(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678091
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】差し込み接続のための電気コンタクト
(51)【国際特許分類】
H01R 13/26 20060101AFI20150205BHJP
H01R 13/42 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
H01R13/26
H01R13/42 G
【請求項の数】10
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-543541(P2012-543541)
(86)(22)【出願日】2010年10月18日
(65)【公表番号】特表2013-513922(P2013-513922A)
(43)【公表日】2013年4月22日
(86)【国際出願番号】EP2010065616
(87)【国際公開番号】WO2011072909
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2012年6月15日
(31)【優先権主張番号】102009054705.3
(32)【優先日】2009年12月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング パーデ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター レーバイン
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04306761(US,A)
【文献】
特開平03−147282(JP,A)
【文献】
特開2002−134206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/24
H01R 13/26
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差し込み接続のための電気コンタクト(1)であって、
コンタクトケーシング(4)を有しており、当該コンタクトケーシング(4)はランス主要部(6)を有しており、当該ランス主要部(6)は、対向コネクタのコンタクトチャンバ内に差し込まれている前記コンタクト(1)を引きとめるために、当該コンタクトケーシング(4)上方へ、挿入方向(5)に対向して外側へ張り出しており、内側へと撓み、
当該ランス主要部(6)はランス自由端部(8)を有しており、当該ランス自由端部(8)は、外側へ張り出している、前記ランス主要部のランス部分(7)と比べて、内側へ引き戻されており、前記挿入方向(5)に対向して延在しており、
当該ランス自由端部(8)の外側には、前記コンタクトケーシング(4)のケーシングストッパー(9)が設けられている電気コンタクトにおいて、
前記ランス自由端部(8)には内側の屈曲脚部(10)が設けられており、当該内側の屈曲脚部(10)は、外側へ張り出している前記ランス部分(7)から、前記電気コンタクト(1)の長手軸に対して直角に内側へ折り曲げられており、ここで外側へ張り出している前記ランス部分(7)から内側の屈曲脚部(10)への移行部(12)は所定の半径で丸められており、
前記ランス主要部(6)のランス固定端部(13)が、相互に重なり且つ溶着されている、前記コンタクトケーシング(4)の2つの薄板層(15)によって構成されている、
ことを特徴する電気コンタクト。
【請求項2】
前記ランス自由端部(8)は、前記ケーシングストッパー(9)に当接している、請求項1記載の電気コンタクト。
【請求項3】
前記ランス自由端部(8)には外側の屈曲脚部(11)が設けられており、前記外側の屈曲脚部(11)は、前記挿入方向(5)に対向して延在している、請求項1または2記載の電気コンタクト。
【請求項4】
前記ケーシングストッパー(9)は、前記コンタクトケーシング(4)の折り曲げられている折返しによって形成されており、当該折返しの自由端部は挿入方向(5)に延在している、請求項1から3までのいずれか1項記載の電気コンタクト。
【請求項5】
前記折返しの自由端部は、付加的にコンタクトケーシング(4)に固定されている、請求項4記載の電気コンタクト。
【請求項6】
前記ケーシングストッパー(9)は自身の固定端部で、外側へ折り曲げられているU字状の部分(16)を有しており、当該部分(16)は、前記対向コネクタのコンタクトチャンバ内に挿入されたコンタクト(1)のサブロック部分に対するストッパーとして構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の電気コンタクト。
【請求項7】
前記対向コネクタのコンタクト面(2)を電気的に接触接続させるために、コンタクトプレート(17)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の電気コンタクト。
【請求項8】
前記コンタクトプレート(17)は、前記ランス主要部(6)に対向する、コンタクトケーシング(4)のケーシング側で、前記対向コネクタのコンタクト面(2)を電気的に接触させるために前記コンタクトケーシング(4)から外側へ突出している、請求項7記載の電気コンタクト。
【請求項9】
前記コンタクトプレート(17)は、1つまたは2つの端部で、前記コンタクトケーシング(4)に導電性に固定されている、請求項7または8記載の電気コンタクト。
【請求項10】
プリント回路基板のコンタクト面の直接的な接触接続のための、請求項1記載の電気コンタクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載されている、差し込み接続のための電気コンタクトに基づく。これは殊に、プリント回路基板のコンタクト面を直接的に接続するためのものである。
【背景技術】
【0002】
電気的な差し込み接続は、自身の構成部分および自身のコネクタ部分を介して、例えば一方の電気線路と他方の電気線路の間、または電気線路と電気機器との間に、再び外すことが可能な電気接続を形成するために設けられている。線路の電気コンタクト(ケーブルハーネス側)と、制御機器(コンポーネント側)との間の差し込み接続においては、ランス主要部(Primaerlanze)が、線路の電気コンタクトを、コンポーネント側のケーブルハーネスコネクタのコンタクトチャンバ内で、寿命にわたって、確実に保持するために用いられる。
【0003】
図1aおよび1bは、プリント回路基板103のコンタクト面102を直接的に接触させるための、公知の電気コンタクト101を示している。この電気コンタクト101は、1つの薄板部分から1つの部分として湾曲されているコンタクトケーシング104を有している。このコンタクトケーシングは、差し込み方向105で、プリント回路基板103に設けられている対向コネクタ(図示されていない)のコンタクトチャンバ内に差し込まれる。コンタクトケーシング104は、差し込み方向105に対向して、外側へ張り出しており、内側へ撓むランス主要部106を有している。このランス主要部は、対向コネクタのコンタクトチャンバ内に差し込まれたコンタクト101を、コンタクトチャンバのアンダカット部で引き留める。ランス主要部106に対向する側で、コンタクトケーシング104は、外側へと突出しているコンタクトプレート117を、コンタクト面102の電気的な接触接続のために有している。
【0004】
しかし、このような公知の差し込み接続では、ランス主要部のケーブルハーネスコネクタのコンタクトチャンバ内の電気コンタクトの保持力が非常に小さく、負荷が過度に高い場合にはランス主要部が外へ押し出されてしまう、という問題が生じる。
【0005】
発明の利点
本発明では、ランス主要部の外側に、ケーシング隆起部が延在しており、これによって、ランス主要部はコンタクトケーシング(コンタクトボディ)において支えられる。従って負荷がかかっても、ランス主要部は容易に外へ押し出されない。コンタクトケーシングにおいてランス主要部がこのように覆われているので、ケーブルハーネスコネクタのコンタクトチャンバ内でのランス主要部の保持力が格段に高まる。より高いメイン保持力のために、付加的な構成部分は必要ない;コンタクトケーシングの薄板カッティングはこのケーシング隆起部によってより大きなコストにならず、付加的なコストを生じさせない。ランス主要部をケーシング隆起部に当接させることによって、ここでも電流が伝達される。ランス主要部領域での取付工による処理時にコンタクトがひっかかってしまうことも格段に低減される。
【0006】
ランス主要部の自由端部が常に鋭いエッジであり、コンタクトチャンバからの取り外し時にコンタクトがしばしばひっかかってしまう既知の電気コンタクトと比べて、本発明では、有利には、丸みを付けて湾曲されたランス自由端部によって、取り外し時に、ランス主要部がコンタクトチャンバ内にひっかかったままになってしまうことが阻止される。取り外し時にはランス主要部は、取り外し工具によって内側に押され、コンタクトは自身の電気線路で後方へ動かされ、このようにしてコンタクトチャンバから完全に外される。取り外しは例えば、ケーブル取付工が、電気コンタクトを誤ったコンタクトチャンバ内に挿入してしまい、コンタクトを正しいコンタクトチャンバ内に再び差し込み直さなければならない場合に必要である。シーリングまたはシーリングマットによる本発明の電気コンタクトの取り付けまたは取り外し時に、これはランス主要部によって損傷されず、ケーブルハーネスコネクタの密閉機能が保たれる。
【0007】
本発明の構成要件の別の利点および有利な構成を明細書、図および特許請求の範囲に記載する。
【0008】
以下で、本発明を、図面に極めて概略的に表された実施例に基づいて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1a】従来技術のプリント回路基板を直接的に接触接続させるための差し込み接続の電気コンタクトの斜視図
【
図1b】従来技術のプリント回路基板を直接的に接触接続させるための差し込み接続の電気コンタクトの長手方向断面図
【
図2】プリント回路基板を直接的に接触接続させるための、差し込み接続の本発明による電気コンタクトの長手方向断面図
【実施例】
【0010】
図2に示されている本発明の電気コンタクト1は、プリント回路基板3のコンタクト面2の直接的な接触接続に用いられる。
【0011】
電気コンタクト1は、1つの薄板部分から1つの部分として湾曲されたコンタクトケーシング(コンタクトボディ)4を有している。このコンタクトケーシングは、挿入方向5で、プリント回路基板3に設けられている対向コネクタ(図示されていない)のコンタクトチャンバ内に差し込まれる。
【0012】
コンタクトケーシング4は、挿入方向5に対向して外側へと張り出しており、内側へ撓むランス部分7を備えたランス主要部6を有しており、これによって、対向コネクタのコンタクトチャンバ内に挿入されたコンタクト1が、コンタクトチャンバのアンダカット部で、挿入方向5に対して引き留められる。ランス主要部6は、自由端部8を有している。この自由端部8は、ランス主要部対して外側へ張り出している、ランス主要部のランス部分7が内側に引き戻されたもので、挿入方向5に対向して延在している。この自由端部の外側には、コンタクトケーシング4のケーシングストッパー9が設けられており、ここで、場合によってはバイアスがかけられている。
【0013】
このランス自由端部8は直角を用いて、内側の
屈曲脚部10と外側の
屈曲脚部11とによって構成されている。この内側の
屈曲脚部は、外側に張り出しているランス部分7から内側へ、すなわちコンタクト1の長手軸に対して直角に折り曲げられており、外側の
屈曲脚部は挿入方向5に対向して延在している。移行部12が、外側へ張り出しているランス部分7から、内側の
屈曲脚部10へ向かって丸められている。ランス主要部6のランス固定端部13は、相互に重なっており、14で相互に溶接されている、コンタクトケーシング4の2つの薄板層15によって形成されている。すなわちランス主要部6は片側でコンタクトケーシング4と結合され、重ねられ、かつ溶接されている。角度を成しているランス自由端部8によって、ランス主要部6は再度、ここで支えられている。ケーシングストッパー9は、コンタクトケーシング4の折り曲げられている折返しによって形成されており、その自由端部は挿入方向5で挿入され、安定性を上げるためにコンタクトケーシング4に両側で溶着されている。この折返しに、外側の
屈曲脚部11で以てランス主要部6が当接している。ケーシングストッパー9は自身の自由端部に、U字状の、外側へ折り曲げられている部分16を有しており、これは、対向コネクタのコンタクトチャンバ内に挿入されるコンタクトのサブロック部(図示されていない)に対するストッパーとして設けられている。
【0014】
プリント回路基板3のコンタクト面2を電気的に接触させるために、コンタクトケーシング4の前方差し込み端部はU字状のコンタクトプレート17によって覆われている。このコンタクトプレートはコンタクトケーシング4に固定されており、ランス主要部6に対向するケーシング側で、外側へ、コンタクトケーシングから突出している。コンタクトプレート17は自身の2つの端部で、コンタクトケーシング4に導電性に溶着されている。
【0015】
コンタクトケーシング4はさらに、クリンプ部分18を有している。このクリンプ部分には電気コンタクト1の線路19が導電性に固定されている。
【0016】
ランス主要部6の外側にはケーシング隆起部9が延在しており、そこで支持されているので、ランス主要部6は負荷が大きい場合にも、外側へ押し出されない。ケーシング隆起部9でランス主要部6がこのこのように覆われているので、ケーブルハーネスコネクタのコンタクトチャンバ内でのランス主要部6の接着力が格段に高まる。ランス主要部6をケーシング隆起部9に当接させることによって、ここでも電流が伝達される。この電流はコンタクト面2上のコンタクトプレート17のコンタクト点から、コンタクトプレート17およびコンタクトケーシング4を通ってランス主要部6まで流れ、ここから、ケーシング隆起部9を介してさらに電気線路19へと流れる。