特許第5678142号(P5678142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5678142無線アクセス技術間(INTER−RADIOACCESSTECHNOLOGY)のセル再選択のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678142
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】無線アクセス技術間(INTER−RADIOACCESSTECHNOLOGY)のセル再選択のための方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20150205BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20150205BHJP
【FI】
   H04W48/16 131
   H04W48/10
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-154799(P2013-154799)
(22)【出願日】2013年7月25日
(62)【分割の表示】特願2012-178164(P2012-178164)の分割
【原出願日】2008年6月18日
(65)【公開番号】特開2013-219837(P2013-219837A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2013年8月26日
(31)【優先権主張番号】60/944,630
(32)【優先日】2007年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/950,734
(32)【優先日】2007年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596008622
【氏名又は名称】インターデイジタル テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(74)【復代理人】
【識別番号】100115624
【弁理士】
【氏名又は名称】濱中 淳宏
(74)【復代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】ダイアナ パニ
(72)【発明者】
【氏名】モハメド サモール
(72)【発明者】
【氏名】シャンカー ソマスンダラム
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ラジャ ピー.ムケルジー
【審査官】 深津 始
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−153325(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/040935(WO,A1)
【文献】 3GPP TS 25.304,2006年12月,V7.1.0,p.1-38,URL,http://www.quintillion.co.jp/3GPP/Specs/25304-710.pdf
【文献】 3GPP TS 25.133,2007年 3月,V7.7.1,p.16-19,URL,http://www.quintillion.co.jp/3GPP/Specs/25133-771.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 −H04W 99/00
H04B 7/24 −H04B 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送受信ユニット(WTRU)において実行されるセル再選択のための測定を行う方法であって、
システム情報のブロードキャストによって優先順位情報を受信するステップであって、
前記優先順位情報は候補となる(candidate)無線アクセス技術(RAT)に関連する異なるRAT(inter−RAT)セルについてのセル再選択の優先順位情報を示す、ステップと、
前記優先順位情報に基づいて、現在のRATに関連する現在のセルについて、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルの相対的な優先順位を決定するステップと、
前記候補となるRAT中の前記異なるRATセルにおいてセル再選択の測定を行うステップであって、前記セル再選択の測定は、
前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルが、前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも相対的に高い優先順位を有すること、または
前記候補となるRATと関連する前記異なるRATセルが前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも相対的に高い優先順位を有していない場合、前記現在のセルの品質は予め定められた閾値以下であること
の少なくとも1つに基づいて行われる、ステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記異なるRATセルの前記セル再選択の測定は、前記現在のセルの前記品質にかかわらず、前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも相対的に高い優先順位を有する前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルに基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルにおいて前記セル再選択の測定を行うための第1のトリガは、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルが前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも相対的に高い優先順位を有することであり、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルにおいて前記セル再選択の測定を行うための第2のトリガは、前記現在のセルの前記品質が予め定められた閾値以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記現在のセルの前記品質は、前記現在のセルについてのセル選択値を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記WTRUは、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルが前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも高い優先順位を有さないことに基づいて前記異なるRATセルの前記セル再選択の測定を行うか否かを決定する際に、前記現在のセルの前記セル選択値を考慮することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記優先順位情報に基づいて、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルが、前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも高い優先順位を有するか否かを決定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記セル再選択の測定に基づいて、前記異なるRATセルへの再選択を行うステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記優先順位情報は、前記異なるRATセルについての周波数情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
セル再選択を行う無線送受信ユニット(WTRU)であって、前記WTRUは、
システム情報のブロードキャストによって優先順位情報を受信することであって、前記優先順位情報は候補となる(candidate)無線アクセス技術(RAT)に関連する異なるRAT(inter−RAT)セルについてのセル再選択の優先順位情報を示し、
前記優先順位情報に基づいて、現在のRATに関連する現在のセルについて、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルの相対的な優先順位を決定すること、および
前記候補となるRAT中の前記異なるRATセルにおけるセル再選択の測定の実行をトリガすることであって、前記セル再選択の測定は、
前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルが、前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも相対的に高い優先順位を有すること、または
前記候補となるRATと関連する前記異なるRATセルが前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも相対的に高い優先順位を有していない場合、前記現在のセルの品質は予め定められた閾値以下であること
の少なくとも1つに基づいてトリガされること、
を行うように構成されたプロセッサを備えることを特徴とするWTRU。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記現在のセルの前記品質にかかわらず、前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも相対的に高い優先順位を有する前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルに基づいて、前記異なるRATセルの前記セル再選択の測定をトリガするように構成されたことを特徴とする請求項9に記載のWTRU。
【請求項11】
前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルにおいて前記セル再選択の測定を行うための第1のトリガは、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルが前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも相対的に高い優先順位を有することであり、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルにおいて前記セル再選択の測定を行うための第2のトリガは、前記現在のセルの前記品質が予め定められた閾値以下であることを特徴とする請求項9に記載のWTRU。
【請求項12】
前記現在のセルの前記品質は、前記現在のセルについてのセル選択値を含むことを特徴とする請求項11に記載のWTRU。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルが前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも高い優先順位を有さないことに基づいて前記異なるRATセルの前記セル再選択の測定を行うか否かを決定する際に、前記現在のセルの前記セル選択値を考慮するように構成されたことを特徴とする請求項12に記載のWTRU。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記優先順位情報に基づいて、前記候補となるRATに関連する前記異なるRATセルが、前記現在のRATに関連する前記現在のセルよりも高い優先順位を有するか否かを決定するようにさらに構成されたことを特徴とする請求項9に記載のWTRU。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記セル再選択の測定に基づいて、前記異なるRATセルへの再選択をトリガするようにさらに構成されたことを特徴とする請求項9に記載のWTRU。
【請求項16】
前記優先順位情報は、前記異なるRATセルについての周波数情報を含むことを特徴とする請求項9に記載のWTRU。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)は、スペクトル効率の改良、待ち時間の低減、より高速のユーザ体験、並びにより豊富なアプリケーションおよびサービスを低コストで提供するために、新しい技術、新しいネットワークアーキテクチャおよび構成、ならびに新しいアプリケーションおよびサービスを無線セルラーネットワークにもたらすLTE(Long Term Evolution)プログラムを開始した。LTEは、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)を実現することを目的としている。
【0003】
ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)では、無線送受信ユニット(WTRU)は、セルにキャンプオンすると(すなわち、WTRUがセルを選択し、そのセルの制御チャネルに同調されると)、1組の基準に従って、更に好適なセルを定期的に検索する。より好適なセルが見つかった場合、そのセルが選択され、WTRUは、そのセルにキャンプオンする。以前のUMTSシステムでは、WTRUは、アイドルモード、フォワードアクセスチャネル(FACH)モード、またはページングチャネル(PCH)モードのいずれかで、セルの再選択を行うことができた。LTEでは、LTE_IdleおよびLTE_Activeの2つの状態しかない。WTRUは、LTE_Idle状態でしか、セルの再選択を行うことができない。
【0004】
従来のUMTSシステムでは、WTRUは、あるセルにキャンプオンすることを決定する前に、それがキャンプオンしている現在のセルについて、いくつかの基本的な基準をチェックすることが必要である。WTRUがあるセルにキャンプオンするのに、条件Squal>0(セル選択品質値)およびSrxlev>0(セル選択受信レベル値)が満たされる必要があり、この場合、Squalは、次のように測定される。
Squal=Ec/Io−Qqualmin 式(1)
【0005】
式中、Ec/Io(チャネルにおける総電力に対する測定されるパイロット信号のエネルギーの比率)は、WTRUによって測定され、値Qqualmin(そのセルにおける最小必要品質レベル(minimum required quality level))は、システムによってブロードキャストされ、セル選択および再選択情報を含むシステム情報ブロック(SIB)3から読み出される。Srxlevは、次のように測定される。
Srxlev=RSCP−Qrxlevmin−max(UE_TXPWR_MAX_RACH−P_MAX,0) 式(2)
【0006】
式中、受信信号コード電力(received signal code power:RSCP)は、WTRUによって測定され、Qrxlevmin(そのセルにおける最小必要受信レベル(minimum required reception level))およびUE_TXPWR_MAX_RACH(ランダムアクセスチャネル(RACH)上でセルにアクセスするときにWTRUが使用し得る最大送信電力レベル)は、SIB3から読み出される。P_MAXは、WTRUの最大無線周波数出力電力である。
【0007】
Qqualmin、Qrxlevmin、およびUE_TXPWR_MAX_RACH以外の他のいくつかのパラメータは、セルの再選択のためにSIB3およびSIB11で送信される。以下のパラメータは、SIB3で送信される。
【0008】
Sintrasrch(オプション)は、周波数内測定(intra−frequency measurements)をトリガするための閾値である。WTRUは、Squal≦Sintrasrchであるときに、周波数内隣接セルを測定するものとする。WTRUは、Sintrasrchが指定されていないとき、常に周波数内隣接セルを測定する。
【0009】
Sintersrch(オプション)は、周波数間測定(inter−frequency measurements)をトリガするための閾値である。WTRUは、Squal≦Sintersrchであるときに、周波数間隣接セルを測定するものとする。WTRUは、Sintersrchが指定されていないとき、常に周波数間隣接セルを測定する。
【0010】
SsearchRAT(オプション)は、異なるRATの測定(inter−RAT measurements)をトリガするための閾値である。WTRUは、Squal≦SsearchRATであるときに、異なるRATの隣接セルを測定するものとする。WTRUは、SsearchRATが指定されていないとき、常に異なるRATの隣接セルを測定する。
【0011】
Qhyst1sは、RSCPに基づくサービングセル(serving cell)のランク付けに使用される。
【0012】
Qhyst2sは、Ec/Ioに基づくサービングセルのランク付けに使用される。
【0013】
Qqualminは、Ec/Ioに基づく、そのセルにおける最小必要品質測定である。
【0014】
Qrxlevminは、RSCPに基づく、そのセルにおける最小必要受信レベルである。
【0015】
UE_TXPWR_MAX_RACHは、RACH上でセルにアクセスするときにWTRUが使用し得る最大許容アップリンク(UL)送信(TX)電力である。
【0016】
Treselectionは、WTRUがそのセルを再選択するために隣接セルがセル再選択基準を満たすべき時間量を示すタイマの値である。
【0017】
セル選択および再選択品質測定は、Ec/IoまたはRSCPのいずれかであり、ランク付けの基とすべき測定量を指定する。
【0018】
隣接セル情報に関連する以下のパラメータは、SIB11で送信される。
【0019】
隣接リスト(LTEにおいて、隣接セルリスト(NCL)が低減された、またはないことを定義するために作用する)。
【0020】
Qoffset1s,nは、RSCPに基づく、あるセルのランク付けに使用される品質オフセットである。
【0021】
Qoffset2s,nは、Ec/Ioに基づく、あるセルのランク付けに使用される品質オフセットである。
【0022】
UE_TXPWR_MAX_RACHは、隣接セルの最大許容UL TX電力である。
【0023】
Qqualminは、Ec/Ioに基づく最小必要品質測定である。
【0024】
Qrxlevminは、RSCPに基づく最小必要受信レベルである。
【0025】
これらのパラメータを使用して、WTRUは、そのサービングセルおよび隣接セルをランク付けすることができる。UMTSセルの場合、サービングセルのランク付けは、次のように得られる。
Rank_s=RSCP+Qhyst1+Qoffmbms 式(3)
【0026】
UMTSセル(隣接周波数間)の場合、隣接セルのランク付けは、次のように得られる。
Rank_n=RSCP−Qoffset1+Qoffmbms 式(4)
【0027】
また、GSMセルの場合、以下の通りである。
Rank_n=RSSI−Qoffset1+Qoffmbms 式(5)
【0028】
測定量がEc/Ioであるとき、類似のランク付け式を使用することができる。
【0029】
信号値Qoffmbmsは、マルチメディアブロードキャスト−マルチキャストサービス(MBMS)優先周波数層(preferred frequency layer:PL)に属するセル(サービングまたは隣接)に追加される。
【0030】
LTEでは、再選択する対象として、2つのシステム、UTRANおよびGERANが存在するため、GERAN−UTRANセル再選択手順を見ることも役立つ。以下は、GERANからUMTSへのセル再選択に使用される3つのパラメータである。
【0031】
Qsearch_I:サービングGSM(登録商標)セルの強度がこの値を下回る場合、WTRUは、測定を開始する。
【0032】
FDD_Qoffset:WCDMA(登録商標)セルのRSSIがサービングGSMセルのRSSIより高くなければならない量。
【0033】
FDD_Qmin:UTRAN FDDセル再選択の場合のEc/Noについての最小閾値。
【0034】
GSMでの無線リソース層(RR)は、EcIo_AvgとFDD_Qmin_dBとを比較する。EcIo_AvgがFDD_Qmin_dB未満である場合、セル再選択は行われない。EcIo_AvgがFDD_Qminを上回る場合、WCDMAセルとサービングGSMセルとを比較する。FDD_Qoffset≠0では、WCDMAセルのRSCPがGSMセルのRSSI+FDD_Qoffsetを上回る場合、またはFDD_Qoffset=0では、WCDMAセルのRSCPがGSMセルのRSSIを上回る場合、WCDMA隣接セルがより望ましい。
【0035】
セル再選択の上記の基準を使用することによって、セルローディングおよびWTRU帯域幅の性能などのいくつかの因子は考慮されていない。これらの因子は、直交周波数分割多重(OFDM)を物理層媒体とするLTEにおいて関連性がある。さらに、以下の表に記載したセル再選択で考慮され得る他の因子またはドライバがある。表において、L→Lは、LTEからLTEへの周波数間の移動、L→Uは、LTEからUTRANへの異なるRAT間の移動、U→Lは、UTRANからLTEへのRAT間の移動、L→Gは、LTEからGERANへのRAT間の移動、G→Lは、GERANからLTEへのRAT間の移動を示す。表において、「X」の値は、ドライバが必要であることを示し、「(X)」の値は、ドライバはオプションであることを示し、空欄は、ドライバは不要であることを示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
WTRUおよびネットワークがどのようにこれらのパラメータを信号で伝え合うか、およびWTRUが、そのセル再選択の式において、どのようにこれらのパラメータを使用するかに関して、手順を定義する必要がある。さらに、セル再選択のためのいくつかのパラメータは、いくつかのシナリオにおいて、他のパラメータより優先させることができる。セル再選択のための全手順を設計する際に、これらの因子も考慮に入れる必要がある。LTEでは、再選択することができる対象として、2つのシステムが存在するため、セルの再選択のためにいくつかのパラメータを最適化することができるかどうかを見ておく必要もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
異なるRATのセル再選択のためのいくつかのパラメータが提案されており、以下で説明する。本開示は、異なるRATのセル再選択アルゴリズムについて記載し、LTEからの異なるRATのセル再選択のために信号で伝える必要があるオフセットおよび無線状態ベースのパラメータについて説明する。また、UTRANおよびGSMのシステムを考慮に入れるために、LTEにおいてセル再選択アルゴリズムをどのように定義することができるかについても説明する。
【課題を解決するための手段】
【0040】
セル再選択を行うための方法は、まず、現在のセル選択品質値を決定する。セル選択品質値は、予め定められた閾値と比較される。セル選択品質値が予め定められた閾値以下である場合、隣接セルの測定が行われる。同一周波数セル(intra−frequency cell)、異周波数セル(inter−frequency cell)、および異なる無線アクセス技術間セルの測定を行うことができる。測定に基づいて、現在のセルより良い隣接セルが見つかった場合、より望ましい隣接セルが再選択される。
【0041】
添付の図面と共に例として示される以下の説明から、より詳しい理解が得られよう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】基本的なセル再選択手順を示すフローチャートである。
図2】再選択に適したセルを選択するための方法を示すフローチャートである。
図3】異なるRATのセルの検索のための方法を示すフローチャートである。
図4】異なるRATのセルを再選択するように構成されたWTRUを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下で参照するとき、「無線送受信ユニット(WTRU)」という用語は、それだけには限定されないが、ユーザ機器(UE)、移動局、固定式または携帯式の加入者ユニット、ページャ、セルラー電話、個人用デジタル補助装置(PDA)、コンピュータ、または無線環境で動作することができる他の任意のタイプのユーザ装置を含む。以下で参照するとき、「基地局」という用語は、それだけに限定されないが、Node B、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、または無線環境で動作することができる他の任意のタイプのインターフェイス装置を含む。
【0044】
まず、LTEから3GPP、およびLTEから非3GPPへの両方の異なるRATのセル再選択に使用することができる異なる無線状態関連のパラメータについて説明し、次いで、セル再選択アルゴリズムについて説明する。
【0045】
測定量
【0046】
以前のUMTSのバージョンでは、測定量は、Ec/IoまたはRSCPであった。しかし、LTEでは、測定量は、まだ決定されていない。LTEにおける測定として、RSCPと同様に使用することができる参照シンボル受信電力(Reference Symbol Received Power:RSRP)、およびEc/Ioと同様に使用することができる参照シンボル受信品質(Reference Symbol Received Quality:RSRQ)を使用することができる。
【0047】
以下の説明では、測定量としてRSRPおよびRSRQを使用するが、他の測定量を使用することもできる。適応性のあるセル再選択およびハンドオーバーの以下の解決策を、現在のUMTSシステムおよびLTEの両方に適用することができる。例えば、以下の式において、量RSRQは、他の任意の適した「信号品質」測定によって代用することができ、量RSCPは、他の任意の適した「信号レベル」測定、または他の任意の適した測定によって代用することができる。
【0048】
基本的なセル再選択手順
【0049】
図1は、基本的なセル再選択手順100のフローチャートである。WTRUは、最初に、あるセル(現在のサービングセル)にキャンプオンする(ステップ102)。WTRUは、隣接セルを選択し(ステップ104)、選択されたセルを評価して、それがキャンプオンに適しているかどうかを決定する(ステップ106)。選択されたセルが適していない場合、まだ評価されていない隣接セルがさらにあるかどうかに関する決定が行われる(ステップ108)。評価すべきセルがそれ以上ない場合、この方法は終了する(ステップ110)。評価すべきセルがさらにある場合(ステップ108)、WTRUは、別の隣接セルを選択し(ステップ112)、選択されたセルを評価して、それがキャンプオンに適しているかどうかを決定する(ステップ106)。
【0050】
選択されたセルがキャンプオンに適している場合(ステップ106)、適したセルが、予め定められたマージンだけ現在のサービングセルより良いかどうかに関する決定が行われる(ステップ114)。適したセルが予め定められたマージンだけサービングセルより良くなければならない理由は、再選択手順で、現在のサービングセルよりほんのわずかに良いセルを再選択されるのを避けることができるようにするためである。品質差のマージンを必要とすることによって、不要なセルの(WTRUバッテリ電力を浪費することになる)再選択を回避することができる。
【0051】
適したセルが、予め定められたマージンだけ現在のサービングセルより良いわけではない場合、まだ評価されていない隣接セルがさらにあるかどうかに関する決定が行われ(ステップ108)、この方法100は、上述したように続行する。適したセルが少なくとも予め定められたマージンだけ現在のサービングセルより良い場合(ステップ114)、適したセルをキャンプオンするように選択することができ(ステップ116)、この方法は、終了する(ステップ110)。キャンプオンに適したセルがいったん見つかると、考えられる適したセルをさらに検索し続ける必要はない。というのは、追加の検索は、WTRUのバッテリ電力を消費することになるからである。
【0052】
再選択手順に使用されるパラメータ
【0053】
LTEからGERANへのハンドオーバーの場合、UTRANからGERANへのハンドオーバーに使用されるものに類似したパラメータを使用することができる。LTEからUTRANへのハンドオーバーの場合、GERANからUTRANへのハンドオーバーに使用されるものに類似したパラメータを使用することができる。これらのパラメータは、LTEから非3GPP RATのパラメータを含むように拡張することができ、これは、WCDMA(UTRAN)またはGERANから非3GPP RATにも適用可能であり得る。以下は、GSMおよびUTRANの測定の場合に、WTRUに信号で伝えられるARFCN(Absolute Radio Frequency Channel Number:絶対無線周波数チャネル番号)およびUARFCN(UMTS Absolute Radio Frequency Channel Number:UMTS絶対無線周波数チャネル番号)以外の定義されたパラメータである。
【0054】
以下のパラメータは、異なるRATのセル再選択に固有であり、以前のUMTSシステムの「Qqualmin」または「セル再選択または品質測定」などのパラメータも必要である。パラメータ名は、異なっても、類似のパラメータの使用により、以下に記載するセル再選択アルゴリズムに悪影響を与えないようにすることに留意されたい。
【0055】
1.SsearchRAT。LTEセルの場合、SqualがSsearchRAT以下であるとき、WTRUは、異なるRATのセルの測定を開始するものとし、この場合、以下の通りである。
Squal=RSRQ−Qqualmin 式(6)
【0056】
また、Qqualminは、ネットワークによって信号で伝えられる。ネットワークは、異なるRATについて異なる閾値を有することを望む場合、対応している異なるRATごとにSsearchRATの異なる値を信号で伝えることができる。任意の測定サイクルで、SqualがSsearchRATより大きい場合、WTRUは、異なるRATのセルの測定を停止する。
【0057】
あるいは、ネットワークは、いくつかの非3GPP RATを常に測定するようにWTRUを構成することを望む場合がある。非3GPPシステムカバレージがある場合(すなわち、3GPPカバレージに重なるWiMaxカバレージ)、3GPPシステムの信号またはサービス品質が良い(すなわち、測定がトリガされていないこと、または提供される信号強度が特定の閾値を超えることを意味する)場合でさえ、ネットワークは、非3GPP RATを優先することができる。これは、(すなわち支払いのために)使用可能である場合はいつでも、WTRUが別のRATに接続することをネットワークまたはユーザが望む場合に好ましい場合がある。この優先順位の構成をWTRUに信号で伝えるのは、ブロードキャスト情報により、専用のメッセージングを介して、WTRUにおいて予め構成する(すなわち(U)SIMで)、または3GPPの信号品質が良いときでさえ、WTRUが異なるRATのセルを測定するように、非3GPPシステムのSsearchRAT値に大きい値を設定することによって行うことができる。
【0058】
2.Tmeas。LTE_Idleモードでの2つの連続する測定間の秒数。間欠受信(discontinuous reception:DRX)サイクルの長さに基づいて、このパラメータは、「X」DRXサイクルごとに測定を行うことになる。
【0059】
このパラメータが信号で伝えられる場合、サービングセルにおいて「N」回連続するDRXサイクルでS基準が満たされなかった場合、WTRUが異なるRATのセルの測定を行うことができることも提案されており、この場合、Nは、X以下であり、Nは、(1・・・X)の範囲内である。S基準は、以前のUMTSシステムと同様の方法で定義することができ、すなわち、Squalは、式6で上述したように定義され、
Srxlev=RSRP−Qrxlevmin−max(UE_TXPWR_MAX_RACH−P_MAX,0) 式(7)
である。
【0060】
RSRPは、WTRUによって測定され、QrxlevminおよびUE_TXPWR_MAX_RACHは、ネットワークによって送信される。
【0061】
Tmeasの値がWTRUに信号で伝えられない場合、異なるRATのセルが測定されるべき頻度に関するWTRUの実装に任せられることになる。Tmeasの複数の値を信号で伝えることもでき、これは、チャネル状態に応じて、WTRUによって使用することができる。例えば、WTRUは、経験しているチャネル状態が悪い場合、チャネルをより頻繁に測定することができる。サービングセルの信号が予め定められた閾値を下回るときは、チャネル状態が悪い。予め定められた閾値は、ネットワークによって構成することができ、または、WTRUが閾値を内部で選択することができる。したがって、予め定められた閾値は、実装に固有である。WTRUは、経験しているチャネル状態が良い場合、チャネルをあまり頻繁に測定しなくてよい。あるいは、チャネル状態が悪い間、測定間隔を低減したいとき、Tmeasの単一の値を、WTRUによって乗じることができる倍率と共に信号で伝えることができる。WCDMA、GSM、または他の非3GPP技術について、異なるTmeas値を信号で伝えることができる。
【0062】
3.Qmin。これは、WTRUがUTRAN、GERAN、および他の非3GPPのセルをランク付けするために、これらのセルの品質が上回るべき閾値である。UTRAN、GERAN、および他の非3GPPのセルについて、異なるパラメータを信号で伝える必要がある場合があることに留意されたい。このパラメータが信号で伝えられない場合、WTRUは、隣接するRATにおいて検出したすべてのセルをランク付けし、それによって、行う必要があるランク付けおよび比較の数が増加することになる。Qminによって示される量は、サービングセルについて、WTRUで行われるべき測定のタイプによって決まることに留意されたい。例えば、WTRUがRSRPを測定する場合、Qminは、同様の単位で定義される。
【0063】
4.Tresel。これは、異なるRATの隣接セルのランクがサービングセルのランクより高いと評価された後、WTRUがWCDMA、GSM、または非3GPP RATセルを再選択することを待つ必要がある時間間隔である。Treselは、ネットワークによって送信されない場合、実装により定義することができる。同一周波数セル(intra−frequency cell)、異周波数セル(inter−frequency cell)、または異なるRATのセルに同じTresel値を使用することができる。一実装において、イベントごとに異なるTresel値をネットワークによって信号で伝えることができる。
【0064】
5.Qhyst。これは、LTEにおけるサービングセルのランク付けに追加されるオフセットである。LTEにおけるサービングセルのランクは、以下によって決定される。
Rank_s=RSRP+Qhyst+(他のいくつかのパラメータ) 式(8)
【0065】
「他のいくつかのパラメータ」は、セルローディング、WTRU帯域幅、または加入接続の能力に関する。ネットワークは、以前のUMTSシステムでのRSRPおよびRSRQのように、Qhystの2つの別個の値(例えばQyst1およびQhyst2)を信号で伝える必要があることに留意されたい。
【0066】
6.Qoffset。これは、隣接セルのランク付けから差し引かれるオフセットである。隣接セルのランクは、以下によって決定される。
Rank_n=RSRP−Qoffset+(他のいくつかのパラメータ) 式(9)
【0067】
一般に、WTRUができるだけ長く現在のセルにキャンプオンしたままでいることが好ましい。ある隣接セルを再選択する前に、その隣接セルは、サービングセルより少なくとも何らかの最低量(Qoffset)だけ望ましいものとする。隣接セルがサービングセルより少なくともQoffsetだけ望ましくなければならないようにすることにより、わずかに良いセルを再選択してWTRUバッテリ電力およびシステムリソースの消費することを回避する。
【0068】
パラメータQhystおよびQoffsetは、周波数内システム、周波数間システム、および異なるRATのシステムに共通にすることもでき、それによって、信号で伝えるべきパラメータの数を低減することができることに留意されたい。異なるシステムにわたる再選択を最適化するために、異なるパラメータを信号で伝えてもよい。非3GPPシステムでは、ネットワークは、非3GPP RATに固有のQhystおよびQoffsetの追加の値をブロードキャストすることを選択することができる。また、QhystおよびQoffsetがネットワークによって信号で伝えられないとき、WTRUは、セルのランク付けのために、LTEにおけるサービングセルの強度対UTRAN、GERAN、または非3GPP RATにおけるサービングセルの強度の比較を行うことになる。ネットワークは、RATのうちの1つを優先する場合、他のRAT(3GPPおよび非3GPP)のそれぞれについて異なるQoffsetまたはQhyst値を信号で伝えることができる。
【0069】
7.GSMおよびUTRAN中心周波数/セルID。LTEネットワークは、WTRUがこれらのネットワークにおいて測定を行うために、ブロードキャストメッセージでGSMおよびUMTSネットワークのARFCNおよびUARFCNを送信する必要がある。ネットワークは、そのように望む場合、GSMセルではBSIC(基地局識別コード)ID、およびUTRANではPSC(プライマリスクランブリングコード(primary scrambling code))を送信することを決定することもできる。このパラメータで、ネットワークは、WTRUに、測定を行うべきすべての周波数を知らせる。
【0070】
8.異なるRATの再選択の優先順位。これは、異なるRATの再選択の間、WCDMA、GSM、または何らかの非3GPP 異なるRATのセルに、他より高い優先順位を与える必要があるかどうかを示す、ネットワークによって信号で伝えられるオプションのパラメータである。これは、値WCDMA、GSM、または任意の他の非3GPPの異なるRATの値を持つ列挙フィールドとすることができる。このパラメータが指定された場合、指定されたRATが最初に検索される。指定されたRATにおいて適したセルが探索されない場合、他のRATにおいて検索が行われることになる。このパラメータが指定されていない場合、WTRUは、すべてのRAT(WCDMA、GSM、および他の非3GPP RATセル)を並列で測定し、次いでより良いランクのRATを再選択することになる。
【0071】
9.非3GPP RAT周波数/セルID。WTRUがWLAN、WiMaxなど非3GPP RATからのセルの測定を行うことをネットワークが望む場合、ネットワークは、WTRUがこれらのネットワークにおいて測定を行うために、パラメータをブロードキャストメッセージにより信号で伝える。ネットワークは、これらのセルのセルIDを送信することもできる。例えば、ネットワークは、特定のセルID(すなわち、WLANの場合のMAC、WiMaxの場合のBSID)、リストに挙げられたセルの動作周波数、および非3GPP RATの測定を行うためにWTRUが必要とする他の任意の物理層情報をブロードキャストすることができる。
【0072】
パラメータGSMおよびUTRAN中心周波数/セルIDおよび非3GPP RAT周波数/セルIDを結合して、単一のパラメータにすることができることに留意されたい。異なるRATのためのこれらのパラメータ、および周波数間および周波数内に関する他のセル再選択パラメータを、ブロードキャストメッセージを介して信号で伝える代わりに、ネットワークは、パラメータを、専用のメッセージを介して信号で伝えることができる。次いで、WTRUは、LTE_Idleモードになると、使用する受信パラメータを格納する。専用のメッセージを使用することにより、大量のパラメータのブロードキャストに関連する余分なオーバーヘッドが低減する。
【0073】
再選択手順のためのアルゴリズム
【0074】
上述したパラメータに基づいて、セル再選択のための以下のアルゴリズムを提案する。本明細書に記載した方法は、LTEに適用されるが、これは、非3GPP RATへのハンドオーバー/セル再選択をサポートする任意の3GPP技術(例えば、WCDMA Release 8など)にも同様に適用可能である。
【0075】
一般に、WTRUは、別のRATを再選択することを決定したときは、一定の順序に従わなければならない。現在のサービングセルがWTRUのキャンプオンにもはや適していない場合、WTRUは、まず、現在のセルと同じ周波数のすべてのセルを探索する。第2に、WTRUは、現在のサービングセルと同じRATに属するすべての隣接する周波数を探索する。第3に、WTRUは、隣接するRATを探索する。WTRUは、より高いレベルで適しているセルを探すことができない場合、単に探索プロセスを(同一周波数から異周波数、異なるRATへと)順に処理して行く。
【0076】
図2は、再選択に適したセルを選択するための方法200のフローチャートである。WTRUは、最初に、あるセル(現在のサービングセル)にキャンプオンする(ステップ202)。現在のサービングセルの品質が特定の閾値を下回ると、すなわちSqual(上記で定義した)がSintrasrch以下になると(ステップ204)、WTRUは、他の同一周波数セルの測定を開始する(ステップ206)。WTRUは、サービングセルより良いランクの同一周波数セルを見つけると(ステップ208)、より良いセルをキャンプオンするように選択し(ステップ210)、この方法が終了する(ステップ212)。
【0077】
WTRUは、測定手順で、サービングセルより良いランクの任意の同一周波数セル、またはS基準を満たす任意の隣接セルを見つけることができない場合(ステップ208)、LTEに留まろうとするために、異周波数セルを評価する。異周波数の探索では、SqualがSintersrch以下であるとき、測定が開始され(ステップ214)、この場合、Sintersrchは、ネットワークによって送信される。SqualがSintersrch以下である場合、WTRUは、異周波数セルの測定を開始する(ステップ216)。
【0078】
あるいは、同一周波数探索基準が満たされると、WTRUは、同一周波数セルおよび異周波数セルの両方を並列して測定する。別の代替として、周波数内および周波数間の探索基準を並列して評価し、両方の基準が満たされると、並列して測定を行うことができる。
【0079】
SintrasrchもSintersrchもネットワークによって送信されない場合、WTRUは、LTEにおいて同一周波数セルの測定を常に行うことになる。異周波数セルの場合、WTRUは、同一周波数セルと並列して測定を行うか、サービングセルの品質が特定の閾値を下回るとき、例えばS基準を満たさない(すなわち、Squal<0またはSrxlev<0)ことによって、異なる周波数の測定を行うことができる。
【0080】
WTRUは、サービングセルより良いランクの異周波数セルを見つけると(ステップ218)、より良いセルをキャンプオンするように選択し(ステップ210)、この方法が終了する(ステップ212)。
【0081】
WTRUは、適した任意の同一周波数セルまたは異周波数セルを見つけることができない場合(ステップ218)、すなわちSqualがSsearchRAT以下であるという、異なるRATのセルを測定するための基準を評価する(ステップ220)。パラメータSsearchRATがネットワークによって送信されない場合、WTRUは、適した任意の同一周波数セルまたは異周波数セルを見つけることができないとき、異なるRATのセル(WCDMA、GSM、非3GPP 異なるRATのセルを含む)の測定を開始することになる。
【0082】
あるいは、同一周波数基準が満たされないと、WTRUは、異周波数基準および異なるRATの基準を一緒に評価することができる。両方の基準が満たされた場合、WTRUは、異周波数セルおよび異なるRATのセルの測定を同時に開始することができる。これは、チャネル状態が急速に悪化しているときに有用な選択肢であり得る。チャネル状態が急速に悪化しているときの一例は、WTRUがセルから離れつつある場合、および現在の周波数のカバレージから出る場合である。あるいは、現在の3GPPセルが基準を満たす場合でさえ、WTRUは、常に、いくつかの3GPPまたは非3GPP RATを測定することができる。この代替は、特定のRATがカバレージを有する(すなわち、他方のRATの優先順位が高い、またはWTRUが現在、優先順位が低いRATにキャンプオンしている)ときはいつでも、ネットワークがWTRUを常に何らかのネットワークに接続されるように構成している場合、好ましい可能性がある。
【0083】
異なるRATのセルの測定の基準のうちの任意のものが満たされる(ステップ220)、またはWTRUが常に測定を行うように構成されている場合、WTRUは、異なるRATのセルの測定を開始する(ステップ222)。WTRUは、サービングセルより良いランクの異なるRATのセルを見つけると、より良いセルをキャンプオンするように選択し(ステップ210)、この方法が終了する(ステップ212)。WTRUは、サービングセルより良いランクの任意の異なるRATのセルを見つけなかった場合(ステップ224)、現在のサービングセルにキャンプオンしたままでいる。WTRUは、上述したように、品質が特定の閾値を下回るかどうかを決定するために(ステップ204)、現在のサービングセルの品質を監視する。
【0084】
異なるRATの探索の実行
【0085】
図3は、異なるRATのセルの探索のための方法300のフローチャートであり、これは、方法200によってWTRUが異なるRATのセルを測定するとき(ステップ222)に使用することができる。異なるRATの探索基準が満たされた後、WTRUは(優先順位が割り当てられているかどうかに応じて)、以下のRATのうちの1つまたは組み合わせの測定を開始することができる。
【0086】
WTRUが異なるRATを評価する順序は変更することができ、方法300は、一例を示すのみであることに留意されたい。測定の順序は、変更することができ、方法300の操作全体に影響を与えない。別の例として、GSMおよびWCDMAのセルを、並列して測定することができる。さらに、RATの測定順序の優先順位は、ネットワークによって割り当てることができる。特に明記してない限り、3GPPセルは、非3GPPセルより優先順位が高いが、ネットワークは、3GPP RATより非3GPP RATの優先順位が高いことを指示することができる。この優先順位は、WTRU起動時にSIBを介して、または優先順位をリアルタイムで変更することができる専用のシグナリングを介して信号で伝えることができる。
【0087】
WTRUは、GSMセルを測定する(ステップ302)。GSMセルのARFCNは、システム情報メッセージにリストされている。ARFCNがSIBに挙げられていない場合、WTRUは、GSM周波数を検出するために、全周波数のスキャンを行う。
【0088】
WTRUは、WCDMAセルを測定する(ステップ304)。WCDMAセルの場合、WTRUは、まず、SIBにリストされているUARFCNについてのパイロット識別を行う必要がある。あるいは、UARFCNが挙げられていない場合、WTRUは、WCDMA周波数を検出するために、全周波数のスキャンを行う。パイロット識別を行うために、WTRUは、P−SCH(プライマリ同期チャネル)の復号、S−SCH(セカンダリ同期チャネル)の復号、およびスクランブリングコードにおける復号およびラッチングの3段階処理を行う。パイロット識別が完了すると、WTRUは、WCDMAセルを測定する。ネットワークがUARFCNと共にPSCを信号で伝える場合、WTRUは、パイロット識別プロセスを行う必要はなく、PSCに対して直接測定を行うことができる。
【0089】
非3GPP RATの場合、WTRUは、SIBにリストされている周波数について、セルの測定を開始する。周波数が挙げられていない場合、WTRUは、周波数を検出するために、全周波数のスキャンを行う。いくつかの非3GPP RATでは、WTRUは、WCDMAの場合と同様に、それがセルの測定を開始することができるようになる前に、セル識別を行う必要がある場合がある。
【0090】
次いでWTRUは、ネットワークによって送信されたQminの値と共に、構成、閾値、および割り照られた優先順位に応じて、GSM、WCDMA、および/または非3GPP RATセルを評価する(ステップ306)。WTRUは、単に、セルのランク付けをトリガするために、Qminより高い品質を有するセルを選択する(ステップ308)。
【0091】
WTRUは、Tmeas間隔ごとに異なるRATのランク付けを行う。Tmeasの値が信号で伝えられない場合、2つの連続するランク付けの間の時間間隔は、実装により定義することができる。ランク付けの式を展開するために、WTRUは、オフセットおよび上述した他の無線状態関連のパラメータを使用し、既存のセル再選択手順を使用し、他のドライバを組み込むことができる。
【0092】
X回連続するDRXサイクルで、サービングセルがS基準を下回り(ステップ310)、異周波数セルが見つからない場合、WTRUは、Tmeas間隔が完了していなくても、異なるRATのセルをすぐにランク付けすることができる(ステップ312)。
【0093】
これらの再選択の間、WTRUは、異なるRATのセルをLTEセルより高くランク付けしている場合、ネットワークによって信号で伝えることができる場合はTreselタイマを開始する、または、実装に依存する再選択を行うだけの値の間待つことができる。あるいは、WTRUは、LTEセルより高くない場合でさえ、異なるRATのセルをランク付けすることができる。例えば、これは、ネットワークが、使用可能な場合はWiMaxセルへの接続を試みるようにWTRUを構成している場合、さらには3GPPセルが基準を満たす場合(すなわち、信号強度が良い)に行われ得る。他のRATセルは、ランク付けされ、それらが満たす必要のある唯一の基準は、他方のRATにおいて測定される信号強度が、所与の期間の間、構成された閾値より高いこととすることができる。この基準が満たされた場合、WTRUは、他方のRATを再選択することができる。
【0094】
Tresel期間の最後に、WCDMAセルがより強力であることがわかった場合、WTRUは、まず、それが再選択する予定であるPSCが有効なPSCであることを確認するために、検出されたスクランブリングコードの測定を行うことによって、PSC IDの再確認を行う。次いでWTRUは、そのWCDMAセルを再選択することになる。
【0095】
Tresel期間の最後に、GSMセルがより強力であることがわかった場合、WTRUは、まず、BSIC識別を行い、BSICが識別されると、WTRUは、そのGSMセルを再選択する。BSICの再確認は、隣接リストにおいてそのBSIC IDがすでに指定されているかどうかに応じて、必要である場合も必要でない場合もある。
【0096】
Tresel期間の最後に、非3GPP RATセルがより強力であることがわかった場合、WTRUは、そのセルを識別する、またはそのセルが存在することを再確認する必要がある場合がある。次いで、WTRUは、非3GPP RATセルを再選択することができる。
【0097】
RATの優先順位がネットワークによって示されている場合、WTRUは、まず、第1のRAT(優先順位によって示されるWCDMA、GSM、または非3GPP RATセル)において再選択アルゴリズムを稼働させ、次いで、好ましいRATが任意の適したセルを有していない場合、引き続き他のRATを再選択することを試みることに留意されたい。PSC、BSIC、または非3GPP RATセルを測定し、識別するための手順は、変わらない。
【0098】
WTRUは、そのRATにおいて新しいセルをいったん再選択すると、システム情報メッセージを読み、セル固有のシステム情報を取得する。次いでWTRUは、位置の更新をネットワークに送信して、WTRUの現在の位置をネットワークに知らせることができる。次いでネットワークは、WTRUの最終的な位置をネットワークに知らせる信号をソースRAT/eNodeBに送り返す。
【0099】
上記のシナリオにおいて、LTE側の無線リソース制御(RRC)が他の3GPP RATまたは非3GPP RATにおけるすべての測定を行うことを想定している。あるいは、すべての測定を行うことができる非3GPP側の別個のAS(アクセス層)、またはASおよびNASの両方が異なり得る非3GPP側の新しいスタックが存在する可能性がある。3GPPおよび非3GPPプロトコルスタックは、共通インターフェイスを介して互いに通信することができる。
【0100】
上記の場合、隣接の3GPP RATまたは非3GPP RATに移動するためのセル再選択手順が定義される。いくつかの場合、ネットワークは、再選択の代わりにセル選択手順を使用して隣接RATに移動するように、WTRUを構成する。セル選択手順は、WTRUがネットワークとの呼を確立しておらず、WTRUが様々なセル再選択タイマによって時間計測することをネットワークが望んでいない場合に使用されることになる。ネットワークは、単に、アイドルモードになり、非3GPPセルを選択し直すようWTRUに指示することができ、これは、より早い手法となる可能性がある。こうした場合、上記の基準を使用せず、無線信号強度基準、または場合によってはS基準を使用して、別のセルを選択することになる。
【0101】
RRC(非3GPP RATにおいて測定を行う場合)またはWTRUに存在する非3GPP RATスタックは、MBMSなど優先順位が高いサービス中、他方のRATに対するその測定を一時停止することができる。あるいは、サービングセルにおける現在の信号強度が弱い場合、WTRUは、そのMBMSサービスを一時停止し、引き続き非3GPP RATにおける測定を行うことができる。
【0102】
WTRU構成
【0103】
図4は、異なるRATのセルを再選択するように構成されたWTRU400のブロック図である。WTRU400は、アンテナ404に接続された送受信機402を含む。セル選択装置406は、そのセルがWTRUのキャンプオンに適しているかどうかを決定するために、隣接セルを選択するように構成されており、送受信機402と通信する。セル適合性決定装置(cell suitability determining device)408は、選択されたセルがWTRUのキャンプオンに適しているかどうかを決定するように構成されており、送受信機402およびセル選択装置406と通信する。プロセッサ410は、測定と閾値との比較を行うように構成されており、送受信機402、セル選択装置406、およびセル適合性決定装置408と通信する。測定装置412は、隣接セルの測定を行うように構成されており、送受信機402およびプロセッサ410と通信する。
【0104】
実施態様
【0105】
1.セル再選択を行うための方法であって、現在のセル選択品質値を決定することと、セル選択品質値を予め定められた閾値と比較することと、セル選択品質値が予め定められた閾値以下である場合、隣接セルの測定を行うことと、測定に基づいて、現在のセルより良い隣接セルが見つかった場合、より良い隣接セルを再選択することとを含む。
【0106】
2.セル選択品質値は、参照シンボル受信品質とそのセルにおける最小必要品質レベルとの間の差である実施形態1に記載の方法。
【0107】
3.閾値は、周波数内測定をトリガするための閾値であり、測定は、隣接する同一周波数セルについて行われる実施形態1または2に記載の方法。
【0108】
4.閾値は、周波数間測定をトリガするための閾値であり、測定は、隣接する異周波数セルについて行われる実施形態1または2に記載の方法。
【0109】
5.閾値は、周波数内測定をトリガするための閾値であり、測定は、隣接する同一周波数セルおよび隣接する異周波数セルについて並列して行われる実施形態1または2に記載の方法。
【0110】
6.測定は、セル選択品質値が周波数内測定をトリガするための閾値以下であり、周波数間測定をトリガするための閾値以下である場合、隣接する同一周波数セルおよび隣接する異周波数セルについて並列して行われる実施形態1または2に記載の方法。
【0111】
7.閾値は、異なる無線アクセス技術(RAT)の測定をトリガするための閾値であり、測定は、隣接する異なるRATのセルについて行われる実施形態1または2に記載の方法。
【0112】
8.異なるRATの測定は、適した隣接する同一周波数セルまたは隣接する異周波数セルがない場合のみ行われる実施形態7に記載の方法。
【0113】
9.サポートされているRATごとに、異なるRATのトリガ閾値が使用される実施形態7または8に記載の方法。
【0114】
10.2つの連続する測定間で、予め定められた期間待つことをさらに含む実施形態7〜9のうちの1項に記載の方法。
【0115】
11.予め定められた期間は、ある回数の間欠受信(DRX)サイクルに基づく実施形態10に記載の方法。
【0116】
12.現在のセルが、予め定められた回数連続するDRXサイクルで、予め定められた基準を満たさない場合、異なるRATのセルの測定を行うことをさらに含む実施形態11に記載の方法。
【0117】
13.予め定められた基準は、S基準である実施形態12に記載の方法。
【0118】
14.S基準は、式Srxlev=RSRP−Qrxlevmin−max(UE_TXPWR_MAX_RACH−P_MAX,0)によって定義され、式中、Srxlevは、セル選択受信レベル、RSRPは、参照シンボル受信電力、Qrxlevminは、そのセルにおける最小必要受信レベル、UE_TXPWR_MAX_RACHは、ランダムアクセスチャネル上でセルにアクセスするときに無線送受信ユニット(WTRU)が使用し得る最大電力レベル、およびP_MAXは、WTRUの最大無線周波数出力電力である実施形態13に記載の方法。
【0119】
15.RSRP値は、WTRUによって測定され、QrxlevminおよびUE_TXPWR_MAX_RACHは、ネットワークから受信される実施形態14に記載の方法。
【0120】
16.予め定められた期間は、無線送受信ユニット(WTRU)によってネットワークから受信される実施形態10〜15のうちの1項に記載の方法。
【0121】
17.複数の予め定められた期間値は、WTRUによってネットワークから受信され、WTRUは、現在のチャネル状態に基づいて予め定められた期間値を選択する実施形態16に記載の方法。
【0122】
18.倍率を受信することをさらに含み、倍率に予め定められた期間値を掛けて、現在のチャネル状態に基づいて測定間隔を調整する実施形態16に記載の方法。
【0123】
19.異なるRATのセルを検索することをさらに含む実施形態7〜18のうちの1項に記載の方法。
【0124】
20.検索することは、少なくとも1つのRATにおけるセルを測定することと、すべてのRATの測定されたセルを最小品質閾値と比較することと、RATに関係なく、閾値を超えるセルを選択することと、測定に基づいて、選択されたセルをランク付けすることとを含む実施形態19に記載の方法。
【0125】
21.RATごとに異なる最小品質閾値が使用される実施形態20に記載の方法。
【0126】
22.ランク付けは、予め定められた間隔で繰り返し行われる実施形態20または21に記載の方法。
【0127】
23.予め定められた間隔は、ある回数の間欠受信(DRX)サイクルに基づく実施形態22に記載の方法。
【0128】
24.すべてのRATの中から最強のセルを再選択することをさらに含む実施形態20に記載の方法。
【0129】
25.RATの優先順位情報を受信することをさらに含み、優先順位情報は、異なるRATのセルを測定するための順序を決定するために使用される実施形態7〜24のうちの1項に記載の方法。
【0130】
26.優先順位情報は、RAT情報、周波数情報、およびセル情報のうちの少なくとも1つを含む実施形態25に記載の方法。
【0131】
27.予め定められた閾値が使用不可である場合、隣接セルは、常に測定される実施形態1または2に記載の方法。
【0132】
上記では特徴および要素が特定の組み合わせで記載されているが、各特徴または要素は、他の特徴および要素無しに単独で、または他の特徴および要素の有無にかかわらず様々な組み合わせで使用することができる。本明細書に提供された方法またはフローチャートは、汎用コンピュータまたはプロセッサによって実行するために、コンピュータ読取可能な記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアで実施することができる。コンピュータ読取可能な記憶媒体の例には、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリ装置、内蔵ハードディスクおよび取外式ディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、およびCD−ROMディスクやデジタル多目的ディスク(DVD)などの光媒体などがある。
【0133】
適したプロセッサには、一例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、他の任意のタイプの集積回路(IC)および/または状態機械などがある。
【0134】
ソフトウェアと関連するプロセッサは、無線送受信ユニット(WTRU)、ユーザ機器(UE)、端末、基地局、無線ネットワークコントローラ(RNC)、または任意のホストコンピュータで使用するための無線周波数送受信装置を実施するために使用することができる。WTRUは、カメラ、ビデオカメラモジュール、テレビ電話、スピーカフォン、振動装置、スピーカ、マイクロフォン、テレビ送受信機、ハンズフリーヘッドセット、キーボード、Bluetooth(登録商標)モジュール、周波数変調(FM)無線ユニット、液晶ディスプレイ(LCD)表示装置、有機発光ダイオード(OLED)表示装置、デジタル音楽プレーヤ、メディアプレーヤ、ビデオゲームプレーヤモジュール、インターネットブラウザ、および/または任意の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)または超広帯域(UWB)モジュールなど、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに実装されるモジュールと共に使用することができる。
図1
図2
図3
図4