(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678114
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】感圧センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 1/20 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
G01L1/20 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-44948(P2013-44948)
(22)【出願日】2013年3月7日
(65)【公開番号】特開2014-173911(P2014-173911A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2013年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】川上 栄介
(72)【発明者】
【氏名】日野 誠二
【審査官】
續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−060798(JP,A)
【文献】
特開平08−122173(JP,A)
【文献】
特開2009−277455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の心線(1、1a)を撚り合わせた感圧センサ(P)であって、一方の心線(1a)は、導体(2)を導電性弾性体層(3)で被覆したのみのものであり、他の心線(1)は、導体(2)を導電性弾性体層(3)で被覆し、さらにその外周に絶縁編組(4)を設けたものであり、押圧されると、前記両心線(1、1a)の導電性弾性体層(3、3)が前記絶縁編組(4)内に食い込んで両導電性弾性体層(3、3)が導通することを特徴とする感圧センサ。
【請求項2】
上記2本の心線(1、1a)の撚り合わせピッチを変更することによって、感度を調節できることを特徴とする請求項1に記載の感圧センサ。
【請求項3】
上記2本の心線(1、1a)に加えて2本の絶縁心線(8)を撚り合わせ、その両絶縁心線(8、8)を押圧位置検知用としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の感圧センサ。
【請求項4】
上記心線(1、1a)又は上記心線(1、1a)と上記絶縁心線(8)を介在(5)を介して撚り合わせ、その外周面を樹脂被覆(7)したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感圧センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2本の心線を撚り合わせた感圧センサであって、加圧によって前記心線が短絡してその加圧状態を感知する感圧センサ(加圧センサ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガス(LNG)基地、工場又は大邸宅などでは、その施設(敷地)内への侵入者を防ぐ措置が講じられるようになってきている。この侵入者防止策としてその施設の周りに壁を設けたりするが、侵入者が入り込んだことを知る手段として、その壁にそって線状感圧センサを敷設し、その感圧センサを侵入者が踏むと、その踏み圧(押圧、加圧)を感圧センサが検知(感知)して報知するものがある。通常、この種の感圧センサは百メートル以上に亘って敷設される。
【0003】
その感圧センサP’として、例えば、
図6に示すように、可撓電気導体2の外周に、導電性弾性体層3、絶縁繊維糸の絶縁編組4を順々に設けた心線1をジュート等の介在5を介して撚り合わせ、その周りにテープ6を押え巻きした後、保護外被(シース)7を設けたものがある(特許文献1第2頁上右欄第4〜16行、第1図参照)。
この感圧センサP’は、その長さ方向を壁等に沿って敷設し、侵入者等によってその長さ方向の何れかの位置が踏み付け等によって押圧(加圧)されると、両心線1、1の導電性弾性体層3が絶縁編組4の隙間4aに食い込んで(食い入って)接触し、その接触によって両心線1、1の導体2、2が導通(短絡)し、その導通による警報ランプの点灯や鳴呼等によってその侵入を報知する。
【0004】
また、他の感圧センサとして、可撓電気導体の周上に、内側導電性弾性体層、絶縁繊維糸の絶縁編組、外側導電性弾性体層を順々に設け、その外側導電性弾性体層の外面に金属箔条を縦添えし、この周りに保護外被を設けた同軸タイプのものもある(特許文献2第2頁上右欄第4〜19行、第1図参照)。
この感圧センサも、上記感圧センサP’と同様に、その長さ方向を壁等に沿って敷設し、侵入者等によってその長さ方向の何れかの位置が踏み付け等によって押圧(加圧)されると、内外導電性弾性体層が絶縁編組の隙間に食い込んで接触し、その接触によって可撓電気導体と金属箔が導通し、その導通による警報ランプの点灯や鳴呼等によってその侵入を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平1−25463号公報
【特許文献2】実公平1−25462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の感圧センサP’は、
図6、
図7から理解できるように、両心線1、1の絶縁編組4、4が両導電性弾性体層3、3の間にあって、その間隙が大きく、また、両絶縁編組4、4が互いに交差した状態で重なるため、導電性弾性体層3の絶縁編組4の隙間4aへの食い込みによる接触が円滑ではなく、感度が低いものとなっていた。
また、両心線1、1が絶縁編組4、4を有することから、上記感圧センサP’は従来の絶縁編組を利用した同軸タイプの感圧センサ(特許文献2参照)に比べて外径が太くなるという問題があった。
一方、同軸タイプの感圧センサは、感度調整を行うためには、異なる編組密度の絶縁編組を用意する必要があるため、感度調整が難しいという問題がある。
【0007】
この発明は、上記実状の下、上記感圧センサP’において、その感度を高めること等を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、この発明は、一方の心線の絶縁編組によっても両心線導体の接触を防止し得る(絶縁し得る)ことに着目し、その両心線の一方の絶縁編組を除去することとしたのである。
絶縁編組が両心線の一方のみであれば、両心線の両導電性弾性体層間の距離は、両心線にそれぞれ絶縁編組がある場合に比べれば短くなるため、導電性弾性体層の絶縁編組の隙間への食い込みによる接触が円滑となって感度が高いものとなる。
また、絶縁編組が両心線の一方のみであるため、その絶縁編組がない分、この感圧センサは外径が細くなり、従来の同軸タイプとほぼ同一の外径にすることができる。
【0009】
この発明の構成としては、2本の心線を撚り合わせた感圧センサであって、一方の心線は導体を導電性弾性体層で被覆した
のみの(その導電性弾性体層の外周に絶縁編組を設けない)ものであり、他の心線は、導体を導電性弾性体層で被覆し、さらにその外周に絶縁編組を設けたものであり、押圧されると、前記両心線の導電性弾性体層が前記絶縁編組内に食い込んで両導電性弾性体層が導通する構成を採用することができる。
【0010】
この構成において、上記2本の心線の撚り合わせピッチを変更することで、その感度を調節することができる。具体的には、ピッチを短くすれば、押圧された際に、その押圧を支える支点の数(ピッチの節数)が増えるため、感度が鈍くなる。逆に、撚り合わせピッチを長くすればその押圧を支える支点の数(ピッチの節数)が減るため、感度が高くなる。
この点を考慮して、その両心線の撚り合わせピッチは、適切な感度を得ることができるように適宜に設定すれば良いが、例えば、下記表1に示すように、導電性弾性体層3にシリコンゴム(硬度:60)を用いてその厚さを0.8mm程度とし、絶縁編組4にテトロン糸を用いてその厚さを1.2mm程度とし、外径を11mm程度とした感圧センサの場合、その撚り合わせピッチを30mm〜80mmとする。ピッチが30mmより小さくなると、単位長さ当りの撚り合わせピッチの節数が多くなることで、検知対象物を支える個々の支点(節)にかかる押圧が小さくなるため、人の踏み圧等によって押圧されても感度が鈍く、感応しない場合が生じる。ピッチが80mmより大きくなると、その節間距離が検知対象物の幅(人の足幅)より大きくなるため、押圧位置によっては感応しない場合が生じる。なお、シリコンゴムの硬度は、JIS K6253デュロメータタイプAによる。
【0011】
また、両心線の導電性弾性体層の厚みも適切な感度を得ることができるように適宜に設定すれば良いが、例えば、下記表1に示すように、導電性弾性体層3にシリコンゴム(硬度:60)を用い、絶縁編組4にテトロン糸を用いてその厚さ1.2mm程度とし、外径を11mm程度とした感圧センサの場合、0.4〜1.2mmとする。0.4mmより小さくなると、人の踏み圧等によって押圧された際、導電性弾性体層の絶縁編組の隙間への食い込みが相対的に小さく、両導電性弾性体層同士が接触しにくくなるため、感度が鈍くなる。1.2mmより大きくなると、導電性弾性体層の絶縁編組の隙間への食い込みが大きくなりすぎて、両導電性弾性体層同士が接触しやすくなり、誤動作の原因となる。
【0012】
さらに、この構成の感圧センサは、上記2本の心線に加えて2本の絶縁心線を撚り合わせ、その両絶縁心線でもって押圧位置検知用とすることができる。
以上の各構成の感圧センサは、2本の心線を又はその2本の心線に加えて2本の絶縁心線が露出した状態でも良いが、防水性、耐薬品性等の面から、その各心線を介在を介して撚り合わせ、その外周面を樹脂被覆したものとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、以上のように構成したので、感度のよい感圧センサを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明に係る感圧センサPの一実施形態を
図1に示し、この実施形態の感圧センサPは、
図6に示した感圧センサP’において、一方の心線1の絶縁編組4を省略したものである。すなわち、
図1に示すように、2本の心線の一方1aは導体2を導電性弾性体層3で被覆したのみのもの、他方の心線1は従来と同様に導体2を導電性弾性体層3で被覆し、さらにその外周に絶縁編組4を設けたものとし、この2本の心線1、1aを、従来と同様にして介在5を介して撚り合わせ、その周りにテープ6を押え巻きした後、樹脂被覆(保護外被)7を設けた感圧センサPである。
この感圧センサPは、その長さ方向の何れかが踏み付け等によって押圧されると、その押圧によって両心線1、1aの導電性弾性体層3、3が絶縁編組4の隙間4a内に食込んで両導電性弾性体層3、3が導通する。この導通による信号でもって警報ランプの点灯や鳴呼等によってその押圧を報知する。
【0016】
図2、
図3には、他の各実施形態の感圧センサP
1、P
2を示し、
図2の圧力センサP
1は、可撓電気導体8aの外周に絶縁樹脂被覆8bを設けた絶縁心線8を2本加え、その2本の絶縁心線8、8と上記心線1、1aを介在5を介して撚り合わせ、その周りにテープ6を押え巻きした後、樹脂被覆7を設けたものである。
図3の感圧センサP2は、その絶縁心線8を1本としたものである。
【0017】
この絶縁心線8を加えた感圧センサP1、P2の押圧位置検知は、例えば、実開昭63−57547号公報、特許第2668447号公報、特開2002−277341号公報、特開2003−114161号公報等に記載の従来公知の種々の検出回路でもって検出する。
【0018】
下記表1の組成でもって、
図1に示す実施例の感圧センサPと
図6に示す従来例の感圧センサP’を製作した。その撚りピッチは、感圧センサPの層心径:4.6mmの約7倍の30mm、同約9倍の40mm、同約11倍の50mmとした。また、絶縁編組4は、250デニールのテトロン糸を4本撚り合わせたものを3本合わせて逆方向に撚ったものとした。
【0019】
この感圧センサP、P’を、
図4に示すように金属製受け板10上に載せて金属製加圧板11によって加圧(押圧)し、同図に示す検出回路でもってその押圧による感度特性を試験した。金属製加圧板10の幅は、人の踏み付け等によって押圧された場合を想定し、平均的な足幅の半分の長さ(40mm)に設定した。
その試験は、両心線1、1aの導体(電極)2、2の間の接触抵抗が200Ω以下となると、リレーが瞬時に動作し、その動作時の金属製加圧板11の加圧荷重を動作荷重として測定した。その動作荷重と撚りピッチとの関係を
図5に示す。
【0021】
また、
図1の感圧センサPにおいて、その心線1、1aの導電性弾性体層3の層厚を「0.8mm」、「0.6mm」とし、同一の試験方法によって、撚りピッチを「50mm」とした場合の動作荷重の試験結果を下記表2に示す。
【0023】
この
図5の試験結果から、本願に係る感圧センサPが従来の感圧センサP’に比べて、8〜13kgf程度、動作荷重が小さく、感度が高いことが理解できる。
また、
図5の試験結果から、そのピッチが短いほど、感度が鈍くなることが理解できる。
さらに、表2の試験結果から、導電性弾性体層3の層厚が薄くなれば、感度が低下することが理解できる。
【0024】
因みに、感圧センサPの感度は、上記撚りピッチのみならず、導電性弾性体層3の層厚や硬度、絶縁編組4の厚み、編組密度等によって変化させ得るため、実験等によって、所要の感度が得られるように、その層厚等を適宜に設定すれば良い。
【0025】
上記実施形態の感圧センサP、P1、P2は、心線1、1aが2本であって、少なくともその対の心線1、1aがあれば、実用的な感度を担保できる範囲において、さらに、心線1又は1aを適宜本数加えることができる。
また、上記試験例においては、絶縁編組4として、テトロン糸を使用したが、ナイロン糸、ポリエステル糸等の従来周知の材料を使用でき、介在5においても、ジュート以外に、紙紐やポリエステル紐等の従来周知の物を使用でき、さらに、樹脂被覆7も、塩化ビニル以外に、ウレタン、ポリエチレン等の従来周知の樹脂を使用できることは勿論である。
また、使用可能な範囲に於いて、介在5を介することなく又は介在を介して、各心線1、1a、8を寄りあわせた状態(樹脂被覆:シース7を外装しない状態)の感圧センサP、P
1、P
2とすることもできる。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0026】
1 絶縁編組4を設けた心線
1a 絶縁編組4を設けていない心線
2 可撓電気導体
3 導電性弾性体層
4 絶縁編組
5 ジュート介在
6 押え巻き(テープ)
7 樹脂被覆(シース)
8 絶縁心線
P、P
1、P
2 感圧センサ(圧力センサ)