【文献】
安岡 寛道,横並び導入では破綻は必至! ポイントによる集客の秘訣とは? ポイント商売の罠,ascii,日本,株式会社アスキー,2007年 6月 1日,第31巻 第6号,pp.62−63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クレジットカードの決済では、カード会社が与信照会時の金額よりも多い額の売上請求を加盟店から受け付ける場合がある。例えば、ユーザが海外の加盟店でクレジットカードを利用した場合には、加盟店における与信照会時とその加盟店からの売上請求時との間で生じた為替変動により、カード会社が加盟店に支払う金額が、与信照会時にユーザに提示された購入額を超える可能性がある。また、ユーザが毎月の料金引落しの手段としてクレジットカードを用いている場合には、与信照会は初回登録時のみであって月々の支払時には与信照会が行われないことがある。しかし、カード会社はルール上、現に有効なクレジットカードに関する加盟店からの売上請求を原則として拒否することができず、請求された金額を当該加盟店に支払う必要がある。
【0005】
クレジットカードの場合には、カード会社はカード新規発行時の入会審査において十分な本人確認を行う。したがってカード会社は、多少の手間をかけさえすれば、与信照会の裏付けがない売上請求に係る不足分の資金をそのユーザから回収することができる。
【0006】
一方、クレジットカードの仕組みを利用する前払型支払手段(物理的または仮想的なプリペイドカード)の場合には、カード会社はカード新規発行時に十分な本人確認をしないことが多い。そのため、カード会社は、プリペイドカードの残額を超える金額の売上請求を受けた場合に、立て替えた不足額に相当する資金をユーザから回収することが著しく困難である。
【0007】
そこで、クレジットカードの仕組みを利用する前払型支払手段の発行者に損失が発生するリスクを軽減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る情報処理システムは、クレジットカードの加盟店に設置される端末から送信される照会情報に含まれる照会金額が当該照会情報に係る支払者に対応するID情報に関連付けて記憶部に記憶されているデータから特定される利用可能額以下である場合に限り承認情報を返信する機能と、承認情報を返信した場合に利用可能額から照会金額が減額されるよう記憶部に記憶されているデータを変更する機能と、ID情報に対応するユーザから回収される資金を加盟店に納付するための決済処理を加盟店からの売上情報に基づいて行う機能とを備える決済処理装置がアクセスする記憶部に対してデータの設定および変更を反映させることが可能な情報処理システムであって、加盟店で利用可能な前払型支払手段の発行申請に関連付けて払い込まれた前払金額の範囲内で設定される当初の利用可能額を特定するためのデータを、該発行申請に対応する前払型支払手段のID情報に関連付けて記憶部に記憶させる設定部と、前払型支払手段に対応する利用可能額の残額の範囲内で保証金額を決定する決定部と、決定された保証金額が利用可能額の残額に含まれないように記憶部に記憶されるデータを変更させるとともに、いずれかの前払型支払手段に係る決済処理において売上情報に含まれる請求金額の少なくとも一部が事前に承認されていないことに起因する損失が発生した場合に該損失を填補するための原資となる保証金の蓄積金額を示すプール金額に該決定された保証金額が含まれるように該プール金額を変更させる変更部とを備える。
【0009】
本発明の一側面に係る情報処理システムの制御方法は、クレジットカードの加盟店に設置される端末から送信される照会情報に含まれる照会金額が当該照会情報に係る支払者に対応するID情報に関連付けて記憶部に記憶されているデータから特定される利用可能額以下である場合に限り承認情報を返信する機能と、承認情報を返信した場合に利用可能額から照会金額が減額されるよう記憶部に記憶されているデータを変更する機能と、ID情報に対応するユーザから回収される資金を加盟店に納付するための決済処理を加盟店からの売上情報に基づいて行う機能とを備える決済処理装置がアクセスする記憶部に対してデータの設定および変更を反映させることが可能な情報処理システムを構成する1又は複数のコンピュータに、加盟店で利用可能な前払型支払手段の発行申請に関連付けて払い込まれた前払金額の範囲内で設定される当初の利用可能額を特定するためのデータを、該発行申請に対応する前払型支払手段のID情報に関連付けて記憶部に記憶させる設定処理と、前払型支払手段に対応する利用可能額の残額の範囲内で保証金額を決定する決定処理と、決定された保証金額が利用可能額の残額に含まれないように記憶部に記憶されるデータを変更させるとともに、いずれかの前払型支払手段に係る決済処理において売上情報に含まれる請求金額の少なくとも一部が事前に承認されていないことに起因する損失が発生した場合に該損失を填補するための原資となる保証金の蓄積金額を示すプール金額に該決定された保証金額が含まれるように該プール金額を変更させる変更処理とを実行させる。
【0010】
本発明の一側面に係る情報処理プログラムは、クレジットカードの加盟店に設置される端末から送信される照会情報に含まれる照会金額が当該照会情報に係る支払者に対応するID情報に関連付けて記憶部に記憶されているデータから特定される利用可能額以下である場合に限り承認情報を返信する機能と、承認情報を返信した場合に利用可能額から照会金額が減額されるよう記憶部に記憶されているデータを変更する機能と、ID情報に対応するユーザから回収される資金を加盟店に納付するための決済処理を加盟店からの売上情報に基づいて行う機能とを備える決済処理装置がアクセスする記憶部に対してデータの設定および変更を反映させることが可能な情報処理システムを構成する1又は複数のコンピュータに、加盟店で利用可能な前払型支払手段の発行申請に関連付けて払い込まれた前払金額の範囲内で設定される当初の利用可能額を特定するためのデータを、該発行申請に対応する前払型支払手段のID情報に関連付けて記憶部に記憶させる設定部と、前払型支払手段に対応する利用可能額の残額の範囲内で保証金額を決定する決定部と、決定された保証金額が利用可能額の残額に含まれないように記憶部に記憶されるデータを変更させるとともに、いずれかの前払型支払手段に係る決済処理において売上情報に含まれる請求金額の少なくとも一部が事前に承認されていないことに起因する損失が発生した場合に該損失を填補するための原資となる保証金の蓄積金額を示すプール金額に該決定された保証金額が含まれるように該プール金額を変更させる変更部とを機能として実現させる。
【0011】
本発明の一側面に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、クレジットカードの加盟店に設置される端末から送信される照会情報に含まれる照会金額が当該照会情報に係る支払者に対応するID情報に関連付けて記憶部に記憶されているデータから特定される利用可能額以下である場合に限り承認情報を返信する機能と、承認情報を返信した場合に利用可能額から照会金額が減額されるよう記憶部に記憶されているデータを変更する機能と、ID情報に対応するユーザから回収される資金を加盟店に納付するための決済処理を加盟店からの売上情報に基づいて行う機能とを備える決済処理装置がアクセスする記憶部に対してデータの設定および変更を反映させることが可能な情報処理システムを構成する1又は複数のコンピュータに、加盟店で利用可能な前払型支払手段の発行申請に関連付けて払い込まれた前払金額の範囲内で設定される当初の利用可能額を特定するためのデータを、該発行申請に対応する前払型支払手段のID情報に関連付けて記憶部に記憶させる設定部と、前払型支払手段に対応する利用可能額の残額の範囲内で保証金額を決定する決定部と、決定された保証金額が利用可能額の残額に含まれないように記憶部に記憶されるデータを変更させるとともに、いずれかの前払型支払手段に係る決済処理において売上情報に含まれる請求金額の少なくとも一部が事前に承認されていないことに起因する損失が発生した場合に該損失を填補するための原資となる保証金の蓄積金額を示すプール金額に該決定された保証金額が含まれるように該プール金額を変更させる変更部とを機能として実現させる情報処理プログラムを記憶する。
【0012】
このような側面においては、前払型支払手段の申請のために払い込まれた前払金の一部が保証金として確保される。そのため、前払型支払手段の発行者は、残額を超える金額の売上請求に対する支払いのための資金としてその保証金を用いることができる。したがって、クレジットカードの仕組みを利用する前払型支払手段の発行者に損失が発生するリスクを軽減することができる。
【0013】
他の側面に係る情報処理システムでは、決定部が、前払型支払手段がいずれかの加盟店において少なくとも1回利用された後に、保証金額を決定してもよい。
【0014】
他の側面に係る情報処理システムでは、決定部が、利用可能額の残額が変動する都度、保証金額を決定し、変更部が、保証金額が決定される都度、プール金額と記憶部に記憶されるデータとをそれぞれ変更させてもよい。
【0015】
他の側面に係る情報処理システムでは、決定部が、利用可能額の残額が減少する都度、保証金額を増加させてもよい。
【0016】
他の側面に係る情報処理システムでは、設定部が、さらに、利用可能額の増額申請に関連付けて払い込まれた前払金額が該利用可能額の残額に加算されるよう記憶部に記憶されるデータを変更させ、決定部が、残額が増加する都度、保証金額を減少させてもよい。
【0017】
他の側面に係る情報処理システムでは、設定部が、さらに、第1の前払型支払手段に対応する保証金額に該第1の前払型支払手段の決済処理に起因する損失の填補に利用されていない残額が残っている場合に、該第1の前払型支払手段のユーザによる前払型支払手段の引継発行申請に関連付けて払い込まれた前払金額に該第1の前払型支払手段に対応する保証金額の残額を少なくとも加算した金額の範囲内で設定される当初の利用可能額を該引継発行申請に対応する第2の前払型支払手段のID情報に関連付けて記憶部に記憶させてもよい。
【0018】
他の側面に係る情報処理システムでは、設定部が、承認金額を上回る請求金額を請求するための売上情報を送信してきた履歴のある加盟店において第1の前払型支払手段が利用された履歴がある場合に、引継発行申請に関連付けて払い込まれた前払金額に加算されるべき該第1の前払型支払手段の保証金額の残額から所定金額を減額してもよい。
【0019】
他の側面に係る情報処理システムでは、決定部が、前払型支払手段の決済処理において損失が発生する可能性が低いと判定される場合に、該前払型支払手段に対して設定されるべき保証金額を軽減し又は免除してもよい。
【0020】
他の側面に係る情報処理システムでは、前払型支払手段以外の他の支払手段がID情報に関連付けて記憶部に記憶されている場合に、該前払型支払手段の決済処理において損失が発生する可能性が低いと判定する判定部をさらに備えてもよい。
【0021】
他の側面に係る情報処理システムでは、判定部が、他の支払手段として後払型支払手段が記憶されている場合に、可能性が低いと判定し、決定部が、可能性が低いと判定される場合に、保証金額を免除してもよい。
【0022】
他の側面に係る情報処理システムでは、前払型支払手段が加盟店における与信照会が支払いの度に必要である支払手段である場合に、該前払型支払手段の決済処理において損失が発生する可能性が低いと判定する判定部をさらに備えてもよい。
本発明の一側面に係る情報処理システムは、後払型支払手段の加盟店で利用可能な前払型支払手段を申請したユーザから払い込まれた前払金額の範囲内で利用限度額および保証金額を設定する決定部と、前払型支払手段の残額を超える金額の加盟店からの売上請求に対する支払いのために用いられるプール金額を記憶するプール記憶部であって、該プール金額がユーザとは異なる他ユーザの保証金を含む、該プール記憶部を参照し、決定部により設定された保証金額を該プール金額に加算する変更部とを備える。
本発明の一側面に係る情報処理方法は、プロセッサを備える情報処理システムによる情報処理方法であって、後払型支払手段の加盟店で利用可能な前払型支払手段を申請したユーザから払い込まれた前払金額の範囲内で利用限度額および保証金額を設定する決定ステップと、前払型支払手段の残額を超える金額の加盟店からの売上請求に対する支払いのために用いられるプール金額を記憶するプール記憶部であって、該プール金額がユーザとは異なる他ユーザの保証金を含む、該プール記憶部を参照し、決定ステップにおいて設定された保証金額を該プール金額に加算する変更ステップとを含む。
本発明の一側面に係る情報処理プログラムは、後払型支払手段の加盟店で利用可能な前払型支払手段を申請したユーザから払い込まれた前払金額の範囲内で利用限度額および保証金額を設定する決定部と、前払型支払手段の残額を超える金額の加盟店からの売上請求に対する支払いのために用いられるプール金額を記憶するプール記憶部であって、該プール金額がユーザとは異なる他ユーザの保証金を含む、該プール記憶部を参照し、決定部により設定された保証金額を該プール金額に加算する変更部としてコンピュータを機能させる。
別の側面に係る情報処理システムでは、決定部が、前払型支払手段がユーザに利用可能になった後に、該前払型支払手段の残額の範囲内で追加の保証金額を決定し、変更部が、追加の保証金額をプール金額に加算してもよい。
別の側面に係る情報処理システムでは、決定部が、第1の前払型支払手段を所持しており且つ第2の前払型支払手段を申請したユーザから払い込まれた新たな前払金額と、該第1の前払型支払手段の残額および現在の保証金額とに基づいて、該第1の前払型支払手段の現在の保証金額の少なくとも一部が該第2の前払型支払手段の利用限度額に含まれるように該第2の前払型支払手段の利用限度額および保証金額を設定し、変更部が、第1の前払型支払手段の現在の保証金額と第2の前払型支払手段の保証金額との差に基づいてプール金額を更新してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一側面によれば、クレジットカードの仕組みを利用する前払型支払手段の発行者に損失が発生するリスクを軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
ID管理システム1は、プリペイドカードを管理する情報処理システムであり、より具体的にはカードの新規発行、引継発行、設定変更などを実行する。
【0027】
ユーザはプリペイドカードの利用のために前払金を支払い、その前払金から保証金(当初保証金)を差し引いた分の金額が利用限度額(当初の利用可能額。利用枠)として設定されたプリペイドカードを取得する。このような設定の概念を
図1に示す。各ユーザは利用限度額の範囲でのみプリペイドカードを利用することができる。一方、カード会社は保証金を確保する。
【0028】
このプリペイドカードはクレジットカードの仕組みを利用する前払型支払手段であり、クレジットカードと同様のカード情報(カード番号、有効期限、およびセキュリティコード)を有する。このプリペイドカードは物理的なカードではなく、そのカード情報のみがユーザに通知される仮想的なカード(バーチャルプリペイドカード)である。ユーザはそのプリペイドカードを、オンライン上で展開されているクレジットカードの加盟店で、クレジットカードと同様に使うことができる。
【0029】
上述したように、為替変動や定期払いなどの場合には、カード会社が、与信照会で承認された金額を超える、またはプリペイドカードの残額(利用枠内での残額)を超える金額の請求を受ける可能性があるが、不足額をユーザに請求することは極めて困難である。そこで、カード会社はプリペイドカードの申請者から受け取った保証金を貯めておき、保証金のプールから不足分を捻出する。
【0030】
図2に示すように、ID管理システム1はユーザ端末Tu、ID管理装置10、カードデータベース(記憶部)21、プールデータベース(pool database)22、利用履歴データベース23、加盟店端末Ts、決済処理装置30、および金融機関サーバ40を備えている。
【0031】
ユーザ端末Tu、ID管理装置10、および金融機関サーバ40はインターネットなどのネットワークを介して相互接続されている。加盟店端末Tsおよび決済処理装置30はインターネットや専用線などのネットワークを介して相互接続されている。ID管理装置10および決済処理装置30はそれぞれ、インターネットや専用線などのネットワークを介してカードデータベース21および利用履歴データベース23に直接または間接的にアクセスできる。ID管理装置10はさらに、同様のネットワークを介してプールデータベース22に直接または間接的にアクセスできる。カードデータベース21および利用履歴データベース23はそれぞれ、互いに同期する機能を有する複数の記憶装置で構成されていてもよい。なお、ID管理システム1におけるユーザ端末Tuおよび加盟店端末Tsの台数はいくつでもよい。
【0032】
ユーザ端末Tuは、プリペイドカードを申し込むまたは保持するユーザが使用する端末である。ユーザ端末Tuの種類は限定されず、例えば据置型又は携帯型のパーソナルコンピュータでもよいし、高機能携帯電話機(スマートフォン)や携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末でもよい。
【0033】
カードデータベース21は、カード情報を記憶する装置である。カード情報は、ユーザに割り当てられたカード番号に関する情報であり、カード情報の各レコードはカード番号により識別される。
図3に示すように、各レコードは下記の項目を含む。本明細書ではカード番号がID情報に相当する。
【0034】
・プリペイドカードの番号(「カード番号」)
・プリペイドカードの「有効期限」
・プリペイドカードの「セキュリティコード」(security code)
・ユーザを一意に特定する「ユーザID」
・プリペイドカードの「利用限度額」
・プリペイドカードの「残額」
・カード会社が確保する「保証金額」。この保証金額は当初保証金額と追加保証金額との和である。
【0035】
なお、カードデータベース21はプリペイドカードの情報に加えてクレジットカードのカード情報(カード番号、有効期限、セキュリティコード、利用限度額、利用額など)を記憶してもよい。
【0036】
プールデータベース22は、各ユーザから集めた保証金の総額(保証金のプールの額)を記憶する装置である。プールデータベース22の構成の例を
図4に示す。蓄積された保証金は、プリペイドカードに係る決済処理において売上情報に含まれる請求金額の少なくとも一部が事前に承認されていないことに起因する損失が発生した場合に、該損失を填補するための原資となる。
【0037】
利用履歴データベース23は、プリペイドカードの利用履歴を記憶する装置である。
図5に示すように、利用履歴の各レコードはカード番号と、加盟店を一意に特定する加盟店IDと、プリペイドカードの利用日および利用金額とを含む。利用履歴は他の項目を含んでいてもよい。
【0038】
なお、各データベースの構成は限定されない。例えば、カード情報に他の項目を加えてもよいし、カード情報または利用履歴に対して任意の正規化または冗長化を行ってもよい。ID管理装置10がカードデータベース21内の当初保証金額および追加保証金額の総和を計算することでプール金額を求めるならば、プールデータベース22は省略可能である。
【0039】
加盟店端末Tsは、クレジットカードまたはプリペイドカードを用いた決済を行うための端末であり、クレジットカードの加盟店に設置される。加盟店端末Tsは決済処理装置30と協働して決済処理を実行する。
【0040】
決済処理装置30は、クレジットカードまたはプリペイドカードに関する決済処理を実行するコンピュータである。この決済処理装置30は下記の機能を備える。
【0041】
・加盟店端末Tsから送信される照会情報に含まれる照会金額が、当該照会情報に係る支払者に対応するカード番号に関連付けてカードデータベース21に記憶されているデータから特定される利用可能額(残額)以下である場合に限り承認情報を返信する機能。承認情報は、照会金額が利用可能額以下であり、かつ、カード番号が有効である場合に限って返信されてもよい。
・承認情報を返信した場合に利用可能額から照会金額が減額されるよう、カードデータベース21に記憶されているデータを変更する機能。決済処理装置30はこのときに利用履歴のレコードを生成してそのレコードを利用履歴データベース23に登録する。
・カード番号に対応するユーザから回収される資金を加盟店に納付するための決済処理を加盟店からの売上情報に基づいて行う機能。
【0042】
金融機関サーバ40は、ユーザがプリペイドカードを利用するために支払う前払金の決済処理を実行するコンピュータである。金融機関の種類は限定されず、例えば銀行でもよいし、電子マネー管理会社であってもよい。また、前払金の支払いおよび決済の方法も限定されない。例えば、ユーザは1又は複数のポイントを前払金に変換することでその支払いを行ってもよい。
【0043】
ID管理装置10は、プリペイドカードを管理するコンピュータである。ID管理装置10は、カードデータベース21に対してデータの設定および変更を反映させることが可能である。
【0044】
ID管理装置10のハードウェア構成を
図6に示す。ID管理装置10は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行する1以上のCPU101と、ROMおよびRAMで構成される主記憶部102と、ハードディスクやフラッシュメモリなどで構成される補助記憶部103と、ネットワークカードあるいは無線通信モジュールで構成される通信制御部104と、キーボードやマウスなどの入力装置105と、ディスプレイなどの出力装置106とを備えている。
【0045】
後述するID管理装置10の各機能的構成要素は、CPU101又は主記憶部102の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU101の制御の下で通信制御部104や入力装置105、出力装置106などを動作させ、主記憶部102又は補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやカードデータベースは主記憶部102又は補助記憶部103内に格納される。
【0046】
図6ではID管理装置10が1台のコンピュータで構成されているが、ID管理装置10は複数台のコンピュータで構成されていてもよい。
【0047】
図7に示すように、ID管理装置10は機能的構成要素として受付部11、確認部12、割当部13、初期設定部(設定部、決定部、変更部、および判定部)14、および変更部(決定部、変更部、および判定部)15を備えている。
【0048】
以下ではID管理装置10の機能を二つの実施形態に分けて説明する。第1実施形態では、プリペイドカードを持っていないユーザがプリペイドカードを初めて申し込む場合を説明する。第2実施形態では、既にプリペイドカードを持っているユーザが新たにプリペイドカードを申し込む場合について説明する。ID管理装置10は第1および第2実施形態の双方を実行できてもよいし、第1実施形態のみを実行できてもよい。
【0049】
(第1実施形態)
受付部11は、プリペイドカードの発行の申請を受け付ける機能要素である。受付部11は、その発行申請を示す情報(申請情報)をユーザ端末Tuから受信してもよいし、ユーザからの申請を受けたID管理装置10のオペレータが入力した申請情報を受け付けてもよい。申請情報は個人を特定するための情報を少なくとも含む(例えば、氏名、生年月日、連絡先(住所、電話番号、メールアドレスなど))を含んでもよい。受付部11は申請情報を確認部12に出力する。
【0050】
確認部12は、申請に関連付けて払い込まれた前払金の金額を確認する機能要素である。ユーザは振込などの任意の方法により金融機関に前払金を支払う。確認部12はユーザの前払金額を金融機関サーバ40に問い合わせ、金融機関サーバ40からその金額の情報を受信する。この情報は少なくともユーザおよび前払金額を特定する情報を含む。確認部12は受信した情報を前払金情報として申請情報と共に初期設定部14に出力する。
【0051】
割当部13は、申請に対して一つのカード番号を割り当てる機能要素である。割当部13は申請者に対して発行するカード番号を生成すると共に、そのプリペイドカードの利用に必要な付属情報を設定する。本明細書では付属情報は有効期限およびセキュリティコードを含むが、付属情報の種類はこれに限定されない。割当部13はカード番号および付属情報を申請情報と共に初期設定部14に出力する。
【0052】
初期設定部14は、カード番号に対応する利用限度額および当初保証金額を設定する機能要素である。初期設定部14は前払金額から所定の保証金額を引いた値を利用限度額として設定する。
【0053】
当初保証金額の決定方法は任意である。例えば、その保証金額は前払金額に関係なく固定であってもよいし、利用限度額の一定の割合に相当する額(利用限度額のx%)であってもよい。
【0054】
あるいは、初期設定部14は、プリペイドカードの残額を超えた分の不足額をユーザに請求可能か否かを判定し、不足額を請求できると判定した場合には、不足額を請求できないと判定した場合よりも保証金額を減少させてもよい。ここで、本明細書における「保証金額を減少させる」とは、保証金額を0円にすること、すなわち保証金を免除することを含む。
【0055】
例えば、初期設定部14は、ユーザの他の決済手段に関する情報を取得可能であれば、その情報を取得できない場合よりも保証金額を少なくしてもよい。他の決済手段に関する情報とは、ID管理装置10またはカード会社がプリペイドカードの残額を超える不足額をユーザから回収するために用いる情報である。この情報の例として、ユーザのクレジットカード(後払型支払手段)または口座の情報や、請求時の連絡先などが挙げられるが、これらに限定されない。初期設定部14は申請情報を参照したり他のカード会社または金融機関のサーバに問い合わせたりすることで、ユーザが他の支払手段を有しているか否かを判定することができる。
【0056】
このように、ユーザへの不足額の請求の可否を判定してその判定結果に応じて保証金額を設定することで、不足額が生ずるリスクまたは不足額を回収する手間の大きさに応じて、保証金額をユーザ毎に柔軟に設定することが可能になる。保証金額が大きいとユーザが受ける不利益も大きくなるので、本実施形態では「リスクまたは手間の大きさ」と「ユーザの利益」とのバランスを取っているとも言える。
【0057】
当初保証金額および利用限度額を決定すると、初期設定部14はカード情報を生成してカードデータベース21に格納する。初期設定部14は入力された情報に基づいてカード番号、付属情報(有効期限およびセキュリティコード)、及びユーザIDを設定し、決定した利用限度額および当初保証金額を対応する項目に設定する。初期設定部14は決定した利用限度額を残額の項目にも設定する。この時点では、追加保証金額は0である。さらに、初期設定部14は決定した保証金額をプール金額に加算する処理をプールデータベース22に対して実行する。
【0058】
これらのデータベース操作が完了することで、プリペイドカードが仮想的に発行され利用可能になる。申請情報に申請者のメールアドレスが含まれていれば、初期設定部14は電子メールなどによりその発行をユーザに通知してもよい。あるいは、ID管理装置10のオペレータがその発行を申請者に伝えてもよい。
【0059】
変更部15は、プリペイドカードが利用可能になった後に、またはプリペイドカードがいずれかの加盟店において少なくとも1回利用された後に、そのカードの保証金額を変更する機能要素である。なお、保証金額は前払金の範囲内で変動するので、保証金額の変更は、プリペイドの残額も変わることを意味する。保証金額の変更方法は限定されず、以下に示すように様々な手法が考えられる。
【0060】
変更部15は残額の変動に連動して保証金額を変更してもよい。例えば
図8に示すように、変更部15は残額の減少に応じて保証金額を増加させ、利用限度額の範囲内での金額の補充による残額の増大(増額申請)に応じて保証金額を減少させてもよい。変更部15は、残額が減少した場合には変更後の残額の範囲内で追加保証金額を決定することで保証金額を全体として増加させる。一方、補充(チャージ)により残額が増えた場合には、変更部15は追加保証金額を減少させることで保証金額を全体として減少させる。保証金額の全体の下限は当初保証金額である。
【0061】
一側面では、残額が少なくなるほど、為替変動や定期払いなどにおける不足額が生ずるおそれが高くなると言える。そこで、残額の減少に応じて保証金額を多めに確保しておくことで、カード会社のリスクを軽減することが期待できる。
【0062】
あるいは、変更部15は残額の減少に応じて保証金額を減少させ、利用限度額の範囲内での金額の補充による残額の増大に応じて保証金額を増大させてもよい。この場合には、変更部15は残額の一定の割合に相当する額(利用限度額のx%に相当する額)を更新後の保証金額として設定してもよい。この処理において、変更部15は保証金額の下限が当初保証金額であるという条件下で、残額の一定割合を保証金として設定してもよい。この処理も、追加保証金額を決定することに相当する。
【0063】
一側面では、残額の多さに合わせて、プリペイドカードの一回の利用額が大きくなり、例えば為替変動に伴う誤差もそれに合わせて大きくなると言える。そこで、残額が多いほど保証金額を多めに確保しておくことで、カード会社のリスクを軽減することが期待できる。
【0064】
あるいは、変更部15は、プリペイドカードの発行後にプリペイドカードの残額を超えた分の不足額をユーザに請求可能か否かを判定し、不足額を請求できると判定した場合には、不足額を請求できないと判定した場合よりも保証金額を少なくしてもよい。例えば、変更部15は、ユーザの他の決済手段に関する情報を取得可能であれば、その情報を取得できない場合よりも保証金額を少なくしてもよい。変更部15は他のカード会社または金融機関のサーバに定期的に問い合わせるなどして、ユーザが他の支払手段を有しているか否かを判定することができる。
【0065】
このように、ユーザへの不足額の請求の可否を判定してその判定結果に応じて保証金額を設定することで、不足額が生ずるリスクまたは不足額を回収する手間の大きさに応じて、保証金額をユーザ毎に柔軟に設定することが可能になる。このように設定することで、「リスクまたは手間の大きさ」と「ユーザの利益」とのバランスを取っている。
【0066】
このように残額および保証金額を変更すると、変更部15はカードデータベース21内のカード情報を変更後の値に更新し、プールデータベース22内のプール金額を保証金額の変化量に合わせて増加または減少させる。変更部15は、利用履歴テーブルにレコードが登録される度に(残額が変わる度に)そのレコードに対応するカード番号について上記の変更処理を実行してもよいし、定期的に(例えば1日に一回)その変更処理を行ってもよい。
【0067】
次に、
図9を用いて、ID管理装置10の動作を説明するとともに本実施形態に係る情報処理方法(情報処理システムの制御方法)について説明する。
【0068】
まず、受付部11が、ユーザ(プリペイドカードの申請者)からの申請に応じて申請情報を受け付ける(ステップS11)。続いて、確認部12が金融機関サーバ40に問い合わせることで前払金額を確認する(ステップS12)。続いて、割当部13がカード番号を割り当て、付属情報(有効期限およびセキュリティコード)を設定する(ステップS13、設定処理)。続いて、初期設定部14が前払金に基づいてプリペイドカードの当初保証金額および利用限度額を決定する(ステップS14、決定処理)。そして、初期設定部14はそのカード番号についてのカード情報を生成してカードデータベース21に格納するとともに、プールデータベース22内のプール金額を更新する(ステップS15、変更処理)。この一連の処理により発行されたプリペイドカードの保証金額は、上述したように変更部15により変更され得る(変更処理)。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、プリペイドカードの申請のために払い込まれた前払金の一部が保証金として確保される。そのため、プリペイドカードの発行者(カード会社)は残額を超える金額の売上請求に対する支払いのための資金としてその保証金を用いることができる。したがって、クレジットカードの仕組みを利用するプリペイドカードの発行者に損失が発生するリスクを軽減することができる。
【0070】
(第2実施形態)
以下では、第1実施形態と異なる点について特に説明する。以下では、ユーザが既に所持しているプリペイドカードを「現在のプリペイドカード」(第1の前払型支払手段)といい、新たな申請に係るプリペイドカードを「新たなプリペイドカード」(第2の前払型支払手段)という。
【0071】
受付部11は、新たなプリペイドカードの申請(引継発行申請)を受け付ける。確認部12は、その申請に関連付けて払い込まれた前払金(新たなプリペイドカードのための前払金)の金額を確認する。割当部13は、その申請に対して新たに一つのカード番号(新たなプリペイドカードの番号)を割り当てると共に、そのカード番号に対応する新たな付属情報を設定する。受付部11、確認部12、および割当部13の機能は第1実施形態と同様である。
【0072】
初期設定部14は、新たに割り当てられたカード番号に対応する利用限度額および当初保証金額を設定する。この処理において、初期設定部14は現在のプリペイドカードの内容を新たなプリペイドカードに引き継がせる。
【0073】
まず、初期設定部14は今回の前払金額に対して暫定の当初保証金額Dpを決定し、その前払金額からその保証金額Dpを引いた値を暫定の利用限度額Lpとして決定する。この暫定値の決定方法は第1実施形態と同様である。
【0074】
続いて、初期設定部14は申請情報に含まれるユーザIDに対応するカード情報(現在のプリペイドカードのカード情報)をカードデータベース21から読み出し、そのカード情報で示される当初保証金額Ic、追加保証金額Acおよび残額Bcを取得する。
【0075】
続いて、初期設定部14は現在のプリペイドカードの保証金額および残額を新たなプリペイドカードに引き継がせる。この移行方法は限定されず、以下のように様々な手法が考えられる。
【0076】
例えば、初期設定部14は暫定の利用限度額Lpと、現在の残額Bcと、現在の追加保証金額Acの少なくとも一部との和を最終的な利用限度額とし、暫定の当初保証金額Dpと現在の保証金額(Ic+Ac)の残りとの和を最終的な当初保証金額としてもよい。この処理の一例を
図10に示す。この例では、追加保証金額Acのすべては新たなプリペイドカードにおいて利用可能に設定される一方で、現在の当初保証金額Icは新たなプリペイドカードの保証金の一部となっている。
【0077】
あるいは、初期設定部14は暫定の利用限度額Lpと、現在の残額Bcと、現在の追加保証金額Acのすべてと、現在の当初保証金額Icの少なくとも一部との和を最終的な利用限度額とし、暫定の当初保証金額Dpと現在の当初保証金額Icの余りとの和を最終的な当初保証金額としてもよい。
【0078】
このように現在のプリペイドカードの保証金の少なくとも一部を新たなプリペイドカードにおいて利用限度額に含めることで、ユーザはより多くの金額を使うことができる。
【0079】
あるいは、初期設定部14は現在のプリペイドカードの利用状況に応じて最終的な当初保証金額を決定してもよい。具体的には、初期設定部14は利用履歴データベース23を参照して、現在のプリペイドカードの利を取得する。
【0080】
利用状況を示すデータとして、合計利用回数、所定の期間における利用頻度、各回の利用金額などが挙げられる。また、初期設定部14は特定の加盟店での利用の有無を利用状況として取得してもよい。「特定の加盟店」とは残額以上の支払額が発生し得る店舗のことであり、例えば、海外の加盟店や、与信照会なしでまたは形だけの与信照会を行って決済する加盟店などである。利用状況を示すデータの例はこれらに限定されない。
【0081】
利用状況に基づく当初保証金額の決定方法も限定されない。例えば、初期設定部14は合計利用回数が多いほど当初保証金額を多く設定してもよいし、利用頻度が高いほど当初保証金額を多く設定してもよいし、利用金額の統計値(例えば平均値または中央値)が大きいほど当初保証金額を多く設定してもよい。また、初期設定部14は、上述した特定の加盟店での利用履歴がある場合には、その利用履歴がない場合よりも当初保証金額を多く設定してもよい。
【0082】
あるいは、初期設定部14は他のユーザのプリペイドカードまたはクレジットカードの利用履歴から上記の利用状況(合計利用回数、所定の期間における利用頻度、各回の利用金額、特定の加盟店での利用の有無など)を取得し、その状況に基づいて上記のように当初保証金額を設定してもよい。
【0083】
このように現在のプリペイドカードの利用状況を考慮して新たなプリペイドカードの保証金を設定することで、保証金額をユーザ毎に柔軟に設定しつつ、カード会社に損失が発生するリスクを軽減することができる。
【0084】
最終的な利用限度額および当初保証金額を設定すると、初期設定部14は新たなプリペイドカードのカード情報を生成してカードデータベース21に格納する。初期設定部14は入力された情報に基づいてカード番号、付属情報(有効期限およびセキュリティコード)、及びユーザIDを設定し、最終的な利用限度額および当初保証金額を対応する項目に設定する。初期設定部14は最終的な利用限度額を残額の項目にも設定する。この時点では、追加保証金額は0である。また、初期設定部14は現在のプリペイドカードに関するカード情報を無効化する。さらに、初期設定部14は現在のプリペイドカードの保証金額と新たなプリペイドカードの保証金額との差(すなわち、プリペイドカードの移行に伴う保証金額の変化量)をプール金額に加算または減算することでプールデータベース22を更新する。
【0085】
これらの更新が完了することで、次のプリペイドカードが発行され利用可能になり、現在のプリペイドカードは無効になる。申請情報に申請者のメールアドレスが含まれていれば、初期設定部14は現在のプリペイドカードを引き継いだ新たなプリペイドカードが発行されたことを示すメッセージを電子メールなどによりユーザに通知してもよい。あるいは、ID管理装置10のオペレータが新たなプリペイドカードの発行を申請者に伝えてもよい。
【0086】
変更部15は、新たなプリペイドカードが利用可能になった後にそのカードの保証金額および残額を変更する。この変更方法は第1実施形態と同様である。
【0087】
次に、本実施形態に係る情報処理方法(情報処理システムの制御方法)について説明する。本実施形態での一連の手順は第1実施形態(上記ステップS11〜S15)と同様である。ここでは、
図11を用いて、第1実施形態と異なる初期設定部14の処理を説明する。
【0088】
本実施形態では、初期設定部14はまず、今回の前払金額に基づいて、新たなプリペイドカードの暫定的な当初保証金額および利用限度額を決定する(ステップS141)。続いて、初期設定部14は現在のプリペイドカードのカード情報をカードデータベース21から読み出すことで、そのカードの保証金額(当初保証金額および追加保証金額)および残額を取得する(ステップS142)。そして、初期設定部14はこれら二つのステップで得た値に基づいて、新たなプリペイドカードの最終的な当初保証金額および利用限度額を決定する(ステップS143)。初期設定部14は上述した様々な手法により新たなプリペイドカードの最終的な当初保証金額および利用限度額を決めることができる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態においても第1実施形態と同様に、クレジットカードの仕組みを利用するプリペイドカードの発行者に損失が発生するリスクを軽減することができる。
【0090】
次に、
図12を用いて、コンピュータを第1または第2実施形態に係るID管理装置10として機能させるためのID管理プログラム(情報処理プログラム)Pについて説明する。
【0091】
ID管理プログラムPは、メインモジュールP10、受付モジュールP11、確認モジュールP12、割当モジュールP13、初期設定モジュールP14、および変更モジュールP15を備える。
【0092】
メインモジュールP10は、カード番号の管理を統括的に制御する部分である。受付モジュールP11、確認モジュールP12、割当モジュールP13、初期設定モジュールP14、および変更モジュールP15を実行することにより実現される機能はそれぞれ、上記の受付部11、確認部12、割当部13、初期設定部14、および変更部15の機能と同様である。
【0093】
ID管理プログラムPは、例えば、CD−ROMやDVD−ROM、半導体メモリ等の有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。また、ID管理プログラムは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0094】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0095】
前払型支払手段は、加盟店における与信照会が支払いの度に必要である支払手段であってもよい。この場合には、決済処理装置は加盟店から受信した与信照会無しでの支払いを拒否する。これは、ユーザが上記実施形態におけるプリペイドカードによる支払いの度に与信照会を受けることを意味する。与信照会を受けた支払いだけを許可するために、与信照会無しでの支払いを認めるか否かを示すフラグをカード情報に追加し、決済処理装置がそのカード情報を参照してもよい。
一実施形態に係る情報処理システムは設定部、決定部、及び変更部を備える。設定部は、加盟店で利用可能な前払型支払手段の発行申請に関連付けて払い込まれた前払金額の範囲内で設定される当初の利用可能額を特定するためのデータを、該発行申請に対応する前払型支払手段のID情報に関連付けて記憶部に記憶させる。決定部は、前払型支払手段に対応する利用可能額の残額の範囲内で保証金額を決定する。変更部は、決定された保証金額が利用可能額の残額に含まれないように記憶部に記憶されるデータを変更させるとともに、いずれかの前払型支払手段に係る決済処理において売上情報に含まれる請求金額の少なくとも一部が事前に承認されていないことに起因する損失が発生した場合に該損失を填補するための原資となる保証金の蓄積金額を示すプール金額に該決定された保証金額が含まれるように該プール金額を変更させる。