(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678186
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】弁パッキンの設置及び除去のための装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
F16K 41/04 20060101AFI20150205BHJP
F16K 43/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
F16K41/04
F16K43/00
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-524020(P2013-524020)
(86)(22)【出願日】2010年9月1日
(65)【公表番号】特表2013-536379(P2013-536379A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】KR2010005908
(87)【国際公開番号】WO2012020879
(87)【国際公開日】20120216
【審査請求日】2013年2月8日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0076272
(32)【優先日】2010年8月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502043352
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】カン、シンチョル
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−026258(JP,A)
【文献】
実開昭55−034005(JP,U)
【文献】
実開平05−030674(JP,U)
【文献】
実開昭59−122475(JP,U)
【文献】
実開2001−000017(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 41/00−41/06,
F16K 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁において流体漏洩を防止するために弁ディスクのステムに設置されているパッキンを設置及び除去するための装置において、
長い形状を有する複数のの棒350と;
前記棒350の下端部に連結されるリング形状の保持台340と;
前記棒350の上部外周面に形成されているねじ溝370と;
前記ねじ溝370上に締結されるようになっているナット360と;を備え、
前記棒350に複数ののパッキン380が貫通して積層され、グランドブッシュ320が前記棒350によって貫通され、前記パッキン380の上部に配置され、前記保持台340は、前記パッキン380を支持し、前記ナット360は、前記ねじ溝370に締結され、前記パッキン380及びグランドブッシュ320を密着させることを特徴とする弁パッキン設置及び除去装置。
【請求項2】
前記弁は、前記グランドブッシュ320の上部に前記ナット360を収容することができる収容溝310を有するパッキンフランジ300を備えることを特徴とする請求項1に記載の弁パッキン設置及び除去装置。
【請求項3】
前記保持台340は、複数個に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の弁パッキン設置及び除去装置。
【請求項4】
前記棒350は、円形または多角形の断面を有することを特徴とする請求項1に記載の弁パッキン設置及び除去装置。
【請求項5】
流体漏洩を防止するために設置されている弁パッキンを設置するための方法において、
棒350にパッキン380を挿入する段階と;
前記棒350にグランドブッシュ320を挿入する段階と;
棒固定用ナット360を締める段階と;
前記グランドブッシュ320の上部にパッキンフランジ300を配置させる段階と;
前記パッキンフランジ上にガイドリング16、ベルビルワッシャー15、スタッドナット17、及びスタッドボルト13を組立てる段階と;を備えることを特徴とする弁パッキンを設置するための方法。
【請求項6】
流体漏洩を防止するために設置されている弁パッキンを除去するための方法において、
スタッドボルト17、スタッドナット13、ベルビルワッシャー15、及びガイドリング16を除去する段階と;
パッキンフランジ300を上部に移動させる段階;
パッキン380と結合されているパッキン設置及び除去装置とグランドブッシュ320を上部に移動させる段階と;
ナット360を除去する段階と;
棒350に挿入されているパッキンを脱離する段階と;を備えることを特徴とする弁パッキンを除去するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁パッキンの設置及び除去のための装置とその方法に関する。より具体的には、本発明は、駆動部及び弁ディスクを分解せず、パッキンを設置し除去することを可能にする装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ステム(stem)の上下運動によってディスク開閉機能を行う弁においてステムの下部は、高圧の蒸気、水、オイルなどの流体内に浸り、ステムの上部は、ステムを移動させるための把持部などに連結され、ステムの下部からステムの外周面を通じて流体が漏洩することを防止するためにパッキンが設けられている。弁の密閉を担当する消耗性部品であるパッキンは、繰り返し的なステムの上下運動によって密閉性が低下するようになる。密閉性が低下するということは、特に原子力発電所で放射能汚染が誘発され得ることを意味するものであり、このような汚染を防止する状態で、密閉力が低下したパッキンを効率的に交換するための装置に対する必要性が提起されてきた。
【0003】
当該分野の熟練者に既に周知慣用的技術である従来技術による弁の個別的な部材に対する具体的な説明は、本明細書では省略する。
【0004】
従来技術の弁において、パッキ
ンを除去するための方法は、2つである。スタッドボル
ト、スタッドナッ
ト、ガイドブッシ
ュ、ベルビルワッシャ
ー、ガイドリン
グ、パッキンフラン
ジ、及びグランドブッシ
ュをすべて除去した状態で、パッキ
ンを交換する第一の方法と、スタッドボル
ト、スタッドナッ
トを除去し、ステ
ムを上方に移動させて、ディス
クをボンネッ
トに密着させた状態でパッキンを交換する第二の方法である。原子力発電所、精油、化学プラントでは、パッキンを交替する間に、配管内の流体が漏洩してはならないので、第二の方法を使用する。この方法では、スタッドボル
トとスタッドナッ
トを除去した後、ステ
ム、パッキンフラン
ジ、及びグランドブッシ
ュを上方に移動させ、パッキン除去用特殊装置((ハイドロピック)(hydro pic))を利用して高圧の水または空気を噴射させて、パッキンを上方に移動させる方法でパッキ
ンを除去する。代案として、ランタンリン
グと漏洩回収流
路を具備し、漏洩物を回収する方式の弁では、ランタンリン
グも、パッキ
ンと同様に除去することができる。
【0005】
第二の方法でパッキンを除去する場合、特殊装置設置油
路を通じた漏洩を防止するために、流路入口を再溶接するか、堅固に栓を締めることによって、漏洩しないようにしなければならないし、このような漏洩の危険に起因して、原子力発電所または化学プラントに使用される一部弁の場合、パッキン除去用特殊装置を使用せず、弁ディス
クを上方に移動させて、弁胴
体に密着させて漏洩を防止した後、スタッドボル
トとスタッドナッ
トを除去し、ステ
ム、パッキンフラン
ジ、及びグランドブッシ
ュを上方に移動させて、作業空間を確保した後、パッキン除去機構(図示せず)を利用してパッキ
ン及びランタンリン
グを抜き取る。この場合、パッキンフラン
ジ、及びグランドブッシ
ュを上方に移動させて確保することができる作業空間は、非常に狭く、限定されているので、作業が困難であると共に、パッキンの間に絡み合い現象が発生し、パッキンが破壊されるなどパッキンを除去するのに限界があった。また、パッキン除去中に金属材質のパッキン除去ツールがステ
ムにスクラッチを生ずるので、新しいパッキンを設置しても、このスクラッチを通じた微細な漏洩が発生することができた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、前述のような問題を解決するためになされたもので、その目的は、パッキンの摩耗時に汚染発生なしに一層簡単にパッキンを除去し設置することができる装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、パッキン設置及び除去用棒と、棒保持台、棒固定用ナット、及びねじ溝よりなるパッキン設置及び除去装置と、収容溝を有するパッキンフランジ、グランドブッシュ、及びパッキンを備えるパッキン設置及び除去装置と、これを利用してパッキンを交換する方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明による装置及び方法を使用すれば、パッキン除去のための特殊装備が必要でなく、駆動部及び弁ディスク部位を分解することなく、パッキン設置及び除去が可能であり、パッキン設置及び除去に必要とされる時間と費用を画期的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
本発明によるパッキン設置及び除去装置が設置されている弁の断面図である。
【
図2】本発明によるパッキン設置及び除去装置の斜視図である。
【
図3】
本発明によるパッキン設置及び除去装置の斜視図である。
【
図4】本発明によるパッキン設置及び除去装置の多様な実施例の斜視図である。
【
図5】本発明によるパッキン設置及び除去装置が設置されている弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面を参照して詳しく説明する。
図
1は、本発明によるパッキン設置及び除去装置が設置されている弁の好ましい実施例を示す断面図である。図
1に示されたように、本発明のパッキン設置及び除去装置は、パッキンリング設置及び除去を容易にするパッキン設置及び除去用棒350、パッキン設置及び除去用棒を支持し、パッキンフォロワーの役目を行う棒保持台340、パッキン設置及び除去用棒固定用ナット360、該ナットの下部に位置するゴム材質の密封シール361、固定用ナット締めのための棒上部のねじ溝370を備えるパッキン設置及び除去装置と、パッキン設置及び除去用棒の上部を収容することができる収容溝310が形成された構造のパッキンフランジ300、パッキン設置及び除去用棒350の通過空間確保及び棒を固定させるために貫通孔が形成された構造のグランドブッシュ320、及びパッキン設置及び除去用棒通過が可能となるように貫通孔が形成された構造のパッキン380とランタンリング390を備えることを特徴とする。代案として、前記棒350は、円形または多角形の断面形状を有することができる。
【0011】
図2、
図3、
図4は、本発明のパッキン設置及び除去用棒350、棒保持台340、棒固定用ナット360、棒上部のねじ溝370で構成されるパッキン設置及び除去装置の構造を示すものであり、2個以上のパッキン設置及び除去用棒350が設けられることができ、棒350の上部に固定用ナット360を締結することができるねじ溝370が設けられることを特徴とする。好ましくは、パッキン設置及び除去装置は、
図2に示されたように、円形状、または
図3に示されたように、多角形など多様な形態であることができ、棒保持台340と棒350は、一体型または分離型であることができる。
図4に示されたように、棒保持台340は、一体式構造または2個以上に分割された構造であることができる。好ましくは、保持台340は、2個以上に分割され、ステム10の上端部に連結されている駆動部を除去することなく、自由に設置及び除去が可能である。
【0012】
図2、
図3、
図4に示されたように、パッキンフランジ300は、パッキン設置及び除去用棒350を収容することができるようにフランジ下端に収容溝310を設け、グランドブッシュ320は、パッキン設置及び除去用棒350を収容することができるように、下端から上端まで貫通孔が形成された構造となっていることを特徴とする。
【0013】
図2、
図3、
図4に示されたパッキン設置及び除去装置を利用して駆動部を分解せずにパッキン380を設置する方法は、スタッドボルト17、スタッドナット13、ガイドブッシュ14、ベルビルワッシャー15、及びガイドリング16を除去し、パッキンフランジ300とグランドブッシュ320を上部に移動させ、パッキン設置及び除去用棒350、棒保持台340、棒固定用ボルト360、棒上部のねじ溝370で構成されるパッキン設置及び除去装置を設置し、パッキン設置及び制御棒350を通過させて、最下端パッキンリングから最上端パッキンリングまで全体パッキン380を設置し、パッキン設置及び制御棒350を通過させてグランドブッシュ320を設置し、ゴム材質の密封シール361をパッキン設置及び制御棒350と棒固定用ナット360との間に挟持し、棒固定用ナット360を締め、パッキンフランジ300をグランドブッシュ320の上部に位置させ、ガイドリング16、ベルビルワッシャー15、スタッドナット
13、及びスタッドボルト
17を組立てることを特徴とする。