特許第5678126号(P5678126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678126
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】高い清浄度を要する板材加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 33/00 20060101AFI20150205BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20150205BHJP
   B23K 26/14 20140101ALI20150205BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20150205BHJP
【FI】
   B23D33/00 H
   F24F7/06 C
   B23K26/14
   B23K26/38 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-104141(P2013-104141)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-223702(P2014-223702A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2013年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513122749
【氏名又は名称】ゴールドマックス アジア パシフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】切通 隆則
(72)【発明者】
【氏名】辻田 京史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 隆
【審査官】 足立 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−081456(JP,A)
【文献】 特開2006−102128(JP,A)
【文献】 特開2010−234486(JP,A)
【文献】 特開2007−237338(JP,A)
【文献】 特開昭59−161218(JP,A)
【文献】 特開2001−137955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 33/00
B23Q 11/00
B23K 26/00−26/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材を搬送する搬送機と、前記搬送機で搬送する板材の幅方向端部を所定寸法で切断する切断機と、を備えた板材加工装置であって、
前記切断機において切断する板材の所定範囲を覆うクリーンブースと、
前記切断機で切断する時に発生する切断片を切断部の幅方向外方に向けて吸引する集塵部と、
前記集塵部に向けて切断片を吹き飛ばすエアーブロー部と、を有し、
前記クリーンブースは、前記切断機による板材の切断部よりも幅方向内方の板材を覆うように構成され、
前記エアーブロー部は、前記板材の切断部で発生する切断片を切断部の幅方向内方から外方に向けて吹き飛ばすように配置されていることを特徴とするクリーンブース付き板材加工装置。
【請求項2】
前記クリーンブースは、板材切断装置をカバーするカバー材にて切断装置全体を覆うように構成され、
前記エアーブロー部は、前記板材の切断部で発生する切断片を切断部の幅方向内方から外方に向けて吹き飛ばすように配置されている請求項1に記載のクリーンブース付き板材加工装置。
【請求項3】
前記集塵部は、前記エアーブロー部によって前記切断部から幅方向外方に吹き飛ばされた切断片を集塵するように前記板材の切断部に沿って局所的に配設されている請求項1又は2に記載のクリーンブース付き板材加工装置。
【請求項4】
前記クリーンブースは、該クリーンブースの外部に対して内部の気体圧力が高く設定されている請求項1〜のいずれか1項に記載のクリーンブース付き板材加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い清浄度を要する板材の切断時などに発生する切断片が板材表面に飛散、付着又は切断環境から異物が流入するのを防止する機能を備えた板材加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の電子機器においては高い清浄度を必要とする薄い板材が用いられている。このような板材の製造方法には溶融法があり、例えば、厚みが1mm以下の板材が製造されている。
【0003】
そして、このような板材は、図6に示すように、所定の長さ寸法に切断された板材100となった後、搬送方向Wに送られて幅方向の端部101が切断ラインLで切断されて所定幅寸法の板材102となる。この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、板材の搬送方向を「長さ方向」、その搬送方向と直交する方向を「幅方向」という。
【0004】
上記板材を切断する場合、例えば、メカニカルカッターやレーザを使用して切断ラインLに沿って切断される。
【0005】
切断される板材100は、切断時に微小な切断片が飛散する。この切断片は、板材の表面に飛散、付着した状態のままであると加工後の板材製品の品質を低下させる。また、切断した板材の表面に周辺の塵が付着して、板材の品質を低下させることもある。
【0006】
そのため、この種の先行技術として、例えば、カッターの進行方向前側からカッターの回転中心とカッターと板材の接点とを結ぶ線上に向かってエアーを吹き付けるようにした装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、他の先行技術として、プラスチック射出成形機の射出成形部にクリーンブースを設け、清浄化した空気などを射出成形部に集中的に吹出すようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
さらに、他の先行技術として、高い空気清浄度、高精度の温度制御を必要とする恒温ゾーンに清浄空気をダウンブローするようにし、その恒温ゾーンをクリーンルーム内にレイアウトした局所空調システムもある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−82413号公報
【特許文献2】特開昭60−245522号公報
【特許文献3】特開2000−18663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1の場合には、カッターによる切断で飛散した切断片などを吹飛ばすことはできるが、板材の表面に付着するおそれがあり、板材の切断によって発生する切断片が製品となる板材の表面に付着しないようにできない。そのため、製品となる板材の品質を低下させる。
【0011】
また、上記特許文献2の場合には、射出成形部にクリーンブースを設けて射出成形部をクリーンにしているが、切断機のように切断片が飛散する環境においては、その切断片が製品となる板材の表面に付着しないようにできない。そのため、この技術でも製品となる板材の品質を低下させる。
【0012】
さらに、上記特許文献3の場合には、装置を設置する部屋をクリーンルームにした上で、更に局所的に清浄空気をダウンブローするようにしたものであり、大規模なクリーンルーム内を清浄化するためには大規模な吸引装置等が必要になり、その上、局所的に清浄空気をダウンブローするための装置も必要になり、多くの初期費用及び維持費用が必要となる。その上、大きな設備面積が必要となる。
【0013】
そこで、本発明は、板材を切断する切断機の部分にクリーンブースを備えさせ、製品となる板材の表面に切断片などの飛散、流入を防止して板材を高品質に保つことができる板材加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、板材を搬送する搬送機と、前記搬送機で搬送する板材の幅方向端部を所定寸法で切断する切断機と、を備えた板材加工装置であって、前記切断機において切断する板材の所定範囲を覆うクリーンブースと、前記切断機で切断する時に発生する切断片を切断部の幅方向外方に向けて吸引する集塵部と、前記集塵部に向けて切断片を吹き飛ばすエアーブロー部と、を有し、前記クリーンブースは、前記切断機による板材の切断部よりも幅方向内方の板材を覆うように構成され、前記エアーブロー部は、前記板材の切断部で発生する切断片を切断部の幅方向内方から外方に向けて吹き飛ばすように配置されている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「切断」は、板材を所定位置で「切断」、「分断」することを含む。
【0017】
この構成により、クリーンブースによって、切断機において切断する板材の所定範囲をクリーンな環境に保って切断することができる。しかも、限定された範囲のクリーンブースとなり、クリーンブースに要する初期費用及び維持費用を大幅に低減することができる。その上、板材の切断時に発生する切断片は、切断部の幅方向外方に向けて吸引して集塵部で集塵するとともに、エアーブロー部によって集塵部に向けて吹き飛ばされるので、切断片などが製品となる板材の表面へ流入したり、飛散することを防止し、板材の表面を高品質に保つことができる。しかも、切断機によって幅方向端部が切断されて製品となる板材の部分はクリーンブースでカバーされ、切断部で発生する切断片はエアーブロー部によって幅方向内方から外方に向けて吹き飛ばされて集塵部で集塵されるので、切断片などが製品となる板材の表面へ流入したり、飛散することを更に防止し、板材の表面を高い清浄度に保つことができる。
【0018】
また、前記クリーンブースは、板材切断装置をカバーするカバー材にて切断装置全体を覆うように構成され、前記エアーブロー部は、前記板材の切断部で発生する切断片を切断部の幅方向内方から外方に向けて吹き飛ばすように配置されていてもよい。
【0019】
このように構成すれば、板材切断装置全体がカバー材で覆われたクリーンブースの内部に配置され、切断部で発生する切断片はエアーブロー部によって幅方向内方から外方に向けて吹き飛ばされて集塵部で集塵されるので、切断片などが製品となる板材の表面へ流入したり、飛散することを防止し、板材の表面を高品質に保つことができる。
【0020】
また、前記集塵部は、前記エアーブロー部によって前記切断部から幅方向外方に吹き飛ばされた切断片を集塵するように前記板材の切断部に沿って局所的に配設されていてもよい。
【0021】
このように構成すれば、板材の幅方向内方から外方にエアーブロー部で吹き飛ばされた切断片を吸引する集塵部を局所的な構成として設備費用を抑えることができる。
【0022】
また、前記クリーンブースは、該クリーンブースの外部に対して内部の気体圧力が高く設定されていてもよい。
【0023】
このように構成すれば、クリーンブースの内部の気体圧力によっても、切断時に発生した切断片を集塵部で集塵しやすくするとともに、外部から塵などの流入がないようにして、板材の表面へ切断片、塵などが流入するのをより安定して防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、製品となる板材の表面へ切断片などの飛散、流入を防止して、板材の表面を高い清浄度に保つことが可能となる。また、クリーンブースに要する設備費用を抑えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明の第1実施形態に係るクリーンブースを備えた板材切断装置を示す正面図である。
図2図2図1に示す板材切断装置における切断機部分の側面図である。
図3図3図1に示す板材切断装置による板材の切断ライン形成時における部分拡大図である。
図4図4図1に示す板材切断装置による板材の切断時における部分拡大図である。
図5図5は本発明の第2実施形態に係るクリーンブースを備えた板材切断装置を示す正面図である。
図6図6は板材を切断する流れを平面視で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、搬送する板材の両側部に切断ラインLを形成し、その切断ラインLに沿って両端部を切断する板材切断装置1を例に説明する。
【0027】
図1に示すように、第1実施形態に係るクリーンブースを備えた板材切断装置1は、門型に形成されたフレーム2に各機器が配置されている。フレーム2には、板材50を搬送方向W(図2)に搬送する搬送機たる搬送コンベヤ3が設けられている。この搬送コンベヤ3は、幅方向に所定間隔で配置された複数本(この例では4本)のベルトコンベヤ4が設けられたものである。
【0028】
また、搬送コンベヤ3の幅方向外方に切台5が設けられている。切台5は、ベルトコンベヤ4の幅方向外方に所定距離離れた位置で、搬送方向Wに延びるように設けられている(図2)。この切台5は、板材50の幅方向端部を切断ラインL(図6)で切断する位置に配置されている。
【0029】
さらに、上記搬送コンベヤ3の上方には、カッターユニット6が設けられている。このカッターユニット6は、板材50の幅方向両端部に切断ラインL(図6)を形成して切断するものであり、搬送コンベヤ3の幅方向中心に対して左右対称位置に配置されている。カッターユニット6には、下方に向けてカッター7が設けられている。このカッター7と上記切台5とは、鉛直方向に対向するように配置されており、切台5の中心とカッター7の中心とが幅方向で同一線上となっている。このカッター7により、上記板材50を切断ラインLに沿って切断する部分が、切断部11である。
【0030】
図2に示すように、上記カッターユニット6は、搬送方向Wに延びる案内部8によって搬送方向Wに移動可能となっている。案内部8は、一端に設けられた駆動モータ9によってカッターユニット6を搬送方向Wのいずれの方向にも移動させることができるようになっている。上記切台5と、カッター7を備えたカッターユニット6とによって板材50を切断する構成が、切断機10である。
【0031】
そして、図1に示すように、このクリーンブースを備えた板材切断装置1では、切断機10による板材50の切断部11よりも幅方向内方における板材50の所定範囲を覆うクリーンブース20が備えられている。この実施形態では、上記切断部11よりも幅方向内方が板材50の所定範囲となっており、クリーンブース20はその範囲を覆うように形成されている。
【0032】
このクリーンブース20は、板材50の幅方向内方部分を上方から覆う上部遮蔽板21を有している。この上部遮蔽板21は、板材50の中央部分は上方に離れて大きな空間を有し、幅方向両端部は板材50の上面に近接した位置まで下がる下降部22が設けられ、幅方向端部の下端には板材50の上面と平行な平行部23が幅方向外方に向けて設けられている。この平行部23を所定の幅寸法とすることにより、切断片などの流入を抑止している。
【0033】
この上部遮蔽板21により、板材50の幅方向中央部分から両端部の切断部11よりも幅方向内方の板材50の上面が覆われている。この実施形態では、上部遮蔽板21が上記案内部8から吊下げられた状態で設けられている。
【0034】
また、搬送コンベヤ3の下方には、切台5の支持部12に下部遮蔽板24が設けられている。この下部遮蔽板24は、幅方向に離れて設けられた支持部12を接続するように設けられており、搬送コンベヤ3によって搬送される板材50の下面を外部から遮蔽している。
【0035】
このように、この実施形態では、板材50を搬送する搬送コンベヤ(搬送機)3の上方に上部遮蔽板21が設けられ、下方に下部遮蔽板24が設けられており、切断機10が設けられた搬送経路の周辺が覆われたクリーンブース20となっている。このクリーンブース20の内部が、クリーンエリアとなっている。
【0036】
一方、このクリーンブースを備えた板材切断装置1には、上記切断機10のカッター7によって板材50を切断する部分にエアーブロー部30が設けられ、その幅方向外方には集塵部40が設けられている。
【0037】
上記エアーブロー部30は、カッター7による切断部11に向けて幅方向内方の斜め上方から外方に向けてエアーを吹付けるようになっている。この実施形態では、上記上部遮蔽板21の幅方向端部に形成された平行部23上にエアー配管31が設けられ、このエアー配管31から切断部11に向けてエアーを吹付けるようにしている。エアー配管31は、図2に示すように、搬送方向Wに延びるように配設され、上記切台5とほぼ同じ長さからエアー33(図1)を吹付けるように複数の吹付け穴32が設けられている。吹付け穴32は、搬送方向Wに所定間隔で設けられている。
【0038】
図1に示すように、上記集塵部40は、上記カッター7の幅方向外方から吸引するように集塵口41が設けられている。これらの集塵口41は、切断部11から切断片などが含まれるエアー42を吸引し、集塵配管43から図示しない集塵機に吸引されるようになっている。
【0039】
従って、エアーブロー部30によって板材50の幅方向内方からカッター7の切断部11に向けてエアー33を吹き付け、幅方向外方に設けた集塵部40によって切断片を含むエアー42を吸引するようになっている。
【0040】
また、例えば、二点鎖線で示すように、上部遮蔽板21の上部にエアー供給機35を設け、上部遮蔽板21と下部遮蔽板24とで囲まれたクリーンブース20の内部の気体圧力を外部よりも少し高く設定するようにしてもよい。このように、クリーンブース20の内圧を少し高く設定することで、カッター7によって飛散した切断片などがより集塵部40から吸引されやすくすることができる。しかも、クリーンブース20の内部圧が高いので、塵などが外部から流入するのを適切に防止することができる。
【0041】
次に、図3,4に基づいて、切断ライン形成時と切断時について詳細に説明する。図3は、上記切断機10で板材50に切断ラインLを形成するときの図面である。切断ラインLを形成するときには、板材50の幅方向内方からカッター7の先端部分である切断部11に向けてエアー配管31の吹付け穴32からエアー33が吹付けられる。これにより、切断ラインLの形成時に切断片が発生したとしても、その切断片は、その位置から外方に向けて吹飛ばされ、板材50の内方に向けて飛散、流入することが防止される。そして、外方に吹飛ばされた切断片を含むエアー42は、集塵口41から吸引されて集塵される。
【0042】
従って、板材50に切断ラインLを形成する時に切断片が発生したとしても、その切断片を板材50の表面に付着させることなくエアー42とともに集塵し、板材50の表面を高い清浄度の状態に保つことができる。
【0043】
図4は、上記切断ラインLの形成を行った板材50を切断するときの図面である。この切断時には、切台5に沿って板材50の端部が切断ラインLを形成した部分で切断される。この時、切台5とほぼ同じ長さのエアー配管31に設けられた複数の吹付け穴32から切断ラインLに沿って、幅方向内方からエアー33が吹付けられるので、板材50の切断時に発生する切断片はカッター7の外方に向けて吹飛ばされて、板材50の内方に向けて飛散、流入することが防止される。そして、外方に向けて吹飛ばされた切断片を含むエアー42は、集塵口41から吸引されて集塵される。
【0044】
従って、板材50の切断時に発生する切断片などは、板材50の表面に付着させることなく切断片などを含むエアー42として集塵し、板材50の表面を高い清浄度の状態に保つことができる。
【0045】
次に、図5に基づいて第2実施形態に係るクリーンブース付き板材切断装置60を説明する。なお、上記第1実施形態における板材切断装置1と同一の構成には同一符号を付し、その説明は省略する。この第2実施形態の板材切断装置60におけるクリーンブース63は、切断装置60をカバーするカバー材62によって装置全体を覆うように構成されている。
【0046】
この実施形態では、板材切断装置60の全体を囲うように枠体61が設けられ、この枠体61の周囲がカバー材62によって覆われている。この実施形態では、カバー材62で覆われた所定範囲がクリーンブース63であり、この実施形態のクリーンブース63は、切断機10において切断する板材50の全体が所定範囲となっている。
【0047】
また、この実施形態では、切断装置60の全体がクリーンブース63によって覆われているため、上記案内部8から下降部22が吊下げられ、この下降部22の下端に幅方向外方に延びる平行部23が設けられている。この実施形態でも、平行部23にエアー配管31が設けられており、幅方向内方から外方に向けてエアー33を吹付けるようになっている。
【0048】
さらに、この実施形態のクリーンブース63では、集塵部40の集塵配管43が枠体61のカバー材62よりも外方まで延びて設けられている。この集塵配管43は、図示しない集塵機に接続されている。
【0049】
また、この実施形態の場合も、例えば、二点鎖線で示すように、上部にエアー供給機35を設け、カバー材62で囲まれたクリーンブース63の内部の気体圧力を外部よりも少し高く設定するようにしてもよい。このように、クリーンブース63の内圧を少し高く設定することで、カッター7によって飛散した切断片などがより集塵部40から吸引されやすくすることができる。しかも、クリーンブース63の内部圧が高いので、塵などが外部から流入するのを適切に防止することができる。
【0050】
以上のように、上記クリーンブース付き板材切断装置(板材加工装置)1,60によれば、切断機10において切断する板材50の所定範囲を覆うように設けたクリーンブース20,63により、板材50の切断時に発生する切断片などが、製品となる板材50の中央部分へ飛散、流入することを防止することができる。しかも、切断時に発生する切断片などは、エアーブロー部30によって板材50の幅方向内方から外方に向けて吹き飛ばされて集塵部40によって集塵されるので、切断片などが板材50の中央部分へ飛散、流入することを安定して防止することができる。従って、製品となる板材50の表面環境をクリーンに保って板材50の表面を高い清浄度の状態で保つことができ、切断後の板材50を高品質に保つことが可能となる。
【0051】
また、限定された範囲のクリーンブース20,63となるため、クリーンブース20,63に要する初期費用及び維持費用を大幅に低減することができる。
【0052】
なお、上記第1実施形態のクリーンブース20では切断機10による板材50の切断部11よりも幅方向内方の板材50の搬送経路周辺を覆うようにし、上記第2実施形態のクリーンブース63では切断装置60の全体を覆うようにした例を説明したが、クリーンブースは切断する板材50の高い清浄度を保ちたい部分を含む所定範囲を覆うものであればよく、クリーンブースによって覆う範囲は上記実施形態に限定されるものではない。
【0053】
また、上記実施形態では、切断ラインLを形成し、その後、その切断ラインLに沿って切断する例を説明したが、切断ラインLを形成することなく切断するものでもよい。
【0054】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る高い清浄度を要する板材加工装置は、設備費用を抑え、切断片などの飛散、流入を防止して製品となる板材の品質を高品質に保ちたい板材切断装置に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 板材切断装置(板材加工装置)
2 フレーム
3 搬送コンベヤ(搬送機)
4 ベルトコンベヤ
5 切台
6 カッターユニット
7 カッター
8 案内部
9 駆動モータ
10 切断機
11 切断部
12 支持部
20 クリーンブース
21 上部遮蔽板
22 下降部
23 平行部
24 下部遮蔽板
30 エアーブロー部
31 エアー配管
32 吹付け穴
33 エアー
35 エアー供給機
40 集塵部
41 集塵口
42 エアー
43 集塵配管
50 板材
60 板材切断装置
61 枠材
62 カバー材
63 クリーンブース
L 切断ライン
W 搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6