【実施例】
【0051】
以下に示される実施例において、耐摩耗性および使用寿命について種々の繊維束を用いて試験を行う。結果は、当業者により理解されるように、本発明の束から構築されるロープにおいて見られる効果を示す。
【0052】
詳細には、耐摩耗性を実証するために磨耗速度を用いる。(本発明のフルオロポリマー繊維の組合せありおよびなしの)繊維束が破損するまでサイクル試験する一部の例により使用寿命を実証する。結果を破損に至るまでのサイクル数として報告する。試験のさらなる詳細を以下に提供する。
【0053】
試験方法
単位長さ当りの質量および引張強度測定
それぞれ個々の繊維の単位長さ当りの質量を、デンバーインスツルメンツ(Denver Instruments.Inc.)モデルAA160化学天秤を用いて、繊維の9m長試料の重さを測定し、グラム表示の質量を1000倍し、それによってデニール単位で結果を表すことにより測定した。例6aおよび6bを除いて、すべての引張試験を、ゲージ長さ350mmおよびクロスヘッド速度330mm/分を用いる空気ファイバーグリップを備えた引張試験機(USTER(登録商標)TENSORAPID4、スイス、ウスターのツエルベガーウスター(Zellweger Uster))を用いて周辺温度で行った。歪速度は、その結果、94.3%/分であった。例6aおよび6bに対して、引張試験を、再度ゲージ長さ350mmおよびクロスヘッド速度330mm/分を用いる空気U字型ファイバーグリップを備えたINSTRON5567引張試験機(マサチューセッツ州、カントン)を用いて周辺温度で行い、その結果、歪速度は94.3%/分であった。繊維の破断強度を意味するピーク力を記録した。4試料を試験し、それらの平均破断強度を計算した。g/dで表される個々の繊維試料の平均テナシティを、グラムで表される平均破断強度を個々の繊維のデニール値で割ることにより計算した。複合束または束群を試験する場合において、これら試料の平均テナシティを、複合束または束群の平均破断強度(単位グラム)を複合束または束群の長さ当りの質量値(デニール単位で表される)で割ることにより計算した。複合束または束群のデニール値を、試料の質量を測定することによるか、または試料の個々の成分のデニール値を合計することにより測定することができる。
【0054】
密度測定
繊維密度を以下の技術を用いて測定した。繊維体積を一定長さの繊維の平均厚さおよび幅の値から計算し、密度を繊維体積および繊維質量から計算した。2メートル長の繊維をA&D FR−300はかり上に置き、質量をグラム(C)で書き留めた。次に、繊維試料の厚さを、AMES(米国、マサチューセッツ州ウォルサム)モデルLG3600厚さゲージを用いて、繊維に沿って3点で測定した。繊維の幅を、また、ニューヨーク州、ガーデンシティーのエーレンライヒ・フォート・オプティカル(Ehrenreich Photo Optical Ind.Inc.)から市販されているLP−6形状プロジェクター(Profile Projector)を用いて同じ繊維試料に沿って3点で測定した。次に、厚さおよび幅の平均値を計算し、繊維試料の体積(D)を決定した。繊維試料の密度を以下のように計算した:繊維試料密度(g/cc)=C/D。
【0055】
耐摩耗性測定
磨耗試験の出典は、ASTM規格試験法、Wet and Dry Yarn−on−Yarn Abrasion Resistance(Designation D6611−00)である。この試験法を、ロープの構築において、特に海環境での使用を意図したロープにおいて用いられる糸の試験に適用する。
【0056】
垂直枠24上に配置される3組のプーリ21、22、23を有する試験装置を
図2に示す。プーリ21、22、23は22.5mm径であった。上部プーリ21、23の中心線を140mm離した。下部プーリ22の中心線は、上部プーリ21、23中心線を結ぶ水平線下254mmにあった。モーター25およびクランク26を
図2に示すように位置付けた。ブッシング28を通してモーター駆動クランク26により駆動される延長ロッド27を、ロッド27が各サイクルの間前後に動く際に、試験試料30を距離50.8mm移動させるように用いた。サイクルは前進および後退ストロークを含んだ。デジタルカウンタ(示されていない)はサイクル数を記録した。クランク速度は65〜100サイクル/分の範囲内で調整可能であった。
【0057】
(中に種々の重さを追加できるプラスチック容器の形態にある)おもり31を、試験試料30の平均破断強度の1.5%に相当する規定された張力をかけるために、試料30の一端に結びつけた。張力がかからない間、
図2に従って、第3プーリ23の上、第2プーリ22の下、次に第1プーリ21の上に試料30を通した。次に、図に示されるようにおもり31を吊るすことにより、試料30に張力をかけた。次に、モータークランク26に取り付けられた延長ロッド27に、試料30の他端を貼付した。ロッド27は、あらかじめストロークの最高点に位置させてあり、それによって、張力を提供するおもり31を試験前に最大高さに確実に位置させた。最大高さは、一般的に、第3プーリ23の中心線下6〜8cmであった。試験中の滑りを防ぐために、繊維試料30を、延長ロッド27およびおもり31にしっかりと確実に取り付けるように気を付けた。
【0058】
次に、なお張力下の間、第2の低いプーリ22から試験試料30を注意深く外した。約27mm径のシリンダ(示されていない)を、試料30により形成されるクレードル(cradle)の中に置き、次に、試料30に半巻きをもたらすために右に180°回転させた。シリンダをさらに180°右に回転させて完全な360°巻きを完成させた。望ましい巻き数を達成するまで180°増分の撚りを続けた。次に、試料30がなお張力下にある間に、シリンダを注意深く取り外し、試料30を第2プーリ22周りに戻した。一例として、繊維試料30に対する3完全巻き(3x360°)を
図3に示す。巻いている間の撚り方向からの唯一のずれは、撚りマルチフィラメントである試料のケースにおいて起こるであろう。この場合に、この撚り方向の向きは、マルチフィラメント繊維の固有の撚りと同じ方向にあらねばならない。
【0059】
試験試料がフルオロポリマーの少なくとも1つの繊維を含む2以上の個々の繊維からなる試験において、以下の修正手順を続けた。試験試料をおもりに固定した後、(複数の)フルオロポリマー繊維を、撚ることなく他の繊維の隣に平行して置いた。特記のない限り、(複数の)フルオロポリマー繊維を、常に作業者の最も近くに置いた。繊維を巻くためのその後の手順は、その他の点で、上で概説したものと同じであった。
【0060】
一旦試験設定が完了すると、サイクルカウンタをゼロにセットし、クランク速度を望ましい速度に調整し、ギアモータを始動した。望ましいサイクル数を達成した後、ギアモータを停止し、磨耗した試験試料をおもりおよび延長ロッドから取り外した。各試験を4回行った。
【0061】
次に、磨耗した試験試料について破断強度に関する引張試験を行い、結果を平均した。繊維または複合束試料の平均破断強度値および単位長当りの全体質量値を用いて、平均テナシティを計算した。
【0062】
1つの例において、繊維または複合束が適用張力下で完全に破断されるまで、磨耗試験を続けた。サイクル数を試料破損までのサイクル数として記録した。この例においては、3試料を試験して破損までの平均サイクル数を計算した。
【0063】
デニール試験:
繊維デニールを、デンバーインスツルメンツのモデルAA160化学天秤を用いて、繊維の9m長試料の重さを測定し、グラム表示の質量を1000倍することにより決定した。
【0064】
繊維引張試験およびテナシティ計算:
ゲージ長さ350mmおよびクロスヘッド速度330mm/分を用いる空気ファイバーグリップを備えた引張試験機(USTER(登録商標)TENSORAPID4、スイス、ウスターのツエルベガーウスター)を用いて周辺温度で、試験を行った。繊維の破断強度を意味するピーク力を記録した。4試料を試験し、それらの平均破断強度を計算した。g/dで表される個々の繊維試料の平均テナシティを、グラムで表される平均破断強度を個々の繊維のデニール値で割ることにより計算した。
【0065】
ロープ引張試験:
撚られた対照ロープ用の破断強度試験を、水圧引張試験機を用いて行った。3つの試料について、連続して2インチ/分クロスヘッド速度で20,000ポンドに5回、試料をあらかじめ処理した後、2.15インチ/分伸長速度を用いて破断試験を行った。試料ゲージ長は128インチ長であった。試料をスプライスにより継いだ。報告する破断強度は3つの試験片に対する平均値である。
【0066】
組紐試料の破断強度を、水圧引張試験機を用いて試験した。各ロープの3つの試料を、10秒間にわたり10回破断荷重の半分にサイクリングした後、10インチ/分伸長速度を用いて試験した。破断試験用の試料を、2インチピンと埋込尾部を有する13インチの二重縫いスプライスを用いて固定し、それらは平均して200インチ長であった。報告する破断強度は3つの試験片の平均値である。
【0067】
密度測定
繊維密度を以下の手法を用いて測定した。繊維体積を一定長さの繊維の平均厚さおよび幅の値から計算し、密度を繊維体積および繊維質量から計算した。2メートル長の繊維をA&D FR−300はかり上に置き、質量をグラム(C)で書き留めた。次に、繊維試料の厚さを、AMES(米国、マサチューセッツ州ウォルサム)モデルLG3600厚さゲージを用いて、繊維に沿って3点で測定した。繊維の幅を、また、ニューヨーク州、ガーデンシティーのエーレンライヒ・フォート・オプティカルから市販されているLP−6形状プロジェクターを用いて同じ繊維試料に沿って3点で測定した。次に、厚さおよび幅の平均値を計算し、繊維試料の体積(D)を決定した。繊維試料の密度を以下のように計算した:繊維試料密度(g/cc)=C/D。
【0068】
例1
単一ePTFE繊維を、単一液晶ポリマー(LCP)繊維(Vectran(登録商標)、ノースカロライナ州、シャーロットのセラニーズアセテート(Celanese Acetate LLC))と組み合わせ、前述の磨耗試験にかけた。この試験からの結果を、単一LCP繊維の試験からの結果と比較した。
【0069】
ePTFEモノフィラメント繊維を入手した(HT400d Rastex(登録商標)繊維、メリーランド州、エルクトンのW.L.ゴア・アンド・アソーシエーツ(W.L.Gore and Associates,Inc.))。この繊維は以下の特性を有した:単位長当り質量425d、破断力2.29kg、テナシティ5.38g/d、および密度1.78g/cc。LCP繊維は1567dの単位長当り質量、34.55kgの破断力、および22.0g/dのテナシティを有した。
【0070】
2種類の繊維を、それらが相互に隣接するようにそれらを単に保持することにより組み合わせた。すなわち、撚りまたは他の巻き込み手段を全く適用しなかった。組み合わせた時のこれら2つの繊維の質量%は、LCP79%、ePTFE21%であった。複合束の単位長当りの質量は、1992dであった。複合束の破断力は、33.87kgであった。複合束のテナシティは、17.0g/dであった。LCPへの単一ePTFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+27%、−2%、および−23%分変えた。ePTFEモノフィラメント繊維の付加に関連する破断力の減少が、繊維強度のばらつきのせいであったことに注意する。
【0071】
これらの繊維特性、ならびに例2〜8において用いられるすべての繊維の特性を表1に示す。
【0072】
単一LCP繊維について、前述の手順に従って耐摩耗性の試験を行った。5回の完全巻きを繊維に適用した。張力518g(これはLCP繊維の破断力の1.5%に相当した)下、100サイクル/分で試験を行った。
【0073】
単一LCP繊維およびePTFEモノフィラメント繊維の複合束について、また、同じやり方で耐摩耗性の試験を行った。5回の完全巻きを複合束に適用した。100サイクル/分、張力508g(これは繊維組合せの破断力の1.5%に相当した)下で試験を行った。
【0074】
磨耗試験を1500サイクル走らせ、その点から後、試験試料についてそれらの破断力を測定するために引張試験を行った。複合束およびLCP繊維は、それぞれ、磨耗後26.38kgおよび13.21kgの破断力を示した。単一LCP繊維への単一PTFEモノフィラメント繊維の付加は、磨耗後破断力を100%分増大させた。従って、単一ePTFEモノフィラメント繊維の付加は、試験前に−2%分破断力を変え、磨耗試験が完了すると、100%分高い破断力をもたらした。
【0075】
破断力の減少を、磨耗試験の終わりでの破断強度と初期破断強度との商により計算した。磨耗速度を、試料の破断力の減少と磨耗試験サイクル数との商として計算した。LCP繊維単独、およびLCP繊維とePTFEモノフィラメント繊維の複合材料に対する磨耗速度は、それぞれ、14.2g/サイクルおよび5.0g/サイクルであった。
【0076】
この例に対する試験条件および試験結果、ならびに他の例のすべて(例2〜8)に対する試験条件および試験結果は、それぞれ表2および3に載せられる。
【0077】
例2A
単一ePTFEモノフィラメント繊維を、単一超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維(Dyneema(登録商標)繊維、オランダ、ヘレーンのDSM)と組み合わせた。前述のように磨耗試験を行った。複合束試験結果を、単一UHMWPE繊維の試験からの結果と比較した。
【0078】
例1において作製され記載されたePTFEモノフィラメント繊維を入手した。二種類の繊維を、それらが相互に隣接するようにそれらを簡単に保持することにより組み合わせた。すなわち、撚りまたは他の巻き込み手段を全く適用しなかった。組み合わせた時のこれら2つの繊維の質量%は、UHMWPE79%、ePTFE21%であった。UHMWPEおよび複合束の単位長当りの質量は、それぞれ、1581dおよび2006dであった。UHMWPEおよび複合束の破断力は、それぞれ、50.80kgおよび51.67kgであった。UHMWPEおよび複合束のテナシティは、それぞれ、32.1g/dおよび25.7g/dであった。UHMWPE繊維へのePTFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+27%、+2%、および−20%分変えた。
【0079】
単一UHMWPE繊維について、前述の手順に従って耐摩耗性の試験を行った。3回の完全巻きを繊維に適用した。張力762g(これはUHMWPE繊維の破断力の1.5%に相当した)下、65サイクル/分で試験を行った。
【0080】
UHMWPE繊維およびePTFEモノフィラメント繊維の組合せについて、また同じやり方で耐摩耗性の試験を行った。3回の完全巻きを繊維の組合せに適用した。65サイクル/分、張力775g(これは繊維組合せの破断力の1.5%に相当した)下で試験を行った。
【0081】
磨耗試験を500サイクル走らせ、その点から後、試験試料についてそれらの破断力を測定するために引張試験を行った。複合束およびUHMWPE繊維は、それぞれ、磨耗後42.29kgおよび10.90kgの破断力を示した。UHMWPE繊維へのePTFEモノフィラメント繊維の付加は、磨耗後破断力を288%分増大させた。従って、単一ePTFE繊維の付加は、試験前に2%分破断力を増大させ、磨耗試験が完了すると、288%分高い破断力をもたらした。UHMWPE繊維単独、およびUHMWPE繊維とePTFEモノフィラメント繊維の複合材料に対する磨耗速度は、それぞれ、79.8g/サイクルおよび18.8g/サイクルであった。
【0082】
例2B
ePTFE繊維とUHMWPE繊維の組合せを作り出し、この場合にePTFE繊維がマルチフィラメント繊維であることを除いて、例2aに記載されるように試験を行った。ピン歯車を用いて400dのePTFEモノフィラメント繊維を引っ張ってマルチフィラメントePTFE繊維を作り出した。マルチフィラメント繊維は以下の特性を有した:単位長当り質量405d、破断力1.18kg、テナシティ2.90g/d、および密度0.72g/cc。
【0083】
例2aにおいて記載されるように、1つのマルチフィラメントePTFE繊維を1つのUHMWPE繊維と組み合わせた。UHMWPE繊維に対する特性および試験結果は例2aに示されている。複合束は、UHMWPE80質量%およびePTFE20質量%からなった。
【0084】
複合束の単位長当りの質量は1986dであった。複合束の破断力は50.35kgであった。複合束のテナシティは25.4g/dであった。UHMWPE繊維へのePTFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+26%、−1%、および−21%分変えた。
【0085】
UHMWPE繊維とePTFEマルチフィラメント繊維の組合せについて、例2aにおけるように、3回の完全巻きおよび65サイクル/分を用いて張力755g(これは繊維組合せの破壊力の1.5%に相当した)下で耐摩耗性の試験を行った。磨耗試験を再度500サイクル分走らせた。複合ePTFE−UHMWPE束に対する磨耗後の破断力は41.37kgであった。UHMWPE繊維へのePTFEマルチフィラメント繊維の付加は、磨耗後破断力を280%分増大させた。従って、単一ePTFE繊維の付加は、試験前に−1%分破断力を変え、磨耗試験が完了すると、280%分高い破断力をもたらした。複合束に対する磨耗速度は18.0g/サイクルであった。
【0086】
例3
ePTFEモノフィラメント繊維を、撚りパラアラミド繊維(Kevlar(登録商標)繊維、デラウェア州、ウイルミントンのデュポン(E.I.DuPont deNemours,Inc.))と組み合わせ、磨耗試験にかけた。この試験からの結果を、単一パラアラミド繊維の試験からの結果と比較した。
【0087】
ePTFEモノフィラメント繊維は、例1に記載されるものと同じであった。ePTFEモノフィラメント繊維に対する特性および試験結果は、例1に示されている。パラアラミド繊維は、2027dの単位長当り質量、40.36kgの破断力、および19.9g/dのテナシティを有した。
【0088】
例1において記載されるように2種類の繊維を組み合わせ、パラアラミド83質量%およびePTFEモノフィラメント17質量%からなる複合束を生成した。複合束の単位長当りの質量は2452dであった。複合束の破断力は40.41kgであった。複合束のテナシティは16.7g/dであった。パラアラミドへの単一ePTFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+21%、+0%、および−16%分変えた。
【0089】
単一パラアラミド繊維について、前述の手順に従って耐摩耗性の試験を行った。パラアラミド繊維の撚りのせいで、巻き方向が、パラアラミド繊維の固有の撚りと同じ方向であって、この場合は他の例の逆であったことに注意すべきである。3回の完全巻きを繊維に適用した。張力605g(これはパラアラミド繊維の破断力の1.5%に相当した)下、65サイクル/分で試験を行った。
【0090】
パラアラミド繊維とePTFEモノフィラメント繊維の組合せについて、また同じやり方で耐摩耗性の試験を行った。3回の完全巻きを繊維の組合せに適用した。65サイクル/分、張力606g(これは繊維組合せの破壊力の1.5%に相当した)下で試験を行った。
【0091】
磨耗試験を400サイクル走らせ、その点から後、試験試料についてそれらの破断力を測定するために引張試験を行った。複合束およびパラアラミド繊維は、それぞれ、磨耗後17.40kgおよび9.29kgの破断力を示した。パラアラミド繊維へのePTFEモノフィラメント繊維の付加は、磨耗後破断力を87%分増大させた。従って、単一ePTFE繊維の付加は、試験前に0%分破断力を増大させ、磨耗試験が完了すると、87%分高い破断力をもたらした。パラアラミド繊維単独、およびパラアラミド繊維とePTFEモノフィラメント繊維の複合材料に対する磨耗速度は、それぞれ、77.7g/サイクルおよび57.5g/サイクルであった。
【0092】
例4
単一グラファイト充填ePTFE繊維を、単一超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維(Dyneema(登録商標)繊維)と組み合わせ、磨耗試験にかけた。この試験からの結果を、単一UHMWPE繊維の試験からの結果と比較した。
【0093】
グラファイト充填ePTFEモノフィラメント繊維を、マイナー(Minor)らに対する米国特許第5,262,234号明細書の教示に従って作製した。この繊維は以下の特性を有した:単位長当り質量475d、破断力0.98kg、テナシティ2.07g/d、および密度0.94g/cc。UHMWPE繊維に対する特性および試験結果は例2aに示されている。
【0094】
例1におけるものと同じやり方で、二種類の繊維を組み合わせた。組み合わせた時のこれら2つの繊維の質量%は、UHMWPE77%およびグラファイト充填ePTFE23%であった。UHMWPEおよび複合束の単位長当りの質量は、それぞれ、1581dおよび2056dであった。複合束の破断力は49.35kgであった。複合束のテナシティは24.0g/dであった。UHMWPE繊維へのグラファイト充填ePTFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+30%、−3%、および−25%分変えた。
【0095】
UHMWPE繊維とグラファイト充填ePTFEモノフィラメント繊維の組合せについて、耐摩耗性の試験を行った。3回の完全巻きを繊維の組合せに適用した。65サイクル/分、張力740g(これは繊維組合せ破断力の1.5%に相当した)下で試験を行った。UHMWPE繊維に対する磨耗試験結果は例2aに示されている。
【0096】
磨耗試験を500サイクル走らせ、その点から後、試験試料についてそれらの破断力を測定するために引張試験を行った。複合束は、磨耗後36.73kgの破断力を示した。UHMWPE繊維へのグラファイト充填モノフィラメントePTFEの付加は、磨耗後破断力を237%分増大させた。従って、ePTFEモノフィラメント繊維の付加は、試験前に−3%分破断力を変え、磨耗試験が完了すると、237%分高い破断力をもたらした。単一UHMWPE繊維単独、および単一UHMWPE繊維と単一グラファイト充填ePTFEモノフィラメント繊維の複合束に対する磨耗速度は、それぞれ、79.8g/サイクルおよび25.2g/サイクルであった。
【0097】
例5
3種類の繊維、UHMWPE、LCP、およびePTFEモノフィラメント繊維を組み合わせて複合束を形成した。これらの繊維は例1および2aにおいて報告されるものと同じ特性を有する。それぞれの種類の繊維のストランド数および質量%は以下のとおりであった:UHMWPEに対して1および40%、LCPに対して1および39%、およびePTFEモノフィラメントに対して2および21%。
【0098】
この複合束、ならびにUHMWPEおよびLCP繊維のそれぞれ1つのストランドを含む複合束に対する引張および磨耗試験を行った。2繊維型および3繊維型構造体に対する長さ当り質量、破断力、およびテナシティは、それぞれ、3148dおよび3998d、73.64kgおよび75.09kg、ならびに23.4g/dおよび18.8g/dであった。
【0099】
磨耗試験条件は、この試験が一定数のサイクルに達した時に終わるのではなく、試料が破損するとすぐに終わり、かつ各構造体に対して3回(4回ではない)試験を行うことを除いて、前述のものと同じであった。磨耗試験機の中で繊維を以下のやり方で並べて置いた:LCP繊維、PTFE繊維、UHMWPE繊維、PTFE繊維で、LCP繊維を作業者から最も遠くに置き、PTFE繊維を作業者に最も近く置いた。破損を複合束の全破壊として定義した。磨耗試験に対して、4回の完全巻きを複合束に適用した。試験を65サイクル/分で行った。適用張力は、UHMWPEとLCP繊維のみの複合材料に対して1105gであり、全てを含む3繊維型の複合材料に対しては1126gであった。両方の試験における張力は繊維組合せ破断力の1.5%に相当した。
【0100】
破損に至る平均サイクル数を3回の磨耗試験結果から計算した。UHMWPEとLCP繊維のみの複合束に対して1263サイクルで破損が起こると共に、全てを含む3繊維型の複合束に対して2761サイクルで破損が起こった。
【0101】
1つのUHMWPE繊維と1つのLCP繊維の組合せへのePTFEモノフィラメント繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+27%、+2%、および−20%分変えた。ePTFE繊維の付加は、破損へのサイクル数を+119%分増大させた。
【0102】
例6
例2aにおいて記載される方法および繊維を用いて、2つの追加複合束を構築した。これら2つの複合束を、ePTFEモノフィラメントおよびUHMWPE繊維成分の質量%が異なる2種類となるよう設計した。
【0103】
6a)
単一ePTFE繊維を、3つのUHMWPE繊維と組み合わせ、磨耗試験にかけた。ePTFE繊維およびUHMWPE繊維の質量%は、それぞれ、8%および92%であった。3つのUHMWPE繊維および複合束の単位長当りの質量は、それぞれ、4743dおよび5168dであった。3つのUHMWPE繊維および複合束の破断力は、それぞれ、124.44kgおよび120.63kgであった。3つのUHMWPE繊維および複合束のテナシティは、それぞれ、26.2g/dおよび23.3g/dであった。3つのUHMWPE繊維へのePTFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+9%、−3%、および−11%分変えた。
【0104】
磨耗試験に対して、2回の完全巻きを試験試料に適用した。65サイクル/分で、および3つのUHMWPE繊維単独、および3つのUHMWPE繊維と単一ePTFE繊維の複合束に対して、それぞれ、1867gおよび1810gの張力(これらの張力は試験試料の破断力の1.5%に相当した)下で試験を行った。
【0105】
600サイクルにわたり磨耗試験を行い、その点から後、試験試料についてそれらの破断力を測定するために引張試験を行った。複合束および3つのUHMWPE繊維は、それぞれ、磨耗後99.07kgおよび23.90kgの破断力を示した。従って、3つのUHMWPE繊維への単一ePTFE繊維の付加は、試験前に−3%分破断力を変え、磨耗試験が完了すると、314%分高い破断力をもたらした。単一ePTFEモノフィラメント繊維なしおよびありでの3つのUHMWPE繊維の複合材料に対する磨耗速度は、それぞれ、167.6g/サイクルおよび35.9g/サイクルであった。
【0106】
6b)
5つのePTFE繊維を、3つのUHMWPE繊維と組み合わせ、磨耗試験にかけた。ePTFE繊維およびUHMWPE繊維の質量%は、それぞれ31%および69%であった。3つのUHMWPE繊維および複合束の単位長当りの質量は、それぞれ、4743dおよび6868dであった。3つのUHMWPE繊維および複合束の破断力は、それぞれ、124.44kgおよび122.53kgであった。3つのUHMWPE繊維および複合束のテナシティは、それぞれ、26.2g/dおよび19.0g/dであった。3つのUHMWPE繊維への5つのePTFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+45%、−2%、および−27%分変えた。
【0107】
磨耗試験に対して、2回の完全巻きを試験試料に適用した。65サイクル/分で、および3つのUHMWPE繊維単独、および3つのUHMWPE繊維と5つのePTFE繊維の複合材料に対して、それぞれ1867gおよび1838gの張力(これらの張力は試験試料の破断力の1.5%に相当した)下で試験を行った。
【0108】
600サイクルにわたり磨耗試験を行い、その点から後、試験試料についてそれらの破断力を測定するために引張試験を行った。複合束は、磨耗後100.49kgの破断力を示した。従って、5つのePTFE繊維の付加は、試験前に−2%分破断力を変え、磨耗試験が完了すると、320%分高い破断力をもたらした。5つのePTFEモノフィラメント繊維なしおよびありでの3つのUHMWPE繊維の複合材料に対する磨耗速度は、それぞれ、167.6g/サイクルおよび36.7g/サイクルであった。
【0109】
例7
例2aにおいて記載される方法およびUHMWPE繊維を用いて、別の複合束を構築した。この例において、より低い密度のePTFEモノフィラメント繊維を用いた。この繊維を米国特許第6,539,951号明細書の教示に従って製造すると共に、この繊維は以下の特性を有した:単位長当り質量973d、破断力2.22kg、テナシティ2.29g/d、および密度0.51g/cc。
【0110】
両方の種類の繊維の単一繊維を、例2において記載されるように組み合わせた。組み合わせた時のこれら2つの繊維の質量%は、UHMWPE62%、ePTFE38%であった。複合束の単位長当りの質量は2554dであった。複合束の破断力は49.26kgであった。複合束のテナシティは19.3g/dであった。UHMWPE繊維への単一PTFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+62%、−3%、および−40%分変えた。
【0111】
単一UHMWPE繊維の磨耗試験の試験方法および結果は、例2aに報告した。UHMWPE繊維と低密度ePTFEモノフィラメント繊維の複合材料についても、また、同じやり方で耐摩耗性試験を行った。3回の完全巻きを複合束に適用した。65サイクル/分、張力739g(これは繊維組合せ破断力の1.5%に相当した)下で試験を行った。
【0112】
磨耗試験を500サイクル走らせ、その点から後、試験試料についてそれらの破断力を測定するために引張試験を行った。複合束およびUHMWPE繊維は、それぞれ、磨耗後44.26kgおよび10.9kgの破断力を示した。従って、単一ePTFE繊維の付加は、試験前に−3%分破断力を変え、磨耗試験が完了すると、306%分高い破断力をもたらした。UHMWPE繊維単独、およびUHMWPE繊維と低密度ePTFEモノフィラメント繊維の複合束に対する磨耗速度は、それぞれ、79.80g/サイクルおよび10.00g/サイクルであった。
【0113】
例8
例2において記載される方法およびUHMWPE繊維を用いて、別の複合束を構築した。この例において、マトリクス−スパンPTFEマルチフィラメント繊維(デラウェア州、ウイルミントンのデュポン)を用いた。この繊維は以下の特性を有した:単位長当り質量407d、破断力0.64kg、テナシティ1.59g/d、および密度1.07g/cc。
【0114】
両方の種類の繊維の単一繊維を、例2において記載されるように組み合わせた。組み合わせた時のこれら2つの繊維の質量%は、UHMWPE80%、PTFE20%であった。複合束の単位長当りの質量は1988dであった。複合束の破断力は49.51kgであった。複合束のテナシティは24.9g/dであった。UHMWPE繊維への単一PTFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+26%、−2%、および−22%分変えた。
【0115】
単一UHMWPE繊維の磨耗試験の試験方法および結果は、例2aに報告した。UHMWPE繊維とPTFEマルチフィラメント繊維の複合束についても、また同じやり方で耐摩耗性試験を行った。3回の完全巻きを複合束に適用した。65サイクル/分、張力743g(これは繊維組合せ破断力の1.5%に相当した)下で試験を行った。
【0116】
磨耗試験を500サイクル行い、その点から後、試験試料についてそれらの破断力を測定するために引張試験を行った。複合束およびUHMWPE繊維は、それぞれ、磨耗後39.64kgおよび10.9kgの破断力を示した。従って、単一PTFE繊維の付加は、試験前に−2%分破断力を変え、磨耗試験が完了すると、264%分高い破断力をもたらした。UHMWPE繊維単独、およびUHMWPE繊維とPTFEマルチフィラメント繊維の複合束に対する磨耗速度は、それぞれ、79.80g/サイクルおよび19.74g/サイクルであった。
【0117】
例9
例2において記載される方法およびUHMWPE繊維を用いて、別の複合束を構築した。この例において、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)マルチフィラメントフルオロポリマー繊維(デラウェア州、ウイルミントンのデュポンから市販されている)を用いた。この繊維は以下の特性を有した:単位長当り質量417d、破断力1.10kg、テナシティ2.64g/d、および密度1.64g/cc。
【0118】
両方の種類の繊維の単一繊維を、例2において記載されるように組み合わせた。組み合わせた時のこれら2つの繊維の質量%は、UHMWPE79%、ETFE21%であった。複合束の単位長当りの質量は1998dであった。複合束の破断力は50.44kgであった。複合束のテナシティは25.2g/dであった。UHMWPEへの単一ETFE繊維の付加は、単位長当り質量、破断力、およびテナシティを、それぞれ、+26%、−1%、および−21%分変えた。
【0119】
単一UHMWPE繊維の磨耗試験の試験方法および結果は、例2aに報告した。UHMWPE繊維とETFEマルチフィラメントフルオロポリマー繊維の複合束についても、また同じやり方で耐摩耗性試験を行った。3回の完全巻きを複合束に適用した。65サイクル/分、張力757g(これは繊維組合せの破断力の1.5%に相当した)下で試験を行った。
【0120】
磨耗試験を500サイクル走らせ、その点から後、磨耗した試験試料についてそれらの破断力を測定するために引張試験を行った。複合束およびUHMWPE繊維は、それぞれ、磨耗後27.87kgおよび10.9kgの破断力を示した。従って、単一ETFEマルチフィラメント繊維の付加は、試験前に−1%分破断力を変え、磨耗試験が完了すると、156%分高い破断力をもたらした。UHMWPE繊維単独、およびUHMWPE繊維とETFEマルチフィラメント繊維の複合束に対する磨耗速度は、それぞれ、79.80g/サイクルおよび45.14g/サイクルであった。
【0121】
要約すれば、上記例は本発明の一部の実施形態を実証するものであり、具体的には:
・ 例1〜3は、単一ePTFE繊維の、3種類の主な高強度繊維のそれぞれの単一繊維との組合せを実証する;
・ 例2は、また、モノフィラメントおよびマルチフィラメントePTFE繊維を比較する;
・ 例4は、グラファイト充填ePTFEモノフィラメント繊維を単一UHMWPE繊維と組み合わせる効果を実証する;
・ 例5は、ロープを作製する上で用いられる3繊維型構造体の性能を実証する;磨耗試験を破損まで行った。
・ 例6は、2繊維型構造体中のモノフィラメントePTFE繊維の量を変える効果を実証する(ePTFE繊維数を変え、それらを3つのUHMWPE繊維と組み合わせた)。
・ 例7は、より低い密度のモノフィラメントePTFE繊維を用いる効果を実証する(例2a〜bおよび例6a〜bと比較するため)。
・ 例8は、低テナシティ、非延伸PTFE繊維をUHMWPE繊維と共に用いる効果を実証する。
・ 例9は代替フルオロポリマーの使用を実証する。
これらの結果を以下の表に要約する。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
【表4】
【0126】
比較例1(トワロン(Twaron)対照、撚り合せロープ)
耐力コアを有する6X9ワイヤーロープ構造を用いてロープを作製した。ロープの断面を
図5に示す。ロープの外径は0.75インチであった。このロープの破断力は約48300ポンドである。トワロンタイプ1000、3024デニール、および2000フィラメント(テイジントワロン(Teijin Twaron)、オランダ国、アルネム市6800TC、P.O.Box9600、 Westervoortsedijk 73)からロープを作製した。
【0127】
ロープを作製するために2つの基本的な束群を用いた。
図5でタイプAと記す束群は、一緒に引かれた6つのトワロンの束からなった。
図5でタイプBと記す束群は、一緒に引かれた9つのトワロンの束からなった。
【0128】
図5で51と記す「ロープコア束群」を、3つのタイプB束群から螺旋状に撚り合わせた。次に、
図5で52と記すロープコア束群を、3つのロープコア束群を螺旋状に撚り合わせることにより作製した。
【0129】
図5で53と記す「外側束群」を、3つのタイプAストランドから螺旋状に撚り合わせた。次に、
図5で54と記す外側束群を、6つのタイプB束群をコア周りに螺旋状に撚り合わせるか、または閉じることにより作製した。
【0130】
次に、
図5で55と記すロープを、外側束群をロープコア束群周りに螺旋状に撚り合わせるか、または閉じることにより作製した。次に、作製したロープを、編組ポリエステルジャケットにより囲んだ。
【0131】
作製したロープ束群およびロープコア外側束群は普通撚りである。束および束コアはラング撚りである。
【0132】
次に、上述のように作製したロープについて以下の試験および条件を用いて試験を行った:曲げ滑車試験、対照ロープの25%破断荷重(12000ポンド)、500サイクル/時間、ロープ速度1.1フィート/秒、ストローク長4フィート、およびD:d=20。
【0133】
2つのロープ試験片について、それぞれ2787および3200マシンサイクルの破損に至るまでのサイクルを続けた。二重曲げ領域と呼ばれるロープの部分は、1回のマシンサイクルの間に二度滑車を行き来した。
【0134】
比較例2(PTFEを均質に分散させたトワロン撚り合せロープ)
5.1g/denのテナシティおよび2g/ccの密度を有する市販の500デニールPTFE繊維(デラウェア州、ニューアークのW.L.ゴア&アソーシエーツ(Gore & Associates.Inc.))の付加により、比較例1におけるようにロープ2aを作製した。5.9g/denのテナシティおよび1.9g/ccの密度を有する250デニールPTFE繊維の付加により、比較例1におけるようにロープ2bを作製した。
【0135】
比較例2aにおいて、ロープを作製するために2つの基本的な束群を用いた。
図1でタイプAと記す束群は、PTFEが均質に分布するように一緒に引かれた5トワロンヤーンおよび500デニールPTFE繊維からなった。
図5でタイプBと記す束群は、PTFEが均質に分布するように一緒に引かれた8つのトワロン束および8つの500デニールPTFE繊維からなった。2つのロープ試験片について破損に至るまでサイクルを続けた。
【0136】
比較例2bにおいて、ロープを作製するために2つの基本束群を用いた。
図5でタイプAと記す束群は、PTFEが均質に分布するように一緒に一束に引かれた5つのトワロンヤーンおよび16の250デニールPTFE繊維からなった。
図5でタイプBと記す束群は、PTFEが均質に分布するように一緒に引かれた8つのトワロン束および16の250デニールPTFE繊維からなった。2つのロープ試験片について破損に至るまでサイクルを続けた。
【0137】
次に、上述のように作製したロープについて以下の試験および条件を用いて試験した:曲げ滑車試験、対照ロープの25%破断荷重(12000ポンド)、500サイクル/時間、ロープ速度1.1フィート/秒、ストローク長4フィート、およびD:d=20。
【0138】
【表5】
【0139】
例10(PTFE外面を有するトワロン撚り合せロープ)
2つの例外を除いて比較例1におけるようにロープを作製した。1つのトワロン束を各基本束群AおよびBから省いた。ロープの最終組立ての前に、PTFE繊維をロープコア束群の外側および外側束群の周りに撚り合わせるかまたは閉じた。このようにするため、6つの500デニール(3a)または12の250デニール(3b)PTFE繊維を、1つの1500デニールKevlar39ヤーンと共にボビン上に巻いた。次に、PTFE繊維および担体Kevlar(デュポン、バージニア州23234、リッチモンド、ジェファーソン・デービス・ハイウエイ5401)を、1インチ撚りピッチで、それぞれ外側の束群またはコア束群の外側周りに螺旋状に撚り合わせた。PTFE繊維を外側およびコア両方の周りに同じ方向に撚り合わせた。
【0140】
500g/9000mのデニールおよび5.1g/denのテナシティ、および2g/ccの密度を有するPTFE繊維の付加により、ロープ10aを作製した。2つのロープ試験片を破損に至るまで試験した。
【0141】
250g/9000mのデニールおよび5.9g/denのテナシティ、および1.9g/ccの密度を有するPTFE繊維の付加により、ロープ10bを作製した。2つのロープ試験片を破損に至るまで試験した。
【0142】
250g/9000mのデニールおよび3.1g/denのテナシティ、および1.6g/ccの密度を有するPTFEの付加により、ロープ10cを作製した。2つのロープ試験片を破損に至るまで試験した。
【0143】
次に、上述のように作製したロープについて以下の試験および条件を用いて試験した:曲げ滑車試験、対照ロープの25%破断荷重(12000ポンド)、500サイクル/時間、ロープ速度1.1フィート/秒、ストローク長4フィート、およびD:d=20。
【0144】
【表6】
【0145】
比較例3(ベクトラン(Vectran)対照組紐)
120の1500デニールベクトランT97束(クラリー・アメリカ(Kurary America Inc.)、ニューヨーク州10022、ニューヨーク、東101・52番街・26階)の12の同等の束群から、ロープ(紐)を作製した。ベクトラン束を、クリールから
図6に示される237穴の柊板の中心からの最初の120穴に向けることにより、束群を作製した。6つの束群をSに撚り、6つの束群をZ方向に撚った。次に、これらの12の束群を、1.18ピック/インチで2/2標準組紐における12束群製紐機を用いて編んだ。100ポンドの基準張力下で測定した完成ロープの外径は、約0.75インチであった。完成対照ロープの平均破断強度は84,500ポンドであった。
【0146】
次に、上述のように作製したロープについて以下の試験および条件を用いて試験を行った:曲げ滑車試験、対照ロープの18%破断荷重(15,210ポンド)、500サイクル/時間、ロープ速度1.1フィート/秒、ストローク長4フィート、およびD:d=20。2つのロープ試験片について、それぞれ1001および960サイクルの破損に至るまでのサイクルを続けた。二重曲げ領域と呼ばれるロープの部分は、1回のマシンサイクルの間に二度滑車を行き来した。
【0147】
比較例4(PTFEを均質に分布させた組紐)
表3に記載されるPTFE繊維の付加により、比較例3におけるようにロープを作製した。この例に対して、わずか102のベクトランヤーンを、54の500デニールまたは108の250デニールのPTFE繊維と共に用いた。PTFE繊維およびベクトラン束を、柊板中穴の所定の環の円周周りで交互に並べた。比較例4aにおいて、500デニールPTFE繊維を、ベクトランヤーン、ベクトランヤーン、PTFE繊維の順序で第3の穴毎に充填するように交互に並べた。2つのロープについて試験を行った。例4bおよび4cにおいて、250デニール繊維を、柊板中の1穴おきに充填するようにベクトランヤーンと交互に並べた。タイプ4bの1つのロープを試験し、4cの2つのロープを試験した。100ポンド基準張力下で測定した完成ロープの外径は、約0.75インチであった。
【0148】
次に、上述のように作製したロープについて以下の試験および条件を用いて試験を行った:曲げ滑車試験、対照ロープの18%破断荷重(15,210ポンド)、500サイクル/時間、ロープ速度1.1フィート/秒、ストローク長4フィート、およびD:d=20。
【0149】
【表7】
【0150】
例11(PTFE外面を有する組紐)
表4に記載されるPTFE繊維の付加により、比較例4におけるようにロープを作製した。この例に対して、わずか102のベクトラン束を、54の500デニールまたは108の250デニールのPTFE繊維と共に用いた。柊板の93の内部穴をベクトランヤーンにより充填した。残りの9つのベクトラン束を、次の穴環中に均一に分散させた。この環および次の外側環中の空の穴には、すべてのPTFE繊維が用いられるまで、穴当り1つのPTFE繊維を通した。100ポンド基準張力下で測定した完成ロープの外径は、約0.75インチであった。
【0151】
次に、上述のように作製したロープについて以下の試験および条件を用いて試験を行った:曲げ滑車試験、対照ロープの18%破断荷重(15,210ポンド)、500サイクル/時間、ロープ速度1.1フィート/秒、ストローク長4フィート、およびD:d=20。
【0152】
【表8】
【0153】
上表から見ることができるように、ロープの束群の外面周りへの低摩擦係数繊維の付加は、非常にロープ寿命を増大させる。繊維の配置に起因する寿命の劇的な増加は、全く驚くべきことである。
【0154】
本発明の特定実施形態が本明細書において説明され記載されてきたが、一方で、本発明はこうした説明および記載に限定されるべきではない。変更および修正が、以下のクレームの範囲内で本発明の一部として組み込み、統合することが可能であることは、明白である筈である。特に、主として繰返し応力用途で用いるロープの代表的な実施形態において提示されているが、本発明の複合束は、また、他の形態、例えば、ベルト、ネット、吊縄、ケーブル、織布、不織布、および管状織物での適用性を有する。