(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678190
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】可搬の混合増幅器用の機器カバー
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20150205BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
H05K5/03 D
H04R3/00
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-527585(P2013-527585)
(86)(22)【出願日】2011年9月7日
(65)【公表番号】特表2013-541838(P2013-541838A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】EP2011065425
(87)【国際公開番号】WO2012032070
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2013年3月7日
(31)【優先権主張番号】102010040533.7
(32)【優先日】2010年9月10日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュリットマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ タフナー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア ザウアー
(72)【発明者】
【氏名】アルフレート ブルーンホーファー
【審査官】
遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−021578(JP,U)
【文献】
実開昭60−047033(JP,U)
【文献】
特開2003−156013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬の電子式の混合増幅器(1)用の機器カバー(2)であって、少なくとも:
前記混合増幅器(1)の機器下側部分(3)に載設される、表側(4.1)及び裏側(4.4)を有するカバーシェル(4)と、
前記機器カバー(2)を前記機器下側部分(3)にロックする、開放位置とロック位置との間で可動な閉鎖装置(8)と、
を備える機器カバー(2)において、
使用者によって把持される運搬装置(6)を備え、かつ
前記カバーシェル(4)に閉鎖凹部(10)が形成されており、該閉鎖凹部(10)内に前記閉鎖装置(8)が収容されており、
前記閉鎖装置(8)は、ロックされた閉鎖装置(8)が前記カバーシェル(4)の表側(4.1)と略面一になるか、又は突出せず、ロックされていない閉鎖装置(8)が前記カバーシェル(4)の表側(4.1)から突出するように、前記閉鎖凹部(10)内に収容されており、
前記閉鎖装置(8)は、それぞれ1つの閉鎖部材(20)を有し、該閉鎖部材(20)は、使用者が操作のために用いるグリップ面(20.1)を有し、かつ該閉鎖部材(20)の上面に、前記カバーシェル(4)の表側(4.1)に相応した形状を与えて形成されており、
前記閉鎖部材(20)は、前記閉鎖装置(8)の閉鎖位置で前記カバーシェル(4)の表側(4.1)と面一になっており、前記閉鎖装置(8)のロック解除位置で前記表側(4.1)から突出しており、
各々の閉鎖装置(8)は、ロック位置で前記機器下側部分(3)に形状結合式に係合する係合装置(22)を有し、該係合装置は、スナップ式に音を出しながらロック位置に移動し、
各々の閉鎖装置(8)は、フレーム部材(26)を有し、該フレーム部材(26)は、連結部材として前記カバーシェル(4)と前記閉鎖部材(20)との間に配置され、かつ両者にそれぞれ可動に結合されており、かつ前記係合装置は、旋回可能なフック(22)として形成されており、前記フレーム部材(26)に枢設されており、
前記フック(22)は、補足的に前記閉鎖部材(20)に案内及び最大の旋回領域の確定のために案内されている、ことを特徴とする、可搬の電子式の混合増幅器用の機器カバー。
【請求項2】
前記閉鎖部材(20)は、ロック位置で前記閉鎖凹部(10)の後側の部分(10.1)を露出させ、該後側の部分(10.1)には、くぼみ又は突起が形成されている、請求項1記載の機器カバー。
【請求項3】
前記くぼみ又は突起は、前記閉鎖部材(20)の移動方向を示す矢印(10.2)である、請求項2記載の機器カバー。
【請求項4】
各々の閉鎖装置(8)は、さらにフレーム部材(26)を有し、該フレーム部材(26)は、連結部材として前記カバーシェル(4)と前記閉鎖部材(20)との間に配置され、かつ両者にそれぞれ可動に結合されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の機器カバー。
【請求項5】
各々の閉鎖装置(8)は、前記閉鎖部材(20)のロック解除された開放位置及び/又はロック位置に向かって該閉鎖部材(20)に対してプリロードを加えるばね装置(24)を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の機器カバー。
【請求項6】
前記ばね装置(24)は、前記フレーム部材(26)と前記閉鎖部材(20)との間に設けられている、請求項5記載の機器カバー。
【請求項7】
前記ばね装置(24)は、前記フレーム部材(26)と前記閉鎖部材(20)との間に、前記フレーム部材(26)に固結するとともに、前記閉鎖部材(20)の下面に当接させることによって設けられている、請求項6記載の機器カバー。
【請求項8】
前記フック(22)は、前記閉鎖部材(20)の長穴(36)内で案内されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の機器カバー。
【請求項9】
前記カバーシェル(4)は、射出成形法によりプラスチック材料から製造されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の機器カバー。
【請求項10】
前記プラスチック材料はPC/ABSである、請求項9記載の機器カバー。
【請求項11】
前記運搬装置は、把手穴(6.1)と把持可能なU字形部(6.8)とを有する把手(6)として形成されており、
前記カバーシェル(4)は、前記U字形部(6.8)内まで延在し前記把手穴(6.1)を囲繞する把手領域(6.2)を有する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の機器カバー。
【請求項12】
前記把手(6)は、さらに把手シェル(6.3)を有し、該把手シェル(6.3)は、別体の構成部材として前記カバーシェル(4)の把手領域(6.2)に固定されており、柔軟な把手材料部材(6.4)が、前記把手シェル(6.3)及び/又は前記カバーシェル(4)の把手領域(6.2)に収容されている、請求項11記載の機器カバー。
【請求項13】
前記把手シェル(6.3)は、前記カバーシェル(4)の把手領域(6.2)に下から螺設されている、請求項12記載の機器カバー。
【請求項14】
前記柔軟な把手材料部材(6.4)は、把手ゴム(6.4)である、請求項12又は13記載の機器カバー。
【請求項15】
前記柔軟な把手材料部材(6.4)は、前記U字形部(6.8)の内側領域に収容されている、請求項12から14までのいずれか1項記載の機器カバー。
【請求項16】
前記運搬装置(6)と2つの閉鎖装置(8)とがフロント面(4.5)に設けられており、前記運搬装置(6)は、両閉鎖装置(8)間に配置されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の機器カバー。
【請求項17】
可搬の混合増幅器(1)であって、
請求項1から16までのいずれか1項記載の機器カバー(2)と、
機器下側部分(3)と、
を備え、
前記機器カバー(2)は、前記機器下側部分(3)を包囲するように形状結合式に係合し、閉鎖装置(8)によって前記機器下側部分(3)にロックされており、
前記機器カバー(2)は、使用者によって把持される運搬装置(6)を有する、
ことを特徴とする、可搬の混合増幅器。
【請求項18】
前記機器下側部分(3)は、種々異なる信号源を入力する音声入力部と、スピーカを作動させる増幅器出力部と、混合作用を調節する操作装置とを有する、請求項17記載の可搬の混合増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
混合増幅器は、一般に、種々異なる音源、例えばマイクロフォン及び電子楽器の電気信号を入力する音声入力部あるいは音声入力チャンネルを有している。種々異なる入力音声は、次に個別に増幅され、成形され、かつ適当に混合され得る。種々異なる混合比に加え、個別再生も調整可能である。混合増幅器は、一般に、既に適当な増幅器段を有しているので、スピーカは、直接、混合増幅器に接続可能である。国際公開第2007/110576号パンフレットは、適当な端子及び操作装置を備える混合増幅器コンソールを開示している。
【0002】
混合増幅器の電子部品は、一般に混合増幅器の機器下側部分に格納されている。機器下側部分は、多数の接続ソケット及び操作装置、例えばスライド式のコントローラ及び回転可能なポテンショメータを有している。これらの部品は、機器下側部分の大面積の表側に取り付けられており、機械的な損傷や、塵埃及び液体により被る影響に対して極めて敏感である。そのため、これらの部品を保護するために、一般に機器カバーが機器下側部分に取り付けられている。さらに機器下側部分には、一般に運搬装置が設けられている。運搬装置は、突出して邪魔とならないように、例えば機器下側部分の側面に設けられた側方の把手くぼみとして設けられている。
【0003】
機器カバーは、一般に金属薄板製カバーとして設計されており、機器下側部分の表側に載設される。金属薄板製カバーは、例えば2つの開口を介して機器下側部分のフロントシェードに係止可能である。これにより、機器カバーは使用のために取り外され、機器下側部分は適当に配置される。
【0004】
しかし、機器下側部分のフロントシェードの、それ以外の部分では閉鎖された面に設けられた、金属薄板製カバーのロックのためのこれらの開口は、デザインや、形状付与の可能性を妨げる。さらに、適当な開口を有するフロントシェードのこのような形成は、一方では、製造技術的により手間及びコストを要し、かつ内部構造の設計に影響を及ぼしかねない。側方の把手くぼみも、形状付与及びデザインの可能性及び内部構造に影響を及ぼす。さらに、機器下側部分のフラットな形成は、一部において問題を伴う。機器下側部分の表側に一般に既に多数の操作装置及び端子が設けられているとともに、別の端子、例えば出力部が側面あるいはフロントシェードに設けられているので、運搬装置のために利用できるスペースは限られている。
【0005】
発明の概要
本発明により、既に運搬装置を備える、可搬の混合増幅器用の機器カバー(機器遮蔽装置)が提供される。これにより、機器下側部分、すなわち混合増幅器の本来の機能を果たす部分に設けられる運搬装置は、省略可能である。
【0006】
既にこのことにより幾つかの利点が達成される。
【0007】
機器下側部分において、運搬装置は今や完全に省略可能であるので、機器下側部分は、自由に寸法設定され、その端子あるいは使用面で自由にデザイン可能である。こうして、機器下側部分は、その高さに関して異なって、例えばよりフラットに形成可能である。さらに運搬装置は、より快適に、特に周囲に遮るもののない独立した把手U字形部を有する把手として形成可能であるので、例えば把手くぼみと比較してより良好な取り扱いが可能となる。
【0008】
機器カバーが使用のために取り外し可能であるので、運搬装置は、以後、機器下側部分の使用の際にもはや妨げとはならない。これにより、特に、機器下側部分の魅力的なデザインも可能となる。
【0009】
本発明により、運搬装置と、機器下側部分に機器カバーを形状結合式にロックすることを可能にする2つの閉鎖装置とが、好ましくは機器カバーのフロント面に設けられている。これにより、手が触れるすべての要素がこのフロント面あるいは把手面に設けられている。特に、運搬装置は両閉鎖装置間に配置可能である。これにより、使用者の運搬力による閉鎖装置を介した力導入は、直接に、かつ対称的にあるいは両側で、接続する閉鎖装置へとなされる。
【0010】
機器カバーへの閉鎖装置の組み込みは、好ましくは適当な閉鎖凹部をカバーシェルに形成することによりなされる。閉鎖装置は、特に完全に閉鎖凹部内に収容可能であり、これにより、もはや突出して邪魔になることはない。
【0011】
閉鎖装置は、好ましくはそれぞれ1つの閉鎖部材を有している。閉鎖部材は、例えば使用者によってグリップ面、すなわちグリップのよい表面を有する面において例えば指で操作可能であるとともに、スライド可能である。グリップ面は、例えば粗面化、例えば平行なウェブを賦形することにより粗面化されていてもよい。
【0012】
特に好ましい態様において、閉鎖部材はロック位置で、カバーシェルに与えられた形状に適合されている。すなわち、閉鎖部材は、本態様においては、突出して邪魔になることはない。このために特に、閉鎖部材はカバーシェルと面一になっていてよい。これにより、カバーシェルに設けられる閉鎖凹部は、ロックされた閉鎖装置の高さに合わされている。これにより、一方では、好ましいデザインが達成される。さらに、このロック位置が使用者にとって容易に判別可能であるという利点が達成される。これは、閉鎖部材の上面がカバーシェルの表側と面一であるか、あるいは突出していないからである。これにより、ロック位置の確実な認識が可能である。この面一の、又は組み込まれた収容部の別の利点は、閉鎖装置が運搬時に突起物に引っ掛かり、これにより意図せず解除されてしまう恐れがないことにある。
【0013】
これに対して、開放位置あるいはロック解除位置で、閉鎖部材は突出する。その結果、使用者は、ロックが解除されていることを確実に知る。このために、閉鎖装置には、開放位置に向かって予め付勢されているばね装置が設けられていてよい。これにより、ロック解除時、閉鎖部材は、その都度完全に、ロック解除位置にスナップ式に移動する。その結果、この位置は、使用者にとって確実に認識可能である。
【0014】
これにより、本発明によって、別の利点が達成される。機器カバーの簡単な載置が可能であり、閉鎖装置の操作、特に例えば1本の指による閉鎖部材の単純な押しあるいは引きによるロックが可能となる。これにより、ロック解除するために使用者は、閉鎖部材を、特にフロント端に向かってスライドさせる。開放位置で閉鎖部材は、フロント端において突出するので、使用者は、閉鎖部材を再び押し込むことができ、これにより、ロックが行われる。
【0015】
表側は、適当なデザインを形成するために、平らであっても、軽微に湾曲していてもよい。表側には、例えば1つ又は2つの側面及び1つの後面が接続している。後面は、装置下側部分に係合する。
【0016】
有利な態様において、機器カバーは、プラスチック材料、例えば耐荷量の大きいPC/ABSからなるカバーシェルを有している。カバーシェルは、特にプラスチック射出成形部品として製造可能である。
【0017】
プラスチック材料からの形成は、別の利点を達成する。
【0018】
魅力的な産業デザインが達成可能であり、製造コストは、特に射出成形部品として形成した場合、僅かである。重量は、金属薄板部品と比べて軽減可能である。それにもかかわらず、確実な遮蔽、塵埃や機械的損傷に対するより確実な保護も達成される。耐荷量及び許容可能な温度範囲は、特にPC/ABSの場合、改善されている。例えば−20℃〜+60℃の温度範囲で、約90kgの荷重に、特段の損傷なしに耐える。カバーシェルは、それぞれの領域において適当な壁厚さを備えて形成可能であるので、金属薄板製カバーと比べて機械的な負荷に強い。カバーシェルの表面は、付加的な塗装又はコーティングなしに適当に形成可能である。場合によっては、装飾及び文字入れは、射出成形時に直接カバーシェル、特にカバーシェルの大面積の表側に実施可能である。
【0019】
閉鎖部材は、特にカバーシェルと同じ材料から製造可能である。これにより、一方では魅力的なデザインが達成され、他方では閉鎖位置の直接的な認識が達成される。
【0020】
好ましくは、各々の閉鎖装置は、閉鎖部材に対して付加的に、フレーム部材を有している。フレーム部材は、閉鎖部材とカバーシェルとの間に設けられている。これにより、このフレーム部材は、連結手段又は連結部材として働く。連結手段又は連結部材は、その端部において可動あるいはヒンジ式に、一方ではカバーシェルに、他方では閉鎖部材に枢設されている。フレーム部材は、特に、閉鎖部材を押圧するばねを結合するためにも利用可能である。これにより、プリロードが、連結手段として機能するフレーム部材と、閉鎖部材との間で形成される。さらに、フレーム部材は、好ましい態様において、機器下側部分、例えば機器下側部分のフロントビームに形状結合式にスナップ係合する係合装置を結合するためにも利用可能である。この係合装置は、特に旋回可能なフックであってよい。この場合、フックは、一方では可動あるいはヒンジ式にフレーム部材に結合可能であり、さらに好ましくは補足的に閉鎖部材に、例えば閉鎖部材の長穴内で案内可能である。この付加的な案内により、2点での確実な機械的な案内が達成される。さらに長穴は、好ましくはフックの旋回運動の終点を確定するために役立つ。
【0021】
フックは、ロック時、特に、聴覚により知覚可能な音響、すなわち特にクリック音が発生するように、スナップ式に係合可能である。これにより、スナップ係合プロセスあるいはロックは、使用者が閉鎖部材の操作時に感じる機械的な掛かり具合に加え、音響を介しても、使用者に伝わる。
【0022】
把手として運搬装置を形成するとき、カバーシェルは、この把手内、特に把手のU字形部内まで延在可能である。これにより、把手は、カバーシェルの一部として形成されている把手領域を有している。これにより、把手の例えば上半分がカバーシェル全体と一体的に形成されているため、高い機械的な耐荷量及び安定性が達成される。また、このことから、把手は紛失することもないようになっている。これにより、混合増幅器全体は、コンパクトなユニットを形成している。使用者は、例えば把手穴に手を差し込み、U字形部を握ることによって、把手を快適に把持することができる。カバーシェルの把手領域は、好ましくはU字形部内まで延在している。穴を有し、ひいてはU字形部内まで延在しているカバーシェルのこの種の形成は、射出成形部品として形成する場合、表側からの射出方向で、又は付加的なスライダを用いて問題なく可能である。
【0023】
好ましくは、別の構成部材としての把手シェルが、補足的に、カバーシェルの把手領域に下側から固定、例えばねじ止めされている。運搬時の快適性の明らかな向上は、付加的な柔軟な材料、例えば把手ゴムの使用により達成される。この材料は、例えば把手シェル及び把手領域に、あるいは把手シェルと把手領域との間に装入可能である。これにより、確実かつ快適な触覚が、比較的僅かな部品数で達成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る機器カバーのカバーシェルを閉鎖装置なしで上から見た斜視図である。
【
図6】片側の閉鎖装置が開放されている機器カバーの斜視図である。
【
図7】
図6に示した機器カバーの平面図と、閉鎖装置を通るように機器カバーを断面した、開放位置(下図)及び閉鎖位置(上図)における断面図である。
【
図8】
図7に示した閉鎖装置の断面図の拡大図である。
【0025】
実施の形態の説明
可搬のあるいは携帯可能な混合増幅器1は、
図6に概略的に示してあり、本発明に係る機器カバー2と、
図6においては破線で概略的に示した機器下側部分3とを有している。機器下側部分3は、混合増幅器の機能を果たす部分として公知であり、機器下側部分3の上面に、保護あるいは遮蔽すべき、音を混合する操作装置と端子とを有している。
【0026】
機器カバー2は、カバーシェル4を有している。カバーシェル4は、例えば
図1から看取可能であり、PC/ABS(ポリカーボネート‐アクリロニトリル ブタジエン スチレン ポリマー)からプラスチック射出成形部品として一体的に製造されており、それゆえ耐衝撃性及び耐破損性に優れていて、例えば−20℃〜60℃の温度範囲で耐性を有する。カバーシェル4は、平坦な、又は軽微に湾曲した表側4.1を有している。表側4.1には、場合によっては射出成形工程時に形成される賦形部あるいはエンボス状成形部(凹部又は凸部)5が形成可能である。賦形部5は、マークや、場合によっては装飾を施すために用いられる場合がある。さらにカバーシェル4は、1つ又は2つの側面4.2と、1つの後面4.3と、後面4.3に対向する1つのフロント面(把手面)4.5とを有している。裏側4.4は、片側に向かって開口しており、機器下側部分3上に載置するために用いられる。裏側4.4の詳細は、
図10に示してある。
【0027】
さらに本発明に係る機器カバー2は、フロント面4.5に把手6を運搬装置として有している。把手6は、U字形部6.8を有しており、把手穴6.1を完全に囲繞している。これにより、把手6を人が手で持ち、運搬することが可能となる。把手6の隣には、2つの閉鎖装置8が形成されている。閉鎖装置8は、カバーシェル4の閉鎖凹部10に装入されている。閉鎖凹部10内には、記号、特に矢印が、賦形部あるいはエンボス状成形部10.2として、特に操作方向を示すために形成されていてよい。
【0028】
把手6は、カバーシェル4の一部である上側の把手領域6.2に加え、把手領域6.2に下側から螺設される、
図11に示す把手シェル6.3と、装入される、
図12に示す把手ゴム6.4とにより形成される。これにより、把手シェル6.3及び把手ゴム6.4は、カバーシェル4の把手領域6.2に結合されている付加的な部材である。
図10の下面図(裏面図)からは、把手領域6.2に設けられたねじ穴6.5が看取可能である。把手シェル6.3の対応するねじ穴あるいはねじドーム6.6は、
図11に看取可能である。ねじ穴6.5は、ねじドーム6.6に一致しているので、下側からねじ、例えばプラスチックねじが、把手シェル6.3を固定するために螺入可能である。把手ゴム6.4は、把手6の内面をU字形部6.8の領域において覆うために役立ち、使用者のために、柔軟性のある快適な握り感覚を提供し、ひいては好ましい触り心地を実現することができる。このために把手ゴム6.4は、例えば把手シェル6.3と把手領域6.2との間に収容されていてもよいし、把手領域6.2にのみ収容されていてもよい。
【0029】
閉鎖装置8は、
図7の下図に開放状態で、かつ上図に閉鎖状態で示してある。閉鎖装置8の構造及び機能は、特に
図8の拡大断面図及び
図9の下面図から看取可能である。
【0030】
機器下側部分3のうち、
図7の断面図からは、まずフロントパネル12と、(ハッチングを施していない)フロントブラケット14とが看取可能である。取り付けのために、機器カバー2は、後側から、すなわち
図7で見て左側から機器下側部分3上あるいは機器下側部分3のフロントパネル12上に被せ嵌められる。その結果、カバーシェル4の後面4.3は、フロントパネル12を包囲する。その後、カバーシェル4は、カバーシェル4のフロント領域、すなわち
図7で見て右側において載置される。その結果、次に、閉鎖装置8は、使用者によって手動でロックあるいは係止可能である。
【0031】
それぞれの閉鎖装置8は、
図2に示した閉鎖部材20を有している。閉鎖部材20は、好ましくはカバーシェル4と同じプラスチックから、特に、閉鎖された状態において表側4.1と整合するように、同じ表面性状及び色彩も有して、製造されている。この場合、閉鎖部材20の湾曲は、カバーシェル4の、この領域における湾曲、すなわちフロント面(把手面)4.5に向かう領域における湾曲に相当する。その結果、
図6に示すように、閉鎖部材20は、表側4.1に付与された形状に適合している。
図6及び
図7から看取可能であるように、閉鎖凹部10の後側の部分10.1は、閉鎖部材20の閉鎖位置(ロック位置)で閉鎖部材20によって覆われていない。この後側の部分10.1には、操作方向を概略的に示すマークのための賦形部10.2が設けられている。
【0032】
閉鎖部材20は、閉鎖部材20の上面に、例えばウェブ又は突起又は相応の賦形部によって、粗面性を高めるグリップ面20.1を有していてよい。これにより、使用者は、この粗面化されたグリップ面20.1を自らの指、例えば親指でより良好に捕らえ、これを操作することができる。
【0033】
閉鎖装置8は、閉鎖部材20の他にさらに、
図4に詳細に示すプラスチック(又は金属)からなるフック22と、
図5に示す金属からなるばね24と、
図3に示すフレーム部材26とを有している。これらの部材は、複数の断面図に示すように組み合わされている。
【0034】
フレーム部材26は、閉鎖部材20とカバーシェル4との間の連結部材として役立つ一方、以下に詳細に説明するようにフック22を受容するためにも役立つ。
【0035】
カバーシェル4の閉鎖凹部10には、それぞれ2つの軸28が形成されている。軸28は、カバーシェル4のプラスチック射出成形材料の一部として若干突出している。軸28は、フレーム部材26の軸収容部30を旋回可能に結合するために役立つ。これにより、フレーム部材26は、旋回可能に支承されている。軸28は、側方に延びる軸ピン領域と、例えば、フレーム部材26の、
図3に看取可能な対応するスリット26.1に係入する、補足的な薄板状のウェブとを有している。これにより、軸28は、組み立て時にフレーム部材26の軸収容部30にスナップ式に係入する。このために、
図3に示すように、例えば右側の軸収容部30が片側に向かって開口している一方、左側の軸収容部30は、閉じられている。その結果、
図1で見て左側の閉鎖装置8の左側の軸28を、閉じた軸収容部30に挿入させ、続いて、旋回させることで、右側の軸28を、片側に向かって開口した軸収容部30にスナップ式に係入させることができる。これにより、簡単な組み立て工程が保証される。
【0036】
図3から看取可能であるように、フレーム部材26は、その上面に2つの穴32を有している。ばね24は、穴32に差し込まれる端部を有するばね脚片24.1と、特に
図9から看取可能な閉鎖部材20の内面に当接させられる中央の当接領域(U字形領域)24.2とを有している。ばね24は、好ましくは対称的に形成されている。これにより、ばね24は、脚片24.1でもってフレーム部材26の、
図3で見て上面に載置され、かつ中央の当接領域24.2でもってフレーム部材26の中央の穴26.2を通して延在する。これにより、ばね24は、閉鎖部材20に載置され、ばね作用を閉鎖部材20とフレーム部材26との間で形成することができる。
【0037】
フック22は、
図8から看取可能であるように、フロントビーム14への係止のために役立つ。このためにフック22は、フレーム部材26の一部として形成されているフック軸34に旋回可能に懸装されている。これにより、フック22は、フレーム部材26周りに旋回する。さらにフック22は、閉鎖部材20に形成されているか、あるいは閉鎖部材20の一部として形成されている長穴36内で案内されている。長穴36は、一方では、フック22を案内するために役立つ。これにより、フック22は、フック軸34に対して付加的に別の領域で案内され、これによりさらに確実に案内されている。また長穴36は、他方では、損傷を回避するために、フック22の旋回運動を制限するために役立つ。ばね24は、フック22がフロントビーム14から押し離され、閉鎖装置8が開放位置に保持されるようにする。開放位置は、使用者にとって目で認識可能である。
【0038】
フレーム部材26は、好ましくは、例えば閉鎖部材20の軸結合部(例えば舌片)38に懸装されている。このことは、例えば
図8の上図から看取可能である。これにより、
図8には、フレーム部材26の断面が、幅の狭いハッチングにより2箇所、すなわち、フック22を受容するフック軸34と、フレーム部材26を閉鎖部材20の軸収容部38に懸装している軸領域33とにおいて看取可能である。
【0039】
図8に示すように、機器下側部分3のフロントビーム14とカバーシェル4との間に、ゴムインサート部材40(幅の狭いハッチング)が装入されている場合がある。ゴムインサート部材40は、例えば形状結合式にスナップ係合されていても、カバーシェル4に接着されていてもよい。これにより、ゴムインサート部材40は、機器カバー2を機器下側部分3上に載置する際のダンパあるいはショックアブソーバとして働くことができる。
【0040】
これにより、動作機構は、特に
図8の両図から看取可能である。上図に示した、閉鎖装置8のロック位置から出発して、使用者は、閉鎖凹部10の露出した後側の部分10.1に指を差し込み、閉鎖部材20を
図1に示す力方向で後から前に押す、すなわち
図8で見て右方向に押すことにより、閉鎖部材20を操作する。フレーム部材26は、フレーム部材26の軸収容部30でもってカバーシェル4の軸28周りに揺動する。フレーム部材26は、フレーム部材26の軸領域33でもって閉鎖部材20の軸収容部38に懸装されているので、閉鎖部材20は、連結部材として機能するフレーム部材26とともにカバーシェル4周りに旋回する。このとき閉鎖部材20は、
図8の下図に示すように閉鎖部材20の軸収容部38の領域において、すなわち閉鎖部材20の後端の領域において上方に離間するように旋回する。その結果、
図8の下図に示す開放位置は、使用者にとって明確に認識可能である。ばね24のばねプリロードは、
図8の下図に示す開放位置へと強制し、その結果、ロックの半解除がなされた場合であっても、
図8の下図に示す、使用者にとって良好に認識可能な開放位置が達成される。この旋回運動時、フレーム部材26、ひいてはフック軸34も連動させられる。その結果、フック22は、
図8で見て右方向に、フロントビーム14との係合状態から外れる。
【0041】
他方、ロックするには、
図8の下図に示す状態から出発して、閉鎖部材20は、例えばそのグリップ面20.1において使用者によって動かされ、力の矢印F2の方向で、すなわち
図7及び
図8で見て左方向に押される。この力F2により、フック22は、再びフロントビーム14に押し付けられ、フロントビーム14に係合する。その結果、閉鎖装置8は、逆向きに、
図8の上図に示すロック位置が達成されるまで動かされる。
図8の上図に示すロック位置への到達時、好ましくはクリック音が、例えば閉鎖部材20の衝止によって発生する。
【0042】
両方の閉鎖装置8の操作は、使用者によって個別又は同時に実施可能である。開放位置は、図面、例えば
図6左に示すように、閉鎖部材20の、もはや面一でなく張り出した位置に基づいて良好に認識可能である。ロック位置も、表側4.1における閉鎖部材20の面一の嵌合形態に基づいて良好に認識可能である。
【0043】
製造時の閉鎖装置8の組み立ては、比較的簡単である。ばね24の脚片24.1をフレーム部材26の穴32内に差し込み、フレーム部材26を(ばね24の取り付けの前又は後に)閉鎖部材20の軸収容部38に懸装(クリップ留め)する。フック22を、他方、フレーム部材26のフック収容部34に懸装する。この組み立て工程は、原則、これとは異なる手順で実施されてもよい。重要であるのは、組み合わされた閉鎖機構あるいは閉鎖装置8の形成である。次に、フレーム部材26をその軸収容部30でもってカバーシェル4の軸28に懸装することによって、閉鎖機構あるいは閉鎖装置8は、カバーシェル4に懸装される。軸のこの懸装は、それぞれ、係止プロセスで行われて、紛失あるいは脱落がないようにしている。
【0044】
機器カバー2を機器下側部分3に固定するには、まず、機器カバー2の後面4.3を機器下側部分3のフロントパネル12に掛け、次に、機器カバー2の把手面を機器下側部分3のフロントブラケット14にあてがう。このとき、ゴムインサート部材40による緩衝あるいは衝撃吸収がなされる。その後、閉鎖装置8は個別にロック可能である。