(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0018】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態の試験管撹拌装置について説明する。試験管撹拌装置は、試験管ラック3と試験管撹拌機構部7にて構成される。
図1に示すように、試験管ラック3は、四角の下枠11の四隅それぞれから支柱12を立て、支柱12の上端部に支持板13を水平に取り付けた構造である。補強のために支柱12間に間柱14も設けてある。支持板13には、試験管5を縦・横に所定本数、整列させて収容する試験管孔15が形成してある。そして、各試験管孔15には、例えば、シリコンゴムのような弾性材製の試験管ホルダー16の上端部を嵌合させて取り付けてある。
【0019】
図2に示すように、試験管ホルダー16は、その上端部外周にラック溝(周溝)17を形成し、試験管ラック3の支持板13に形成された試験管孔15に弾性的に嵌合させ、その試験管ホルダー16の底部が自由に動ける自由端となる宙づり状態で保持されている。この試験管ホルダー16の上部内面には試験管5の上部に密着して保持するための試験管保持用突起18が形成してある。この試験管保持用突起18は試験管の底部を振動させる時の支持点となる。試験管ホルダー16の下底部には穴19が設けてある。この穴19は、試験管5の出し入れの際にホルダー内を外気と等圧にするために空気を流通させる空気抜き穴として働く。またこの穴19は、使用後に試験管ラック3ごと高圧蒸気滅菌器にかけた後、ホルダー内に溜まった液を抜くための排水穴としても働く。
【0020】
図3に示すように、試験管ラック3の縦・横に整列された各試験管孔15に装着された試験管ホルダー16に対して、試験管5を上から挿入して保持させる。
図4に示すように、宙づり状態で支持されている試験管ホルダー16内に試験管5が挿入され、保持されているので、この試験管5もその底部が自由に動ける自由端となる宙づり状態で保持される。こうして、試験管ラック3に対して、多数本の試験管5を縦・横に整列配置された状態で保持し、この試験管ラック3を、試験管撹拌機構部7上に設置する。
【0021】
次に、本実施の形態の試験管撹拌装置1における試験管撹拌機構部7について、
図5〜
図9を用いて説明する。
図5に示す試験管撹拌機構部7は、固定板31上に設置されていて、固定板31の四隅に立てられている支柱30それぞれの上端面に突設されているラック位置決めピン29を、試験管ラック3の下枠11の四隅の位置決め穴(図示せず)に挿入することによって試験管ラック3を試験管撹拌機構部7の直上方に位置決めする。
【0022】
この試験管撹拌機構部7は、固定板31上で前後(縦)方向に移動できる。前後方向駆動用モータM1は、ピニオンギア32を回転させ、このピニオンギア32と噛み合うラック33、そしてこのラック33の固着されている撹拌機構ベース34を前後方向に移動させることにより、当該試験管撹拌機構部7の全体をガイドレール35に沿って前後方向に移動させることができる。これらの前後方向駆動用モータM1、ピニオンギア32、ラック33、撹拌機構ベース34にて前後動駆動機構部27が構成される。
【0023】
図5、
図7に示すように、撹拌機構ベース34上にはガイドシャフト36が左右2本垂直に固設され、これらの2本のガイドシャフト36に対して二等辺三角形の頂点となる位置に棒ねじ37が立てられている。この棒ねじ37は、その下端部がベース34下に配設された上下動駆動用モータM2の出力軸に結合され、回転するようになっている。ガイドシャフト36は振動機構ベース板38の前右隅、前左隅に固定されたスライド短管39に挿通され、棒ねじ37は振動機構ベース板38の後中央部に固定された内ねじ管40に螺入され、これらのガイドシャフト36と棒ねじ37にて振動機構ベース板38が水平に支持され、かつ、棒ねじ37の回転により水平状態で昇降する。これらの上下動駆動用モータM2、棒ねじ37、振動機構ベース板38にて上下動駆動機構部28が構成される。
【0024】
図5、
図8、
図9に示すように、振動機構ベース板38上に振動機構部50が設けてある。振動機構部50は、試験管ラック3上に横一列に並べられる試験管5の本数と同数、本実施の形態では5個の接合部51が横一列に形成されている振動体52と、この振動体52に振動を起こさせる加振機構53にて構成される。
【0025】
振動体52の各接合部51は横一列の試験管ホルダー16それぞれの底部が受け入れられる径を持つ凹部であり、振動体52自体の前後幅は、ある横一列の試験管ホルダー16に接合して振動を加えている時に、隣接する他の列の試験管ホルダー16に衝突しない形状、寸法である。また、振動体52は樹脂製または金属製のいずれでもよい。ただし、振動体52が金属製の場合には、各接合部51の内面に金属接触を防ぐようにゴム等によって表面処理することが望ましい。
【0026】
加振機構53は、加振用モータM3と、この加振用モータM3の出力軸に結合されている主プーリ54と、振動体52の底部の左右両端部それぞれの位置において振動機構ベース板38に取り付けられた従動プーリ55と、これらの主従のプーリ54,55間に巻きかけられたベルト56と、左右の従動プーリ55それぞれに偏心状態で結合され、従動プーリ55につられて偏心回転する左右のカウンタウエイト57と、この左右のカウンタウエイト57それぞれの中心軸を枢支する振動プレート58と、この振動プレート58上の振動体52とにて構成され、左右のカウンタウエイト57の偏心回転により振動プレート58が偏心距離分を半径とする細かな円運動をしてその上の振動体52を振動させる。
【0027】
次に試験撹拌機構部7の動作を説明する。この動作は、
図10に示す制御系にて制御する。すなわち、制御部CTRに列指定の入力、前列指定の入力等の入力があれば、制御部CTRは前後移動駆動用モータM1を駆動して振動体52の前後位置を決める制御をし、上下動駆動用モータM2を駆動して振動体52の上下動を制御し、振動発生用モータM3を駆動して振動体52に振動を発生させる制御をする。
【0028】
すなわち、
図6に示すように、試験管ラック3の下方に位置する試験管撹拌機構部7において、最初の位置として振動体52が最前列の試験管ホルダー16の横列に位置合わせする。この前後方向の位置合わせは、前後方向駆動用モータM1を駆動し、撹拌機構ベース35を前後方向に適当量だけ移動させる。
【0029】
前後方向位置合わせの後、
図7に示すように、上下動駆動用モータM2を起動して棒ねじ37を回転させ、これに螺合している内ねじ管40を上昇駆動させる。これにより、内ねじ管40が固設されている振動機構ベース板38を水平に上昇させる。この際、振動機構ベース板38の前部左右に挿通されているガイドシャフト36は振動機構ベース板38の上昇をガイドする。
【0030】
振動機構ベース板38の上昇により振動体52が最前列の試験管ホルダー列の下端部に到達し、各接合部51に各試験管ホルダー16の底部が挿入されれば、上下動駆動用モータM2を停止させる。続いて加振動作に移行する。
【0031】
加振動作では、
図8、
図9に示すように、振動発生用モータM3を駆動させ、主プーリ54を回転させ、主プーリ54、従動プーリ55をベルト56にて回転させる。これにより、左右のカウンタウエイト57が同時に同様の偏心回転をし、このカウンタウエイト57の偏心回転にてこれらを枢支している振動プレート58が偏心距離分を半径とする細かな円運動をし、その上の振動体52を振動させる。この振動体52の振動により、振動体52の横一列の接合部51それぞれに挿入されている最前列の横一列の試験管ホルダー16の自由端となった底部に列単位で水平振動が加えられる。このため、試験管ホルダー16それぞれの中に装着されている試験管5それぞれの底部にも同様に水平振動が加えられ、内部の液が撹拌される。
【0032】
最前列の横一列の試験管5に対する加振動作を所定時間続けた後、振動発生用モータM3を停止し、加振動作を停止する。そして、上下動駆動用モータM2を逆回転させて棒ねじ37を逆回転させ、振動体52の接合部51から試験管ホルダー16の底部が抜け出すまで振動機構ベース板38を一定量だけ下降させる。この後、上下動駆動用モータM2を一旦停止させ、次に、前後方向駆動用モータM1を逆回転させ、ピニオンギア32も逆回転させ、これと噛み合っているラック33を後方に移動させ、このラック33の固着されている撹拌機構ベース34を後方に移動させる。この移動距離は、試験管ホルダー16の横列の列ピッチ分であり、振動体52が前から2列目の試験管ホルダー16の列の下位に到達すれば、前後方向駆動用モータM1を停止し、撹拌機構ベース34の後退を停止させる。
【0033】
この第2列目に対する前後方向位置合わせの後、上下動駆動用モータM2を再び上昇回転方向に起動して棒ねじ37を回転させ、振動機構ベース板38を水平に上昇させる。振動機構ベース板38の上昇により振動体52が第2列目の試験管ホルダー列の下端部に到達し、各接合部51に各試験管ホルダー16の底部が挿入されれば、上下動駆動用モータM2を停止させる。続いて加振動作に移行する。
【0034】
加振動作は最前列の試験管ホルダー16に対して行ったものと同様であり、振動発生用モータM3を駆動させることにより、カウンタウエイト57を偏心回転させ、振動体52を同様に水平振動させる。これにより、第2列目の横一列の試験管ホルダー16の底部に水平振動を加え、各試験管ホルダー16内の試験管5それぞれの底部に水平振動させて内部の液を撹拌する。
【0035】
第2列目の横一列の試験管5に対しても加振動作を所定時間続けた後、振動発生用モータM3を停止し、加振動作を停止する。以降、第2列目に対する前後移動、昇降動作、加振動作と同様の制御シーケンスにより、第3列目以降の横一列の試験管ホルダー列それぞれに対しても前後移動、昇降動作、加振動作を繰り返し、試験管ラック3上に縦・横に整列配置された多数の試験管5の全部に対して撹拌を行う。
【0036】
このように、本実施の形態の試験管撹拌装置1によれば、試験管ラック3上に縦・横に整列配置された多数の試験管5に対して、横一列の列単位でそれぞれ試験管5の自由端となっている底部に振動を加えて内部の液を撹拌することができ、効率よく、かつ、効果的に撹拌できる。そして、弾性材製の試験管ホルダー16にて試験管5を保護することができ、破損させることなく高速振動を加えることができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、第1列目、第2列目、第3列目等、最前列の試験管列から順に横1列ずつ列単位で試験管の撹拌が行える上に、制御部CTRに例えば2列目撹拌、あるいは4列目撹拌という指令を入力することにより、モータM1,M2,M3を駆動して選択した列だけ列単位で撹拌動作することもでき、きめ細かな試験管の撹拌動作が可能である。
【0038】
さらに、
図18に示すように、縦・横に整列したチップ2に対して、同じく縦・横に整列した分注ヘッド6のノズルを上下に位置決めした後、下降させて一度にチップ2を装着し、そのチップ2を介して試薬等を分注する分注装置100に、本実施の形態の試験管撹拌装置1を組み入れるようにすれば、分注作業から薬液撹拌までの一連の作業を連続して効率よく行うことができる。この結果、検体等が多数集まる検査センター等においては、特に有効である。
【0039】
[第2の実施の形態]
図11、
図12を用いて、第2の実施の形態の試験管撹拌装置1Aについて説明する。本実施の形態は、試験管ラック3Aと試験管撹拌機構部7上の加振機構53における振動体52Aに特徴を有し、その他の部分、つまり、前後動駆動機構部27、上下動駆動機構部28、振動機構部50の他の部分の構成は第1の実施の形態と共通する。
【0040】
図11、
図12に示すように、試験管ラック3Aは、四角の下枠11Aの四隅それぞれから支柱12を立設し、同時に下枠11Aの左右辺に等間隔で相対する位置に副支柱121を立設し、それぞれの上端部に弾性材製の支持板13Aを水平に取り付けた構造である。支持板13Aには、試験管5を縦・横に所定本数、整列させて収容する試験管孔15Aが形成してある。本実施の形態の場合、試験管孔15Aの径は、試験管5を抵抗なく挿入でき、かつ試験管5の上部をほとんど隙間なく支持するために必要な寸法に設定してある。本実施の形態では第1の実施の形態のような弾性材製の試験管ホルダーは用いていない。
【0041】
試験管ラック3Aの下枠11Aの位置には、横方向に細長い、ゴムのような弾性材製の試験管支持部材71が横一列の試験管5の並びと並行するように各左右の相対する副支柱121間に渡してある。そして各試験管支持部材71の左右の端部から延出させた溶着用端部72を副支柱121に溶着し、試験管支持部材71を所定の位置に固定させている。この各試験管支持部材71には、横一列に並ぶ複数本の試験管5の各底部を受け止めて支持する試験管支持凹部73が形成してある。また各試験管支持部材71の左右中央の下面には、加振機構53の振動プレート58上の振動体52Aの接合部51Aに嵌合させるための接合用凸部74が形成してある。
【0042】
振動機構部50における加振機構53は、カウンタウエイト57上に振動プレート58を枢支し、この振動プレート58の左右中央の上面に矩形の振動体52Aを設けた構成である。この矩形の振動体52Aの上面には、単一の接合部51Aを設けてある。この接合部51Aの凹部は試験管ラック3A側の各試験管支持部材71に設けた接合用凸部74と隙間なく嵌合する形状である。この接合部51Aを接合用凸部74に嵌合させ、第1の実施の形態と同様に振動プレート58を円運動させ、その上の振動体52Aを振動させることによって試験管支持部材71を振動させ、この試験管支持部材71に底部が支持されている横一列の全試験管5それぞれの底部を同時に水平振動させ、中の薬液を撹拌するようにしてある。
【0043】
次に、本実施の形態の試験管撹拌装置1Aによる試験管撹拌動作について説明する。制御系の構成は、第1の実施の形態と共通であり、
図10に示したものを用い、モータM1〜M3を制御する。
【0044】
試験管ラック3Aに対して、多数本の試験管5を縦・横に整列、形成されている試験管孔15A各々に挿入し、各試験管5の底部を弾性材製の試験管保持部材71の試験管支持凹部73それぞれに嵌入し、直立状態で保持させる。そして、この多数本の試験管5を配置した試験管ラック3Aを、
図18に示した試験管撹拌装置1のステージ4上の所定の位置、つまり、下位の試験管撹拌機構部7の直上の位置に設置する。
【0045】
次に、
図11に示すように、試験管ラック3Aの下方に位置する試験管撹拌機構部7において、最初の位置として振動体52Aを最前列の試験管5の横列に位置合わせする。この前後方向の位置合わせは第1の実施の形態と同様であり、前後方向駆動用モータM1を駆動し、撹拌機構ベース34を前後方向に適当量だけ移動させる。
【0046】
前後方向位置合わせの後、第1の実施の形態と同様に、上下動駆動用モータM2を起動することによって振動機構ベース板38を水平に上昇させる。振動機構ベース板38の上昇により振動体52Aが最前列の試験管列を支持している試験管支持部材71の下部に到達すれば、振動体52Aの接合部51Aに試験管支持部材71側の接合用凸部74が嵌り込み、振動体52Aと試験管支持部材71とが接合される。この後、上下動駆動用モータM2を停止させ、続いて加振動作に移行する。
【0047】
加振動作では、第1の実施の形態と同様に振動発生用モータM3を駆動させ、主プーリ54を回転させ、主プーリ54、従動プーリ55をベルト56にて回転させ、これによってカウンタウエイト57を偏心回転させ、振動プレート58を細かに円運動させ、その中央位置の振動体52Aを振動させる。この振動体52Aの振動により、接合用凸部74を通じて試験管ラック3A側の下部の試験管支持部材71に振動が伝達されて振動し、この試験管支持部材71の各試験管支持凹部73に底部が嵌め込まれている最前列の横一列の全試験管5の自由端となった底部に列単位で一斉に水平振動が加えられ、列単位の全試験管5のそれぞれの内部の液が撹拌される。
【0048】
最前列の横一列の試験管5に対する加振動作を所定時間続けた後、振動発生用モータM3を停止し、加振動作を停止する。そして、第1の実施の形態と同様に、上下動駆動用モータM2を逆回転させることにより振動機構ベース板38を降下させ、振動体52Aの接合部51Aを試験管ラック3A側の試験管支持部材71の接合用凸部74から切り離す。この後、上下動駆動用モータM2を一旦停止させ、次に、第1の実施の形態と同様に前後方向駆動用モータM1を逆回転させることによって撹拌機構ベース34を後方に移動させる。そして試験管列のピッチ分だけ後退させて振動体52Aが前から2列目の試験管5の列の下位に到達すれば、前後方向駆動用モータM1を停止し、撹拌機構ベース34の後退を停止させる。
【0049】
この第2列目に対する前後方向位置合わせの後、上下動駆動用モータM2を再び上昇回転方向に起動して振動機構ベース板38を水平に上昇させる。そして、振動機構ベース板38の上昇により振動体52Aが第2列目の試験管5列の下部に到達し、接合部51Aに試験管ラック3A側の試験管支持部材71の接合用凸部74が嵌り込めば、上下動駆動用モータM2を停止させる。続いて第2列目の試験管列に対する加振動作に移行する。
【0050】
加振動作は最前列の試験管列に対して行ったものと同様であり、振動発生用モータM3を駆動させることにより、第2列目の横一列の全試験管5の底部に一斉に水平振動を加え、それぞれの内部の液を撹拌する。
【0051】
第2列目の横一列の試験管5に対しても加振動作を所定時間続けた後、振動発生用モータM3を停止し、加振動作を停止する。以降、第2列目に対する前後移動、昇降動作、加振動作と同様の制御シーケンスにより、第3列目以降の試験管5に対しても横一列ずつ列単位で前後移動、昇降動作、加振動作を繰り返し、試験管ラック3A上に縦・横に整列配置された多数の試験管5の全部に対して撹拌を行う。
【0052】
このように、本実施の形態の試験管撹拌装置1Aによれば、試験管ラック3A上に縦・横に整列配置された多数の試験管5に対して、横一列の列単位でそれぞれの試験管5の自由端となっている底部に一斉に振動を加えてそれぞれの試験管5の内部の液を撹拌することができ、効率よく、かつ、効果的に撹拌できる。そして、弾性材製の試験管支持部材71にて試験管5を保護しつつ振動させることができ、破損させることなく高速振動させることができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、第1列目、第2列目、第3列目等、最前列の試験管列から順に横1列ずつ列単位で試験管の撹拌が行える上に、制御部CTRに例えば2列目撹拌、あるいは4列目撹拌という指令を入力することにより、モータM1,M2,M3を駆動して選択した列だけ列単位で撹拌動作することもでき、きめ細かな試験管の撹拌動作が可能である。
【0054】
さらに、
図18に示すような分注装置100に、本実施の形態の試験管撹拌装置1Aを組み入れるようにすれば、分注作業から薬液撹拌までの一連の作業を連続して効率よく行うことができる。この結果、検体等が多数集まる検査センター等においては、特に有効である。
【0055】
[第3の実施の形態]
図13、
図14を用いて、第3の実施の形態の試験管撹拌装置1Bを説明する。本実施の形態の試験各撹拌装置1Bは、試験管ラック3上の多数本の試験管5それぞれを1本ずつ撹拌する機構を備えている点が第1、第2の実施の形態とは異なる。したがって、本実施の形態は、試験管撹拌機構部7の振動機構部位置合せ機構60、そして加振機構53の振動体52B及び接合部51Bに特徴を有し、その他の上下動駆動機構部28は第1、第2の実施の形態と共通であり、振動機構部50は第2の実施の形態と共通である。
【0056】
図13に示すように、試験管ラック3は、
図1〜
図4に示した第1の実施の形態のものと共通である。縦・横に整列して配置された各試験管5はゴム弾性材製の試験管ホルダー16に装着され、支持、かつ保護されている。
【0057】
本実施の形態にあって振動機構部50及びその上の加振機構53の機構は
図11に示した第2の実施の形態のものとほぼ共通する。しかしながら、
図14に示すように、加振機構53の振動体52B及び接合部51Bの構造に相違がある。つまり、本実施の形態では、振動体52B及び接合部51Bは直接に試験管ホルダー16の底部に接合して加振する形状である。振動機構部50におけるその他の要素は第2の実施の形態のものと共通である。
【0058】
本実施の形態の他の特徴である振動機構位置合せ機構60の構成は次の通りである。
図13に示すように、固定板31上に敷設した前後方向のガイドレール35A上に第1ベース34Aを前後方向にスライド可能な状態で設置し、この第1ベース34A上に左右方向のガイドレール61を敷設し、この左右方向ガイドレール61上に第2ベース62を左右方向にスライド可能な状態で設置している。そして、第1の実施の形態と同様に固定板31上に前後方向駆動用モータM1を設置し、前後方向駆動用ピニオンギア32をこのモータM1に取り付け、他方、第1ベース34Aの側面に前後方向ラック33を固設し、この前後方向ラック33に前後方向駆動用ピニオンギア32を噛み合わせている。
【0059】
したがって、前後方向駆動用モータM1を正逆回転させれば、前後方向駆動用ピニオンギア32が正逆回転し、前後方向駆動用ラック33が前方向若しくは後ろ方向に移動し、これに伴って第1ベース34Aが前後移動する。また、第1ベース34Aの下面に左右方向駆動用モータM4を設置し、左右方向駆動用ピニオンギア64を第1ベース34Aの上面側においてこのモータM4の出力軸に取り付け、他方、第2ベース62の前面に左右方向ラック63を固設し、この左右方向ラック63に左右方向駆動用ピニオンギア64を噛み合わせている。したがって、左右方向駆動用モータM4を正逆回転させれば、左右方向駆動用ピニオンギア64が正逆回転し、左右方向駆動用ラック63が左方向若しくは右方向に移動し、これに伴って第2ベース62が第1ベース34A上で左右方向に移動する。
【0060】
本実施の形態では、第2ベース62に、第1、第2の実施の形態と同様に上下動駆動機構部28が取り付けてあり、この上下動駆動機構部28にて上下動される振動機構ベース板38上に第2の実施の形態と同様の振動機構部50、加振機構53が設置されている。ただし、上述したように、加振機構53における振動体52B、接合部51Bの形状は第2の実施の形態のものと異なる。
【0061】
次に、本実施の形態の試験管撹拌装置1Bによる試験管撹拌動作について説明する。この動作は、
図15に示す制御系にて制御する。すなわち、制御部CTRに試験管全体を撹拌する指令の入力、列指定の入力、列と右から何番目かを指定する試験管個別指定の入力(例えば、「2−5」とあれば、前から2列目、右から5番目の試験管を指定する入力)等があれば、制御部CTRは前後方向駆動用モータM1を駆動して振動体52Bの前後位置を決め、左右方向駆動用モータM4を駆動して振動体52Bの左右位置を決める制御をし、上下動駆動用モータM2を駆動して振動体52Bの上下動を制御し、振動発生用モータM3を駆動して振動体52Bに振動を発生させる制御をする。
【0062】
第1の実施の形態の場合と同様に、試験管ラック3に対して、多数本の試験管5を装着し、これを試験管撹拌装置1Bのステージ4の所定の位置に設置し、その下方に設置されている試験管撹拌機構部7側のラック位置決めピン29にて位置決めする。
【0063】
次に、試験管撹拌機構部7による試験管撹拌動作を開始する。試験管ラック3の下方に位置する試験管撹拌機構部7において、最初の位置として振動体52Bを最前列の試験管5の横列に位置合わせする。この前後方向の位置合わせは、第1、第2の実施の形態の場合と同様であり、前後方向駆動用モータM1を駆動し、第1ベース34Aを前後方向に適当量だけ移動させる。
【0064】
前後方向位置合わせの後、左右方向駆動用モータM4を駆動し、左右方向駆動用ピニオンギア64を回転させ、左右方向ラック63をこれに固着されている第2ベース62と共に右方向(若しくは左方向。以下、最初に右端に移動させるものとして説明する。)に移動させ、振動体52Bが最前列、右端の位置の試験管ホルダー16の直下に到達すると停止させる。尚、前後動と左右動とは同時であっても、左右動が先であってもかまわない。
【0065】
この後、第1、第2の実施の形態と同様に、上下動駆動用モータM2を起動することによって振動機構ベース板38を水平に上昇させる。振動機構ベース板38の上昇により振動体52Bが最前列、右端の試験管ホルダー16の下端部に到達すれば、振動体52Bの接合部51Bに試験管ホルダー16の底部が嵌り込んで接合される。この後、上下動駆動用モータM2を停止させ、続いて加振動作に移行する。
【0066】
加振動作では、第2の実施の形態と同様に振動発生用モータM3を駆動させ、主プーリ54を回転させ、主プーリ54、従動プーリ55をベルト56にて回転させ、これによってカウンタウエイト57を偏心回転させ、振動プレート58を細かに円運動させ、その中央位置の振動体52Bを振動させる。この振動体52Bの振動により、試験管ホルダー16の底部に振動が伝達されて振動し、その中の試験管5も振動し、試験管5内の液が撹拌される。
【0067】
最前列、右端の試験管5の撹拌を所定時間行った後、振動発生用モータM3を停止し、加振動作を停止する。そして、上下動駆動用モータM2を逆回転させることにより振動機構ベース板38を降下させ、振動体52Bの接合部51Bを試験管ホルダー16の下端部から離し、この後、上下動駆動用モータM2を一旦停止させる。
【0068】
次に、左右方向駆動用モータM4を逆方向に回転させ、左右方向駆動用ピニオンギア64を逆回転させ、左右方向ラック63とこれに固着されている第2ベース62を左方向に試験管ホルダー16の横方向の配列ピッチ分だけ移動させ、モータM4を停止させる。
【0069】
次に、再び、上下動駆動用モータM2を起動することによって振動機構ベース板38を上昇させ、振動体52Bを最前列、右端から2番目の試験管ホルダー16の下端部に到達させ、振動体52Bの接合部51Bに試験管ホルダー16の底部を接合する。この後、上下動駆動用モータM2を停止させ、続いてこの第2番目の試験管ホルダー16を右端の試験管ホルダー16と同様に振動させ、試験管5内の液を撹拌する。
【0070】
以下、最前列右から3番目以降、左端の試験管ホルダー16までのそれぞれの試験管5に対しても、上と同様の動作シーケンスにより順次1本ずつを撹拌する。
【0071】
そして、最前列の横一列に並ぶ全試験管5に対する撹拌動作が終了すれば、続いて、前から2列目の試験管列に対する撹拌動作に移行する。その場合には、第1の実施の形態と同様に前後方向駆動用モータM1を逆回転させることによって第1ベース34Aを後方に移動させる。そして試験管ホルダー16の配列ピッチ分だけ後退させて振動体52Bが前から2列目の試験管ホルダー16の列の下位に到達すれば、前後方向駆動用モータM1を停止し、第1ベース34の後退を停止させる。
【0072】
この第2列目に対する前後方向位置合わせの後、左右方向駆動用モータM4を駆動し、第1列目の場合と同様に、左右方向駆動用ピニオンギア64を回転させ、左右方向ラック63をこれに固着されている第2ベース62と共に右方向に移動させ、振動体52Bを第2列目、右端の位置の試験管ホルダー16の直下に移動させる。
【0073】
この後、第1列目の場合と同様に、上下動駆動用モータM2を起動することによって振動機構ベース板38を水平に上昇させる。振動機構ベース板38の上昇により振動体52Bを2列目、右端の試験管ホルダー16の下端部に到達させ、振動体52Bの接合部51Bに試験管ホルダー16の底部を接合する。そして、加振動作に移行する。
【0074】
加振動作は、第1列目の場合と同様であり、振動体52Bの振動により、試験管ホルダー16の底部を振動させ、その中の試験管5の底部を振動させて試験管5の内部の液を撹拌する。
【0075】
第2列目、右端の試験管5の撹拌を所定時間行った後、振動発生用モータM3を停止し、加振動作を停止する。そして、以降、第1列目の場合と同様のシーケンスにて、右端から2番目〜左端の各試験管ホルダー16を順次に振動させ、各試験管5内の液を撹拌する。
【0076】
以降、第3列目〜最後列の試験管列まで上の撹拌動作を繰り返すことにより、試験管ラック3上の全部の試験管5に対して1本ずつ個別に撹拌する。
【0077】
本実施の形態の試験管撹拌装置1Bによれば、試験管ラック3上に縦・横に整列配置された多数の試験管ホルダー16に対して、個別に1本ずつその自由端となっている底部に振動を加えてその中の試験管5の底部を同様に振動させ、試験管5の内部の液を撹拌することができ、効果的に撹拌できる。そして、弾性材製の試験管ホルター16に試験管5を保護しつつ振動させることができ、破損させることなく高速振動させることができる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、第1列目右から順に、続いて第2列目、第3列目等と、最前列、右端の試験管から順に試験管を個別に列、行順に1本ずつ撹拌できる上に、制御部CTRに例えば、第2列目、右から5番目の試験管(2−5)、第3列目、右から2番目(3−2)等と撹拌対象とする試験管を個別に飛び飛びに指定して撹拌する指令を入力することにより、モータM1〜M4を駆動して選択した位置の試験管だけを個別に撹拌することもでき、きめ細かな試験管の撹拌動作が可能である。
【0079】
さらに、
図18に示すような分注装置100に、本実施の形態の試験管撹拌装置1Bを組み入れるようにすれば、分注作業から薬液撹拌までの一連の作業を連続して効率よく行うことができる。この結果、検体等が多数集まる検査センター等においては、特に有効である。
【0080】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態の試験管撹拌装置1Cについて、
図16、
図17を用いて説明する。本実施の形態の試験各撹拌装置1Cも、試験管ラック3B上の多数本の試験管5それぞれを1本ずつ撹拌する点は、第3の実施の形態と共通であるが、本実施の形態は、試験管ラック3Bと、加振機構53における振動体52Cの材質、接合部51Cの形状とが第3の実施の形態とは異なる。他の実施の形態と共通する要素には共通する符号を用いて説明する。
【0081】
図16、
図17に示すように、本実施の形態における試験管ラック3Bは、四角の下枠11の四隅それぞれに支柱12を立設し、それぞれの上端部に支持板13Bを水平に取り付けた構造である。必要に応じて間柱14も設けられる。支持板13Bには、試験管5を縦・横に所定本数、整列させて収容するために、試験管5の径よりも大きめの径の試験管孔15Bが形成してある。そして各試験管孔15Bにはゴム弾性材製の試験管支持リング41が嵌め込んである。この試験管支持リング41は、上鍔部42と下鍔部43を支持板13Bの厚みとほぼ同寸法の溝幅、また試験管孔15Bの内径とほぼ同寸法の外径、そして試験管5の外径とほぼ同寸法の内径を有する胴部44にて接続した構造であり、胴部44の周囲に嵌合溝45が形成されている。この試験管支持リング41は試験管孔15Bにゴム弾性を利用して嵌め込んであり、嵌合溝45に試験管孔15Bの周縁部が嵌り込んでいる。試験管5はこの試験管支持リング41内にそのゴム弾性を利用して強く押し込むことにより、試験管孔15B内に上部を宙吊りの形にして支持され、試験管5の底部は自由に動くことができる自由端になっている。
【0082】
本実施の形態にあって振動機構部50及びその上の加振機構53の機構は
図13に示した第3の実施の形態のものとほぼ共通する。しかしながら、
図17に示すように、加振機構53の振動体52C及び接合部51Cの材質、構造に相違がある。本実施の形態では、振動体52C及び接合部51Cは直接に試験管5の底部に接合して加振する構造であるので、もろい試験管5を保護しつつ加振する必要があり、振動体52Cはゴム弾性材製であり、かつ、接合部51Cは試験管5の底部の形状に合致する凹形状をしている。振動機構部50、加振機構53におけるその他の要素は第3の実施の形態のものと共通である。
【0083】
次に、上記実施の形態の試験管撹拌装置1Cによる試験管撹拌動作について説明する。多数の本の試験管5は、試験管ラック3Bに対して、それぞれの試験管支持リング41内にそのゴム弾性を利用して強く押し込むことにより、試験管孔15B内に上部を宙吊りの状態にして支持させる。各試験管5の底部は自由に動くことができる自由端になっている。このようにして多数本の試験管5を装着した試験管ラック3Bを、
図13に示したように試験管撹拌装置1Cのステージ4の所定の位置に設置し、その下方に設置されている試験管撹拌機構部7側のラック位置決めピン29にて位置決めする。
【0084】
次に、試験管撹拌機構部7による試験管撹拌動作を開始する。本実施の形態にあっても、
図13に示した第3の実施の形態とほぼ同様のシーケンスにて試験管5を1本ずつ撹拌する。ただし、本実施の形態では、むき出しの試験管5の底部に直接に加振する点が、試験管ホルダー16を介して行う第3の実施の形態と異なる。用いる制御系は、第3の実施の形態と同様に
図15に示すものである。
【0085】
第3の実施の形態の場合とほぼ同様のシーケンスにて、試験管ラック3Bの下方に位置する試験管撹拌機構部7において、最初の位置として振動体52Cを最前列の試験管5の横列に位置合わせする。この前後方向の位置合わせは、第1、第2の実施の形態の場合と同様であり、前後方向駆動用モータM1を駆動し、第1ベース34Aを前後方向に適当量だけ移動させる。
【0086】
前後方向位置合わせの後、左右方向駆動用モータM4を駆動し、左右方向駆動用ピニオンギア64を回転させ、左右方向ラック63をこれに固着されている第2ベース62と共に右方向(若しくは左方向。以下、最初に右端に移動させるものとして説明する。)に移動させ、振動体52Bが最前列、右端の位置の試験管5の直下に到達すると停止する。
【0087】
この後、上下動駆動用モータM2を起動することによって振動機構ベース板38を水平に上昇させ、振動機構ベース板38の上昇により振動体52Cが最前列、右端の試験管ホルダー16の下端部に到達すれば、
図17に示すように振動体52Cの接合部51Cに試験管5の底部が嵌り込んで接合される。この後、上下動駆動用モータM2を停止させ、続いて加振動作に移行する。
【0088】
加振動作では、振動発生用モータM3を駆動させ、主プーリ54を回転させ、主プーリ54、従動プーリ55をベルト56にて回転させ、これによってカウンタウエイト57を偏心回転させ、振動プレート58を細かに円運動させ、その中央位置の振動体52Cを振動させる。この振動体52Cの振動により、試験管5の底部に振動が伝達されて振動し、試験管5内の液が撹拌される。
【0089】
最前列、右端の試験管5の撹拌を所定時間行った後、振動発生用モータM3を停止し、加振動作を停止する。そして、上下動駆動用モータM2を逆回転させることにより振動機構ベース板38を降下させ、振動体52Bの接合部51Bを試験管5の下端部から離し、この後、上下動駆動用モータM2を一旦停止させる。
【0090】
次に、左右方向駆動用モータM4を逆方向に回転させ、左右方向駆動用ピニオンギア64を逆回転させ、左右方向ラック63とこれに固着されている第2ベース62を左方向に試験管5の横方向の配列ピッチ分だけ移動させ、モータM4を停止させる。
【0091】
次に、再び、上下動駆動用モータM2を起動することによって振動機構ベース板38を上昇させ、振動体52Cを最前列、右端から2番目の試験管5の下端部に到達させ、振動体52Cの接合部51Cに試験管5の底部を接合する。この後、上下動駆動用モータM2を停止させ、続いてこの第2番目の試験管5を右端の試験管5と同様に振動させ、試験管5内の液を撹拌する。
【0092】
以下、最前列右から3番目以降、左端までのそれぞれの試験管5に対して、上と同様の動作シーケンスにより順次1本ずつを撹拌する。
【0093】
最前列の横一列に並ぶ全試験管5に対する撹拌動作が終了すれば、続いて、前から2列目の試験管列に対する撹拌動作に移行する。その場合には、第1の実施の形態と同様に前後方向駆動用モータM1を逆回転させることによって第1ベース34Aを後方に移動させる。そして試験管5の配列ピッチ分だけ後退させて振動体52Bが前から2列目の試験管5の列の下位に到達すれば、前後方向駆動用モータM1を停止し、第1ベース34Aの後退を停止させる。
【0094】
この第2列目に対する前後方向位置合わせの後、左右方向駆動用モータM4を駆動し、第1列目の場合と同様に、左右方向駆動用ピニオンギア64を回転させ、左右方向ラック63をこれに固着されている第2ベース62と共に右方向に移動させ、振動体52Cを2列目、右端の位置の試験管5の直下に移動させる。
【0095】
この後、第1列目の場合と同様に、上下動駆動用モータM2を起動することによって振動機構ベース板38を水平に上昇させる。振動機構ベース板38の上昇により振動体52Bを2列目、右端の試験管ホルダー16の下端部に到達させ、振動体52Bの接合部51Bに試験管ホルダー16の底部を接合する。そして、加振動作に移行する。加振動作は、第1列目の場合と同様である。
【0096】
第2列目、右端の試験管5の撹拌を所定時間行った後、振動発生用モータM3を停止し、加振動作を停止する。そして、以降、第1列目の場合と同様のシーケンスにて、右端から2番目〜左端の各試験管5を順次に振動させ、各試験管5内の液を撹拌する。
【0097】
以降、第3列目〜最後列の試験管列まで上の撹拌動作を繰り返すことにより、試験管ラック3B上の全部の試験管5に対して1本ずつ個別に撹拌する。
【0098】
本実施の形態の試験管撹拌装置1Cによれば、試験管ラック3B上に縦・横に整列配置された多数の試験管5に対して、個別に1本ずつその自由端となっている底部に振動を加えて内部の液を撹拌することができ、効果的に撹拌できる。そして、弾性材製の振動体52Cにて試験管5を保護しつつ振動させることができ、破損させることなく高速振動させることができる。
【0099】
また第3の実施の形態と同様に、試験管を個別に列、行順に1本ずつ撹拌できる上に、撹拌対象とする試験管を個別に飛び飛びに指定して撹拌する指令を入力することにより、選択した位置の試験管だけを個別に撹拌することもでき、きめ細かな試験管の撹拌動作が可能である。
【0100】
さらに、
図18に示すような分注装置100に、本実施の形態の試験管撹拌装置1Bを組み入れるようにすれば、分注作業から薬液撹拌までの一連の作業を連続して効率よく行うことができる。この結果、検体等が多数集まる検査センター等においては、特に有効である。
【0101】
[その他の実施の形態]
第4の実施の形態で用いた試験管ラック3Bは、個々の試験管5を試験管支持板13Bにて宙吊り状態で保持できるので、第1の実施の形態において用いた試験管ラック3に代えて第1の実施の形態の試験管撹拌装置1に用いることができる。ただし、この場合、試験管撹拌装置1の試験管撹拌機構部7における振動体52はゴム弾性材製とし、接合部51は試験管5の底部の形状に合致する凹部にする。また、制御系は第1の実施の形態と同様に
図10に示したものである。
【0102】
このような変形例の試験管撹拌装置1によっても、第1の実施の形態と同様に試験管ラック3B上に縦・横に整列配置された多数の試験管5に対して、横一列の列単位でそれぞれ試験管5の自由端となっている底部に振動を加えて内部の液を撹拌することができ、効率よく、かつ、効果的に撹拌でき、また、きめ細かな撹拌が行える。