特許第5678034号(P5678034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5678034アレルゲン駆動性気道病態の予防または治療のためのワクチン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678034
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】アレルゲン駆動性気道病態の予防または治療のためのワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/10 20060101AFI20150205BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20150205BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   A61K39/10
   A61P37/08
   A61P11/06
   A61P31/04
   A61P11/00
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-507703(P2012-507703)
(86)(22)【出願日】2010年4月26日
(65)【公表番号】特表2012-525346(P2012-525346A)
(43)【公表日】2012年10月22日
(86)【国際出願番号】EP2010055507
(87)【国際公開番号】WO2010125014
(87)【国際公開日】20101104
【審査請求日】2013年3月11日
(31)【優先権主張番号】09305371.8
(32)【優先日】2009年4月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591100596
【氏名又は名称】アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル
(73)【特許権者】
【識別番号】595070257
【氏名又は名称】アンスティトゥー パストゥール ド リール
(73)【特許権者】
【識別番号】511262326
【氏名又は名称】ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・メイヌース
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL UNIVERSITY OF IRELAND MAYNOOTH
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130845
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ロシュ,カミール
(72)【発明者】
【氏名】マホン,バーナード
(72)【発明者】
【氏名】カヴァナー,ヘザー
【審査官】 池上 京子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/104451(WO,A1)
【文献】 Immunology Letters,2005年,vol.97,p.91-100
【文献】 Clin Vaccine Immunol ,2005年,vol.12, no.3,p.409-417
【文献】 MARTIGNON GILLES,DOES CHILDHOOD IMMUNIZATION AGAINST INFECTIOUS DISEASES PROTECT FROM THE DEVELOPMENT 以下備考,PEDIATRIC ALLERGY AND IMMUNOLOGY,2005年 5月,V16 N3,P193-200,OF ATOPIC DISEASE?
【文献】 PLoS Pathog,2006年,vol.2, no.7,p.0662-0670
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 38/00−38/58
A61K 39/00−39/44
A61K 48/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルゲン駆動性気道病態の予防または治療のための、気管細胞毒素(TCT)、百日咳毒素(PTX)、および皮膚壊死毒素(DNT)を欠損した弱毒化ボルデテラ・ペルトゥッシス(Bordetella pertussis生ワクチン。
【請求項2】
アレルゲン駆動性気道病態が、アレルギー性喘息、枯草熱および間質性肺疾患から成る群より選択される、請求項1記載の弱毒化ボルデテラ・ペルトゥッシス生ワクチン。
【請求項3】
対象が、新生児または乳児である、請求項1または2記載の弱毒化ボルデテラ・ペルトゥッシス生ワクチン。
【請求項4】
BPZE1株である、請求項1〜3のいずれか一項記載の弱毒化ボルデテラ・ペルトゥッシス生ワクチン。
【請求項5】
異種抗原を有する、請求項1〜4のいずれか一項記載の弱毒化ボルデテラ・ペルトゥッシス生ワクチン。
【請求項6】
鼻腔投与または吸入によって投与される、請求項1〜5のいずれか一項記載の弱毒化ボルデテラ・ペルトゥッシス生ワクチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アレルゲン駆動性気道病態の予防または治療のためのワクチンに関するものである。
【0002】
発明の背景
アレルギー性喘息の病因は依然として不明であるが、現在の理解は、CD4+ Th2細胞の増殖およびその他の点では無害な環境アレルゲンに対する寛容性の破綻を伴う(Romagnani et al. J Allergy Clin Immunol 2004;113(3):395-400)。遺伝的素因が、環境の影響と結びついてTh2介在性応答の通常の抑制に影響すると思われる。胎児および新生児の発育時の肺成熟異常が気道を環境アレルゲンに対してより敏感にし、Th2表現型に向けた極性化に有利に働き、そのようにしてその個体にアトピーおよび喘息の素因を与える可能性があるという仮設が立てられている。IL−4、IL−5およびIL−13のアレルゲン駆動性産生は、アレルギー病態に典型的であって、そのようなTh2サイトカインの分泌は、IgEに向けたB細胞アイソタイプのクラススイッチ、粘液産生増加および気道への好酸球動員を開始する。CD4Th2細胞は、いくつかのアレルギーにおいて協調する細胞の種類を意味するので、それに釣り合う応答の誘導がアトピー性疾患のその後の発生を予防する可能性があると示唆された。Strachanの衛生仮説のこの改変によると(Romagnani et al. Int Arch Allergy Immunol 1992;98(4):279-85)、微生物曝露は、Th1、Th2およびTreg応答を変更する自然免疫経路を活性化する可能性がある。これは、Tヘルパー2型細胞の増殖の抑制および結果的なIgEへのアイソタイプスイッチの阻害を招く。しかしながら、いくつかの研究は、ウイルス感染および細菌感染が呼吸器疾患の悪化に役割を果たすことを示唆している。例えば、呼吸器多核体ウイルスおよびTh1誘導性の毒性Bordetella pertussis感染(Ennis et al. Clin Exp Allergy 2004;34(9):1488-97)は、動物モデルにおいてアレルギー性炎症を悪化させる。
【0003】
グラム陰性B. pertussisは、世界中で重大な乳児の罹患および死亡の原因となる重症呼吸器疾患である百日咳を引き起こす。死滅全細胞ワクチン(Pw)またはさらに最近の無細胞サブユニットワクチン(Pa)のいずれかの免疫処置が成功を収めているものの、若年成人におけるその疾患の再出現が報告されている(Das P. Lancet Infect Dis 2002;2(6):322)。典型的には、B. pertussisは、この年齢群を急性的には冒さないが、感染した成人は、保菌者として作用するおそれがあり、乳児がワクチン接種前にその疾患に接触する可能性を増大させる。大部分の現行のワクチン接種方式は、2月齢から始まり、最適な防御のために6ヶ月を必要とする3回の接種を必要とする。したがって、新生児においてB. pertussisに対する強い防御を誘導するワクチンの必要性がある。
【0004】
毒性B. pertussis感染は、Th1免疫を誘導するにもかかわらず、アレルギン駆動性炎症のマウスモデルにおいて気道病態を悪化させる(Ennis et al. Clin Exp Allergy 2004;34(9):1488-97)。Th2誘導性Paワクチンは、アレルギー性喘息のB. pertussis誘導性悪化から防御するが、全身および局所レベルの両方でIL−13を誘導する(Ennis et al. Clin Diagn Lab Immunol 2005;12(3):409-17)。対照的に、Th1誘導性Pwを用いた全身免疫処置は、アレルギー性気道応答性を阻害する(Mills et al. Dev Biol Stand. 1998;95:31-41)。これは、アレルゲン駆動性病態からの防御がTh1/Th2応答の単なるモデュレーションではなく、初回刺激時での気道損傷度と関連し、その結果、気道上皮間葉ユニットの崩壊時の呼吸器気道を介したアレルゲンの初回刺激が、Th1/Th2/Treg極性化よりも重大な要因でありうることを示唆している。
【0005】
近年、B. pertussisに対する遺伝的弱毒化生ワクチンBPZE1が、百日咳に対する新生児ワクチンの候補として開発されている(Mielcarek et al. PLoS Pathog 2006;2(7):e65)。この生きたリコンビナントB. pertussis株は、鼻腔内送達時に強い局所および全身免疫応答を誘導する。鼻腔経路を介した投与は、自然感染を模倣し、1ヶ月齢からの小児の長期持続性免疫を促進すると予想される(Mascart et al. J Immunology 2003;170(1):1504-9)。百日咳毒素、気管細胞毒素および皮膚壊死毒素の三つの毒性因子が弱毒化のためにターゲティングされている。野生型感染に関連する重症病態を起こさずに防御を誘導するために、これらの毒素をコードする遺伝子が、対立遺伝子交換を用いて欠失または遺伝的に不活性化されたアナログと置換された。しかしながら、BPZE1投与が第三者アレルゲンの初回刺激およびアレルゲン誘導性病態に及ぼす影響は、未知である。
【0006】
発明の概要
本発明は、アレルゲン駆動性気道病態の予防または治療のための、気管細胞毒素(TCT)、百日咳毒素(PTX)、および皮膚壊死毒素(DNT)を欠損した弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンに関する。
【0007】
本発明は、対象におけるアレルゲン駆動性気道病態の予防または治療のための方法であって、該対象に気管細胞毒素(TCT)、百日咳毒素(PTX)、および皮膚壊死毒素(DNT)を欠損した弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンの有効量を投与することを含む方法に関する。
【0008】
本発明は、また、アレルゲン駆動性気道病態の予防または治療のための医薬の製造における、気管細胞毒素(TCT)、百日咳毒素(PTX)、および皮膚壊死毒素(DNT)を欠損した弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンの使用に関する。
【0009】
本発明の詳細な説明
アレルゲン駆動性気道病態の例は、アレルギー性喘息、枯草熱、肺線維症を含めた間質性肺疾患である。
【0010】
肺線維症を含めた間質性肺疾患は、職業曝露または環境曝露によって起こるおそれがある。理論に縛られたいわけではないが、TCT、PTX、およびDNTを欠損した弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンは、(間質性肺疾患をトリガーする因子への)環境曝露期間中に気道の損傷およびリモデリングを軽減し、毒性B. pertussisの肺線維症悪化からも防御するであろう。
【0011】
「対象」によって、ヒトを意味する。典型的には対象は、新生児、乳児または成人である。
【0012】
気管細胞毒素(TCT)、百日咳毒素(PTX)、および皮膚壊死毒素(DNT)を欠損した弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンは、国際公開公報第2007/104451号およびMielcarekら(PLoS Pathog 2006;2(7):e65)に記載されている。
【0013】
分子レベルでのB. pertussisの毒性の理解における最近の進歩は、弱毒化のための戦略を、百日咳の病因に関与する遺伝子を除去または変更することにより合理的に設計可能にしている。三つの毒性因子、すなわち気管細胞毒素(TCT)、百日咳毒素(PTX)、および皮膚壊死毒素(DNT)が遺伝的にターゲティングされた。
【0014】
TCTは、感染したホストの気管における線毛細胞の破壊の原因であり、したがって、咳症候群に関与しうる。TCTは、グラム陰性菌細胞壁中のペプチドグリカンの分解産物であり、グラム陰性菌は、一般にそれを再利用するために、細胞壁生合成の間にAmpG輸送体タンパク質によってそれをサイトゾル内にインターナリゼーションする。B. pertussisのAmpGは、ペプチドグリカン分解産物のインターナリゼーションには非能率的である。B. pertussisのampG遺伝子は、E. coliのampGと置換することができる。結果として生じた株は、1%未満の残留TCT活性を発現した。培地中に非常に少量のペプチドグリカンフラグメントを放出するグラム陰性菌由来の任意の異種ampG遺伝子を、本発明に使用することができる。適切な異種ampG遺伝子の例には、非限定的にEscherichia coli、Salmonella、Enterobacteriaceae、Pseudomonas、Moraxella、Helicobacter、Stenotrophomonas、Legionella由来ampG遺伝子が含まれる。
【0015】
PTXは、B. pertussis感染の全身作用の原因となる主な毒性因子であり、S1と呼ばれる酵素活性部分と、ターゲット細胞レセプターへの結合を担う部分とから構成される。それは、主な防御抗原の一つでもある。天然ptx遺伝子は、酵素的に不活性な毒素をコードする突然変異版遺伝子に置換することができる。これは、S1中のArg−9をLysに、そしてGlu−129をGlyに交換することによって達成することができる。これらは、それぞれ基質の結合および触媒に関与する二つの主要な残基である。対立遺伝子交換を用いて、最初にptxオペロンを欠失させて、次に突然変異版遺伝子を挿入することができる。
【0016】
B. pertussis培養上清中の関連毒素の存在は、イムノブロット分析によって検出することができる。
【0017】
米国特許第6,713,072号に記載されたような他の突然変異、ならびに検出不能なレベルまで毒素の活性を減少させることのできる任意の公知の突然変異または他の突然変異も、加えることができる。
【0018】
対立遺伝子交換は、また、dnt遺伝子を除去するために使用することができる。B. pertussisの毒性に果たすDNTの役割は不確かであるものの、DNTは、近縁種Bordetella bronchisepticaにおける重要な毒素として同定されており、微量の注射で致死活性を示す。
【0019】
好ましい態様では、弱毒性Bordetella pertussis生ワクチンは、BPZE1株である。
【0020】
BPZE1株は、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM、Institut Pasteur, 25 rue du Docteur Roux, F-75724 Paris Cedex 15, FRANCE)に2006年3月9日にCNCM I−3585の番号で寄託された。
【0021】
典型的には、本発明の弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンは、また、異種抗原を有しうる。関心が持たれるタンパク質をコードする少なくとも1種のさらなる異種核酸配列を担持させるために、弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンをベクターとして使用することができる。典型的には、少なくとも1種のさらなる異種核酸配列によってコードされるタンパク質は、呼吸器における発現が望まれるタンパク質である。典型的には、関心が持たれるタンパク質は、免疫応答が望まれるウイルス抗原または細菌抗原などの抗原でありうる。異種抗原を有する弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンの例は、例えば、Si Ying Hoら(Infection and Immunity, 2008, 76(1), 111-119)によって開示されている。
【0022】
本発明のワクチンの製剤化は、当技術分野で認識されている方法を用いて達成することができる。対象に投与されるべき本発明のワクチンの量および投与方式は、アジュバント(存在する場合)、特定の対象の年齢、性別、体重、種および状態、ならびに投与経路などの要因を考慮して、薬学技術および獣医学技術分野における技術者に周知の標準的な技法に従って決定することができる。ワクチンの投与は、普通は単回である。または、本発明のワクチンの投与は、ワクチンを用いた初回(最初のワクチン接種)に続いて少なくとも1回のリコール(後投与)で行われる。
【0023】
典型的には、ワクチンは鼻腔投与または吸入によって投与することができる。この種の投与は、コストが低く、本発明の弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンによる呼吸器定着を可能にする。鼻腔投与は、液剤、懸濁剤、乳剤の形態の弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンで達成することができる。液剤および懸濁剤は滴剤として投与される。液剤は、また、鼻スプレーボトルまたは鼻インヘラーからの微細ミストとして投与することができる。ゲル剤は、1回の適用に必要な薬用量が入った小型シリンジに分注される。吸入は、液剤、懸濁剤、および散剤形態の弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンで達成することができ;これらの製剤は、エアロゾル、滴剤または乾燥粉末インヘラーを介して投与される。散剤は、吸入器またはパファー(puffer)を用いて投与することができる。
【0024】
以下に、以下の例および図によって本発明を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】弱毒化B. pertussis BPZE1が感作アレルゲンによって誘導される気道病態の重症度を軽減することを示す図である。(A)非感作、(B)OVA感作、(C)OVA感作およびB. pertussis感染、(D)OVA感作およびBPZE1免疫処置からの肺の細気管支横断面における38日目での代表的な形態的変化。気道炎症は、固定された肺切片のヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色を用いて検出した。原図の倍率:A、C、EおよびGは×100。B、D、FおよびHは×400。
図2】弱毒化B. pertussis BPZE1が、感作アレルゲンに対する粘液過形成の重症度を軽減することを示す図である。(A)非感作、(B)OVA感作、(C)OVA感作およびB. pertussis感染、(D)OVA感作およびBPZE1ワクチン接種からの細気管支横断面における37日目での代表的な形態的変化。気道炎症は、肺切片のDiscombes/アルシアンブルー/PAS染色を併用して検出した。原図の倍率:×400。
図3】弱毒化B. pertussis BPZE1は、BAL液の細胞浸潤を軽減することを示す図である。最終OVA曝露の24時間後に毒性BPSM感染、弱毒化BPZE1チャレンジおよび/またはOVA感作がBALの組成に及ぼす作用。陰性対照は、食塩水を用いた偽感染/感作であった。合計細胞数(A)、または好中球(B)、好酸球(C)もしくはリンパ球(D)の存在についてBAL液を検査した。結果は、細胞数の平均±S.E.Mとして表現する。*P<0.05。
図4】弱毒化B. pertussis BPZE1は、アレルゲン誘導性IgEを減少させることを示す図である。OVA感作に、および/または毒性(BPSM)もしくは弱毒化(BPZE1)B. pertussisを用いたチャレンジに応答して誘発された血清中のOVA特異的IgE。血清を38日目に採集し、OVA特異的血清IgEレベルをELISAによって測定した。100pg/mlを下回る濃度を陰性と見なした。結果は、平均抗体濃度±S.E.Mとして表現する。P<0.05。
図5】弱毒化(BPZE1)または毒性(BPSM)B. pertussis感染への予備曝露から10日後のOVA感作によって誘発された、OVAに対する脾臓細胞由来細胞介在性免疫応答を示す図である。マイナス記号は、偽感作またはPBSチャレンジを示す。(A)IL−5、(B)IL−10、(C)IL−13および(D)IFN−γについてアッセイされた類似の培養物からのサイトカイン応答を示す。T細胞増殖(E)は、典型的には2000〜4000cpmのバックグラウンドを差し引いた後の、200μg/mlのOVAに対する脾臓増殖のΔcpmを表す。結果は、平均±S.E.Mとして表現する。
【0026】
【表1】
【0027】
実施例
要約
この前臨床試験は、以前に特徴づけられた動物モデルを使用して、B. pertussisワクチンの候補BPZE1が第三者アレルゲンの初回刺激および病態に影響するかどうかを検査した。野生型毒性株とは異なり、生きた弱毒化BPZE1は、アレルゲン駆動性病態を悪化させるのではなく、その病態から防御した。
【0028】
使用した略語
OVA:卵白アルブミン;BAL:気管支肺胞洗浄;BPZE1:生きた弱毒化Bordetella pertussis;Pa:Acellular pertussisワクチン;Pw:全細胞pertussisワクチン
【0029】
材料
OVAおよびB. pertussisの免疫処置、感作および気道送達
8〜12週齢の雌性BALB/cマウス(Harlan, Oxon, UK)を使用し、Irish Department of HealthおよびResearch Ethics Committee of the National University of Ireland, Maynoothの規制およびガイドラインに従って維持した。マウスを生きた毒性または弱毒化細菌に曝露し、感染している間にアレルゲンに感作させた。以前に記載されたように、毒性B. pertussis BPSMまたは弱毒化BPZE1を培養した(Mills et al. Dev Biol Stand. 1998;95:31-41)。対数増殖中期の弱毒化または毒性株をエアロゾルによってマウスに投与した。感染のピーク(10日目)および24日目に、アジュバント(AlumImject(商標), Pierce, Ill)に入れた100μg/ml卵白アルブミン(OVA)の腹腔内注射によってマウスを感作した。24、35、36および37日目にOVA(50μg/ml)でマウスを鼻腔内チャレンジした。様々な対照群に、活性薬剤の代わりに滅菌PBSの偽送達を行った(Ennis et al. Clin Exp Allergy 2004;34(9):1488-97)。
【0030】
気管支肺胞洗浄(BAL)および呼吸器組織学的検査
37日目に、ペントバルビタールナトリウムの致死的注射によってマウスを屠殺し、BAL液を採集した(Ennis et al. Clin Exp Allergy 2004;34(9):1488-97)。合計白血球およびディファレンシャルな細胞計数は、Diff Quik/Rapi-Diff II(商標)(Triangle Biomedical Sciences, NC, USA.)を使用して、記載されたように行った。洗浄されていないマウスの肺を取り出し、10%(v/v)ホルマリン/PBS中で固定し、パラフィン包埋し、薄片を作り、ヘマトキシリン/エオジン(H&E)、アルシアンブルー(粘液の識別)、Discombes(好酸球の識別)、または過ヨウ素酸−シッフ(基底膜の厚さの評価用)で染色した。確立された半定量スコアシステムに従って組織学的変化を小、中または大に類別した。以前に記載されたように、処置群の事前知識を有さない2人の独立した観察者が病態をスコア付けした(Ennis et al. Clin Diagn Lab Immunol 2005;12(3):409-17)。
【0031】
T細胞増殖アッセイ
以前に記載されたようにマウスから脾臓細胞を調製し(Mahon et al. J Exp Med 1997;186(11):1843-1851)、培地(陰性対照)、OVA(200μg/ml)、またはコンカナバリンA(5μg/ml)のいずれかと共に72時間インキュベーションした。サイトカイン分析のために48時間目に上清を取り出し、培養物に新鮮培地を入れた。細胞を[H]−チミジンと共に最後に6時間インキュベーションし、液体シンチレーションによって取り込まれた放射能によって増殖を測定した。
【0032】
サイトカインおよび抗体応答の測定
BAL液および脾臓細胞上清からのIL−5、IL−10、IL−13およびIFN−γの分析は、Cytometric Bead Array Flex Set(BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ)を製造業者の説明書に従って使用して実施し、フローサイトメトリー(Becton-Dickinson, NJ, USA)によって分析した。FCAP Array v1.0.1ソフトウェア(BD Biosciences)を使用して、各サイトカインについての標準曲線および生データを生成させた。以前に記載されたように、ラット抗マウスIgEモノクローナル抗体(BD Pharmingen, San Diego, CA, USA)を使用したELISAによってOVA特異的血清IgEを測定した(Morokata Tet al. Immunology 1999;98(3):345-351)。マウスIgE標準物(BD, Pharmingen, San Diego, CA, USA)と比較した後で、IgE濃度をμg/mlで表現した。
【0033】
統計解析
全ての測定値は、平均±平均の標準誤差(SEM)で表現した。GraphPad Prism(商標)ソフトウェア(GraphPad, San Diego, CA)を使用して統計解析を行った。必要に応じてクラスカル・ワリス検定またはマン・ホイットニー検定を用いて比較を行った。有意性はP値<0.05によって示した。
【0034】
結果
弱毒化B. pertussis BPZE1は悪化したOVA駆動性アレルギー性気道病態を予防する
毒性B. pertussisは、動物モデルにおいて第三者アレルゲンの初回刺激を悪化させることができ(Ennis et al. Clin Exp Allergy 2004;34(9):1488-97)、ヒトにおけるアレルギー悪化と関連している(Harju et al. Thorax 2006;61(7):579-584)。第三者アレルゲンの初回刺激に弱毒化B. pertussisが及ぼす影響を評価するために、B. pertussisの毒性株または弱毒化株でマウスを初回刺激し、細菌保菌のピーク時にOVAに感作させた(アレルゲン駆動性炎症に及ぼす感染の影響を明らかにすることが以前に示されたモデル)。感染の不在下でOVA感作されたマウスは、38日目に典型的な気管支周囲および血管周囲の炎症を示し、それは、未処置対照マウスでは観察されなかった(図1AおよびB)。この時点で、毒性細菌感染のみによる病態は消散していた。OVA感作のみと比較した場合、毒性B. pertussis感染のピークでの初回刺激は、気道病態を強め、マウスは上皮過形成および中程度の粘液異形成を示した(図1C)。対照的に、OVA感作のみのマウスに比べて、弱毒化BPZE1に感染した感作マウスにおいて最小限の病態が観察された(図1D)。粘液含有杯細胞の検査は、OVA感作のみのマウスに比べて、OVA感作マウスにおけるBPZE1の予備免疫処置が、粘液分泌および過形成を減少させたことを実証した(図2)。したがって、毒性B. pertussis感染とは異なり、弱毒化B. pertussis生ワクチン候補BPZE1を用いた免疫処置は、アレルゲン感作に関連する病態を増強したのではなく、軽減した。
【0035】
弱毒化B. pertussisワクチン株BPZE1はOVA駆動性アレルギー性気道炎症を予防する
生きた弱毒化B. pertussis BPZE1を用いた免疫処置は、呼吸器へのOVA誘導炎症性流入物の質を和らげた。対照マウスは、気管支肺胞洗浄物中に最小限の細胞充実性を示し(図3)、一方でOVA感作/チャレンジは、炎症細胞による有意な浸潤を招いた(>3×10個細胞、図3A、p<0.05)。リンパ球または好中球の数にほとんど顕著な差はなかった。BPZE1免疫処置のみは、38日目の好中球浸潤を支援せず、組み合わせBPZE1/OVA感作マウスにおける好中球浸潤は、典型的にはOVAのみおよび毒性細菌と組み合わせたOVAのどちらよりも低かったが、しかしながらこれは、この研究では統計的有意性に達しなかった。主な観察結果は、毒性B. pertussisの予備感染が、OVAのみによる感作に比べて細胞浸潤を増加させ、それに好酸球の増加が伴ったことであり(図3C)、それは以前にも観察された(Ennis et al. Clin Exp Allergy 2004;34(9):1488-97)。しかしながら著しく対照的に、OVA感作前に生きた弱毒化BPZE1を用いて免疫処置した結果、有意に減少した気道のOVA駆動性気道好酸球浸潤が生じた(図3C、p<0.05)。したがって、弱毒化B. pertussi生ワクチン候補BPZE1は、本モデルにおいて炎症の主な特徴であるOVA駆動性アレルギー性気道好酸球増加症を予防する。
【0036】
B. pertussis生ワクチン候補BPZE1は感作アレルゲンに対する血清IgE応答を増強しない
マウスにおけるOVA感作は、IgEおよび強力な特異的Th2応答を誘導し、一方でB. pertussis感染は強力なTh1応答を誘導することが知られている。しかしながら、百日咳毒素のみでは、IgE濃度を上昇させる可能性がある。したがって、弱毒化BPZE1がアジュバント作用を有するか、またはアレルゲン特異的IgEを高めるかどうかを調査することが重要であった。アレルギー性感作に及ぼすBPZE1の影響は、OVAに感作された、BPSMに感染した、BPZE1で免疫処置された、またはこれらの処置の組み合わせを受けているマウスからの血清中のOVA特異的IgE濃度を測定することによって検査した(図4)。OVA感作は、文献に十分に裏付けられているように、有意なレベルのIgEを誘導した。以前にOVA感作マウスで、毒性B. pertussis W28感染後のOVA特異的IgEの有意な増加が観察された(Ennis et al. Clin Exp Allergy 2004;34(9):1488-97)。OVA感作前に弱毒化BPZE1に曝露されたマウスにおけるIgE応答は、OVA単独を投与されているマウスと有意差がなかった。しかしながら全く対照的に、弱毒化BPZE1の免疫処置は、OVA感作と組み合わせて毒性BPSMに感染させたマウスに比べて、OVA誘導性IgEの有意な誘導減少を招いた(p<0.05)(図4)。したがって、アレルゲン初回刺激前に送達された弱毒化B. pertussis生ワクチン候補BPZE1は、B. pertussis W2811およびBPSMで観察されたような増強されたIgE応答を示さなかった。
【0037】
弱毒化B. pertussis生ワクチンBPZE1は感作アレルゲンに対するリコールサイトカイン応答をモデュレーションする
弱毒化BPZE1がアレルゲン駆動性気道病態に対して毒性B. pertussisと徹底的に異なる作用を有することは、明らかである。この作用メカニズムの基盤を明らかにするために、細菌曝露がアレルゲン誘導性免疫応答のパターンに及ぼす影響を特徴づけた。アレルゲン誘導性初回刺激にBPZE1が及ぼす影響の価値を計るために、BPZE1を用いた免疫処置およびOVA感作/チャレンジ後に脾臓細胞調製物によるアレルギン特異的サイトカイン誘導を評価した。予想どおりOVA感作のみで、OVAに対するリコールで高レベルのTh2サイトカインIL−5およびIL−13が誘導された(図5)。毒性BPSMおよび弱毒化BPZE1のみのどちらも、OVAに対するリコール応答を誘導せずに(図5E)、B. pertussis抗原に対する強いTh1応答を生じた。BPSMチャレンジは、感作アレルゲンに対する免疫応答をモデュレーションせず、OVAに共感作されたマウスで観察されたOVA特異的IL−5、IL−13または増殖応答に有意な減少がなく、IFN−γは有意に増加しなかった(図5)。対照的に、弱毒化BPZE1は、感作アレルゲンによって誘導されるサイトカインのパターンを変更した。BPZE1は、OVA誘導性IL−5(p<0.005)およびIL−13(p<0.05)のレベル、ならびにOVA特異的増殖応答(p<0.001)を有意に減少させたが、OVAに応答して有意に増大したIFN−γを誘導した(p<0.05)。まとめると、BPZE1は、第三者抗原へのTh2サイトカイン誘導を促進するのではなく、これをTh1様応答にモデュレーションした。
【0038】
考察
本研究は、組み合わせ感染/感作モデルを使用して、弱毒化B. pertussis株BPZE1が、アレルゲン駆動性気道病態を増強するのではなく、軽減したことを実証した。弱毒化B. pertussisは、アレルゲン駆動性肺好酸球増加症を軽減し、気道炎症の重症度を低下させた。さらにBPZE1は、OVA誘導性IL−5およびIL−13の増加を予防し、アレルゲンに対するリコール応答をTh1様応答にモデュレーションした。BPZE1は、OVA感作前に毒性B. pertussisに感染したマウスに比べて減少したアレルゲン誘導性血清IgE応答を示した(表I参照)。まとめると、これらのデータは、弱毒化BPZE1がマウスモデルにおいてアレルゲン誘導性気道病態を悪化させないことを実証し、アトピーが蔓延している集団にこのワクチン候補を使用することを支持している。
【0039】
衛生仮説は、Th1誘導感染がアトピー発生に阻害作用を有しうることを示唆している。しかしながら、以前の研究は、毒性B. pertussisがTh1免疫の誘導にかかわらず気道病態の重症度を高めることを実証している(Ennis et al. Clin Exp Allergy 2004;34(9):1488-97)。対照的に、Th1誘導性Pwワクチンを用いた全身免疫処置は、アレルギー性気道応答を阻害したが、これは、アレルゲン駆動病態からの防御がCD4T細胞プロファイルだけでなく、初回刺激時の気道損傷の程度にも関係することを示唆している。
【0040】
本研究の目的は、遺伝的に弱毒化されたB. pertussis株を用いた免疫処置が、OVA誘導性気道炎症から防御できるかどうかを研究することであった。以前に、他のワクチンがアトピーのリスクを緩和する潜在性が研究されており、いくつかの研究が、免疫処置とアレルギー性疾患のリスク増加とが逆の関係にあることを見出している。Ennisらは、Pwワクチンがアレルギー性気道炎症のマウスモデルにおいてOVA誘導性気道過応答性のB. pertussisによる悪化から防御したことを見出した(Mills et al. Dev Biol Stand. 1998;95:31-41)。同様に、Grueberらは、百日咳ワクチンを含めた一般の小児ワクチンに対してアレルギー促進作用を見出さなかった(Grueber et al. Allergy 2008;63(11):1464-72)。718人の青年の集団ベースの標本における小児期免疫処置とアトピー性疾患発生との関係から、弱毒化生ワクチンが喘息およびアレルギー性疾患の発生を阻害したことが見出された(Martignon et al. Pediatr Allergy Immunol. 2005;16(3):193-200)。本研究は、ワクチン候補BPZE1が、粘膜および全身レベルの両方でOVAに対する細胞介在性応答をモデュレーションするメカニズムによってアレルゲン駆動病態を抑制することを実証している。
【0041】
肺への好酸球のIL−5介在性動員は、共同して組織損傷の原因となる主要塩基性タンパク質(MBP)および好酸球ペルオキシダーゼを含めた強力な細胞毒生産物を生成することによって、アレルゲン誘導性気道病態の原因となる(Gleich G. J Allergy Clin Immunol 2000;105(4):651-63)。毒性B. pertussisの感染は、好酸球増加を伴って呼吸器へのOVA誘導性炎症流入の程度を悪化させ(図3C)、それは、気道病態の重症度における顕著な増加を伴う(図1G)。逆に、アレルゲン感作前の弱毒化BPZE1の投与は、好酸球浸潤の顕著な減少を招いた。本研究は、動物が毒性B. pertussis株に感染している場合に見られたOVA誘導性IL−5におけるアジュバント関連増加を、BPZE1が予防することを示している(図1A)。IL−13は、また、Th2応答を促進し、好酸球の動員を増加させ、IgE介在性炎症の原因となることによって、喘息の発生の原因となる(Humbert et al. J Allergy Clin Immunol. 1997;99(5):657-65; Temann et al. Am J Respir Cell Mol Biol 1997;16(4):471-8)。弱毒化BPZE1は、感作マウスにおけるOVA誘導性IL−13を有意に減少させた(図5C)。気道粘液過分泌もまた、IL−13に関係し、アレルギー性喘息および百日咳の両方の主要な病態生理学的特徴である。したがって、本研究において粘液産生がIL−13レベルを反映し、予めBPZE1に曝露された感作マウスで有意に減少したことは、意外ではない(図5C)。
【0042】
本研究は、BPZE1における弱毒化毒性因子(百日咳毒素、気管細胞毒素および皮膚壊死毒素)の一つまたは組み合わせが、IL−5またはIL−13の一方またはその両方の誘導を介して毒性B. pertussis株で観察されたアジュバント作用に役割を果たすことを示唆している。
【0043】
ここで見られたアレルゲン駆動性病態に対する防御は、BPZE1内に含まれる三つの遺伝的改変に関連し、アレルギー性免疫応答のモデュレーションは、あるバージョンの衛生仮説と一致する。しかしながら、アレルゲン駆動性病態に及ぼす弱毒化BPZE1の有益な影響の根底にあるメカニズムは、複数で、連結している可能性がある。以前の研究は、動物モデルにおけるOVA感作の結果として総血清IgEの有意な増加を実証している(Holgate et al. J Allergy Clin Immunol 2005;115(3):459-465; Hamelmann et al. Allergy 1999;54(4):297-305)。ここで、呼吸感作によって誘導されるアレルゲン特異的IgE応答は、毒性B. pertussisに比べて弱毒化B. pertussisを投与されているマウスで有意に減少した。これは、弱毒化BPZE1によって誘導された、OVAに対する全身免疫応答のIL−5およびIL−13からIFN−γに向けたモデュレーションと一致し、IgE減少に関連した応答である(Lack et al. J Immunol 1994;152(5):2546-54)。それにもかかわらず、アレルギー性気道炎症は、Th1応答とTh2応答との間の単なる均衡ではない。Hansenらは、気道CD4 Th応答のモデュレーションが必ずしも気道病態を軽減しないことを示している(Hansen et al. J Clin Invest 1999;103(2):175-183)。BPZE1の主な有益な特徴は、気道病態の誘導不在と組み合わされたTh1偏向応答の組み合わせの可能性がある。これは、アレルゲンに対する気道病態の悪化が、気道の損傷またはリモデリングの期間中のアレルゲン初回刺激に関連したという以前の報告と矛盾しない(Marsland et al. Clin Exp Allergy 2004;34(8):1299-306; Gern. J Allergy Clin Immunol 2000:105(2 Pt 2):S497-502)。
【0044】
この組み合わされた有益性によって、TCT、PTX、およびDNTを欠損している弱毒化Bordetella pertussis生ワクチンは、アトピーからの防御剤としての魅力的な候補になる。
【0045】
参考文献
本出願にわたり、本発明が属する現況技術を様々な参考文献が説明している。これらの参考文献の開示は、本明細書により本開示に参照により組み入れられる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5