(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突起が、前記ポケットの中で長手方向に移動することができるように前記ポケットの中に可動式に配置され、前記突起と前記ポケットが相互に噛み合う形状を有することで、前記突起が長手方向に移動して前記ポケットから出るのを制限する、請求項1に記載の内視鏡。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、内視鏡10の側面図が示されている。本発明は、図面に示される例示の実施形態を参照して記載されるが、本発明は、多くの代替の形態の実施形態において具現化することができることを理解されたい。加えて、任意の好適なサイズ、形状または種類の要素または材用を利用することも可能である。
【0011】
内視鏡10は、尿管内視鏡である。しかしながら代替の実施形態では、内視鏡は、任意の好適なタイプの内視鏡であってよい。内視鏡10は一般に、ハンドルまたは制御装置12と、ハンドル12に接続された可撓性または半可撓性のシャフト14と、を備える。シャフト14は、受動的な偏向部分16と、能動的な偏向部分18とをシャフト14の遠位端に含む。能動的な偏向部分18を制御するための制御システム22が、ハンドル12から能動的な偏向部分18まで延在している。また
図2を参照すると、制御システム22は一般に、一対の制御ワイヤ24a、24bまたは少なくとも1本の制御ワイヤと、2つのワイヤ外装50a、50bと、作動装置28とを備えている。ワイヤ24a、24bは、一端において作動装置28に接続され、第2端部において能動的な偏向部分18に接続されている。
【0012】
好ましい実施形態において、ハンドル12は、ユーザ作動式のスライドまたはレバー30を有する。レバー30は、作動装置28に接続される。作動装置28は、制御システム22の2本のワイヤ24a、24bを引いたり、緩めたりするように適合されている。レバー30がユーザによって動かされる際、作動装置28が動かされる。作動装置28は、1本のワイヤワイヤ24a、24bを引っ張り任意選択で他方のワイヤを緩めるようにハンドル12に回転可能に接続されたドラムまたは滑車であってよい。代替の一実施形態において、作動装置は、任意の好適なタイプのデバイスであってよく、例えば制御システム22のワイヤを引っ張ったり、緩めたりするように適合されたロッカーアームであってよい。別の代替の実施形態では、制御システムは2対以上の制御ワイヤを有する場合があり、ハンドルは、追加の作動装置と、対応する制御装置とを有することで、追加の制御ワイヤの対を駆動させる。さらに他の代替の実施形態では、ハンドルは、ラックアンドピニオン機構または他の好適なユーザ作動式の制御システム用の制御装置を備えたノブの場合もある。
【0013】
シャフト14は、ハンドル12から片持ち梁で支えられている。可撓性のシャフト14は、制御システム22の制御ワイヤ24a、24bと、光ファイバイメージバンドル37またはセンサケーブルと、少なくとも1つの光ファイバ照明バンドル36と、作業チャネル38とを含んでいる。チャネル38に器具(図示せず)を挿入するためのポート60が、ハンドル12に位置付けられている。これに加えて、ハンドル12は、例えばビデオモニタなどの別のデバイスに接続するための電気ケーブル63を有する。代替の一実施形態では、ケーブル63の代わりに、内視鏡が接眼鏡を有する場合もある。代替の実施形態では、可撓性のシャフトは、異なるシステムを中に収容する場合もある。
【0014】
シャフト14は一般に、フレーム26と、カバー32と、対物ヘッド34とを備える。また
図3を参照すると、フレーム26は一般に、一体式の管40を備える。しかしながら代替の実施形態では、フレームは、例えば複数の管が直列に接続されるなど1つ以上の管で構成される場合もあり、追加の部材を備える場合もある。管40は好ましくは、チネルまたはニチノールなどの形状記憶合金材料で構成される。形状記憶合金材料は、たとえ一般的な金属における可塑的変形を生じさせる材料の歪み度が4%に近づく場合、あるいは0.4%の典型的な降伏ひずみを超える程の大きさに達した場合であっても、偏向し、この材料のもとの位置または所定の位置に弾性式に戻る能力を呈するその超弾性特性により利用されている。したがって、「超弾性合金」との用語は、このような種類の材料を指すのに使用されている。しかしながら管40はいずれの耐久性のある材料も使用することができる。ワイヤ外装50a、50bもまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,938,588号に開示されるようにこのような種類の材料で構成されてよい。代替の一実施形態では、管が、超弾性合金で構成されない場合もある。
【0015】
管40は、開放した前方端部と後方端部44、45を備えた中央チャネル42と、その長さの少なくとも一部に沿ったスロット46とを有する。この実施形態では、スロット46は、管の半分以上にわたって延在している。しかしながら代替の実施形態では、1つまたは複数のスロットが、管の半分以上にわたって延在しない場合もある。この実施形態では、スロットは管の異なる部分または長さに沿って異なるパターンを有する。より具体的には、この実施形態では、スロット46は、3つの部分、52、54、56になるように構成されている。各々の部分は、異なるパターンのスロット46を有する。スロット46のパターンは、例えば以下の変数に基づいて構成することができる。
・隣接スロット間の距離または間隔、
・管40に入るスロットの方向、
・管の中に入るスロットの深さ、
・スロットの幅、
・スロットの形状、および
・管の一定の長さに沿ったスロットの異なる方向を混合する作用。
【0016】
代替の実施形態では、管40は、3つより多いまたは少ない、例えばわずか1つまたは2つの異なるスロットパターンを有する場合もある。これに加えて、異なるスロットパターンの部分同士が急激に移行するのではなく、管が、徐々にまたは混合されたスロットの移行区域を部分間に備える場合もある。この実施形態では、管40はまた、その中にスロットを含まない2つの部分58、59も有する。
【0017】
また
図4を参照すると、管40の前方端部の拡大図が示されている。スロット46は、第1のスロット46aと、第2のスロット46bとを含む。第1のスロット46aはほぼ直線であり、管40の中央の長手軸にほぼ直交して管の中へと延在している。第2のスロット46bは、非直線形状である。この例示の実施形態では、第2のスロット46bは、概ね三次元の湾曲した全体がジグザグの形状である。このような形状が、突起64と、ポケット66とを形成する。スロットは、各々のスロット46bの両側に離間した部分48を形成しており、この部分のうちの第1の部分が、突起64の1つを備え、これはこの部分のうちの対向する第2の部分48のポケット66の中に延出する。各々の第2のスロット46bは、管の対向する側部に対向する端部47を有し、これらは整列され管の中心軸にほぼ直交している。第1のスロット46aは、それらが直線であるためポケットや突起を持たない。
【0018】
また
図5を参照すると、スロット46は、管40を屈曲させることが可能である。突起64は、この屈曲作業中ポケット66内を前後に長手方向に摺動することができる。突起64の側面68は通常、ポケット66の側面70からわずかに離間されている。しかしながら、管40が軸方向のトルクまたはねじる力を受けた場合、側面68、70が互いに接触し、隣接する部分48が互いに対してねじれる動作を制限することができる。したがって突起とポケットが、オーバートラベルの制限装置を形成することで、少なくとも一方向の第1および第2の部分の互いに対する相対運動を制限する。この特定の例において、制限装置は、管40の軸方向のねじれまたは変形を制限している。
【0019】
本発明の代替の一実施形態に示される
図6および
図7では、管40’は、シャフトの遠位端にのみ設けられている(シャフトの外側カバーは、単に理解する目的で示されていない)。この例示の実施形態では、第2のスロット46bは、シャフトの残りの部分を有する接合部72に近接した管40’の後方部分に設けられるのみである。これに加えて、第2のスロット46bは、管40の片側に設けられるのみである。第1のスロット46aは、管の他方側にあり、第2のスロット46bと交互に配置され、同じ側にある第2のスロット46bの前方に配置される。第1および第2のスロット46a、46bの互いに対する任意の好適な配置を形成することができる。異なるように成形された付加的なスロットが設けられる場合もあり、あるいは管が第2のスロット46bのみを有する場合もある。
【0020】
図4は、全体が片持ち梁式の矩形形状として突起64を示している。しかしながら1つまたは複数の突起64が異なる形状を有する場合もある。
図8は、内側に成形された先端74を備えた突起64’を示している。
図9は、内側に成形された中央部分76を備えた突起64’’を示している。
図10は、ポケット66の中にある突起78を示しており、この場合突起は、傾斜した側面68’を有する。ポケット66内での突起78の長手方向の位置によって(例えば管の屈曲の大きさに基づいた)、この実施形態を利用して許される軸方向にねじる大きさを変えることができる。
【0021】
図11は、別の実施形態を示しており、この場合ポケット80と突起82の形状を利用して、(側面84、86が互いに対して押し込まれる際)長手方向の運動88を制限することに加えて、軸方向のねじりの大きさ(方向90における相対運動)を制限することができる。これにより管の屈曲のを制限することができる。
【0022】
図12は別の実施形態を示しており、この場合、突起92は、弾性式に偏向可能なばね部分94を有することで、オーバートラベル制限装置にばね作用を与えている。
【0023】
本発明によると、超弾性合金の管を設けるステップと、管の中に入る複数のスロットを作成することで、管の少なくとも一部分が高い可撓性を有するように形成するステップとを含む方法を提供することができ、この場合スロットがそれぞれ、非線形形状を有することで、ポケットの中に延出する突起を形成しており、この突起は、ポケットに対して長手方向に移動することが可能であるが、ポケット内での横方向の移動が制限されることで、突起と、ポケットが、管を軸方向にねじる変形を制限するためのオーバートラベル制限装置を形成する。スロットを作成する方法は、例えばレーザにより管の中にスロットを形成するステップを含むことができる。
【0024】
管フレーム部材を有する従来の内視鏡は、偏向面に直交するスロットを備えた超弾性合金でできており、この内視鏡は上記に述べたように知られている。このようなスロットの幾何学形状は、偏向弾性力に必要とされる要件に対応している。スロット付きの管は、一部のケースではレーザ切断された管材料から作成されており、可撓性の尿管内視鏡の能動的に偏向する部分に利用され、数年にわたって良好な成果を治めてきた。一般にスロット付きの管は、一方向または両方向に偏向するように設計されており、スロット付きの管の最大の長さは、および2インチ程である。
【0025】
対向する2つ方向で同様の偏向力を有するより長いスロット付きの管を利用するより新しい設計の内視鏡が利用されてきたが、このようなより長いタイプのスロット付きの管は、管の近位端において破損する若干の傾向を示してきた。今のところ理解されているのは、より長いスロット付きの管は、遠位端における内視鏡の先端が、医療措置の中で側面に向けて操作される(ねじられる)際、近位端において(先の設計におけるより短いスロット付きの管と比べて)より高いトルク力を受けやすいということである。先の設計は、内視鏡の偏向部分の近位端においてより可撓性が高かったように思われ、これにより、より長いスロット付きの管(およそ3インチ長)を利用する偏向部分は、このような近位部分の可撓性を持たない。このようなより強力なトルク力は、より長いスロット付きの管の近位部分を強力にねじり、これを変形させることができ、このような変形によりスロット付きの管のフレームとして超弾性材料を利用しているにも関わらず、材料の疲労につながる可能性がある。既存のスロット付きの管のフレーム部材は、偏向荷重に対して十分に作用するが、「偏向の可撓性」がより高く、「トルク抵抗の安定性」が低いことから、角度荷重(トルク)には耐えることができない。
【0026】
上記に記載したより長いスロット付きの管の場合、スロット付きの管の近位端(屈曲前)は、ねじれを吸収するように思われ、その領域において開放スロットの底部から隣接するスロットに入るように示されるいくつかの顕著な屈曲ラインを有しており、管の構造は、ねじれが先端に伝搬することはできないように思われる。
【0027】
本発明の目的の1つは、強力なねじれ作用によるスロット付きの管の近位部分の材料の変形を抑え、これにより材料の疲弊の大きな原因をなくすことである。提案した設計の基本的な違いは、スロットの間にあるリング(部分48)が、スロットの中心において、スロット付きの管の軸に沿って向けられた突起またはタブを有し、管のこれに続くコイル(部分48)上に関連するノッチを有することである。突起またはタブ64は、キーとして機能することができる。ポケット66の位置は、偏向面に対して直交するため、スロット付きの管の耐久性を高めている。この解決法は、偏向の可撓性がより大きくなることと、トルク抵抗の安定性が低くなることの物理的な矛盾を解決することを意図している。提案されるスロット付きの管のキー設計の実装は、管のトルク抵抗を高めるだけではなく、それはまた、屈曲面からの逸脱(ゆがみ)においてスロット付きの管をより安定させることにもなる。
【0028】
従来式のスロット付きの管のフレーム部材のリング/コイルは、ねじられた場合、互いに対して横方向にずれる可能性があり、これにより隣接するスロット間の材料のウェブを変形させ、場合によって管材料が応力を受ける場所にしわを形成することになる。一方、本発明によると、相互に噛み合うタブ(キー)を有する部分がねじられた場合、タブは、極めて小さな相対的な横方向の変位により次のリング(部分48)に対してねじれ力を伝達する。これにより実質的に、過剰な材料の変形および関連する過剰な応力をなくすことになる。タブ64は、スロット付きの管がそこで偏向したとき、依然としてタブがスロットに係合しているように、隣接するスリット66の中に十分に延出する。タブ(キー)の幾何学形状を変えることで、管の全体の設計を変化させることができるが、基本的な目的は保持され、既存の部分48の間の最小限の大きさの相対的な横方向の変位、およびこれにより最小限の量の材料の偏向および関連する応力により、次のリング(部分48)にねじれ力を移すことができる。
【0029】
一体式の管40によって、ピンまたはリベットで接続された複数の連結部やリングで構成された管と比べて、はるかに容易にシャフトを組み立てることが可能になる。品質管理もまた、ピンまたはリベットで接続された複数の連結部やリングと比べて、一体式の管の場合さらにずっと一貫したものになる。しかしながら内視鏡におけるシャフトフレームとして使用される他の一体式の管とは異なり、例示の実施形態の突起/ポケットによって形成されるねじれのオーバートラベル制限装置は、追加の構成要素を加えることによるさらなるねじれの安定性を必要とせずに、一体式の管を利用することを可能にすることができる。カバーはもはや、一体式の管フレームを有する従来の内視鏡シャフトに必要とされるようなトルクの安定性を実現する必要がない。したがって、シャフト14は、一体式の管フレームを使用することで従来の内視鏡のシャフトよりも薄くすることができる。
【0030】
次に
図13から
図15を参照すると、内視鏡10のフレームの少なくとも一部に使用される管の別の代替の実施形態が示されている。管100は、例えばプラスチック、金属または金属合金などの好適な材料でできた一体式の部材である。管100は、その中に複数のスロット102を有する。
図14は、管100の一部の拡大図であり、
図15は、一対の突起/ポケット64/66の一つの拡大図である。各々のスロット102は、1つの突起64と、1つのポケット66と、一対の突起/ポケット64/66の両側部にある部分67、69とを形成しており、この部分67、69は、各々のスロットの対向する端部を形成している。スロット102は、各々のスロット102の両側に離間した部分65を形成しており、この部分のうちの第1の部分は、この部分65のうちの反対側の第2のポケット66の中に延出する突起64の1つを備えている。代替の一実施形態では、1つのスロットが、2つ以上の突起64と、1つのポケット66を備える場合もある。各々の突起/ポケット64/66は、前方または後方に向くことができる、あるいは複数の突起/ポケット64/66の対が、管の前方と後方の両方に向くこともできる。この例示の実施形態では、スロット102の4つのパターンが繰り返されており、このパターンは、概ねらせん形のパターンで管の長さに沿って配置され、互いに対しておよそ90度回転された4つの各々の突起/ポケットを有する。
【0031】
部分67、69は、管100の中心軸104に対して概ね直交するように整列されるが、代替の一実施形態では角度が付けられる場合もある。一対の突起/ポケット64/66は、中心軸104に概ね平行して延在するが、代替の一実施形態ではそれらが中心軸104に対して角度を付けられる場合もある。この例示の実施形態では、上記に述べたように1つのスロットの一対の突起/ポケット64/66は、軸104を中心とした一定の回転角度だけ隣接するスロット102に対して90度だけずらされている。よって第1の対の突起/ポケット64/66は、0(ゼロ)の基準角度で配置され、これに続く第2の対の突起/ポケット64/66は、90度の基準角度で配置され、この後の第3の対の突起/ポケット64/66は、180度の基準角度で配置され、この後の第4の対の突起/ポケット64/66は、270度の基準角度で配置され、その後の第5の対の突起/ポケット64/66は、0(ゼロ)度の基準角度に戻って配置される。これによりこの実施形態では、スロット102によって、管100上の突起/ポケット64/66の配置に概ねらせん形のパターンを与えている。代替の実施形態では、隣接する突起/ポケット64/66間に任意の好適な大きさの回転角度の差が与えられる場合もあり、これは例えば120度または72度などである。また回転角度が均一でない場合もある。
【0032】
図13から
図15の実施形態を、概ね矩形の突起64と、概ね矩形のポケット66を参照して記載してきたが、突起とポケットの形状が異なる場合もある。例えば
図13から15に示される例は、
図8から12に示されるものなどの形状を利用する場合がある。あるいは他の代替の形状を突起とポケットに利用する場合もある。
【0033】
また
図16および
図17を参照すると、内視鏡10のフレームの少なくとも一部に使用される管の別の代替の実施形態が示されている。管110は、例えばプラスチック、金属または金属合金などの好適な材料でできた一体式の部材である。管110は、中に複数のスロット112を有する。また
図17を参照すると、各々のスロット112は、1つの突起114と、1つのポケット116と、一対の突起/ポケット114/116の両側にある部分67、69とを形成している。代替の一実施形態では、1つのスロットが、2つ以上の突起114と、1つのポケットを備える場合もある。各々の突起/ポケット114/116は前方または後方に向くことができる、あるいは複数の突起/ポケット114/116が、管の前方と後方の両方に向くこともできる。
【0034】
部分67、69は、管100の中心軸104に概ね直交するように整列されるが、代替の一実施形態では中心軸104に対して角度が付けられる場合もある。一対の突起/ポケット114/116は、軸104を中心に対して概ね平行して延在するが、代替の一実施形態では、それらが中心軸104に対して角度が付けられる場合もある。この例示の実施形態では、1つのスロットの突起/ポケット114/116の対は、軸104を中心とした一定の回転角度だけ隣接するスロット112に対して120度だけずらされている。よって第1の対の突起/ポケット114/116は、0(ゼロ)の基準角度で配置され、これに続く第2の対の突起/ポケット114/116は、120度の基準角度で配置され、この後の第3の対の突起/ポケット114/116は、240度の基準角度で配置され、この後の第4の対の突起/ポケット114/116は、0(ゼロ)度の基準角度に戻って配置される。これによりこの実施形態では、スロット112によって、管100上の突起/ポケット114/116の配置に概ねらせん形のパターンを与えている。代替の実施形態では、隣接する突起/ポケット114/116間に任意の好適な大きさの回転角度の差が与えられる場合もある。また回転角度は、一様に均等でない場合もあり、すなわち角度が変わる可能性もある。
【0035】
この例示の実施形態における突起114は、概ね「T字型」の形状である。ポケット116もまた、概ね「T字型」の形状である。「T字」型の突起/ポケット114/116は、管をねじるようにひねる作業を制限することに加えて、管の軸方向の屈曲作用を制限することができる。突起は、ポケットの中で長手方向に移動することができるようにポケットの中に可動式に配置されており、突起とポケットが相互に噛み合う形状を有することで、突起が長手方向に移動してポケットから出るのを制限する。この実施形態では、切断部の片側からの1つまたは複数の突起114が、この切断部の隣接する側部にある空洞116内に配置されることで、切断部の両側部の相対的な運動を制御するように作用する。それらはオーバートラベル制限装置として作用する。この実施形態はさらに、1つまたは複数の突起が、管を屈曲させる際、それぞれの関連する空洞から外に出るのを制限することによって、切断部の2つの側部の相対運動の制御作用の信頼性を高めている。加えてこの実施形態は、1つまたは複数の突起が、その関連する空洞に接触することができるため、管の軸方向の最大限の偏向を制限している。
【0036】
代替の一実施形態において、スロットはそれぞれ、概ねらせん形状を有することができる。このようなスロットはそれぞれ、パターン形成された形状を有することで、1つまたは複数のスロットの中に複数の突起114と、ポケット116とを形成することができる。ある種の代替の実施形態では、スロットは、軸104を中心として360を超えて、例えば2回(720度)回転することができる。この例示の実施形態では、各々のスロットは、2対の突起/ポケット114/116を形成することができ、これらは軸104を中心としてほぼ均等に離間され、例えばおよそ180度離間されて配置される。連続するスロットを交互に配置することができ、突起/ポケット114/116の対がおよそ90度離れて互い違いになるように、それらは始まり終端する。隣接するスロットの一部は、互いに相互に混合される、あるいは間に挿入させることができる。突起/ポケットはまた、異なる形状を有する場合もある(それらが同じ形状を有する必要はない)。ある種の代替の実施形態では、概ねらせん形のスロットが、一対の突起/ポケットのみを有する場合もある。
【0037】
また
図18を参照すると、内視鏡10のフレームの少なくとも一部に使用される管の別の代替の実施形態が示されている。管120は、例えばプラスチック、金属または金属合金などの好適な材料で構成された一体式の部材である。管120は、その中に1つのスロット122を備えた部分を有する。スロット122は、管の中央の長手軸を中心に円を描く概ねらせん形のパターンを有する。スロット122は直線ではない。代わりにスロットが、パターン形成された形状を有することで、複数の突起64と、ポケット66を形成している。この例示の実施形態では、スロットは、突起/ポケット64/66の前方に突出する対124と、突起/ポケット64/66の後方に突出する対126とを形成している。スロット122によって、管120上の突起/ポケット64/66の配置に概ねらせん形のパターンを与える。
【0038】
この実施形態では、1つの切断部の片側からの1つまたは複数の突起は、この切断部の隣接する側部にある空洞内で捕らえられ、切断部の両側部の相対運動を制御するように作用する。この実施形態では、1つの切断部は、管の長さに沿った渦巻きとして表されている。代替の一実施形態では、突起は、
図17に示されるものと同様にそれぞれの空洞と接触するように設計される場合もある。このようなオーバートラベル「T字」形制限装置によって、管を屈曲させる際、1つまたは複数の突起がそれぞれの関連する空洞の外に出ないように制限することにより、切断部の両側部の相対運動を制御することによって信頼性を高めることができる。加えて、1つまたは複数の突起がそのそれぞれの関連する空洞と接触するため、これにより、軸方向の管の最大限の偏向を制限することができる。スロット122は、スロット122の対向する側部に離間した部分123を形成し、この部分のうちの第1の部分は、突起/ポケット64および/または66の少なくとも一方を備え、この部分のうちの少なくとも1つの対向する第2の部分123は、少なくとも1つのそれぞれ噛み合った突起64および/またはポケット66を備える。
【0039】
図18の実施形態は、概ね矩形または正方形の突起64と、概ね矩形または正方形のポケット66を参照して記載してきたが、突起とポケットの形状は変わる場合もある。例えば
図8示される例は、
図8から
図12に示されるものなどの形状を利用する場合がある。あるいは他の代替の形状を突起とポケットに使用する場合もある。
【0040】
また、
図19から
図20を参照すると、内視鏡10のシャフトのフレームの少なくとも一部に使用される管の別の代替の実施形態が示されている。管220は、例えばプラスチック、金属または金属合金などの好適な材料で構成された一体式の部材である。管220は、その中に1つのスロット222を備えた部分を有する。スロット222は、管の中央の長手軸を中心に円を描く概ねらせん形のパターンを有する。スロット222は直線ではない。代わりにスロットが、パターン形成された形状を有することで、複数の突起264、265と、ポケット266とを形成している。この例示の実施形態では、突起/ポケット264/266の対は、ねじりオーバートラベル制限装置として機能している。突起265は、いずれにポケットの中にも延出しない代わりに、スタンドオフおよび屈曲式の制限装置としてスロットの対向する側部と接触することができる。スロット222によって、管220の突起/ポケット264/266および管220の突起265の配置に概ねらせん形のパターンが与えられる。
【0041】
この実施形態では、1つの切断部の片側からの1つまたは複数の突起は、この切断部の隣接する側部にある空洞内で捕らえられ、切断部の両側部の相対運動を制御するように作用する。この実施形態では、1つの切断部は、管の長さに沿った渦巻きとして表されている。スロット222は、スロット222の対向する側部に離間した部分223を形成し、この部分のうちの第1の部分は、突起264および/またはポケット266の少なくとも一方を備え、この部分のうちの少なくとも1つの対向する第2の部分223は、少なくとも1つのそれぞれ噛み合った突起/ポケット264および/または266を備える。
【0042】
本発明の例示の一実施形態によって、制御部分12と、制御部分12から延出するシャフト14とを備えた内視鏡を提供することができ、この場合シャフト14は、一体式の管100、110、120、220を備えるフレームを含んでおり、管は、管の少なくとも1つの長さに沿って管の中に入る第1のスロット102、112、122、222を備え、第1のスロットは、複数の突起64、114、264と、各々のポケット66、116、266を管の中に形成する形状を有しており、突起がポケットの中に延出することで、オーバートラベル制限装置を形成し、この装置は、少なくとも1つの方向での管の一部の互いに対する相対運動を制限するようにサイズが決められ成形されている。第1のスロットは、管の長手方向軸104の周りに360度を超えて延在することができる。第1のスロットは、管の長手方向軸の周りに概ねらせん形の形状を有することができる。ポケット及び突起は、概ね正方形または矩形の形状を有することができる。スロットは、少なくとも3対の突起と、ポケットを形成することができる。この対は、第1のスロットの回転軸の周りにほぼ均等に離間させることができる。突起は、概ね前方方向に延出する第1の突起と、概ね後方方向に延出する第2の突起とを含むことができる。突起はそれぞれ概ね「T字」形を有することができる。ポケットはそれぞれ、概ね「T字」形を有することができる。管は、複数の第1のスロットを備えることができる。管は、管の中に第2のスロットを備えることができ、これは突起とポケットを持たない。この場合第2のスロットは、少なくとも180度の外巻きの経路を有する。
【0043】
本発明の例示の一実施形態は、一体式の管100、110、120、220を備えた内視鏡のシャフトフレーム部材を提供することができ、この場合管は、管の長さの一部に沿って管の中に入るスロット102、112、122、222を備え、スロットは、その長さに沿って管の長手方向軸を囲むように概ねらせん形を有しており、スロットがポケット及び突起を形成し、この突起がポケットの中に配置されることで、突起及びポケットがオーバートラベル制限装置を形成し、この装置は、管の軸方向のねじれによる変形を制限するようにサイズが決められ成形されている。スロットは、突起とポケットとの複数の対を形成することができる。突起は、概ね前方方向に延出する第1の突起と、概ね後方方向に延出する第2の突起とを含むことができる。スロットは、管の長手方向軸の周りに360度を超えて延在することができる。ポケットと、突起は、概ね正方形または矩形の形状を有することができる。突起は、概ね「T字」形を有することができる。ポケットは、概ね「T字」形を有することができる。管は、複数のスロットを備える場合がある。
【0044】
本発明の例示の一実施形態は、管を設けるステップと、管の中に入るスロット102、112、122または222を作成することで、管の少なくとも一部が高い可撓性を有するように形成するステップとを含む方法を提供することができ、この場合スロットは、管の中に複数の突起と、各々のポケット(例えば64/66、114/116または264/266)を形成する特定の形状を有し、突起がポケットの中に延出することにより、オーバートラベル制限装置を形成し、この装置は、少なくとも1つの方向での管の一部の互いに対する相対運動を制限するようにサイズが決められ成形されている。
【0045】
本発明の例示の実施形態は、トルクの安定性や支柱の強度を与える組物を必要としない。例示の実施形態は、シャフトの内部と外部環境との間にシールを形成するためのカバーを必要とするだけである。カバーが支柱の強度やトルクの安定性の機能を与える必要がないので、このカバーは、追加的に従来のカバーよりも有意に薄くすることができる。全体的な利点は、より優れたトルクの安定性及び支柱の強度を備え、壁がより薄くなっていることである。可撓性の内視鏡に利用するためのシャフトフレームの提案される実施形態は、例えばプラスチックまたは金属などの何らかの弾性材料から作製されたシャフトフレームを含む。シャフトフレームは、シャフト上に少なくとも1つのスロットを備えたスロット付きの管を有することができる。1つまたは複数のスロットは、シャフトの長手方向軸に対して角度を付けることもできる。例示の実施形態では、スロットは、シャフトの軸に沿ってらせん形に配置され(但しこれに限定されない)、円周方向に均等離間した3つのパターンを有する。各々のスロットは、少なくとも1つの突起「タブ」と、少なくとも1つの噛み合うポケット「ノッチ」とを含む。少なくとも1つのタブが、少なくとも1つのノッチと相互に噛み合うことで、必要なトルクの安定性を実現させる。あるいは、特定のスロットの軸方向の間隔、深さまたは形状、あるは1つのスロットを切断するパターンを変えることによって、異なる方向における屈曲作用に対する柔軟性を調節することができる。
【0046】
1つのスロットの実施形態は、らせん形に限定されるものではない。各々のスロットの幅、スロットの数ならびにシャフト上でのそれぞれの配向および軸方向の間隔は、最小限必要とされるシャフトの屈曲半径を実現するように設計されてよい。好ましい実施形態において、シャフトの最小限の屈曲半径は、シャフトに沿った遠位距離と共に縮小する。屈曲半径の変動は、個々のスロット幅の間隔の調整によって、及び、シャフトに沿ったスロットの間隔のパターンによって調節することができる。各々のスロットの幅ならびにタブとノッチの軸方向の間隔は同一であり、シャフトの支柱の強度に影響を与える。スロットと、タブとノッチのシャフト構造は、(らせん形のシャフト構造と比べて)著しくより高い軸方向の圧縮抵抗を有し、閉鎖中の一方の開放スロット側のみに軸方向に圧縮力が加えられる。
【0047】
可撓性の内視鏡の利用において、最適なシャフトフレームの設計は、以下の目的の全てを達成する。
・必要とされるシャフトの可撓性を備えた改良されたトルクの安定性
・より薄くなった全体のシャフト壁
・シャフトの可撓性を損なうことなく最大限になった支柱強度。
【0048】
ねじり力が加えられた場合、各々のスロットの隣接する部分のねじりによる変位は、このスロットの相互に噛み合うタブとノッチとの間にある側面隙間によって制限される。既知の隙間の幅の場合(必要とされるだけ小さい)、シャフトの全体のねじれ角は、予測可能であり、これは調節される。このようなシャフト構造の場合、構造部材としてのワイヤ組物は必要ないが、シャフトの特徴的な機構(スロットおよびタブおよびノッチ)を単にカバーするためにシャフトカバー管の下で外装要素として使用される場合もある。
【0049】
このような例示の実施形態は、複数のスロットを示しているが、管に沿ってその周りに延在する1つの切断部(らせん形である必要はない)によって同様の機能を達成することができる。管は、図面に示されるように円形の断面を有する必要はない。管の断面は、例えば矩形または楕円形であってよい。
【0050】
図18に示される例示の実施形態では、スロット122の一端は、そのスロットの反対側の端部とは異なる管の長手方向の長さのところに配置される。したがって、この例示の実施形態は、管の第1の長手方向の長さに位置する第1端部と、異なる長手方向の長さのところにあるこのスロットの反対側の第2端部とを有する1つまたは複数のスロットを設けることができることを示している。これは、管の一定の長さに沿ったスロットの概ねらせん形の形状によって実現することができる。しかしながら、代替の一実施形態では、スロットが、らせん形のスロットでない場合もあり、例えば段付きスロットまたは蛇行形状のスロットなどの場合もある。その形状は、スロットの異なる長さ(例えばその対向する端部など)が、管の異なる長手方向の位置に配置される限り、不規則な場合もある。
【0051】
上記の記載は、本発明の単なる例示であることを理解されたい。当業者によって、本発明から逸脱せずに種々の代替形態および修正形態を考案することが可能である。例えば種々の従属クレームに列記される特徴は、任意の好適な組み合わせで互いに組み合わせることができる。加えて、上記に記載される種々の実施形態からの特徴を選択的に新たな実施形態に組み合わせることもできる。したがって本発明は、添付の特許請求の範囲内に収まる、このような代替形態、修正形態および変更形態の全てを包含することが意図されている。