(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678208
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】空調装置及び空調装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20150205BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20150205BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20150205BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20150205BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
B60H1/22 671
B60H1/32 621A
F25B1/00 396D
B60K11/04 Z
B60L1/00 L
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-542429(P2013-542429)
(86)(22)【出願日】2011年10月24日
(65)【公表番号】特表2014-505615(P2014-505615A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】EP2011068536
(87)【国際公開番号】WO2012076237
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2013年6月10日
(31)【優先権主張番号】102010062869.7
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー チスマー
【審査官】
河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−352867(JP,A)
【文献】
米国特許第06370903(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0061497(US,A1)
【文献】
特開2010−111269(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01813887(EP,A1)
【文献】
特開2007−069733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
B60H 1/32
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の複数の構成部材及び/又は内室の空調調節用の空調装置であって、
前記空調装置(1)は、前記電気自動車の暖房及び/又は冷房のために設計されている複数の流体循環ユニット(10,20,30,40)を備えている、空調装置において、
第1の流体循環ユニット(10)は、第1のポンプ(11)を起点として、第1の熱源(12,13)、第1の3方弁(14)及び第1の熱交換器(15)を介して再び前記第1のポンプ(11)へと戻るように接続可能であり、且つ、前記電気自動車の第1の構成部材の空調調節用に構成されており、
第2の流体循環ユニット(20)は、前記第1のポンプ(11)を起点として、前記第1の熱源(12,13)、前記第1の3方弁(14)、第2の熱交換器(21)及び第3の熱交換器(22)を介して再び前記第1のポンプ(11)へと戻るように接続可能であり、且つ、前記電気自動車の前記内室の空調調節用に構成されており、
第3の流体循環ユニット(30)は、第2の3方弁(31)を起点として、内側熱交換器(32)、更には第3の3方弁(33)を介して、一方では、更に第1の膨張機構(34a)及び第4の熱交換器(35a)を介してリザーバ(36)へと延びており、他方では、更に第2の膨張機構(34b)及び第5の熱交換器(35b)を介して前記リザーバ(36)へと延びており、更に該リザーバ(36)を起点として、第2のポンプ(37a)を備えた圧縮器(37)、前記第2の熱交換器(21)、第4の3方弁(38)及び第6の熱交換器(35c)を介して再び前記第2の3方弁(31)へと戻るように接続可能であり、且つ、前記電気自動車の前記内室の空調調節及び除湿用に構成されており、
第4の流体循環ユニット(40)は、第3のポンプ(41)を起点として、前記電気自動車の第2の構成部材の第2の熱源(42,43)及び前記第5の熱交換器(35b)を介して再び前記第3のポンプ(41)へと戻るように接続可能であり、且つ、前記第2の熱源(42,43)の排熱を利用するために構成されており、
前記第1の熱源(12,13)及び/又は前記第2の熱源(42,43)は、前記電気自動車の電気モータ、パワーエレクトロニクス及び/又はメインバッテリの熱質量体を含み、
更なる熱源として、前記電気自動車のボディー、シャシー又は車台の熱質量体が設けられている、
ことを特徴とする、空調装置。
【請求項2】
前記第1の流体循環ユニット(10)及び/又は前記第2の流体循環ユニット(20)及び/又は前記第3の流体循環ユニット(30)及び/又は前記第4の流体循環ユニット(40)は、作動媒体として、それらの流体循環ユニット内を循環する冷媒を有する冷媒循環部として構成されており、前記作動媒体を循環させるためのポンプ(11,37a,41)が設けられている、請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記第3の流体循環ユニット(30)はバイパスユニット(30a)を有しており、該バイパスユニット(30a)は前記電気自動車の前記内室の暖房及び前記電気自動車の構成部材の空調調節のために設けられている、請求項1又は2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記第2の熱交換器(21)及び/又は前記第5の熱交換器(35b)及び/又は前記内側熱交換器(32)は交差流熱交換器として構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記第1の熱交換器(15)及び/又は前記第2の熱交換器(22)及び/又は前記第4の熱交換器(35a)及び/又は前記第6の熱交換器(35c)は、付加的に取り付けられている通風器(51,52)を備えている能動的な熱交換器として構成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の空調装置。
【請求項6】
前記電気自動車の空調調節すべき複数の構成部材の内の少なくとも一つは、所定の温度領域において駆動すべき、前記電気自動車の電気的なエネルギ蓄積器を含んでいる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の空調装置。
【請求項7】
前記空調装置(1)は前記第3の流体循環ユニット(30)において、前記第6の熱交換器(35c)を所定の動作圧力でもって制御するために第3の膨張機構(34c)を有しており、前記制御によって、前記電気自動車の前記内室の暖房及び/又は冷房と除湿が同時に達成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の空調装置。
【請求項8】
内側熱交換器(140)と、外側流体循環部(112)と、電気自動車の内室を暖房及び/又は冷房するための内室空調調節ユニット(151)を備えている内側流体循環部(110a,110b,110c)とを含んでいる空調ユニット(100)において、
第1の内側流体循環部(110a)は前記内側熱交換器(140)を起点として、第1の膨張弁(121)、第1の蒸発器(131)及び流体収集部(141)を介して再び前記内側熱交換器(140)へと戻るように構成されており、
第2の内側流体循環部(110b)は前記内側熱交換器(140)を起点として、電気的な空調圧縮器(142)、第1の熱交換ユニット(132)及び第2の弁(126)を介して再び前記内側熱交換器(140)へと戻るように構成されており、
第3の内側流体循環部(110c)は前記内側熱交換器(140)を起点として、第3の膨張弁(123)、第2の蒸発器(133)及び前記流体収集部(141)を介して再び前記内側熱交換器(140)へと戻るように構成されており、
前記外側流体循環部(112)は前記内側熱交換器(140)を起点として、第2の膨張弁(124)、第2の熱交換ユニット(134)、第1の弁(125)及び前記流体収集部(141)を介して再び前記内側熱交換器(140)へと戻るように構成されており、
熱源として、前記電気自動車の電気モータ、パワーエレクトロニクス及び/又はメインバッテリの熱質量体を含み、
更なる熱源として、前記電気自動車のボディー、シャシー又は車台の熱質量体が設けられている、
ことを特徴とする、空調ユニット(100)。
【請求項9】
前記空調ユニット(100)を、前記外側流体循環部(112)及び前記第2の内側流体循環部(110b)を用いて駆動することを特徴とする、請求項8に記載の空調ユニットの動作方法。
【請求項10】
前記空調ユニット(100)を、前記内側流体循環部(110a,110b,110c)を用いて駆動することを特徴とする、請求項8に記載の空調ユニット(100)の動作方法。
【請求項11】
前記空調ユニット(100)を、第2の外側流体循環部(111)、前記第1の内側流体循環部(110a)及び前記第2の内側流体循環部(110b)を用いて駆動することを特徴とする、請求項8に記載の空調ユニットの動作方法。
【請求項12】
電気自動車の暖房及び/又は冷房のために設計されている複数の流体循環ユニット(10,20,30,40)を備えている請求項1乃至7に記載の空調装置を使用する、前記電気自動車の内室及び/又は少なくとも一つの構成部材の空調調節方法において、
第1の流体循環ユニット(10)を、第1のポンプ(11)を起点として、第1の熱源(12,13)、第1の3方弁(14)及び第1の熱交換器(15)を介して再び前記第1のポンプ(11)へと戻るように接続し、且つ、前記電気自動車の第1の構成部材の空調調節に使用し、
第2の流体循環ユニット(20)を、前記第1のポンプ(11)を起点として、前記第1の熱源(12,13)、前記第1の3方弁(14)、第2の熱交換器(21)及び第3の熱交換器(22)を介して再び前記第1のポンプ(11)へと戻るように接続し、且つ、前記電気自動車の前記内室の空調調節に使用し、
第3の流体循環ユニット(30)を、第2の3方弁(31)を起点として、内側熱交換器(32)、更には第3の3方弁(33)を介して、一方では、更に第1の膨張機構(34a)及び第4の熱交換器(35a)を介してリザーバ(36)へと延ばし、他方では、更に第2の膨張機構(34b)及び第5の熱交換器(35b)を介して前記リザーバ(36)へと延ばし、更に該リザーバ(36)を起点として、第2のポンプ(37a)を備えた圧縮器(37)、前記第2の熱交換器(21)、第4の3方弁(38)及び第6の熱交換器(35c)を介して再び前記第2の3方弁(31)へと戻るように接続し、且つ、前記電気自動車の前記内室の空調調節及び除湿に使用し、
第4の流体循環ユニット(40)を、第3のポンプ(41)を起点として、前記電気自動車の第2の構成部材の第2の熱源(42,43)及び前記第5の熱交換器(35b)を介して再び前記第3のポンプ(41)へと戻るように接続し、且つ、前記第2の熱源(42,43)の排熱の利用に使用し、
前記第1の熱源(12,13)及び/又は前記第2の熱源(42,43)は、前記電気自動車の電気モータ、パワーエレクトロニクス及び/又はメインバッテリの熱質量体を含み、
更なる熱源として、前記電気自動車のボディー、シャシー又は車台の熱質量体が設けられている、
ことを特徴とする、空調調節方法。
【請求項13】
前記第3の流体循環ユニット(30)を、二酸化炭素を用いる冷媒循環部として使用する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置、空調ユニット、内室の空調調節方法及び電気自動車の空調ユニットの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車用の暖房装置及び空調調節装置が開示されており、そこに開示されている暖房装置及び空調調節装置は第1の流体循環部を有しており、この第1の流体循環部は熱交換器、ポンプ及び流体を加熱するための熱源を備えており、熱交換器には二次側において空気が供給されており、また、空気流を生じさせるための送風器が設けられている。更に、この刊行物に開示されている暖房装置及び空調調節装置は、蒸発器、凝縮器及び圧縮器を備えた冷却回路、並びに、温度センサの少なくとも一つの信号及び調整可能な目標値に依存して冷却回路を閉ループ制御するための制御装置を有している。また、上記の刊行物に開示されている暖房装置及び空調調節装置は、弁を介して第1の流体循環部を用いて接続可能な第2の流体循環部を有しており、この第2の流体循環部には熱蓄積器並びにポンプが配置されている。第1の流体循環部における熱源は車両の動作に依存しない暖房装置であり、この暖房装置は、熱交換を通過して流入する空気を加熱するため、及び/又は、熱蓄積器に熱エネルギを蓄えるために使用される。上述のシステムにおいては、冷却回路の蒸発器が第2の流体循環部によって熱交換器と熱的に接続され、また熱蓄積器に冷却エネルギを蓄えるために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE 19609048 C2
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って本発明によれば、空調装置及び電気自動車の内室の空調調節方法が提供され、空調装置はそれぞれが作動媒体を有している複数の流体循環部を備えており、また電気自動車の暖房及び/又は冷房用に構成されている。この場合、第1の流体循環ユニットは第1のポンプを起点として、第1の熱源、更には第1の3方弁及び第1の熱交換器を介して再び第1のポンプへと戻るように接続可能であり、また、電気自動車の第1の構成部材の空調調節用に構成されている。第2の流体循環ユニットは第1のポンプを起点として、第1の熱源、第1の3方弁、第2の熱交換器及び第3の熱交換器を介して再び第1のポンプへと戻るように接続可能であり、また、電気自動車の内室の空調調節用に構成されている。更に、第3の流体循環ユニットは第2の3方弁を起点として、内側熱交換器、更には第3の3方弁を介して、一方では、更に第1の膨張機構及び第4の熱交換器を介してリザーバへと延びており、他方では、更に第2の膨張機構及び第5の熱交換器を介してリザーバへと延びており、このリザーバを起点として、第2のポンプを備えた圧縮器、第2の熱交換器、第4の3方弁、更には第6の熱交換器を介して再び第2の3方弁へと戻るように接続可能であり、また、電気自動車の内室の空調調節及び除湿用に構成されている。更には、第4の流体循環ユニットは第3のポンプを起点として、電気自動車の第2の構成部材の第2の熱源を介して、更には第5の熱交換器を介して再び第3のポンプへと戻るように接続可能であり、また、第2の熱源の排熱を利用するために構成されている。
【0005】
更に本発明は、内側熱交換器、外側流体循環部及び内側流体循環部を含む空調ユニット並びに空調ユニットの動作方法を提供し、第1の内側流体循環部は内側熱交換器から、第1の膨張弁、第1の蒸発器及び流体収集部を介して再び内側熱交換器へと戻るように構成されており、第2の内側流体循環部は内側熱交換器から、電気的な空調圧縮器、第1の熱交換ユニット及び第2の弁を介して再び内側熱交換器へと戻るように構成されており、また、第3の内側流体循環部は内側熱交換器から、第3の膨張弁、第2の蒸発器及び流体収集部を介して再び内側熱交換器へと戻るように構成されており、外側流体循環部は内側熱交換器から、第2の膨張弁、第2の熱交換器、第1の弁及び流体収集部を介して再び内側熱交換器へと戻るように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明により提供される空調装置、空調ユニット、内室の空調調節方法及び空調ユニットの動作方法は、暖房、冷房及び除湿の機能が最小限のエネルギ使用で実施されるという利点を有している。
【0007】
従属請求項には本発明のそれぞれの対象の有利な実施の形態及び改善形態が開示されている。
【0008】
空調装置の一つの有利な発展形態によれば、第1の熱源及び/又は第2の熱源は、電気自動車の電気モータ、パワーエレクトロニクス及び/又はメインバッテリの熱質量体を含む。
【0009】
空調装置の一つの別の発展形態によれば、第1の流体循環ユニット及び/又は第2の流体循環ユニット及び/又は第3の流体循環ユニット及び/又は第4の流体循環ユニットは、作動媒体としてそれらの流体循環ユニット内を循環する冷媒を有する冷媒循環部として構成されており、その作動媒体を循環させるための相応のポンプが設けられている。
【0010】
空調装置の一つの別の発展形態によれば、第3の流体循環ユニットがバイパスユニットを有しており、このバイパスユニットは電気自動車の内室の暖房及び電気自動車の構成部材の空調調節のために設けられている。
【0011】
空調装置の一つの別の発展形態によれば、第2の熱交換器及び/又は第5の熱交換器及び/又は内側熱交換器が交差流(cross current flow)熱交換器として構成されている。
【0012】
空調装置の一つの別の発展形態によれば、第1の熱交換器及び/又は第2の熱交換器及び/又は第4の熱交換器及び/又は第6の熱交換器が、付加的に取り付けられている通風器を備えている能動的な熱交換器として構成されている。
【0013】
空調装置の一つの別の発展形態によれば、電気自動車の空調調節すべき複数の構成部材の内の一つは、有利な温度領域において駆動すべき電気自動車の電気的なエネルギ蓄積器を含んでいる。
【0014】
空調装置の一つの別の発展形態によれば、空調装置は第3の流体循環部において、第6の熱交換器を低い動作圧力でもって制御するために第3の膨張機構を有しており、それによって、電気自動車の内室の暖房及び/又は冷房と除湿が同時に達成される。
【0015】
空調装置の一つの別の発展形態によれば、空調装置の熱源として、比較的低い温度を有している、電気自動車のボディー、シャシー、車台の熱質量体又は電気自動車のバッテリ又は電気モータのような構成部材の熱質量体が設けられている。
【0016】
電気自動車の内室及び/又は少なくとも一つの構成部材の空調調節方法の第1の発展形態によれば、第3の流体循環部が二酸化炭素、特に有利には冷媒R744を用いる冷媒循環部として駆動される。
【0017】
本発明の実施の形態の更なる特徴及び利点は添付の図面を参照する以下の説明より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による空調装置の構造の概略図を示す。
【
図2】本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調装置の構造の概略図を示す。
【
図3】本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調装置の構造の概略図を示す。
【
図4】本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調装置の構造の概略図を示す。
【
図5】本発明の一つの別の実施の形態による空調装置の構造の概略図を示す。
【
図6】本発明の第1の実施の形態による空調ユニットの構造の概略図を示す。
【
図7】本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調ユニットの構造の概略図を示す。
【
図8】本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調ユニットの構造の概略図を示す。
【
図9】本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調ユニットの構造の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図中、同一の参照番号は、同一の構成要素又は機能的に等しい構成要素を表している。
【0020】
図1には、本発明の一つの実施の形態による空調装置1の構造が概略的に示されている。空調装置1は例えば、熱源12,13としてのパワーエレクトロニクス又は電気モータを備えているが、電気自動車の別の熱質量体、例えばバッテリも熱源として使用することができる。電気自動車の複数の構成部材及び/又は内室の空調調節用の空調装置1は、更に複数の流体循環ユニット10,20,30,40を備えており、それらの流体循環ユニット10,20,30,40は電気自動車を加熱及び/又は冷却するために設計されている。第1の流体循環ユニット10は第1のポンプ11を起点として、第1の熱源12,13、更には第1の3方弁14及び第1の熱交換器15を介して再び第1のポンプ11へと戻るように接続可能であり、また、電気自動車の第1の構成部材の空調調節用に構成されている。更には、例えば第2の流体循環ユニット20は第1のポンプ11を起点として、第1の熱源12,13、第1の3方弁14、第2の熱交換器21及び第3の熱交換器22を介して再び第1のポンプ11へと戻るように接続可能であり、また、電気自動車の内室の空調調節用に構成されている。例えば、第3の流体循環ユニット30は第2の3方弁31を起点として、内側熱交換器32、更には第3の3方弁33を介して、一方では、更に第1の膨張機構34a及び第4の熱交換器35aを介してリザーバ36へと延びており、他方では、更に第2の膨張機構34b及び第5の熱交換器35bを介してリザーバ36へと延びており、このリザーバ36を起点として、第2のポンプ37aを備えた圧縮器37、第2の熱交換器21、第4の3方弁38、更には第6の熱交換器35cを介して再び第2の3方弁31へと戻るように接続可能であり、また、電気自動車の内室の空調調節及び除湿用に構成されている。更には、例えば第4の流体循環ユニット40は第3のポンプ41を起点として、電気自動車の第2の構成部材の第2の熱源42,43を介して、更には第5の熱交換器35bを介して再び第3のポンプ41へと戻るように接続可能であり、また、第2の熱源42,43の排熱を利用するために構成されている。第4の3方弁38と第3の3方弁33との間においては、第3の膨張機構34cを備えた接続区間30aを介して、第3の流体循環ユニット30の更なる動作モード切り替えが実現される。更には、例えば、第1の熱交換器15及び第6の熱交換器35cの熱輸送能力は付加的に取り付けられている通風器52によって高められる。同様に、例えば、付加的な通風器51が第3の熱交換器22及び第4の熱交換器35aに取り付けられている。図示されている熱交換器15,22,35a,35b及び35cは例えばプレート式熱交換器、スパイラル式熱交換器又は管式熱交換器として実施されている。
【0021】
図2には、本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調装置1の構造が概略的に示されている。
図2は、
図1と同じ参照番号を使用して実質的に同一の構成要素を示しているが、この
図2には空調装置1の弁の特徴的な弁位置が付加的に示されている。弁のこの特徴的な弁位置では、第1の流体循環ユニット10が閉じられた動作モードにあり、第3の流体循環ユニット30並びに第4の流体循環ユニット40がアクティブである。
【0022】
図3には、本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調装置1の構造が概略的に示されている。
図3は、
図1と同じ参照番号を使用して実質的に同一の構成要素を示しているが、この
図3には空調装置1の弁の別の特徴的な弁位置が付加的に示されている。空調装置1の弁のこの別の特徴的な弁位置では、第2の流体循環ユニット20、第3の流体循環ユニット30並びに第4の流体循環ユニット40がアクティブであり、第2の流体循環ユニット20及び第3の流体循環ユニット30は第2の熱交換器21によって熱的に接触している。
【0023】
図4には、本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調装置1の構造が概略的に示されている。
図4は、
図1と同じ参照番号を使用して実質的に同一の構成要素を示しているが、この
図4には空調装置1の弁の別の特徴的な弁位置が付加的に示されている。空調装置1の弁のこの特徴的な弁位置では、第2の流体循環ユニット20、第3の流体循環ユニット30並びに第4の流体循環ユニット40がアクティブであり、アクティブな接続区間30aは第3の流体循環ユニット30の拡張動作モードを切り替える。
【0024】
図5には、本発明の一つの別の実施の形態による空調装置1の構造が概略的に示されている。
図5は、
図1と同じ参照番号を使用して実質的に同一の構成要素を示しているが、この
図5には、第2の熱交換器21が省略されており、圧縮器37がその省略された第2の熱交換器21の代わりに第3の熱交換器22と接続されている別の実施の形態が付加的に示されている。更に、第1の流体循環ユニット10は閉じられた流体循環ユニットであり、また、それぞれの流体循環ユニット間の接続素子としての第2の熱交換器21は省略されているので、第3の流体循環ユニット30とはもはや接続されていない。
【0025】
図6には、本発明の第1の実施の形態による空調ユニット100の構造が概略的に示されている。空調ユニット100は内側熱交換器140、外側流体循環部112及び内側流体循環部110a,110b,110cを含んでいる。第1の内側流体循環部110aは内側熱交換器140を起点として、第1の膨張弁121、第1の蒸発器131及び流体収集部141を介して再び内側熱交換器140へと戻るように構成されている。更に、例えば第2の内側流体循環部110bは内側熱交換器140を起点として、電気的に駆動されるポンプ143を備えている電気的な空調圧縮器142、第1の熱交換ユニット132及び第2の弁126を介して再び内側熱交換器140へと戻るように構成されており、また、第3の内側流体循環部110cは内側熱交換器140から、第3の膨張弁123、第2の蒸発器133、流体収集部141を介して再び内側熱交換器140へと戻るように構成されており、更には、外側流体循環部112は内側熱交換器140を起点として、第2の膨張弁124、第2の熱交換器134、第1の弁125及び流体収集部141を介して再び内側熱交換器140へと戻るように構成されている。第1の蒸発器131及び第1の熱交換ユニット132は一つの内室空調調節ユニット151を形成し、第2の蒸発器133はバッテリ又はパワーエレクトロニクス用空調調節ユニット150として使用される。通風器161は例えば第2の熱交換ユニット134に取り付けられており、また、第2の熱交換ユニット134の熱伝達を向上するために使用される。 更に、例えば、第2の外側流体循環部111は第2の弁126に設けられており、この第2の弁126は第2の熱交換ユニット134を内側熱交換器140に接続する。第3の内側流体循環部110cによって、熱エネルギを比較的低い温度を有するリザーバから取り出して、有効熱量として比較的高い温度を有する暖房すべき内室に伝達するために、任意のあらゆる熱源、例えば電気自動車のバッテリ又はパワーエレクトロニクスを利用することができる。例えば、第1の熱交換ユニット132及び第2の熱交換ユニット134を気体冷却器又は蒸発器として構成することができる。
【0026】
図7には、本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調ユニット100の構造が概略的に示されている。
図7は、
図6と同じ参照番号を使用して実質的に同一の構成要素を示しているが、この
図7には空調ユニット100の弁の弁位置がアクティブな循環部の太い線によって示されており、外側流体循環部112並びに第2の内側流体循環部110bはアクティブな状態で駆動される。空調ユニット100の図示されている動作モードは電気自動車の内室を暖房するために使用され、その場合、空調ユニット100は熱ポンプとして駆動される。
【0027】
図8には、本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調ユニット100の構造が概略的に示されている。
図8は、
図6と同じ参照番号を使用して実質的に同一の構成要素を示しているが、この
図8には、空調ユニット100の弁の弁位置がアクティブな循環部の太い線によって示されており、内側流体循環部110a,110b,110c並びに外側流体循環部112を有する空調ユニット100はアクティブ状態で駆動される。空調ユニット100の図示されている動作モードは電気自動車の内室を暖房するための動作モードとして設けられており、更には、外側流体循環部112における第2の熱交換ユニット134の除氷が第2の膨張弁124を閉鎖することによって実現される。電気自動車の内室の暖房は例えば、空調ユニット100を熱ポンプとして動作させることによって実現される。
【0028】
図9には、本発明の一つの別の実施の形態による、弁の特徴的な弁位置を有する空調ユニットの構造が概略的に示されている。
図9は、
図6と同じ参照番号を使用して実質的に同一の構成要素を示しているが、この
図9には、空調ユニット100の弁の弁位置がアクティブな循環部の太い線によって表されており、第2の外側流体循環部111、第1の内側流体循環部110a及び第2の内側流体循環部110bを有する空調ユニット100はアクティブな状態で駆動される。空調ユニット100の図示されている動作モードは電気自動車の内室を冷房するために使用され、その場合、空調ユニット100は熱ポンプとして駆動される。第1の熱交換ユニット132は下流側には貫流されない。
【0029】
上記においては本発明を有利な実施例に基づき説明したが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではなく、別のやり方で実施することができる。