーの少なくとも排気口上部の外装塗膜は、金属酸化物で被覆されたマイカ顔料を含むパール調塗膜を有するコンデンシング型給湯器である。
【0008】
金属酸化物で被覆されたマイカ顔料を用いることにより、高い意匠性の真珠光沢を有するパール調塗膜を形成することができる。また、上記のマイカ顔料は優れた耐酸性を有しており、高pHを有する酸成分と接触しても塗膜中から溶出し難いため、結露が生じやすい排気口上部の外装塗膜の最外層をパール調塗膜で形成することにより、変色を防止することができる。
【0009】
上記コンデンシング型給湯器において、パール調塗膜は、好ましくは、酸化チタン粒子で被覆されたマイカ顔料を含有する。
【0010】
酸化チタン粒子で被覆されたマイカ顔料を使用することにより、さらに光輝性及び耐酸性に優れるパール調塗膜を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、前カバーの排気口上部の外装塗膜が、金属酸化物で被覆されたマイカ顔料を含むパール調塗膜を有するから、燃焼排気が排気口上部で結露し、該結露が高いpHを有していても、顔料の溶出が抑えられ、外装塗膜の変色を防止することができる。これにより、高い意匠性を長期に渡って維持可能な前カバーを有するコンデンシング型給湯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るコンデンシング型給湯器を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係るコンデンシング型給湯器を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本実施の形態に係るコンデンシング型給湯器を具体的に説明する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態におけるコンデンシング型給湯器1は、前面開口部20を有する本体ケース2aと、前面開口部20を閉塞する前カバー2bとを有する外装ケース2を備えており、本体ケース2a内には、後述する筐体30内へ外装ケース2の外部の空気を送り込む給気ファンFと、ガスを燃焼させるバーナ3と、バーナ3で生成されたガスの燃焼排気から顕熱を回収する顕熱回収式熱交換器4と、上記燃焼排気から潜熱を回収する潜熱回収式熱交換器5とが収容されている。
【0015】
バーナ3は、上面側が開放する矩形箱状の筐体30内に組み込まれており、この筐体30の底部に給気ファンFの吐出口が接続されている。また、顕熱回収式熱交換器4は、上記筐体30の上面から上方へ延びる矩形筒状の缶体40内に組み込まれている。従って、バーナ3で生成されたガスの燃焼排気は、給気ファンFによって筐体30内へ送り込まれた空気とともに缶体40内へ導かれ、顕熱回収式熱交換器4の吸熱管41相互の間隙を通って缶体40の上端開放部402側へ導かれる。
【0016】
顕熱回収式熱交換器4は、図示しない複数の吸熱フィンと、その吸熱フィンを貫通する複数の吸熱管41とで構成されており、この吸熱管41の一端側が温水供給先Pへ繋がり、他端側が潜熱回収式熱交換器5の吸熱管51の一端側へ繋がっている。従って、潜熱回収式熱交換器5を介して顕熱回収式熱交換器4へ送り込まれた湯水は、その吸熱管41内で燃焼排気から顕熱を回収し、温水供給先Pへ供給される。
【0017】
潜熱回収式熱交換器5は、矩形箱状のケーシング50内にその前後方向へ延びる横通路500を形成し、この横通路500内に複数の吸熱管51を収容したものであり、ケーシング50の底板52に上記缶体40の上端が接続されている。
【0018】
ケーシング50の底板52の後部には、缶体40の上端開放部402に繋がる排気入口501が開設されており、上記横通路500は、この排気入口501を介して缶体40の内部空間と繋がっている。従って、缶体40の上端開放部402側へ導かれた燃焼排気は、この排気入口501から横通路500へ導かれる。
【0019】
ケーシング50内には、前方側に下方に延在する隔壁55が形成されているとともに、隔壁55の下端と底板52との間には、横通路500と連通する開口502が形成されている。この開口502は、前板53と隔壁55との間に形成される排気通路54と連通しており、排気通路54は前板53に形成された開口503と連通している。さらに、前板53の前方には、排気筒70が接続されており、開口503は排気筒70と連通している。従って、横通路500の排気入口501側へ導かれた燃焼排気は、吸熱管51相互の間隙を通過しつつ、ケーシング50の周囲板に沿って横通路500内を通り、排気通路54の入口である開口502から排気通路54の出口である開口503を通って排気筒70へ導かれ、器外へ排出される。
【0020】
本実施の形態において、本体ケース2aは、溶融亜鉛メッキ鋼板を前面開放の矩形箱状に形成したものであり、前面開口部20の前端周縁には、端部を外側に屈曲した外周フランジ21が形成されている。
【0021】
前カバー2bは、溶融亜鉛メッキ鋼板を後方開放の浅皿状に形成したものであり、前カバー2bの後端周縁には、端部を外側に屈曲させるとともに、後方側に屈曲させた外周フランジ22が形成されており、本体ケース2aの前端周縁に形成された外周フランジ21と重ね合わせて、図示しない螺子により本体ケース2aに螺子止め固定されている。また、前カバー2bには、上部中央に横長矩形状の排気口9が開設されており、排気口9からは、上記した排気筒70が外部に突出している。この排気口9の周縁には、塗装された鋼板を後方側に90度折り曲げる曲げ加工が施されている。なお、本体ケース2a及び前カバー2bに使用される鋼板としては、溶融亜鉛メッキ鋼板以外に、アルミニウム板、ステンレス板などが挙げられる。
【0022】
本実施の形態において、前カバー2bの少なくとも排気口9上部の鋼板の表面には、防錆顔料を含む下塗り塗膜と、金属酸化物で被覆されたマイカ顔料を含むパール調塗膜とが、厚さ方向で鋼板側から順に塗装された外装塗膜が形成されている。なお、排気筒70を通って排出される燃焼排気は、上方に向かって渦巻き状に流れるため、外気温が低いときに排気速度が低下すると、前カバー2bの排気口9上部に結露が発生しやすい。従って、外装塗膜の変色を防止するためには、少なくとも排気口9の上部にパール調塗膜を形成する必要があり、好ましくは前カバー2bの外表面全体にパール調塗膜が形成される。なお、本体ケース2aの外表面には、燃焼排気の結露が生じ難いため、従来公知の着色塗膜やメタリック調塗膜を用いてもよいし、意匠性を高めるために前カバー2bと同様のパール調塗膜を用いてもよい。
【0023】
パール調塗膜に含まれる金属酸化物で被覆される前のマイカ顔料としては、従来自動車用鋼板等の塗装に使用されている白雲母,黒雲母,金雲母などの天然マイカ、フッ素などを含有する合成マイカを単独であるいは複数用いることができる。マイカ顔料を被覆する金属酸化物としては、酸化チタン、酸化鉄、水酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロムなどを単独であるいは複数用いることができる。このような顔料を使用することにより、マイカ顔料の表面での多重反射により光輝感に優れる意匠性の高いパール調塗膜を形成することができる。なお、金属酸化物は、金属酸化物の粒子でマイカ顔料を被覆していてもよいし、金属酸化物の膜でマイカ顔料を被覆していてもよい。これらの中でも、高い光輝性が得られ、耐酸性に優れた酸化チタン粒子で被覆されたマイカ顔料が好ましい。金属酸化物で被覆されたマイカ顔料の大きさは、特に限定されるものではないが、通常、1〜50μmである。金属酸化物の被覆量は、要求される光輝性に応じて適宜選択することができる。
【0024】
パール調塗膜は、所望の色調を得るため、着色顔料を含有してもよい。このような着色顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン等の白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック等の黒色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルー等の青色顔料;フタロシアニングリーン等の緑色顔料などを単独であるいは複数用いることができる。
【0025】
パール調塗膜を形成するための塗料組成物としては、顔料を樹脂中に分散させた塗料樹脂組成物を使用することができる。使用可能な樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましく、具体的には、例えば、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、フッ素系樹脂、アルキド系樹脂、ウレタン系樹脂などの基体樹脂と、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられる。これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散させて使用することができる。
【0026】
塗料組成物中の各成分の含有量は、色調に合わせて適宜選択されるため、特に限定されるものではないが、樹脂100質量部に対して、金属酸化物で被覆されたマイカ顔料が、10〜60質量部、着色顔料が、0〜30質量部である。
【0027】
さらに、パール調塗膜を形成するための塗料組成物には、必要に応じて、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を適宜配合してもよい。
【0028】
鋼板上に形成される下塗り塗膜に含まれる防錆顔料としては、従来公知のものを使用することができる。このような防錆顔料としては、具体的には、例えば、クロム酸塩、バナジウム化合物、ケイ素含有化合物、リン酸化合物、亜リン酸塩顔料、カルシウム化合物、アルミニウム酸化物、亜鉛酸化物、ジルコン酸、ジルコン酸化合物、モリブデン酸化合物などを単独でまたは複数用いることができる。下塗り塗膜は、所望の色調を得るため、着色顔料を含有してもよい。このような着色顔料としては、パール調塗膜の形成に使用される着色顔料と同様のものを使用することができる。
【0029】
下塗り塗膜を形成するための塗料組成物としては、防錆顔料等を樹脂中に分散させた塗料樹脂組成物を使用することができる。使用可能な樹脂及び溶媒としては、パール調塗膜の形成に使用される樹脂及び溶媒と同様のものが挙げられる。また、塗料組成物には、必要に応じて、パール調塗膜の形成に使用される各種添加剤と同様のものを適宜配合してもよい。
【0030】
本実施の形態の外装塗膜の塗装方法としては、特に限定されず、刷毛法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、フローコート法、浸漬法、キャスティング法などの従来公知の塗装方法を使用することができる。パール調塗膜の塗装は、鋼板上に下塗り塗膜の塗料組成物を塗布、乾燥した後、行ってもよいし、下塗り塗膜の塗料組成物が未乾燥の状態で行ってもよい。下塗り塗膜及びパール調塗膜の厚さは、特に限定されるものではないが、それぞれ3〜15μmであり、外装塗膜全体の厚さは、6〜30μmである。
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
【実施例】
【0032】
溶融亜鉛めっき鋼板(SGCD1)上に、下塗り塗膜用の水系の塗料樹脂組成物(顔料:防錆顔料及び白、黒、赤、黄色の着色顔料,樹脂:ポリエステル系樹脂)をロールコート法で塗装し、乾燥した後、下塗り塗膜上に、パール調塗膜用の水系の塗料樹脂組成物(顔料:酸化チタン粒子で被覆されたマイカ顔料及び白、黒、赤、黄色の着色顔料,樹脂:ポリエステル系樹脂)をロールコート法で塗装し、乾燥して、下塗り塗膜とパール調塗膜とが積層された外装塗膜を有する本発明試料を準備した。
【0033】
上記とは別に、従来公知のメタリック調塗膜用の水系の塗料樹脂組成物(顔料:アルミニウム顔料及び白、黒、赤、黄色の着色顔料,樹脂:ポリエステル系樹脂)を用いて、溶融亜鉛めっき鋼板(SGCD1)上に、下塗り塗膜とメタリック調塗膜とが積層された外装塗膜を有する比較試料を準備した。これらの試料を用いて、以下の変色試験を行った。結果を表1に示す。
【0034】
〔変色試験〕
試料に、コンデンシング型給湯器から排出される燃焼排気(pH3程度)を直接吹き付けて結露を生じさせ、24時間後に外装塗膜に変色が生じていなかった場合を、○、変色が生じていた場合を、×として評価した。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表に示すように、本発明試料である、酸化チタン粒子で被覆されたマイカ顔料を含むパール調塗膜が塗装されている鋼板は、pH3程度の燃焼排気を長時間、直接吹き付けた後でも変色が生じないことから、外装塗膜の最外層にパール調塗膜が形成されていても、顔料の溶出がなく、優れた耐酸性を有する外装塗膜が形成されていることが確認された。従って、本発明試料を燃焼排気の結露が発生しやすい前カバーの少なくとも排気口上部に用いることにより、変色が少なく、長期に渡って高い意匠性を維持可能な前カバーを提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 コンデンシング型給湯器
2 外装ケース
2a 本体ケース
2b 前カバー
5 潜熱回収式熱交換器
9 排気口