(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678227
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】熱分析のためのサンプリングデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 25/02 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
G01N25/02 B
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-132417(P2014-132417)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-17974(P2015-17974A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】1350874-2
(32)【優先日】2013年7月12日
(33)【優先権主張国】SE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509144410
【氏名又は名称】シンターキャスト・アーべー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】パトリク・ポペラー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴ・ウォレス
【審査官】
谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−525540(JP,A)
【文献】
特開昭55−121395(JP,A)
【文献】
特開2002−309689(JP,A)
【文献】
特表平10−512957(JP,A)
【文献】
特表2002−533657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00−25/72
G01N 1/10
G01N 33/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属融液の中に浸され、且つ前記金属融液のサンプル量で満たされるように適合された容器(2)と、
その頂部で開く上部(3)、サンプル量をとる際に融液の中に浸される容器の第一部分であるように適合された下部(4)、及び、上部(3)と下部(4)との間に配された基本的には円筒状の部分(5)、を含む容器(2)と、
内壁部(6)及び外壁部(7)をさらに含む容器(2)と、
熱分析の間に金属融液のサンプル量と接触するように意図された内面(6a)、及び外面(6b)を有する内壁部(6)と、
内面(7a)、及び、熱分析の間に周囲の空気に露出されるように適合された外面(7b)を有する外壁部(7)と、を含む、凝固する金属の熱分析のためのサンプリングデバイス(1)であって、
内壁部(6)及び外壁部(7)は、容器(2)の基本的には円筒状の部分(5)において基本的には同軸上に配され、且つ容器(2)の上部(3)で結合され、内壁部及び外壁部(6,7)が、内壁部(6)の外面(6b)と、外壁部(7)の内面(7a)との間で、閉じられた断熱空間(8)を画定し、
サンプリングデバイスが、熱分析の間にサンプル量の中に伸びるように適合された温度応答手段(10)をさらに含み、
スペーサ―手段が、容器(2)の下部(4)における、及び/又は下部(4)の付近における容器(2)の基本的には円筒状の部分(5)における断熱空間(8)に配され、前記スペーサ―手段が、一つの突起、又は複数の突起(9)であり、前記一つの突起、又は複数の突起が、外壁部(7)の内面(7a)から、又は内壁部(6)の外面(6b)から突き出ていることを特徴とする、サンプリングデバイス(1)。
【請求項2】
前記スペーサ―手段が、容器(2)の中心軸(A)からの半径方向距離に配されることを特徴とする、請求項1に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項3】
前記スペーサ―手段が、内壁部(6)と外壁部(7)との間に熱的短絡を提供することを特徴とする、請求項1又は2に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項4】
容器(2)の下部(4)が、基本的には半球形状であることを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項5】
容器(2)の下部(4)が基本的には半球形状であり、且つ、その下端に配され、容器(2)の中心軸(A)に対して基本的には垂直である平坦部分(11)を含むことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項6】
平坦部分(11)での、内壁部(6)の外面(6b)と、外壁部(7)の内面(7a)との間の距離が、容器(2)の基本的には円筒状の部分(5)における、内壁部(6)の外面(6b)と、外壁部(7)の内面(7a)との間の距離よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項7】
前記一つの突起、又は複数の突起(9)が、そこに向けてそれらが突き出る壁部材の表面と直接接触していることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項8】
前記スペーサ―手段が、少なくとも三つの突起(9)を含み、前記突起が、外壁部(7)の内面(7a)から、及び/又は内壁部(6)の外面(6b)から突き出ることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項9】
前記一つの突起、又は複数の突起(9)が、その外面(7b)において配される外壁部における一つの凹み、又は複数の凹みを構成することを特徴とする、請求項1から8の何れか一項に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項10】
内壁部が、容器の上部(3)の上端に配されるアニュラス(13)を含み、アニュラスが、基本的には容器(2)の軸方向において伸びることを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項11】
前記温度応答手段(10)が、その中心軸(A)に沿った容器(2)の基本的には円筒状の部分(5)と基本的には同軸上に配された保護チューブ(12)に配された少なくとも一つの温度応答センサーを含むことを特徴とする、請求項1から10の何れか一項に記載のサンプリングデバイス(1)。
【請求項12】
金属融液の中に浸され、且つ前記金属融液のサンプル量で満たされるように適合された容器(2)と、
その頂部で開く上部(3)、サンプル量をとる際に融液の中に浸される容器の第一部分であるように適合された下部(4)、及び、上部(3)と下部(4)との間に配された基本的には円筒状の部分(5)、を含む容器(2)と、
内壁部(6)及び外壁部(7)をさらに含む容器(2)と、
熱分析の間に金属融液のサンプル量と接触するように意図された内面(6a)、及び外面(6b)を有する内壁部(6)と、
内面(7a)、及び、熱分析の間に周囲の空気に露出されるように適合された外面(7b)を有する外壁部(7)と、を含む、凝固する金属の熱分析のためのサンプリングデバイスであって、
内壁部(6)及び外壁部(7)は、容器(2)の基本的には円筒状の部分(5)において基本的には同軸上に配され、且つ容器(2)の上部(3)で結合され、内壁部及び外壁部(6,7)が、内壁部(6)の外面(6b)と、外壁部(7)の内面(7a)との間で、閉じられた断熱空間(8)を画定し、
サンプリングデバイスが、熱分析の間にサンプル量の中に伸びるように適合された温度応答手段(10)をさらに含み、
スペーサ―手段が、容器(2)の下部(4)における、及び/又は下部(4)の付近における容器(2)の基本的には円筒状の部分(5)における断熱空間(8)に配され、前記スペーサ―手段が金属製ウール(W)であり、前記金属製ウールが、内壁部(6)と外壁部(7)との間に熱的短絡を提供することを特徴とする、サンプリングデバイス。
【請求項13】
前記金属製ウールが、容器(2)の中心軸(A)からの半径方向距離に配されることを特徴とする、請求項12に記載のサンプリングデバイス。
【請求項14】
前記金属製ウールの軸方向の延長が、前記容器の円筒状部の下部及び/または下側部分内に制限される、請求項12または13に記載のサンプリングデバイス。
【請求項15】
前記内壁部が、前記容器の上部(3)の上端に配されるアニュラス(13)を含み、前記アニュラスが、基本的には容器(2)の軸方向において伸びることを特徴とする、請求項12から14の何れか一項に記載のサンプリングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝固する金属の熱分析のための、特に、鋳造物の生産における熱分析のためのサンプリングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
熱分析は、凝固時に、特定の溶融した物質の温度変化の変動をモニタリングする技術であり、固体形態の物質の微細構造、それゆえ特性を決定することを可能にする。これは、融液からサンプルを取る段階と、それをサンプル容器内へ移動させる段階と、熱電対又は当該技術分野で知られる他のデバイス等の温度応答手段によって、凝固時でのサンプルにおける時間依存性の温度変化を記録及び評価する段階と、によって達成される。
【0003】
鋳鉄、又はアルミニウム合金等の溶融した材料における凝固過程を制御するために熱分析を用いるとき、最も重要な問題は、可能な限り熱平衡の近くにサンプル容器及びサンプル量を持っていくこと、及び、制御され、一様な、且つ再現可能な、サンプルからの熱除去の速度を提供することである。このための理由は、相変態時の温度変化を測定することを可能にすることであり、その知見は、特定の凝固過程を制御するために必要不可欠である。
【0004】
特許文献1は、熱分析を用いることによって圧縮された黒鉛鋳鉄の製造方法を開示する。サンプルは、溶融した鋳鉄のバスから取り出され、このサンプルは、0.5分から10分の間で凝固することを可能にされる。温度は、二つの温度応答手段によって同時に記録され、その内の一つは、サンプルの中央に配され、他は、容器の壁のごく近傍に配される。時間の関数として、鉄サンプルの温度を表す、いわゆる冷却曲線は、二つの温度応答手段のそれぞれに関して記録される。この文献によると、その後、所望の微細構造を得るために融液に追加されなくてはならない構造修正剤の必要量を決定することが可能である。
【0005】
サンプリングデバイスの一実施例が、特許文献2に開示されている。デバイスは、分析の間に液体金属のサンプル量を得ることを意図した容器、及び熱分析のためのセンサーを含む。容器は、分析の間にサンプル量に面するように意図された内表面を備えた内壁、及び周囲の雰囲気に面するように意図された外表面を備えた外壁を含む。内壁及び外壁は、基本的には閉じられた空間が、壁の間に形成されるように、容器の口で結合する。
【0006】
サンプリングデバイスの他の一つの実施例は、特許文献3に開示されている。サンプリングデバイスの容器は、平坦部分を有する実質的に半球状の下部を含む。平坦部分における壁の間の距離は、容器の円筒状の部分における壁の間の距離未満である。それによって、サンプリングデバイスは、熱分析のための最も信頼性の高い、且つ正確な形状である、しかし球状形状ではない、容器内部での溶融した金属の球状の凝固をシミュレートする。
【0007】
熱分析は、熱のバランスである。冷却曲線の究極の形状、それゆえ解決法は、凝固の間に解放された熱と、サンプリングデバイス及び雰囲気へ失われた熱との間のバランスによって決定される。例えば鋳鉄の200グラムのサンプルの凝固によって解放された熱の量が固定されることは明らかである。200グラムのサンプルが、急激に冷却する容器に含まれる場合、凝固によって解放された熱は、よりゆっくり冷却する容器における熱損失に優先することができにくくなるであろう。結果としては、容器のより速い冷却は、冷却曲線における悪い解像度を提供するであろう。また、容器によって引き起こされる速い冷却は、チル(chill)を引き起こすことによって、又は過冷却に影響を与えることによって、鉄の真の凝固挙動を変化させ得る。凝固によって解放された熱から可能な限り多数の情報を抽出するために、凝固によって提供された情報を隠さないように、且つ希釈しないように熱分析サンプリングデバイスを設計することが必要不可欠である。熱分析サンプリングデバイスの他の主な要件は、一貫したサンプリング条件を確保しなくてはならないことである。優れた微細構造と、規格外の微細構造との間での解放された熱の違いは非常に小さいことがあり得るので、測定された全ての変形が、鉄における違いによるものであり、サンプリング技術の違いによるものではないことが重要である。
【0008】
上述のサンプリングデバイスは、熱分析に関して非常に上手く動作するが、それらはしばしば製造することが困難である。なぜなら、容器の壁の間の距離は、サンプリングデバイスにおける融液のサンプル量が意図したように凝固するように、熱分析の間、適切な熱伝導を確保するために、十分に調節されなくてはならないからである。容器の内壁と外壁との間の距離が注意深く制御されない場合、熱伝導、それゆえサンプルの凝固は、信頼性の高い測定が危うくなるように影響されるであろう。そのため、上述の問題を克服する、又は少なくとも低減する、改善されたサンプリングデバイスに関する余地がいまだ存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第86/01755号
【特許文献2】国際公開第96/23206号
【特許文献3】欧州特許第1034419号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、効率の良い方法で容易に製造され得、且つ熱分析の間に信頼性の高い結果が達成されることを保証する、熱分析のためのサンプリングデバイスである。
【0011】
目的は、独立請求項1に従うサンプリングデバイスによって達成される。実施形態は、従属請求項によって画定される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるサンプリングデバイスは、容器の内壁部と外壁部との間の距離が、サンプリングデバイスの容器の組み立ての間に、及び熱分析の間でのその動作の間に、確実に制御され得ることを保証する。従って、容器からの制御された熱損失は、熱分析の間に保障され、サンプリングデバイスによる、より信頼性の高い測定が可能である。より具体的には、サンプリングデバイスは、熱分析に関して最も信頼性が高く、一様であり、且つ正確な凝固形状である、容器の内部で溶融した金属の球状の凝固をシミュレートする。また、容器の設計は、容器内部での金属の対流パターンに影響し、容器の底部での、流れが分離された領域を生成する。この流れのパターン、及び分離は、容器の底部での、分離された鉄を分析するために用いられ得る。
【0013】
本発明によるサンプリングデバイスは、金属融液の中に浸され、且つ上記金属融液のサンプル量で満たされるように適合された容器を含む。その上端で開く上部、サンプル量をとる際に融液の中に浸される容器の第一部分であるように適合された下部、及び、上部と下部との間に配された基本的には円筒状の部分を含む。容器は、内壁部及び外壁部をさらに含む。内壁部は、熱分析の間に金属融液のサンプル量と接触するように意図された内面、及び外面を有する。外壁部は、内面、及び、熱分析の間に周囲の空気に露出されるように適合された外面を有する。内壁部及び外壁部は、容器の基本的には円筒状の部分に基本的には同軸上に配され、且つ容器の上部で結合され、内壁部及び外壁部は、内壁部の外面と、外壁部の内面との間の閉じられた断熱空間を画定する。サンプリングデバイスは、熱分析の間にサンプル量の中に伸びるように適合された温度応答手段をさらに含む。スペーサ―手段は、容器の下部における、及び/又は下部の付近の容器の基本的には円筒状の部分における断熱空間に配される。
【0014】
一実施形態によると、スペーサ―手段は、熱伝導性のウール、好ましくは、スチールウール等の金属製ウールを構成する。
【0015】
他の一つの実施形態によると、スペーサ―手段は、少なくとも一つの突起、好ましくは少なくとも三つの突起を構成し、上記突起は、外壁部の内面から、又は内壁部の外面から絶縁された閉じられた空間の中に突き出る。複数の突起の場合、少なくとも一つの突起は、外壁部の内面から突き出てよく、少なくとも一つの他の突起は、内壁部の外面から突き出てよい。
【0016】
スペーサ―手段は、好ましくは、容器の内壁部と外壁部との間で熱的短絡を提供する。それによって、容器の熱損失は、容器の下側部分からの改善された熱の除去によってさらに調節され、それゆえ、シミュレートされた球状の凝固のさらなる改善が達成される。
【0017】
スペーサ―手段は、好ましくは、容器の中心軸から離れて配される。すなわち、それらは閉じられた空間の最下部で存在しない。それによって、内壁部と外壁部との間の距離、それゆえ閉じられた空間の寸法は、(突起が例えば、容器の中心軸にのみ存在する場合と比較して)容器のより大きな部分において確保され得、それによって熱分析の間に、より信頼性の高い結果をもたらすことがさらに保証される。
【0018】
容器の下部は、球状の凝固を意図したシミュレーションを提供するために、好ましくは、基本的には半球形状である。
【0019】
一実施形態によると、容器の下部は基本的には半球形状であり、その下端に配され、且つ容器の中心軸に対して基本的には垂直な平坦部分を含む。平坦部分での、内壁部の外面と、外壁部の内面との間の距離は、適切には、容器の基本的には円筒状の部分における、内壁部の外面と、外壁部の内面との間の距離よりも小さいことがある。これは、容器の頂部での解放表面からの放射熱損失のバランスをとることによって、熱損失、及びシミュレートされた球状の凝固をさらに改善する。
【0020】
さらなる実施形態によると、一つの突起、又は複数の突起は、そこに向けてそれらが突き出る壁部材と直接接触している。すなわち、突起が外壁部の内面から突き出る場合、それらは、内壁部の外面と直接接触しており;突起が内壁部の外面から突き出る場合、それらは外壁部の内面と直接接触している。それによって、内壁要素と外壁要素との間の距離は、容器の組み立ての間、及び熱分析の間のその使用の間の両方で、さらに確保される。さらに、突起の材料に応じて、内壁部と外壁部との間の熱的短絡が有効にされ得る。
【0021】
さらに他の一つの実施形態によると、一つの突起、又は複数の突起は、その外面から、外壁部における凹みを構成する。それによって、容器は、例えば、外壁部の打ち抜きと同様の処理段階において突起を打ち抜くことによって容易に製造され得る。
【0022】
さらに他の一つの実施形態によると、内壁部は、容器の上部の上端に配されたアニュラスを含み、アニュラスは、容器の基本的には軸方向に伸びる。アニュラスインターアリア(inter alia)は、融液のサンプル量を取る間に、任意の過度の融液が、熱分析測定に影響を与えないことを保証する。さらに、アニュラスは、容器の開放頂部での雰囲気への放射熱損失を低減することによって、容器の頂部と底部との間での熱損失のバランスをさらにとる。
【0023】
好ましくは、温度応答手段は、その中心軸に沿った容器の円筒状の部分と基本的には同軸に配された保護チューブにおいて配された少なくとも一つの温度応答センサーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第一実施形態によるサンプリングデバイスを介した概略的な断面を示す。
【
図2】断面における
図1に示されるサンプリングデバイスの容器の下部の一部の拡大を示す。
【
図3】第二実施形態に従うサンプリングデバイスの容器を介した概略的な断面を示す。
【
図4】第三実施形態に従うサンプリングデバイスの容器を介した概略的な断面を示す。
【
図5a】第四実施形態によるサンプリングデバイスの概略的な底面図を示す。
【
図5b】
図5aに示されるようなサンプリングデバイスを介した概略的な断面を示す。
【
図6a】第五実施形態によるサンプリングデバイスの概略的な底面図を示す。
【
図6b】
図6aに示されるようなサンプリングデバイスを介した概略的な断面を示す。
【
図7a】第六実施形態によるサンプリングデバイスの概略的な底面図を示す。
【
図7b】
図7aに示されるようなサンプリングデバイスを介した概略的な断面を示す。
【
図8】第七実施形態によるサンプリングデバイスの容器を介した概略的な断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、添付の図面を参照することで以下で説明されるであろう。本発明は、示された実施形態に限定されるものではないが、添付の特許請求の範囲の範疇内で変化し得る。さらに、複数の特徴は、その容器又はサンプリングデバイスの特徴をより明確に示すために誇張され得るので、図面は縮尺通りに描かれているとみなされない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に従うサンプリングデバイス1の概略的な断面を示す。サンプリングデバイス1は、容器2を含む。容器は、融液のサンプル量(sample quantity)が容器内に流れ、容器を満たすことができるように、融液内に浸されることを意図されている。サンプル量を含む容器はその後、融液から取り出され、熱分析が実施される。熱分析の間、サンプル量は、凝固することを可能にされ、温度の経時変化が、温度応答手段10を用いて測定される。温度応答手段は、支持部材14によって適切に配される。支持部材14は、有利には、容器の上端の上に配され得、好ましくは、容器2の中心軸Aと同軸であり得る。
【0027】
容器2は、口で開く、すなわち容器の上端で開く上部3、融液からサンプル量をとる際に融液内に浸される容器の第一部分であるように適合された下部4、及び容器の上部と下部との間に配される基本的には円筒状の部分5を含む。容器2は、サンプル量と接触するように意図された内面6a、及び内面6aと反対側の外面6bを有する内壁部6を含む。容器は、内面7a及び反対側の外面7bを有する外壁部7をさらに含み、外面7bは、熱分析の間に周囲の雰囲気に曝されるように適合される。
【0028】
内壁部及び外壁部6,7は、少なくとも、容器2の中心軸Aの周りで、容器の基本的には円筒状の部分5において、基本的には同軸上に配される。内壁部及び外壁部6,7は、容器の上部を除いて、互いに離れて配され、それらは、例えば、溶接、圧接、または同様のものによって結合される。それによって、閉じられた空間8が、内壁部及び外壁部6,7の間に形成される。そのため、容器は二重壁の容器である。
【0029】
内壁部及び外壁部は、容器2の上部3に配された半径方向に伸びるフランジ16をそれぞれ適切に含み得、内壁部及び外壁部の半径方向に伸びるフランジは共に結合されている。そのため、内壁部及び外壁部は、容器の上端で、すなわちその口で結合される。内壁部及び外壁部の半径方向に伸びるフランジ16は、それらが、サンプルをとる間に容器の充填を邪魔することのないように、壁部材のそれぞれの内面から、容器の中心軸からの方向において外側に伸びる。
【0030】
内壁部6と外壁部7との間の距離、従って閉じられた空間8の寸法は、放射、対流及び熱伝導に起因する熱損失を調節することにおける重要なパラメーターである。適切な媒体によって、閉じられた空間8を完全に又は部分的に満たすこと、及び選択すること、及び/又は空間の寸法を変更することによって、熱分析のために要求される値へと、サンプリングデバイスの熱除去速度、及び形状を適合することが可能である。閉じられた空間8は例えば、真空引きされるか、ガスで満たされ得る。また、もし望まれるならば、絶縁材料、例えば砂、又は様々なセラミックによって、閉じられた空間8を満たすことが妥当である。しかしながら、閉じられた空間が、真空引きされるか、空気等のガスで満たされるとき、放射は、重要な熱伝導機構になるであろう。凝固するサンプル量の温度が上昇するにつれ、放射は、その効果が絶対温度の4乗で増加するので、重要性を増すであろう。好ましい実施形態によると、閉じられた空間8は、簡潔にするために、及びコストのために、空気で満たされる。
【0031】
容器2の下部4は好ましくは、基本的には半球形状である。そのため、容器の中心軸Aに対して垂直であり、且つ容器2の最下部で中心軸と交差する平面Pと、上記平面Pと中心軸Aとの交点から外壁部7の外面7bへと伸びる架空のラインLとの、容器の下部4と基本的には円筒状の部分5とが出会う点での角度αは、およそ45°である(
図8を参照)。
【0032】
適切には、容器2の内壁部6及び外壁部7の両方は、容器2の下部4において基本的には半球形状である。
【0033】
図1に示されるように、容器2は、その下部4において平坦部分11をさらに含み得る。平坦部分11は、容器の中心軸Aに対して基本的には垂直に、適切に配され、且つ容器の中心軸と同心円状の、基本的には円の形状を有する。そのため、容器2の中心軸Aと垂直であり、且つ容器の最下部で中心軸と交差する平面Pと、上記平面P及び中心軸Aの交点から外壁部7の外面7bへと延びる架空のラインLとの間の角度αは、容器の下部4と基本的には円筒状の部分5とが出会う点で、およそ45°未満である。
【0034】
適切には、内壁部及び外壁部は両方ともそれぞれ、例えば
図1に示されるように、平坦な底部を含む。
【0035】
さらに、平坦部分11での内壁部6と外壁部7との間の距離は、容器2の基本的には円筒状の部分5における内壁部と外壁部との間の距離よりも小さいことが好ましい。このような平坦な底部、及びその優位点を含むサンプリングデバイスは、例えば欧州特許出願公開第1034419号明細書で開示されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0036】
サンプル量の熱分析のために利用される温度応答手段10は、例えば一以上の温度応答センサーであり得る。好ましくは、
図1に示されるように、少なくとも二つの温度応答センサーが用いられる。第一の温度応答センサーは、サンプル量の凝固過程の早い段階で凝固するサンプル量の一部の温度曲線を測定できるように、容器の内壁部6のすぐ近くに配される。第二の温度応答センサーは、それが、サンプル量の凝固過程の遅い段階で凝固する、サンプル量の一部の温度曲線を測定することになるように、好ましくは、基本的にはサンプル量の中心に、すなわち基本的にはサンプルデバイスの容器2の中心に配される。
【0037】
より具体的には、容器の形状、及び温度応答手段の配置は、容器内の金属の対流パターンに影響を与え、容器の底部で、流れが分離された領域を生成する。この流れのパターン及び分離は、温度応答手段の配置によって、容器の底部で分離された金属を分析するために用いられ得る。例えば、レードル(ladle)において及びキャスティング(casthing)においての両方で起こる(鉄系融液の相変態に影響を与える)マグネシウムの自然なフェーディング(fading)をシミュレートするために、容器の内面は、融液における活性なマグネシウムを消費する活性材料によって被覆され得る。容器における対流は、内壁部の内面に沿ってサンプリングされた鉄をすすぐので、低マグネシウム鉄を、容器の底部での停滞した流れが分離された領域に蓄積させる。このような場合、基本的には中央に配された温度応答手段は、反応していないバルクの鉄を評価し得るので、キャスティングの開始挙動を決定し、一方で、内壁部の内面に近接して配された温度応答手段は、鉄系融液をキャスティングする際に生じるであろうキャスティングの終了挙動を予想する。
【0038】
温度応答センサーは好ましくは、一以上の保護チューブ12に配される。一実施形態によると、二つ以上の温度応答センサーが一つの保護チューブに配され、保護チューブは、容器の中心軸に沿ってサンプリングデバイスに配され、熱分析の間にそれがサンプル量において浸されることになるように容器内に伸びている。このような場合、温度応答センサーは、
図1に示されるように、基本的には容器中心軸に沿って、異なる位置で保護チューブの内部に配される。しかしながら、他のやり方で、例えば、異なるチューブにおいて、且つ容器の頂部から中心軸に平行な、基本的には同一の距離で、温度応答センサーを配することが可能である。また、このような実施形態では、第一の温度応答センサーは、内壁部の内面のすぐ近くに適切に配され得る一方、第二の温度応答センサーは、熱分析の間、基本的にはサンプル量の中央に配される。
【0039】
図1に示されるように、支持部材14は、脚部15によって容器2に適切に取り付けられ得る。脚部の数は、本発明に限定されず、例えば二つ、三つ、四つ、又はそれ以上の脚部が必要に応じて用いられ得る。脚部15は、そこからサンプル量がとられるべき融液に容器が浸されるときに、融液のサンプル量が、容器内へと脚部の間を容易に流れることを可能にし、それゆえ一定のサンプル量によって容器を満たすための簡単で信頼性の高い処理を可能にする。さらに、支持部材14は、好ましくは蓋としての役割を果たし得、熱分析の間、サンプル量の頂部からの放射熱損失を低減する。これはさらに、その構造によって容器の底部からのより遅い熱損失を調整するので、熱分析の間、サンプル量の球状の凝固をシミュレートするためのサンプリングデバイスの構築において役立つ。
【0040】
本発明によるサンプリングデバイスの容器2は、容器2の内壁部6と外壁部7との間の閉じられた空間8に配されたスペーサ―手段をさらに含む。スペーサ―手段は、容器2の下部4に、及び/又は下部4のすぐ近くにおける容器2の円筒状の部分5に、配される。好ましくは、スペーサ―手段は、容器の下部4にのみ配される。スペーサ―手段の目的は、内壁部6と外壁部7との間の適切な距離が、組立の間に保障され得ること、及びサンプリングデバイス1の製造の間に容器2の構成要素を結合することを確保することである。また、スペーサ―手段は、内壁部及び外壁部が、内壁部及び外壁部の熱膨張に関わらず、熱分析の間に互いに離れていることを維持することを保証する。
【0041】
図1に示される実施形態では、スペーサ―手段は突起9を構成する。
図2は、突起9がより明確に見られ得る、
図1に示された容器の下部の一部の拡大である。
【0042】
突起は好ましくは、内壁部6と外壁部7との間での熱的短絡を提供する。それによって、突起の形状をした上記スペーサ―手段もまた、熱分析の間での容器の熱損失に影響を与え、容器の下部を介して得られる熱損失を上昇させる。これは、解放表面からの放射熱損失のバランスをさらにとることによって、熱分析の間での容器の内部でのサンプル量の球状の凝固過程のシミュレーションをさらに向上するので、より信頼性の高い測定を可能にする。
【0043】
図3に示されるように、スペーサ―手段は、必ずしも突起である必要はないが、代わりに、金属製ウール、好ましくはスチールウール等の熱伝導性のウールWであり得る。熱伝導性のウールは、閉じられた空間内部の円周方向の領域に沿って断続的に配され得、又は全ての円周方向の延長に沿って配され得るが、両方の場合において、容器の円筒状の部分5の下側部分、及び/又は下部4の内部の軸方向の延長に制限される。熱伝導性のウールWは,内壁部6と外壁部7との間に短絡を提供する。そのため、熱伝導性のウールは、内壁部と外壁部との間の距離の確保、及び容器の改善された熱損失プロファイルの提供の両方を行い、熱損失プロファイルは、熱分析の間でのサンプル量の球状の凝固をシミュレートする。
【0044】
図4は、代替実施形態によるサンプリングデバイス1の容器2の概略的な断面を示す。図には示されないが、サンプリングデバイスは、上述したような熱的応答手段を含み、支持部材14、及び、
図1を参照して上述したのと同様の方法で支持部材を容器に取り付けている脚部15を適切にさらに含む。
図4に示されるような容器は、内壁部6の外面6bから外壁部7の内面7aに向かって突き出る突起9の形状をしたスペーサ―手段を含む。
【0045】
一実施形態によると、スペーサ―手段は、例えば
図1及び2に示される示されるように、外壁部7の内面7aから、又は
図4に示されるように、内壁部6の外面6bから、閉じられた空間8の内部へ突き出る少なくとも二つの突起9を含む。さらに、突起9は、互いに実質的に等しい距離で、内壁部及び又は外壁部の周囲に沿って適切に配される。好ましくは、少なくとも三つの突起が、容器に配され、その全周囲に沿って内壁部6と外壁部7との間での意図された距離が維持されることを確保する。このような実施形態は
図5a及び5bに示され、5aは、
図5bに示される断面に示されるサンプリングデバイスの底面図を構成する。
図5aから明らかであり得るように、(以下でさらに説明されることになる容器2の外壁部における凹み17によって形成される)三つの突起は、容器の下部の平坦部分11から離れて、しかし近接して配される。そのため、突起9は、容器2の中心軸Aから半径方向距離で配される。突起9は、容器2の外壁部7の周囲で等しく離間される。
【0046】
突起9は、必要に応じて、四つ、五つ、又はそれ以上等の、三つ以上であり得る。
図6a及び6bは、容器が四つの突起を含む実施形態を示す。
図6aは、
図6bにおける断面において示されるサンプリングデバイスの底面図を構成する。
図6aから明らかなように、(外壁部の外面における凹み17によって形成される)四つの突起は、平坦部分11から離れて、しかし近接して、容器2の下部4において配される。突起は、容器2の外壁部7の周囲で等しく離間される。
【0047】
突起の数、及びそれらの配置に関わらず、突起は、内壁部及び外壁部と同一の材料から作製され得るが、必要に応じて異なる材料からも作製され得る。
【0048】
他の一つの実施形態によると、スペーサ―手段は、上記壁部材の全周囲に沿って、外壁部7の内面7aから、又は内壁部6の外面6bから突き出る単一の突起9を含む。そのため、このような突起は、円周方向の突起である。
図7a及び7bは、このような実施形態を示し、突起9は、外壁部7の内面7bから突き出て、且つ外壁部7の全周囲に沿った延長部を有する。
図7aは、
図7bにおける断面において示されるサンプリングデバイスの底面図である。
【0049】
一つの突起又は複数の突起は、好ましくは、
図1から8に示されるように、容器2の中心軸Aからの半径方向距離で、容器2の下部4に配される。言い換えると、一つの突起、又は複数の突起9は、容器の下部から離間されている。
【0050】
その底部における平坦部分11を含む容器の実施形態では、突起は、例えば
図1及び2に示されるように、上記平坦部分から離れて、しかしながら好ましくは近接して、適切に配される。
【0051】
好ましくは、一つの突起、又は複数の突起9は、容器2におけるサンプル量の熱分析の間に、内壁部6と外壁部7との間での短絡を提供する。これは、突起の適切な材料、すなわち熱伝導性の材料の選択によって達成され、突起が、それに向かってそれらが突き出る壁部材の表面と接触することを確保する。これは、それらが外壁部の内面から突き出る場合、それらが内壁部の外面と接触すること、及びその逆を意味する。それによって、熱分析の間に容器の熱損失をさらに制御すること、及びサンプル量の球状の凝固をシミュレートすることを可能にする。
【0052】
一実施形態によると、突起は、そこからそれらが突き出る外壁部の、又は内壁部の周囲の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%に沿って存在する。他の一つの実施形態によると、突起は、そこからそれらが突き出る外壁部、又は内壁部の周囲の、多くて75%、好ましくは多くて50%に沿って存在する。突起の軸方向の延長は、サンプリングデバイスの熱損失プロファイルに悪影響を与えないようにするために、容器の下部の軸方向の延長の、適切には50%未満、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。
【0053】
内壁部の外面上、又は外壁部の内面上の何れかに突起を配することが可能であるが、突起は、例えば
図2に示されるように、外壁部7の内面7aで配されることが好ましい。これは、このような解決法が、外側に伸びる突起が取扱いの間にダメージを受け得るという主な理由で、組立の前に容器の異なる構成要素の取扱いを促進するからである。
【0054】
製造の容易さのために、突起は、
図1,2,5a,5b,6a,6b,7a及び7bに示されるように、外壁部における凹み17を適切に構成し得る。凹みは、適切には、外壁部それ自身の打ち抜きと同様の打ち抜き処理において、外壁部7の外面7bから作製される。これは、適切な打ち抜き器具を設計することによって達成され得る。
【0055】
しかしながら、
図4に示されるように、内壁部6の外面6bから突き出る突起の場合、突起が内壁部6における凹みを構成することは適切ではない。これは、熱分析の間に容器2の内部での流れのパターン、それゆえ凝固の進行が変化させられないように、内壁部の内面6aが、サンプル量と接触するように意図され、且つ、基本的には滑らかな表面でなくてはならないからである。
【0056】
突起9の幾何学的形状は、本発明を制限するものではない。突起は、例えば、ドーム形状、基本的には立方体の若しくは直方体の、楕円形の、又は腎臓の形状であり得る。しかしながら、製造時での簡略化のために、例えば外壁部を打ち抜いたとき、それらは、容器の強度を損なわないように、又は打ち抜きの間のひび割れのリスクを増加させないために丸いエッジを含む。
【0057】
サンプリングデバイスの容器の内壁部及び外壁部は、例えばスチール、又は当該技術分野で知られる他の適切な材料から作製され得る。容器は、必要に応じて、これまで当該技術分野で知られるような適切なコーティングで被覆され得る。このようなコーティングの例は、例えば国際公開第92/06809号、及び国際公開第97/35184号に見出され得、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0058】
本発明のサンプリングデバイスの更なる実施形態によると、内壁部は、例えば
図1に示されるように、容器2の上端部分3に配されるアニュラス13を含む。アニュラス13の軸方向の延長は、基本的には容器の軸方向に伸び、アニュラスは、容器2の中心軸Aと同軸である。アニュラスは、好ましくは、内壁部6の半径方向に伸びるフランジ16に配される。さらに、アニュラス13は、好ましくは、内壁部のフランジ16の屈曲部を構成する。アニュラスの目的は、容器の内部のサンプル量の凝固が、熱分析の間にフランジ16の上に存在する可能性のある残りの融液によって影響されないことを保証するために、サンプルを取る間にアニュラスの上を任意の過剰な融液が容易に流れることを確保することである。さらに、アニュラス13は、その結合部で内壁部6と外壁部7との短絡の前に、内壁部6におけるより長い熱伝導輸送によって、及び、サンプルの解放表面と、雰囲気との間の熱的連絡を低減して、放射熱損失をさらに低減することによって、容器2の上部3での熱損失を低減する。
【0059】
図8は、複数の突起9が、外壁部7の内面7aの上に提供され、且つ内壁部の外面に向かって突き出る、更なる実施形態を示す。第一のセットの突起は、容器の軸方向における第一の位置に、且つ中心軸からの第一の半径方向距離に配され、第二のセットの突起は、軸方向における第二の位置に、且つ中心軸からの第二の半径方向距離に配される。第一のセットの突起は、二つ、三つ、四つ、又はそれ以上の突起であり得る。同様に、第二のセットは、二つ、三つ、四つ、又はそれ以上の突起を含み得る。代わりに、第一のセットの突起、及び/又は第二のセットの突起が、
図7a及び7bに示されるような円周方向の突起によって置換される実施形態が妥当である。また、一以上の突起が内壁部の外面から突き出る、例えば、本発明から逸脱することなく、第一のセットの突起が外壁部の内面から突き出てよく、第二のセットの突起が内壁部の外面から伸び得ることが可能である。
【0060】
本発明は、上述の、及び図面に示された特定の実施形態に限定されるものではない。特定の特徴が、特定の実施形態の他の特徴と組み合わされて説明されているのみであり得るが、上述の、及び図面に示された異なる特徴は、添付の特許請求の範囲の範疇内で任意の可能性のある組合せで組み合され得る。
【0061】
例えば、任意の
図1,5b,6b及び7bにおいて示される容器は、アニュラス13を有する必要がないが、
図3、4及び8に示されるように、フランジ16の構成を有し得る。同様に、
図3、4及び8に示されるそれぞれの容器は、
図1,5b,6b及び7bに示されるようなアニュラス13が提供され得る。
【0062】
さらに、任意の
図1,5b,6b及び7bに示される容器は、平坦部分11を有する必要がないが、
図3,4及び8に示されるように基本的には半球形状であり得る。当然、
図3,4及び8に示される容器は、平坦部分を備えてもよい。もしそうならば、平坦部分における内壁部と外壁部との間の距離は、適切には、容器の、基本的には円筒状の部分における内壁部と外壁部との間の距離未満であり得る。
【符号の説明】
【0063】
1 サンプリングデバイス
2 容器
3 上部
4 下部
5 基本的には円筒状の部分
6 内壁部
6a、7a 内面
6b、7b 外面
7 外壁部
8 断熱空間
9 突起
10 温度応答手段
11 平坦部分
12 保護チューブ
13 アニュラス
14 支持部材
15 脚部
16 フランジ
17 凹み
A 中心軸
W ウール