【実施例】
【0040】
本明細書で開示の触媒は、ここで、次の実施例によりさらに詳細に説明する。これらの実施例は、説明の目的のみのために提供されており、本明細書に開示の触媒が、これらの実施例により制限されると解釈されるべきではなく、むしろ本明細書で提供された教示の結果として明らかになる任意かつ全ての変形を包含すると解釈されるべきである。同様に、比較触媒例も提供されている。本明細書に開示の触媒とは異なり、比較例には配合物中に亜鉛を含む。
【0041】
以下に記載の各実施例で、「水」は脱イオン水を指す。特別の定めのない限り、全ての反応は大気圧下で起こる。
【0042】
実施例1:PtV−Zr/CeO
2
PtとVを含む第1の溶液を、15.244gのヘキサヒドロキシ(IV)白金酸(H
2Pt(OH)
6)溶液(16.40wt%Pt)、1.795gのNaVO
3および1.484gのZr(OH)
4を35gの水に攪拌しながら加えて調製した。
【0043】
第2の溶液を、7.5gの尿素および0.461gのNa
2CO
3を30.0gの水に添加して調製した。次に、第2の溶液を、50.0gのCeO
2(RhodiaのHSA20)と共にボールミル容器中で混合し、濃密なスラリーを得た。次に、第1の溶液を濃密なスラリーと接触させた。得られた混合物を、固体粒子の約90%が直径で約10μm未満になるまでボールミルで混合した。その後、スラリーを約120℃で約2時間乾燥し、大気中約550℃で4時間か焼した。
【0044】
図1からわかるように、95%を超えるメタノール転換が、この触媒を使い、300℃、メタノール/水供給速度0.25−1.0mL/minで達成された。約400℃で供給速度を2.5mL/minに増やすことにより、メタノール転換が減少し、CO選択性が極わずか増加した。
【0045】
実施例2:PtTi−Zr/CeO
2
PtおよびTiを含む第1の溶液を、15.244gのヘキサヒドロキシ(IV)白金酸(H
2Pt(OH)
6)溶液(16.40wt%Pt)、7.611gのチタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトナート)(C
6H
28O
6Ti、75%イソプロパノール溶液)およびl、484gのZr(OH)
4を35gの水に攪拌しながら添加して調製した。
【0046】
第2の溶液を、7.5gの尿素および0.461gのNa
2CO
3を30.0gの水に添加して調製した。次に、第2の溶液を、50.0gのCeO
2(RhodiaのHSA20)とボールミル容器で混合し、濃密なスラリーを得た。次に、第1の溶液を濃密なスラリーと接触させた。得られた混合物を、固体粒子の約90%が直径で約10μm未満になるまでボールミルで混合した。その後、スラリーを約120℃で約2時間乾燥し、大気中、約550℃で4時間か焼した。
【0047】
上述の触媒の性能は、実施例1より若干劣っているように思える。実施例2の触媒は、低いメタノール転換と、高いCO選択性を有している。この触媒は、しかし、効率的にH
2を生成する。
【0048】
実施例3:PdGa−ZrY/CeO
2
PdとGaを含む第1の溶液を、11.844gのPd(NOs)
2溶液(20.77wt%Pd)、27.506gの硝酸ガリウム水和物、1.484gのZr(OH)
4、および8.952gのY(NO
3)
3・6H
2Oを42.0gの水に攪拌しながら添加して調製した。
【0049】
第2の溶液を、7.5gの尿素および0.461gのNa
2CO
3を30.0gの水に添加することにより調製した。次に、第2の溶液を、50.0gのCeO
2(RhodiaのHSA20)とボールミル容器で混合し、濃密なスラリーを得た。次に、第1の溶液を濃密なスラリーと接触させた。得られた混合物を、固体粒子の約90%が直径で約10μm未満になるまでボールミルで混合した。その後、スラリーを約120℃で約2時間乾燥し、大気中、約550℃で4時間か焼した。
【0050】
本実施例の触媒を用いて、約300℃、約0.25mL/minのメタノール/水供給速度でメタノールの完全な転換が観察された。メタノール/水供給速度を約2.0mL/min、および温度を約400℃に挙げた場合、メタノール転換は、80%に低下した。
【0051】
実施例4:PdGa−BaZrY/CeO
2
PdとGaを含む第1の溶液を、11.844gのPd(NOa)
2溶液(20.77wt%Pd)、27.506gの硝酸ガリウム水和物、1.484gのZr(OH)
4、0.477gのBa(NO
3)
2および8.952gのY(NO
3)
3・6H
2Oを42.0gの水に攪拌しながら添加して調製した。
【0052】
第2の溶液を、7.5gの尿素および0.461gのNa
2CO
3を30.0gの水に添加して調製した。次に、第2の溶液を、50.0gのCeO
2(RhodiaのHSA20)とボールミル容器で混合し、濃密なスラリーを得た。次に、第1の溶液を濃密なスラリーと接触させた。得られた混合物を、固体粒子の約90%が直径で約10μm未満になるまでボールミルで混合した。その後、スラリーを約120℃で約2時間乾燥し、大気中、約550℃で4時間か焼した。
【0053】
実施例3の触媒にプロモーターとしてのBaの添加により、触媒活性および安定性の両方が改善された。約95%を超えるメタノール転換が、約400℃と約2−2.5mL/minのメタノール/水供給速度を用いて達成された。
【0054】
実施例5:PdGa−FeBaZr/CeO
2
PdとGaを含む第1の溶液を、11.844gのPd(NO
3)
2溶液(20.77wt%Pd)、27.506gの硝酸ガリウム水和物、0.477gのBa(NO
3)
2および1.809gのFe(NO
3)
3・9H
2Oを42.0gの水に攪拌しながら添加して調製した。
【0055】
第2の溶液を、7.5gの尿素および0.461gのNa
2CO
3を30.0gの水に添加して調製した。次に、第2の溶液を、50.0gのCeO
2(RhodiaのHSA20)とボールミル容器で混合し、濃密なスラリーを得た。次に、第1の溶液を濃密なスラリーと接触させた。得られた混合物を、固体粒子の約90%が直径で約10μm未満になるまでボールミルで混合した。その後、スラリーを約120℃で約2時間乾燥し、大気中、約550℃で4時間か焼した。
【0056】
実施例4に記載されたFeのプロモーターとしての配合物への導入により、活性のわずかな減少を生じたが、CO
2選択性が約65%から約70%に改善された。
【0057】
比較例1:PdZn−ZrY/CeO
2
Pd、Zn、Y、およびZrを含む溶液を、4.734gのPd(NO
3)
2溶液(20.77wt%Pd)、15.508gのZn(NO
3)
2・6H
2O、0.581gのZr(OH)
4および4.269gのY(NO
3)
3・6H
2Oを7.0gの水に攪拌しながら加えて調製した。次に、この溶液を20g、0のCeO
2支持体(RhodiaのHSA5)と接触させた。得られたスラリーを固体粒子の約90%が直径で約10μm未満になるまでボールミルで混合した。その後、スラリーを約120℃で約2時間乾燥し、大気中、約550℃で4時間か焼した。この実施例で記載したPdZn触媒の性能を
図6に示す。
【0058】
比較例2:PdZn−ZrYLa/CeO
2
Pd、Zn、Y、LaおよびZrを含む第1の溶液を、11.844gのPd(NO
3)
2溶液(20.77wt%Pd)、38.659gのZn(NO
3)
2・6H
2O、1.484gのZr(OH)
4、9.024gのY(NO
3)
3・6H
2O、および0.668gのLaCl
3・7H
2Oを45.0gの水に攪拌しながら添加することにより調製した。
【0059】
次に、第2の溶液を、7.5gの尿素および0.461gのNa
2CO
3を30.0gの水に添加して調製した。次に、50.0gのCeO
2(RhodiaのHSA20)を第2の溶液に添加し、ボールミル容器で混合し、濃密なスラリーを得た。次に、第1の溶液を濃密なCeO
2のスラリーに添加した。得られた混合物を、固体粒子の約90%が直径で約10μm未満になるまでボールミルで粉砕した。その後、スラリーを約120℃で約2時間乾燥し、大気中、約550℃で4時間か焼した。
【0060】
触媒性能
メタノール水蒸気改質触媒性能を、5/8−インチ内径の不動態化(Silicosteel CR(登録商標))ステンレス鋼チューブで構成される管状充填層型反応器を使って測定した。反応器の層に粉砕し、篩分けして約125−250μmの平均直径にしてある3gの触媒を充填した。次に反応器をN
2フロー中で400℃に加熱した。
【0061】
反応器が温度に達するとすぐ、約63重量パーセントのメタノールの脱イオン水溶液を、HPLCポンプを使い2mL/min(10Psig)で、240℃で作動中の気化器へ供給した。次に、気化したメタノール−水混合物を加熱反応器に通過させた。気化器を、最適化して、安定な流量を維持し、気相中の水−メタノールモル比率の変動を最小化した。
【0062】
ガスの反応器出口の組成物をモニターし、4チャンネルおよび4つのTCD検出器を備えたAgilent3000Aマイクロガスクロマトグラフィーシステム(GC)を使って、分析した。全体システムは、操作およびデータ取得のために、コンピュータを使って自動化され、制御されている。次の気相種を分析した:H
2、CO
2、CO、H
2O、CH
4、およびCH
3OH。メタノール転換と選択性は下記のように計算した:
【0063】
【数1】
【0064】
上の式で、CO%、CO
2%、CΗ
4%、およびCH
3OH%は、それぞれ、GCにより分析した反応器排出物中のCO、CO
2、CH
4およびCH
3OHモル分率パーセントを表す。改質反応(式1)の化学量論に基づくと、H
2に対する選択性は、CO
2に対する値と等しい。
【0065】
上述の手法を使って、実施例1〜5の触媒に対して、表1に詳細を示す選択性の結果が得られた。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に示すように、本明細書記載の触媒の「Zn不含」実施形態は、メタノール水蒸気改質用としてPdZn触媒よりも優れているか、または同等の性能を与える。このように、本明細書記載の触媒は、水素分離膜を組み込んだ燃料電池の使用に有用である可能性がある。
【0068】
前記で検討した触媒、組成物、および方法について、上記実施例に言及しながら詳細に記載してきたが、その趣旨から解離することなく種々の改変が可能であり、当業者には容易にわかるであろうことは理解されるべきである。
【0069】
前に参照した全ての引用特許と出版物は、目的に応じその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。