特許第5678079号(P5678079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5678079下肢の矯正用または補装用の関節を制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678079
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】下肢の矯正用または補装用の関節を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/68 20060101AFI20150205BHJP
   A61F 2/64 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   A61F2/68
   A61F2/64
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-538242(P2012-538242)
(86)(22)【出願日】2010年11月12日
(65)【公表番号】特表2013-510605(P2013-510605A)
(43)【公表日】2013年3月28日
(86)【国際出願番号】EP2010006896
(87)【国際公開番号】WO2011057795
(87)【国際公開日】20110519
【審査請求日】2012年9月10日
(31)【優先権主張番号】102009052887.3
(32)【優先日】2009年11月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506153712
【氏名又は名称】オットー・ボック・ヘルスケア・プロダクツ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】カンパス、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ザイル、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ボイテン、ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】カルテンボルン、スフェン
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−527926(JP,A)
【文献】 特表2009−513199(JP,A)
【文献】 特表2009−536050(JP,A)
【文献】 国際公開第96/041599(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/059594(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/68
A61F 2/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗手段を有する、下肢の矯正用または補装用の関節を、制御するための方法であって、該抵抗手段に関連して、センサデータに従って屈曲抵抗および/または伸展抵抗を変化させる少なくとも1つのアクチュエータが設けられており、前記関節の使用の最中に、センサによって、状態情報が提供されてなる方法において、
少なくとも
-1つのモーメントおよび1つの力、または
-2つのモーメントおよび1つの力、または
-2つの力および1つのモーメント
を検出するための少なくとも1つの手段によってセンサデータを決定し、かつ、前記決定された値のうちの少なくとも2つの値のセンサデータを、数学的操作によって互いに組み合わせ、従って、前記屈曲抵抗および/または伸展抵抗の制御に基づく補助変数を計算すること、
前記補助変数として、床反力の力ベクトルと、モーメントを検出するための手段との間の距離であって、前記モーメントを力で除算することによって、計算することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記力ベクトルと関節軸との距離を、関節モーメントを軸方向力によって除算することによって計算することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記補助変数として、前記力ベクトルと、基準位置における関節接続部分の軸との距離を、2つのモーメントおよび1つの力を検出するための少なくとも1つの手段からのデータセンサを組み合わせることによって決定することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
補助変数として、基準高さにおける断面モーメントを、2つのモーメントを検出するための手段、特に1つの踝モーメントセンサおよび1つの膝モーメントセンサからの値を重み付け加算または減算することによって、決定することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
補助変数として、下部の接続部分に加えられる横方向力を、2つのモーメントの差分と、該モーメントを決定するための2つの手段同士の距離との商から決定することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記補助変数が所定の数値に到達するか、または上回る際に、前記抵抗手段を、遊脚期状態に切り換えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記矯正具または補装具への床反力の減少の検出の際には、抵抗を減少させ、かつ、前記床反力の増加の際には、抵抗を、前記関節がロックされるまで増加させることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記補助変数が変化するとき、前記関節のロックを解除することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記抵抗を、空間における前記矯正具または補装具の位置の変化の検出に基づいて、あるいは、前記矯正具または補装具への力ベクトルの位置の変化の検出によって、減少させることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
温度センサが設けられていること、および、前記抵抗を、少なくとも1つの測定された温度信号に従って変化させることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
立脚期中には、温度の増加につれて、前記抵抗を増加させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
遊脚期中には、温度の増加につれて、屈曲抵抗を減少させること、および、温度がしきい値に到達するかまたは上回るとき、前記抵抗を変化させることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記抵抗手段の温度を測定し、かつ、制御の基礎とすることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
モーメント、力および/または関節角度を検出するための手段の故障の場合には、他の制御アルゴリズムを、伸展抵抗および/または屈曲抵抗を変化させるための残りの手段に基づいて用いることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記床反力ベクトルと、関節部分との距離を決定し、かつ、該距離がしきい値を上回るとき、前記抵抗を減少させることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記抵抗の減少後の所定の時間内に、関節構成要素の慣性角度、慣性角速度、床反力、関節モーメント、または、力ベクトルと関節構成要素との距離が、しきい値に達しないときは、前記抵抗を、減少後に再度、立脚期の値に増加させることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記足部における力作用点が、決定され、そして、該力作用点がかかとの方向に移動するとき、前記抵抗が増加され、または減少されないことを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
下腿部分の、垂直線の方向に減少する慣性角度、および、同時に負荷される前足を決定するとき、前記屈曲抵抗を、立脚期において増加させ、または減少させないことを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗手段を有する、下肢の矯正用または補装用の関節を、制御するための方法であって、該抵抗手段に関連して、センサデータに従って屈曲抵抗および/または伸展抵抗を変化させる少なくとも1つのアクチュエータが設けられており、関節の使用の最中に、センサによって、状態情報が提供されてなる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
矯正具または補装具のための膝関節は、上部の接続部分および下部の接続部分を有する。双方の接続部分は、関節手段によって、互いに接続されている。上部の接続部分には、通常、大腿部の断端のための収容部または大腿部の副木が設けられており、他方、下部の接続部分には、下腿部シャフトまたは下腿部副木が設けられている。最も簡単な場合には、上部の接続部分および下部の接続部分は、単軸の関節によって回動可能に互いに接続されている。このような装置は、矯正具の使用の際に、望ましい成功、支持を保証し、あるいは、補装具での使用の際には自然の歩行パターンを保証するためには、例外的な場合にのみ十分である。
【0003】
歩行の種々の段階中にまたは他の装置の場合では種々の要求をできる限り自然に示すか支援するために、屈曲抵抗および伸展抵抗を提供する抵抗手段が設けられている。力が加えられるとき、下腿部シャフトまたは下腿部副木が、大腿部シャフトまたは大腿部副木に比較してどの程度容易に後方に揺動するかが、屈曲抵抗によって調整される。伸展抵抗は、下腿部シャフトまたは下腿部副木の前進歩行を制動し、かつ、取り分け、伸展停止を形成する。
【0004】
従来の技術、例えば特許文献1からは、上部と、該上部に回動可能に設けられている下部とを有する整形外科用の膝関節が公知である。この下部に関連して、複数のセンサ、例えば、曲げ角度センサ、加速度センサ、傾斜センサおよび/または力センサが設けられている。伸展停止は、センサデータに従って決定される。
【0005】
特許文献2は、上側の接続手段と、義足足部へ接続するための接続要素とを有する補装具手段を適合させるための受動人工膝関節を、屈曲方向に調整可能な制動機能で制御する方法を記載する。階段昇りへの適合がなされる。義足足部の、低モーメントのリフティングが検出され、リフティング段階での屈曲の制動が、平面歩行のために適切であるレベルより下のレベルに低下される。屈曲制動は、膝関節角度の変化に従っておよび下腿部に作用する軸方向力に従って増加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 10 2008 008 284 A1
【特許文献2】DE 10 2006 021 802 A1
【発明の概要】
【0007】
本発明の課題は、屈曲抵抗および伸展抵抗の、状況依存の適合を可能にする、人工膝関節を制御する方法を、提供することである。
【0008】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。本発明の好都合な実施の形態および改善は、従属請求項に記載されている。
【0009】
抵抗手段を有する、下肢の矯正用または補装用の関節を、制御するための本発明に係わる方法であって、該抵抗手段に関連して、センサデータに従って屈曲抵抗および/または伸展抵抗を変化させる少なくとも1つのアクチュエータが設けられており、膝関節の使用の最中に、センサによって、状態情報が提供されてなる方法は、
少なくとも
-2つのモーメント、または、
-1つのモーメントおよび1つの力、または
-2つのモーメントおよび1つの力、または
-2つの力および1つのモーメント
を検出するための少なくとも1つの手段によって、センサデータを決定し、かつ、決定された値うちの少なくとも2つの値のセンサデータを、数学的操作によって互いに組み合わせ、従って、屈曲抵抗および/または伸展抵抗の制御に基づく補助変数を計算することを特徴とする。例えば膝モーメントセンサまたは踝モーメントセンサまたは軸方向負荷センサとして形成されていてもよいセンサは、数学的操作、例えば、加算、乗算、減算または除算によって補助変数を計算する元になる基本データを利用する。この補助変数は、補助変数に基づいて、抵抗の、状況への適合を計算するためには、十分に重要である。補助関数は、迅速な方法で、高い計算コストなしに、特性パラメータを提供することを可能にする。該特性パラメータによって、実際の調整されている抵抗を指標値として計算し、これに応じて、アクチュエータを起動させることができる。その目的は、所望の抵抗を達成するためである。この場合、補助変数として、断面モーメント、断面力、力または距離が考慮されている。補助変数として、直接ではなくセンサを介してアクセス可能である、矯正具または補装具の箇所、その箇所に作用する例えば力およびモーメントを決定することができる。センサは、直接に作用する力またはモーメントのみを決定する間に、補助変数の計算によって、抵抗の調整を判断するための、直接には検出される必要のない値を使用することができる。このことは、どの抵抗を、何時、動きのどの状態で、あるいは関節または補装具のどの位置で調整したらよいかを判断する際の、可能性を拡張する。基本的には、複数の補助変数を定め、かつ制御のために使用することが可能である。
【0010】
センサは、例えば、下腿部シャフトまたは下腿部副木におよび関節の領域に設けられている。補助変数は、仮想センサの形態の物理量を表わすことができる。補助変数が取り分けモーメント、力、人工関節の幾何学的寸法から計算されるので、補助変数として、力、力と基準点または基準高さとの距離、基準高さにおける断面モーメントまたは断面力を決定することができる。補助変数として、基準高さにおける、力ベクトルと軸との距離、基準高さにおける断面モーメントまたは断面力を決定することができる。例えば、床反力ベクトルと関節軸との距離を計算することができるのは、モーメントを軸方向力によって除算することによってである。この目的のために、モーメントを検出するための手段が、例えばモーメントセンサが、膝モーメントを検出し、それ故に、補助変数として、例えば膝高さ、すなわち膝関節軸の高さにおける床反力の力ベクトルの膝関節軸との距離が決定されることが、例えば意図されている。実際また、力と、長手方向軸との距離を決定し、例えば、床反力ベクトルと、長手方向軸上の基準点との距離を決定することが可能である。長手方向軸は、モーメントを検出するための手段につなぐ。例えば。力ベクトルと、膝関節における下部の接続部分すなわち下腿部分の長手方向軸との距離を使用することができる。補助変数として、力ベクトルと、基準位置における関節接続部分の軸との距離を、2つのモーメントおよび1つの力を検出するための少なくとも1つの手段からのデータを組み合わせることによって決定する。
【0011】
基本的には、他の基準高さを使用することも可能である。すなわち、モーメントを検出するための手段が基準高さのレベルに取り付けられているか、あるいは、基準高さにおけるモーメントが、基準高さにない2つのモーメントの重み付け加算によって、計算されるのである。補助変数として、断面モーメントまたは断面力を、基準高さにおける構成要素によって決定することができる。仮想センサによって、すなわち、複数のセンサ値の数学的な組み合わせによって検出される補助変数は、計算機、例えばマイクロプロセッサによって計算される。
【0012】
特殊な場合には、以下の値、すなわち、床反力と、膝関節軸との距離、または膝軸を中心とした床反力のモーメント、足部の高さにおける、床反力の、基準軸との距離、または、足部の高さにおける、特に、床の高さにおける、下腿部軸を中心とした床反力、その床反力を発生するモーメントを、人工膝関節を制御するための補助変数として強調することができる。
【0013】
補助変数を計算するための他の可能性は、力ベクトルと、基準位置における下腿部軸との距離を、1つのモーメントを検出するための2つの手段および1つの軸方向力センサからのデータの組み合わせによって決定することにある。モーメントセンサのことを記述するときは、この文言は、複数の構成要素から構成されており、かつ、モーメントが作用する対象である箇所に設けられている必要はない、モーメントを検出するための手段も、含む。
【0014】
実際また、基準高さにおける断面モーメントを、踝モーメントセンサおよび膝モーメントセンサからの値を重み付け加算または減算によって決定することも可能である。このとき、断面モーメントは、制御を適切に調整する基礎になる補助変数である。
【0015】
更に、補助変数として、下部の接続部分、例えば足部に加えられる横方向力を、2つのモーメント、例えば膝モーメントおよび踝モーメントの差分と、該モーメント同士の距離との商から決定することが可能であり、かつ意図されている。次に、1つの決定された補助変数または複数の補助変数に基づいて、適切な抵抗値を計算し、かつ調整する。補助変数が最大値を上回った後に、抵抗は、補助変数によって、連続的に減少させることができる。その目的は、斜面または階段上での関節の、最大値を上回る前より容易な往復揺動を可能にするためである。
【0016】
補助変数が所定の値に達するか、または上回るとき、抵抗手段を、揺動状態に切り換えることができる。このことによって、屈曲制動および伸展制動の、立脚期状態に比較して変更された基本調整が生じる。この目的のために、断面モーメント、または足部の高さにおける、床反力ベクトルの、足関節との距離が提供される。
【0017】
膝角度、膝角速度、大腿部副木位置、または大腿部シャフト位置、下腿部位置、下腿部シャフト位置、これらの位置の変化および/または矯正具または補装具の加速度を決定するためのセンサがあること、および、センサのデータが、補助変数の使用のほかに、1つの抵抗または複数の抵抗を制御するために用いられることが意図されている。
【0018】
抵抗を状態条件へ出来る限り摩擦のなしに適合させるために、データ収集および補助変数の計算ならびに抵抗適変化が実時間でなされることが意図されている。抵抗変化が、補助変数および/またはセンサデータによって、連続的になされることは好ましい。その目的は、矯正具使用者または補装具使用者が、矯正具または補装具の挙動の急激な変化によって直面されないように、制御変化の緩やかな適合を行なうためである。
【0019】
更に、矯正具または補装具への床反力の所定の軽減、すなわち減少の際に、例えば、脚部の持ち上げの際に、屈曲抵抗が減少され、負荷の増加の際には、屈曲抵抗が増加されることが意図されている。潜在的に存在し、かつ、自然な運動パターンが生じるときは、常に実行されるこのような立位保持機能では、抵抗は、関節のロックをもたらすまでになることができる。抵抗の増減が連続的になされることは好ましく、ソフトな移行を可能にする。このことは、自然の動きに近似しており、矯正具着用者または補装具着用者に安心感をもたらす。補助変数が変化するとき、立位保持機能において起動された、抵抗のロックまたは増加を、例えば、空間における補装具または矯正具の位置の変化に基づいて、解除または減少することができる。
【0020】
基本的には、立脚期から遊脚期への移行が、負荷に依存してなされることが意図されている。同様に、立脚期のための抵抗調整から遊脚期のための抵抗調整へ、抵抗の漸進的な変化によって、スムーズに移行し、かつ、必要な場合には、すなわち、補助変数に関する適切なデータが存在するときは、同様に徐々に再度立脚期へ戻ることも可能である。このことは、補助変数として下腿部における横方向力を用いることによって、特に、斜面上の遊脚期を可能にするためには、有利である。
【0021】
本発明の他の態様は、抵抗が、測定された温度に従って変化されることを意図する。このことによって、人工の矯正用または舗装用関節の抵抗手段または他の構成要素も、強すぎる加熱から保護することが可能である。加熱は、関節の部分が形状または構造強度を失う故に、あるいは、エレクトロニクスが、許容される作動パラメータの範囲外で作動される故に、関節が機能停止するまでに至ることがある。この場合、消費されるエネルギが減少されるように、抵抗を変化させることは好ましい。変換されるエネルギ量が減少するので、人工関節の抵抗手段または他の構成要素は冷却され、該抵抗手段または他の構成要素が意図されてなる温度範囲で作動することができる。更に、温度変化に基づいて生じる変化が補償されるように、抵抗手段が適合されることが意図されていることができる。例えば、加熱に基づいて作動液の粘度が減少するとき、抵抗手段を、これに対応して調整することができる。その目的は、補装具使用者または矯正具使用者が、更に、人工関節の、使用者に知られた挙動を期待することができるように、更に、通常の屈曲抵抗および屈伸抵抗を利用するためである。
【0022】
変形例では、立脚期のために、例えば歩行中に、温度の上昇につれて、抵抗が増加されることが、意図されている。この場合、伸展抵抗および屈曲抵抗を増加させることができる。抵抗の増加によって、使用者は、遅く歩くことを余儀なくされ、従って、より少ないエネルギを関節に投入することができる。このことによって、関節は冷却される。それ故に、関節を、許容される動作パラメ―タ内で作動されることができる。
【0023】
他の変形例は、遊脚期のための歩行中に、屈曲抵抗が、温度の増加につれて、減少されることを意図する。遊脚期中にまたは遊脚期のために、屈曲抵抗が減少されるとき、このことは、関節が更に大きく揺動することをもたらす。従って、義足足部は、遅れて前方にかかとの接地へ至る。このことによって、使用者は、再度遅く歩くことを余議なくされる。このことは、熱へのエネルギ変換の減少をもたらす。
【0024】
温度がしきい値に到達するかまたは上回るとき、抵抗を変化することができる。この場合、温度がしきい値に到達するかまたは上回るとき、抵抗を急に変化させることができる。それ故に、1つの抵抗値または複数の抵抗値が変換される。温度がしきい値に到達した後に、抵抗の連続的な変化が温度と共になさることが意図されていることは有利である。温度しきい値がどの位高く設定されるかは、各々の構造パラメータ、使用される材料、および、補装具または矯正具の抵抗挙動の望ましい均一性に拠る。立脚期中の抵抗は、取り分け、例えば階段降下の際に安全臨界性の状況が発生されるほどに、増加してはならない。
【0025】
温度によって誘発された抵抗変化は、抵抗変化の唯一の制御パラメータではない。むしろ、温度によって誘発された抵抗変化が、機能的な抵抗変化に重畳されることが意図されている。人工関節、例えば膝関節または足関節は、多数のパラメータによって、状況に応じて制御される。それ故に、例えば歩行速度、歩行状況等に基づいてなされるいわゆる機能的な抵抗変化は、温度による抵抗変化によって補われる。
【0026】
更に、温度がしきい値に到達するかまたは上回るとき、関節または抵抗手段が、臨界温度範囲にあることを補装具または矯正具の使用者に認識させるように、警告信号が発信されることが意図されていることができる。警告信号を、触覚の、光学式のまたは音響式の警告信号として発信させることできる。同様に、種々の出力可能性および組み合わせがある。
【0027】
抵抗手段の温度が測定され、かつ、制御の基礎にされることは好ましい。この代わりに、他の手段も、音度測定に晒すことができるのは、これらの手段が温度臨界的な挙動を有する場合である。例えば、制御エレクトロニクスが特に温度に対し敏感であるとき、該制御エレクトロニクスを、抵抗手段に代替または補完するものとしてモニタし、かつ、そこに、適切な温度センサを備えるほうがよい。個々の構成要素が、例えば、使用された材料に基づいて、温度に対し敏感であるとき、適切な温度信号を得るためには、対応の箇所で、測定手段を備えるほうがよい。
【0028】
温度変化の度合いを変化させる調整手段が設けられていてもよい。例えば矯正具または補装具の使用者の重量の、または踏み出しの際の決定された軸方向力の、決定されたデータに基づいて、認識することができるのは、例えば、不均衡に高い抵抗変化がなされねばならないことである。同様に、手動の調整装置が設けられている可能性がある。該手動装置によって、各々の抵抗変更の、使用者の要望への適合がなされ、それ故に、傾向的に大きいかまたは小さい抵抗変化が、調整または決定されたデータに依存してなされることができる、
上記の方法を実施するための装置は、人工の矯正用または補装用の関節の、2つの連節された構成要素の間に設けられている調整可能な抵抗手段が、制御装置、および装置における状況情報を検出するセンサと共にあることを意図する。抵抗変化を起動可能および/または停止可能にする調整装置が設けられている。このことによって、例えば、選択的に温度によって制御された抵抗変化を行ない、かつ、例えば膝制御方法の、特に、モード、機能または追加機能を意識的に起動または停止させることが可能である。
【0029】
本発明の改善は、屈曲抵抗および/または伸展抵抗が、遊脚期および/または立脚期中にまたは立位保持中に、センサデータに基づいて変化されることを意図する。従来の技術からは、遊脚期または立脚期が調整値に一度達した後には、新たな歩行期が生じるまで、該調整値を維持することが知られている。他方、本発明によれば、屈曲抵抗および/または伸展抵抗の変化が、立脚期および/または遊脚期中に可変に調整されることが意図されている。立脚期または遊脚期中に、状況の変化、例えば、力の増加、加速度またはモーメントにおいて、変化する状況への抵抗の連続的な適合がなされる。一度の達成後に各々の抵抗の調整のための基本位置を形成するしきい値による屈曲機能および伸展機能の調整の代わりに、本発明によれば、例えば特性図の評価に基づいて、抵抗の、可変の、適合された調整がなされることが意図されている。屈曲抵抗に関する特性図が、膝レバーおよび膝角度によって作成され、かつ、特性図に基づいて抵抗の制御がなされることが意図されている。
【0030】
人工関節をセンサデータに基づいて制御するためには、歩行期移行の検出の際に安全基準を保証するために、まさしくこのために必要である複数のセンサが設けられている。例えば、安全基準を高めるために、最低限度を越えるセンサが用いられるとき、センサのこの冗長性が、関節の中または上に設けられたすべてのセンサを用いるわけではないが、安全の最低基準を維持する制御を実現することができる。センサの故障の場合でも、まだ作動しているセンサによって、依然として遊脚期による歩行を可能にし、かつ、安全の最低基準を提供する他の制御を実現するために、センサの冗長が用いられることが意図されている。
【0031】
更に、床反力ベクトルと、関節部分との距離が決定され、該距離がしきい値を上回るとき、従って、床反力ベクトルと、関節部分との、例えば、一定の高さで下腿部分の長手方向軸上の或る点との、あるいは、膝関節の旋回軸との距離が最短距離より大きいとき、抵抗が減少される。
【0032】
取り分け、下腿部分の、垂直線に相対して増加する慣性角度が決定されるとき、屈曲抵抗を、立脚期で、遊脚期に適切な値に減じることができる。下腿部分の、増加する慣性角度は、補装具使用者または矯正具使用者が前進移動にあって、下腿部分の末端部が支点として見なされることを示す。慣性角度の増加がしきい値を上回っているときにのみ、減少がなされることが意図されている。更に、抵抗が減少されることができるのは、大腿部分に相対する下腿部分の動きが固く、従って伸展しており、または一定であるときである。このことは、前進移動を示す。同様に、膝伸展モーメントが存在するときは、抵抗を減少させることができる。
【0033】
膝角度が15°未満であるときにのみ、立脚期において抵抗が減少されることが意図されている。このことによって、遊脚期中におよび膝の屈曲の際に、関節が望ましくなく自由に切り換わることが排除される。
【0034】
膝モーメントが伸展から屈曲に変化したことが決定されたとき、抵抗を、膝屈曲モーメントの場合でも、遊脚期に適切な値に減少することができる。この場合、減少は、膝モーメントの変化の直後に、伸展から屈曲へなされる。
【0035】
更に、抵抗の減少後に、所定の時間内に、関節構成要素の慣性角度、慣性角速度、床反力、関節モーメント、関節角度、または、力ベクトルと関節構成要素との距離が、しきい値に達しないときに、減少後の抵抗が、再度、立脚期において増加されることが、意図されていることができる。換言すれば、関節は、再度、立脚期の状態に調整され、遊脚期の状態への転換後に所定の時間内に、実際に遊脚期が検出されないほうがよい。このことは、遊脚期の解除が既に生じ、その後に、適時の遊脚期の導入を可能にするために、足先は床を離れることに基づいている。しかし、このとき、例えば分回し運動の場合のように、遊脚期が導入されないほうがよいときは、再度、立脚期における安全な抵抗への変換がなされねばならない。この目的のために、所定の時間内に、上記の値に関する期待される値が存在するか否かをチェックするタイマが設けられている。抵抗が減少されたままであり、すなわち、遊脚期が開始されているのは、関節角度の増加が検出されるとき、従って、実際に、遊脚期が導入されるときである。同様に、第1のしきい値よりも小さい第2のしきい値が、第1のしきい値を下回るときにはじめて、タイマは、しきい値が達成され、かつ遊脚期が解除された後に、オンにされることが可能である。
【0036】
本発明は、更に、大腿部分の、垂直線の方向に減少する慣性角度と、前足負荷とが決定されるとき、屈曲抵抗が立脚期において増加され、または減少されないことを意図することができる。下腿部分の、垂直線の方向に減少する慣性角度であるセンサ値を、前足への負荷の有無と結びつけることによって、後方歩行を安全に検出し、かつ、遊脚期を解除せず、従って、屈曲抵抗を減少させないことが可能である。その目的は、後方歩行の際に、治療された脚が後方へ立たされおよび着地されるとき、膝関節の望まない動きを回避するためである。このことによって、折れ曲がることなく、治療された脚に屈曲方向に負荷をかけることが可能である。それ故に、補装具または矯正具を装着している患者は、特別なロック装置を作動させる必要なしに、後方に歩行することができる。
【0037】
本発明の改善は、関節部分の慣性角速度がしきい値を下回るときに、抵抗を増加または少なくとも減少させないこと、または、換言すれば、慣性角速度が所定のしきい値を上回るとき、屈曲抵抗の低下と共に遊脚期が導入されることを意図する。同様に、関節部分の、特に下腿部分の慣性角度および関節部分の、特に下腿部分の惰性角速度の決定によって、補装具使用者または矯正具使用者が後方に動きかつ、屈曲に対してロックされまたは高制動された膝関節を必要とすることが決定されることが可能である。このことに応じて、抵抗は、抵抗がまだ十分に高くないときは、増加される。
【0038】
更に、前足への負荷の挙動が決定され、下腿部分の慣性角度が減少する際に前足への負荷が減少するとき、抵抗が増加され、または減少されないことが意図されている。かかとの接地の後の前方歩行の際に、下腿部分が垂直線を越えて前方へ旋回されたときにはじめて、前足への負荷が増加し、他方、後方歩行の際の前足の負荷が、慣性角度の減少の際に、減少する。それ故に、2つの状態、すなわち、減少する慣性角度および前足への減少する負荷が存在するとき、後方歩行を推論することができる。これに従って、このとき、抵抗は、後方歩行のために考慮されている値に増大される。
【0039】
他の特性パラメータは、検出され、かつ、抵抗が増加されるか、減少されるかのための基礎として用いられる膝モーメントであってもよい。屈曲方向に作用する膝モーメントが決定されるとき、従って、義足足部が着地されたとき、膝における屈曲モーメントが検出されるとき、後方歩行が想定されることができてなる状況が存在する。それ故に、このとき、屈曲のロック、従って、抵抗の、屈曲が容易に可能にならない値への増加が、根拠づけされている。
【0040】
更に、足部における力作用点が、決定され、そして、該力作用点がかかとの方向に移動するとき、抵抗が増加され、または減少されないことが意図されていることができる。
【0041】
下腿部分の慣性角度は、下腿部分に設けられているセンサ装置によって直接決定され、あるいは、他の接続部分の、例えば大腿部分の慣性角度と、同様に決定された関節角度から直接決定されることが可能である。大腿部分と下腿部分の間の関節角度が、他の制御信号のためにも用いられることができるので、センサの複数の配置および信号の複数回使用によって、冗長性が与えられている。それ故に、センサの故障の場合でも、補装具または矯正具の機能性は更に維持されている。関節部分の慣性角度の変化は、ジャイロスコープによって、または、関節部分の慣性角度信号の差分から、または接続部分の慣性角度信号からおよび関節角度から直接決定される。
【0042】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】補装具の略図を示す。
図2】距離を計算するための略図を示す。
図3】断面モーメントを計算するための略図を示す。
図4】複数のセンサ値に基づいて距離を計算するための略図を示す。
図5】横方向力を計算するための略図を示す。
図6】膝角度の値の曲線および経時の補助変数の図を示す。
図7】立脚期において抵抗の増加の際の特性パラメータの挙動を示す。
図8】遊脚期における抵抗の増加の際の特性パラメータの挙動を示す。
図9】平面での歩行中の膝角度挙動および抵抗曲線を示す。
図10】斜面での歩行中の膝角度挙動および抵抗曲線を示す。
図11】慣性角度に関する符号の取り決めの図および後方歩行中の補装具略図を示す。
図12】膝角度および膝モーメントに関する符号の取り決めの図を示す。
図13】膝角度および膝レバー関する抵抗の特性図を示す。
図14】斜面上での歩行中の特性パラメータを示す。
図15】種々の横方向力の最大値の際の抵抗挙動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1には、大腿の断端を収容するための大腿部シャフト1を有する義足の略図が示されている。大腿部シャフト1は、上部の接続部分とも呼ばれる。上部の接続部分1には、抵抗手段を有する下腿部シャフトの形態の下部の接続部分2が設けられている。下部の接続部分2には、義足足部3が設けられている。下部の接続部分2は、関節4を介して、上部の接続部分1に回動自在に取付けられている。関節4には、有効な膝モーメントを決定するモーメントセンサが設けられている。下部の接続部分2には、義足の足部3への接続部分5が設けられている。義足足部には、有効な軸方向力および踝モーメントを決定するための手段が収容されている。角度センサおよび/または加速度測定器が存在してもよい。義足にはすべてのセンサがあるのではなく、あるいは追加のセンサがあることも可能である。
【0045】
下部の接続部分2には、屈曲抵抗および伸展抵抗を提供する抵抗手段のほかに、制御手段がある。該制御手段によって、受信したセンサデータおよびセンサデータの評価に基づいて各々の抵抗を変化させることが可能である。この目的のために、2つのまたはそれより多いセンサデータの数学的組み合わせによって得られる少なくとも1つの補助変数を生成するためにセンサデータが用いられることが意図されている。このことによって、複数の力センサまたはモーメントセンサを互いに結びつけることが可能である。その目的は、センサの領域で直接には支配的でない力、距離および/またはモーメントを計算するためである。例えば、所定の基準面での断面力、断面モーメントまたは距離を計算することは可能である。その目的は、このことから始まって、できる限り自然な歩行パターンが得られることができるように、どの機能を現在実行するべきかを判断することができるためである。この場合、自然の動きの枠内で生じる制御シーケンスは、機能と呼ばれる。これに対し、モードは、恣意的な行為によって、例えば、別個のスイッチの作動によって、または、動きの、意図的な、必要な場合には意図的に不自然な順序によって調整されるスイッチング状態である。
【0046】
図2には、床反力ベクトルGRFと、モーメントセンサとの距離aが、補助変数として如何に計算されるかが略示されている。補助変数aは、この場合では、いわゆる膝レバーである。膝レバーは、図13に同様に示されており、かつ、マップコントロール(Kennfeldsteuerung)との関連で、そこでは、しかしながら、逆の符号で、記述されるだろう。距離aは、膝モーメントMと軸方向力FAXの商から計算される。膝モーメントMが、軸方向力FAXとの比例で大きくなればなるほど、床反力ベクトルGRFと、モーメントセンサとの距離aは、ここでは膝軸を形成する基準高さにおいて一層大きくなる。補助変数aを基準にして、伸展抵抗および/または屈曲抵抗を変えることが可能である。何故ならば、補装具が立脚期にあるか、遊脚期にあるか、および立脚期または遊脚期のどの段階にあるかを、該補助変数aによって計算することができるからである。それ故に、このことから、予め定められた屈曲抵抗および/または伸展抵抗が調整される。補助変数aの変化によって、現在の動きが如何に進行するかが決定される。それ故に、動きの中で、立脚期または遊脚期内でも、伸展抵抗および/または屈伸抵抗の、患者にとっての快適性への適合がなされることができる。抵抗の変化が、連続的におよび1つの補助変数または複数の補助変数の変化に応じてなされることは好ましい。
【0047】
図3には、補助変数dは、床からの高さxにおける断面モーメントMとして決定される。図示した例では、変数(Groesse)xに関する値が0と想定することができるように、足部の高さで計算がなされる。下部の接続部分2の高さxで決定される断面モーメントMは、以下の式から計算される。
【数1】
【0048】
但し、Mは、接続部分5におけるモーメント、通常は踝モーメントであり、モーメントMは膝モーメントであり、長さlは、床からの踝モーメントセンサの距離であり、長さlは床からの膝モーメントセンサの距離であり、長さxは床上の基準高さであり、該基準高さにおいて、断面モーメントMが計算されることが意図される。ここでは、補助変数dの計算が、2つのモーメントセンサの測定および上記数学的な組み合わせのみに基づいてなされる。断面モーメントMに基づいて、下部の接続部分2内の負荷を推定することができる。このことから、下部の接続部分2および接続部分5内の負荷が計算される。断面モーメントの値および方向に従って、種々の負荷シナリオが検出される。該負荷シナリオは、屈曲抵抗および/または伸展抵抗の適切な調整を必要とする。補助変数dとして制御装置に格納されているそれぞれ現在有効な断面モーメントMに基づいて、次に、抵抗手段におけるそれぞれ必要な調整を、実時間で行なうことができる。その目的は、適切な抵抗を調整するためである。
【0049】
図4には、基準高さにおける、床反力ベクトルGRFと、軸線との、この場合では、モーメントを検出するための2つの手段を結ぶ線との、すなわち、軸方向力FAXとの距離の形態をとる他の補助変数bが、如何に計算されるかが示されている。補助変数bは、
【数2】
【0050】
から計算され、但し、Mは、接続部分5における有効なモーメント、例えば、床からの高さlにおける踝モーメントであり、Mは、床からlの距離にある膝軸4の高さにおける膝モーメントである。高さxは、床からの基準高さであり、力FAXは、接続部分5内でまたは下部の接続部分2に有効な軸方向力である。補助変数bの変化によって、前述のように、遊脚期中におよび立脚期中に各々の抵抗を連続的に調整し、かつ、今ある変化に適合させることが可能である。このことによって、自動的に検出される種々の機能、例えば、膝関節が意図なく曲がってしまうことを防止するために用いる立位保持機能を起動することが可能である。特定の場合には、この補助変数は、x=0の高さで、遊脚期を開始するために用いられる。
【0051】
開始に関する評価の際には、補助変数b(x=0)が、しきい値を上回ることのみならず、補助変数の傾向も用いることができる。かくして、後方歩行の際には、補助変数の逆のコース、すなわち、つま先からかかとへの力作用点の移動を想定することができる。この場合に、抵抗の減少がなされることは意図されない。
【0052】
図5は、横方向力または接線力Fが、如何にして、第4の補助変数cとして計算され、かつ、膝制御法のために用いられるかを略示する。接線力F従ってまた補助変数cも、膝モーメントMと踝モーメントMとの差と、膝モーメントセンサおよび踝モーメントセンサの間の距離lとの商から計算される。
【数3】
【0053】
補助変数cを介して、例えば、屈曲抵抗を、終末の立脚期において、斜面上の歩行の際に、補助変数の低下につれて、連続的に低下させることができる。その目的は、関節を、補助変数が最大値を上回る前より軽やかに往復揺動させることができるためである。
【0054】
図6には、遊脚期の開始を決定するために、補助変数を如何に用いるかが例示されている。上のグラフには、かかとの接地HS、および立脚期中に実質的に変わらない膝角度で始まって、前足の持ち上げの直前の時点TOにおいて膝を折り曲げるまでの、時間tの経過に伴う膝角度Kが描かれている。遊脚期中に、そのとき、膝角度Kは、該膝角度が、足の前方への運び後に、伸展停止まで再度0近くになって、かかとが新たに着地するまで、増加する。
【0055】
膝角度の図の下方には、時間tの経過とともに、図4に示す床反力ベクトルと下腿部軸との距離bの値が、基準高さx=0で示されている。補助変数bがしきい値THRESに達するや否や、このことは、制御のためには、例えば、前足が床を離れる直前に折れ曲がりを容易にするために屈曲抵抗を減じることによって、抵抗が遊脚期に適切であるように、抵抗を調整するための開始信号である。この場合、抵抗の減少は、突然にではなく、連続的になされることができる。同様に、補助変数bが再度変化し、予期せぬコースを通るときには、抵抗が適切に適合されること、例えば、抵抗が増加され、または膝関節がロックされさえすることも可能である。
【0056】
補助変数による機能の図示した制御のほかに、人工関節を制御するために複数の補助変数を用いることも可能である。その目的は、自然な動きへのより正確な適合を得るためである。更に、補装具または矯正具を制御するために、補助変数に直接には起因しない複数の他の要素またはパラメータを使用することができる。
【0057】
図7には、ダイアグラムで、特性パラメータすなわち膝モーメントM、出力Pおよび速度vの依存性が、人工関節の場合には、立脚期中の抵抗Rstanceに対して、例として描かれている。ここでは、人工膝関節に、抵抗手段およびアクチュエータが設けられている。該アクチュエータを介して、屈曲および/または伸展に対しなされる抵抗を変化させることができる。補装具のほかに、該補装具に対応して構成された矯正具も用いることができる。同様に、他の関節手段、例えば股関節または足関節が、使用範囲として可能である。抵抗手段では、通常、機械エネルギが熱エネルギに変換される。その目的は、大腿部分に相対する下腿部分の動きを制動減速させるためである。このようなことは、他の関節にも当てはまる。
【0058】
この場合、抵抗手段の温度は、立脚期中に消費される出力Pがどの程度大きいかに依存する。出力Pは、有効な膝モーメントMと、膝関節が屈曲される速度vとに依存する。該速度は、同様に、図示しない抵抗手段によって立脚期における各々の動きに対しなされる立脚期抵抗Rstanceに依存する。立脚期で、かかと接地後に、屈曲抵抗が、他の過程では、伸展運動の開始の際に、伸展抵抗が増加されるとき、複数の関節構成要素同士の移動速度従ってまた抵抗手段の移動速度も減少される。モーメントMの僅かな増加よりも強力である、速度vの減少によって、出力Pは、立脚期中に減少する。それ故に、変換されるエネルギは、出力Pの減少に応じて減少する。このことに対応して、冷却が変わらなくても、抵抗手段の、または温度がモニタされる構成要素の温度も減少する。
【0059】
図8には、遊脚期における抵抗RSWINGに対する前記特性パラメータの相関関係が図示されている。遊脚期中の抵抗Rの減少の際に、歩行速度v、膝モーメントM従ってまた消費される出力Pも減少する。それ故に、変換されるエネルギも減少される。このことに対応して、抵抗手段の温度も、遊脚期の抵抗の減少とともに、減少する。温度によって制御される立脚期制御および/または遊脚期制御は、上記補助変数による制御に加えて、または該制御とは別個になされることができる。
【0060】
図9は、上方のダイアグラムには、いわゆる「ヒールストライク」、すなわち、通常は膝関節の伸展の際に実行されるかかと接地で始まる、時間tの経過に伴う膝角度Kを示す。足部の着地の間には、膝関節の僅かな屈曲、いわゆる立脚期屈曲がなされる。その目的は、かかとの着地およびかかと接地を和らげるためである。足部が完全に着地された後に、膝関節は、いわゆる「膝カックン」まで、完全に伸展されている。膝カックンでは、膝関節が折れ曲げされる。その目的は、膝関節を前方動かし、かつ、前足によって移動するからである。「膝カックン」から始まって、膝角度Kは、遊脚期における最大限の膝角度まで増加する。その後、再度、屈曲された脚および義足足部が前方に運ばれる。その後、膝は伸展位置に移行し、再度、かかとが着地する。この膝角度曲線は、平面での歩行に典型的である。
【0061】
下方のグラフには、抵抗Rは、対応の膝角度に対応して、時間の経過とともに描かれている。このグラフからは、例えば温度によって誘発された温度変化に基づいて実行された、遊脚期および立脚期における抵抗の変化が如何に作用するかが、明らかである。伸展抵抗があるかまたは屈曲抵抗があるかは、膝関節挙動に依存する。膝角度Kの増加の際には、屈曲抵抗が作用し、膝角度の減少の際には、伸展抵抗が作用する。「ヒールストライク」後に、比較的高い屈曲抵抗が存在し、運動の反転後に、高い伸展抵抗が存在する。「ヒールストライク」の際に、抵抗が減少される。その目的は、膝の曲げおよび前方への運びを容易化するためである。このことによって、歩行が容易化される。「ヒールストライク」の際に抵抗が低下した後に、抵抗は、遊脚期の一部分に亘って、低レベルに保たれる。その目的は、義足足部の、後方への揺動を容易化するためである。揺動運動を余りに大きくしないために、膝角度の最大値に到達前に、屈曲抵抗が増加され、膝角度の最大値に到達および運動の反転の後に、伸展抵抗は、遊脚期の屈曲の低レベルに減少される。伸展抵抗の減少は、「ヒールストライク」の直前まで、遊脚期における伸展運動に亘って、保たれる。完全な伸展に達する直前に、抵抗は、新たに増加される。その目的は、伸展用ストッパへの強い打ち当てを回避するためである。義足足部の着地の際に、無制御の折れ曲がりに対する十分な安全性を得るために、屈曲抵抗も、高いレベルにある。
【0062】
破線で示されているように、屈曲抵抗が増加されるとき、膝角速度従ってまた補装具使用者の歩行も遅くなる。「ヒールストライク」後に、立脚期屈曲における比較的小さな屈曲および緩慢な伸展が続く。それ故に、より少ないエネルギが消費される。膝角度の最大値に到達する前の、屈曲抵抗の増加は、標準的な制御よりも余り顕著でない方法で、なされる。このことは、下向きの矢印によって示されている。このことによって、下腿部従ってまた義足足部が大きく揺動する。それ故に、複数の「ヒールストライク」の間の時間空間は、下腿部の揺動振幅が小さいときより、該振幅が大きいときに、大きくなる。遊脚期屈曲における屈曲抵抗の減少も、歩行速度の減少をもたらす。
【0063】
遊脚期の伸展の終わりに、すなわち、踏み出しおよび「ヒールストライク」の直前に、伸展の抵抗は、標準レベルに比較して減少される。従って、伸展抵抗が減少され、それ故に、下腿部分が、伸展抵抗の増加の場合より速く伸展に達することが意図されている。伸展への強い打ち当てを回避するために、補装具使用者は、よりゆっくりと歩く。それ故に、出力P従ってまた消費されるエネルギは減少する。「ヒールストライク」と「膝カックン」との間の立脚期中に、屈曲抵抗のみならず、伸展抵抗も増加することができる。その目的は、僅かな屈曲運動および伸展運動を遅くするためであり、従って、歩行速度を減少させるためである。
【0064】
図10では、上方の図に、斜面上での、ここでは、険しい斜面上での歩行の際の膝角度曲線が示されている。「ヒールストライク」後には、「ヒールストライク」が生じることなく、最大膝角度までの膝角度Kの連続的な増加がなされる。このことは、斜面上での歩行の際に、膝が、完全な伸展に達しないことに基づいている。最大膝角度に到達後に、新たな「ヒールストライク」を伴って生じる完全な伸展まで、膝および下腿部が迅速に前方へ運ばれる。この場合、屈曲抵抗は、更なる曲線に亘って、一貫して高いレベルに留まっており、次に、低下される。その目的は、膝の更なる折り曲げ従ってまた義足足部の持ち上げおよび往復揺動を可能にするためである。この往復揺動は、抵抗の最小値に到達した後に、膝角度の最大値に到達するまで、行なわれる。続いて、伸展抵抗は、該伸展抵抗が踏み出し直前で新たに始められるまで、低レベルに保たれる。
【0065】
抵抗手段の中で温度の上昇が存在するとき、立脚期において抵抗が増加される。その目的は、緩慢な歩行速度および緩慢な折り曲げを保証するためである。遊脚期における最大限の屈曲角度に到達した後には、義足足部を前方に運んだ後に、伸展抵抗は、通常の機能と比較して減少される。このことは、同様に、消費されるエネルギの減少をもたらす。
【0066】
患者が前方に移動してなる通常の運動状況のほかに、毎日の移動パターンでは、多くの異なった状況がある。これらの状況への反応が、適切な制御によってなされるほうがよい。
【0067】
図11には、通常は前進の際に遊脚期が開始されてなる状況にある補装具が示されている。患者は、この状況の中で、まだ前足で立っており、次に、膝も曲がるように、股関節を曲げたいのだ。しかし、後進の際でも、患者は、同じ状況に入る。立っている状態から出発して、後方歩行の際には、治療された脚、ここでは補装具が、後方へ、すなわち装具補使用者の通常の視線の方向と逆方向に運ばれる。このことによって、重力ベクトルgで示されている重力方向に対する下腿部分2の慣性角度αは、まずは、義足足部3が床の上に着地されるまで、増加することが生じる。移動のための回転点または軸点として、および増加する慣性角度αを決定するために、ここでは、股関節が想定される。下腿部分2の縦方向延在または長手方向軸は、人工膝関節4の回動軸を通って、好ましくは同様に、足関節の回動軸を通って、しかし、義足足部3と下腿部分2との間の接続箇所の中心を通って延びている。下腿部分2の慣性角度αを、下腿部分2に設けられたセンサによって決定することができる。この代わりに、慣性角度を、大腿部分1に設けられたセンサと、大腿部分1と下腿部分2との間の角度を検出する膝角度センサとによって決定することができる。
【0068】
慣性角度速度を決定するために、ジャイロスコープを直接用いることができ、あるいは、慣性角度αの経時変化が決定される。この変化は、角速度の数値および方向によって算出されることができる。今や、所定の慣性角度αおよび所定の慣性角速度ωが存するときに、遊脚期が導入されるのは、慣性角速度ωが所定のしきい値を上回る場合である。減少する慣性角度αが、更に、前足の負荷も存在するとき、後方歩行を推定することができる。それ故に、遊脚期の屈曲を導入しないように、屈曲抵抗は減少されず、維持または増大される。
【0069】
図12には、補装具が、床に平らに着地された状態で示されている。図は、膝モーメントの、膝角度の、および、使用された、符号の取り決めのために用いられる。ここでは、慣性角度αは、大腿部分1と下腿部分2との間の角度に対応する。人工膝関節4の関節軸を中心として、膝モーメントMが働く。遊脚期の開始は、他の判断基準によって、例えば、膝モーメントMが伸展している状態である、すなわち、プラスまたはゼロでなくてはならないことによって、膝角度αがほぼゼロであり、すなわち、膝が伸展されていることによって、および/または膝角速度がゼロまたは伸展している状態にあることによって、補完される。
【0070】
種々のパラメータおよびパラメータ相関を考慮するための的確な方法は、特性図の使用によって与えられている。特性図は、しきい値によってのみ制御される回路とは異なり、特性図の値の挙動または組み合わせによって適合された可変の抵抗を調整することを可能にする。この場合、上述した補助変数も使用することができる。
【0071】
図13には、調整される抵抗Rを決定するために設けられた、平面での歩行のための制御のための特性図が示されている。特性図は、抵抗Rと、膝角度Kと、膝レバーKとの間で規定されている。膝レバーKは、個々の成分の組み合わせから結果として生じる床反力と、膝軸との基準間隔であり、図2に記述されたように、有効な軸方向力による有効な膝モーメントの除算によって計算されることができる。そこには、膝レバーは、補助変数a−しかし逆の符号を有することもある−として記述された。抵抗Rの最大値として、関節、ここでは膝関節を、構成要素の破壊なしに曲げることができないか、曲げても非常に緩慢であってなる値が想定される。膝レバーK=−aが、初期増加後に、ゼロに行こうとし、平面での歩行に典型的なように、下腿部が著しく後方に傾動されたときに、屈曲抵抗Rは、基礎屈曲抵抗から始まって、例えば15°の、または15°より僅かに下の最大の立脚期屈曲角まで、増加され、膝角度の増加につれて、ブロッキング抵抗Rblockが生じるまで、増加される。かような曲線は、通常の立脚期屈曲曲線RSFとして、図13に示されている。従って、抵抗手段は、平面での歩行中の立脚期屈曲の際の折り曲げを制限する。しかしながら、膝レバーKが増加するとき、屈曲抵抗は余り増加されない。この挙動は、例えば、斜面上の後進または制動過程に対応し、RRAMPで描かれている。特性図によって、平面での歩行と斜面上の歩行との間の連続的な移行が可能となる。しきい値ではなく、連続的な特性図が用いられるとき、立脚期の進んだ段階でも、平面での歩行と斜面歩行との間の移行が可能である。
【0072】
図14には、斜面上の歩行中の、ここでは、坂下り中の時間tの経過に伴う、特性パラメータ、すなわち、膝角度K、接線力FTおよび屈曲抵抗Rが示されている。「ヒールストライク」後に、膝角度Kは、足部Tの持ち上げの時点まで、連続的に増加する。その後、膝角度Kは再度増加する。その目的は、足部を前方に置くことができるように、遊脚期において、下腿部分を大腿部分に近づけるためである。最大の膝角度Kに達した後に、下腿部分が前方へもたらされる。膝角度Kは、ゼロになるまで減少される。それ故に、脚は、再度、伸展された状態にある。該状態では、かかとは着地される。それ故に、新たな歩行サイクルが開始することができる。
【0073】
接線力Fまたは横方向力は、「ヒールストライク」後に、マイナスの値を得、足部の完全な着地後に、ゼロ交差を被り、次に、足部の持ち上げ直前に、最大値へ上昇する。時点Tでの足部の持ち上げ後に、横方向力Fは、新たな「ヒールストライク」までゼロである。
【0074】
屈曲抵抗Rの挙動は、横方向力Fの最大値まで、ほぼ一定であり、かつ非常に高い。その目的は、患者への負荷が軽減され、患者が、可動の人工膝の揺動を、保持された側によって、補償される必要がないように、坂下りの際に屈曲方向に作用する力を妨げるためである。足部の持ち上げの前に存在する最大の横方向力に達した後に、屈曲抵抗Rが、接線力によって連続的に減少される。その目的は、膝関節の容易化された折り曲げを可能にするためである。時点Tで義足足部を持ち上げた後に、屈曲抵抗Rは最小値を有する。その目的は、下腿部は、再度、僅かに後方に揺動することができるためである。下腿部分が前方に運ばれるとき、伸展抵抗が作用する。該伸展抵抗は、完全を期するために、このダイアグラムには共に書き込まれている。膝角度が減少する際には、抵抗Rは、伸展抵抗として形成されている。該伸展抵抗は、新たな着地の直前に、すなわち、新たな「ヒールストライク」の直前に最大値に増加される。その目的は、膝関節が、無制動のまま、伸展停止に移動されないように、伸展制動を提供するためである。伸展抵抗は、高い値に増加される。その目的は、必要な、有効な屈曲抵抗を、「ヒールストライク」の直後に、提供することができるためである。
【0075】
図15には、調整される抵抗Rと、異なった最大の横方向力との間の比率が示されている。ここでは、抵抗の減少は、横方向力の最小値に標準化される。このことによって、抵抗が、高い値から低い値へと低下され、他方、横方向力が、最大値からゼロの値になることが達成されることが意図される。従って、減少は、横方向力の最大値の高さに依存しない。減少は、立脚期抵抗から最小抵抗になり、他方、横方向力は最大値からゼロになる。横方向力が、万一、再度増加するときは、抵抗は再度増加される。すなわち、補装具使用者は、万一動きを中断するときは、関節に、再度より強く負荷をかけることができる。ここでも、僅かな往復揺動と再負荷との間の連続的な移行は、不連続的な切換基準が使用されることなく、可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 大腿部分
2 下腿部分
3 義足足部
4 関節
5 接続部分
a 距離
M 膝モーメント
Ax 軸方向力
GRF 床反力ベクトル
図1
図2
図3
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図15