(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面において、同じ参照符号は概して、同じ、機能上類似した、及び/又は構造上類似した要素を示す。要素が最初に現れる図面は、参照符号における最左の数字によって示される。本発明は、添付の図面を参照して記載される。
【0006】
この明細書全体を通して“一実施形態”又は“実施形態”との言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、この明細書全体を通して様々な場所における表現“一実施形態において”又は“実施形態において”の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照しているわけではない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1又はそれ以上の実施形態において何らかの適切な方法で組み合わされてよい。
【0007】
実施形態は、再構成可能なコイルに関する技術を提供する。かかるコイルは、NFC及び無線充電用途を含む(が、それらに限定されない)用途において使用されてよい。例となる無線充電用途は、無線共振エネルギリンク(WREL;Wireless Resonant Energy Link)(WRELは、カリフォルニア州サンタクララのインテル コーポレイションによって開発された。)のあらゆるバージョン又は仕様と、コンシューマ エレクトロニクス アソシエイション(CEA)によって提供されるような無線電力技術とを含む(が、それらに限定されない)。なお、実施形態は、他の無線充電技術、標準及び状況とともに使用されてよい。
【0008】
例えば、再構成可能なコイルは、第1の導電性部分及び第2の導電性部分を有してよい。2又はそれ以上の構造が確立されてよい。実施形態において、それらの構造は特定の電流経路に対応してよい。例えば、円形構造において、経路は、第1及び第2の導電性部分の両方において同じ循環方向を有して設けられる。しかし、8の字形構造では、経路は、第1の導電性部分における第1の循環方向と、第2の導電性部分における第2の循環方向とを有して設けられる。それらの導電性部分の間に結合されるスイッチ(例えば、双極双投スイッチ)は、コイルの構造を設定してよい。
【0009】
コイルの構造は、様々な動作条件に基づき選択されてよい。例えば、コイルの構造は、そのコイルと他のコイルとの整列(又はずれ)に基づき選択されてよい。この整列(又はずれ)は、2つのコイルの軸の間のオフセットと見なされ得る。なお、整列又はずれの他の表現(例えば、中心又は図心点に基づくオフセット)が用いられてよい。代替的に、又は追加的に、コイルの構造は、エネルギ伝達特性に基づき選択されてよい。
【0010】
整列に基づく構造の例として、円形構造は、コイル軸が密接に整列している場合(すなわち、小さなオフセットが存在する場合)に、用いられてよい。また、円形構造は、軸が大幅にずれ、それにより、一方のコイルが他方に投影される場合に、重なり合う領域はない場合(すなわち、大きなオフセットが存在する場合)にも、用いられてよい。さもなければ、8の字形構造が用いられてよい。なお、実施形態は、このような例となる構造の使用に限定されない。
【0011】
この整列は、様々な技術によって決定されてよい。1つの技術は、再構成可能なコイル(例えば、再構成可能な受信コイル)内又はその近くの位置で磁界強さを検知するホール効果センサを用いることを伴う。この磁界強さは、送信コイル及び受信コイルの軸整列(又はずれ)を示す。検知された磁界強さに基づき、コイルの構造が確立され得る。実施形態において、これは、検知された磁界強さと1又はそれ以上の閾値との比較に基づき構造を選択することを伴ってよい。なお、実施形態はこの例に限定されない。
【0012】
代替的に、又は追加的に、軸整列は、再構成可能なコイル(送信コイル又は受信コイルのいずれか一方)と他のコイルとの相対位置を検知する近接センサの使用を通じて示されてよい。この相対位置は、他のコイルとの整列を示す。この検知された位置に基づき、構造が選択され得る。例えば、8の字形構造は、一定範囲のずれについて確立されてよい。しかし、この範囲外では(例えば、ずれが大きいか小さいかのいずれかである場合)、円形構造が確立され得る。
【0013】
上述されたように、コイルの構造は、エネルギ伝達特性に基づいてよい。例えば、構造は、受信コイルを通じて受け取られる電力、送信コイルでの反射電力、及び/又は送信コイルでの転送電力に基づき選択されてよい。
【0014】
そのような特徴は、ノートブック型コンピュータプラットフォーム及び充電される装置(例えば、携帯電話機、タブレット型コンピュータ、等)のような2つの装置の間のずれが比較的大きい場合に無線充電を提供するのを助けることができる。また、かかる無線充電は、ずれが起きる場合に、より広い距離で発生しうる。
【0015】
加えて、NFC通信は、2つの装置の間の比較的大きな程度のずれで起こり得る。更に、他のNFC可能な装置(例えば、携帯電話機、タブレット型コンピュータ、等)と対にされるNFC装置(例えば、ノートブック型コンピュータプラットフォーム、等)の読取範囲において増大が達成され得る。
【0016】
図1は、送信コイル102及び受信コイル104を有する従来配置100の図である。この配置は、近距離通信(NFC)及び無線充電のような様々な用途において用いられてよい。
【0017】
図1に示されるように、送信コイル102は端子110及び112を有する。それらの端子は、アプリケーション回路モジュール106へ接続されている。同様に、受信コイル104は端子114及び116を有する。それらの端子は、アプリケーション回路モジュール108へ接続されている。アプリケーション回路モジュール106は、無線充電又はNFCのような無線用途に関連した信号(例えば、電流)を発生させる。反対に、アプリケーション回路モジュール108は、そのような用途に関連した対応する信号を受信して処理する。
【0018】
例えば、アプリケーション回路モジュール106は、送信コイル102を流れる電流120を発生させる。これは磁界の発生をもたらす。この磁界により、送信コイル102は、受信コイルとの磁束鎖交を生成する。結果として、誘導結合が達成される。従って、電流126が受信コイル104において引き起こされる。そして、電流126はアプリケーション回路モジュール108によって受け取られる。
【0019】
図1は、送信コイル102によって生成される磁界に関連した磁束ベクトル122及び124を示す。より具体的に、
図1は、磁束ベクトル122及び124が正反対の方向を有することを示す(すなわち、磁束ベクトル122は図から手前に出る方向を有し、磁束ベクトル124は手前から図に入る方向を有する。)。
【0020】
このような磁束鎖交の範囲(及び結果として電流126の大きさ)は、様々な要因に基づきうる。かかる要因の1つは、共通の軸に対するコイル102及び104の整列である。
【0021】
例えば、コイル102及び104の間の結合において大きな落ち込みが起こるずれの組が存在する。かかる落ち込みは、受信コイル104の一部分における磁束ベクトルが受信コイル104の第2部分における磁束ベクトルと逆方向を有することに起因する。よって、鎖交成分をオフセットすることが受信コイル104により起こる。これは、非常に低い正味の磁束鎖交をもたらす。
【0022】
説明のために、
図1は、送信コイル102及び受信コイル104がそれらの軸(又はそれらの中心)において整列されていないことを示す。より具体的に、
図1は、受信コイル104の一部が送信コイル102の外側に整列されるような範囲で、それらのコイルがずれていることを示す。結果として、磁束ベクトル122及び124は、受信コイル104内で逆向きの電流成分を引き起こす。これは、受信コイル104における全体的な電流(例えば、電流126)の大きさを低下させうる。
【0023】
このような電流低下は性能を危うくしうる。例えば、無線充電用途は、エネルギ伝達の低減に見舞われる。また、NFC用途は、受信信号強度の低下及びエラーレートの増大に見舞われる。
【0024】
図2Aは、再構成可能である例となるコイル装置200の図である。実施形態において、コイル装置200は、例えば、無線充電及び/又はNFC用途において、受信コイル又は送信コイルのいずれかとして用いられてよい。なお、実施形態は、このような例に限定されない。
【0025】
図2Aに示されるように、コイル装置200は、第1の導電性部分202、第2の導電性部分204、スイッチモジュール206、制御モジュール208、及びセンサ210を有する。また、コイル装置200は端子212及び214を有する。
【0026】
第1及び第2の導電性部分202及び204の夫々は、電流が流れることを可能にする導電材料から成る。ともに、(スイッチモジュール206によって結合される)第1及び第2の導電性部分202及び204はコイルを形成する。第1及び第2の導電性部分202及び204は半円形状を有して示されているが、実施形態はこの形状に限定されない。更に、
図2Aは、サイズが略同じである第1及び第2の導電性部分202及び204を示す。しかし、実施形態において、かかる部分は異なるサイズを有してよい。
【0027】
第1及び第2の導電性部分202及び204は、スイッチモジュール206へ接続されている。
図2Aは、スイッチモジュール206が接続端子A、B、C及びDを有することを示す。それらの端子は、第1及び第2の導電性部分202及び204への接続を提供する。特に、第1の導電性部分202は、端子A及びCによってスイッチモジュール206へ接続され、一方、第2の導電性部分204は、端子B及びDによってスイッチモジュール206へ接続される。
【0028】
実施形態において、スイッチモジュール206は、コイル装置200のための構造を確立してよい。それらの構造は、電流が第1及び第2の導電性部分202及び204を通って流れることができる態様を決定する。かかる構造の例は、
図3A及び
図3Bを参照して以下で記載される。
【0029】
コイル装置200は、1又はそれ以上のセンサを有してよい。一例として、
図2Aは、センサ210を示す。センサ210は、他のコイルとの整列(又はずれ)を示すセンサ出力信号220を生成する。実施形態において、センサ出力信号220はアナログ信号であってよい。代替的に、センサ出力信号220はデジタル信号であってよい。
【0030】
実施形態において、センサ210は(例えば、コイル装置200が受信コイルとして動作する場合に)ホール効果センサであってよい。ホール効果センサは、位置で磁界の強さ及び方向を検知する。この位置は、第1及び第2の導電性部分202及び204によって形成されるコイル内又はその近くであってよい。センサ出力信号220は(その大きさ及び符号により)検知された磁界の強さ及び方向を示すことができる。
【0031】
代替的に、センサ210は、他のコイルに対するコイル配置200の相対位置を検知する近接センサであってよい。この相対位置は、コイルの軸整列(又はずれ)を示す。かかる近接センサは、磁界又は放射線を発することができる。磁界又は放射線における(又は戻り信号における)特性(例えば、大きさ又は変化)は相対位置を示す。よって、センサ出力信号220は、(例えば、その大きさにより)近接を示すことができる。実施形態において、他のコイルは、近接センサの目標対象として動作してよい。代替的に、又は追加的に、別個の目標対象が他のコイル内又はその近くに位置付けられてよい。
【0032】
(整列を示す)センサ出力信号220に基づき、制御モジュール208は、特定の構造を採用するようスイッチモジュール206に指示してよい。実施形態において、制御モジュール208は、センサ出力信号220を1又はそれ以上の閾値と比較することによって、この構造を決定してよい。
【0033】
図2Aは、更に、コイル装置200の端子212及び214がアプリケーション回路モジュール216へ結合されていることを示す。アプリケーション回路モジュール216は、コイル装置200において循環する電流を生成する又は受ける。そのような電流は、用途(例えば、無線充電及び/又はNFC用途)に関連しうる。
【0034】
例えば、コイル装置200が送信コイルとして動作する場合に、アプリケーション回路モジュール216は、コイル装置200を通って循環される電流を生成する。この電流は、遠隔の受信コイルにおいて対応する電流を引き起こすよう意図される磁束を発生させる。よって、アプリケーション回路モジュール216は、信号発生回路及び/又はデータ送信回路(例えば、変調器、増幅器、等)のような部品を有してよい。なお、実施形態はこれらの例に限定されない。
【0035】
代替的に、コイル装置200が受信コイルとして動作する場合に、アプリケーション回路モジュール216は、遠隔の送信コイルとの結合に基づくコイル装置200からの電流を受け取る。次いで、アプリケーション回路モジュール216はこの電流を処理する。よって、アプリケーション回路モジュール216は、バッテリ充電回路及び/又はデータ信号受信回路のような部品を有してよい。なお、実施形態はこれらの例に限定されない。
【0036】
ここで記載されるように、コイル装置200はセンサ210を有する。実施形態において、かかるセンサは、(代替的に、又は追加的に)アプリケーション回路モジュールに含まれてよい。
図2Bは、そのような実施の例を示す。
【0037】
より具体的に、
図2Bは、コイル装置200’及びアプリケーション回路モジュール216’を示す。これらの要素は
図2Aのそれらと同じである。しかし、
図2Bでは、アプリケーション回路モジュール216’はセンサモジュール218を有する。更に、
図2Bに示されるように、制御モジュール208は、アプリケーション回路モジュール216’内のセンサモジュール218からセンサ出力信号220を受信する。センサモジュール218は、コイル間のエネルギ又は電力の伝達に関する様々な特性を検出してよい。
【0038】
例えば、コイル装置200’が送信コイルとして動作する場合に、センサモジュール218は反射電力を測定してよい。そのような測定を行うよう、センサモジュール218は、反射エネルギを受け取るが送信エネルギを転送しない方向性結合器を有してよい。また、センサモジュール218は、転送電力を測定してよい。更に、センサモジュール218は、転送電力と反射電力とを比較してよい(かかる比較は、より高い精度を達成することができる。)。高い反射電力は、コイルのずれ及び/又は不適切なコイル構造を示す。センサモジュール218は、反射電力、転送電力、及び/又は転送電力と反射電力との比較のインジケーションをセンサ出力信号220として制御モジュール208へ供給してよい。ここで記載されるように、コイル装置200’の構造は、センサ出力信号220に基づき確立されてよい。
【0039】
代替的に、コイル装置200’が受信コイルとして動作する場合に、センサモジュール218は、(コイル装置200’における誘導電流に基づく)送信コイルから受け取られる電力を測定してよい。よって、センサモジュール218は、受信電力を測定する回路を有してよい。高受信電力の測定は、整列及び/又は適切なコイル構造を示し、一方、低受信電力の測定は、ずれ及び/又は不適切なコイル構造を示す。次いで、この測定された電力は、センサ出力信号220において制御モジュール218へ示されてよい。ここで記載されるように、コイル装置200’の構造は、センサ出力信号220に基づき確立されてよい。
【0040】
更なる実施形態において、センサモジュール218は、遠隔の装置から情報を受信してよい。例えば、センサモジュール218は、コイル装置200’がエネルギを交換しているコイルを備えた遠隔の装置から発せられる情報を受け取ってよい。この他のコイル(ここでは「遠隔コイル」と呼ばれる。)は、動作特性を測定している対応するアプリケーション回路を有してよい。
【0041】
例えば、遠隔のコイルが送信コイルである場合に、そのアプリケーション回路モジュールは、反射及び/又は転送電力を測定してよく、かかる測定をセンサモジュール218へ伝えてよい。代替的に、遠隔のコイルが受信コイルである場合に、それは受信電力を測定してよく、かかる測定をセンサモジュール218へ伝えてよい。そのようなデータ通信は、対応する装置の間に存在する様々な通信媒体を介して起こってよい。そのような技術に関する更なる詳細は、
図11を参照して以下で記載される。
【0042】
図3A及び
図3Bは、コイル装置200及び200’のための異なる構造の例を提供する。実施形態において、それらの構造は、制御モジュール208によって制御されるスイッチモジュール206によって確立される。
【0043】
図3Aは、8の字形構造におけるコイル装置200を示す。この構造では、スイッチモジュール206は、端子AとDの間及び端子BとCの間の結合又は接続を提供する。この構造により、電流は電流経路320に沿って流れることができる。
図3Aは、電流経路320の循環方向が第1及び第2の導電性部分202及び204において異なることを示す。より具体的に、電流経路320は、第1の導電性部分202においては時計方向を有し、第2の導電性部分204において反時計方向を有する。
【0044】
図3Bは、円形構造におけるコイル装置200を示す。この構造では、スイッチモジュール206は、端子AとBの間及び端子CとDの間の結合又は接続を提供する。この構造により、電流は電流経路322に沿って流れる。
図3Bは、電流経路322の循環方向が第1及び第2の導電性部分202及び204の両方において同じ(時計方向)であることを示す。
【0045】
図4A乃至4Cは、受信コイルのためのそのような構造の例となる使用を示す。特に、
図4A乃至4Cは、異なる整列における送信コイル402及び受信コイル装置404を示す。受信コイル装置404は、(例えば、コイル装置200又は200’として)
図2A、2B、3A及び3Bを参照して上述されたように実施されてよい。なお、実施形態はこの実施に限定されない。
【0046】
図4Aにおいて、送信コイル402及び受信コイル装置404の軸は整列されていない。より具体的に、軸は、送信コイル402が受信コイル装置404の上に投影される場合に、それらが完全には重なり合わない範囲で、ずれている。例えば、受信コイル装置404は、主に第2の導電性部分204に対応する非重複領域を有する。
【0047】
電流420が送信コイル402において流れる。この電流は磁束ベクトル424及び426を引き起こす。
図4Aは、図から出ていくベクトル424と、図へ入っていくベクトル426とを示す。それらのベクトルは、反対の循環方向を有する受信コイル装置404における成分電流を引き起こす。例えば、磁束ベクトル424は(例えば、第1の導電性部分202において)時計方向の成分電流を引き起こし、一方、磁束ベクトル426は(例えば、第2の導電性部分204において)反時計方向の成分電流を引き起こす。
【0048】
そのような成分電流から生じる正味の電流を増大させるよう、
図4Aは、受信コイル装置404がこの整列において8の字形構造を採用することを示す。この構造は、正味の電流422が第1の導電性部分202を通って時計方向において且つ第2の導電性部分204を通って反時計方向において流れることを可能にする。
【0049】
図4Bにおいて、送信コイル402及び受信コイル装置404の軸は整列されている。より具体的に、軸はオフセットを有さない(又はほとんどオフセットを有さない)。電流430が送信コイル402において流れる。この電流は、(図から出ていく)磁束ベクトル434と、(図へ入っていく)磁束ベクトル436とを引き起こす。それらのベクトルは、同じ循環方向を有する受信コイル装置404における成分電流を引き起こす。
【0050】
よって、
図4Bの整列では、受信コイル装置404は円形構造を有する。結果として、
図4Bは、第1及び第2の導電性部分202及び204の両方を通って時計方向において流れる正味の電流432を示す。
【0051】
図4Cにおいて、送信コイル402及び受信コイル装置404の軸は大幅にずれている。より具体的に、軸は、送信コイル402が受信コイル装置404の上に投影される場合に、それらが全く重なり合わない範囲で、ずれている。
【0052】
電流440が送信コイル402において流れる。この電流は、(図から出ていく)磁束ベクトル444と、(図へ入っていく)磁束ベクトル446とを引き起こす。それらのベクトルは、同じ循環方向を有する受信コイル装置404における成分電流を引き起こす。よって、
図4Cでは、受信コイル装置404は円形構造を有する。結果として、正味の電流442は、第1及び第2の導電性部分202及び204の両方を通って反時計方向において流れる。
【0053】
上述されたように、コイル装置の構造は、スイッチモジュールにより確立され得る。
図5A及び
図5Bは、スイッチモジュール206において使用される例となる実施500を示す。この実施は、2つの設定を有する双極双投配置を用いる。実施500のそれらの設定は、
図2A及び
図2Bの制御モジュール208のような制御エンティティから受信される制御指令又は信号に基づいてよい。
【0054】
図5A及び
図5Bに示されるように、実施500はノード502〜512を有する。ノード502〜512は夫々、端子A〜Dの1つへ結合されている(端子A〜Dは、例えば、
図2A、2B、3A及び3Bを参照して、上述された。)。特に、ノード502は端子Bへ結合され、ノード504は端子Dへ結合され、ノード506は端子Cへ結合され、ノード508は端子Aへ結合され、ノード510は端子Dへ結合され、ノード512は端子Bへ結合されている。
【0055】
図5Aは、第1設定を有する実施500を示す。この設定では、結合はノード502と506との間に存在する。また、結合はノード504と508との間にも存在する。よって、
図2A乃至4Cを参照して、この設定は8の字形構造を提供することができる。
【0056】
図5Bは、第2設定を有する実施500を示す。この設定では、結合はノード506と510との間に存在する。また、結合はノード508と512との間にも存在する。よって、
図2A乃至4Cを参照して、この設定は円形構造を提供することができる。
【0057】
実施500は、様々な方法において実施されてよい。実施形態において、電子(例えば、ソリッドステート)スイッチング回路が用いられてよい。代替的に、又は追加的に、電気機械的及び/又は機械的スイッチが用いられてよい。しかし、実施形態はそれらの例に限定されない。
【0058】
上述されたように、スイッチモジュールの設定(及び結果としてコイル構造)は、制御モジュールによって決定され得る。
図6は、例となる制御モジュール実施600を示す図である。この実施は、決定モジュール602及び信号発生器604を有する。これらの要素は、ハードウェア及び/又はソフトウェアのあらゆる組み合わせにおいて実施されてよい。
【0059】
図6は、決定モジュール602が1又はそれ以上のセンサ出力信号(例えば、
図2A及び
図2Bの信号220)を受信することを示す。これらの信号に基づき、決定モジュール602はコイル構造を選択する。例えば、決定モジュール602は、円形構造又は8の字形構造を選択してよい。この構造は、コイル装置200のために選択されてよい。しかし、実施形態はこの状況に限定されない。次いで、決定モジュール602は選択インジケータ622を生成する。選択インジケータ622は信号発生器604へ送られる。
【0060】
決定モジュール602は、構造を選択する際に様々な技術を用いてよい。そのような技術の1つは、センサ出力信号620を1又はそれ以上の閾値と比較することを伴う。例えば、センサ出力信号620がコイル間の整列を示す場合に、決定モジュール602は、センサ出力信号620が第1閾値よりも小さいずれを示す場合には、円形構造を選択してよい。しかし、センサ出力信号620が第1閾値より大きく且つ第2閾値より小さいずれを示す場合には、8の字形構造が選択されてよい。更に、センサ出力信号620が第2閾値よりも大きいずれを示す場合には、円形構造が選択されてよい。
【0061】
センサ出力信号620がコイル間のエネルギ伝達特性(例えば、転送電力、反射電力、受信電力、転送電力と反射電力との比較、等の1又はそれ以上)を示す実施形態では、閾値に基づく構造選択法がまた用いられてよい。
【0062】
代替的に、決定モジュール602は、どの構造が最良のエネルギ伝達特性(例えば、センサ出力信号620によって示される。)をもたらすのかを決定するよう構造選択を切り替えてよい。このような切り替えは繰り返し起きてよい。
【0063】
選択インジケータ622に基づき、信号発生器604は、スイッチモジュールのための(例えば、スイッチモジュール206のための)設定を確立する命令624を生成してよい。例えば、命令624は、双極双投スイッチの設定を確立してよい。しかし、実施形態はこの例に限定されない。実施形態において、命令624は、1又はそれ以上の制御信号(例えば、電気信号)の形をとってよい。
【0064】
図7及び
図8は、例となるコイル配置を表す。特に、
図7は、円形形状を夫々有するコイル702及び704を有する配置を表す。コイル702及び704の夫々は、50ミリメートルの半径rを有する。しかし、実施形態はこのサイズに限定されない。
【0065】
図8は、異なる形状のコイルを有する配置を表す。特に、
図8は、円形形状を有するコイル802と、8の字形状を有するコイル804とを示す。コイル802及び804の夫々は、50ミリメートルの半径rを有する。しかし、実施形態はこのサイズに限定されない。
【0066】
図9は、
図7及び
図8の配置のシミュレーションに基づく例となる性能特性を示すグラフである。特に、
図9は、(x軸に沿ってミリメートルで示される)整列と(y軸に沿ってデシベルで示される)結合との間の関係を示す。x軸で、零ミリメートルの整列は、送信コイルの軸と受信コイルの軸とがオフセットされない(すなわち、それらが同一線形順序に並んでいる)ことを示す。y軸で、結合はSパラメータによって表される。
【0067】
曲線902は、
図7(2つの円形コイル)の配置についてシミュレーションされた結合特性(S12)を示す。この曲線は、ずれが大きくなるにつれて低下している。曲線904は、
図8(円形コイル及び8の字形コイル)の配置についてシミュレーションされた結合特性(S21)を示す。この曲線は、コイル軸の整列が存在する場合に最小値に達し、非常に大きなずれについて低下する前に最大値に達するようずれとともに増大する。
【0068】
曲線906は、曲線902及び904の結合である。特に、曲線906は、動的なスイッチングが
図7の配置と
図8の配置との間で起こる場合に常に最大値を用いる結合を示す。コイルの軸の間に50ミリメートルのずれがある場合でさえ、曲線906のシミュレーションされたS21は、円形コイルのみについての−6dB(曲線902)と比較して、−2.5dBである。S21の大きさの二乗はdBにおける効率に対応する。
【0069】
図10は、論理フローの実施形態を表す。特に、
図10は、ここで記載される1又はそれ以上の実施形態によって実行される動作を表すことができる論理フロー1000を表す。
図10は特定のシーケンスを示すが、他のシーケンスが用いられてよい。また、表されている動作は、様々な並列及び/又は直列な結合において実行されてよい。
【0070】
図10の動作は、
図2A及び
図2Bの第1及び第2の導電性部分202及び204のような2つの導電性部分を有する再構成可能なコイルに関して記載されている。しかし、実施形態はこの状況に限定されない。このコイルは、受信コイルとして動作してよい。代替的に、このコイルは、送信コイルとして使用されて動作してよい。
【0071】
ブロック1002で、コイルに関する動作条件が決定される。この動作条件は、再構成可能なコイルと他のコイルとの整列であってよい。代替的に、この動作条件は、1又はそれ以上のエネルギ伝達特性(例えば、転送電力、反射電力、受信電力、転送電力と反射電力との比較、等の1又はそれ以上)であってよい。ここで記載されるように、この決定は、1又はそれ以上の受信されるセンサ出力信号に基づいてよい。
【0072】
決定された整列に基づき、構造はブロック1004でコイル装置のために選択される。この選択は、2又はそれ以上の構造からであってよい。例えば、この選択は、8の字形構造及び円形構造からであってよい。
【0073】
ブロック1006で、選択された構造が再構成可能なコイルのために確立される。実施形態において、これは、第1の導電性部分と第2の導電性部分との間に結合されるスイッチの設定を確立することを伴ってよい。
【0074】
図11は、ここで記載される技術が用いられ得る例となる動作環境1100の図である。この環境は、第1の装置1102及び第2の装置1104を有する。
図11に示されるように、装置1102及び1104の夫々は、コイル装置及びアプリケーション回路モジュールを有する。より具体的に、装置1102はコイル装置1106及びアプリケーション回路モジュール1108を有し、一方、装置1104はコイル装置1110及びアプリケーション回路モジュール1112を有する。これらの要素により、装置1102及び1104は、1又はそれ以上の用途(例えば、無線充電及び/又はNFC用途)に従って無線エネルギを交換する。
【0075】
実施形態において、コイル装置1106及び1110の一方は送信コイルとして動作し、他方は受信コイルとして動作する。また、送信コイル及び/又は受信コイルは、ここで記載されるように、再構成可能であってよい。
【0076】
図11に示されるように、装置1102及び1104は夫々、通信インタフェースモジュール1114及び1116を有する。これらのモジュールは、装置が通信媒体1118にわたって情報を交換することを可能にする。かかる情報は、ここで記載されるように、エネルギ伝達に関する測定(例えば、転送電力、反射電力、受信電力、転送電力と反射電力との比較、等の1又はそれ以上)を含んでよい。例えば、かかる情報は、再構成可能でないコイルを有する装置から再設定可能なコイルを有する装置へ転送されてよい。
【0077】
再構成可能なコイルを有する装置での情報の受信時に、センサモジュール(例えば、
図2Bのセンサモジュール218)は、対応する情報を同じ装置内の制御モジュール(例えば、制御モジュール208)へ供給してよい。この情報に基づき、コイルは構成されてよい。よって、装置は、自身が遠隔コイルの装置から受け取った情報に基づき、自身のコイルを構成してよい。しかし、実施形態はこれに限定されない。例えば、装置は、そのような通信を必要としない、整列に基づく及び/又はエネルギ伝達に基づくコイル構成技術を用いてよい。
【0078】
通信媒体1118は、情報を運ぶことができる有線及び/又は無線媒体あるいはあらゆる結合を有してよい。かかる媒体の例は、無線通信ネットワーク、有線通信ネットワーク、光ネットワーク/インタフェース、コンピュータバスシステム、コンピュータインタフェース(例えば、シリアル及び/又はパラレルインタフェース)、等を含む(が、それらに限られない)。然るに、通信インタフェースモジュール1114及び1116は、トランシーバ、変調器、復調器、アンテナ、ベースバンド処理部、メディアアクセスコントロール部、等のような様々な部品を有してよい。
【0079】
また、
図11は、装置1102及び1104が夫々、電力供給1120及び1122を有することを示す。かかる電力供給はバッテリを有してよい。例えば、無線充電用途において、かかるバッテリは充電され得る。
【0080】
また、図示されていないが、装置1102及び1104は夫々、プロセッサ及び記憶媒体(例えば、メモリ、磁気記憶装置、光記憶装置、等)を有してよい。そのような要素は、様々なユーザ用途を提供するために用いられてよい。例えば、記憶媒体は、プロセッサにそのような用途を実行させる命令(例えば、制御ロジック又はソフトウェア)を記憶してよい。更に、記憶媒体は、そのような用途によって扱われるデータを記憶してよい。
【0081】
かかるユーザ用途は、コイル装置1106及び1110を通じて(例えば、NFC用途を通じて)交換される情報を伴ってよい。然るに、プロセッサは夫々、モジュール1108及び1112の対応する1つへ動作上結合されてよい。
【0082】
更に、かかるユーザ用途は、ユーザとの情報の交換を伴ってよい。然るに、装置1102及び1104は、様々なユーザ入力及び出力装置を有してよい。そのような装置の例は、キーパッド、キーボード、タッチスクリーン、マイクロホン、スピーカ、ディスプレイ、等を含む(が、それらに限られない)。
【0083】
装置1102及び1104は、様々なタイプであってよい。例えば、装置1102及び1104は、ノートブック型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話機、スマートホン、メディアプレーヤ、等のあらゆる組み合わせであってよい。例となる無線充電シナリオでは、より大きな装置がより小さな装置へエネルギを伝えてよい(例えば、ノートブックは無線により携帯電話機又はスマートホンを充電してよい。)。そのようなシナリオは、限定のためではなく説明のために与えられる。よって、より小さな装置がより大きな装置を無線により充電してよい。
【0084】
ここで記載されるように、様々な実施形態がハードウェア要素、ソフトウェア要素、又はそれらのあらゆる組み合わせを用いて実施されてよい。ハードウェア要素の例は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、回路素子(例えば、トランジスタ、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、等)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理装置(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理ゲート、レジスタ、半導体装置、チップ、マイクロチップ、チップセット、等を含んでよい。
【0085】
ソフトウェアの例は、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、機能、方法、手順、ソフトウェアインタフェース、アプリケーションプログラムインタフェース(API)、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、ワード、値、シンボル、又はそれらのあらゆる組み合わせを含んでよい。
【0086】
幾つかの実施形態は、例えば、機械読取可能媒体又はアーティクルを用いて実施されてよい。かかる媒体は、機械によって実行される場合にその機械に実施形態に従う方法及び/又は動作を実行させることができる命令又は命令の組を記憶してよい。そのような機械は、例えば、あらゆる適切な処理プラットフォーム、コンピュータプラットフォーム、コンピュータ装置、処理装置、コンピュータシステム、処理システム、コンピュータ、プロセッサ、等を有してよく、ハードウェア及び/又はソフトウェアのあらゆる適切な組み合わせを用いて実施されてよい。
【0087】
機械読取可能媒体又はアーティクルは、例えば、あらゆる適切なタイプのメモリユニット、メモリ装置、メモリアーティクル、メモリ媒体、記憶装置、記憶アーティクル、記憶媒体及び/又は記憶ユニット、例えば、メモリ、取り外し可能又は取り外し不可能媒体、消去可能又は消去不可能媒体、書込可能又は書換可能媒体、デジタル又はアナログ媒体、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク読出専用メモリ(CD−ROM)、書込可能コンパクトディスク(CD−R)、書換可能コンパクトディスク(CD−RW)、光ディスク、磁気媒体、光学磁気媒体、取り外し可能メモリカード又はディスク、様々なタイプのデジタルバーサタイルディスク(DVD)、テープ、カセット、等を含んでよい。命令は、あらゆる適切なハイレベル、ローレベル、オブジェクト指向、視覚的、コンパルス済み及び/又は解釈済みプログラミング言語を用いて実施されるソースコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、実行可能コード、スタティックコード、ダイナミックコード、暗号化コード、等のようなあらゆる適切なタイプのコードを含んでよい。
【0088】
本発明の様々な実施形態が上述されたが、それらは限定においてではなく単に一例として提示されていることが理解されるべきである。
【0089】
例えば、実施形態は円形コイルに限定されない。実際に、あらゆる適切なコイル形状が用いられてよい。更に、実施形態は同じ又は類似したサイズを有する送信及び受信コイルを用いてよいが、サイズが異なる送信及び受信コイルが用いられてよい。また、例は単巻コイルに関して記載されている。しかし、実施形態は、複数の巻き数を有するコイルを有してよい。また、実施形態において、コイルは、様々な材料(例えば、強磁性体)のコア又はエアコアを有してよい。
【0090】
更に、実施形態において、再構成可能なコイルは、導電性部分を幾つ有してもよい。更に、そのようなコイルにおいて、電流経路特性(例えば、循環方向)は、あらゆる数の導電性部分において且つあらゆる組み合わせにおいて変更されてよい。
【0091】
然るに、当業者には明らかなように、形態及び詳細における様々な変更は、本発明の精神及び適用範囲から逸脱することなしになされ得る。よって、本発明の広さ及び適用範囲は、上記の例となる実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等に従ってのみ定義されるべきである。