特許第5678191号(P5678191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスケー イノベーション  カンパニー リミテッドの特許一覧

特許5678191リチウム二次電池用陽極活物質及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678191
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用陽極活物質及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20150205BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   H01M4/525
   C01G53/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-528128(P2013-528128)
(86)(22)【出願日】2011年9月8日
(65)【公表番号】特表2013-541141(P2013-541141A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】KR2011006672
(87)【国際公開番号】WO2012033369
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2013年5月24日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0087726
(32)【優先日】2010年9月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】オ, スン ウ
(72)【発明者】
【氏名】サン, ヒ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ド, ユ リム
(72)【発明者】
【氏名】リ, ヒュン ボ
【審査官】 結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/105126(WO,A1)
【文献】 特開2001−266876(JP,A)
【文献】 特開2009−224097(JP,A)
【文献】 特開2009−224098(JP,A)
【文献】 特開平11−073966(JP,A)
【文献】 特開2008−210701(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/026627(WO,A1)
【文献】 特開2009−301813(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101262061(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101093888(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00−4/62
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム二次電池用陽極活物質の製造方法において、
ニッケルソース、コバルトソース及びアルミニウムソースを含む金属水溶液、アンモニア水、スクロース及びpH調節剤を含む原料を混合反応させて活物質前駆体を製造する段階と、
前記活物質前駆体とリチウムソースを混合して焼成し、下記化学式1のリチウム二次電池用陽極活物質を製造する段階と、を含む多孔性のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
(化学式1)
Li1+zNi1−x−yCoAl
(前記zは0以上〜0.3以下の実数であり、前記xは0.05以上〜0.3以下の実数であり、前記yは0超過〜0.3以下の実数であり、1−x−yは0.4以上〜0.95未満の実数である。)
【請求項2】
前記スクロースは、5〜30重量%で前記金属水溶液に含まれることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記焼成は、0.5〜1℃/minで400〜500℃まで昇温させる1段階及び1〜2℃/minで800〜900℃まで昇温させる2段階に15〜20時間実行することを特徴とする請求項2に記載のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記金属水溶液の金属モル濃度は、1〜3Mである請求項2に記載のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
【請求項5】
前記金属水溶液は、ニッケル:コバルト:アルミニウムのモル比が0.5〜0.94:0.05〜0.3:0.01〜0.3である請求項4に記載のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記金属水溶液が0.2〜0.5L/hrの速度で反応器に供給される請求項4に記載のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記混合反応時のpHは、11〜13である請求項1に記載のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
【請求項8】
前記アンモニア水は、前記金属水溶液の金属モル濃度に対して0.1〜0.25倍のモル濃度を有する請求項1に記載のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
【請求項9】
前記アンモニア水は、0.02〜0.05L/hrの速度で供給されることを特徴とする請求項8に記載のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
【請求項10】
前記リチウムソースは、LiOHである請求項1に記載のリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の製造方法により製造され、総気孔体積が6.5〜8.0×10−2cc/gであり、非表面積が0.7〜1.0m/gであり、容量が200〜215mAh/gであるリチウム二次電池用陽極活物質。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたリチウム二次電池用陽極活物質であって、化学式1の構造を有し、多孔性粒子状であることを特徴とする多孔性リチウム二次電池用陽極活物質。
(化学式1)
Li1+zNi1-x-yCoxAly2
(前記zは0以上〜0.3以下の実数であり、前記xは0.05以上〜0.3以下の実数であり、前記yは0超過〜0.3以下の実数であり、1−x−yは0.4以上〜0.95未満の実数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用陽極活物質及びその製造方法に関し、詳細に、極めて高い容量を有し、電気化学的特性が向上した陽極活物質及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、大きく一次電池と二次電池とに区分され、一次電池とは、非可逆的な反応を利用して電気を生産するため、一回使われた後には再使用が不可能な電池であり、一般的に多く使用する乾電池、水銀電池、ボルタ電池などがこれに属し、二次電池とは、可逆的な反応を利用するため、使用後に充電して再使用が可能な電池であり、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッカド(Ni−Cd)電池などがこれに属する。
【0003】
二次電池のうち一つであるリチウムイオン電池は、一般的に炭素からなる陰極及び一般的にリチウム化合物からなる陽極、二つの極の間に位置する電解質、そして陰極及び陽極を連結する電線を含んで構成される。電解質内のリチウムイオンは、充電(charge)時には陰極側に、放電(discharge)時には陽極側に移動し、各極で剰余の電子を放出し、又は吸収して化学反応を起こすようになる。このような過程で前記電線に電子が流れるようになり、これにより、電気エネルギーが発生するようになる。ここで、リチウムイオン電池を使用して説明したが、他の二次電池の場合も電極または電解質として使われる物質のみが変わり、基本原理及び構造は同様である。すなわち、一般的に二次電池は、前述したように、陰極、陽極、電解質及び電線を含んでなるものである。
【0004】
この時、二次電池は、陰極、陽極、電解質及び電線が各々単一個備えられて形成されることもできるが、より一般的には、単一個の陰極、陽極、電解質及び電線からなる単位セルが複数個連結されてなる。すなわち、二次電池パックの内部には前記説明したような単位セルが複数個入っている。もちろん、各単位セルは、電気的に互いに連結される。
【0005】
一般的に、二次電池は、その内部に複数個の単位セルを含んでおり、また、一般的に各セルの電極と連結された一対の外部端子タップ(すなわち、各単位セルの陰極が連結された一つの陰極、各セルの陽極が連結された一つの陽極であり、電池一つ当たり一対が備えられて電極として機能するタップ)が外部に露出されている形態で構成される。このような二次電池は、一般的に単一の陽極及び陰極が使われるよりは、複数個の陽極及び陰極が連結されて一つのパックとしてのバッテリーを形成するようになる。
【0006】
特許文献1、及び特許文献2のように、リチウム二次電池の陽極活物質として、Li−M−P系(Mは、Fe、Mn、Co、Niで構成された群から選択された1種以上)、Li−Mn−Ni系、Li−Ni−Mn−Co系のようなリチウム活物質前駆体が使われている。
【0007】
しかし、リチウム二次電池の陽極活物質として広く使われているLiNi1/3Co1/3Mn1/3物質は、短絡電圧(cut−off voltage)が3.0〜4.3Vの場合、半電池(Half Cell)でテストする時、ほぼ150mAh/gの容量のみを有し、EV用バッテリーのような高容量バッテリーを製造するためには高容量陽極活物質開発が至急な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2009−0020288号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2009−0006898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高容量リチウム二次電池用陽極活物質及びその製造方法を提供することに目的がある。本発明は、リチウムイオンが本発明によるリチウム二次電池用陽極活物質の構造内で脱挿入が円滑になり、リチウムイオンの拡散速度が増加することによって電気化学的特性が向上するだけでなく、高率特性が向上したリチウム二次電池用陽極活物質及びその製造方法を製造する方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る陽極活物質の製造方法は、多孔性構造を有するため、高い非表面積及び気孔体積を有し、高い容量を有するリチウム二次電池用陽極活物質を製造する方法であり、本発明による多孔性陽極活物質の製造方法は、ニッケルソース、コバルトソース及びアルミニウムソースを含む金属水溶液、アンモニア水、スクロース及びpH調節剤を含む原料を混合反応させて活物質前駆体を製造する段階と、前記活物質前駆体にリチウムソースを加えて焼成して下記化学式1のリチウム二次電池用陽極活物質を製造する段階と、を含むことを特徴とする。
【0011】
(化学式1)
Li1+zNi1−x−yCoAl
【0012】
ここで、前記zは0以上〜0.3以下の実数であり、前記xは0.05以上〜0.3以下の実数であり、前記yは0超過〜0.3以下の実数であり、1−x−yは0.4以上〜0.95未満の実数であり、好ましく、前記yは0.01以上〜0.3以下の実数であり、前記1−x−yは0.4以上〜0.94以下の実数である。
【0013】
前述したように、本発明に係る製造方法は、ニッケルソース、コバルトソース、アルミニウムソース、キレート剤であるアンモニア水、pH調節剤及びスクロースを原料にして活物質前駆体を製造した後、前記活物質前駆体にリチウムソースを投入した後、これを熱処理して陽極活物質を製造する特徴がある。
【0014】
本発明により製造されたリチウム二次電池用陽極活物質は、総気孔体積が6.5〜8.0×10−2cc/gであり、非表面積が0.7〜1.0m/gであることを特徴とし、多孔構造を有する球形の粒子形態を有することができる。
【0015】
本発明により製造されたリチウム二次電池用陽極活物質は、高率特性が著しく向上する効果を有し、半電池テストをする場合、200mAh/g以上の高容量を示すことができ、より具体的には、200〜215mAh/gの容量を示すことができる。
【0016】
詳細に、本発明に係る陽極活物質の製造方法は、pH調節剤で反応器に供給された混合液のpHを一定に維持し、ニッケルソース、コバルトソース及びアルミニウムソースを含む金属水溶液、好ましくは、ニッケルソース、コバルトソース、アルミニウムソース及びスクロースを含む金属水溶液とアンモニア水を反応器に供給及び反応させて反応物を製造し、製造された反応物を乾燥及び自然酸化させて活物質前駆体を製造した後、製造された活物質前駆体とリチウムソースを混合し、これを焼成して前記化学式1のリチウム二次電池用陽極活物質を製造する特徴がある。
【0017】
前記ニッケルソースは、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル及び水酸化ニッケルから一つまたは二つ以上選択して使用することができ、好ましくは、硫酸ニッケルを使用することが好ましい。
【0018】
前記コバルトソースは、硫酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、塩化コバルト及び水酸化コバルトから一つまたは二つ以上選択して使われることができ、好ましくは、硫酸ニッケルを使用することが好ましい。
【0019】
前記アルミニウムソースは、Al、Al(ClO、AlPO、AlK(SO、Al(SO、Al、Al、TiO、AlF及びこれらの水化物から一つまたは二つ以上選択して使用することができ、好ましくは、硫酸アルミニウムを使用することが好ましい。
【0020】
前記ニッケルソース、コバルトソース及びアルミニウムソースは、水溶液状態で反応器に供給され、前記ニッケルソース、コバルトソース及びアルミニウムソースを含む金属水溶液は、金属のモル濃度が1〜3Mであることが好ましい。この時、前記金属は、ニッケル、コバルト及びアルミニウムを意味する。
【0021】
前記モル濃度が1Mより小さい場合には球形粒子の形成に反応時間が長くかかる短所があり、3Mを超過する場合には反応初期に反応性が大きくなってタップ密度が低い粒子が形成される短所がある。
【0022】
前記金属水溶液は、0.2〜0.5L/hrの速度で反応器に供給して反応させることが反応性において良い。
【0023】
前記金属水溶液に含まれるニッケルソース、コバルトソース及びアルミニウムソースのモル比は、前記化学式1によるニッケル、コバルト及びアルミニウムの元素比を満たすように定量投入されることが好ましい。
【0024】
詳細に、前記金属水溶液は、ニッケル:コバルト:アルミニウムのモル比が0.4〜0.94:0.05〜0.3:0.01〜0.3であることが好ましい。より詳細に、ニッケルソース、コバルトソース及びアルミニウムソースの各金属元素のモルを基準に、金属元素(ニッケル、コバルト及びアルミニウム)の総モル数に対するコバルトモル数の比が0.05〜0.3になるようにコバルトソースを含み、前記金属元素の総モル数に対するアルミニウムモル数の比が0超過〜0.3、好ましく、0.01〜0.3になるようにアルミニウムソースを含み、前記金属元素の総モル数に対するニッケルモル数の比が0.4以上〜0.95未満、好ましく、0.4〜0.94になるようにニッケルソースを含む。
【0025】
CoとAlのモル比が前記限定範囲を超える場合、すなわち、Coが0.05モル未満の場合、Ni含量があまりにも多くなって安定性に問題が発生し、0.3モル超過の場合、全体的な陽極活物質容量が減少する問題点が発生することができる。また、Alが0.01モル未満の場合、構造的安定性の特性が現れず、Alが0.2モル超過の場合、容量減少の原因となる問題点が発生することができる。
【0026】
前記スクロースは、5〜30重量%で前記金属水溶液に含まれる特徴がある。前記スクロースは、原料の混合反応によりNi−Co−Al−(OH)の内部に存在するようになり、焼成時にスクロースが炭化されることで、製造されたリチウム二次電池用陽極活物質の粒子内部に気孔を形成するようになる。前記気孔によって電解液が粒子内部まで侵入が可能であるため、リチウムイオンが構造内で脱挿入が円滑になり、高率特性が向上することができる。
【0027】
前述した前記スクロースを含む金属水溶液、アンモニア水及びpH調節剤を反応器に添加して攪拌することによって活物質前駆体を製造し、前記pH調節剤により、前記反応器内の混合溶液のpHが11〜13に調節され、反応器内の混合溶液の平均滞留時間が5〜7時間になるように原料の供給速度を調節することが良い。前記反応器の反応温度は40〜60℃であることが好ましい。前記pHを調節するためのpH調節剤は大きく制限されるものではないが、水酸化ナトリウムを使用することが好ましい。
【0028】
前記アンモニア水は、前記金属水溶液の金属モル濃度に対して0.1〜0.25倍の濃度であることが好ましく、前記アンモニア水は、0.02〜0.05L/hrの速度で反応器に供給混合することが良い。アンモニアは、キレート剤(chealating agent)として金属イオン(Metal ion)を均一な組成を有するようにするために使われる。前記アンモニア濃度が前記範囲を外れる場合、NaOHにより不均一な組成で沈殿されて最適条件の前駆体を得ることができない。
【0029】
前記活物質前駆体は、前記反応器で収得された反応物を乾燥及び自然酸化させて製造されることが好ましい。大きく制限されるものではないが、好ましくは、90〜120℃で10〜20時間乾燥させ、同じ温度で10〜15時間空気中自然酸化させることが好ましい。
【0030】
前記活物質前駆体にリチウムソースを加えて焼成させることで、本発明による陽極活物質を製造することができる。
【0031】
詳細に、前記乾燥及び自然酸化により収得された活物質前駆体と前記リチウムソースをミキサーを含む通常の攪拌装置を利用して混合した後、リチウムソースと活物質前駆体の混合物を熱処理して本発明による陽極活物質を製造する。
【0032】
前記活物質前駆体と前記リチウムソースの混合時、前記リチウムソースは、化学式1によるリチウムの元素比を満たすように定量投入されることが好ましい。
【0033】
詳細に、前記活物質前駆体を製造する混合溶液に含まれるニッケルソースのニッケル、コバルトソースのコバルト及びアルミニウムソースのアルミニウムのモル数の和を全体金属モル数にし、前記全体金属モル数1モルに対して1〜1.3モルのリチウムに該当するリチウムソースと前記活物質前駆体が混合されることが好ましい。
【0034】
前記リチウムソースはリチウム塩を含み、前記リチウム塩はLiOHを含む。
【0035】
前記焼成時、昇温は0.5〜1℃/minで400〜500℃まで昇温させる1段階及び1〜2℃/minで800〜900℃まで昇温させる2段階を含んで実行される特徴があり、前記焼成は、前記1段階昇温時点を基準に15〜20時間実行される特徴がある。
【0036】
詳細に、前記焼成は、0.5〜1℃/minの速度で400〜500℃まで昇温させた後、400〜500℃で熱処理が行われ、1〜2℃/minの速度で800〜900℃まで昇温させた後、800〜900℃で再び熱処理が行われる多段熱処理であることが好ましい。この時、前記400〜500℃の熱処理は、4〜6時間実行されることが好ましい。
【0037】
前記焼成時、昇温速度が前記範囲を外れる場合、スクロースが速く分解されて製造されるリチウム二次電池用陽極活物質粒子が割れる現象が発生することができ、より効果的な気孔形成のために、前記焼成は、前記条件(熱処理プロファイル)に適するように実行することが好ましい。
【0038】
本発明により製造されたリチウム二次電池用陽極活物質は、5〜15μmの均一な大きさの多孔性粒子であるという特徴があり、下記化学式1の構造を有し、気孔が形成されたリチウム二次電池用陽極活物質であるという特徴がある。
【0039】
(化学式1)
Li1+zNi1−x−yCoAl
【0040】
ここで、前記zは0以上〜0.3以下の実数であり、前記xは0.05以上〜0.3以下の実数であり、前記yは0超過〜0.3以下の実数であり、1−x−yは0.4以上〜0.95未満の実数であり、好ましく、前記yは0.01以上〜0.3以下の実数であり、前記1−x−yは0.4以上〜0.94以下の実数である。
【発明の効果】
【0041】
本発明によるリチウム二次電池用陽極活物質の製造方法は、スクロースを加えることによって製造されたリチウム二次電池用陽極活物質の粒子内部に気孔が形成され、前記気孔によって電解液が粒子内部まで侵入が可能であるため、リチウムイオンが陽極活物質構造内で脱挿入が円滑になって高率特性が向上する効果がある。また、本発明によるリチウム二次電池用陽極活物質の気孔体積が広く、本発明により製造された陽極活物質の構造内のリチウムイオンの拡散速度が増加するようになり、電気化学的特性が向上する効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施例を介して本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されると解釈されないことは当業界において通常の知識を有する者には自明である。
【0043】
(実施例1)
4L大きさの反応器に硫酸ニッケル(NiSO6HO)、硫酸コバルト(CoSO7HO)及び硫酸アルミニウム(Al(SO18HO)が2Mで溶解され、20重量%のスクロースを含む金属水溶液を0.3L/hrの速度で供給した。この時、前記金属水溶液は、ニッケル:コバルト:アルミニウムが0.7:0.1:0.2のモル比になるように前記硫酸ニッケル(NiSO6HO)、硫酸コバルト(CoSO7HO)及び硫酸アルミニウム(Al(SO18HO)を含んだ。
【0044】
0.2モル濃度のアンモニア水を0.03L/hrの速度で反応器に供給し、pHが11になるように水酸化ナトリウムを追加し、反応器を攪拌して反応させることで混合溶液を製造した。この時、前記反応時の平均温度は、40℃になるように維持した。
【0045】
前記反応器の回転翼は、上下均一混合のために、二つの逆翼式に設計され、回転モーターの出力は、2.4kwであった。回転数は、1500rpmであった。
【0046】
前記反応器で収得された反応物を110℃に15時間程度乾燥させ、12時間空気中自然酸化させて活物質前駆体を製造した。
【0047】
製造された活物質前駆体と水酸化リチウム(LiOH)を1:1.05のモル比で混合した後、空気中1℃/minの速度で500℃まで昇温して5時間熱処理した後、2℃/minの速度で900℃まで昇温させて焼成させ、総焼成時間が20時間になるように焼成させ、リチウム二次電池用陽極活物質Li1.05Ni0.7Co0.1Al0.2を製造した。前記製造されたリチウム二次電池用陽極活物質は、平均直径が10μmであり、気孔が形成された均一粒子を得ることができた。
【0048】
(実施例2)
前記金属水溶液がニッケル:コバルト:アルミニウムのモル比が0.6:0.1:0.3になるように前記硫酸ニッケル(NiSO6HO)、硫酸コバルト(CoSO7HO)及び硫酸アルミニウム(Al(SO18HO)を含むことを除き、実施例1と同様に実施し、リチウム二次電池用陽極活物質Li1.05Ni0.6Co0.1Al0.3を製造した。
【0049】
(比較例1)
前記実施例1と同様に実施し、スクロースを含まないことに相違点があり、その他は前記実施例1と同様に実施した。
【0050】
実施例1と比較例1で製造された粒子の平均非表面積と平均気孔体積を測定し、下記表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
前記表1から分かるように、本発明による陽極活物質の場合、相当大きい気孔体積を有する多孔構造の粒子が製造されることが分かり、相当高い非表面積を有することが分かる。
【0053】
前記実施例1、実施例2及び比較例1で製造された粒子の容量を測定し、下記表2に示した。
【0054】
【表2】