特許第5678249号(P5678249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678249
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】ベルト状金型の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
   B29C33/38
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-120296(P2012-120296)
(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2013-244671(P2013-244671A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2012年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】599124426
【氏名又は名称】株式会社ディムコ
(74)【代理人】
【識別番号】100119275
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 信明
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 優
(72)【発明者】
【氏名】田中 満生
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−268866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心に回転する円柱状の回転体に薄肉金属管状体が装着されて共に回転し、
回転する前記薄肉金属管状体に連れ回りする加圧ロールが該薄肉金属管状体を押圧し、
前記加圧ロールの押圧面に刻設された凹凸状の微細なパターンからなるマザーパターンが塑性変形に因り前記薄肉金属管状体の表面に凹凸が逆の金型模様として転写され、
前記薄肉金属管状体がベルト状に成形され、ことを特徴とするベルト状金型の製造方法
【請求項2】
前記円柱状の回転体はマンドレルであって前記薄肉金属管状体は該マンドレルに略密着するように装着され、
前記加圧ロールは該薄肉金属管状体を押圧しながら回転方向に直交する方向に移動して該薄肉金属管状体の表面に前記マザーパターンが螺旋状に金型模様として転写されるとともに、該薄肉金属管状体には回転方向に直交する方向に張力が付与され、
前記薄肉金属管状体の両小口が切断されてベルト状とされ、ことを特徴とする請求項1に記載のベルト状金型の製造方法
【請求項3】
前記円柱状の回転体は主ロールであり前記薄肉金属管状体は無端ベルトであって、該薄肉金属管状体は該主ロールおよび副ロールに巻回されるとともに該主ロールおよび該副ロールは互いに離反方向に付勢されて該薄肉金属管状体には回転方向に張力が付与され、
前記加圧ロールが前記主ロールにバックアップされた該薄肉金属管状体を押圧することにより前記マザーパターンが金型模様として転写され、ことを特徴とする請求項1に記載のベルト状金型の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂シートに微細パタ−ンを連続的に賦形するベルト状の金型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種光学素子として使用されるプリズムシート、フレネルレンズやレンチキュラーレンズ等は、熱可塑性樹脂シートの表面に光学的性能の要求に応じた様々な凹凸状模様が形成されている。
【0003】
熱可塑性樹脂シートに凹凸状模様を形成する方法として、例えば、プリズムシートでは、プリズムシートの凹凸状模様を反転したエンボスパターンを刻設した賦型ロール(スタンパロール)と、これに対向して配置される鏡面の挟圧ロールとの間に、ダイから連続的に供給投入される溶融樹脂帯のフィルム原反を通過させて、賦型ロールのエンボスパターンをフィルム原反に転写しつつ圧延冷却するロールエンボッシング方法がある(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、上記ロールエンボッシング方法の場合、一般的に、挟圧ロールとして円柱形の金属製剛体ロールまたは硬質ゴムロールを用いており、ロールに弾性がないために、賦型ロールに対するフィルム原反の押圧領域が直線状で接触面積が狭く、賦形時間が極めて短いために高精度な凹凸状模様を得ることが困難であった。
【0005】
賦型時間が短い問題を解決するために提案されたのが、金属製無端ベルトと金属製剛体ロールによる挟圧成型方法であり(引用文献2)、これで接触面積が増加して賦型時間の延長が可能になった。そして、金属無端ベルトの表面に微細なエンボスパターンを刻設するパターン形成方法としては、特許文献3に示すようなダイヤモンド工具による切削加工やレーザーによる加工する方法や、レーザーよる加工する方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−179036号公報
【特許文献2】特開平9−164592号公報
【特許文献3】特開2009−160831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の微細パターンを形成する方法は、50mm×50mmのスペースに深さが1.0μmの溝を1.0μmピッチで形成する場合に5時間以上の長時間を要するという問題があることから、微細パターンの適用分野を拡大するためには転写面積の大型化と高スループット化が不可欠である。
【0008】
さらに、ダイヤモンドは、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、チタンステンレス鋼と親和性が強く、これらの素材材料を切削すると、熱化学反応によって工具が急速に摩耗するために、超精密切削加工は不可能であることが確認されていて、これを解決するために、ダイヤモンド工具による切削の事前処理としてニッケル合金やステンレス鋼のベルトに対して銅メッキとニッケル−りんめっきを施すことが不可欠である。
【0009】
そこで、本願発明は、可塑性樹脂シートに光学的性能の要求に応じた様々な凹凸状模様を成形する金属無端ベルトの表面に凹凸状模様が刻設された金型であって、ダイヤモンド工具による切削加工を必要とせず転写面積の大型化と高スループット化が可能なベルト状金型の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係るベルト状金型の製造方法は、中心軸を中心に回転する円柱状の回転体に薄肉金属管状体が装着されて共に回転し、回転する前記薄肉金属管状体に連れ回りする加圧ロールが該薄肉金属管状体を押圧し、前記加圧ロールの押圧面に刻設された凹凸状の微細なパターンからなるマザーパターンが塑性変形に因り前記薄肉金属管状体の表面に凹凸が逆の金型模様として転写され、前記薄肉金属管状体がベルト状に成形されことを特徴としている。なお、塑性変形は薄肉金属管状体の厚さ方向のみならず平面方向にも生ずる三次元の変形である。
また、本願請求項2に係るベルト状金型の製造方法は、請求項1に記載のベルト状金型の製造方法であり、前記円柱状の回転体はマンドレルであって前記薄肉金属管状体は該マンドレルに略密着するように装着され、前記加圧ロールは該薄肉金属管状体を押圧しながら回転方向に直交する方向に移動して該薄肉金属管状体の表面に前記マザーパターンが螺旋状に金型模様として転写されるとともに、該薄肉金属管状体には回転方向に直交する方向に張力が付与され、前記薄肉金属管状体の両小口が切断されてベルト状とされ、ことを特徴としている。
そして、本願請求項3に係るベルト状金型の製造方法は、請求項1に記載のベルト状金型の製造方法であり、前記円柱状の回転体は主ロールであり前記薄肉金属管状体は無端ベルトであって、該薄肉金属管状体は該主ロールおよび副ロールに巻回されるとともに該主ロールおよび該副ロールは互いに離反方向に付勢されて該薄肉金属管状体には回転方向に張力が付与され、前記加圧ロールが前記主ロールにバックアップされた該薄肉金属管状体を押圧することにより前記マザーパターンが金型模様として転写される、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
上記構成により本願発明は以下の効果を奏する。
(1)円柱状の回転体にバックアップされた薄肉金属管状体が加圧ロールに押圧されてマザーパターンが塑性変形に因り金型模様として転写されるため、金型を製作する際にダイヤモンド工具による切削加工を必要とせず、また、回転させながら押圧して転写することにより、転写面積の大型化と高スループット化が可能となる。
(2)本発明では、薄肉金属管状体の表面を押圧して塑性変形に因り転写し、転写後の薄肉金属管状体の全断面が略同径となるようにベルト状にすることとしている。成型後のベルト裏面はエンボス模様と異なって平滑な状態であり、かつ、全断面が略同径であるため、ロールに密着して動力が効率よくベルトに伝達される。
(3)円柱状の回転体をマンドレルとして薄肉金属管状体属をマンドレルに略密着して装着することとした場合には、従来のスピニング加工装置を使用することができる。
(4)円柱状の回転体を主ロールとし、薄肉金属管状体を無端ベルトとして主ロールおよび副ロールに巻回する場合は、塑性変形後の薄肉金属管状体の全断面が略同径となるような成形は殆ど不要になるとともに、装置の主な構成は主ロールおよび副ロールであるから簡単な構成からなる装置となって、メンテナンスが容易である。
(5)薄肉金属管状体に回転方向に直交する方向に張力を付与し、あるいは回転方向に張力を付与することにより、薄肉金属管状体の塑性変形が生じやすくなるとともに、薄肉金属管状体の塑性変形による盛り上がり変形が吸収される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例1に係るベルト状金型の成形装置の側面図である。
図2図2は、実施例1に係るベルト状金型の成形装置で使用する加圧ロールの説明図であって、図2(a)は加圧ロールの断面図、図2(b)は加圧ロールの押圧面のマザーパターンの断面図、図2(c)は加圧ロールの押圧中の状態を示す図、図2(d)は加圧ロールの押圧後の薄肉金属管状体に転写された金型模様の部分拡大図である。
図3図3は、実施例2に係るベルト状金型の成形装置の主要部分の図であって、図3(a)は側面図、図3(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願発明を実施するための形態に係るベルト状金型について、図1ないし図3に基づいて説明する。なお、図1ないし図3において、符号3はマザーパターン、符号5は金型模様、符号10は実施例1に係るベルト状金型の成形装置、符号11は薄肉金属管状体、符号13はマンドレル(円柱状の回転体)、符号15は加圧ロール、符号21は張力付与手段、符号23はマンドレル駆動モータ、符号30は実施例2に係るベルト状金型の成形装置、符号31は無端ベルト(薄肉金属管状体)、符号33は主ロール(円柱状の回転体)、符号35は加圧ロール、符号37は副ロール、である。
【実施例1】
【0014】
ベルト状金型の成形装置10は従来のスピニング加工機とほぼ同様の構成であって、主に、円柱状の回転体であるマンドレル13と、縦方向に延伸する中心軸を中心にマンドレル13を回転させるマンドレル駆動モータ23と、マンドレル13に装着される薄肉金属管状体11の縦方向に張力を付与する張力付与手段21と、薄肉金属管状体11を横方向から押圧する円盤状の加圧ロール15と、から構成されている。
【0015】
実施例1におけるベルト状金型は以下の工程を経て製造される。
(1)押圧前の薄肉金属環状体11は円筒体で、上端部は内側に曲折し、下端部は外側に曲折して鍔部が形成されている。この薄肉金属環状体11をマンドレル13に装着する。
(2)薄肉金属環状体11の鍔部を張力付与手段21が下方に押し下げるように押圧して薄肉金属環状体11に張力を付与する。
(3)マンドレル13を回転させ、マンドレル13と共に回転する薄肉金属環状体11に連れ回る加圧ロール15が押圧する。加圧ロール15は薄肉金属環状体11を押圧しながら下方に移動していくが、押圧により薄肉金属環状体11は塑性変形を生じて加圧ロール15の押圧面に刻設されたマザーパターン3が螺旋状となって金型模様5として転写される。
(4)転写後の薄肉金属環状体11の上端部および下端部の鍔部を切断してベルト状とする。
【0016】
薄肉金属環状体11の素材はステンレス鋼、ニッケル合金、ジュラルミン、銅等であって、これらの金属薄板を円筒状に曲げ加工して突き合せ、溶接で接合する。溶接は、プラズマ溶接、TIG溶接、レーザー溶接、または電子ビーム等が用いられる。転写前の薄肉金属環状体11の表面粗さは、形成する金型模様5の画線幅および深さよりも小さいことが必要である。例えば画線幅0.1μm、深さ0.1μmの金型模様5を形成する場合には、薄肉金属環状体11は表面を研磨して、Raで0.05μm以下、好ましくは0.04μm以下の鏡面仕上げとする必要がある。
【0017】
加圧ロール15は、図2(a)に示すように大略算盤玉の形状をしていて、図2(b)に示すように薄肉金属円筒体20の外周面に押し当てられ、薄肉金属円筒体20の回転によって連れ回る。なお、加圧ロール15は、前進する方向に入側角度(α)、先端平坦部(w)、出側角度(β)を有している。
【0018】
加圧ロール15の先端平坦部(w)には、例えば図2(b)に示す複数条の三角溝のマザーパターン3が刻設されている。そして、加圧ロール15が薄肉金属環状体11の外周面に押し当てられ、図の左方に移動することによって、マザーパターン3の反転形状が薄肉金属環状体11の外周面に金型模様5として連続して転写される(図2(c)および(d))。
【0019】
ここで入側角度(α)は、0.1°〜5°、望ましくは、0.5°〜1.0°、先端平坦部(w)は、略平坦であり、若干の丸みを有してもいい。出側角度(β)は、0°〜1.0°、望ましくは、0°〜0.5°である。なお、マザーパターン3は、レーザーまたはダイヤモンド工具による切削加工で刻設される。
【0020】
上記は、加圧ロール15が1個の場合についての説明であるが、2個以上の複数個の加圧ロールを薄肉金属環状体11の外周面に等間隔で配置してもよい。例えば、3個の加圧ロール15を配置し、移動方向に対して最前に位置する加圧ロール15を#1ロールと称し、以下順に、#2ロール、#3ロールと称することとする。マンドレル13の回転数R(r/min)、加圧ロール15の移動速度V(mm/min)とすると、加圧ロール15の送りピッチPは、P=V/R(mm/r)となる。具体的な数値で示すと、R=60(r/min)、V=36(mm/min)では、送りピッチP=36/60=0.6mm/rになる。すなわち、薄肉金属環状体11の成形速度は、マンドレル13の1回転毎に0.6mmずつ進行する。3個の加圧ロール15がマンドレル13の外周上の120°で等間隔に配置されている場合、マンドレル13の中心軸方向に対して0.6mm/3=0.2mm、若しくは、その整数倍の距離をおいて配置されているならば、先頭の#1ロールの軌跡の上をなぞって、#2ロール、#3ロールも押圧していくことになるので、整数倍にならない距離を置くことが必要である。加圧ロール15の数をn個とし、加圧ロール15が均等にマンドレル13の外周上に配置されるならば、P/nの整数倍の間隔をおいて加圧ロール15をマンドレル13の軸方向に配置すると、各加圧ロールは、同じ軌跡を押圧するが、各加圧ロールをP/nの整数倍にならない間隔をおいて配置するならば、各加圧ロールは前の加圧ロールの軌跡とは異なる軌跡を押圧していく。すなわち、n個の加圧ロール15がマンドレル13の中心軸方向に同一位置で外周に均等に配置された場合は、n重の螺旋軌跡(すなわち、異なる軌跡)を残し、マザーパターン3の転写が行われていく。
【0021】
加圧ロール15は、押圧される薄肉金属環状体11の材料よりも靭性、耐摩耗性、強度、硬度等が優れた材料であることが必要である。一般的に670HV〜770HV(61HRC〜63HRC)の硬さの材料で、JIS規定のSKD11(合金工具鋼)やSKH51(高速度工具鋼)相当品を工具基材として用いている。また、さらに硬度をあげるために塩浴窒化処理やガス窒化処理により表層部に窒化拡散層が設けることもある。
【0022】
本発明に係るマザーパターン3の転写は、強い力を加えて素材を変形させる塑性加工の一つである転造という技術の応用であり、結晶組織を寸断する切削加工に対して結晶組織が寸断されずに繊維状になり、緻密で堅い組織になるとともに、引張り強さ、衝撃強さ、表面硬さ、疲れ強さ等の性能が向上する。
【0023】
ところで、本発明に係るマザーパターンの転写方法では、加圧ロール15に刻設されたマザーパターン3が押し込まれ、マザーパターン3の反転形状が金型模様5として薄肉金属環状体11に形成されるが、加圧ロール15の押し込みによって排除された素材容積は、金型模様5の盛り上がり変形となって吸収される。このため、この盛り上がり変形が金型模様5の形成を阻害する場合があるが、これを防止するために、薄肉金属環状体11に張力を付加する必要がある。必要な張力は、加工する素材の降伏力の0.5倍〜1.2倍、望ましくは0.7倍〜1.0倍である。また、形成する金型模様5の画線幅の1.0倍〜2.0倍の間隔を開けておくと盛り上がり変形による素材容積の吸収に効果的である。
【0024】
実施例1では、薄肉金属円筒体11を材質SUS304、直径500mm、厚さ0.23mm、長さ1,200mmで、スピニング加工で成形して鏡面研磨されたものを使用し、その内の長さ300mmにマザーパターン3を形成した。なお、マザーパターン3は、図2(c)に示すように、加圧ロール15の幅0.6mmの押圧面上に、幅1.0μm、深さ1.0μm、間隔1.0μmの三角溝をレーザー加工で形成した。そして、ベルト状金型の成形装置10に装着し、マンドレル13の回転数V=0.6(r/min)、加圧ロール15の送り速度R=1.0(mm/min)とすると、加圧ロール15の送りピッチP(P=V/R(mm/r))を0.6mm/rとして、1回転に0.6mmのピッチで前進させた。この結果、薄肉金属円筒体11の周上に転写形成された金型模様5の形成時間は約8時間であった。すなわち約470,000mmの面積のパターン形成が8時間で可能になり、これまでのレーザーによる成形方法に比べて120倍ほどのスピードアップになった。転写後、長さ300mmの金型模様5の形成部分から薄肉金属円筒体11を所定の幅に切断してベルト状金型とした。なお、形成された金型模様5は、レーザー顕微鏡で観察したところ、高精度に形成できることが分った。
【実施例2】
【0025】
ベルト状金型の成形装置30は、主に、円柱状の回転体である主ロール33と、主ロール33に従動する副ロール37と、主ロール33および副ロール37に巻回されて回転走行する薄肉金属環状体である無端ベルト31と、主ロール33にバックアップされた無端ベルト31を押圧する加圧ロール35と、主ロール33および副ロール37を離反方向に付勢する張力付与手段(図示外)と、から構成されている。
【0026】
加圧ロール35の外周面には微細のマザーパターン3が刻設されており、無端ベルト31の回転に連れ回りしながら回転し、同時に無端ベルト31に押圧されて、マザーパターン3の反転形状が金型模様5として無端ベルト31の上に転写される。
【0027】
なお、薄肉金属管状体11を無端ベルト31と読み替えることにより、段落〔0021〕ないし段落〔0023〕の記述は実施例2においても適用される。
【0028】
実施例2では、無端ベルト31を材質SUS304、幅50mm、厚さ0.23mm、周長4,000mm、全周圧延で成形し、鏡面研磨されたものを使用し、加圧ロール35は、幅60mmの略円柱状で、マザーパターン3として、40mmに幅1.0μm、深さ1.0μm、間隔1.0μmの三角溝をレーザー加工で形成した。そして、主ロール33および副ロール37に巻回し、加圧ロール35で押圧した。金型模様5の形成時間は0.5時間であった。なお、形成された金型模様5は、実施例1同様、レーザー顕微鏡で観察したところ、高精度に形成できることが分った。
【符号の説明】
【0029】
3 マザーパターン
5 金型模様
10 実施例1に係るベルト状金型の成形装置
11 薄肉金属管状体
13 マンドレル(円柱状の回転体)
15 加圧ロール
21 張力付与手段
30 実施例2に係るベルト状金型の成形装置
31 無端ベルト
33 主ロール(円柱状の回転体)
35 加圧ロール
37 副ロール1
図1
図2
図3