特許第5678140号(P5678140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678140
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20150205BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20150205BHJP
   C09K 3/16 20060101ALN20150205BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J133/00
   !C09K3/16 102J
【請求項の数】7
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-151955(P2013-151955)
(22)【出願日】2013年7月22日
(62)【分割の表示】特願2007-313753(P2007-313753)の分割
【原出願日】2007年12月4日
(65)【公開番号】特開2013-241614(P2013-241614A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2013年7月23日
(31)【優先権主張番号】特願2006-340237(P2006-340237)
(32)【優先日】2006年12月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三井 数馬
(72)【発明者】
【氏名】天野 立巳
(72)【発明者】
【氏名】米崎 幸介
(72)【発明者】
【氏名】須藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 淳
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和人
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−320631(JP,A)
【文献】 特開2001−278985(JP,A)
【文献】 特開2006−326961(JP,A)
【文献】 特開2006−316208(JP,A)
【文献】 特開2006−193690(JP,A)
【文献】 特開2000−328024(JP,A)
【文献】 特開2005−125659(JP,A)
【文献】 特開平11−256115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層の一方の面に粘着剤層、他方の面に帯電防止層を備える再剥離型粘着シートであって、
前記基材層がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であり、
前記帯電防止層がオレフィンブロックおよび親水性ブロックからなる高分子型帯電防止剤、および樹脂を含有し、
前記高分子型帯電防止剤の含有量が、前記樹脂および前記帯電防止剤の合計重量に対して10〜40重量%であり、
前記帯電防止層の厚みが、1〜50μmであることを特徴とする光学部材の表面保護用再剥離型粘着シート。
【請求項2】
前記樹脂がプロピレン樹脂である請求項1に記載の光学部材の表面保護用再剥離型粘着シート。
【請求項3】
前記帯電防止層がプロピレン単独重合体および/またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を含有する請求項1または2に記載の光学部材の表面保護用再剥離型粘着シート。
【請求項4】
前記帯電防止層がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の光学部材の表面保護用再剥離型粘着シート。
【請求項5】
前記粘着剤層が、炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリレートおよび/またはメタクリレートの1種または2種以上を主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーからなる請求項1〜のいずれかに記載の光学部材の表面保護用再剥離型粘着シート。
【請求項6】
前記粘着剤層が、前記(メタ)アクリル系ポリマーを架橋して得られたものである請求項に記載の光学部材の表面保護用再剥離型粘着シート。
【請求項7】
JIS K7136で定義されるヘーズが12.1%以下である請求項1〜のいずれかに記載の光学部材の表面保護用再剥離型粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電防止性を有する再剥離型粘着シートに関するものである。前記再剥離型粘着シートとしては、たとえば、建築養生用マスキングテープ、自動車塗装用マスキングテープ、電子部品(リードフレーム、プリント基板)用マスキングテープ、サンドブラスト用マスキングテープなどのマスキングテープ類、アルミサッシ用表面保護フィルム、光学プラスチック用表面保護フィルム、光学ガラス用表面保護フィルム、自動車保護用表面保護フィルム、金属板用表面保護フィルムなどの表面保護フィルム類、バックグラインドテープ、ペリクル固定用テープ、ダイシング用テープ、リードフレーム固定用テープ、クリーニングテープ、除塵用テープ、キャリアテープ、カバーテープなどの半導体・電子部品製造工程用粘着テープ類、電子機器や電子部品の梱包用テープ類、輸送時の仮止めテープ類、結束用テープ類、ラベル類などがあげられる。なかでも特に、透明性が求められる液晶ディスプレイ、有機ELエレクトロルミネッセンス、フィールドエミッションディスプレイなどのパネルに使用される偏光板や波長板などの光学部材用保護フィルムとして有用である。
【背景技術】
【0002】
現今、偏光板等の光学用シートの加工や該光学用シートの他の部材への実装などの工程に際しては、この作業中において該光学用シートへの傷や汚染などへの対策として、この光学用シートへ表面保護フィルムをあらかじめ貼り付けている。光学用シートは表面保護フィルムを貼付した状態で傷等の検査を行うため、当該保護フィルム用基材としてはポリエステルフィルムなどの透明性の高い基材が使用されている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
また、従来、該フィルムには、摩擦や剥離による帯電を防ぐため、帯電防止層を設け、粘着剤を塗布して乾燥させ、この面へ剥離フィルムを貼り合わせた後、目標とする偏光角度や位相角度に合わせて裁断し、所定枚数を積層させて保存することが一般的である(たとえば、特許文献6参照)。
【0004】
ところで、表面保護フィルムの裁断作業において、該裁断面からはみ出した粘着剤が他の保護フィルム表面に付着し、製品検査の妨げとなる上、べたつくので製品と出荷する際の支障となる。そのため、前記欠点の対策として、保護フィルムの一側面に汚れ防止層を設けた表面保護フィルムが提案されている(たとえば、特許文献7参照)。しかしながら、前記手段では生産工程が増え、コストアップにつながるという問題があることが判明した。
【0005】
【特許文献1】特開平07−311160号公報
【特許文献2】特開2003−089178号公報
【特許文献3】特開2005−002220号公報
【特許文献4】特開2005−125659号公報
【特許文献5】特開2004−094012号公報
【特許文献6】特開2001−096698号公報
【特許文献7】特開平11−256115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に照らし、被着体(特に光学シートなどの光学部材)の保護性能に優れ、表面保護フィルム(粘着シート)を貼付した状態で、被着体(特に光学シート)の欠陥検査を精度良く行うことのできる安価な表面保護フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、被着体(特に光学シート)の加工、搬送時において、被着体(特に光学シート)が帯電せず、さらに汚れ防止機能を有す安価な表面保護フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示す粘着シートにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の粘着シートは、再剥離型であって、基材層の一方の面に粘着剤層、他方の面に帯電防止層を備える再剥離型粘着シートであって、前記帯電防止層がオレフィンブロックおよび親水性ブロックからなる高分子型帯電防止剤を含有することを特徴とする。
【0009】
本発明によると、実施例の結果に示すように、上述のオレフィンブロックおよび親水性ブロックからなる高分子型帯電防止剤を含有する帯電防止層を有す粘着シートは、被着体(特に光学シートなどの光学部材)の保護性能に優れ、表面保護フィルム(粘着シート)を貼付した状態で、被着体(特に光学シート)の欠陥検査を精度良く行うことのできる表面保護フィルム、ならびに、被着体(特に光学シート)の加工、搬送時において、被着体(特に光学シート)が帯電せず、さらに汚れ防止機能を有す安価な表面保護フィルムとなる。上記粘着シートが、かかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、上述の特定の組成からなる高分子型帯電防止剤を用いた帯電防止層を用いることにより、べたついたり、製品検査の妨げとなることなく、接着信頼性、透明性に優れ、安価に製造可能なものとなると推測される。また、上述の高分子型帯電防止剤を帯電防止層に用いることにより、水洗や水拭きなどの処理を行なっても帯電防止能の低下がほとんど見られず、安定した帯電防止能力が得られる。
【0010】
上記粘着シートは、前記帯電防止層がオレフィンブロックおよび親水性ブロックからなる高分子型帯電防止剤を含有することを特徴とする。
【0011】
なお、本発明における高分子型帯電防止剤とは、オレフィンブロックと親水性ブロックとを有するブロック共重合体であり、オレフィンブロックと親水性ブロックとは化学的に結合されているものをいう。
【0012】
本発明においては、前記帯電防止層がプロピレン樹脂を含有することが好ましい。また、前記帯電防止層がプロピレン単独重合体および/またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を含有することが好ましい。また、前記帯電防止層がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を含有するものとすることができる。
【0013】
一方、前記基材層がプロピレン樹脂からなるものであることが好ましく、また、前記基材層がプロピレン単独重合体および/またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなるものであることがより好ましい。また、前記基材層がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなるものとすることができる。
【0014】
また、前記粘着剤層が、炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリレートおよび/またはメタクリレートの1種または2種以上を主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーからなることが好ましい。さらには、前記粘着剤層が、前記(メタ)アクリル系ポリマーを架橋処理して得られた架橋構造体であることが好ましい。
【0015】
他方、本発明の粘着シートは上述のような作用効果を有するため、特に光学部材の表面保護に用いられることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
本発明の粘着シートは、再剥離型であって、基材層の一方の面に粘着剤層、他方の面に帯電防止層を備える再剥離型粘着シートであって、前記帯電防止層がオレフィンブロックおよび親水性ブロックからなる高分子型帯電防止剤を含有することを特徴とする。
【0018】
基材層として用いられる材料としては、高い透明性を有する粘着シートが得られるプラスチックであれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリル、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリエーテルスルホン、トリアセチルセルロース等の透明樹脂が用いられる。これらの中でも、ポリプロピレンが、生産性、成型性の面から好ましく用いられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0019】
ポリプロピレンとしては、単独重合体であるホモタイプ、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であるランダムタイプ、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体であるブロックタイプのものがあげられるが、特にホモタイプやランダムタイプは透明性の高い粘着シートが得られることから好ましく用いられる。ここでいう高い透明性とは、JIS K7361で定義される全光線透過率で88%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上、かつJIS K7136で定義されるヘーズで9%以下、好ましくはヘーズで8%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは5%未満のものを指す。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0020】
上記ホモタイプのポリプロピレンとしては、目的とする高い透明性を有する粘着シートが得られる樹脂であれば特に制限無く用いられる。市販品として、たとえば、ZS1327A、F104A、F3900、J−5900(上記はいずれもプライムポリマー社製)等があげられる。
【0021】
ランダムタイプのプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のα−オレフィン成分としては、たとえば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等があり、好ましくは、エチレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン―1である。また他に、4−メチル−1、4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを重合体成分の一部として使用することができる。さらにノルボルネン等の環状オレフィンを重合することもできる。
【0022】
上記ランダム共重合体としては、たとえば、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体等があげられる。市販品としては、たとえば、F327、J−5910、J−5710(上記はいずれもプライムポリマー社製)、ウィンテックWFX6、ウィンテックWFX4、ウィンテックWFX4T、ウィンテックWFX4TA、ウィンテックWFW4(上記はいずれも日本ポリプロ社製)等があげられる。これらの中でもメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体はさらに透明性の優れたフィルムが得られることから好ましく用いられる。また、メタロセン触媒を用いて重合されたプ口ピレン・α−オレフィンランダム共重合体は均一な組成の共重合体となり、高い透明性を有す基材層が得られることから好ましく用いられる。
【0023】
ここでメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、たとえば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等があり、好ましくは、エチレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン―1である。また他に、4−メチル−1、4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを重合体成分の一部として使用することができる。さらにノルボルネン等の環状オレフィンを共重合することもできる。上記ランダム共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−へキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体等があげられる。
【0024】
また、メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体としては、融点が110℃〜150℃、特に110℃〜135℃のものが成形性の観点から好ましく用いられる。これらの具体例としては、たとえば、ウィンテックWFX6、ウィンテックWFX4、ウィンテックWFX4T、ウィンテックWFX4TA、ウィンテックWFW4(上記はいずれも日本ポリプロ社製)等の市販品があげられる。ここで融点は示差走査熱量計の融解ピーク温度より求められる値を示す。
【0025】
ここで、メタロセン触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物、さらに好ましくはアイソ規則性を有する架橋型のメタロセン化合物である。
【0026】
メタロセン化合物としては、たとえば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
【0027】
さらに、具体的には、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
【0028】
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等の無機化合物、多孔質ポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物があげられる。
【0029】
メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、たとえば、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物があげられる。
【0030】
有機アルミニウム化合物としては、たとえば、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等があげられる。
【0031】
重合法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等があげられる。上記プロピレン・α−オレフィン共重合体を得る方法としては、たとえば、重合温度やコモノマー量を調節して、分子量および結晶性の分布を適宜制御することにより、所望のポリマーを得ることができる。
【0032】
これら基材層に用いられる樹脂は単独もしくは2種以上混合して用いることができる。また、基材層としては単層もしくは異なる樹脂層を2層以上形成することが可能である。基材層の厚さは一般に10〜200μm、好ましくは20〜100μm、さらに好ましくは30〜70μmである。
【0033】
なお、上記基材層には本発明の目的を損なわない範囲において酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤などフィルム基材に一般に用いられる各種添加剤、充填剤を適宜添加することが可能である。また、適宜フィルム表面に酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理をすることもできる。
【0034】
また、本発明の帯電防止層は、高分子型帯電防止剤を含有することを特徴とするが、上記基材層に用いられる樹脂と高分子型帯電防止剤から形成されることが好ましい。
【0035】
帯電防止層に用いられる樹脂としては、上記基材層に用いられる樹脂の中でもポリプロピレンが生産性、成型性、さらには汚れ防止性の面から好ましく用いられる。
【0036】
上記ポリプロピレンとしては、単独重合体であるホモタイプ、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であるランダムタイプ、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体であるブロックタイプのものがあげられるが、透明性の観点からホモタイプやランダムタイプが好ましく用いられる。
【0037】
上記ホモタイプのポリプロピレンとしては、目的とする高い透明性を有する粘着シートが得られる樹脂であれば特に制限なく用いられ、市販品として、たとえば、ZS1327A、F104A、F3900、J−5900(上記はいずれもプライムポリマー社製)等があげられる。
【0038】
ランダムタイプのプロピレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィン成分としては、たとえば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等があり、好ましくは、エチレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン―1である。また他に、4−メチル−1、4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを重合体成分の一部として使用することができる。さらにノルボルネン等の環状オレフィンを重合することもできる。
【0039】
ランダムタイプのプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体としては、たとえば、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体等があげられる。市販品としては、たとえば、F327、J−5910、J−5710(上記はいずれもプライムポリマー社製)、ウィンテックWFX6、ウィンテックWFX4、ウィンテックWFX4T、ウィンテックWFX4TA、ウィンテックWFW4(上記はいずれも日本ポリプロ社製)等があげられる。これらの中でもメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は均一な組成の共重合体となり、高い透明性を有する帯電防止層が得られることから好ましく用いられる。
【0040】
ここでメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、たとえば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等があり、好ましくは、エチレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン―1である。また他に、4−メチル−1、4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを重合体成分の一部として使用することができる。さらにノルボルネン等の環状オレフィンを共重合することもできる。上記ランダム共重合体の具体例としては、プ口ピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プ口ピレン・1−へキセンランダム共重合体、プ口ピレン・エチレン・1−オクテンランダム共重合体、ブ口ピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体等があげられる。
【0041】
また、メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体としては、融点が110℃〜150℃、特に110℃〜135℃のものが成形性ならびに帯電防止剤との相溶性の観点から好ましく用いられる。これらの具体例としては、たとえば、ウィンテックWFX6、ウィンテックWFX4、ウィンテックWFX4T、ウィンテックWFX4TA、ウィンテックWFW4(上記はいずれも日本ポリプロ社製)等の市販品があげられる。
【0042】
本発明に用いられる高分子型帯電防止剤は、オレフィンブロックと親水性ブロックとを有するブロック共重合体である。ブロック共重合体のオレフィンブロックは帯電防止層を形成する樹脂中に均一に分散するための機能を担い、親水性ブロックは帯電防止の機能を担っている。したがって、これら双方の成分を含む共重合体により、帯電防止層中に帯電防止剤が均一に分散し、安定した帯電防止能が発現でき、かつ透明性の高い帯電防止層が形成できる。また、上記ブロック共重合体からなる帯電防止剤を用いることにより、水洗、水拭き等の処理においても帯電防止能の低下がほとんどなく、安定した帯電防止能が得られる。
【0043】
上記ブロック共重合体を形成するオレフィンブロックとは、α―オレフィンの(共)重合体である。ここで使用されるα―オレフィン(A1)としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等があり、好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン―1である。また他に、4−メチル−1、4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを重合体成分の一部として使用することができる。さらにノルボルネン等の環状オレフィンを共重合することもできる。なかでもエチレンおよび/またはプロピレンの熱減成法により得られる低分子量α―オレフィンが好ましく用いられる。
【0044】
α―オレフィンの数平均分子量としては800〜20,000、さらに好ましくは1,000〜10,000、特に好ましくは1,200〜6,000である。上記数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値で求めたものである。
【0045】
オレフィンブロックは、親水性ブロックと化学的に結合されるが、その結合は、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合等から選ばれた少なくとも1種の結合であり、これらの結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有する。このために、オレフィンブロックの分子末端は、親水性ブロックの分子末端官能基と反応性を有する官能基で変性されている必要がある。これらの官能基としては、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、酸無水物基、オキサゾリン基、エポキシ基等がある。これらの中でも変性のし易さからカルボン酸基が好ましい。
【0046】
カルボン酸基をポリマーの末端に有するオレフィンブロックとしては、上記α―オレフィン(A1)の末端をα、β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物[(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸およびフマル酸など、(メタ)アクリル酸はアクリル酸および/またはメタクリル酸を示し、(無水)マレイン酸はマレイン酸および/または無水マレイン酸を示す。以下同様]で変性したポリオレフィン(A2)、および上記オレフィン(A2)をラクタム(カプロラクタム、ラウロラクタム等)またはアミノカルボン酸(11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等)で2次変性したポリオレフィン、上記α―オレフィン(A1)を酸素および/またはオゾンによる酸化変性したポリオレフィン(A3)、ポリオレフィン(A3)をラクタムまたはアミノカルボン酸で2次変性したポリオレフィンおよびこれら2種以上の混合物があげられる。
【0047】
上記α、β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物の使用量は、α―オレフィン(A1)の重量に基づき、繰り返し構造の形成性および帯電防止性の観点から0.5〜40重量部%、好ましくは1〜30重量部%、さらに好ましくは2〜20重量部%である。
【0048】
上記α、β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物のα―オレフィン(A1)への変性方法としては、たとえば、α―オレフィン(A1)の末端2重結合に溶液法または溶融法によりα、β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物を熱的に付加(エン反応)させる方法があげられる。これらの方法の中でも反応の均一性の観点から溶液法が好ましい。
【0049】
溶液法としては、キシレン、トルエンなどの炭化水素系溶媒下、α―オレフィン(A1)にα、β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物を加え、窒素などの不活性ガス雰囲気中170〜230℃で反応させる方法があげられる。
【0050】
溶融法としては、α―オレフィン(A1)を加熱溶融後、α、β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物を加え、窒素などの不活性ガス雰囲気中170〜230℃で反応させる方法があげられる。
【0051】
水酸基をポリマーの末端に有するオレフィンブロックとしては、たとえば、上記カンボン酸基変性ポリオレフィンを炭素数2〜10のヒドロキシルアミン(2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、6−アミノヘキサノール等)で変性したポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0052】
ヒドロキシルアミンによる変性は、たとえば、上記カンボン酸基変性ポリオレフィンとヒドロキシアミンとを直接反応させることによりできる。反応温度は120〜230℃である。
【0053】
変性に用いるヒドロキシアミンのヒドロキシ基の量は上記カンボン酸基変性ポリオレフィン中のα、β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物の残基1個あたり0.1〜2個、好ましくは0.3〜1.5個、さらに好ましくは0.5〜1.2個、特に好ましくは1個である。
【0054】
アミノ基をポリマーの末端に有するオレフィンブロックとしては、たとえば、上記カンボン酸基変性ポリオレフィンをジアミン(炭素数2〜18のジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等)で変性したアミノ基変性ポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0055】
ジアミンによる変性は、たとえば、上記カンボン酸基変性ポリオレフィンとジアミンとを直接反応させることによりできる。反応温度は120〜230℃である。
【0056】
変性に用いるジアミンのアミノ基の量は上記カンボン酸基変性ポリオレフィン中のα、β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物の残基1個あたり0.1〜2個、好ましくは0.3〜1.5個、さらに好ましくは0.5〜1.2個、特に好ましくは1個である。
【0057】
なお、オレフィンブロックの末端は、通常両末端変性されたオレフィンブロックと片末端変性されたオレフィンブロックとの混合物として得られるが、これらの混合物をそのまま使用してもよく、また精製分離して両末端変性されたオレフィンブロックのみもしくは片末端変性されたオレフィンブロックのみを使用することも可能である。
【0058】
該ポリオレフィンブロックの数平均分子量は、800〜50,000、好ましくは1,000〜30,000、さらに好ましくは2,000〜20,000、特に好ましくは2,500〜10,000である。
【0059】
上記親水性ブロックの親水性ポリマーとしては、たとえば、ポリエーテル、ポリエーテル含有親水性ポリマー、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーがあげられる。
【0060】
ポリエーテルとしては、たとえば、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、およびこれらの変性物があげられる。
【0061】
ポリエーテルジオールとしては、たとえば、一般式(1):H―(OA)n―O―E―O―(AO)n′―Hで表されるもの、および一般式(2):H−(OA)m―O―E―O―(AO)m′―Hで表されるもの等があげられる。
【0062】
一般式(1)中、Eは二価の水酸基含有化合物から水酸基を除いた残基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nおよびn′は前記二価の水酸基含有化合物の水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド付加数を表す。n個の(OA)とn′個の(AO)とは、同一であっても異なっていてもよく、また、これらが2種以上のオキシアルキレン基で構成されている場合の結合形式は、ブロックもしくはランダムまたはこれらの組み合わせのいずれでもよい。
【0063】
nおよびn′は、通常1〜300、好ましくは2〜250、特に好ましくは10〜100である。また、nとn′は、同一であっても異なっていてもよい。
【0064】
上記二価の水酸基含有化合物としては、たとえば、一分子中にアルコール性またはフェノール性の水酸基を2個含む化合物、すなわち、ジヒドロキシ化合物があげられ、具体的には、二価アルコール(たとえば炭素数2〜12の脂肪族、脂環式、または芳香族二価アルコール)、炭素数6〜18の二価フェノール、第3級アミノ基含有ジオール等があげられる。
【0065】
脂肪族二価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,12−ドデカンジオール等があげられる。
【0066】
脂環式二価アルコールとしては、たとえば、1,2−および1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等があげられ、芳香族二価アルコールとしては、たとえば、キシレンジオール等があげられる。
【0067】
二価フェノールとしては、たとえば、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ウルシオール等の単環二価フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4′―ジヒドロキシジフェニル−2,2―ブタン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルエーテル等のビスフェノール、およびジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等の縮合多環二価フェノール等があげられる。
【0068】
一般式(2)中、Eは、一般式(1)で記載した二価の水酸基含有化合物から水酸基を除いた残基、Aは、少なくとも一部が一般式(3):―CHR―CHR′―[式中、R、R′の一方は、一般式(4):―CHO(AO)R″で表される基、他方はHである。一般式(4)中、Xは1〜10の整数、R″はHまたは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基である。]で表される置換アルキレン基であり、残りは炭素数2〜4のアルキレン基であってもよい。
【0069】
m個の(OA)とm′個の(AO)とは同一であっても異なっていても良い。mおよびm′ は1〜300であることが好ましく、さらに2〜250、特に10〜100が好ましい。またmとm′とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0070】
上記一般式(1)で示されるポリエーテルジオールは、二価の水酸基含有化合物にアルキレンオキサイドを付加反応させることにより製造することができる。
【0071】
アルキレンオキサイドとしては、たとえば、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド、たとえばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、および1,3−ブチレンオキサイドおよびこれらの2種以上の併用系が用いられる。
【0072】
2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダムおよび/またはブロックのいずれでもよい。アルキレンオキサイドとして好ましいものは、エチレンオキサイド単独およびエチレンオキサイドと他のアルキレンオキサイドとの併用によるブロックおよび/またはランダム付加である。
【0073】
アルキレンオキサイドの付加数は、前記二価の水酸基含有化合物の水酸基1個当たり、好ましくは1〜300、さらに好ましくは2〜250、特に好ましくは10〜100である。
上記一般式(2)で示されるポリエーテルジオールの好ましい製造方法としては下記の(ア)、(イ)等の方法があげられる。
【0074】
(ア)上記二価の水酸基含有化合物を出発物質として、一般式(5):
【化1】
[一般式(5)中のAは炭素数2〜4のアルキレン基、pは1〜10の整数、RはHまたは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはアシル基である。]で表されるグリシジルエーテルを重合、または炭素数2〜4のアルキレンオキサイドと共重合する方法。
【0075】
(イ)上記二価の水酸基含有化合物を出発物質として、側鎖にクロロメチル基を有するポリエーテルを経由する方法。さらに具体的には、エピクロルヒドリン、またはエピクロルヒドリンとアルキレンオキサイドを付加共重合し、側鎖にクロロメチル基を有するポリエーテルを得た後、該ポリエーテルと炭素数2〜4のポリアルキレングリコールとRX(Rは上記したもの、XはCl、BrまたはI)をアルカリ存在下で反応させるか、または該ポリエーテルと炭素数2〜4のポリアルキレングリコールモノカルビルエーテルをアルカリ存在下で反応させる方法である。また、ここで使用される炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとしては、前記したものがあげられる。
【0076】
ポリエーテルジアミンとしては、上記ポリエーテルジオールの水酸基を公知の方法によりアミノ基に変えることにより得ることができる。たとえば、ポリエーテルジオールの水酸基をシアノアルキル化して得られる末端を還元してアミノ基としたものがあげられる。
【0077】
変性物としては、上記ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのアミノカルボン酸変性物(末端アミノ基)、上記ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのイソシアネート変性物(末端イソシアネート基)、および上記ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのエポキシ変性物(末端エポキシ基)があげられる。
【0078】
アミノカルボン酸変性物は、上記ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンとアミノカルボン酸またはラクタムとを反応させることにより得られる。
【0079】
イソシアネート変性物は、上記ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンを有機ジイソシアネートと反応させるか、ポリエーテルジアミンとホスゲンを反応させることにより得られる。
【0080】
有機ジイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素は除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらジイソシアネートの変性体およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0081】
エポキシ変性物は、上記ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンとジエポキシド(ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル、脂環式ジエポキシド等のエポキシ樹脂、エポキシ等量:85〜600)を反応させるか、ポリエーテルジオールとエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)を反応させることにより得られる。
【0082】
上記ポリエーテルの数平均分子量は、150〜20,000、好ましくは300〜20,000、さらに好ましくは1,000〜15,000、特に好ましくは1,200〜8,000である。
【0083】
ポリエーテル含有親水性ポリマーとしては、たとえば、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、ポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド、および、ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタンがあげられる。
【0084】
ポリエーテルエステルアミドは末端にカルボキシル基を有するポリアミドと上記ポリエーテルジオールとから構成される。
【0085】
ポリアミドとしては、たとえば、炭素数6〜12のラクタム開環重合体、炭素数6〜12のアミノカルボン酸の重縮合体、ジアミン(炭素数2〜20の脂肪族ジアミン、炭素数6〜15の脂環式ジアミン、炭素数8〜15の芳香族ジアミンなど)と炭素数4〜20のジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体[低級アルキル(炭素数1〜6)エステル、無水物など]等)とのアミド、およびこれらの混合物があげられる。
【0086】
ポリアミドとしてより具体的には、カプロラクタム開環重合体、12−アミノドデカン酸の重縮合体およびアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとのアミドが好ましく用いられ、カプロラクタム開環重合体が特に好ましく用いられる。
【0087】
ポリエーテルアミドイミドとしては、少なくとも1個のイミド環を有すポリアミドイミドと上記ポリエーテルジオールとから構成される。
【0088】
ポリアミドイミドとしては、炭素数6〜12のラクタムと少なくとも1個のイミド環を形成しうる3価または4価の芳香族ポリカルボン酸とからなる重合体、炭素数6〜12のアミノカルボン酸と3価または4価の芳香族ポリカルボン酸とからなる重合体、ジアミン(炭素数2〜20の脂肪族ジアミン、炭素数6〜15の脂環式ジアミン、炭素数8〜15の芳香族ジアミンなど)と炭素数4〜20のジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体[低級アルキル(炭素数1〜6)エステル、無水物など]等)からなるアミドと3価または4価の芳香族ポリカルボン酸とからなる重合体、およびこれらの混合物が用いられる。
【0089】
ポリエーテルエステルは、ポリエステルと上記ポリエーテルジオールとから構成される。ポリエステルとしては、炭素数4〜20のジカルボン酸とジオール(たとえば炭素数2〜12の脂肪族、脂環式、または芳香族二価アルコール、炭素数6〜18の二価フェノール、第3級アミノ基含有ジオールなど)からなるポリエステル、炭素数6〜12のラクトンもしくは炭素数6〜12のオキシカルボン酸からなるポリエステル、およびこれらの混合物があげられる。
【0090】
ポリエーテルアミドは、上記ポリアミドと上記ポリエーテルジアミンとから構成される。
【0091】
ポリエーテルウレタンは、上記有機ジイソシアネートと上記ポリエーテルジオールまたは上記ポリエーテルジアミンおよび必要により鎖延長剤(上記ジオールにおける2価アルコールおよび上記ジアミンなど)とから構成される。
【0092】
ポリエーテル含有親水性ポリマー中のポリエーテルセグメントの含有量は、成形性の観点からポリエーテル含有親水性ポリマー重量に基づいて30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%である。
【0093】
またポリエーテル含有親水性ポリマー中のオキシアルキレン基の含有量は、帯電防止性および成形性の観点からポリエーテル含有親水性ポリマー重量に基づいて30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%である。
【0094】
ポリエーテル含有親水性ポリマーの数平均分子量としては耐熱性の観点から800以上、さらには1,000以上が好ましく、上記オレフィンブロックとの反応性の観点から50,000以下、30,000以下が好ましい。
【0095】
カチオン性ポリマーとしては、非イオン性分子鎖で隔てられた2〜80個、好ましくは3〜60個のカチオン性基を分子内に有すポリマーが用いられる。
【0096】
非イオン性分子鎖としては2価の炭化水素基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、イミノ結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、カーボネート結合および/またはシロキシ結合を有する炭化水素基ならびに窒素原子または酸素原子を含む複素環構造を有する炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価炭化水素基などの2価の有機基、およびこれらの2種以上の併用があげられる。
【0097】
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜8の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基および炭素数4〜15の脂環式炭化水素基等があげられる。
【0098】
エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、イミノ結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、カーボネート結合および/またはシロキシ結合を有する2価の炭化水素基としては、(ポリ)オキシアルキレン基、ポリエーテルジオールの残基、モノエーテルジオールの残基、ポリチオエーテルの残基、ポリエステルの残基、ポリアミドの残基、ポリウレタンの残基、ポリウレアの残基、ポリカーボネートの残基、ポリオルガノシロキサンの残基等があげられる。これらの中でも2価の炭化水素基およびエーテル結合を有す2価の炭化水素基、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、フェニレン基および(ポリ)オキシエチレン基、(ポリ)オキシプロピレン基が非イオン性分子鎖として好ましい。
【0099】
非イオン性分子鎖の数平均分子量としては28〜10,000、好ましくは300〜5,000である。
【0100】
カチオン性基としては4級アンモニウム塩またはホスホニウム塩を有する基があげられる。4級アンモニウム塩を有する基としては2価の4級アンモニウム塩含有複素環基が好ましい。
【0101】
2価の4級アンモニウム塩含有複素環基としては2価の3級アミノ基含有複素環基[たとえば、2価のイミダゾール環基(1,4−イミダゾレン基、2−フェニル−1,4−イミダゾレン基など)、2価のピペリジン環基(2,3−ピペリジレン基、3,4−ピペリジレン基、2,6−ピペリジレン基など)、および2価の芳香複素環基(2,3−ピリジレン基、2,4−ピリジレン基、2,5−ピリジレン基、2,6−ピリジレン基、3,4−ピリジレン基、3,5−ピリジレン基、2,5−ピリミジニレン基、3,6−ピリダジニレン基、および2,5−ピラジニレン基など)]が4級化されたものがあげられる。
【0102】
カチオン性基の対アニオンとしては超強酸アニオンおよびその他のアニオンがあげられる。超強酸アニオンとしてはプロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導される超強酸(4フッ化ホウ酸、6フッ化リン酸など)のアニオンおよびトリフルオロメタンスルホン酸などの超強酸があげられる。その他のアニオンとしては、ハロゲンイオン(F、Cl、Br、I)、OH、PO、ClO、NO、CHCOO、COSO、CHOSO等があげられる。
【0103】
カチオン性ポリマーの末端構造はオレフィンブロックとの反応性の観点からカルボニル基、水酸基、アミノ基であることが好ましい。
【0104】
また、カチオン性ポリマーの数平均分子量としては500〜20,000、好ましくは1,000〜15,000、さらに好ましくは1,200〜8,000である。
【0105】
アニオン性ポリマーとしては、スルホニル基を有するジカルボン酸と、ジオールまたはポリエーテルとを必須構成単位とし、かつ一分子内に好ましくは2〜80個、さらに好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーがあげられる。
【0106】
スルホニル基を有するジカルボン酸としては、スルホニル基を有する芳香族ジカルボン酸、スルホニル基を有する脂肪族ジカルボン酸およびこれらのスルホニル基のみが塩となったものがあげられる。これらのうちスルホニル基を有する芳香族ジカルボン酸が好ましく用いられる。
【0107】
スルホニル基を有する芳香族ジカルボン酸としては、たとえば2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸およびこれらのエステル誘導体[低級アルキル(炭素数1〜4)エステル、酸無水物など]があげられる。
【0108】
スルホニル基を有する脂肪族ジカルボン酸としては、たとえば、スルホコハク酸およびそのエステル誘導体があげられる。
【0109】
これらのスルホニル基のみが塩となったものとしては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)基を有すモノ、ジ、またはトリアミン等のアミン塩、これらアミンの4級アンモニウム塩、およびこれらの2種以上の併用があげられる。
【0110】
アニオン性ポリマーを構成するジオールまたはポリエーテルのうち好ましいものとしては、炭素数2〜10のアルカンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度2〜20)、ビスフェノールのエチレンオキシド付加物(付加モル数2〜60)およびこれらの2種以上の混合物である。
【0111】
アニオン性ポリマーの数平均分子量としては500〜20,000、好ましくは1,000〜15,000、さらに好ましくは1,200〜8,000である。
【0112】
また、本発明の高分子型帯電防止剤は、上記ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとを公知の方法で重合することによって得ることができる。たとえば、オレフィンブロックと親水性ブロックを減圧下200〜250℃で重合反応を行うことにより製造することができる。
【0113】
また、重合反応に際し公知の重合触媒を使用することができるが、好ましいものは、モノブチルスズオキサイド等のスズ系触媒、三酸化アンチモン、二酸化アンチモン等のアンチモン系触媒、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒、ジルコニウム水酸化物、酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム等のジルコニウム系触媒、IIB族有機酸塩触媒から選ばれる1種または2種以上の組み合わせである。
【0114】
上記オレフィンブロックと親水性ブロックとからなるブロック共重合体の数平均分子量としては帯電防止性の観点から2,000〜60,000、好ましくは5,000〜40,000、さらに好ましくは8,000〜30,000である。
【0115】
ブロック共重合体を構成する親水性ブロックの含有量はブロック共重合体の重量に基づいて10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましく、30〜70重量がさらに好ましい。
【0116】
かかるブロック共重合体は、たとえば、特開2001−278985号公報、特開2003−48990号公報に記載の方法で製造することができ、さらに、本発明の帯電防止剤は、三洋化成工業社製ペレスタット300シリーズの300、303および230(商品名)等として入手できる。
【0117】
本発明の高分子型帯電防止剤の使用量は、帯電防止層を形成する樹脂および帯電防止剤の合計重量に基づいて1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは10〜30重量%であり、1重量%未満では帯電防止性が劣り、50重量%を超えるとフィルムの外観が悪化する傾向がある。
【0118】
上記合成樹脂および帯電防止剤の混合方法は特に限定されないが、たとえば、1)樹脂と帯電防止剤をタンブルミキサー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサーなどでドライブレンドして混合する方法、2)樹脂と帯電防止剤をドライブレンドした後、押出機で溶融混合してペレット化する方法、3)樹脂と帯電防止剤のマスターバッチをあらかじめ作製しておき、該マスターバッチ、樹脂ならびに必要に応じてその他添加剤を上記混合機でドライブレンドして混合する方法などがあげられる。
【0119】
また、本発明の目的である、帯電防止性をさらに向上させる見地から、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を含有させることができる。これらの成分は、高分子型帯電防止剤の重合前、もしくは重合時に含有させることができるし、重合後に含有させることも、また本発明の帯電防止層を製造する際に配合することも、またこれらを組み合わせた方法で含有させることもできる。
【0120】
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属および/またはマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の有機酸、スルホン酸、無機酸の塩、およびハロゲン化物等があげられる。
【0121】
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩のより具体的な好ましい例として、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物;過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等のアルカリ金属の無機酸塩、酢酸カリウム、ステアリン酸リチウム等のアルカリ金属の有機酸塩;オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ステアリルスルホン酸、テトラコシルスルホン酸、2−エチルヘキシルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数8〜24のアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩;フェニルスルホン酸、ナフチルスルホン酸等の芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;オクチルフェニルスルホン酸、ドデシルフェニルスルホン酸、ジブチルフェニルスルホン酸、ジノニルフェニルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数6〜18のアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩;ジメチルナフチルスルホン酸、ジイソプロピルナフチルスルホン酸、ジブチルナフチルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸等のアルキル基の炭素数2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩;トリフルオロメタンスルホン酸等のフッ化スルホン酸等のアルカリ金属塩等があげられ、これらは、1種単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0122】
上記金属の塩は、本発明の高分子型帯電防止剤に対して、好ましくは0.001〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜5重量%の範囲で用いることができる。
【0123】
帯電防止層の厚さは一般に1〜100μm、好ましくは2〜80μm、より好ましくは3〜70μm、さらに好ましくは5〜50μm、特に好ましくは5〜30μmである。
【0124】
なお、上記帯電防止層には本発明の目的を損なわない範囲において酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤などフィルム基材に一般に用いられる各種添加剤、充填剤を適宜添加することが可能である。
【0125】
上記基材層、帯電防止層の製膜方法については、特に限定されず押出し法、インフレーション法、チューブラー法などの公知の製膜方法が用いられる。いずれの方法においても共押出が可能なダイスより樹脂を積層した状態で押出して製膜するか、基材層に帯電防止層をラミネートするか、または基材層と帯電防止層を接着剤もしくは接着層をもちいて貼り合せることで形成される。なお、基材層としては2層以上の多層構成とすることも可能である。本発明においては透明性を発現するために共押出し法による製膜が好ましい。
【0126】
共押出し法では基材層を形成する樹脂の温度はたとえば85〜280℃、帯電防止層を形成する樹脂の温度はたとえば85〜230℃、ダイスの温度をたとえば180〜280℃にして成形することができる。
【0127】
ラミネート法では、たとえば各層を積層した後、加熱圧着してもよいし、あらかじめ各層を加熱した後、圧着してもよい。
【0128】
接着剤を利用する方法としては、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、メタクリル酸メチル重合体エラストマーなどを接着剤として用いることが可能である。
【0129】
本発明の粘着剤層に用いられる粘着剤としては、液晶パネルのパネル面等に糊残りや汚染がなく、再剥離可能に粘着できる特性を有するものであれば特に限定されず用いることができる。粘着剤としてはたとえば、アクリル系、天然ゴム系、合成ゴム系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、エチレン−アクリル酸エステル系、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体系、ポリウレタン系、ポリエステル系などの各種粘着剤があげられる。
【0130】
これらの粘着剤の中でも透明性が高く、かつ光学シートとの良好な密着特性を発現する粘着剤を得やすい理由から、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。
【0131】
アクリル粘着剤としては、単量体成分として炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを50〜100重量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いる。
【0132】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーとしては、上述したものに該当する粘着性を有する(メタ)アクリル系ポリマーであれば特に限定されない。
【0133】
なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいう。また(メタ)アクリル酸アルキルとは、アクリル酸アルキルおよび/またはメタクリル酸アルキルをいい、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0134】
炭素数1〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0135】
なかでも、本発明の再剥離型粘着シートに用いる場合には、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートが好適に用いられる。炭素数6〜14のアルキル基を主成分とする(メタ)アクリレートからなる(メタ)アクリル系ポリマーを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れたものとなる。
【0136】
上述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、(メタ)アクリル系ポリマーの全単量体成分中50〜100重量%であることが好ましく、60〜99.5重量%がより好ましく、70〜99重量%がさらに好ましい。
【0137】
また、本発明においては、上述の炭素数1〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートのほかに、架橋剤と反応しうる官能基含有モノマーや(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移点や剥離性を調整するためのその他重合性単量体成分を使用することができる。
【0138】
上記官能基含有モノマーとしては、たとえば、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アジリジン基含有モノマーなどの架橋化基点として働く官能基を有す成分を適宜用いることができる。
【0139】
カルボキシル基含有モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などがあげられる。
【0140】
酸無水物基含有モノマーとしては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、上記のカルボキシル基含有モノマーの酸無水物体などがあげられる。
【0141】
ヒドロキシル基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0142】
アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0143】
エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0144】
イソシアネート基含有モノマーとしては、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどがあげられる。
【0145】
上記官能基含有(メタ)アクリレートは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーの全単量体成分中0.1〜15重量%であることが好ましく、0.2〜12重量%であることがより好ましく、0.3〜10重量%であることが特に好ましい。上記官能基含有(メタ)アクリレートの含有量が0.1重量%よりも少なくなると、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、糊残りの原因となる傾向がある。一方、上記官能基含有(メタ)アクリレートの含有量が15重量%を超えると、粘着剤組成物の凝集力が大きくなりすぎて流動性が低下し、被着体の濡れが不十分となって、はがれの原因になる傾向がある。
【0146】
また、その他の重合性単量体成分として、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移点や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0147】
その他の重合性単量体成分としては、たとえば、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物などの凝集力・耐熱性向上成分や、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類などの接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分を適宜用いることができる。
【0148】
スルホン酸基含有モノマーとしては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウムなどがあげられる。
【0149】
リン酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートがあげられる。
【0150】
シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
【0151】
ビニルエステル類としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
【0152】
芳香族ビニル化合物としては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
【0153】
アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピリアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
【0154】
イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
【0155】
ビニルエーテル類としては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0156】
上述のその他の重合性単量体成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーの全単量体成分中0〜35重量%であることが好ましく、0〜30重量%がより好ましく、0〜25重量%が特に好ましい。上述のその他の重合性単量体成分を用いることにより、および良好な接着性を適宜調節することができる。
【0157】
また、ベースポリマーとして上記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が通常−100℃〜0℃であることが好ましく、−80℃〜−10℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が0℃より高くなると、十分な粘着力を得るのが困難になる場合がある。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、使用する単量体成分やそれらの組成比を適宜変更することにより前記範囲内に調整することができる。また、(メタ)アクリル系ポリマーはランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれであってもよい。
【0158】
上記アクリルポリマーは、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などアクリルポリマーの合成手法として一般的に用いられる重合方法によって得られる。
【0159】
本発明では、比較的容易に目的とする粘着剤組成物が得られる理由から溶液重合、乳化重合が好ましく用いられる。
【0160】
溶液重合としては、粘着剤の溶液重合方法として従来公知の手法が用いられる。たとえば、まず上記したモノマーや共重合モノマーを混合し重合開始剤および溶剤を加えて、溶液重合を行う。
【0161】
本発明に用いられる重合開始剤としては、アゾ系化合物や過酸化物などが用いられる。
【0162】
アゾ系化合物の具体例としては2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等があげられる。
【0163】
過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシシド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキシシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等があげられる。
【0164】
溶剤としては、各種一般的な有機溶剤が用いられる。たとえば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などがあげられる。溶剤は1種または2種以上組み合わせて使用する事もできる。
【0165】
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、通常0.001〜0.4重量部、0.002〜0.2重量部用いられることが好ましい。
【0166】
乳化重合としては、たとえば、まず上記したモノマーや共重合モノマーを混合し、これに乳化剤および水を配合した後、乳化してエマルションを調製する。このときのモノマーは使用する全体量の全部あるいは一部配合し、残りは重合途中に滴下することも可能である。次いで、このエマルションに重合開始剤および必要により水を加えて、乳化重合(エマルション重合)する。
【0167】
本発明において用いられる乳化剤、重合開始剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。
【0168】
本発明に用いられる乳化剤としては、アルキル硫酸エステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類などのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類などのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0169】
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基(反応性官能基)が導入された乳化剤を用いてもよい。具体的には、たとえば、特開平4−53802号公報に記載されているものなどがあげられ、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE−10N(旭電化工業社製)、ラテムルPD−104(花王社製)などがあげられる。
【0170】
乳化剤の使用量は、重合安定性や機械的安定性からモノマー100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好ましい。
【0171】
なお、本発明に用いる水は、エマルションの調製時にのみ配合してもよく、あるいは、その後に、さらに配合してもよく、後述する重合方法に応じて適宜選択することができる。また、水の配合量は、特に限定されるものではないが、エマルション重合(乳化重合)後の(メタ)アクリル系ポリマーの固形分濃度が、30〜75重量%、好ましくは35〜70重量%になるように調製する。
【0172】
本発明に用いる乳化重合用の重合開始剤としては、たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレートなどのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0173】
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、通常0.001〜0.1重量部、0.002〜0.05重量部用いられることが好ましい。
【0174】
乳化重合(エマルション重合)の方法は、特に限定されず、一括重合法(一括仕込み法)、連続滴下法(モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法)、これらを組み合わせた重合法などから適宜選択することができる。
【0175】
一括重合法では、たとえば、反応容器にモノマー混合物、乳化剤、および水を仕込み、攪拌混合により乳化させてエマルションを調製した後、さらにこの反応容器に重合開始剤および必要により水を加えて乳化重合(エマルション重合)する。
【0176】
また、連続滴下法では、たとえば、まずモノマー混合物、乳化剤および水を加えて、攪拌混合により乳化させて滴下液を調製するとともに、反応容器に重合開始剤および水を仕込み、次いで滴下液を反応容器内に滴下して、乳化重合(エマルション重合)する。
【0177】
さらに、エマルション重合後の添加剤としては、たとえば、pH緩衝剤、中和剤、発泡防止剤、安定剤など公知のものを適宜用いることができる。
【0178】
また、本発明においては、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。これらの連鎖移動剤を用いることにより、(メタ)アクリル系ポリマーの分子量などを調整することができる。
【0179】
連鎖移動剤としては、たとえば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどがあげられる。
【0180】
これらの連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.01〜1重量部であることが好ましい。
【0181】
粘着剤組成物として特に(メタ)アクリル系ポリマーを用いる場合、(メタ)アクリル系ポリマーを適宜架橋することで、さらに耐熱性、低汚染性に優れた粘着シートが得られる。
【0182】
架橋方法の具体的手段としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、金属キレート化合物など、(メタ)アクリル系ポリマーに適宜架橋化基点として含ませたカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基などと反応しうる基を有する化合物を添加し反応させるいわゆる架橋剤を用いる方法がある。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。中でも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネ−ト化合物やエポキシ化合物が特に好ましく用いられる。
【0183】
このうちイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。
【0184】
上記イソシアネ−ト化合物としては、たとえばブチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−トなどの低級脂肪族ポリイソシアネ−ト類、シクロペンチレンジイソシアネ−ト、シクロヘキシレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂環族イソシアネ−ト類、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−トなどの芳香族ジイソシアネ−ト類、トリメチロ−ルプロパン/トリレンジイソシアネ−ト3量体付加物(商品名コロネ−トL)、トリメチロ−ルプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネ−ト3量体付加物(商品名コロネ−トHL)、ヘキサメチレンジイソシアネ−トのイソシアヌレート体(商品名コロネ−トHX)[上記いずれも日本ポリウレタン工業社製]などのイソシアネ−ト付加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0185】
上記エポキシ化合物としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名TETRAD−C)[上記いずれも三菱瓦斯化学社製]などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0186】
上記メラミン系化合物としてはヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、TAZM、TAZO(以上、すべて相互薬工社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0187】
なお、乳化重合により得られた(メタ)アクリル系ポリマーを架橋する際には水溶性架橋剤を用いることが好ましい。
【0188】
水溶性架橋剤としては、たとえば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物、水分散型イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、親水化処理カルボジイミド化合物、活性メチロール化合物、活性アルコキシメチル化合物、金属キレートなどをあげることができる。
【0189】
架橋剤の使用量は、架橋すべきアクリルポリマーとのバランスにより、さらには、粘着シートとしての使用用途によって適宜選択される。アクリル粘着剤の凝集力により充分な耐熱性を得るには一般的には、上記アクリルポリマー100重量部に対して、0.01〜15重量部含有されていることが好ましく、0.5〜10重量部含有されていることがより好ましい。含有量が0.01重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また、糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が15重量部を越える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、被着体への濡れが不十分となって、はがれの原因となる傾向がある。
【0190】
また、実質的な架橋剤として放射線反応性不飽和結合を2個以上有す多官能モノマーとして添加し、放射線などで架橋させることもできる。
【0191】
放射線反応性不飽和結合を2個以上有す多官能モノマーとしてはビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基の如き放射線の照射で架橋処理(硬化)しうる1種または2種以上の放射線反応性を2個以上有す多官能モノマー成分が用いられる。なお一般的には放射線反応性不飽和結合が10個以下のものが好適に用いられる。多官能モノマーは2種以上を併用することも可能である。多官能モノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどあげられる。
【0192】
多官能モノマーの使用量は、架橋すべきアクリルポリマーとのバランスにより、さらには、粘着シートとしての使用用途によって適宜選択される。アクリル粘着剤の凝集力により充分な耐熱性を得るには一般的には、アクリルポリマー100重量部に対して0.1〜30重量部で配合するのが好ましい。また柔軟性、接着性の点からアクリルポリマー100重量部に対して、10重量部以下で配合するのがより好ましい。
【0193】
放射線としては、たとえば、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、X線、電子線などがあげられるが、制御性および取り扱い性の良さ、コストの点から紫外線が好適に用いられる。より好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用いられる。紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。
【0194】
なお、放射線として紫外線を用いる場合にはアクリル粘着剤に光重合開始剤を添加する。
【0195】
光重合開始剤としては、放射線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよく、光ラジカル重合開始剤としてたとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、o−ベンゾイル安息香酸メチル−p−ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン等のベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、トリクロルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(エトキシ)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどがあげられる。
【0196】
光カチオン重合開始剤としてたとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。
【0197】
上記光重合開始剤については、2種以上併用することも可能である。光重合開始剤は、アクリルポリマー100重量部に対し、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部の範囲で配合するのが好ましい。
【0198】
さらにアミン類などの光開始重合助剤を併用することも可能である。前記光開始助剤としては、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルなどがあげられる。上記光重合開始助剤については、2種以上併用することも可能である。重合開始助剤は、アクリルポリマー100重量部に対し、0.05〜10重量部、さらには0.1〜7重量部の範囲で配合するのが好ましい。
【0199】
さらに本発明の粘着シートに用いられる粘着剤組成物には、従来公知の各種の粘着付与剤や表面潤滑剤、界面活性剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0200】
一方、本発明の粘着剤層は、以上のような粘着剤組成物を架橋してなるものである。また、本発明の粘着シートは、かかる粘着剤層を基材層(支持フィルム)上に形成してなるものである。その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持フィルムなどに転写することも可能である。
【0201】
フィルム上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、上記粘着剤組成物を支持フィルムに塗布し、重合溶剤(有機溶剤、水または水溶液)などを乾燥除去して粘着剤層を支持フィルム上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を支持フィルム上に塗布して粘着シートを作製する際には、支持フィルム上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤および/または重合溶剤以外の1種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0202】
また、本発明の粘着剤層の形成方法としては、粘着シートの製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、含浸およびカーテンコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法があげられる。
【0203】
本発明の粘着シートは、上記粘着剤層を通常厚み3〜100μm、好ましくは5〜50μm程度となるように支持フィルム上の片面に塗布形成し、シート状やテープ状などの形態としたものである。
【0204】
また、本発明の粘着シートは、特に静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いられることが好ましい。なかでも特に、液晶ディスプレイなどに用いられる偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、輝度向上フィルム、などの光学部材表面を保護する目的で用いられる表面保護フィルムとして非常に有用となる。
【実施例】
【0205】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0206】
<分子量の測定>
分子量は、GPC装置(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
・サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:THF
・流速:0.6ml/min
・測定温度:40℃
・カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
・検出器:示差屈折計(RI)
なお、分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
【0207】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
得られた(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度Tg(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tg(℃)として下記の文献値を用い、下記の式により求めた。
式:1/(Tg+273)=Σ〔W/(Tg+273)〕
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度(℃)、W(−)は各モノマーの重量分率、Tg(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度(℃)、nは各モノマーの種類を表す。〕
(文献値:中部経営開発センター出版部発行“アクリル樹脂の合成・設計と信用と開発”参照)
・2−エチルヘキシルアクリレート:−70℃
・n−ブチルメタクリレート:20℃
・2−ヒドロキシエチルアクリレート:−15℃
・アクリル酸:106℃
【0208】
<融点(Tm)の測定>
帯電防止フィルムに用いた各樹脂(ポリマー)の融点(℃)については、セイコー電子工業社製、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。測定条件としては、サンプル約5mgを採り、200℃5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で冷却し、その後10℃/分の昇温速度で融解させた。この時に得られる融解曲線のピーク温度を融点(℃)として求めた。
【0209】
<フィルムの調製>
(帯電防止フィルム(A))
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFW4、融点:135℃)75重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)25重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFW4、融点:135℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(A)を得た。
【0210】
(帯電防止フィルム(B))
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)75重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)25重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(B)を得た。
【0211】
(帯電防止フィルム(C))
メタロセン以外の触媒により重合されたランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、F327、融点:138℃)75重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)25重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、前述のランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、F327、融点:138℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(C)を得た。
【0212】
(帯電防止フィルム(D))
メタロセン以外の触媒により重合されたランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、F327、融点:138℃)75重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)25重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(D)を得た。
【0213】
(帯電防止フィルム(E))
メタロセン以外の触媒により重合されたランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、J−5710、融点:152℃)75重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)25重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(E)を得た。
【0214】
(帯電防止フィルム(F))
メタロセン以外の触媒により重合されたホモポリプロピレン(プライムポリマー社製、ZS1327A、融点:162℃)75重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)25重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、前述のホモポリプロピレン(プライムポリマー社製、ZS1327A、融点:162℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコ口ナ放電処理し、帯電防止フィルム(F)を得た。
【0215】
(非帯電防止フィルム(G))
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により単層押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて基材層60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの片面にコロナ放電処理し、非帯電防止フィルム(G)を得た。
【0216】
(非帯電防止フィルム(H))
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFW4、融点:135℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により単層押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて基材層60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの片面にコロナ放電処理し、非帯電防止フィルム(H)を得た。
【0217】
(非帯電防止フィルム(I))
メタロセン以外の触媒により重合されたランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、F327、融点:138℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により単層押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて基材層60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの片面にコロナ放電処理し、非帯電防止フィルム(I)を得た。
【0218】
(非帯電防止フィルム(J))
メタロセン以外の触媒により重合されたホモポリプロピレン(プライムポリマー社製、ZS1327A、融点:162℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により単層押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて基材層60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの片面にコロナ放電処理し、非帯電防止フィルム(J)を得た。
【0219】
(帯電防止フィルム(K))
ポリエチレン(住友化学社製、L705)75重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)25重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:200℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、ポリエチレン(日本ポリエチ社製、LF440C)を基材層としてTダイ(ダイス温度:200℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(K)を得た。
【0220】
(帯電防止フィルム(L))
メタロセン以外の触媒により重合されたブロックポリプロピレン(日本ポリプロ社製、NEWSTREN SB8000)75重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)25重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、前述のブロックポリプロピレン(日本ポリプロ社製、NEWSTREN SB8000)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(L)を得た。
【0221】
(帯電防止フィルム(M))
ポリエチレン(東ソー社製、ペトロセン0M05A)75重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタット VH230)25重を二軸押出し機(シリンダー設定温度:200℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテック WFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:200℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(M)を得た。
【0222】
(帯電防止フィルム(N))
帯電防止処理されたポリエステルフィルム(三菱化学ボリエステルフィルム社製、T100G、厚み:38μm)を帯電防止フィルム(N)とした。
【0223】
(帯電防止フィルム(O))
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)80重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)20重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃でのキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(O)を得た。
【0224】
(帯電防止フィルム(P))
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)90重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)10重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)によりニ層共押出しを行い、20℃でのキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(P)を得た。
【0225】
(帯電防止フィルム(Q))
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)60重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレスタットVH230)40重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(Q)を得た。
【0226】
(帯電防止フィルム(R))
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)90重量部と、オレフィンブロックと親水性ブロックからなる高分子型帯電防止剤ではない帯電防止剤(第一工業製薬社製、レジスタットPE132、多価アルコール系誘導体)10重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(R)を得た。
【0227】
(帯電防止フィルム(S))
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)90重量部と、オレフィンブロックと親水性ブロックからなる高分子型帯電防止剤ではない帯電防止剤(三井・デュポンポリケミカル社製、エンティラMK400、アイオノマー)10重量部を二軸押出し機(シリンダー設定温度:220℃)で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物を帯電防止層とし、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ウィンテックWFX4、融点:125℃)を基材層としてTダイ(ダイス温度:220℃)により二層共押出しを行い、20℃のキャストロールを通して引き取り速度5m/minにて帯電防止層10μm、基材層50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの帯電防止層面とは反対面にコロナ放電処理し、帯電防止フィルム(S)を得た。
【0228】
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
(アクリル系ポリマー(A))
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、環流冷却器を備えた四つ口フラスコに2―エチルヘキシルアクリレート200重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って約6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を調整した。前記アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は50万、ガラス転移温度(Tg)は−68℃であった。
【0229】
(アクリル系ポリマー(B))
2―エチルヘキシルアクリレート50重量部、n−ブチルメタクリレート50重量部、アクリル酸2重量部からなる単量体混合物、乳化剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル1.5重量部およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム1.5重量部、水80重量部とを乳化分散する。この乳化物を温度計、撹拌機、窒素ガス導入管および還流冷却管を備えた四つ口フラスコに仕込み、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド0.02重量部存在下、50℃で7時間乳化重合を行った。その後、アンモニア水および水を加えて、固形分40重量%、pH8.0に調整しアクリル系ポリマー(B)水分散体を得た。得られた水分散体の粒子径は0.2μmであった。またアクリル系ポリマー(B)の溶剤不溶分は92%、溶剤可溶分の分子量は60万、ガラス転移温度(Tg)は−31℃であった。
【0230】
〔実施例1〕
〔粘着剤溶液の調整〕
前記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部にヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.8重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(1)を調製した。
【0231】
〔粘着シートの作製〕
前記アクリル系粘着剤溶液(1)を、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面に塗布し、110℃で3分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。前記粘着剤層を上述のように作製した帯電防止フィルム(A)のコロナ処理面に貼合せ、粘着シートを作製した。
【0232】
〔実施例2〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(B)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0233】
〔実施例3〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(C)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0234】
〔実施例4〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(D)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0235】
〔実施例5〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(E)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0236】
〔実施例6〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(F)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0237】
〔実施例7〕
〔粘着剤溶液の調整〕
前記アクリル系ポリマー(B)水分散体(40重量%)をそのまま用い、これにポリマー固形分100重量部あたり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒社製、エポクロスWS500)4重量部(オキサゾリン価:220)を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌を行い、アクリル粘着剤水分散体(2)を調製した。
【0238】
〔粘着シートの作製〕
前記アクリル粘着剤水分散体(2)を、上述のように作製した帯電防止フィルム(A)のコロナ処理面に塗布し、90℃で3分間加熱して、厚さ5μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤層の表面に、未処理のポリエチレンフィルム(厚さ60μm)を貼合せ、粘着シートを作製した。
【0239】
〔実施例8〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(B)を用いたこと以外は実施例7と同様にして、粘着シートを作製した。
【0240】
〔実施例9〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(C)を用いたこと以外は実施例7と同様にして、粘着シートを作製した。
【0241】
〔実施例10〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(D)を用いたこと以外は実施例7と同様にして、粘着シートを作製した。
【0242】
〔実施例11〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(E)を用いたこと以外は実施例7と同様にして、粘着シートを作製した。
【0243】
〔実施例12〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(F)を用いたこと以外は実施例7と同様にして、粘着シートを作製した。
【0244】
〔実施例13〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(O)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0245】
〔実施例14〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(P)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0246】
〔実施例15〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(K)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0247】
〔実施例16〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(L)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0248】
〔実施例17〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(M)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0249】
〔実施例18〕
〔粘着シートの作製〕
前記帯電防止フィルム(A)に代えて帯電防止フィルム(Q)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0250】
〔比較例1〕
〔粘着シートの作製〕
前記アクリル系粘着剤溶液(1)を、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面に塗布し、110℃で3分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。前記粘着剤層を上述のように作製した非帯電防止フィルム(G)のコロナ処理面に貼合せ、粘着シートを作製した。
【0251】
〔比較例2〕
〔粘着シートの作製〕
前記非帯電防止フィルム(G)に代えて非帯電防止フィルム(H)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0252】
〔比較例3〕
〔粘着シートの作製〕
前記非帯電防止フィルム(G)に代えて非帯電防止フィルム(I)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0253】
〔比較例4〕
〔粘着シートの作製〕
前記非帯電防止フィルム(G)に代えて非帯電防止フィルム(J)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0254】
〔比較例5〕
〔粘着シートの作製〕
前記アクリル系粘着剤溶液(1)を、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面に塗布し、110℃で3分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。前記粘着剤層を上述のように作製した帯電防止フィルム(N)の帯電防止処理面とは反対面に貼合せ、粘着シートを作製した。
【0255】
〔比較例6〕
〔粘着シートの作製〕
前記非帯電防止フィルム(G)に代えて帯電防止フィルム(R)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0256】
〔比較例7〕
前記非帯電防止フィルム(G)に代えて帯電防止フィルム(S)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0257】
上記の実施例および比較例で得られた粘着シートについて、以下の要領で全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗率、粘着力、汚れ防止性の測定および評価を行った。
【0258】
<全光線透過率の測定>
全光線透過率の測定は、JIS K7361「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に規定の方法に準じ、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製、HM−150型)を用いて行った。
【0259】
<ヘーズの測定>
ヘーズの測定は、JIS K7136「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に規定の方法に準じ、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製、HM−150型)を用いて行った。
【0260】
<初期表面抵抗率の測定>
初期表面抵抗率の測定は、JIS K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に規定の方法に準じ、測定器(東亜ディーケーケー社製、DSM−8103)を用い、帯電防止層表面の抵抗値(Ω/□)を測定して行った。印加電圧は500Vとして、印加後30sec後の値を測定した。測定環境は温度23℃、相対湿度50%RHの環境で測定した。
【0261】
<水洗後表面抵抗率の測定>
粘着シートを40℃の温水に30分間浸漬後、ウエスで水を拭き取り、その後温度23℃、相対湿度50%RHの環境で2時間放置し、評価用サンプルとした。上記サンプルを、JIS K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に規定の方法に準じ、測定器測定器(東亜ディーケーケー社製、DSM−8103)を用い、帯電防止層表面の抵抗値(Ω/□)を測定した。印加電圧は500Vとして、印加後30sec後の値を測定した。測定環境は温度23℃、相対湿度50%RHの環境で測定した。
【0262】
<初期粘着力の測定>
粘着シートを25mm幅にカットし、アクリル樹脂板(三菱レイヨン社製、「アクリライトL」)に線圧78.5N/cmで貼り合せ、30分後に引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で引張試験機にて粘着力を測定した。
【0263】
<汚れ防止機能の評価>
粘着シートの帯電防止層に粘着テープNo.31B(日東電工社製)の粘着面を擦り合わせ、No.31Bのアクリル系粘着剤を帯電防止層に付着させた後、ウエスで軽く拭き、粘着剤が簡単に除去できるか確認した。簡単に除去できた場合は○、除去できなかった場合は×とした。
【0264】
上記結果を表1および表2に示す。
【0265】
【表1】
【0266】
【表2】
【0267】
上記表1および2の結果より、本発明によって作製された粘着シートを用いた場合(実施例1〜18)、いずれの実施例においても、透明性に特に優れること、ならびに、帯電防止性に優れることがわかる。さらに、いずれの実施例においても、汚れ防止機能に優れることがわかる。